(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構造においては、取付部材における、ピラーを保持する部分と、フレームに当接する(固定される)部分とがシート前後方向に並んでいるため、シート前後方向にスペースを大きく取らざるを得なかった。
また、ヘッドレストを揺動可能にシートバックに固定するよりも、接合強度を高めるために溶接を施すことが考えられる。特に、ピラーとフレームとの接合をレーザー溶接によって行うことができれば、他の溶接法であるアーク溶接よりも接合時間を短くできるとともに溶接熱の発生を抑えることができる。
しかしながら、特許文献2の構造は、円筒形のピラーをフレームに溶接する必要があるため、アーク溶接には適しているがレーザー溶接には向いていなかった。すなわち、レーザー溶接においては、アーク溶接のような大きな溶接ビードが生じないため、円筒状の部材のピラーをフレームに対して固定するのが難しく、ピラーとフレームの接合強度を高めることが困難であった。
また、特許文献2の特に第5図に記載されたピラーの下端側は、シートバックフレーム本体から下方に突出しており、ピラーの下端側にパッドや表皮に触れ、これらに傷をつけることがあった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗物用シートをシート前後方向に薄型化することにある。
また、本発明の他の目的は、ピラーと取付部材との接合強度を高めることにある。
また、本発明の他の目的は、パッドや表皮に傷をつけることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、シートバックフレームと、該シートバックフレームの上方に設けられたヘッドレストと、該ヘッドレストを支持するピラーと、該ピラーを前記シートバックフレームに取り付ける取付部材と、を有する乗物用シートであって、前記ピラーは、前記取付部材と前記シートバックフレームとの間に配置されており、前記取付部材は、前記ピラーを保持する保持部と、前記シートバックフレームに取り付けられる固定部と、を有し、
前記取付部材と前記ピラーとは溶接されており、前記保持部と前記固定部とは、前記乗物用シートの前後方向に交差する方向において異なる位置に配置されていることにより解決される。
【0007】
上記構成によれば、取付部材の保持部と固定部が乗物用シートの左右において異なる位置に配置されており、シートバックフレームにピラーを取り付けるためにシート前後方向に重なる部位を減らすことできるため、乗物用シートをシート前後方向に薄型化できる。
【0008】
また、前記ピラーは、前記シートバックフレームに当接していると好ましい。
上記構成によれば、ピラーがシートバックフレームに当接しておりこれらの間に他の部材が存在しないので、乗物用シートの一層の薄型化が可能となる。
【0009】
また、前記保持部は、前記ピラーの一部の周面に沿って湾曲した形状であると好ましい。
上記構成によれば、保持部がピラーの一部の周面に沿って湾曲した形状であることで、ピラーと取付部材との間隔のばらつきが抑えられ、これらを溶接した場合に、ピラーと取付部材の接合強度を高めることができる。
【0010】
また、
シートバックフレームと、該シートバックフレームの上方に設けられたヘッドレストと、該ヘッドレストを支持するピラーと、該ピラーを前記シートバックフレームに取り付ける取付部材と、を有する乗物用シートであって、前記ピラーは、前記取付部材と前記シートバックフレームとの間に配置されており、前記取付部材は、前記ピラーを保持する保持部と、前記シートバックフレームに取り付けられる固定部と、を有し、前記保持部と前記固定部とは、前記乗物用シートの前後方向に交差する方向において異なる位置に配置されており、前記保持部には、開口部が形成されており、該開口部の縁部分は、前記乗物用シートの前後方向に交差する方向に延びており、前記開口部の縁部分に、前記ピラーと前記取付部材とを接合する溶接ビードが形成されていると好ましい。
上記構成によれば、溶接ビードが、開口部における乗物用シートの前後方向ではなく、前後方向に交差する方向に延びる縁部分に形成されているため、乗物用シートをシート前後方向に薄型化できる。
【0011】
また、
シートバックフレームと、該シートバックフレームの上方に設けられたヘッドレストと、該ヘッドレストを支持するピラーと、該ピラーを前記シートバックフレームに取り付ける取付部材と、を有する乗物用シートであって、前記ピラーは、前記取付部材と前記シートバックフレームとの間に配置されており、前記取付部材は、前記ピラーを保持する保持部と、前記シートバックフレームに取り付けられる固定部と、を有し、前記保持部と前記固定部とは、前記乗物用シートの前後方向に交差する方向において異なる位置に配置されており、前記取付部材の下端部には、前記ピラーの下端部よりも下方まで延在し、前記ピラーの下端部を前方から覆う前方カバー部が設けられていると好ましい。
上記構成によれば、前方カバー部がピラーの下端部を覆うことによって、ピラー下端部がパッドや表皮に当たってこれらに傷をつけることを抑制できる。
【0012】
また、
シートバックフレームと、該シートバックフレームの上方に設けられたヘッドレストと、該ヘッドレストを支持するピラーと、該ピラーを前記シートバックフレームに取り付ける取付部材と、を有する乗物用シートであって、前記ピラーは、前記取付部材と前記シートバックフレームとの間に配置されており、前記取付部材は、前記ピラーを保持する保持部と、前記シートバックフレームに取り付けられる固定部と、を有し、前記保持部と前記固定部とは、前記乗物用シートの前後方向に交差する方向において異なる位置に配置されており、前記取付部材の下端部には、後方に向かって延在し、前記ピラーの下端部を下方から覆う下方カバー部が設けられていると好ましい。
上記構成によれば、下方カバー部がピラーの下端部を覆うことによって、ピラー下端部がパッドや表皮に当たってこれらに傷をつけることを抑制できる。
【0013】
また、前記固定部は、線状の溶接痕が形成された部分でもよい。
上記構成によれば、レーザー溶接によって、C字やJ字のような線状の溶接痕が形成される部分で取付部材とシートバックフレームとを素早く溶接することができる。
【0014】
また、
シートバックフレームと、該シートバックフレームの上方に設けられたヘッドレストと、該ヘッドレストを支持するピラーと、該ピラーを前記シートバックフレームに取り付ける取付部材と、を有する乗物用シートであって、前記ピラーは、前記取付部材と前記シートバックフレームとの間に配置されており、前記取付部材は、前記ピラーを保持する保持部と、前記シートバックフレームに取り付けられる固定部と、を有し、前記保持部と前記固定部とは、前記乗物用シートの前後方向に交差する方向において異なる位置に配置されており、前記ピラーに対して前記乗物用シートの前後方向に交差する方向において異なる位置に設けられたストライカー部材を備え、該ストライカー部材は、前記取付部材と前記シートバックフレームとの間に配置されていてもよい。
上記構成によれば、ストライカー部材がピラーと前後方向で重ならないので、乗物用シートの薄型化が可能となる。
【0015】
また、
シートバックフレームと、該シートバックフレームの上方に設けられたヘッドレストと、該ヘッドレストを支持するピラーと、該ピラーを前記シートバックフレームに取り付ける取付部材と、を有する乗物用シートであって、前記ピラーは、前記取付部材と前記シートバックフレームとの間に配置されており、前記取付部材は、前記ピラーを保持する保持部と、前記シートバックフレームに取り付けられる固定部と、を有し、前記保持部と前記固定部とは、前記乗物用シートの前後方向に交差する方向において異なる位置に配置されており、前記取付部材は左右に2個以上設けられており、2個以上の前記取付部材の少なくとも2個を連結する連結部材が設けられていてもよい。
上記構成によれば、連結部材によって取付部材間を連結することによって取付部材の剛性を高めることができる。また、連結部材によって、アームレストボード等の取付部材間にある部材の前方への移動を規制することもできる。
【0016】
そして、前記連結部材は、線状のワイヤ部材であってもよい。
上記構成によれば、連結部材がワイヤ部材であることで、他部材との干渉を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、乗物用シートをシート前後方向に薄型化できる。
また、本発明によれば、ピラーと取付部材とを溶接した場合に、ピラーと取付部材の接合強度を高めることができる。
また、本発明によれば、パッドや表皮に傷をつけることを抑制できる。
また、本発明によれば、溶接痕が形成される部分で、取付部材とシートバックフレームとを素早く溶接することができる。
また、本発明によれば、取付部材の剛性を高めることができ、取付部材間にある部材の前方への移動を規制することができる。
また、連結部材が他部材と干渉することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る乗物用シートの構成について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0020】
なお、以下の説明中、「前後方向」とは、乗物用シートに着座する着座者から見たときの前後方向を意味し、一般的な乗物の走行方向と一致する方向である。「左右方向」とは、乗物用シートの横幅方向を意味する。「高さ方向」とは、乗物用シートの高さ方向を意味し、乗物用シートを正面から見たときの上下方向と一致する。
【0021】
<車両用シートセットの基本構成について>
まず、本実施形態に係る乗物用シートとしてのサイドシートSa及びセンターシートSbを備える車両用シートセットSSの基本構成について
図1を参照して説明する。なお、
図1は、本発明の第1実施形態に係る後席用の車両用シートセットSSを示す斜視図である。
本実施形態に係る車両用シートセットSSは、3人が着座可能な一般的な車両用シートセットと外観上は略同じ構成であり、
図1に示すように、両側にあるサイドシートSaと、中央にあるセンターシートSbとから構成されている。
【0022】
サイドシートSa及びセンターシートSbは、シートバックS1,S1a及びヘッドレストS3,S3aをそれぞれ有し、シートクッションS2を共有している。また、サイドシートSa及びセンターシートSbのそれぞれは、その外面に表皮2を備える。
特に、センターシートSbのシートバックS1aには、サイドシートSaに着座する着座者の腕を置くことが可能なアームレスト1が取り付けられており、アームレスト1を前方に引き出し可能に格納するアームレスト格納部1aが形成されている。
詳細には、アームレスト格納部1aは、センターシートSbに形成された凹部であり、略上下方向であるシートバックS1aに沿う方向の長さがシート左右方向の長さよりも長く形成されている。
アームレスト1は、アームレスト格納部1aの下側に架け渡された水平軸を中心として、前後方向に回動可能に取り付けられている。
【0023】
<サイドシート及びセンターシートの内部構成について>
次に、
図2及び
図3を主に参照して、サイドシートSa及びセンターシートSbの内部に設けられたシートバックフレーム10,10a及びアームレストボード25について説明する。なお、
図2は、
図1に示された車両用シートセットSSの一部の表皮2及び図示せぬクッションパッドを取り除き、シートバックフレーム10,10a等を露出させた状態を示す斜視図、
図3は、シートバックフレーム10aに取り付けられるアームレストボード25を示す斜視図である。
【0024】
サイドシートSa及びセンターシートSbは、シートバックS1,S1aの骨格として機能するシートバックフレーム10,10a、及びヘッドレストS3の骨格として機能して支持するヘッドレストフレーム20,20aをそれぞれの内部に備える。
特に、センターシートSbのシートバックフレーム10aを構成する部材であり、上端部においてシート左右方向に延在する上部フレーム10bには、
図5に示して後述するストライカー部材26が後述するブラケット21によって取り付けられている。このストライカー部材26は、図示せぬベルトが取り付けられ、このベルトが車体に固定又は固定解除されることで、車両用シートセットSSの立設状態又は倒伏状態に変更可能とするものである。詳細には、ストライカー部材26は、1本のパイプで形成されており、図示せぬベルトが取り付けられるように形成された環状部26aと、隣接するように形成された両端部26bと、を有する。そして、ストライカー部材26は、ブラケット21が上部フレーム10bに取り付けられた状態で、環状部26aが上部フレーム10bの後方側に配置され、両端部26bが上部フレーム10bの前側に配置されるように、ブラケット21の後面に溶接されている。
【0025】
ヘッドレストフレーム20,20aと後述するブラケット21,22とは、アーク溶接によって接合されており、シートバックフレーム10,10aの上部フレーム10bとブラケット21,22とは、レーザー溶接によって接合されている。なお、上部フレーム10bとブラケット21,22との固定(接合)方法は、レーザー溶接に限られず、ボルト・ナット、タッピングネジ又はカシメピン等によって成されるものでもよい。
【0026】
そして、
図2及び
図3に示すように、センターシートSbが備えるシートバックフレーム10aの前面側には、アームレスト格納部1aの化粧板として機能するアームレストボード25が取り付けられている。
アームレストボード25は、板状に形成されて、短尺側がシート左右方向に、長尺側が略上下方向であるシートバックS1aに沿う方向に向くように、シートバックフレーム10aに取り付けられている。
詳細には、アームレストボード25は、本体部25aと、本体部25aの上端側から前側に屈曲して延在する折返し部25bと、折返し部25bの先から上方に屈曲して延在する屈曲形状部25cと、から構成されている。
【0027】
本体部25aは、アームレストボード25がシートバックS1aに取り付けられた状態、且つ、アームレスト1が格納された状態において、アームレスト1の後面に対向する位置にある。
折返し部25bは、アームレストボード25がシートバックS1aに取り付けられた状態、且つ、アームレスト1が格納された状態において、アームレスト1の上面に対向する位置にある。
屈曲形状部25cは、本体部25a及び折返し部25bよりも幅狭に形成されており、アームレストボード25がシートバックS1aに取り付けられた状態において、ヘッドレストフレーム20aを構成する2本のピラー20bの間に位置している。アームレストボード25は、車両の事故等の際に、屈曲形状部25cが
図4に示して後述するワイヤ部材27に当接することによって、ワイヤ部材27よりも前方への移動することを制限される。
【0028】
<ブラケットについて>
次に、
図4〜
図6を主に参照して、ヘッドレストフレーム20,20a等を上部フレーム10bに取り付けるための取付部材としてのブラケット21,22について説明する。なお、
図4は、
図2のIV部を示す図であって、ヘッドレストフレーム20aを取り付けるブラケット21,22を示す斜視図、
図5は、
図4のV方向からブラケット21,22及びストライカー部材26を示す図であって、ストライカー部材26の取付状態を示す斜視図、
図6は、ブラケット21を示す斜視図である。
【0029】
ブラケット21,22は、前述のように、ヘッドレストフレーム20,20a等を上部フレーム10bに取り付けるための部品である。ブラケット21は、ヘッドレストフレーム20aのピラー20bの1本に1個取り付けられている。一方、ブラケット22は、ヘッドレストフレーム20aのピラー20bの1本に1個、2個のヘッドレストフレーム20のそれぞれを構成する2本のピラー20bのそれぞれに1個ずつ、計5個取り付けられている。また、ブラケット21及びブラケット22のそれぞれを構成する後述する下方カバー部21gに角張ったC字状に形成された連結部材としてのワイヤ部材27の端部が接合されている。つまり、ブラケット21及びブラケット22は、ワイヤ部材27によって連結されている。
【0030】
このワイヤ部材27は、アームレストボード25及びブラケット21,22がシートバックフレーム10aに取り付けられた状態において、アームレストボード25の屈曲形状部25cの前方に配置されるようにブラケット21,22に接合されている。ワイヤ部材27は、上述のようにアームレストボード25の移動を制限できる。さらに、ワイヤ部材27は、ヘッドレストフレーム20aによって上部を接合されたブラケット21とブラケット22との下部を連結することで、ブラケット21とブラケット22の接合強度が高められている。なお、ブラケット21,22を連結するワイヤ部材27は、体積が少ないため、軽量にできる点や他部材との干渉を避けることができる点で好ましい。しかしながら、この効果よりも接合強度を高めるという効果を望む場合には、ブラケット21,22を連結する部材をワイヤのような線状部材ではなく、板状部材としてもよい。
【0031】
(ブラケットの形状について)
ブラケット21は、
図6に示すように、シート左右方向両端側に形成されて上部フレーム10bに溶接される側部21aと、ストライカー部材26が溶接されるストライカー取付壁部21bと、ピラー20bが溶接されるピラー取付壁部21cと、ピラー20bの下端を下方から覆う下方カバー部21gと、から構成されている。
【0032】
詳細には、シート左右方向両端側にある側部21aは、上部フレーム10bの前面に沿うようにシート左右方向に同一平面上に延在するように形成されている。両端側の側部21aには、レーザー溶接治具へのセットの際の位置決め用のフレーム取付孔21dが左右対称の位置に形成されている。
【0033】
ストライカー取付壁部21bは、一方(
図6上において左側)の側部21aから連続して形成されて他方(
図6上において右側)の側部21aに向かって延在し、側部21aから前方に膨出し、側部21aに対して平行に形成されている。ストライカー取付壁部21bの後ろ側には、後ろ側から施されるアーク溶接による溶接ビード23aによってストライカー部材26の両端部26bが接合されている。
【0034】
ピラー取付壁部21cは、溶接ビード23とともにピラー20bを保持する保持部として機能し、ピラー20bの周面に沿うように形成されている。詳細には、ピラー取付壁部21cは、ストライカー取付壁部21bから連続して形成されて他方(
図6上において右側)の側部21aに繋がり、断面円弧状に湾曲して形成されて、ストライカー取付壁部21bから前方に膨出して形成されている。
このように、ピラー取付壁部21cがピラー20bの周面に沿うように断面円弧状に湾曲して形成されていることで、ピラー20bとピラー取付壁部21cとの間に溶接ビード23を形成するときに、溶接ビード23が均一に行き渡りやすくなり接合強度を高めることが可能となる。
【0035】
また、ピラー取付壁部21cは、ストライカー取付壁部21bとシート左右方向において異なる位置に形成されている。このため、ピラー取付壁部21cに取り付けられるピラー20b及び溶接ビード23とストライカー取付壁部21bに取り付けられるストライカー部材26及び溶接ビード23aが前後方向に重なることを避けることができる。したがって、これらの配置的な干渉を避けることができるため、センターシートSbのシート前後方向の厚みが増すことを防止できる。さらに、センターシートSbのシート前後方向の厚みが増すことを防止できれば、ピラー20b及び溶接ビード23とストライカー取付壁部21bに取り付けられるストライカー部材26及び溶接ビード23aとの位置関係は、シート左右方向において異なる位置に限定されない。例えば、シート上下方向において異なる位置等、シート前後方向に交差する方向において異なる位置であればよい。
【0036】
また、ピラー取付壁部21cにおける上下方向中央部には、上下方向に長尺に形成されて板厚方向に貫通する長孔である開口部21eが形成されている。この開口部21eによって、ピラー取付壁部21cの後ろ側にピラー20bを当接させると、ピラー20bが開口部21eからブラケット21の前面側に露出することとなる。そして、このようにピラー取付壁部21cにピラー20bを当接させた状態で、ピラー20bと開口部21eの縁部分21fとをブラケット21の前側からアーク溶接を施すことで、保持部としての溶接ビード23で、ピラー20bとブラケット21とを接合することが可能となる。
なお、開口部21eの縁部分21fは、前後方向(板厚方向)に短く、長孔状の開口部21eに沿う方向(換言すると、前後方向に交差する方向)に延在するように形成されている。このように、溶接ビード23は、前後方向ではなく、開口部21eに沿って延在することになる分、サイドシートSa及びセンターシートSbを、シート前後方向に薄型化することができる。
【0037】
特に、ブラケット21と上部フレーム10bとをレーザー溶接によって接合するためにブラケット21の後面を上部フレーム10b当接させる際に、ブラケット21の前側にある溶接ビード23の膨らみが邪魔になることがない。換言すると、溶接ビード23がブラケット21の後ろ側に形成されていないために、ピラー20bを上部フレーム10bに当接させることができる。つまり、ピラー20bと上部フレーム10bとの間に他の部材が存在しないため、サイドシートSa及びセンターシートSbの前後方向を一層薄くすることが可能となる。
【0038】
一般に、ピラー20bを上部フレーム10bに直接取り付ける場合に、上部フレーム10bの一部を潰し、潰した部分にピラー20bを取り付けることがある。この場合には、上部フレーム10bの断面係数が低下することによって剛性低下を招くこととなる。一方、本実施形態に係るブラケット21は、断面円弧状に形成されており、ピラー20bを潰さない状態でピラー20bと溶接されているため、剛性低下が生じない。
なお、ブラケット21は、ピラー20bの下端部よりも下方に長く形成されており、ピラー取付壁部21cの下端側は、ピラー20bの下端部の前方をカバーする前方カバー部21hとして機能することとなる。このように、ピラー20bの下端部を前方カバー部21hが覆うことで、ピラー20bの下端部が図示せぬクッションパッドや表皮2に擦れることでこれらに傷をつけることを抑制できる。
【0039】
下方カバー部21gは、シート左右方向両端側の側部21a、ストライカー取付壁部21b及びピラー取付壁部21cのそれぞれの下端から連続して設けられており、それぞれから折れ曲がって後方側に延在してピラー20bの下端を下方から覆うように設けられている。このように、ピラー20bの下端部を下方カバー部21gが覆うことで、ピラー20bの下端部が図示せぬクッションパッドや表皮2に擦れることでこれらに傷をつけることを抑制できる。
なお、ブラケット22については、ブラケット21のストライカー取付壁部21bがない分、シート左右方向に小さく形成されている以外はブラケット21の構成と略同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0040】
(溶接による接合について)
ブラケット21には、アーク溶接によって形成された溶接ビード23,23a,23bによって、ヘッドレストフレーム20aを構成する一方側のピラー20b、ストライカー部材26の両端部26b及びワイヤ部材27の一方側が接合されている。そして、ブラケット21の側部21aと上部フレーム10bとは、レーザー溶接によるC字状に形成された線状の溶接痕24が形成された部分によって接合されている。詳細には、溶接痕24が形成された部分のうち、レーザー溶接によって溶け出した側部21aの裏面側の部位が、ブラケット21と上部フレーム10bとを固定する固定部として機能する。なお、溶接痕24は、C字状に限らず、U字状や、O字状であってもよい。このように溶接痕が線状に形成されていることでレーザー溶接による溶接痕を容易に形成することができ、素早く効率的にレーザー溶接を行うことが可能となる。
また、ブラケット22には、アーク溶接によって形成された溶接ビード23,23a,23bによって、ヘッドレストフレーム20aを構成する他方側のピラー20b、及びワイヤ部材27の他方側が接合されており、ヘッドレストフレーム20を構成する両方側のピラー20bのそれぞれが接合されている。
【0041】
特に、ブラケット21において、ピラー20bと固定される溶接ビード23が盛られるピラー取付壁部21cと、上部フレーム10bと固定される溶接痕24が形成された部分がある側部21aとは、シート左右方向において異なる位置に形成されている。このため、溶接ビード23と溶接痕24が形成された部分とがシート前後方向に重ならないこととなり、サイドシートSa又はセンターシートSbのシート前後方向の厚みが増すことを防止できる。さらに、サイドシートSa又はセンターシートSbのシート前後方向の厚みが増すことを防止できれば、溶接ビード23と溶接痕24が形成された部分との位置関係は、シート左右方向において異なる位置に限定されず、シート上下方向において異なる位置等、シート前後方向に交差する方向に異なる位置であればよい。
【0042】
また、サイドシートSaにおいて、サイズの大きいシートバックフレーム10とは別個に、アーク溶接による溶接ビード23によってヘッドレストフレーム20をブラケット22に確実且つ容易に固定することができる。さらに、ブラケット22をシートバックフレーム10の上部フレーム10bにレーザー溶接することによって、ヘッドレストフレーム20をシートバックフレーム10に一度にまとめて容易に取り付けることが可能となる。
同様に、センターシートSbにおいても、サイズの大きいシートバックフレーム10とは別個に、アーク溶接による溶接ビード23,23a,23bによって、ヘッドレストフレーム20a、ストライカー部材26及びワイヤ部材27を、ブラケット21,22に確実且つ容易に固定することができる。
さらに、ブラケット21,22をシートバックフレーム10aの上部フレーム10bにレーザー溶接することによって、ヘッドレストフレーム20a、ストライカー部材26及びワイヤ部材27をシートバックフレーム10aに一度にまとめて容易に取り付けることが可能となる。
【0043】
また、ピラー20bをブラケット21,22とシートバックフレーム10,10aの間で完全に挟み込む構成であるため、ピラー20bの固定性が非常に優れている。しかし、固定箇所を考慮せずに挟み込む構成だと、固定のための溶接ビード23等による膨らみによってシート前後方向に厚さが増大してしまう。それを解消する手段として、ピラー20bの保持部である溶接ビード23とシートバックフレーム10aの固定部である溶接痕24が形成された部位とを左右方向において異なる位置に設けるという構成を採用した。これによって、良好な固定性とコンパクト化の両立を実現することができる。
【0044】
本実施形態において、サイドシートSaの2個のブラケット22、センターシートSbのブラケット21,22が別体であるものとして説明したが、一体として形成されるものでもよい。さらに、これらを一体として形成しつつ、ワイヤ部材27のように、アームレストボード25の移動を制限する部材として機能させるようにしてもよい。
また、ブラケット21,22をシートバックフレーム10,10aの上部フレーム10bの前面に取り付けるものとして説明したが、後面に取り付けるようにしてもよい。つまり、この場合には、ヘッドレストフレーム20のピラー20b及びストライカー部材26は、上部フレーム10bの裏面とブラケット21,22との間に配置されることとなる。
【0045】
なお、上記実施形態においては、車両の後席用のシートを例に説明したが、シートバックフレームにブラケットによってピラーを取り付ける構成のものであれば、後席用のシートに限定されない。
さらには、上記実施形態において車両用シートを例に説明したが、車両に限らず、航空機、船舶、産業機械等の乗物用シートに本発明を適用することが可能である。