特許第6806980号(P6806980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6806980発明能力評価システム、ならびにそれらを用いた発明能力者ネットワークシステム、アイデア情報マーケットシステム、アイデアノート管理システム、発明能力評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6806980
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】発明能力評価システム、ならびにそれらを用いた発明能力者ネットワークシステム、アイデア情報マーケットシステム、アイデアノート管理システム、発明能力評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20201221BHJP
【FI】
   G06Q10/10 320
【請求項の数】7
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-49252(P2017-49252)
(22)【出願日】2017年3月14日
(65)【公開番号】特開2018-124953(P2018-124953A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2020年1月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-16519(P2017-16519)
(32)【優先日】2017年2月1日
(33)【優先権主張国】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】711012811
【氏名又は名称】PatentIsland株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久野敦司
(72)【発明者】
【氏名】久野典枝
(72)【発明者】
【氏名】津谷陽子
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−199231(JP,A)
【文献】 特開2003−006464(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/118861(WO,A1)
【文献】 特開2003−141383(JP,A)
【文献】 特開2002−366645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発明能力評価の対象者に対して発明発想の起点となるべき情報である起点情報を提供する起点情報提供手段と、
前記起点情報を用いて前記対象者が創作したアイデア情報を受け取り,所定の評価方式にて評価してアイデア情報評価値を生成するアイデア情報評価手段と、
前記アイデア情報評価値と,発明創造モデルにおいて起点情報の種類ごとに与えられる評価値である起点情報評価値を含む入力を用いて発明能力の評価値を算出する評価値算出手段と
を備える
発明能力評価システム。
【請求項2】
評価値算出手段は、アイデア情報評価値と,発明創造モデルでの上位の起点情報ほど高い評価値となる起点情報評価値を含む入力を用いて発明能力の評価値を算出するものである事を特徴とする請求項1に記載の
発明能力評価システム。
【請求項3】
評価値算出手段は、アイデア情報評価値と,発明創造モデルにおいて起点情報の種類ごと
に与えられる評価値である起点情報評価値と,発明能力評価の対象者が起点情報を提供さ
れてからアイデア情報を創作するまでの時間の情報を含む入力を用いて発明能力の評価値を算出するものである事を特徴とする
請求項1に記載の
発明能力評価システム。
【請求項4】
請求項1に記載の発明能力評価システムと、
前記発明能力評価システムによって算出された発明能力の評価値が所定レベル以上の値を
有する発明能力者が通信ネットワークを介して相互に通信できる発明能力者ネットワーク と、
前記発明能力者ネットワークに起点情報を流通させることで1以上の発明能力者の連携に
よって,発明創造モデルに基づいて起点情報から発明情報を創造するように発明能力者ネ ットワークを制御する制御手段と、
を備える
発明能力者ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の発明能力評価システムと、
前記発明能力評価システムによって算出された発明能力の評価値のレベルについての,ア イデア情報の提供をすべき対象者が有すべき値の希望条件と,起点情報とを含むアイデア
提供要求を,要求者から受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受け付けたアイデア提供要求に適合する発明能力者に対して前記起点情報を与えて,その起点情報をもとにしたアイデア情報の創作を当該の発明能力者に依頼する 発明依頼手段と、
前記発明依頼手段による依頼に応答して創作されたアイデア情報を前記の要求者に提供するアイデア情報提供手段と
を備える
アイデア情報マーケットシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の発明能力評価システムと、
前記発明能力評価システムによる発明能力の評価値の算出に利用可能に、起点情報を含む情報を発明創造モデルに基づいて配列したデータである事を特徴とするアイデアシートの1件以上からなるアイデアノートと、
前記アイデアノートから,発明情報が未記入のアイデアシートを発明発想の支援対象者に
提供するアイデアノート管理手段と
を備える
アイデアノート管理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
発明能力評価の対象者に対して発明発想の起点となるべき情報である起点情報を提供し、前記起点情報を用いて前記対象者が創作したアイデア情報を受け取り、
受け取った前記アイデア情報を所定の評価方式にて評価してアイデア情報評価値を生成し

前記アイデア情報評価値と,発明創造モデルにおいて起点情報の種類ごとに与えられる評価値である起点情報評価値を含む入力を用いて発明能力の評価値を算出する
発明能力評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別の自然人または個別の人工知能または自然人の個別グループまたは人工知能の個別グループまたは自然人と人工知能をメンバーとする個別グループの、発明能力の評価と、その応用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
第4次産業革命の進展に伴い、IoT(Internet of Things)や人工知能やロボットや3Dプリンタが、社会の様々な分野に浸透しようとしている。日本国政府やアメリカ合衆国政府をはじめとして、各国政府も積極的に第4次産業革命を進展させることで、自国の産業を発展させようとしている。

これらの動きによって、人間が担っていた多くの知的労働が、人工知能やロボットなどに、必然的に移転していく。
また、マズローの欲求5段階説に示されているように、人間には最高段階の欲求として、自己実現や創造の欲求がある。

第4次産業革命の進展や人間の欲求段階の向上の結果、人間が担うべき労働は、創造性をより大きく必要とする分野のものに移行していく。創造性をより大きく必要とする分野としては、科学・技術および商品・サービスの研究開発の分野,芸術分野,対人コミュニケーションの分野,経営や行政や軍事や政治における戦略企画分野などがある。

このような動向は、科学・技術および商品・サービスの研究開発の分野での創造の中心である発明を実行する能力(発明能力)の強化・育成の必要性や、発明能力の高い人や人工知能の選抜の必要性の増大をもたらす。

発明能力の強化・育成や、発明能力の高い人や人工知能の選抜を、適切に行なうためには、客観的な発明能力評価によって得られる評価値を管理指標として用いて、発明能力の強化・育成のプロセスや、発明能力の高い人や人工知能の選抜のプロセスを適切に管理することが必要となる。
【0003】
このような管理をするための発明能力評価を現実に実行するためには、次の条件1から条件3の全部を同時に満足することが必要である。
条件1: 発明能力評価の結果を用いて行なう活動(例:発明能力の強化・育成の活動、発明活動)の1回の実行時間に比較して、妥当な範囲の時間内に発明能力評価を実行できること。
条件2: 発明能力評価の費用が、発明能力評価の結果を用いて行なう活動(例:発明能力の強化・育成の活動、発明活動)の1回の費用に比較して、妥当な範囲内であること。
条件3: 請求項として発明を表現できる前の段階(例: 従来技術の問題点の抽出や、問題点の原因の把握や、原因に基づいて解決しようとする課題の設定や、課題の解決手段の本質作用の創造などの段階)までしか到達していなくても、発明能力評価ができること。
【0004】
すなわち、現実的に利用可能な管理指標を提供する発明能力評価が今後、必要となる。
発明能力評価の方法の参考となりそうな従来技術としては、次に紹介するものがある。
【0005】
●非特許文献1について:
非特許文献1は、発明および技術開発における創造に関する日本を代表する体系的書籍であり、等価変換創造理論を中心に構成している。特に、その第1章では、「創造的な活動に適した人間頭脳の特徴」と「開発技術者が有すべき人間的条件」の節が、発明能力評価の観点からは重要である。
「創造的活動に適した人間頭脳の特徴」の節で、第29ページから第30ページにおいて、人間の脳における蓄積情報の呼び出し作業のやり方を次の3パターンに分類しており、発明能力評価の方法の参考となる。
第1パターンでは、記憶の中に取り入れられてきたあらゆる情報を、時間順序に従って、機械的に未加工のままで記録しておき、何かの偶発的な情報刺激が契機となって、それに結びついた記憶が時間順序に従って再生するというパターンである。
第2パターンでは、取り入れられた個々の情報を、そのままの形で頭脳の中に記録しておくのではなく、いわゆる概念化手法によって、より抽象度の高い、一般性のある情報に加工しておいて、これを改めてステップ・バイ・ステップに、ピラミッド状に組み上げておくやり方である。既成の知的体系を、その枠内で想起したり、応用したりするという場合に、比較を許さないほどの高性能が現れてくる。しかし、創造的な内容をもった情報は、一般的にいって、何も出てきようがない。
第3パターンでは、第2パターンにみられたように、外から取り入れられた情報は、おおむねピラミッド型の階層構造を形造らせておくのである。けれども、取り入れ情報から抽象されたピラミッド体制の上層ステージは、第2パターンにみられたように、上下の縦の方向の探索ルートに対して意味をもつだけでなく、内容の制約や個々の情報の持つ特殊性を乗り越えて、それぞれの上層ステージの相互間を、横移動することのできる、いま一つの情報探索ルートが設けられているのである。これまでの分類のカテゴリーからは到底関連性をもちそうもないものの間に、任意の思考観点を媒介として、両者が自由に行き来することの出来るような、等価性を手蔓にした新しい思考ルートをもったパターンである。すでに取り入れた知的経験の原則や制約を乗り越えた、自由な発想(情報処理活動)が生産される可能性をもったパターンである。

さらに、「開発技術者が有すべき人間的条件」では、創造的人間の概要を次の9項目で列挙しており、発明能力評価の方法の参考となる。
(1) 労働における高い自発性。(主体性の確立)
(2) 新しい視野からものをみる。(観点の変革、あるいは、観点の自由さ)
(3) ものごとの枝葉末節でなく根本を掴む。(本質の把握)
(4) ロングスケールでものをみる。(大局的な観点)
(5) 時代の流れに対する感受性。(優れた時代感覚)
(6) 現状にあきたらない精神。(創造的ロマンティシズム)
(7) 権威にこだわらない。(非権威主義)
(8) 新しさへの憧憬。(強い好奇心)
(9) 仕事に対する熱中性と持続性。(いわゆる根性)

また、第1章の中の「創造工学理論としての等価変換理論への道」の節では、「逆にいうと、この一定の観点に立って抽象作業を行わなかったり、あるいは不十分な廃棄のままで、ヒントをアイデア化してゆく場合に、典型的な模倣的思考としてのアナロジー的思考に陥ってゆくのである。ここに、漠然とアナロジーという名で呼ばれている情報処理作業に特有な自家撞着が潜んでいるのである。」として、発明発想方法としてのアナロジー思考の欠点と、それを克服した等価変換理論の優位性を説明している。
そして、第4章の中の「思考プログラムとしての等価変換思考流れ図の内容(E.T Thinking Flow Chart)略してE・T線図という」では、次のような思考手順を本流とし、その周囲に分岐やフィードバックの手順を配置したものとなっている。
(1)‘ :問題を生み出した経験もしくは対象
(1) :問題の提起(目標の設定)
(2) :目標実現のための本質的側面の抽出による観点の確立
(3) :抽出された問題解決の本質機能
(4) :抽出された問題解決の本質機能を念頭において、出発系の群の中から性能の良さそうな事象を大局的見地から選択する。
(5) :選択された出発系
(6) :選択された出発系を詳細に分析、一般性のある限定条件を確認する
(7) :問題解決の本質機能と限定条件の組
(8) :問題解決の本質機能と限定条件の組に対して、選定された系の特殊化的条件群を、各種の角度から組合わせる
(9) :目標との一致の度合いを検定
(10) :目標を満足する到達系の創造
【0006】
●非特許文献2について:
非特許文献2は、Triz(発明的問題解決の理論)の全体を詳しく説明するとともに、創造的な思考法を体系的に記述したものとなっている。第2章では、体系的創造性プロセスは、(1)問題を定義するステップ、(2)ツールを選択するステップ、(3)解決策を生成するステップ、(4)解決策を評価するステップの4つのステップからなるとしている。第3章では、Trizが提供する体系的創造性プロセスは、「特定の問題」を「TRIZの一般化した問題」に変換し、その問題を解決する「TRIZの一般化した解決策」を生成し、「TRIZの一般化した解決策」を、「特定の解決策」に変換するというプロセスであるとしている。しかし、「TRIZの一般化した解決策」を、「特定の解決策」に変換することは、一般的方法では困難なので、問題/機会の状況の種類ごとに、その状況に適切な多様な種類の問題解決ツールを提供している。そして、第9章の表9.1では、ツール選択の要約表を示している。
非特許文献2では、発明能力評価の方法についての直接的な記述は存在していないが、Trizを学び実践することで発明能力が向上するという前提があるように思われる。
【0007】
●非特許文献3について:
非特許文献3には、主人公の少年であるアツシが小学3年生の頃から中学生となり高校生となりさらには大学生を経て社会人となっていく過程で発明能力が向上していく様子と、そのような発明能力向上のための鍛錬の具体的な描写が記述されている。さらには、発明発想技法が体系的に詳しく説明されている。しかし、発明能力評価の方法の具体的記述は無い。
【0008】
●非特許文献4では、請求項を簡易に分析して、構成要素に分解するとともに、構成要素間の結合関係などの情報と、請求項の評価値を提供するように構成している。さらに、この非特許文献4において、「ページのソースを表示」をすると、JavaScript(登録商標)というプログラミング言語によるソースコードが表示される。それには、1つの請求項の文字列を分析して、構成要素に分解するとともに、構成要素間の結合関係と請求項の評価値も検出する技術が示されている。
【0009】
●非特許文献5では、独立項形式の請求項の文字列分析によって、請求項を構成要素に自動的に分解し、構成要素間の入出力関係も分析した結果を用いて、請求項の評価値を算出するアルゴリズムが示されている。評価値の算出に用いる特徴量および、前記アルゴリズムは、次のとおりである。
p1:構成要素の個数
p2:最大の文字列長を持った構成要素における文字列長
p3:孤立要素数
p4:終端要素数
p5:連結部分グラフの個数
p6:中間要素数

これらの特徴量を用いて減点部分の計算をします。

mscore1 = max(p1-5,0)*2; // 構成要素数が5個を越えている個数を減点対象とする。
mscore2 = max(p2-50,0)*0.2; // 50文字を越える構成要素の存在を減点対象とする。
mscore3 = p3*10; // 孤立要素の個数に比例した減点をする。
mscore3 = mscore3+max(p4-1,0)*20; // 2個以上の終端要素による減点を付け加える。
mscore3 = mscore3+max(p5-1,0)*20+max(p6-3,0)*5; // 2個以上の連結部分グラフと、4個以上の中間要素による減点を付け加える。

表層分析による総合評価値を算出します。
totalscore = max(100 - mscore1-mscore2-mscore3,0); // 100点満点から減点部分を差し引くが、最低点は0点とする。
【0010】
●特許文献1について:
特許文献1は、特許権の評価値を用いて個々の発明者の発明能力評価をするための具体的方法を0078 欄にて、説明をしている。
0078欄: 発明者評価部136は、技術評価累計値を変数とする発明者評価関数(IF:Inventor valuation Function)により、発明者評価値を算出する。技術評価累計値は技術評価値に基づいて算出されるため、発明者評価関数(IF)は技術評価値を変数とする関数であるともいえる。発明者(ID:1)の場合、技術評価累計値群(147、202、180、・・・、37)に基づいて発明者(ID:1)の発明者評価値(=74)が算出される。
0075欄には、「 技術評価累計値とは、発明者の過去の特許権等から算出された技術評価値の累計値である。」との説明もある。
【0011】
●特許文献2について:
特許文献2は、発明を創作する人工知能の仕組みを説明している。その仕組みは、次のステップで発明が行なわれるという仮説(発明原理)に基づいている。しかし、発明能力評価の方法についての記述は無い。
第一ステップ
新しい機能を有する装置の、あるべき、換言すれば所要の入力と出力とを想定する。
第二ステップ
あるべき入力と出力とを集中的に思考することにより、人間の右脳内に、その入力と出力との関係をシミュレーション実行する場が一時的に自己組織化される。この場を感性場と名付け、感性場は右脳内のニューロン間結合であるシナプスの結合強度係数(シナプス荷重)が空間的に分布したものであり、これは情報処理機能を表現する。
第三ステップ
右脳内の感性場以外の部分は感性場を認識対象のパターンとしてパターン認識を行う。
第四ステップ
感性場の局所の部分パターンに対して既知の基本機能ブロックの分布のなかで、最も類似している既知の基本機能ブロックのパターンをそこに強制的に当てはめて感性場の局所の部分パターンをその類似の基本機能ブロックのパターンに置き換える。そして第二ステップに戻り、再度、自己組織化を実行する。この結果、感性場が既知の既知の基本機能ブロックの組合せにより表現されたならば、新機能装置の創作が完了したことになる。
【0012】
特許文献1は、発明が特許権として登録された後に、登録特許を評価した結果を用いて、その発明の発明者の発明能力評価をしている。この方法では、特許庁での審査結果が出るまでの時間が最低でも必要となるので、先に述べた条件1を満足しない。出願費用や審査請求費用や中間処理の費用まで考えると、場合によっては先に述べた条件2も満足しない可能性が高い。

非特許文献1,非特許文献2,非特許文献3,特許文献2には、発明発想の思考手順や、発明発想をすることのできるシステムの仕組みの記述があるが、発明能力評価の方法の記述は無い。
非特許文献4,非特許文献5では、請求項の構造分析と請求項の評価値算出の技術を示しているが、発明能力評価の方法についての記述は無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2015−187883号公報
【特許文献2】特許第3275311号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】市川亀久彌 著「創造工学 ‐等価変換創造理論の技術開発分野への導入とその成果‐」株式会社ラティス発行、1977年12月25日(創造工学(オンデマンド版)市川美智子 2005年11月25日発行より)
【非特許文献2】原著者:Darrell Mann,監訳:中川 徹,翻訳:知識創造研究グループ、「Triz 実践と効用 (1) 体系的技術革新」、2004年6月30日初版発行、発行者:堀田政利、発行所:株式会社 創造開発イニシアチブ
【非特許文献3】久野敦司 著「発明少年・Z 〜アイデアノートを使った発明能力鍛練法〜」 株式会社パレード発行、2016 年12 月1 日
【非特許文献4】久野敦司、PCML Open Editor Ver 0.21[online]、2007 年12月3日、久野敦司、[2017年1月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.patentisland.com/pcml_open_editor.html〉
【非特許文献5】久野敦司、PCML Open Editor の使用方法に関するHelpファイル、[online]、2008 年1月18日、久野敦司、[2017年1月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.patentisland.com/pcml_open_editor_help.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術では、発明能力の強化・育成や、発明能力の高い人や人工知能の選抜を、適切に行なうための管理指標として使用可能な、発明能力評価値を作成することができなかった。
【0016】
本発明で解決しようとする課題は、次の条件1から条件3の全部を同時に満足する客観的な発明能力評価の手段を提供することである。
条件1: 発明能力評価の結果を用いて行なう活動(例:発明能力の強化・育成の活動、発明活動)の1回の実行時間に比較して、妥当な範囲の時間内に発明能力評価を実行できること。
条件2: 発明能力評価の費用が、発明能力評価の結果を用いて行なう活動(例:発明能力の強化・育成の活動、発明活動)の1回の費用に比較して、妥当な範囲内であること。
条件3: 請求項として発明を表現できる前の段階(例:従来技術の問題点の抽出や、問題点の原因の把握や、原因に基づいて解決しようとする課題の設定や、課題の解決手段の本質作用の創造などの段階)までしか到達していなくても、発明能力評価ができること。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の課題の解決手段としての発明能力評価の手段を説明する前に、一般論として能力評価手段を検討する。
【0018】
●能力評価の一般的検討
能力評価手段として、次に示すE1〜E4の4種類が有り得ると考える。
E1: 能力発揮の成果物の評価値を用いて、能力発揮主体の評価を行なう。
E2: 能力発揮主体の内部の仕組みおよび外部との連携の仕組みの評価値を用いて、能力発揮主体の評価を行なう。
(注)「仕組み」とは、物の結合関係や処理の実行順序の両方を意味している。すなわち、機能の時空間内の結合構造を意味する。
E3: 能力発揮の成果物が一定の水準以上であるという前提が成り立っている範囲内において、能力発揮のために、能力発揮主体に対して外部から与えられた入力(例:時間,情報,エネルギー,労力)の種類や量に基づいて、能力発揮主体の評価を行なう。
E4: 能力発揮の方法を記述した知識を記憶している範囲が広いほど、能力発揮主体の評価値を高く評価する。
【0019】
E1による能力評価に要する時間とコストが妥当なレベルならば、E1による能力評価が最も良いと考える。
E2による能力評価は、評価者側が認識している最良の仕組みに合致する度合いを用いて、能力評価を行なうことになるので、評価者側認識している仕組みとは異なる仕組みで、価値ある成果物をもたらす仕組みを適切には評価できないことになる。
しかも、能力発揮主体の内部の仕組みを評価者側が知ることは、一般的には大変に困難である。特に、頭脳の中の仕組みを知ることは、能力発揮主体の自己申告による以外には現実的な方法が現時点では無い。能力評価を受ける側の自己申告を能力評価に用いることは、信頼性の問題もあり、能力の主観的な自己評価の目的には使用できるが、客観的評価には使用困難である。
E3による能力評価は、E1の派生形である。妥当なレベル以下の時間とコストの使用の範囲で能力発揮の成果物をE1の方法で粗く評価し、成果物の評価値が一定の水準以上であるならば、能力発揮主体に対して外部から与えられた入力(例:時間,情報,エネルギー,労力)の種類や量に基づいて、能力発揮主体の評価を行なう。外部から与えられた入力の種類や量は、客観的に特定できるので、低いコストと短い時間での信頼性と客観性のある評価を行ないやすいと言える。
E4による能力評価は、能力発揮の方法の知識があっても知識を使えていなければ能力が低いという事実を克服できないという問題がある。
【0020】
●発明能力評価の検討
発明能力評価において、特許文献1が前記のE1に該当するが、発明能力評価に必要な条件である前述の条件1および条件2を満足しないので、特許文献1の方法は使用できない。
発明能力評価において、特許文献2,非特許文献1,非特許文献2,非特許文献3は、前記のE2に該当するので、これらは、発明能力の主観的な自己評価による自己鍛錬の目的には利用できるが、客観的な評価のためには利用が困難であり、本発明が解決しようとしている課題の解決には利用できない。非特許文献4,非特許文献5による技術は請求項で示される発明の表層的な評価をするものであるが、発明能力評価の技術を示すものではないし、前述の条件3を満足しない。E4による発明能力評価では、知識はあっても発明をしたことの無い者を、発明を多くしているが知識を持っていない者よりも高く評価してしまうという不合理な結果をもたらす場合があるため、使用できない。
特許出願の審査は特許請求の範囲に記載の発明を対象に行なわれる。
「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と、特許法第70条で規定されているからである。
しかし、発明能力の発揮は、特許請求の範囲での記述の対象となる発明の創作の段階だけで行なわれるのではない。
例えば、「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」,「理想状態からみた従来技術の問題点」,「問題点の原因」,「原因に基づいて解決しようとする課題」,「課題解決手段をみつける観点」,「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」という種類の情報を創作する各段階での活動も、発明能力を発揮する活動である。
これらの情報は、請求項として表現された発明情報の創作の前段階として創作されることが多い「発明中間情報」である。発明中間情報の創作の段階までしか到達していない場合であっても、その創作者の発明能力を評価できる必要がある。
したがって、E3に基づいた、次に示すような解決手段によって、発明能力を評価する。
【0021】
課題を解決するための手段は、 発明能力評価の対象者に対して発明発想の起点となるべき情報である起点情報を提供する 起点情報提供手段と、 前記起点情報を用いて前記対象者が創作したアイデア情報を受け取り,所定の評価方式にて評価してアイデア情報評価値を生成するアイデア情報評価手段と、 前記アイデア情報評価値と,発明創造モデルにおいて起点情報の種類ごとに与えられる評 価値である起点情報評価値を含む入力を用いて発明能力の評価値を算出する評価値算出手 段とを備える 発明能力評価システムである。
【0022】
この構成によれば、発明能力評価の対象者は、与えられた起点情報をもとに発明能力を発揮してアイデア情報を提供すれば、発明能力の評価値が生成されるので、対象者にとって簡単に発明能力評価値が得られる。
また、発明能力評価をする側にとっては、発明能力評価の対象者から受け取ったアイデア情報だけで発明能力評価をするのではなく、その対象者に提供して発明能力の発揮に利用された起点情報という客観的な情報も用いて発明能力の評価値を算出するので、次のような効果が得られる。

1: 発明能力評価の結果を用いて行なう活動(例:発明能力の強化・育成の活動、発明活動)の1回の実行時間に比較して、妥当な範囲の時間内に発明能力評価を実行できること。
2: 発明能力評価の費用が、発明能力評価の結果を用いて行なう活動(例:発明能力の強化・育成の活動、発明活動)の1回の費用に比較して、妥当な範囲内であること。
3: 請求項として発明を表現できる前の段階(従来技術の問題点の抽出や、問題点の原因の把握や、原因に基づいて解決しようとする課題の設定や、課題の解決手段の本質作用の創造などの段階)までしか到達していなくても、発明能力評価ができること。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、アイデア情報の評価値と、アイデア情報の創作に用いた起点情報を用いて発明能力評価をするので、前記した条件1から条件3の全部を満足することができる。その結果、発明能力の強化・育成のプロセスや、発明能力の高い人や人工知能の選抜のプロセスを、発明能力評価値を用いて適切に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】発明能力評価システム(以下、簡単のためにELSIAと記載する)全体システムの構成図
図2】ELSIA端末のELSIA機能の内部構成図
図3】Idea Sheetのフォーマット
図4】アイデアシート分析ユニットの内部構成
図5】発明能力評価ユニットの内部構成
図6】アイデア情報マーケットの機能構造図
図7】店舗などのポータルでの顧客コミュニケーションシステムの機能構成図
図8】発明能力評価システムの第2の形態
図9】発明能力評価システムの第3の形態
図10】多様な条件のもとで発明能力評価を行なって得た評価値を用いて発明能力の総合評価を行なう発明能力総合評価システム
図11】発明発想支援と発明能力評価とアイデアノート管理を行なう発明総合支援システム
図12】発明創造モデルに従って段階的にアイデアを練り上げるために使用するアイデアシートのフォーマット
図13】アイデアシートの記入例
図14】起点情報を与えられて発明情報を作成した発明能力評価の対象者について、発明評価システムの第2形態によって発明能力の総合評価を行なった場合の評価表
図15】起点情報を与えられて発明情報を作成した発明能力評価の対象者について、発明評価システムの第3形態によって発明能力の総合評価を行なった場合の評価表
図16】発明能力評価のために、対象者に提示される起点情報が「理想状態からみた従来技術の問題点」および、その上位の全起点情報であるアイデアシート
図17】発明能力評価のために、対象者に提示される起点情報が「解決手段をみつける観点」および、その上位の全起点情報である場合のアイデアシート
図18】(a)は、「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」の内容だけを記述した起点情報を記載したアイデアシートであり、(b)は(a)のアイデアシートに記載の起点情報をもとに、その上位の起点情報を創作するとともに、発明を創作して発明情報として記述したアイデアシートである。
図19】(c),(d)は、図18(b)のアイデアシートの「問題点の原因」以上の上位の起点情報を、起点情報として用いて創作した発明のアイデアシートである。
図20図18(a)の起点情報をもとに創作した図18(b)の発明、図18(b)のアイデアシートに記載の「問題点の原因」以上の上位の起点情報をもとに創作した図19(c)の発明と図19(d)の発明のそれぞれの発明行為をもとにした発明能力の総合評価を行なった場合の評価表
【発明を実施するための形態】
【0025】
課題を解決するための手段の欄でのべたように、発明を実施するための形態は、 発明能力評価の対象者に対して発明発想の起点となるべき情報である起点情報を提供する 起点情報提供手段と、 前記起点情報を用いて前記対象者が創作したアイデア情報を受け取り,所定の評価方式に て評価してアイデア情報評価値を生成するアイデア情報評価手段と、 前記アイデア情報評価値と,発明創造モデルにおいて起点情報の種類ごとに与えられる評
価値である起点情報評価値を含む入力を用いて発明能力の評価値を算出する評価値算出手段とを備える。

【0026】
この発明能力評価システムの構成要素と、構成要素間の結合と連携による発明能力評価システムの構造と、その構造の動的な挙動である発明能力評価システムの作用と、その作用による効果とについて、特定の実施例に限定されない事項を、できるだけ上位概念でしかも明確に説明する。
【0027】
●まず、用語の定義と説明を行なう。
「発明」とは、何らかの課題の解決手段として創作された技術的思想であり、特許要件を満足していなくてもよい。
「起点情報」とは、発明発想の起点となるべき情報であり、「起点情報の種別」と「起点情報の内容」からなる。起点情報の種別としては、例えば、後述の発明創造モデル1によるならば、「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」,「理想状態からみた従来技術の問題点」,「問題点の原因」,「原因に基づいて解決しようとする課題」,「課題解決手段をみつける観点」,「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」などが、これに該当する。「起点情報の種別」は、明示的に記述する場合もあるし、「起点情報の内容」の記述の位置や順番ごとに予め「起点情報の種別」を決めておくことで表現する場合もある。
「発明能力」とは、発明を創作する能力であり、発明発想の起点とすることの困難な情報(例:発明創造モデルでの上位の起点情報)から発明ができれば発明能力は高いと言えるし、一定時間内に多数の発明ができれば発明能力が高いと言えるし、多様な応用形態や実施形態や多様な進化形態を含む発明ができれば発明能力が高いと言える。
「発明能力評価の対象者」とは、発明能力の有無やレベルや種類の評価の対象となる者であり、個別の自然人または個別の人工知能または自然人の個別グループまたは人工知能の個別グループまたは自然人と人工知能をメンバーとする個別グループである。
「発明情報」とは、発明を表現する情報であり、請求項の形式で表現することができるし、機能ブロック図やフローチャートの形式や分子式の形式でも表現できるが、発明を実施できるほどに詳細で具体的な設計情報が含まれていなくても良い。
「発明中間情報」とは、発明情報が創作される前の中間段階での創作的思考過程で創作される情報である。この発明中間情報が、次の段階の発明中間情報または発明情報の創作の起点となる場合、それは起点情報として使われた事になる。
「アイデア情報」とは、発明中間情報または発明情報である。
「ヒント情報」とは、起点情報および起点情報を補足する補足情報である。
「発明能力の評価値」とは、発明能力を何らかの評価方式(例:評価関数、評価体系、評価用コンピュータプログラム、評価用の事例集)に基づいて評価した結果の値であり、計算対象とできる数値で表現する場合もあれば、優劣の順位を示す符号で表現することもある。
「発明創造モデル」とは、発明情報が創作されるまでの多段階の思考過程での最初の段階の思考に入力として必要な情報と、後続する各段階の思考によって作成され次の段階の思考のための入力情報となる情報と、最終成果物である発明情報とを、思考段階の順に系列として表現したモデルである。発明創造モデルとしては様々なものが考えられるが、次に2つの例を示す。(本明細書では、発明創造モデルの説明では、主として発明創造モデルの例1を用いる。)

発明創造モデルの例1: 起点情報を上位から下位に向かって順番に並べたものになっており、次のとおり。
「新たな価値観をもたらす社会の動き」⇒「価値観」⇒「価値観に基づいた理想状態」⇒「従来技術」⇒「理想状態からみた従来技術の問題点」⇒「問題点の原因」⇒「原因に基づいて解決しようとする課題」⇒「課題解決手段をみつける観点」⇒「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」⇒「本質作用を含む解決手段である発明情報(発明情報とだけ表記する場合もある)」

発明創造モデルの例2: 起点情報を上位から下位に向かって順番に並べたものになっており、次のとおり。
「(1)‘ :問題を生み出した経験もしくは対象」⇒「(1) :問題または目標」⇒「(2) :目標実現のための本質的側面の抽出による観点」⇒「(3) :抽出された問題解決の本質機能」⇒「(4) :抽出された問題解決の本質機能を念頭において、出発系の群の中から大局的見地から選択した性能の良さそうな事象」⇒「(5) :選択された出発系」⇒「(6) :選択された出発系を詳細に分析して確認した一般性のある限定条件」⇒「(7) :問題解決の本質機能と限定条件の組」⇒「(8) :問題解決の本質機能と限定条件の組に対して、選定された系の特殊化的条件群を、各種の角度から組合わせて得た発明情報候補」⇒「(9) :目標との一致の度合いを検定して創造した目標を満足する到達系である発明情報」
【0028】
●次に、発明能力評価システムの構成要素の説明を行なう。
【0029】
「起点情報提供手段」は、発明能力評価または発明能力育成の対象者に対して発明発想の起点となるべき情報である起点情報を提供する。起点情報の提供の方法としては、あらかじめ蓄積された複数個の起点情報の中から評価対象者が選択する方法と、あらかじめ蓄積された複数個の起点情報の中で所定の方式で決定された1つの起点情報を評価対象者に与える方法と、何らかの情報処理によって起点情報を合成して評価対象者に与える方法が考えられる。
起点情報は、発明創造モデルにおける当該の起点情報の前段に位置付けられる全ての起点情報と一緒に提供することで、発明発想の起点として使いやすくなるので、発明発想の初心者の発明能力育成のためには、そのような起点情報の提供方法が望ましい。具体的に説明すると、「問題点の原因」という起点情報を提供する場合には、発明創造モデルにおいて、その前段に位置付けられる「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」,「理想状態からみた従来技術の問題点」も一緒に提供するのである。
しかし、発明発想の中級者以上の発明能力評価または発明能力強化の目的のためには、発明創造モデルにおける当該の起点情報の前段に位置付けられる起点情報は全く与えず、自らそれらの起点情報を推定または創作させることが望ましい。
すなわち、具体的に説明すると、「問題点の原因」という起点情報を提供する場合には、発明創造モデルにおいて、その前段に位置付けられる「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」,「理想状態からみた従来技術の問題点」は全く提供しないのである。
【0030】
「発明情報受領手段」は、起点情報を用いて前記対象者が創作した発明を表現する発明情報を受け取る。発明情報の受け取りは、評価対象者がキーボードから入力した文字列情報として受け取っても良いし、対象者が音声で入力した情報を音声認識して得た文字列情報として受け取っても良いし、グラフィック端末を用いて発明者が描画した機能ブロック図やフローチャートの情報として受け取っても良いし、何らかの記憶媒体に蓄えられているデータとして受け取っても良い。
【0031】
「合否判定手段」は、発明情報受領手段が受領した発明情報が所定の評価基準を満足しているかどうかによって合否を判定する。ここで言う「評価基準」は、例えば、評価関数、評価体系、評価用の事例集である。評価基準の設定の考え方には、様々なものが有り得る。例えば、(1)発明情報が表現する複数個の技術的手段の結合構造が所定の条件を満足していれば合格とし、満足していなければ不合格とするもの、(2)発明情報の中に非技術的用語が含まれていなければ合格とし、含まれていれば不合格とするもの、(3)発明情報が表現する技術的手段の結合構造と実質的に同一内容の記述を含む公知文献を検出すれば不合格とし、検出しなければ合格とするもの、がある。(4)前記の(1)〜(3)の組み合わせで合否を判定するものもある。
【0032】
「評価値生成手段」は、合否判定手段が合格と判定した場合,発明能力評価の対象者が発明発想の起点として使用した起点情報の種別に応じた発明能力の評価値を出力する。起点情報の種別としては、例えば、発明創造モデル1を使えば「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」,「理想状態からみた従来技術の問題点」,「問題点の原因」,「原因に基づいて解決しようとする課題」,「課題解決手段をみつける観点」,「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」,「本質作用を含む解決手段である発明」のように、設定することができる。発明創造モデル2を使えば、別の体系の起点情報とすることもできる。
起点情報の種別に応じた発明能力の評価値の設定は、例えば次のように、点を配分する。
「新たな価値観をもたらす社会の動き:9点」,「価値観:8点」,「価値観に基づいた理想状態:7点」,「従来技術:6点」,「理想状態からみた従来技術の問題点:5点」,「問題点の原因:4点」,「原因に基づいて解決しようとする課題:3点」
,「課題解決手段をみつける観点:2点」,「観点に基づいて得た解決手段の本質作用:1点」

このような評価値の設定は、ある段階の起点情報が提供されると、その起点情報に刺激を受けた思考によって、発明創造にさらに近づいた次の起点情報が作成されていき、思考が次第に発明情報の創造に近づくという、発明創造モデルに基づいている。
【0033】
すなわち、発明創造モデルにおける個別の発明創造の起点情報の中で、個別の発明情報から遠い起点情報であるほど、多くの発明の創造の共通の起点情報となり得るので、発明創造における価値が高いし、そのような起点情報からもっと具体的な起点情報にまで辿り着くには多くの困難性を有している。したがって、そのような価値が高く発明創造への利用が困難な起点情報を用いて発明行為を行なえることは、発明能力が高いと評価できるという考えがもとになっている。具体的に説明すると、「新たな価値観をもたらす社会の動き」を起点情報として提供されて発明をする能力は、「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」を起点情報として提供されて発明をする能力よりも、はるかに高度な発明能力であると評価される。
【0034】
なぜならば、発明創造モデルから判るように、「新たな価値観をもたらす社会の動き」から「本質作用を含む解決手段である発明」に至るまでの経路には、「価値観」から「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」までの8段階を経た、9段階という大きな距離があるが、「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」から「本質作用を含む解決手段である発明」の間には1段階という小さな距離しかないためである。
【0035】
「発明情報評価手段」は、前記発明情報受領手段が受領した発明情報の所定の評価基準による評価値を生成する。非特許文献4と非特許文献5に記載されているように、発明情報の1種である請求項を分析して、構成要素に分解したうえで構成要素間の結合関係を把握し、このような構成要素間の結合関係を評価して評価値を算出することも可能である。
【0036】
「評価値算出手段」は、前記発明情報評価手段が生成した評価値と,前記起点情報の種別とを用いて発明能力の評価値を算出する。発明情報評価手段が生成した評価値が高いほど、起点情報の種別が発明創造モデルからみて、発明情報から遠い距離のものであるほど、評価値算出手段で算出される発明能力評価値は高くなる。
【0037】
評価対象者が起点情報をもとに1件の発明情報を創作した場合に行なわれる評価が、発明能力評価の最小単位となる。1件の発明情報の創作における発明能力評価だけで、評価対象者の発明能力評価をするよりは、「多様な条件」で複数個の発明をした際の各発明の創作での発明能力評価の評価値を集計して、総合的に発明能力評価をした方が、評価対象者の発明能力の評価値の納得性は高くなる。
ここで言う「多様な条件」としては、例えば次の(1)〜(5)の項目ごとの多様な選択の組み合わせとして実現できる条件が考えられる。

(1)起点情報の種別の多様性、
(2)発明の分野の多様性、
(3)発明をするために利用できる時間の長さの多様性、
(4)発明をするために利用できる情報の範囲の多様性、
(5)発明情報の表現形式の多様性
【0038】
「多様な条件」で、起点情報を起点とした発明情報の創作過程を分析して行なう発明能力評価を複数回受けた場合の、各回での発明能力評価の評価値を集計して、発明能力の総合評価値を、発明能力の評価対象者について算出する方法としては、次のような形態が有り得る。

(1) 各回での発明能力評価の評価値を合計し、合計値を発明能力評価の回数で割り算する。
(2) 各回での発明能力評価の評価値の中の最高値と最低値を除いた残りの評価値を合計し、合計に用いた評価値の件数で割り算する。
(3) 「多様な条件」を、発明能力評価の対象者の全員に共通な条件(以下、規定条件いう)と、対象者が選択した条件(以下、フリー条件という)に区分し、規定条件での発明能力評価を前記(1)または(2)で行なって得た評価値(以下、規定種目点という)と、フリー条件での発明能力評価を前記(1)または(2)で行なって得た評価値(以下、フリー種目点という)とを、合計した総合点を算出して、その総合点を、その発明能力評価の対象者の総合評価値とする。
【実施例】
【0039】
まず、第1の実施例を説明する。
ここからは、説明の簡易化のために、発明能力評価システムの簡易表記として「ELSIA」を用いる。ELSIAは、“EvaLuation System of Inventing Ability”の略記となっている。

図1に記載のELSIA全体システムの構成図を、説明する。
ELSIA全体システムは、ELSIAサーバー1に、1個以上のELSIA端末2がインターネットを介して結合したシステムである。
ELSIAサーバー1には、端末にダウンロードされて実行されるHTMLファイル(JavaScript(登録商標)というプログラミング言語で記述されたプログラムを含む)であって、本実施例ではELSIAソフトと言うものが、1−1のフォルダーに保持されている。
また、ELSIAサーバー1には、同じく端末にダウンロードされて実行されるHTMLファイル(JavaScript(登録商標)というプログラミング言語で記述されたプログラムを含む)であって、本実施例ではPCML_OPEN_EDITORソフトと言うものが、1−1のフォルダーに保持されている。
ELSIAソフトをダウンロードして端末内に内蔵させている端末を、本実施例ではELSIA端末という。
ELSIAサーバー1には、ユーザ情報管理テーブル1−2がある。ユーザ情報管理テーブル1−2には、ELSIAサーバー1を、ユーザが利用するELSIA端末2がアクセスする際の、アクセス管理ユニット1−5でのユーザ認証のために必要となるユーザIDとパスワードと、ユーザの氏名や連絡先住所や電子メールアドレスなどの個人情報が保管されている。
ユーザ情報管理テーブル1−2には、そのユーザの発明能力評価レポート1−4や、外部からの発明能力評価データも記録しても良い。
ELSIAサーバー1には、idea sheet1−3が1個以上、記憶されており、ELSIA端末2にダウンロードされて使用される。idea sheet1−3は、受け入れ処理ユニット1−6を経由して、外部のELSIA端末2から受領したものを追加しても良い。
ELSIAサーバー1には、受け入れ処理ユニット1−6を用いて、インターネットを介してELSIA端末2から得た発明能力評価レポート1−4を記憶することができる。発明能力評価レポート1−4は、ユーザ情報管理テーブル1−2を用いて、その発明能力評価の対象となっているユーザに対応させて、記憶される。
ELSIAサーバー1の中には、発明能力証明発行ユニット1−7も設けることができる。
発明能力証明発行ユニット1−7は、ユーザ登録しているユーザから「発明能力証明書の発行請求」を受けると、そのユーザの情報を、ユーザ情報管理テーブル1−2を参照して得る。このようにして得た、そのユーザの発明能力評価レポートの内容や外部からの発明能力評価データを用いて、所定の基準と処理手順によって、そのユーザが有する発明能力を、「分野」と「級」の組み合わせで表現する。例えば「A分野、1級」という表示を、そのユーザを特定する氏名などの情報と共に、発明能力証明書(紙媒体でも良いし、デジタル情報でも良い)に表示したものを発行する。発明能力証明書が紙媒体の場合は、発行者の署名を入れるし、デジタル情報の場合には、デジタル署名を入れて、複製や改竄の防止を行なう。外部からの発明能力評価データの受け入れユニット1−8を経由して、ELSIAサーバー1にユーザとして登録されているユーザの発明能力評価書を、外部機関から受け取り、それをユーザ情報管理テーブル1−2に保管することもできる。
【0040】
図1に記載のELSIA端末2の内部構成と動作について、説明する。
ELSIAサーバー1にユーザ登録している者は、ユーザIDおよびパスワードを入力するなどの認証行為を行なって、自分が操作する端末にELSIAサーバー1からELSIAソフト等をダウンロードする。ELSIAソフトがダウンロードされており、しかもELSIAサーバー1にアクセスできる端末となれば、それはELSIA端末2と言える。
本実施例では、ELSIAソフトはオペレーティングシステム2−3の上で動作するWebブラウザ2−2の機能を用いて動作するものであり、図1では2−1と示している。
ELSIAソフトは、Webブラウザ2−2およびオペレーティングシステム2−3を介して、入力装置群および出力装置群である2−6を用いるとともに、通信装置群2−7を用いることで、ユーザと会話しながら、ELSIAサーバー1からIdea Sheet1−3をダウンロードして、それを用いて、ユーザの発明能力評価を実行して、その実行結果を発明能力評価レポートとして作成して、ローカルファイルとしてELSIA端末内に保管することができる。さらには、新たな発明の起点情報となるIdea sheet2−5を作成して、ローカルファイルに保管することもできる。
ELSIA端末2では、ユーザの操作によって、電子メールに添付した添付ファイルとして、または、アップロードの操作によって、idea sheet2−5や発明能力評価レポートを、ELSIAサーバー1に送ることもできる。
【0041】
ELSIAサーバー1には、インターネットを介して多数のELSIA端末2が接続されて、多様な動作をすることができる。例えば、1つのELSIA端末2がELSIAサーバー1に送ったidea sheetがELSIAサーバー1で受け入れ処理をされた後にELSIAサーバー1の内部に保管されて、他のELSIA端末2がそれをアクセスすることもできる。これによって、idea sheetの形式で、アイデア情報が多数のユーザの間を流通することも可能となる。ELSIAサーバー1がユーザの発明能力を証明する発明能力証明書を発行する機能は、ユーザが発明能力を発揮する様々な活動に参加する場合、ユーザの活動の助けになる。
発明能力の評価値が所定レベル(例:1級、2級、3級という3段階に発明能力の評価レベルを設定した場合の最高レベルの1級)の値を有する発明能力者が通信ネットワークを介して相互に通信できる発明能力者ネットワークにアイデアシートを流通させることもできる。具体的には、ELSIAサーバー1の受け入れ処理ユニット1−6が、発明能力が1級のユーザからしかidea sheetの受け入れをしないように制御するとともに、そのようにしてELSIAサーバー1に蓄積しているidea sheetは、発明能力が1級のユーザからしかアクセスできないように、アクセス管理1−5が動作するように制御するのである。このようにすることで、ELSIAサーバー1を中心にして、大変に発明能力が高い発明能力者のネットワークを形成し、運営することもできる。このネットワークに対して、問題解決を必要とする問題などの起点情報を投入すると、短時間の間に画期的な解決策が発明情報として創造される可能性が大変に高いので、その社会的価値は極めて高いと言える。
【0042】
次に、図2に基づいて、ELSIA端末2のELSIA機能の内部構成と動作を説明する。
ELSIAサーバー1からダウンロードされたELSIAのHTMLファイルは、ELSIA端末2のWebブラウザ上で、ELSIA Window2−1−Aを形成して動作する。そして、このWindowはHTMLファイルの中に記述されているJavaScript(登録商標)で記述されたプログラム(以下、ELSIA内プログラムという)においては、Windowオブジェクトとしてアクセス可能に動作する。
本実施例では、図2に示した各Windowは、HTMLで記述された各種の入出力要素と連動するELSIA内プログラムで実現された多数の機能要素で実現した。
ELSIAサーバー1をアクセスするためには、最初にユーザIDとパスワードを入力してELSIAサーバー1の認証を得る必要がある。認証が得られたならばアクセスが許可される。
まず、サーバー上idea sheet選択ユニット2−1−1では、ユーザの操作内容に基づいて、ELSIAサーバー1から読み取るべきidea sheetのファイル名を決定する。
ユーザ情報取得ユニット2−1−3では、ユーザの氏名やID番号のような、ユーザを特定するための情報を取得する。通常は、ユーザがキーボードまたは音声入力でそれらの情報を入れるが、顔や指紋の認識機能を用いてそれらの情報を取得しても良いし、ユーザが保有するRFIDのようなID情報提供デバイスから、それらの情報を取得しても良い。ヒント情報レベル設定ユニット2−1−4では、ユーザがアイデア情報を発想するために提示を受けたいヒント情報のレベルを設定する。提示を受けるヒント情報が、発明創造モデルにおいて、発明情報に近いものであるほど、ヒント情報のレベルが低い。ヒント情報のレベルが低いほど、そのヒント情報を起点としてアイデア情報を創造できても、アイデア情報の創造者の発明能力評価値は低くなる。
ELSIAサーバー1から読み取るべきidea sheetファイル名が決まっていて、ユーザ情報が取得できていて、ヒント情報レベルの設定が完了しておれば、ユーザの操作に応答して、アイデア記入用シートウィンドウ生成ユニット2−1−5を動作させる。アイデア記入用シートウィンドウ生成ユニット2−1−5は、IDEA Window2−1−B生成する。IDEA Window2−1−Bには、アイデア記入用シートが表示されている。ヒント情報レベル設定ユニット2−1−4で、例えば、レベル6にヒント情報のレベルを設定すると、ユーザが発明情報の完成のために、アイデア記入用シートに記入しなければならないアイデア情報の項目数は、発明情報も含めて6項目となる。
図3に記載のIdea Sheetを用いて、アイデア記入用シートについて、説明する。
ELSIA端末2のユーザの識別符号がB002であり、このユーザがELSIAサーバー1からダウンロードして使用するIdea Sheetとして選択したファイルの作成者の識別符号がA001であったとする。
A001というユーザは、Idea Sheetの上の4行に自分が創作したアイデア情報を記入した。すなわち、「新たな価値観をもたらす社会の動き」の行と、「価値観」の行と、「価値観に基づいた理想状態」の行と、「従来技術」の行である。そして、この4行を入力し終わったところで、A001というユーザはIdea Sheetの作成を終了させた。終了時刻は、2016年5月23日12時00分であった。そして、そのIdea SheetにはIdea sheet番号として、「IDEA20160523000000156」が付与された。
A001というユーザは、従来技術の行まで記入しているIdea Sheetを、ELSIAサーバー1に送ったため、ELSIAサーバー内に、そのIdea Sheetは保管されていた。
その後、B002という識別符号を有するユーザが、ELSIAサーバー1内に保管されていたIdea Sheet番号:IDEA20160523000000156のIdea Sheetを選択して、自分のELSIA端末2の中に取り込んで、読んだ上でさらに自分のアイデアを追加して、またELSIAサーバー1に保管した。
次に、B003という識別符号を有するユーザも、ELSIAサーバー1から、Idea
Sheet番号:IDEA20160523000000156のIdea Sheetを選択して、自分のELSIA端末2の中に取り込んで、読んだ上でさらに自分のアイデアを追加して、またELSIAサーバー1に保管した。その日時は、2017年2月1日14時26分であった。
そして、最後は、B004という識別符号を有するユーザが、Idea Sheet番号:IDEA20160523000000156のIdea Sheetを選択して、自分のELSIA端末2の中に取り込んで、発明情報を追加した。その日時は、2017年2月22日17時01分であった。
このように、ELSIAのユーザは、ELSIA端末2を用いて、ELSIAサーバー1に保管されている様々な内容と記入段階のidea sheetを用いることができる。すなわち、「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」,「理想状態からみた従来技術の問題点」,「問題点の原因」,「原因に基づいて解決しようとする課題」,「課題解決手段をみつける観点」,「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」,「本質作用を含む解決手段である発明情報(発明情報とだけ表記する場合もある)」の全項目にアイデア情報が記入済みのidea sheetの一部の項目だけをヒント情報として、ユーザに対して表示させこともできる。すなわち、ユーザがヒント情報レベル設定ユニット2−1−4を用いて設定したヒント情報のレベルに応じた項目だけをユーザに提示し、他の項目はユーザが考察して自分の考えを入力するというものである。これによって、そのユーザの発明能力評価ができる。図3に示したidea sheetは、別の見方もできる。
すなわち、識別符号A001のユーザが入力したアイデア情報である「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」の各項目についての内容は、識別符号B002のユーザの発明発想のための起点情報となった。そして、識別符号B002のユーザが入力した情報である「理想状態からみた従来技術の問題点」,「問題点の原因」,「原因に基づいて解決しようとする課題」の各項目についての内容は、識別符号B003のユーザの発明発想のための起点情報となった。さらには、識別符号B003のユーザが入力した情報である「課題解決手段をみつける観点」,「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」の各項目についての内容は、識別符号B004のユーザが発明情報をidea sheetに入力するための起点情報となっている。
【0043】
この状況は、ELSIA端末2を使用するユーザの間で、idea sheetがELSIAサーバー1を介して、次々に流通しながら多様な段階の多様な内容のアイデア情報に分岐しながら、多様な発明情報の創造を実現するものになっている事を、意味する。
【0044】
IDEA Window2−1−Bでのユーザによるアイデア記入用シートへのアイデア情報の記入作業が終了すると、ユーザの操作によって、ELSIA Window2−1−Aのアイデアシート分析ユニット2−1−6が起動される。この起動のためのユーザの操作は、IDEA Window2−1−Bに対して行なうものとして実現することもできるし、ELSIA Window2−1−Aに対して行なうものとして実現することもできる。
アイデアシート分析ユニット2−1−6は、IDEA Window2−1−B内のアイデア記入用シートに記入されているアイデアシートのデータを入手して、分析する。
アイデアシート分析ユニット2−1−6は、アイデアシートのデータ内に発明情報が請求項として記述されて存在していれば、PCML_OPEN_EDITOR Window2−1−Cを新たなWindowとして生成する。そして、アイデアシート分析ユニット2−1−6は、生成されたPCML_OPEN_EDITOR Window2−1−Cに、請求項を送信する。請求項を受信したPCML_OPEN_EDITOR Window2−1−C内の請求項の評価値の算出ユニットでは、請求項の評価値を算出する。 そして、請求項の評価値を、PCML_OPEN_EDITOR Window2−1−Cが、発明能力評価ユニット2−1−8に提供する。
アイデアシート分析ユニット2−1−6は、IDEA Window2−1−Bから提供されるアイデアシートに記載のアイデア情報を、項目ごとに分析する。その分析の結果、発明中間情報の評価値と、不正フラグが生成され、それらは発明能力評価ユニット2−1−8に与えられる。
【0045】
発明完成時間測定ユニット2−1−7は、アイデア記入用シートウィンドウ生成ユニット2−1−5から開始時刻の情報を受け取るとともに、アイデアシート分析ユニット2−1−6から終了時刻の情報を受け取り、終了時刻と開始時刻の差として、発明完成時間を算出して、それを発明能力評価ユニット2−1−8に与える。開始時刻は、アイデア記入用シートウィンドウ生成ユニット2−1−5がIDEA Window2−1−Bを作成した時刻である。発明完成時間測定ユニット2−1−7は、アイデアシート分析ユニット2−1−6がアイデア記入済みのアイデアシートのデータを、IDEA Window2−1−Bから受け取ったタイミングの時刻を、終了時刻として、アイデアシート分析ユニット2−1−6から受け取る。
【0046】
発明能力評価ユニット2−1−8は、発明完成時間と発明中間情報の評価値と不正フラグとヒント情報レベルと、請求項の評価値と、アイデアシートのデータと、idea sheet識別子の入力を受けて、そのELSIA端末2のユーザの発明能力個別評価レポートを作成して、ローカルファイルとして保管する。そのELSIA端末2のローカルファイルとして保管されている、過去からの複数個の発明能力個別評価レポートを、発明能力評価ユニット2−1−8は読み取って統計処理などをして、発明能力総合評価レポートを作成して、そのELSIA端末2のローカルファイルとして保管する。
例えば、発明能力評価レポートでの発明能力評価値と評価値の算出根拠の説明の例は、次のようになる。
【0047】
発明太郎さんの発明能力評価(600点満点)の根拠説明は、次のとおりです。
「従来技術」の設定により、10点加点。
「問題点」の設定により、100点加点。
「原因」の設定により、30点加点。
発明情報として設定した請求項の評価値により、81点加点。
処理時間による加点は、100点。
合計点は、321点。
【0048】
発明能力評価をできるだけ正確に安定的に行なうためには、評価対象のユーザの状態をできるだけ発明に積極的な状態にすることが効果的である。そこで、ユーザに対して、発明能力の評価を受けては発明能力の鍛錬をするように促したり、発明創造を促すために、例えば次のような文章を、ELSIA Window2−1−Aが起動されるたびに、このウィンドウ内のソフトウェアが音声合成で読み上げて、ユーザに発明の意義を自覚させることが良いと考える。
【0049】
発明は、目的とする良い状態を創る仕組みだ。
目的とする良い状態を創るためには、良い状態を実現したい対象に適切な作用を与えることが必要である。
その作用が適切かどうかは、対象の内部構造と、外部との結合がもたらす因果関係によって決まる。
対象の内部構造と外部との結合の因果関係を抽象化することで、既存の生物やマシンの仕組みの中に、対象を、良い状態にできる仕組みを発見できる場合が多い。
これは、異なるモノや事象の間の等価関係である。
きみは、意識的に知識を、等価関係をもとに結合したり、入れ替えたりして、多様な組み合わせを創作し、評価し、様々なアイデアを築いていける。
創作したアイデアは、断片的なものであっても、アイデアノートに記録すると良い。
そして、アイデアノートを何度も読み返し、さらに課題に意識を集中して思考し、さらにアイデアノートに考えを記録していくと、アイデアは発明へと成長する。
アイデアノートを用いて、対象の良い状態を作るための課題に、意識を集中して考え続けていると、断片的なアイデアや知識が、きみの脳の中に情報の渦巻きを創る。
渦巻きが十分に大きくなると、きみの潜在意識が起動され、きみが寝ている時にも歩いている時にも自動的に膨大なアイデアを形成し、評価し続ける。
そして、ある時、素晴らしいアイデアを潜在意識が、きみの意識に報告する時が来る。
これは、海中を、渦を巻きながら泳ぐ魚の大群の中から、何匹かの魚が海面に急上昇し、海の上に飛び跳ねて、キラリと光る様子と同じだ。
潜在意識の海の中から画期的発明が意識に飛び上がってくる現象を、魚が光ると書いて、うおみつと名付ける。
まずは、アイデアノートに考えたことを記録することから始めよう。きみも、うおみつを体感して画期的発明を行なおう。
君も、文明の創造者の一員になれるのだ。
【0050】
図4に基づいて、アイデアシート分析ユニットの内部構成と動作を説明する。
アイデアシートのデータは、アイデアシートの受け入れ処理ユニット2−1−6−1にて、簡単な受け入れ処理をされる。受け入れ処理の内容は、次のとおりである。まず、アイデアシートを受け取った時刻を終了時刻として外部に出力する。アイデアシートの中に請求項が発明情報として記載されていれば、PCML_OPEN_EDITORを起動し、PCML_OPEN_EDITORに対して請求項を与える。アイデアシートに記載の起点情報(発明中間情報は発明情報の創作の起点にもなるので、起点情報とも呼ぶ)の種別と内容と配点は、起点情報の種別ごとの構文解析処理ユニット2−1−6−2に与える。
また、アイデアシートの受け入れ処理ユニット2−1−6−1は、起点情報の内容を不正回答の検知処理ユニット2−1−6−3にも与える。
起点情報の種別ごとの構文解析処理ユニット2−1−6−2は、起点情報の種別に適合した構文を起点情報の内容が有しているかどうかを検査する。この構文の検査の方法の1つとしては、起点情報の種別ごとに適切な構文を正規表現による合格パターンとして1個以上登録しておき、起点情報の内容がそれらの合格パターンのどれかとマッチングすれば合格として、その起点情報の種別に与えられた配点の値を、起点情報の種別ごとの評価値として出力する。
不正回答の検知処理ユニット2−1−6−3は、与えられた起点情報の内容が、不正回答パターンデータ2−1−6−4(例えば正規表現で記述された不正回答パターンのどれか)と一致するかどうかを検知し、一致すれば不正フラグを不正であると設定して出力する。
アイデアシート分析ユニット2−1−6で用いる合格パターンも不正回答パターンも、人間を教師とする教師付き学習によって人工知能が生成することもできる。多数のELSIA端末2から多くの多様な合格パターンや不正回答パターンを、ELSIAサーバー1が収集し、それらを統計処理などの処理によって選別し、選別結果を統合して、適切なパターンを作成しては、ELSIAサーバー1から各ELSIA端末2にそれらのパターンを配信して、各ELSIA端末2がアイデアシート分析ユニット2−1−6で使用するパターンを適切なものに更新することもできる。
【0051】
図5に基づいて、発明能力評価ユニット2−1−8の内部構成と動作を説明する。発明能力の個別評価値と評価理由説明の作成ユニット2−1−8−1には、ヒント情報のレベルと、発明完成時間と、各発明中間情報の評価値と、請求項の評価値と、idea sheet識別子とが入力される。発明能力の個別評価値の算出方式にはさまざまにあり得るが、1つの実現形態としては、(1)ヒント情報のレベルに対応した点数、(2)発明完成時間に対応した点数、(3)各発明中間情報の評価値に対応した点数、(4)請求項の評価値に対応した点数の総合計を、発明能力の個別評価値とするとともに、前記の(1)〜(4)の算出論理を評価理由説明として文章に生成する。
このようにして生成した発明能力の個別評価値と評価理由説明を、idea sheet識別子と組にして、個別評価値と評価理由説明の修正ユニット2−1−8−2(以下、修正ユニットという)に対して出力する。
修正ユニットに対しては、個別評価値と評価理由説明だけでなく、不正フラグも入力される。不正フラグが不正ありを示すものであった場合、修正ユニットは、不正ありに基づいた減点の値を設定して、個別評価値から減点の値を差し引く。さらには、評価理由説明には減点の理由の説明文章も追加する。そして、修正された個別評価値と修正された評価理由説明を発明能力個別評価レポートとしてファイル出力する。不正フラグが不正ありを示すものではない場合、修正ユニットは、入力された個別評価値と評価理由説明を無修正で、評価理由説明を発明能力個別評価レポートとしてファイル出力する。
発明能力総合評価作成ユニット2−1−8−3は、複数個の発明能力個別評価レポートを読み取って、統計処理などを行なって、発明能力総合評価レポートを作成して出力する。
【0052】
図6に基づいて、アイデア情報マーケットについて説明する。
ELSIAサーバー1に登録するユーザーは、解決してほしい課題を抱えていて、ヒント情報を提供して課題解決策のアイデア情報を得たいヒント情報提供者と、課題を解決する発明能力を持っている解決策アイデア提供者の2種類からなる。
アイデア情報マーケットサーバー3は、この2種類のユーザーのマッチングを行う。
したがって、アイデア情報マーケットサーバー3のユーザは、ELSIAサーバー1にもユーザー登録しておくことが必要である。

(1)ヒント情報の提供者群は、アイデア情報マーケットサーバー3のデータベース管理ユニット3−2に、ヒント情報シートを送信する。それらは、ヒント情報シートDB3−4に保管される。
(2)ヒント情報シートは、技術分野と必要とされる発明能力でラベリングされる。ラベリングの情報をもとに解決策アイデア提供者群とのマッチングが、マッチングユニット3−1によって、行われる。(図6では、Y03氏がマッチして、ヒント情報シートNo.3がY03氏に対してアイデア情報マーケットサーバー3から送信された。)
(3)マッチングで得たヒント情報シートにアイデア提供者がELSIA端末2を用いてアイデア情報を入力したら、ELSIA端末2が自動で発明能力評価を行い、ヒント情報提供者のもとへ評価結果とアイデアシートを含む発明能力個別評価レポートが送られる。(図6では、アイデア提供者であるY03氏が創作したアイデア情報を含む発明能力個別評価レポートは、X02氏に送られる。)
アイデア情報の取引記録および対価支払いユニット3−3は、これらの活動を取引記録として保管するとともに、アイデア情報を提供したY03氏に対価を支払う処理をする。
(4) (3)でヒント情報提供者のもとに集まったアイデア情報は、他のユーザーは閲覧できない状態とする。
(5) (3)の情報は、ELSIA端末2だけではなくヒント情報提供者自身(図6では、X02氏)も評価することができる。ヒント情報提供者による評価は、ELSIAサーバー1に対して送られる。
(6)ヒント情報提供者が良い評価をしたアイデアシートは、アイデア提供者にポイントが与えられる。
(7)ポイントの他にアイデア提供の回数もためていく。アイデア提供者は、回数とポイントをためることで、実力と信用度を高めていく。
(8)ヒント情報提供者が悪い評価をしたアイデアシートには、アイデア提供者にゼロポイントもしくはマイナスポイントが与えられる。(いい加減なアイデア提供を防ぐため)
(9)ヒント情報提供者が悪い評価をしたアイデアシートは、全てのユーザーに公開されるように設定することもできる。(本来は良いアイデアなのに、悪いと評価されないために公開する)
(10) (9)で公開されたアイデアシートは、他のユーザーも閲覧・評価することができる。他のユーザーの評価によってもポイントが与えられる。
(11) ポイントとアイデア提供回数が一定量に達すると、アイデア提供者は発明能力証明書を得ることができる。
(13) 発明能力証明書を持てるようになると、自身のアイデアを売ることができる。
発明能力証明書の所持者と、ヒント情報提供者とのアイデア情報の取引は、アイデア情報マーケットサーバー3に記録される。
(14) 公開されているアイデアシートの評価は誰でも参加できるが、発明能力証明書の所持者は、一般のアイデア提供者よりも、アイデアシートに対して付与できるポイントが高くなる。

アイデアの売買の方法
方法1: ヒント情報提供者は一定額を、アイデア情報マーケットサーバー3の運営者に支払うと、ヒント情報シートを提供する個数も、アイデアシートを閲覧する個数も無制限とする。

方法2: ランクの高い発明能力証明書を有するアイデア提供者となっているプレミアム会員の提供するアイデアシートのそれぞれには、アイデア情報マーケットサーバ3が、価格をつける。ヒント情報提供者は閲覧したいアイデアシートに応じた金額を支払う。
【0053】
図7に基づいて、店舗などのポータルでの顧客コミュニケーションシステムの構成と動作の説明をする。
店舗では、ポータルPの位置にELSIA端末2を備える。
店舗はあらかじめ、ELSIAサーバー1にユーザ登録をして、ELSIAを利用するために必要な契約もしている。
ELSIAサーバー1が発行した発明能力証明書(D分野、1級、氏名:Aさん)を有するAさんもしくは、AさんとBさんとCさんのグループが、ポータルPへ発明をしようとやって来る。
ELSIA端末2は、アイデア提供サーバー3に対して、ポータルの位置Pを知らせる。
そうすると、アイデア提供サーバー3からはELSIA端末2またはポータル位置Pの近くにいる人の携帯端末に対して、位置Pのポータル関連のヒント情報シートIpが送信される。
店舗に来店した客は、店舗に備え付けのELSIA端末2もしくは、自分の携帯端末で、Ipに含まれるアンケートに答えると、お客には店舗からポイントが得られ、ポイントが貯まると、それは現金に交換できる。
Ipには、その店舗が解決したい問題の情報が含まれている場合もある。
店舗に来たAさん、Bさん、Cさんが店舗で飲食をしながら話し合い、Ipに含まれる問題の解決策を記述したアイデア情報Spを代表者のAさんが、店舗に備え付けのELSIA端末2または自分の携帯端末を用いて、アイデア情報提供サーバーに送信する。
Aさんは、アイデア情報SpにはBさんとCさんも共同のアイデア提供者であるとの記述と、AさんとBさんとCさんの間のポイント分配割合も含めておく。
アイデア提供サーバー3は、発明能力証明書を有する人または発明能力証明書を有する人を含むグループに対してはアイデア提供の対価ポイントを高くすることもできる。
アイデア提供サーバー3が、発明能力証明書を有することを、アイデア提供のための条件にしない場合には、BさんもCさんもアイデア提供サーバー3に対して、単独でアイデア提供ができる。その場合、BさんやCさんは、店舗に備え付けのELSIA端末2または自分の携帯端末にて動作する図2のELSIA機能によって、発明能評価をされる。そして、発明能力個別評価レポートを受け取ることもできる。
ポータルPを設置した店舗では、客がELSIAを使用する条件として、少なくとも一品は注文してもらうようにすることもできるし、ELSIAポイントカードを発行し、顧客に対してアイデア提供の対価としてのポイントを、そのポイントカードに記録させることもできる。
このようなELSIA端末を設置した店舗では、商品が売れたり、店舗の宣伝になったり、店舗のある地域が活性化する。また、店舗の顧客にとっては、思考力がつき、発明を創出できるようになる。その結果、世の中が高度化していき、世界が改善される。
【0054】
第2の実施例について説明する。
図11が、本実施例での全体構成である「発明総合支援システム」を示すものなので、図11に関する説明から開始して、細部の説明へと進む。
図11の発明総合支援システムは、図10の「発明能力総合評価システム」と、内部構造を図示しない「アイデアノート管理システム」から構成される。発明総合支援システムは、発明発想支援モードと発明能力評価モードの2つのモードを有する。

発明発想支援モードであっても、発明能力評価モードであっても、その対象者が自然人または自然人のグループである場合、発明総合支援システムは、マンマシンインタフェースと情報記憶機能と情報処理機能を有するデバイスを用いて実現する。発明能力評価の対象者が人工知能の場合、マンマシンインタフェースは必要なく、単に情報のやりとりができるための通信機能があれば良い。ここでは、自然人を対象としたデバイスを前提として、説明をする。そのようなデバイスとしては、パーソナルコンピュータ,スマートフォン,タブレットPC,ヘッドマウントディスプレイとの一体型のコンピュータなどがある。今後、技術の進展に伴なって、マンマシンインタフェース付きの身体装着型端末や体内埋め込み型端末なども、ここで言うデバイスとして普及していくと考える。
ここでは、説明の簡単のために、現時点で最も普及しているデバイスであるスマートフォン上で動作するアプリケーションソフトウェアの1つとして、実施例を説明する。
当然、このようなアプリケーションソフトウェアがスマートフォンの外部のクラウド上で動作し、インターネットを介してスマートフォン上のマンマシンインタフェースソフトウェアを通じて、対象者と情報のやりとりをするという形態も容易に実施できるが、説明は省略する。
【0055】
●発明発想支援モード
発明発想支援モードでは、対象者にはアイデアノート管理システムから、図12に示すフォーマットのアイデアシートが提供される。対象者の選択によって、図12のように項目名称以外は何も記入されていないアイデアシートを使用する場合もあるし、図16または図17のように、起点情報があらかじめ記入済みのものが提供される場合もある。また、すでに作成開始済みのアイデアシートをアイデアノートから読みだして編集対象または閲覧対象とすることもできる。アイデアシートをアイデアノートに記録することをメニュー選択等の手段で対象者が選択したら、新規のアイデアシートの場合には作業開始の年月日時分が、アイデアシートにアイデアノート管理システムによって自動的に記入されるとともに、アイデア番号が自動付与されて、その対象者に紐づいたアイデアノートの中のアイデアシートとして取り込まれ、そのアイデアノートの目次部分には、アイデアシートのアイデア番号と作成開始の年月日時分とアイデアシートの縮小アイコンが自動表示される。アイデアシートを、対象者がアイデアノートに記録する際には、アイデアシートの各行には各行ごとの入力確定の年月日時分が自動記録される。入力確定は、デバイスにマンマシンインタフェースとして設けられた確定ボタンを操作することで行なう。アイデアシートの発明情報の行に記述の内容について、前記のような確定ボタンなどを用いて、対象者が「確定」という属性値を、アイデアノート管理システムを用いて付与したならば、そのアイデアシートは発明能力評価システムに、発明能力評価のために入力することができるようになる。図13は、発明情報までの記述が完了して全体が完成したアイデアシートの想定例である。

図13のアイデアシートの完成までの過程の想定例として、発明発想支援モードでの動作をさらに具体的に説明する。
発明発想支援の対象者は、アイデアノート管理システムを介して、自分のデバイス内の記憶装置に記憶しているアイデアノートまたはネットワークを介して公開されたアイデアノートまたは特定の関係であるためにアクセスできる他者のアイデアノートをアクセスして、起点情報が記述済みで発明情報が未記入のアイデアシートを得る。このようにして得た1つ以上のアイデアシートの中から、発明発想の対象としたいアイデアシートを1つ選択して、発明発想活動の対象とする。そうすると、選択されたアイデアシートには、図13のケースで言うと作成年月日時分の頭に〇印がついた行だけが表示されている。対象者以外の者が作成したアイデアシートの場合、内容の欄に記述がある各行については、対象者が発明活動の対象として選択した瞬間の年月日時分が、その頭に〇印を付けて、表示される。
作成年月日時分の頭に〇印のついた各行は、対象者が行なう発明発想の起点情報であるとして、そのアイデアシートに登録されたということである。図15のアイデアシートの場合、発明発想支援の対象者が、このアイデアシートを発明発想活動の対象としたのは、1989年5月25日12時00分であり、最初から記載されていた起点情報は、「従来技術」およびそれよりも前段の全部であった。発明発想支援の対象者は、その後、1989年5月25日12時10分には、「理想状態からみた従来技術の問題点」の内容を記入した。起点情報の後段方向に対象者が記入したので、記入の年月日時分の前には、◆印が表示されている。発明情報の作成年月日時分は、1989年6月22日17時01分であることがわかる。発明発想活動の開始が1989年5月25日12時00分だったので、発明情報の作成完了までに約1か月かかったことがわかる。
起点情報のアイデアシートへの登録の時から発明情報の作成完了までの時間の長さも、発明能力評価に利用できる。
【0056】
●発明能力評価モード
発明能力評価の対象者は、図11の発明総合支援システムの部分システムである発明能力総合評価システムから、発明発想の起点情報が記載されたアイデアシート(例:図16または図17のアイデアシート)の提供を受けるとともに、「発明創造に必要な他の情報の提供」も受けることによって、発明を段階的に創造して、創造した情報をアイデアシートに記入しつつ、各段階でアイデアノート管理システムを通じて、アイデアシートを自分のアイデアノートに記録する。アイデアシートのフォーマットは図12に示す構造をしている。
図12のフォーマットは、どの行からでも下方向に向けて順番に記述していくことで自然に発明情報の創作が出来上がるように構成している。例えば、起点情報として、従来技術の行に必要な情報が記述されて、対象者に提供された場合、従来技術の行よりも下方に向けて順番に各行の記述を、発明情報の行まで適正に記述していくと、発明が創作できる。従来技術よりも上方に向けて順番に各行を記述することで、従来技術を評価する基準となる価値観や社会の動きを認識して、より広い視野で従来技術を把握して、多様で適用範囲の広い発明発想ができるようになる。
発明能力評価の対象者は、起点情報をもとにアイデア創作して得た内容をアイデアシートに記録しながら発明の創作を行なう。そして、アイデアシートは各自のアイデアノートに、アイデアノート管理システムを通じて記録され、アクセス管理や進捗管理がされる。このようにして評価対象者が発明を完成させた時のアイデアシートの例が、図13に示されている。
ここで、「発明創造に必要な他の情報の提供」を、特許情報プラットフォーム(J−PlatPat)から多数の公開特許公報として得るという方法も考えられる。
発明能力評価の対象者は、図16のような起点情報の記載のあるアイデアシートを発明能力総合評価システムから受け取った後に、自分で発明発想を行ない、アイデアシートに自分のアイデアを追記していき、「新たな価値観をもたらす社会の動き」,「価値観」,「価値観に基づいた理想状態」,「従来技術」,「理想状態からみた従来技術の問題点」,「問題点の原因」,「原因に基づいて解決しようとする課題」,「課題解決手段をみつける観点」,「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」,「発明情報」までの全部の行に適切な記述を入れて、発明情報を完成させる。対象者の希望または発明能力総合評価システムの判断によっては、対象者に与えられるアイデアシートが図17のようなものとなる場合もある。例えば、図16のアイデアシートの提示を受けただけでは発明情報が作成できないか、発明情報が作成できても合格できない場合において、対象者から点数の低い起点情報(発明情報に到達しやすい起点情報)が記載されたアイデアシートの提供を求められた場合、発明能力総合評価システムは評価対象者に提供するアイデアシートを、例えば図17のものにする。

発明能力の総合評価システムが対象者の発明能力の総合評価値を算出する際には、発明能力の評価対象者の発明の創造活動は、発明能力総合評価システムからの、発明分野,発明時間,発明情報の表現形式,起点情報などのすべてまたは一部に関する指令に従って行われる。評価対象者は、これらの指令に従って発明活動を1回以上、行ない、アイデアノート管理システムを通じてアイデアノートをアクセスして、アイデアノートに記録されているアイデアシートを受け取って、それを使用しながら発明情報を完成させる。すなわち、図16図17のように、ある程度の段階まで記述がすでにされている起点情報を含むアイデアシートを受け取り、それをもとに、自分の発明を完成させて、発明情報としてアイデアシートに追記していく。そして、図13に示すように発明情報の行まで完成して確定ボタンを選択したならば、発明能力総合評価システムは、その発明行為についての発明能力の評価値を算出する。
このような事を、「多様な条件」のもとで、発明能力評価の対象者が発明発想できるような指令(発明分野,発明時間,発明情報の表現形式,起点情報などのすべてまたは一部に関する指令)を、対象者に与えて1回以上、行なう。「多様な条件」を構成する項目としては、例えば次の(1)〜(5)のものが考えられる。
(1)起点情報の種別の多様性、
(2)発明の分野の多様性、
(3)発明をするために利用できる時間の長さの多様性、
(4)発明をするために利用できる情報の範囲の多様性、
(5)発明情報の表現形式の多様性

図14と、図15は、このような多様な条件で発明能力評価の対象者が発明創造活動を3回して、3枚のアイデアシートにおいて、発明情報の行まで完成した際の発明能力総合評価システムによる、総合評価値の算出過程をまとめた表である。いわば、対象者の成績表とも言える。図14図15は、発明能力評価の方式が異なる。

図14は、図9に示す発明能力評価システムの第2形態の方式による発明能力評価をした場合であり、図15図8に示す発明能力評価システムの第2形態の方式による発明能力評価をした場合である。
図15では、3回の発明活動で3件の発明情報が作成できていることがわかる。しかし、3件の発明情報の中で合格したものは2件であり、1件は不合格となっている。合格した2件の発明情報では、使用した起点情報が「新たな価値観をもたらす社会の動き:9点」と「価値観:8点」と「価値観に基づいた理想状態:7点」の3つであったものには、この3つの起点情報の中の最小の点数である7点が、発明能力の評価値として与えられた。合格した2件の発明情報のもう一方では、使用した起点情報は「新たな価値観をもたらす社会の動き:9点」から「原因に基づいて解決しようとする課題:3点」までの7つの起点情報であった。したがって、これら7つの起点情報の中の最小の点数である3点が、発明能力の評価値として与えられた。
発明情報が不合格となったアイデアシートに基づいた発明能力の評価値は、0点となる。
その結果、3枚のアイデアシートを完成させた結果をもとにした、対象者の発明能力の総合評価値は7点と3点と0点の平均点である3.3点となった。
図16では、3回の発明活動で3件の発明情報が作成できている。発明情報の評価値は、左から2点、4点、1点である。発明情報の評価には、例えば非特許文献5に記載の請求項の評価アルゴリズムを実行する非特許文献4,非特許文献5に記載の技術を、100点満点での採点結果を10で割り算して、10点満点での評価値として使用することもできる。
発明分野1で使用した起点情報は難度の高い7点のものであったが、創作した発明情報の評価値は2点だったので、この発明創作活動で示された発明能力は、7点+2点=9点となった。
発明分野2で使用した起点情報は難度が3点であったが、その起点情報を用いて創作した発明情報の評価値は4点だったので、この発明創作活動で示された発明能力は、3点+4点=7点となった。
発明分野3で使用した起点情報は難度が6点であり、それから創作した発明情報の評価値は1点だったので、この発明創作活動で示された発明能力は、6点+1点=7点となった。
これら3回の発明活動での評価値の平均値として得られる発明能力の総合評価値は、7.7点となった。
【0057】
図10の発明能力総合評価システムについて説明する。
発明能力総合評価システムは、(1)発明発想の「起点情報」と「発明創造に必要な他の情報の提供」を提供する発明発想支援モードと、(2)発明時間,発明情報の表現形式の一部または全部の条件を設定した上で、所定の起点情報を評価対象者に与えて評価対象者に1回以上の発明活動をさせ、創造された発明情報を総合評価する総合評価モードの2つの動作モードを有する。

発明能力総合評価システムは、「発明能力評価システム」と、「発明能力の総合評価値の算出手段」から構成される。
発明能力評価システムには、すでに述べたように、図8に示す形態と図9に示す形態がある。
どちらの形態であっても、発明能力評価システムは、「起点情報の設定指令」と「発明分野」の入力を受けて、その入力に合致する条件の「起点情報」を記載済みのアイデアシートを外部から入手して対象者に与え、対象者がアイデアシートに記載の起点情報をもとに創作した「発明情報」が記入済みのアイデアシートを対象者から受信し、発明情報と起点情報と発明時間等をもとに、対象者の発明能力を評価して、「発明能力の評価値」を出力する。

「発明能力の総合評価値の算出手段」は、発明能力評価の対象者に対して、多様な条件で、1回以上の発明活動をさせ、その活動で発明情報が追記されたアイデアシートが評価された1回ごとの発明能力評価値を、1回分以上集計して、発明能力の総合評価値を算出して出力する。さらには、発明能力評価の対象者に与えられるべき起点情報を含んだアイデアシートを発明能力評価システムに提供させるために、そのようなアイデアシートの選定に用いる「発明分野」の情報と「起点情報の設定指令」を発明能力評価システムに与える。
ここで、「発明分野」は、国際特許分類符号(IPC)で指定しても良いし、他の体系による技術分野や産業分野の指定符号で指定しても良い。また、「起点情報の設定指令」は、対象者に提示する起点情報の記述形式を指定する指令である。起点情報の設定指令としては、次のようなものがある。
タイプA設定指令: 記述を指定した起点情報だけをアイデアシートに記述する。
タイプB設定指令: 記述を指定した起点情報およびその前段の全部の起点情報を、アイデアシートに記述する。
タイプC設定指令: アイデアシートに一切の起点情報を記述しない。

「発明能力の総合評価値の算出手段」は、発明能力評価の対象者に対して提供する「発明創造に必要なその他の情報」の提供も管理する。例えば、「発明創造に必要なその他の情報」の情報源を、特許情報プラットフォーム(J−PlatPat)とする場合、対象者がアクセスできる情報を、特定の年月日であるD1から他の特定の年月日であるD2の間に公開公報が発行された公開特許公報に限定することもできるし、さらには請求項に特定のキーワードを含むものに限定するという限定条件を追加することもできる。さらには、各々の公開特許公報のフロントページだけに限定するということもできる。

「発明能力の総合評価値の算出手段」は、発明能力評価の対象者に対して、発明に使用する時間の制限を与えたり、発明情報の表現形式についても指定することもできる。発明に使用する時間の制限の形態としては、開始時刻と終了時刻を指定する形態もあれば、終了時刻だけを指定する形態もあるし、一定期間内のいつの時点から開始しても良いが開始したら制限時間内に終了させねばならないという制限の形態もある。
発明情報の表現形式としては、請求項の形式、機能ブロック図の形式、フローチャートの形式が考えられる。
【0058】
次に、中級レベル以上の発明能力を有する対象者についての発明能力評価の方法を、図18図19図20図10をもとに詳しく説明する。
図10の発明能力総合評価システムにおいて、「発明能力の総合評価値の算出手段」が、発明能力評価システムに与える「起点情報の設定指令」はタイプA設定指令として「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」に該当する「ベッドのマットを指定時刻に振動させる」だけを用いる。そして、「発明能力の総合評価値の算出手段」が発明能力評価システムに与える「発明分野」の指定としては、指定しないことを示す「None」とする。もしも、発明分野の指定がNoneでなかったならば、指定された分野の符号を、アイデアシートの従来技術の行の内容として記載する。

「発明能力の総合評価値の算出手段」から前記したようにタイプA設定指令の「起点情報の設定指令」と、「発明分野」の指定を受けた、発明能力評価システムは、それらを外部に送信して、それらの指定に合致する起点情報を記述したアイデアシートである図18(a)に示すものを入手する。発明能力評価システムは、入手したアイデアシートを起点情報として、発明能力評価の対象者に与える。与えた年月日時分は、図18(a)のアイデアシートの「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」の行の、作成何月日時分の記入領域に対象者への提供の時の時刻が書き込まれる。

「発明能力の総合評価値の算出手段」は、対象者に対して、「発明時間:5時間」と「発明情報の表現形式:請求項形式」との指令を与えておくので、対象者は5時間以内に図18(a)に示されるアイデアシートの発明情報の部分に記入ができるように、発明創造の活動をすることが期待される。

発明能力評価の対象者は、図18(a)のアイデアシートおよび、「発明能力の総合評価値の算出手段」が提供する「発明創造に必要なその他の情報」を用いて、発明発想を進めて、アイデアシートを作成する。このアイデアシートでは、「課題解決手段をみつける観点」から「価値観」までの上位の起点情報は、発明能力評価の対象者が自分で考えて記入する。そして、その後にアイデアシートの「発明情報」の行を記入する。その結果、図18(b)のアイデアシートが出来上がる。次に、同じ対象者は、関連発明のアイデアシートを作成するために、「価値観」の行から「問題点の原因」の行までの起点情報が、図18(b)のアイデアシートと同一のアイデアシートを2枚作成する。2枚のうちの1枚のアイデアシートでは、「原因に基づいて解決しようとする課題」の行の内容を「本人だけに音波が伝わり、本人以外には音波が伝わらないようにする。」と記述して、そこから下方に起点情報を順次に追記していき、発明情報の内容まで記入して、図19(c)のアイデアシートを作成する。次に、もう一つのアイデアシートでは、「原因に基づいて解決しようとする課題」の行の内容として、「伝わった音波が、本人においてだけ耳に大きな刺激を与えるようにする。」と記述して、そこから下方に起点情報を順次に追記していき、発明情報の内容まで記入して、図19(d)のアイデアシートを作成する。
【0059】
図20は、図18(a)に示すアイデアシートの中に示されている起点情報である「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」の内容の「ベッドのマットを指定時刻に振動させる。」をもとに、図18(b)のアイデアシートを作成し、図18(b)のアイデアシートをもとに、図19(c)と図19(d)のアイデアシートを作成することで、計3件の発明情報を作成したという、つながった思考過程をもとに、対象者の発明能力の総合評価値を算出した評価表である。

図20の評価表によると、図18(b)のアイデアシートでの発明能力評価値は38点であり、図19(c)のアイデアシートでの発明能力評価値は7点であり、図19(d)のアイデアシートでの発明能力評価値は7点であり、発明能力の総合評価値は52点=38点+7点+7点である。
ここでは、3件の発明情報が作成されたのであるが、1つの起点情報をもとに、外部からの追加の起点情報の提供無しに3件の発明情報が、同一の対象者による、つながった思考過程で作成されたので1回の発明行為と判断し、52点を3で割り算はしないで、1で割り算をして、総合評価値として52点を得た。

図20の評価表によると、図18(b)の列の発明情報の評価値は2点である。図18(b)の列に示されている「〇」印の表示は、起点情報である「観点に基づいて得た解決手段の本質作用」の行の内容を外部から提供を受けたことを示している。「〇」印が表示されている全部の行の中での配点の最小値を、外部から提供を受けたことで発明情報を作成した事についての発明能力の点として使う。すなわち、このケースでは1点である。
図20の評価表によると、図21(b)の列に示されている「☆」印の表示は、前記の「〇」印が付いている起点情報から上位方向に起点情報を、発明能力評価の対象者がアイデアシートに追記したことを示している。上位方向に起点情報を追記することは、広い知識と視野と柔軟な発想力や推理力を必要とするので、高く評価できる。したがって、「☆」印に対応する起点情報に配点されている点を合計して、発明能力評価での評価値に加えた。すなわち、(2点+3点+4点+5点+6点+7点+8点)を、発明情報の評価値である2点と、「〇」印に対応する1点に加えた。その結果、図20の評価表での図18(b)の列に関する発明能力評価の点数は、38点となった。

図20の評価表の図12(c)の列の発明情報の評価値は3点であり、外部から提供を受けた起点情報は「問題点の原因」という種別のものおよび、「価値観」という種別の起点情報までの上位の起点情報の全部である。外部から提供を受けたので、それらに対応する行には、「〇」印がついている。したがって、「〇」印が付いた起点情報への配点の最小値である4点を、発明情報の評価値である3点に加算して、発明能力評価値として7点を得た。

図20の評価表の図19(d)の列の発明情報の評価値は3点であり、外部から提供を受けた起点情報に基づいた配点の最小値は4点である。そこで、図19(d)の列での発明能力評価値として7点を得た。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、発明能力教育の分野、発明能力の高い人材や人工知能やそれらのチームを選抜する分野、発明発想支援の分野などの多くの分野で利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1: 発明能力評価システムの第2の形態
2: 発明能力評価システムの第3の形態
3: 発明能力総合評価システム
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