【文献】
RONELLENFITSCH,M. et al.,Chromium Aryl Complexes with N-Donor Ligands as Catalyst Precursors for Selective Ethylene Trimerization,Organometallics,2014年,Vol.33, No.20,pp.5758-5766
【文献】
LICCIULLI,S. et al.,Towards Selective Ethylene Tetramerization,Angewandte Chemie, International Edition,2010年,Vol.49, No.48,pp.9225-9228
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記触媒システムは、投入される前記化学式2で表されるクロム化合物と前記化学式4で表されるアルミニウム化合物のモル比が1:50〜1:500である、請求項7に記載のエチレンオリゴマー化触媒システム。
請求項7〜9のいずれかに記載の触媒システムとエチレン単量体を接触させて、1−ヘキセンおよび1−オクテンを選択的に製造する段階を含むエチレンオリゴマーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本明細書で別途表示されていない限り、Meは、メチル、Etは、エチル、Prは、プロピル、iBuは、イソブチル、Phは、フェニル、PEは、ポリエチレン、acacは、アセチルアセトネート、THFは、テトラヒドロフランを意味する。
【0033】
本発明の一具現例のクロム化合物は、非配位陰イオンとクロム3価陽イオンから構成される新規な構造のクロム3価化合物であって、下記化学式1で表される。
【0034】
[化学式1]
[X
2CrL
n]
+[AY
4]
−
【0035】
前記化学式1で、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン(hallogen)、炭素数2〜30のカルボキシレート(carboxylate)、アセチルアセトネート(acetylacetonate,ACAC)、またはエーテル基およびアミン基のうち1種以上を含むかまたは含まない炭素数1〜30のヒドロカルビル(hydrocarbyl)であり;Lは、それぞれ独立して、炭素数2〜30のニトリル(nitrile)、炭素数2〜30のエーテル(ether)、またはH
2Oリガンドであり;nは、0〜4の整数であり;Aは、ボロン(B)であり;Yは、炭素数6〜20のフッ素が置換されたアリール、炭素数6〜20のフッ素が置換されたアリールオキシ、または炭素数1〜20のフッ素が置換されたアルコキシである。
【0036】
本発明は、前記一具現例のクロム化合物をエチレンオリゴマー化反応に適用することによって、高価なメチルアルミノキサン(methylaluminoxane,MAO)の使用を省略したにもかかわらず、高活性で1−ヘキセンおよび1−オクテンを選択的に製造することができる。
【0037】
具体的に、前記化学式1のXは、ハロゲン(hallogen)、より具体的にフッ素(F)、塩素(Cl)、ブロム(Br)、ヨード(I)、例えば、塩素(Cl)であってもよい。この場合、化学式1で表されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易である。
【0038】
または、具体的に前記化学式1のXは、エーテル基およびアミン基のうち1種以上を含む炭素数1〜30のヒドロカルビル(hydrocarbyl)、より具体的にエーテル基およびアミン基のうち1種以上を含む炭素数1〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数5〜30のベンジル誘導体、例えば、オルト−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル(ortho−(N,N−dimethylamino)benzyl)であってもよい。この場合、化学式1で表されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易である。
【0039】
具体的に、前記化学式1で、Yは、C
6F
5、3,5−(CF
3)
2C
6H
3、OC(CF
3)
3、例えば、[AY
4]
−は、[B(C
6F
5)
4]
−、または[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−であってもよい。この場合、化学式1で表されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易である。
【0040】
具体的に、前記化学式1で、Lは、中性配位リガンドであって、炭素数2〜30のニトリル、炭素数2〜30の環状または非環状エーテル、H
2O、またはこれらの混合物であってもよく、より具体的に、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran,THF)、ジエチルエーテル、H
2O、またはこれらの混合物であってもよく、例えば、アセトニトリルまたはテトラヒドロフラン(THF)であってもよい。前記化学式1で、nは、具体的に、2〜4、例えば、2、3、4であってもよく、製造時に真空乾燥程度によって変わることができる。この場合、化学式1で表されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易である。
【0041】
一具体例で、前記化学式1で表される化合物は、Xは、塩素、[AY
4]
−が[B(C
6F
5)
4]
−、Lがテトラヒドロフラン(THF)であり、nが4であるクロム化合物であってもよい。この場合、化学式1で表されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易であると共に、エチレンオリゴマー反応の活性度がさらに優れている。
【0042】
他の具体例で、前記化学式1で表される化合物は、例えば、[Cl
2CrL
n]
+[B(C
6F
5)
4]
−、[Cl
2CrL
n]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−などを例示することができるが、これらに限定されない。この場合、化学式1で表されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易であると共に、エチレンオリゴマー反応の活性度がさらに優れている。
【0043】
さらに他の具体例で、前記化学式1で表される化合物は、[(ortho−Me
2NC
6H
4CH
2)
2CrL
n]
+[B(C
6F
5)
4]
−または[(ortho−Me
2NC
6H
4CH
2)
2CrL
n]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−などを例示することができる。この場合、Lは、中性配位リガンドであって、アセトニトリル、THF、ジエチルエーテル、またはH
2Oを単独でまたは混合して使用することができ、nの値は、0〜2の値を有することができ、製造時に真空乾燥程度によって変わることができる。
【0044】
具体的に、前記化学式1で表されるクロム化合物は、CrX
3(L)
3およびAg
+[AY
4]
−をアセトニトリル溶媒で反応させる方法により製造することができる。前記X、L、AおよびYは、それぞれ、上記で説明した通りである。この場合、原料の需給が容易であると共に、製造コストを低減することができるので、大量生産工程に適用するのにさらに適しているという効果がある。
【0045】
一具体例で、前記化学式1で、Xは、塩素、[AY
4]
−が[B(C
6F
5)
4]
−、Lがアセトニトリルであり、nが4であるクロム化合物を製造する場合、CrCl
3(THF)
3とAg
+[B(C
6F
5)
4]
−をアセトニトリル溶媒で反応させる方法により製造することができる。前記反応で生成されるクロム化合物は、[Cl
2Cr(NCCH
3)
n]
+[B(C
6F
5)
4]
−の構造を有する。また、生成されたクロム化合物の乾燥程度によってnの値は流動性があるが、乾燥程度を好適に調節して、n値が整数4である明確な構造の[Cl
2Cr(NCCH
3)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−化合物を得ることができる。前記CrCl
3(THF)
3は、市販されており、Ag
+[B(C
6F
5)
4]
−は、市販されているK
+[B(C
6F
5)
4]
−とAgNO
3の複分解反応により容易に合成できる化合物(New Journal of Chemistry,29(2005)366)である。このような方法により前記化学式1で表されるクロム化合物を製造する場合、大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易であると共に、製造コストを低減する効果が非常に優れている。
【0046】
例えば、前記一具体例で、Ag
+[B(C
6F
5)
4]
−の代わりに、[Ag]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−などの化合物も使用することができる。前記[Ag]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−は、その合成が文献に報告された化合物であって(New Journal of Chemistry、29(2005)366;Chem.Eur.J.2001,7,490)、前記反応と同じ方法でCrCl
3(THF)
3との複分解反応により[Cl
2CrL
n]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−化合物を製造することができる。
【0047】
他の具体例で、前記で製造された[Cl
2Cr(NCCH
3)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−化合物をTHFに溶解すると、化合物中のアセトニトリルリガンドがTHFリガンドに置換された[Cl
2Cr(THF)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−化合物を製造することができる。
図1に前記のような方法で製造された[Cl
2Cr(THF)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−の構造をX線結晶学により明確に究明して示した。
【0048】
さらに他の具体例で、前記化学式1で表される化合物が[(ortho−Me
2NC
6H4CH
2)
2CrL
n]
+[B(C
6F
5)
4]
−または[(ortho−Me
2NC
6H
4CH
2)
2CrL
n]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−である陽イオンクロム化合物を製造する場合、例えば(ortho−Me
2NC
6H
4CH
2)
3Crと[H(OEt
2)
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−または[H(OEt
2)
2]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−をCH
2Cl
2溶媒で反応させて製造することができる。前記(ortho−Me
2NC
6H
4CH
2)
3Crと[H(OEt
2)
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−または[H(OEt
2)
2]
+[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−は、文献に報告された方法により製造することができる(Journal of Organometallic Chemistry、135(1977)C6−C9;Inorganic Chemistry 2013,52,40264039)。
【0049】
本発明の他の具体例のクロム化合物は、下記化学式2で表される新規な構造化合物である。
【0050】
[化学式2]
[(L∩L)CrX
2L
m]
+[AY
4]
−
【0051】
前記化学式2で、(L∩L)は、二座(bidentate)キレートリガンド、Xは、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数2〜30のカルボキシレート、アセチルアセトネート、またはエーテル基およびアミン基のうち1種以上を含むかまたは含まない炭素数1〜30のヒドロカルビルであり;Lは、それぞれ独立して、炭素数2〜30のニトリル、炭素数2〜30のエーテル、またはH
2Oリガンドであり;mは、0〜2の整数であり;Aは、ボロンであり;Yは、炭素数6〜20のフッ素が置換されたアリール、炭素数6〜20のフッ素が置換されたアリールオキシまたは炭素数1〜20のフッ素が置換されたアルコキシである。
【0052】
具体的に、前記化学式2で表されるクロム化合物は、前述した化学式1の化合物に由来する化合物であってもよい。より具体的に、前記化学式2で表されるクロム化合物は、前述した化学式1の化合物を多様な構造の二座リガンド化合物(L∩L)と、例えばジクロロメタン溶媒で反応させて製造することができる。この場合、化学式1で表されるクロム化合物に含まれたリガンド(L)が投入した二座リガンド(L∩L)に置換されて、前記化学式2の化合物に転換される。
【0053】
具体的に、前記化学式2で、前記二座リガンド化合物は、金属に配位できる二つの原子を有している有機化合物であってもよい。前記金属に配位できる原子は、例えば、リン(P)、窒素(N)、酸素(O)などを含むことができる。
【0054】
より具体的に、前記化学式2で、前記二座リガンド化合物は、二つのリン(P)原子を含む下記化学式3で表される化合物であってもよい。下記化学式3で表されるリガンドを含む場合、前記化学式2で表されるクロム化合物は、エチレンの選択的オリゴマー化反応に適用するとき、さらに優れた高活性および高選択性(1−ヘキセンおよび1−オクテンに対する選択性)を具現することができる。
【0055】
[化学式3]
(R
1)
2P−Z−P(R
1)
2
【0056】
前記化学式3で、前記R
1は、それぞれ独立して、炭素数1〜50のアルキル基または炭素数6〜50のアリール基であり;Zは、二つのリン(P)原子を連結する炭素数2〜50のアルキレン基、炭素数6〜50のアリレン基、または−N(R
2)−(ただし、R
2は、炭素数1〜50のアルキルまたは炭素数6〜50のアリール)である。
【0057】
一具体例で、前記化学式3で表されるクロム化合物は、R
1は、フェニルであり、Zは、−N(R
2)−(ただし、R
2は、炭素数1〜50のアルキルまたは炭素数6〜50のアリール)の化合物であってもよい。この場合、前記化学式3で表されるクロム化合物は、安価で市販されいるPh
2PClとR
5NH
2を反応させて容易に製造が可能であるので、原料の需給が容易であり、経済的である。特に、前記R
2が炭素数18以上の場合、触媒の脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解度に優れていて、商業工程に投入するのに適した特性を有する。
【0058】
前記化学式2で、X、L、AおよびYは、それぞれ、上記で化学式1で表される化合物について説明した通りである。この場合、原料の需給が容易であると共に、製造コストを低減することができるので、大量生産工程に適用するのにさらに適しているという効果がある。
【0059】
本発明のさらに他の具体例の触媒システムは、主触媒として前記化学式2で表されるクロム化合物;および助触媒として下記化学式4で表される有機アルミニウム化合物を含む。前記触媒システムは、エチレンを選択的に1−ヘキセンと1−オクテンに転換する反応に非常に有用である。また、このような触媒システムは、高価なトリメチルアルミニウムを水と反応させて得られる高価なメチルアルミノキサン(MAO)の使用を省略したにもかかわらず、高活性および1−ヘキセンと1−オクテンに対する高選択性を具現することができる。
【0061】
前記化学式4で、R
3は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基である。
【0062】
具体的に、前記化学式4で、R
3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、より具体的にエチル基またはイソブチル基であってもよい。
【0063】
本発明の触媒システムの最も大きい長所は、助触媒として前記化学式4でR
3がエチルまたはイソブチルである化合物を使いながらも、高活性を具現することができる点である。前記R
3がエチルまたはイソブチルである前記化学式4の化合物は、産業界において安価で大量で製造されて使用されているトリエチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムである。したがって、本発明の触媒システムは、高価なメチルアルミノキサン(MAO)の使用を省略したにもかかわらず、製造コストが安く、原料の需給が容易な前記化学式4の化合物を使いながらも、高活性および1−ヘキセンと1−オクテンに対する高選択性を具現することができる。
【0064】
具体的に、前記触媒システムは、投入される前記化学式2で表されるクロム化合物と前記化学式4で表される有機アルミニウム化合物のモル比(Cr:Al)が1:50〜1:500であってもよい。前記範囲で触媒システムの活性がさらに優れている。
【0065】
一具体例で、前記触媒システムは、前記化学式1のクロム化合物と二座リガンド化合物を反応させて形成された配位体である化学式2のクロム化合物を分離精製した後、前記有機アルミニウム化合物と反応させる方法により製造され得る。
【0066】
他の具体例で、前記触媒システムは、前記化学式1のクロム化合物および二座リガンド化合物を反応させて化学式2の配位体を形成した後、これを分離精製せず、引き続いて有機アルミニウム化合物を投入する方法により製造され得る。
【0067】
具体例で、前記触媒システムは、ハロゲンで置換または非置換された炭化水素溶媒をさらに含むことができる。このような溶媒を含む場合、触媒システムは、前記反応物が溶媒に溶解した均一溶液相で存在することができる。
【0068】
より具体的に、前記ハロゲンで置換または非置換された炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン(MeC
6H
11)、シクロヘキサン(C
6H
12)、シクロヘキセン(C
6H
10)などを例示することができる。前記例示した溶媒で、本発明の触媒システムが容易に形成され、また、オリゴマー化反応後、生成物である1−ヘキセンおよび1−オクテンと溶媒を分離するのにさらに有利な特性を有する。
【0069】
本発明のさらに他の具体例は、前述した触媒システムとエチレン単量体を接触させて1−ヘキセンと1−オクテンを選択的に製造する段階を含むエチレンオリゴマーの製造方法に関する。
【0070】
前述した本発明の触媒システムは、均一溶液状態だけでなく、担体に担持された形態、担体の不溶性粒子形態などで存在し得るので、前記エチレンオリゴマーの製造方法(エチレンオリゴマー化反応)は、液相またはスラリー相反応であってもよい。
【0071】
また、前記エチレンオリゴマーの製造方法で、反応条件は、使用される触媒組成物の状態(均一相または不均一相(担持型))および重合方法(溶液重合、スラリー重合)によって多様に変形され得る。その変形程度は、当業者によって容易に行われ得る。
【0072】
具体的に、前記エチレンオリゴマー化反応(重合)が液相またはスラリー相で実施される場合、ハロゲンで置換または非置換された炭化水素溶媒を媒質として使用することができる。
【0073】
より具体的に、前記炭化水素溶媒としては、炭素数4〜20の脂肪族炭化水素溶媒、炭素数6〜20の芳香族炭化水素溶媒、これらの混合物などを使用することができる。例えば、前記ハロゲンで置換または非置換された炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン(MeC
6H
11)、シクロヘキサン(C
6H
12)、シクロヘキセン(C
6H
10)などを例示することができる。前記例示した溶媒を使用する場合、重合活性が高く、オリゴマー化反応後、生成物である1−ヘキセンおよび1−オクテンと溶媒との分離が容易である。
【0074】
前記エチレンオリゴマーの製造方法において、前記触媒システムの使用量は、特に限定されないが、本発明の前述した触媒システムが高活性を具現することができるので、少ない量を投入して反応を進める場合にも、優れた収得率を具現することができる。
【0075】
一具体例で、前記オリゴマー化反応が溶液重合法で行われる場合、前述した触媒システムをモル濃度(クロム基準)が0.01mmol/L〜0.2mmol/L、例えば0.05mmol/L〜0.15mmol/Lになるように投入した後、エチレン単量体を連続的に投入して30分〜3時間反応させることによって、1−ヘキセンと1−オクテンを製造することができる。エチレンは、15bar〜80bar、具体的に30bar〜60bar、例えば、45barの圧力下に連続的に投入することができる。
【0076】
また、前記オリゴマー化反応時の温度は、常温(20℃)〜150、例えば30〜80であってもよい。
【0077】
また、前記オリゴマー化反応は、バッチ式、半連続式または連続式で行われ得る。
【0078】
一具体例で、本発明のエチレンオリゴマー化方法は、エチレン単量体および前述した触媒システムをシクロヘキセン(cyclohexene)溶媒で接触させて、1−オクテンおよび1−ヘキセンを製造するものであってもよい。この場合、副産物の生成が少ないながらも、収得率が高く、高い活性および優れた選択性を具現することができ、1−ヘキセンの生成量に優れているので、商業工程に適用する場合、経済性がさらに優れたエチレンオリゴマー化方法を提供することができる。また、このような具体例は、メチルシクロヘキサン(cyclohexane,CH
3C
6H
11)またはシクロヘキサン(cyclohexane,C
6H
12)溶媒の代わりに、シクロヘキセン(cyclohexene,C
6H
10)を溶媒として使用することによって、クロム触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応での触媒活性を向上させ、1−ヘキセン(1−hexene)の生成量を増大しつつ、副産物であるC10以上のオリゴマーまたはポリエチレンの生成を低減することができる。
【0079】
シクロヘキセン(C
6H
10)は、産業界において大量で製造されて使用されている化合物であって、安価で大量で購入できる化合物であり、従来には、反応溶媒として使用されるよりは、一般的にカプロラクタム(caprolactam)、アジピン酸(adipic acid)、マレイン酸(maleic acid)、シクロヘキセンオキサイド(cyclohexene oxide)などの化合物の製造に反応物質として使用されている化合物である。このようなシクロヘキセン(C
6H
10)は、特に、オレフィン重合および/またはエチレンオリゴマー化反応で溶媒として使用された例がなく、かえってシクロヘキセン(C
6H
10)は、分子内オレフィン(C=C二重結合)基を含んでいて、エチレンオリゴマー化反応に参加する余地があるので、溶媒として使用するのに一般的に忌避される化合物である。
【0080】
このように、従来には、エチレンオリゴマー化反応で反応物であるエチレンと競争反応を起こすものと考えられて使用が制限されたが、本発明の一例では、シクロヘキセン(C
6H
10)を溶媒として使用してエチレンオリゴマー化反応を進めることができる。このようなエチレンオリゴマー化方法で、シクロヘキセン(C
6H
10)のオレフィン(C=C二重結合)基は、従来とは異なって、反応に全く参加せず、ただ溶媒として作用して触媒の活性を高めながらも、選択性に利点を与えるのに寄与することができる。
【0081】
また、シクロヘキセン(C
6H
10)の沸点は、約83℃であって、生成物である1−ヘキセンおよび1−オクテンの沸点(それぞれ約63℃および約121℃)と非常に差異があるので、後段分離工程にさらに有利であり、これに伴い、エチレンオリゴマー化反応溶媒として用いられるのにさらに有利な特性を有する。
【0082】
実施例
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成および作用をより詳細に説明することとする。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであり、いかなる意味でもこれによって本発明が制限されると解すべきものではない。
【0083】
製造例1:二座(bidentate)リガンドの製造(1)
ペンタトリアコンタン−18−アミン(0.505g、0.994mmol)が溶解しているジクロロメタン(5mL)溶液をクロロジフェニルホスフィン(0.482mg、2.19mmol)とトリエチルアミン(1.00g、9.94mmol)が溶解しているジクロロメタン(5mL)溶液に0℃でゆっくり投入した。0℃で30分間撹拌後、温度をゆっくり常温に上げた。14時間反応後、減圧して、溶媒を除去し、ヘキサン(10mL)を投入した。不溶性の固体化合物を濾過して除去した。真空減圧して溶媒を除去し、残余物をジクロロメタンに溶解した後、アセトニトリルをゆっくり拡散させて、再結晶して、純粋な二座リガンド化合物N−(ジフェニルホスフィノ)−N−(ペンタトリアコンタン−18−イル)−1,1−ジフェニルホスフィノアミンを得た(0.593g、68%)。
1H NMR(C
6D
6,400MHz)7.452−7.790(8H,br,ArH),7.080−7.163(12H,m,ArH),3.512−3.635(1H,m,NCH),2.110−2.115(2H,m,NCHCH
2),1.179−1.186(2H,m,NCHCH
2),1.361−1.202(60H,m,−CH
2−),0.926(6H、t,J
HH=6.4Hz,CH
2CH
3)
【0084】
製造例2:二座(bidentate)リガンドの製造(2)
合成方法が文献(J.AM.CHEM.SOC.2004,126,14712−1471)に報告された化合物であって、原料の需給が容易なN−(ジフェニルホスフィノ)−N−イソプロピル−1,1−ジフェニルホスフィノアミンを準備した。
【0085】
実施例1:化学式1Aのクロム化合物の製造
【0086】
[化学式1A]
[CrCl
2(CH
3CN)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0087】
CrCl
3(THF)
3(1.00g、2.67mmol)が溶解しているアセトニトリル(15mL)溶液に[Ag(CH
3CN)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−(2.540g、2.67mmol)が溶解しているアセトニトリル溶液を常温でゆっくり投入した。12時間常温で撹拌した後、塩化銀(AgCl)生成物を濾過して除去した。濾過液を取って、溶媒を真空減圧して除去して、暗い緑色の固体状残余物を得た。これを再びアセトニトリル(4mL)に溶かして−30℃で再結晶して、化学式1Aで表される暗い緑色結晶化合物を収得した(1.533g、60)。Anal.Calcd for C
32H
12BCrF
20N
4(965.14g mol
−1):C 39.8,H 1.25,N 5.81%.Found:C 40.4,H 1.97,N 8.58%.
【0088】
実施例2:化学式1Bのクロム化合物の製造
【0089】
[化学式1B]
[CrCl
2(THF)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0090】
前記実施例1で製造された[CrCl
2(CH
3CN)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−(1.00g、0.310mmol)をTHFに溶解した後、真空減圧して溶媒を除去した。この過程を3回繰り返してアセトニトリルをTHFに置換した。最終的に、化合物を再びTHFに(2mL)に溶解して−30℃で再結晶して、X線結晶学に適当な紫色結晶を得た。得られた単結晶をX線結晶学分析を通じて分子構造を究明した(
図1)。Anal.Calcd for C
40H
32BCrF
20O
4(1090.37g mol
−1):C 44.1,H 2.96,O 5.88%.Found:C 43.8,H 3.22,7.94%.
【0091】
実施例3:化学式2Aのクロム化合物の製造
【0092】
[化学式2A]
[{(iPr)N(PPh
2)
2}CrCl
2(CH
3CN)
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0093】
製造例2で製造されたN−(ジフェニルホスフィノ)−N−イソプロピル−1,1−ジフェニルホスフィノアミン(0.089g、0.208mmol)をジクロロメタン(0.5mL)に溶解させた後、実施例1で製造された化学式1Aの[CrCl
2(CH
3CN)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−(0.200g、0.207mmol)が溶解しているジクロロメタン(1.5mL)溶液にゆっくり投入した。3時間の間撹拌して反応させた後、溶媒を真空減圧して除去して、青緑色残余物を得た。得られた残余物にメチルシクロヘキサンを投入した後、1〜2時間強く撹拌して、粉末化(trituration)させた。これを濾過して、前記化学式2Aで表される化合物を青緑色粉末型の固体状で収得した(0.254g、94%)。得られた化合物をCD
2Cl
2に溶解して測定した
1H NMRスペクトルで(iPr)N(PPh
2)
2に該当するシグナルが正常な様相で観察されないことから、(iPr)N(PPh
2)
2リガンドが常磁性(paramagnetic)のCr(III)に配位していることを確認することができた。Anal.Calcd for C
55H
33BCl
2CrF
20N
3P
2(1311.51g mol
−1):C 50.37,H 2.54,N 3.20%.Found:C 49.49,H 3.43,N 2.06%.得られた化合物を取ってTHFに溶かした後、直ちに真空減圧して溶媒を除去する作業を二回行って、配位されたアセトニトリルをTHFに置換した後、得られた化合物をジクロロメタンに溶かした後、ヘキサンを拡散させて単結晶を得た。得られた単結晶をX線結晶学分析を通じて分子構造を究明した(
図2)。
【0094】
実施例4:化学式2Bのクロム化合物の製造
【0095】
[化学式2B]
[{[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2}CrCl
2(NCCH
3)
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0096】
製造例1で製造された[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2(0.023g、0.026mmol)をジクロロメタン(0.5mL)に溶解させた後、実施例1で製造された化学式1Aの[CrCl
2(CH
3CN)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−(0.050g、0.052mmol)が溶解しているジクロロメタン(0.5mL)溶液にゆっくり投入した。3時間の間撹拌して反応させた後、溶媒を真空減圧して除去して、青緑色残余物を得た。残余物を再びジクロロメタンに溶解させた後、真空減圧して溶媒を除去して、残っているアセトニトリルを完全に除去した。メチルシクロヘキサン(8mL)を投入した後、50℃程度に加熱して産物を溶解させた後、セライトを活用して濾過して、過量で投入した不溶の[CrCl
2(CH
3CN)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−を除去した。濾過液を取って、真空減圧して溶媒を除去して、緑色固体状化合物を収得した(0.032g、収率70)。得られた化合物をC
6D
6に溶解して測定した
1H NMRスペクトルで[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2に該当するシグナルが正常な様相で観察されないことから、リガンドが常磁性(paramagnetic)のCr(III)に配位していることを確認することができた。Anal.Calcd for C
87H
97BCl
2CrF
20N
3P
2(1760.38g mol
−1):C 59.36,H 5.55,N 2.39%.Found C 59.69,H 7.06,N 1.44%.
【0097】
実施例5:化学式2Cのクロム化合物の製造
【0098】
[化学式2C]
[{[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2}Cr(CH
2C
6H
4NMe
2)
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0099】
[H(Et
2O)
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−(0.055mg、0.0660mmol)が溶解しているジクロロメタン(0.5mL)溶液を(o−Me
2NC
6H
4CH
2)
3Cr(III)が(0.030g、0.066mmol)が溶解しているジクロロメタン(0.3mL)溶液に投入した後、1時間の間撹拌した。色は、赤色から紫色に変化した。製造例1で製造された[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2リガンド(0.058g、0.066mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解させた後、前記1時間反応した溶液に追加投入した。12時間常温で撹拌して反応させたとき、紫色がゆっくり緑色に変化した。真空減圧して溶媒を除去した後、得られた残余物を無水ジクロロメタンに再び溶解させた後、真空減圧して溶媒を除去して、副産物として生成されるアセトニトリルを徹底的に除去した。メチルシクロヘキサン(8mL)を投入した後、50℃程度に加熱して産物を溶解させた後、セライトを活用して濾過した。濾過液を取って、真空減圧して溶媒を除去して、緑色固体状化合物を収得した(0.043g、収率35%)。得られた化合物をC
6D
6に溶解して測定した
1H NMRスペクトルで[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2に該当するシグナルが正常な様相で観察されないことから、リガンドが常磁性(paramagnetic)のCr(III)に配位していることを確認することができた。
【0100】
実施例6:クロロベンゼン溶媒で化学式2Aの化合物およびMe
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
ドライボックス内で高圧反応器にクロロベンゼン(19mL)とMe
3Al(10.8 mg、0.150mmol)を投入した後、ドライボックスの外に取り出して温度を60℃に上げた。前記実施例3で製造した化学式2Aのクロム化合物(2.0mg、0.0015mmol)をクロロベンゼン(0.5mL)に溶解させた後、Me
3Al(22mg、0.300mmol)を添加し、全体溶液が1mLになるように、触媒溶液を製造した。5分間クロム化合物とアルミニウム化合物Me
3Alを反応させて活性化した触媒種を生成した後、これを注射器で取って反応器に注入した後、30barの圧力でエチレンを注入して、75℃で30分間重合した。氷を使用して反応器の温度を低減した後、エチレンガスを開弁して除去し、エタノール(2mL)と10%塩酸水溶液(2mL)を入れて反応を終結した。気体クロマトグラフィー分析のために、ノナンをスタンダードで定量して(〜700mg)投入した後、一部のサンプルを取って、GC分析を通じて生成物を定量分析した。また、形成された高分子は、濾過を通じて分離して、真空オーブンで乾燥して質量を測定した。オリゴマー化結果を下記表1および表2に整理して示した。
【0101】
実施例7:クロロベンゼン溶媒で化学式2Aの化合物およびEt
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
Me
3Alの代わりにEt
3Alを使用し、触媒活性化(化学式2Aの化合物とEt
3Alの反応)時間を1時間に増やしたことを除いて、実施例6と同じ方法および条件で行った。
【0102】
実施例8:クロロベンゼン溶媒で化学式2Aの化合物および(iBu)
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
Me
3Alの代わりに(iBu)
3Alを使用し、触媒活性化(化学式2Aの化合物と(iBu)
3Alの反応)時間を1時間に増やしたことを除いて、実施例6と同じ方法および条件で行った。
【0103】
実施例9:クロロベンゼン溶媒で化学式2Bの化合物およびMe
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
化学式2Aで表されるクロム化合物の代わりに、化学式2Bで表されるクロム化合物を使用したことを除いて、実施例6と同じ方法および条件で行った。
【0104】
実施例10:メチルシクロヘキサンで化学式2Bの化合物および(iBu)
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
ドライボックス内で高圧反応器にメチルシクロヘキサン(19mL)とiBu
3Al(20mg、0.100mmol)を投入した後、ドライボックスの外に取り出して温度を40℃に上げた。前記実施例4で製造した化学式2Bのクロム化合物(2.6mg、0.0015mmol)をメチルシクロヘキサン(1mL)に分散させた後、注射器で取って反応器に注入した後、30barの圧力でエチレンを注入して、45℃で30分間重合した。実施例6と同じ方法で反応を終結し、生成物を分析した。
【0105】
実施例11:メチルシクロヘキサンで化学式2Bの化合物およびEt
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
(iBu)
3Alの代わりにEt
3Alを使用したことを除いて、実施例10と同じ方法および条件で行った。
【0106】
実施例12:メチルシクロヘキサンで化学式2Bの化合物および(Octyl)
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
(iBu)
3Alの代わりに(Octyl)
3Alを使用したことを除いて、実施例10と同じ方法および条件で行った。
【0107】
実施例13:メチルシクロヘキサンで化学式2Cの化合物および(iBu)
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
化学式2Bで表される化合物の代わりに化学式2Cで表される化合物を使用したことを除いて、実施例10と同じ方法および条件で行った。
【0108】
実施例14:メチルシクロヘキサンで化学式2Bの化合物および(iBu)
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
(iBu)
3Alの量を0.10mmolから0.45mmolに増加させ、エチレン圧力を30barから45barに増加させ、反応温度を45℃から35℃に下げたことを除いて、実施例10と同じ方法および条件で行った。
【0109】
実施例15:シクロヘキセン(C
6H
10)で化学式2Bの化合物およびEt
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応(1)
具体的に、ドライボックス内で高圧反応器にシクロヘキセン(C
6H
10)(19mL)とEt
3Al(170mg、0.450mmol)を投入した後、ドライボックスの外に取り出して温度を35℃に上げた。実施例4で製造した[{[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2}CrCl
2(NCCH
3)
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−をシクロヘキセン(C
6H
10)(1mL)に分散させて、注射器で取って反応器に注入した後、45barの圧力でエチレンを注入して、45℃で30分間重合した。実施例1と同じ方法で反応を終結し、生成物を分析した。氷を使用して反応器の温度を下げた後、エチレンガスを開弁して除去し、エタノール(2mL)と10%塩酸水溶液(2mL)を入れて反応を終結した。気体クロマトグラフィー分析のために、ノナンをスタンダードで定量して(〜700mg)投入した後、一部のサンプルを取って、GC分析を通じて生成物を定量分析した。また、形成された高分子は、濾過を通じて分離して、真空オーブンで乾燥して質量を測定した。
【0110】
実施例16:シクロヘキセン(C
6H
10)で化学式2Bの化合物およびEt
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応(2)
具体的に、反応時間を1時間に増やしたことを除いて、実施例15と同じ方法で行った。
【0111】
実施例17:シクロヘキセン(C
6H
10)で化学式2Bの化合物および(iBu)
3Alから構成された触媒システムを利用したエチレンオリゴマー化反応
具体的に、Et
3Alの代わりに(iBu)
3Alを使用したことを除いて、実施例15と同じ方法で行った。
【0112】
比較例1:クロロベンゼンでMAOを使用したエチレンオリゴマー化反応
ドライボックス内で高圧反応器にクロロベンゼン(19mL)とMAO(modified−MAO、Akzo−Nobel社製品、7wt%−Al、170mg、0.450mmol)を投入した後、ドライボックスの外に取り出して温度を60℃に上げた。(iPrN(PPh
2)
2)CrCl
3(2.0mg、0.0015mmol)をクロロベンゼン(1mL)に溶解させて、注射器で取って反応器に注入した後、30barの圧力でエチレンを注入して、75℃で30分間重合した。実施例1と同じ方法で反応を終結し、生成物を分析した。
【0113】
比較例2:メチルシクロヘキサンでMAOを使用したエチレンオリゴマー化反応
反応溶媒としてクロロベンゼンの代わりにメチルシクロヘキサンを使用することを除いて、比較例1と同じ方法および条件で行った。
【0114】
比較例3:メチルシクロヘキサンでMAOを使用したエチレンオリゴマー化反応
反応溶媒としてクロロベンゼンの代わりにメチルシクロヘキサンを使用し、(iPrN(PPh
2)
2)CrCl
3の代わりにiPrN(PPh
2)
2(0.0015mmol)とCr(acac)
3(0.0015mmol)の混合物を反応器に投入したことを除いて、比較例1と同じ方法および条件で行った。
【0115】
実施例6〜17および比較例1〜4で使用された溶媒、クロム化合物および有機アルミニウム化合物の種類を下記表1に表示した。
【0117】
実施例6〜17および比較例1〜4のオレフィン重合反応の活性、および製造された重合体の組成を下記表2に示した。
【0119】
a)単位:Kg(生成物の総量)/g(触媒(Cr))/hr
b)メチルシクロペンタン+メチレンシクロペンタン
c)Organometallics 2007,26,1108:非特許文献7
【0120】
前記表2の結果から明らかように、本発明の化学式2で表されるクロム化合物を利用した実施例6〜17のオレフィン重合は、高価なMAOの使用を省略し、有機アルミニウム化合物の含量を低減しながらも、高価なMAOを多量で含む比較例1〜3と類似した水準の高活性、1−ヘキセンおよび1−オクテンに対する選択性および副産物であるポリエチレンの低減する効果を具現することを確認した。
【0121】
特に、エチレン単量体およびクロム触媒システムをシクロヘキセン(cyclohexene)溶媒で接触させて1−オクテンおよび1−ヘキセンを製造した実施例15〜17の触媒活性に優れているながらも、副産物であるC10以上成分およびPE生成が少なく、1−ヘキセン生成量および1−オクテン生成量が増加することを確認した。
【0122】
他方で、比較例1〜3は、本発明の実施例と類似した水準の高活性、1−ヘキセンおよび1−オクテンに対する選択性および副産物であるポリエチレンの低減する効果を具現するために、高価なMAOを多量で含まなければならなかった。
【0123】
また、比較例4は、従来の文献(Organometallics 2007,26,1108:非特許文献7)に報告されたメタロセン系ポリオレフィン触媒システムを模倣してbis(phosphine)/CrCl
3/[Ph
3C]
+[B(C
6F
5)
4]
−(1eq)/Et
3Al(またはiBu
3Al)触媒システムが試みられたが、高活性を具現するのに失敗し、また、副産物としてポリエチレンが多く生成された。
【0124】
本発明の単純な変形乃至変更は、この分野における通常の知識を有する者によって容易に実施され得、このような変形や変更は、全部本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。