特許第6807069号(P6807069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6807069
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20201221BHJP
【FI】
   A63H1/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-38802(P2020-38802)
(22)【出願日】2020年3月6日
【審査請求日】2020年4月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(73)【特許権者】
【識別番号】591056846
【氏名又は名称】株式会社東京ユニーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂東 陽平
(72)【発明者】
【氏名】前田 竹明
【審査官】 松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6377211(JP,B1)
【文献】 特許第6593819(JP,B1)
【文献】 特開2020−005960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の結合要素が形成された胴部と、第2の結合要素が形成された軸部とを備え、胴部
と軸部とを軸心方向から突き合わせた状態で第1の結合要素の上面と第2の結合要素の
下面とを当接させることで前記胴部と前記軸部とが結合され、外部衝撃が前記胴部に作用した際に前記胴部と前記軸部とが相対回転し所定位置で結合が解除されて分解される構造を有するコマ玩具であって、
前記胴部に固定された固定ブレードと、
前記胴部に設けられ、前記固定ブレードのコマ回転方向の下流側当該固定ブレードに隣接して配置され、付勢部材の付勢力により動作して常態で前記固定ブレードのコマ回転方向の下流側端を半径方向外方に露出させない第1位置を取るとともに、外部衝撃により動作して前記コマ玩具の半径方向内方へ動作して前記固定ブレードの下流側端を露出させる第2位置とを取り得る可動部材と、
前記可動部材の前記半径方向内方に配置され、前記軸部と一体的に前記胴部に対して相対回転する部分と、を備え、
前記可動部材には、半径方向内方への動作時に前記部分に当接して前記軸部の相対回転を阻止又は制動する相対回転規制片が形成されている、
ことを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記可動部材は、前記胴部の外周に沿って延在し、コマ回転方向の下流側部分で前記軸心と平行な所定の軸を中心に回動可能に構成され、コマ回転方向の上流側部分で前記固定ブレードのコマ回転方向の下流側端を半径方向外方に露出させないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記部分は、前記胴部に設けられ、前記胴部と前記軸部との結合の際に前記軸部に係合されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記部分は、前記胴部及び前記軸部とは独立したパーツであって、前記胴部と前記軸部との結合の際に前記軸部に係合されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記固定ブレード、前記可動部材及び前記付勢部材が取り付けられた部分は、天地逆にして前記胴部の他の部分に着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関するもので、特にバトルゲームに好適なコマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コマ玩具を使用したバトルゲームとして、コマ玩具を互いに衝突させ、その衝撃力によって相手方コマ玩具を分解させたりして勝敗を決めるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6377211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなコマ玩具では、相手方コマ玩具と接触する外周の形状が真円に近いほど、相手方コマ玩具から受ける衝撃力が小さくなるとともに、相手方コマ玩具に与える衝撃力も小さい。反対に、外周の凹凸の起伏が大きい程、相手方コマ玩具から受ける衝撃力が大きくなるとともに、相手方に与える衝撃力も大きい。そのため、外周の凹凸の起伏が大きいコマ玩具の場合、回転中にコマ玩具の胴部同士が当たったときに、コマ玩具の減速の点はともかく、軸部と胴部の相対回転が急速に進行してしまい、分解までの時間が早まってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、分解までの時間を遅らせることができるコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
第1の結合要素が形成された胴部と、第2の結合要素が形成された軸部とを備え、胴部
と軸部とを軸心方向から突き合わせた状態で第1の結合要素の上面と第2の結合要素の
下面とを当接させることで前記胴部と前記軸部とが結合され、外部衝撃が前記胴部に作用した際に前記胴部と前記軸部とが相対回転し所定位置で結合が解除されて分解される構造を有するコマ玩具であって、
前記胴部に固定された固定ブレードと、
前記胴部に設けられ、前記固定ブレードのコマ回転方向の下流側当該固定ブレードに隣接して配置され、付勢部材の付勢力により動作して常態で前記固定ブレードのコマ回転方向の下流側端を半径方向外方に露出させない第1位置を取るとともに、外部衝撃により動作して前記コマ玩具の半径方向内方へ動作して前記固定ブレードの下流側端を露出させる第2位置とを取り得る可動部材と、
前記可動部材の前記半径方向内方に配置され、前記軸部と一体的に前記胴部に対して相対回転する部分と、を備え、
前記可動部材には、半径方向内方への動作時に前記部分に当接して前記軸部の相対回転を阻止又は制動する相対回転規制片が形成されている、
ことを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段であって、前記可動部材は、前記胴部の外周に沿って延在し、コマ回転方向の下流側部分で前記軸心と平行な所定の軸を中心に回動可能に構成され、コマ回転方向の上流側部分で前記固定ブレードのコマ回転方向の下流側端を半径方向外方に露出させないようにしたことを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段であって、前記部分は、前記胴部に設けられ、前記胴部と前記軸部との結合の際に前記軸部に係合されるものであることを特徴とする。また、第4の手段は、第1の手段又は第2の手段であって、前記部分は、前記胴部及び前記軸部とは独立したパーツであって、前記胴部と前記軸部との結合の際に前記軸部に係合されるものであることを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第1の手段〜第4の手段のいずれかであって、前記固定ブレード、前記可動部材及び前記付勢部材が取り付けられた部分は、天地逆にして前記胴部の他の部分に着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコマ玩具によれば、コマ玩具の攻撃力を上げながら、分解までの時間を遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るコマ玩具の斜視図である。
図2】コマ玩具の分解斜視図である。
図3】コマ玩具における軸部の分解斜視図である。
図4図3の軸部の半部を示した断面図である。
図5】上胴部を上方から見た分解斜視図である。
図6】上胴部を下方から見た分解斜視図である。
図7】上胴部の模式的平面図である。
図8】上胴部の模式的底面図である。
図9】下胴部を上方から見た分解斜視図である。
図10】下胴部の模式的平面図である。
図11】下胴部の模式的底面図である。
図12】軸部を胴部に組み付ける作業を説明する分解斜視図である。
図13】可動部材の作用を示した模式的平面図である。
図14】可動部材の作用の他の態様を示した模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のコマ玩具を図面に示した実施形態に基づいて説明する。なお、下記説明では、コマ玩具が正立している状態で説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るコマ玩具1の斜視図、図2は、コマ玩具の分解斜視図である。
本実施形態のコマ玩具1は、いわゆるバトルゲームに使用することが可能なコマ玩具である。このコマ玩具1は、互いの衝突による衝撃力で相手方のコマ玩具1を分解させて勝利とするようなバトルゲームに使用される。
このコマ玩具1は軸部10と胴部20とによって構成されている。
【0014】
(軸部10)
図3は、コマ玩具1における軸部10の分解斜視図である。
軸部10は、接地する回転軸11aを有している。回転軸11aの上には円柱体11bが付設されている。円柱体11bの周面上端には半径方向外方へ張り出す爪11c,11cが形成されている。回転軸11a及び円柱体11bは軸部10の下部構造体11を構成し、この下部構造体11には張出し部11d,11dが形成されている。
また、軸部10は円筒体12を有している。この円筒体12の外周下端にはフランジ12aが形成されるとともに、周壁からフランジ12aに亘って角孔12b,12bが形成されている。さらに、円筒体12の周壁には突出部12c,12cが形成されている。
また、軸部10は環体13を有している。この環体13の下端外周には鉤形状の脚13a,13aが形成されている。また、環体13の天井壁中央に孔13bが形成され、その一部に切欠き13c,13cが形成されている。さらに、天井壁上面には半径方向に延びる突条13d,13dが形成されている。
【0015】
図4は、軸部10の半部を示した断面図である。
この軸部10は、図4に示すように、下部構造体11の円柱体11bにコイルスプリング14を巻回させ、その上から、爪11c,11cと切欠き13c,13cとを合致させるようにして環体13を円柱体11bに篏合させ、さらに、脚13a、13aと角孔12b,12bとを合致させるようにして円筒体12を被せ、張出し部11d,11dを通したネジ(図示せず)を突出部12c,12cに螺合させることによって組み上げられる。
【0016】
このように構成された軸部10では、環体13がコイルスプリング14によって上方へ付勢され、脚13a、13aが角孔12b,12bの上縁に突き当たることによって環体13の上動が規制される。
【0017】
(胴部20)
胴部20は、図2に示すように、上胴部20aと下胴部20bによって構成されている。上胴部20aと下胴部20bとは重畳されて1つの胴部20を構成している。上胴部20aと下胴部20bとはきつく嵌合することによって一体化される。また、上胴部20aと下胴部20bとは手で取り外すことができる。
【0018】
1.上胴部20a
図5は、上胴部20aを上方から見た分解斜視図、図6は、上胴部20aを下方から見た分解斜視図である。
上胴部20aは、周面にブレード31aを有する上部環体31と、周面にブレード32aを有する下部環体32を備えている。これらの環体31,32は致心して配置されている。
【0019】
上部環体31の下面には軸孔31bが形成され、その軸孔31bには、可動部材33の軸33aが挿入されている。可動部材33は、周面にブレード33bを有し、内周面に相対回転規制片33cを備えている。この可動部材33は、上部環体31に支持される軸33aを中心にして回動可能に支持される。この可動部材33は、コイルスプリング34によって外方へ付勢され、上胴部20aのブレード31aの一部を成す。
【0020】
下部環体32には内周面から内方に張り出す支持板32bが形成されている。この支持板32bには、弧状孔32cが形成されている。この下部環体32はネジ38によって上部環体31に取り付けられる。また、下部環体32には、支持板32b,32bの間に差し渡すように係止されるカバープレート35が取り付けられる。すなわち、カバープレート35の下面には、図6に示すように、下方に向けて爪35bが付設されている。そして、この爪35bを孤状壁32cに挿入することで、弧状孔32cの縁と爪35bとが係合され、下部環体32にカバープレート35が取り付けられる。これによって、上部環体31及び下部環体32とカバープレート35との間には弧状孔40aが形成される。
【0021】
カバープレート35の中心には孔35cが形成され、その周囲には弧状孔35dが形成されている。そして、弧状孔35dには円板体36の爪36bが挿入される。また、円板体36の中心の孔36aには係止板37の下側のボス37aが差し込まれる。そして、カバープレート35の孔35cに下方から挿入させたねじ(図示せず)よって、カバープレート35に円板体36及び係止板37が組み付けられる。このように組み付けられた円板体36の爪36bは弧状孔35d内で回動が許容される。
【0022】
図7は、上胴部20aの模式的平面図、図8は、上胴部20aの模式的底面図である。これらの図に示すように上胴部20aは組み上がる。
【0023】
続いて、上部環体31と下部環体32との間に設けられる可動部材33について説明する。
可動部材33は、図13に示すように、上胴部20aの外周方向に延在し、コマ回転方向前側部分の軸33aを中心に上胴部20aに対して回動可能に取り付けられ、コイルスプリング34によって外方へ向けて付勢されている。可動部材33の先端外縁は、外方に位置するときには、コマ回転方向直後に隣設された、上胴部20aの固定のブレード31a,32aのコマ回転方向前端を半径方向外方に露出させない位置を取る(図13における左側の可動部材33)。そして、この可動部材33は、外力(相手方コマ玩具による衝撃)によって内方に回動され、相対方向規制片33cが胴部20の弧状孔40aに突入する(図13における右側の可動部材33)。このときには、可動部材33の先端外縁は、コマ回転方向直後に隣設された、上胴部20aのブレード31a,32aのコマ回転方向前端を半径方向外方に露出させる(図13における右側の可動部材33)
【0024】
なお、このコマ玩具1は、時計方向のみならず反時計方向にも使用できるような構成となっている。すなわち、上部環体31及び下部環体32の組立体は、カバープレート35、円板体36及び係止板37の組立体を取り除いた状態で天地逆にして装着することができる。天地逆にした場合、可動部材33の向きは逆となる。この上に、カバープレート35よりも上の部分が取り付けられる。
上部環体31及び下部環体32の組立体を天地逆にした場合には、カバープレート35、円板体36及び係止板37の組立体をそのまま装着することができない。円板体36の爪36b,36bの位置を変える必要があるからである。理由は、コマ回転方向に応じて爪36b,36bと後述の歯52fとの位置関係を変えるためである。位置関係を変えないと、軸10と胴部20との結合の際の回転が変わるため、もし円板体36の爪36b,36bの位置を変えないと、爪36bと爪11cとが噛み合った状態のときに、上手く歯52fと突条13dとが噛み合わなくなるからである。
そのため、上部環体31及び下部環体32の組立体を天地逆にして使用するときには、円板体36の爪36bを弧状孔35d内で回転させ、コマ回転方向後側の端に係合させる必要がある。なぜなら、カバープレート35に円板体36及び係止板37の組立体をそのまま装着し直すと、支持板32bの上面に爪36bが当たってしまうからである。
その後、図8に示すように、下部環体32の弧状孔32cにカバープレート35の爪35bを挿入し、カバープレート35の爪35bが弧状孔32c内のコマ回転方向前側の端で係合するよう回転させる。
【0025】
2.下胴部20b
下胴部20bは、図9に示すように、外枠51、内枠52、フライホイール53、環体54及び環状円板55を備えている。
【0026】
外枠51は環状に形成されている。この外枠51には下方から内枠52が嵌まり込む。その際に、外枠51の起立部51aの爪孔51bに内枠52の爪52aが入り込む。これによって、内枠52は外枠51に固定される。
【0027】
内枠52は、中央に孔52bが形成されるとともに、孔52bの外側には、孔52bと同心的に弧状孔52c,52cが形成されている。また、各環状孔52cの長手方向中央位置には孔52bの内方に向けて張り出す突出片52dが形成されている。突出片52dの先端部は下方に折れ曲がっており、この折曲げ部の下端には摺接部を構成する歯52fが複数形成されている。この内枠52には下方からフライホイール53が組み付けられる。その際に、フライホイール53の各舌片53bが対応する弧状孔52cに挿入される。
【0028】
フライホイール53は環状に形成されている。フライホイール53の上面には、上方に膨らむ膨出部53a,53aが形成されている。各膨出部53aの下にはフライホイール53の下方及び内方に開口する凹部53c,53cが形成されている。また、フライホイール53の上面には、各膨出部53aの直ぐ外側に上方に延びる舌片53bが形成されている。フライホイール53は弧状スリット52c,40aの範囲で移動可能となっている。
【0029】
環体54は、図8に示すように、内周に歯54aが形成されるとともに、外周面にブレード54bが形成されている。この環体54はフライホイール53を取り囲むようにして配置され、上方に位置する内枠52の突片52e,52eによって上方への抜けが防止されている。この環体54の下には環状円板55が取り付けられる。
【0030】
環状円板55には、凹部55a,55aが形成されている。そして、外枠51との間に内枠52、フライホイール53及び環体54を挟んだ後に、外枠51のボス51cを環状円板55の対応する孔55bに篏合させることによって組み付けられる。
【0031】
なお、環状円板55の凹部55aには、係止ブロック56が付設可能となっている。係止ブロック56の外側には歯56bが形成され、上面にはピン56aが付設されている。この係止ブロック56は、コイルスプリング56cによって上方へ付勢され、ピン56aが外枠51の角孔51dに嵌合し、角孔51dの上方に突出している。ピン56aの上端部は、上胴部20aの下部環体32の切欠き32e(図6図8)に係合可能となっている。つまり、下部環体32と環状円板55とが第1回転位置関係にあるときにピン56aの上端部が下部環体32の切欠き32eに係合してコイルスプリング56cの付勢力によって上方に動作し、下部環体32と環状円板55とを第1回転位置関係から両者を相対的に180度回転させた第2回転位置関係ではピン56aの上端部が下部環体32の切欠き32eに係合せず、下部環体32の下面で係止ブロック56が下方に押し込まれる。そして、係止ブロック56が上方へ動作した際には、環体54は環状円板55に対して回転フリーとなり、係止ブロック56が下方へ動作した際には係止ブロック56の歯56bが環体54の歯54aに噛合され。環体54が環状円板55に固定される。なお、上胴部20a及び下胴部20bの各々は、中心線を中心とする点対称の構造を持つため、第1回転位置関係及び第2回転位置関係では、上胴部20aと下胴部20bとを適切に嵌合させることができる。
【0032】
(コマ玩具1の組立て)
コマ玩具1の軸部10と胴部20は、以下のようにして組み立てられる。
まず、図12に示すように、軸部10の突出部12cを下方からフライホイール53の凹部53bに合致させるようにして、軸部10を胴部20に突き合わせる。この状態は、軸部10の爪11cと胴部20の爪36bとが上下方向で重なっていない状態、すなわち結合解除状態である。その後、さらに軸部10を胴部20側に押圧する。すると、軸部10内のコイルスプリング14が撓み、軸部10の爪11cが胴部20の爪36bよりも上方に相対的に押し上げられる。そして、軸部10をフライホイール53と一体的に胴部20に対して一方向(コマの回転と逆方向)に回動させる。すると、軸部10の爪11cと胴部20の爪36bとが上下で重なった状態となる。この状態で軸部10から手を離すと、軸部10内のコイルスプリング14の付勢力によって、軸部10の爪11cの下面と胴部20の爪36bの上面とが当接される。この状態、すなわち軸部10の爪11cの下面と胴部20の爪36bの上面とが当接された状態が結合状態である。これにより、軸部10と胴部20とが結合され、コマ玩具1が組み立てられる。このコマ玩具1の組立て状態では、軸部10の突条13dと内枠52の歯52fとが当接する。
【0033】
(遊び方)
続いて、コマ玩具1同士のバトルについて以下に説明する。
弧状孔40aに挿入されたフォークを回転させることによってコマ玩具1が回転付勢される。そして、相手方コマ玩具1に衝突すると、衝突による衝撃力や擦れ等によって、胴部20には、軸部10の回転方向とは反対の方向の力が作用し、それによって、胴部20が軸部10の回転方向に対して反対の方向に相対回転させられる。
このとき、軸部10と胴部20との間には、軸部10の突条13dと内枠52の歯52fとの当接によって、軸部10内のコイルスプリング14の付勢力による摩擦抵抗が生じているが、衝突による衝撃力が作用する毎に、胴部20に対して軸部10が相対回転して噛み合い位置を変更する。そして、結合解除位置、軸部10と一体的に回動されるフライホール53の舌片53bが弧状孔40aの一方端に達すると、胴部20の爪36bが軸部10の爪11cから外れるため、軸部10内のコイルスプリング14の付勢力によって胴部20の全体が軸部10から離反して分解される。
【0034】
(可動部材33の動作)
また、可動部材33が相手方コマ玩具1からの衝撃によって内方に回動されると、可動部材33の相対回転規制片33cが弧状孔40aに入り込む。このとき、フライホイール53の舌片53bが図13に示す位置にあると、可動部材33の相対回転規制片33cがフライホイール53の舌片53bの進路の前側に突入し、フライホイール53ひいては軸部10と胴部20との相対回転が阻止される。このときには、可動部材33の先端外縁は、コマ回転方向直後に隣設された、上胴部20aのブレード31a,32aのコマ回転方向前端を半径方向外方に露出させる(図13における右側の可動部材33)。
【0035】
また、可動部材33が内方に回動され、可動部材33の相対回転規制片33cが弧状孔40aに入り込んだときに、胴部20の弧状孔40a内に位置するフライホイール53の舌片53bが図14(A)に示す位置にあると、可動部材33の相対回転規制片33cが舌片53bに圧接され、フライホイール53ひいては軸部10と胴部20との相対回転が抑制される。このときには、可動部材33の先端外縁は、コマ回転方向直後に隣設された、上胴部20aのブレード31a,32aのコマ回転方向前端を半径方向外方に一部露出させる。
【0036】
また、胴部20の弧状孔40a内に位置するフライホイール53の舌片53bが図14(B)に示す位置にあるときに可動部材33が内方に回動された場合には、可動部材33の相対回転規制片33cは舌片53bの突き当ることなく弧状孔40aに突入するが、舌片53bが通り去った後なので相対回転には影響しない。このときには、可動部材33の先端外縁は、コマ回転方向直後に隣設された、上胴部20aのブレード31a,32aのコマ回転方向前端を半径方向外方に露出させる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、可動部材を所定の軸を中心に回動可能に構成したが、可動部材を半径方向に直線的に往復動するようにしてもよい。要は、コマ回転方向後側の固定ブレードの角が露出することである。これによって、攻撃力をアップした状態で軸部と胴部との相対回転を抑制し、分解されにくいコマ玩具を実現できる。
【0038】
また、上記実施形態では、軸部と一体的に回転する部分(フライホイール)を胴部20に設けたが、予め軸部に固定されているか、当該部分は、胴部及び軸部とは独立したパーツであって、胴部と軸部との結合の際に軸部に係合されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 コマ玩具
10 軸部
11c 爪(結合要素)
20 胴部
20a 上胴部
20b 下胴部
31a ブレード
32a ブレード
33 可動部材
33c 相対回転規制片
34 コイルスプリング
36b 爪(結合要素)
53 フライホイール
【要約】
【課題】分解までの時間を遅らせることができるコマ玩具を提供すること。
【解決手段】 外部衝撃が胴部20に作用した際に結合が解除されて分解される構造を有するコマ玩具1であって、前記胴部に固定された固定ブレード31a、32aと、胴部20に設けられ、ばね34の付勢力により動作して常態で第1位置を取るとともに、外部からの衝撃により動作して固定ブレード31a、32aの前端を露出させる第2位置とを取り得る可動部材33と、可動部材33の内方に配置され、軸部10と一体的に胴部20に対して相対回転する部分53と、を備え、可動部材33には、可動部材33の動作に伴って部分53に当接して軸部10の相対回転を阻止又は制動する相対回転規制片33cが形成されている。
【選択図】図7
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