(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つのウェルに対応した前記投光部と前記受光部と前記受光用導光路との組は、少なくとも前記マイクロプレートのウェルの数だけ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロプレートリーダー。
前記1つの投光部に隣接する前記投光部から放出された光が、前記1つの投光部に対応する前記1つの受光用導光路に入射することを制限する制限部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロプレートリーダー。
前記受光用導光路の少なくとも一部に、前記顔料含有樹脂を構成する光透過特性を有する樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のマイクロプレートリーダー。
前記受光用導光路は、光透過特性を有する樹脂からなり、平坦部とこの平坦部から柱状に伸びる柱状部材とからなることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載のマイクロプレートリーダー。
前記平坦部と前記柱状部材との接続部分に、当該接続部分側の径が前記柱状部材の先端部分側の径よりも大きくなるように段差部が設けられていることを特徴とする請求項16に記載のマイクロプレートリーダー。
前記受光用導光路は、光透過特性を有する樹脂からなり、平坦部とこの平坦部から柱状に伸びる柱状部材とからなることを特徴とする請求項18に記載のマイクロプレートリーダーユニット。
前記平坦部と前記柱状部材との接続部分に、当該接続部分側の径が前記柱状部材の先端部分側の径よりも大きくなるように段差部が設けられていることを特徴とする請求項19に記載のマイクロプレートリーダーユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1(特開2014−41121号公報)に記載されたマイクロプレートリーダーは、1回の光測定毎に都度、マイクロプレートを走査させるための駆動機構が必須となり、装置自体が大がかりとなる。
そのため、ライフサイエンス分野におけるポイントオブケア(POCT)検査のような分野で要請される装置の小型化への対応は難しい。
【0007】
また、上記特許文献2(特開2009−103480号公報)に記載されたマイクロプレートリーダーは、携帯可能な程度に小型化されてはいるが、マイクロプレートを挿入する空間に対して外光がノイズ光として入射するおそれがあり、各ウェルに収容されている試料の光測定を高精度に行うことができない。
【0008】
そこで、本発明は、小型化が可能であり、マイクロプレートの各ウェルに収容された試料全ての光測定を高精度に行うことができるマイクロプレートリーダーを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るマイクロプレートリーダーの一態様は、筐体と、前記筐体内において、配置される複数のウェルを有するマイクロプレートの一方の側に配置され、前記マイクロプレートの1つのウェルに対応した投光部と、前記マイクロプレートを挟んで前記投光部とは反対側に配置され、前記マイクロプレートの1つのウェルに対応した受光部と、前記受光部と前記マイクロプレートとの間に配置され、前記投光部から放出され、前記ウェルに収容された試料を通過した光を、前記受光部へ導光する
、光透過特性を有する樹脂または空洞からなる受光用導光路と、を備え、1つのウェルに対応した前記投光部と前記受光部と前記受光用導光路との組が複数設けられていて、前記受光用導光路の複数を、光を吸収する特性を有する顔料を含有する顔料含有樹脂によりなる包囲部材により包囲し、前記受光用導光路に入射した光のうち直進光を取り出す導光部をさらに備え、1つの前記投光部から放出された光は、1つの前記受光用導光路を通過して1つの前記受光部に到達する。
【0010】
このように、1つのウェルに投光部と受光部と受光用導光路とが対応して設けられており、投光部と受光部と受光用導光路との組が複数設けられている。そして、受光用導光路の複数を、外光や散乱光を吸収可能な顔料含有樹脂により包囲した導光部をさらに備える。したがって、外光や散乱光等が迷光(ノイズ光)となって受光部に入射されることを抑制することができる。そのため、迷光の多重散乱等に対応した複雑な光学系が不要となり、光学系を小型化することができる。また、複数の投光部から放出された光が1つの受光用導光路を通過して1つの受光部に到達しないようにすることができるため、適切に測定誤差を低減することができる。したがって、高精度な測定が可能となる。
【0011】
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記1つのウェルに対応した前記投光部と前記受光部と前記受光用導光路との組は、少なくとも前記マイクロプレートのウェルの数だけ設けられていてもよい。
この場合、マイクロプレートの各ウェルに収容される試料の全ての光測定をほぼ同時に行うことが可能となり、測定時間を短縮することができる。また、従来のようなマイクロプレートを走査させるための複雑な駆動機構等が不要であるため、小型化を実現することができる。
【0012】
さらに、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記1つのウェルに対応した前記投光部と前記受光部と前記受光用導光路との組は、前記マイクロプレートのウェルの数より少なく、前記マイクロプレートの全てのウェルに対応するように、前記投光部と前記受光部と前記受光用導光路との組に対して、前記マイクロプレートを相対的に逐次移動させる移動機構を有していてもよい。
この場合、投光部と受光部と受光用導光路との組をマイクロプレートの全てのウェルに対応させて設ける必要がなく、大幅に小型化することができる。また、投光部と受光部と受光用導光路との組に対してマイクロプレートを相対的に逐次移動させることで、マイクロプレートの各ウェルに収容される試料の全ての光測定を行うことが可能である。
【0013】
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記1つのウェルに対応した前記投光部と前記受光部と前記受光用導光路との組は、前記マイクロプレートの一つの辺のウェルの数だけ設けられており、前記移動機構は、前記投光部と前記受光部と前記受光用導光路との組に対して、前記マイクロプレートを、前記一つの辺に直交する方向にのみ相対的に逐次移動させてもよい。
この場合、移動機構による移動を1軸方向のみの移動とすることができる。そのため、移動機構の構造を簡略化することができ、安価に構成することができる。また、薄型化を実現することができるので、例えばインキュベータ内の培養空間などの限られた空間内にも設置することが可能となる。
【0014】
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、複数の前記投光部の発光部が配置される発光面と、前記受光用導光路の光軸とが交わる点をo、前記発光面から前記受光用導光路の前記受光部側の端面までの距離をLa、前記受光用導光路の光路長をLb、前記受光用導光路の幅をdとするとき、前記投光部は、当該投光部の発光部が、前記発光面において、前記点oを中心とし、下式により定義される半径rの円領域内に1つのみ存在するように配置されていてもよい。
r=d(La/Lb−1/2)
このように、マイクロプレートから受光部へと光を導光する受光用導光路の形状をもとに、投光部の配置位置を規定してもよい。この場合、受光用導光路を包囲する顔料含有樹脂によって吸収されずに直接受光部に到達する可能性のある光を放出する投光部は、1つの受光部に対して1つのみとすることができる。つまり、隣接する他の投光部からの光が、受光用導光路を包囲する顔料含有樹脂によって吸収されずに外光として直接受光部に到達することを防止することができる。したがって、測定誤差を適切に低減することができる。
【0015】
さらに、上記のマイクロプレートリーダーは、前記1つの投光部に隣接する前記投光部から放出された光が、前記1つの投光部に対応する前記1つの受光用導光路に入射することを制限する制限部材をさらに備えてもよい。
このように、制限部材を配置することで、1つの受光部に到達する光を放出する投光部が1つのみとなるようにすることができる。したがって、測定誤差を適切に低減することができる。
【0016】
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記制限部材は、前記導光部の前記投光部側に配置され、前記試料を通過した光を前記受光用導光路へ入射させる当該受光用導光路の光入射端の開口よりも小さい開口部を有するアパーチャ板であってもよい。
このように、アパーチャ板を配置することで、受光用導光路に入射する光の角度成分を制限することができる。また、この場合、アパーチャ板に設けられた開口部の大きさを適宜設定することで、受光用導光路への光の入射範囲を容易に調整することができる。
【0017】
さらに、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記制限部材は、前記受光用導光路の内壁に設けられ、前記受光用導光路の幅を制限する突出部であってもよい。
このように、受光用導光路の内壁に突出部を設けることで、受光用導光路に入射する光、もしくは受光用導光路から出射する光を適切に制限することができる。また、この場合、突出部の大きさを適宜設定することで、受光用導光路の幅を容易に調整することができる。
【0018】
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記制限部材は、互いに隣接する前記投光部の間に配置された遮蔽部材であってもよい。
このように、投光部間に遮蔽部材を配置することで、1つの投光部から放出された光が隣接する投光部の表面に到達して反射され、当該隣接する投光部に対応するウェルに入射してしまうといった不具合が発生することを防止することができる。
【0019】
さらにまた、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記受光部の上方に前記導光部が配置され、前記導光部の上方に配置された前記マイクロプレートの上方に、前記投光部が配置されていてもよい。
このように、マイクロプレートリーダーは、受光部の上に導光部を配置し、導光部の上にマイクロプレートを配置し、マイクロプレートの上方に投光部を配置する構造とすることができる。この場合、受光部および導光部を筐体内に固定しておき、試料を収容したマイクロプレートを導光部上に載置し、マイクロプレートの上方を投光部で覆うようにすればよい。したがって、セッティングが容易なマイクロプレートリーダーとすることができる。
【0020】
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、複数の前記投光部への給電回路を有し、前記投光部が電気的に接続された投光用基板と、複数の前記受光部への給電回路を有し、前記受光部が電気的に接続された受光用基板と、をさらに備えてもよい。
この場合、複数の投光部への電力供給を、配線パターンが形成された1枚のプリント基板によって実現することができる。同様に、複数の受光部への電力供給を、配線パターンが形成された1枚のプリント基板によって実現することができる。したがって、マイクロプレートリーダーの小型化が図れる。
【0021】
さらに、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記投光部は、発光ダイオードであってもよい。発光ダイオード(LED)は小型であるため、投光部を適切に各ウェルに1つずつ対応させて設置することが可能である。また、LEDは比較的安価であるため、マイクロプレートリーダーを低コストで実現することができる。
さらに、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記受光部は、受光センサであってもよい。この場合、受光部をカラーセンサとすることが可能であり、容易に測定データを得ることができる。
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記受光部は、光ファイバであってもよい。この場合、複数の光ファイバによって導光された光を画像センサにより取り込み、画像データとして光測定データを取得することもできる。この場合、全ウェルに対応した光測定データを一括して同時にデータ処理することが可能となる。
【0022】
さらにまた、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記受光用導光路の少なくとも一部に、前記顔料含有樹脂を構成する光透過特性を有する樹脂が充填されていてもよい。
この場合、受光用導光路と包囲部材との界面における光の反射や散乱を抑制することができる。したがって、より効果的に迷光による測定誤差を抑制することができる。
【0023】
さらに、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記受光用導光路は、光透過特性を有する樹脂からなり、平坦部とこの平坦部から柱状に伸びる柱状部材とからなるように構成してもよい。
このように構成することで、平坦部から入射する光の散乱を抑制することができる。
また、上記のマイクロプレートリーダーにおいて、前記平坦部と前記柱状部材との接続部分に、当該接続部分側の径が前記柱状部材の先端部分側の径よりも大きくなるように段差部が設けられていてもよい。
このように構成することで、外光の影響を抑制することができる。
【0024】
また、本発明に係るマイクロプレートリーダーユニットの一態様は、マイクロプレートの1つのウェルに対応した投光部を有する単位光源ユニット部と、マイクロプレートの1つのウェルに対応した受光部と、前記投光部から放出され、対応する前記ウェルが収容する試料を通過した光を、前記受光部へ導光する
、光透過特性を有する樹脂または空洞からなる受光用導光路と、前記受光用導光路を、光を吸収する特性を有する顔料を含有する顔料含有樹脂によりなる包囲部材により包囲し、前記受光用導光路に入射した光のうち直進光を取り出す導光部と、を有する単位導光ユニット部と、を備え、1つの前記単位導光ユニット部が有する前記受光用導光路を通過して前記受光部に到達する光は、1つの前記単位光源ユニットが有する前記投光部から放出された光である。
これにより、小型化が可能であり、マイクロプレートの各ウェルに収容された試料全ての光測定を高精度に行うことができるマイクロプレートリーダーを構成することができる。
【0025】
さらに、上記のマイクロプレートリーダーユニットにおいて、前記受光用導光路は、光透過特性を有する樹脂からなり、平坦部とこの平坦部から柱状に伸びる柱状部材とからなるように構成してもよい。
このように構成することで、平坦部から入射する光の散乱を抑制することができる。
また、上記のマイクロプレートリーダーユニットにおいて、前記平坦部と前記柱状部材との接続部分に、当該接続部分側の径が前記柱状部材の先端部分側の径よりも大きくなるように段差部が設けられていてもよい。
このように構成することで、外光の影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のマイクロプレートリーダーは、小型化が可能であり、マイクロプレートの各ウェルに収容された試料全ての光測定を高精度に行うことができる。
上記した本発明の目的、態様及び効果並びに上記されなかった本発明の目的、態様及び効果は、当業者であれば添付図面及び請求の範囲の記載を参照することにより下記の発明を実施するための形態(発明の詳細な説明)から理解できるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10の概略構成図である。また、
図2は、マイクロプレートリーダー10の主要部の構成を示す分解斜視図である。
マイクロプレートリーダー10は、投光用基板11aと、測定用基板11bと、複数の光源(投光部)12aと、複数の受光センサ(受光部)12bと、導光プレート部(導光部)13と、筐体15と、電源部16と、給電ケーブル17a、17bと、を備える。
【0029】
投光用基板11a、測定用基板11b、複数の光源12a、複数の受光センサ12b、導光プレート部13、電源部16および給電ケーブル17a、17bは、上方に開口部を有する筐体15内に配置され、固定されている。本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10は、
図2に示すように、測定用基板11bに複数の受光センサ12bが設けられ、当該測定用基板11bの上に導光プレート部13が設けられ、筐体15内における導光プレート部13の上部にマイクロプレート20が設置可能に構成されている。
また、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10は、導光プレート部13の上部に設置されたマイクロプレート20の上方に、投光用基板11aが配置されるよう構成されている。投光用基板11aには複数の光源12aが設けられており、投光用基板11aは、光源12aがマイクロプレート20に対向するように配置される。
【0030】
(マイクロプレート)
マイクロプレート20は、例えばアクリル、ポリエチレン、ポリスチレン、ガラス等からなる平板状の部材である。
図2に示すように、マイクロプレート20は、例えば長方形状の平板であり、表面に多数のウェル21が設けられている。ウェル21の形状は、例えば平底を有する円柱形状である。また、ウェル21の数は、6個、24個、96個、384個、1536個等であり、容量は数μリットル〜数mリットルである。
図2に示すマイクロプレート20は、8×12の96ウェルのマイクロプレートである。
【0031】
(投光部および受光部)
光源12aは、光を放出する投光部であり、投光用基板11aの一方の表面(下部表面)に配置される。受光センサ12bは、光を受光する受光部であり、測定用基板11bの一方の表面(上部表面)に配置される。光源12aは、例えば発光ダイオード(LED)であり、受光センサ12bは、例えばRGBカラーセンサである。光源12aは、例えばチップLED(表面実装型LED)とすることができる。この場合、1つの光源12aは、複数の発光部(発光点)を有するチップLEDを含む。
マイクロプレートリーダー10は、光源12aおよび受光センサ12bを、それぞれマイクロプレート20のウェル21と同じ数だけ備える。つまり、マイクロプレート20の1つのウェル21に対し、1つの光源12aおよび1つの受光センサ12bが対応して設けられている。例えば
図2に示すように、マイクロプレート20のウェル21が96個ある場合、投光用基板11aには96個の光源12aが設けられ、測定用基板11bには96個の受光センサ12bが設けられる。
【0032】
(投光用基板および測定用基板)
投光用基板11aは、光源12aが接続される光源用電源ラインを有する。複数の光源12aは、投光用基板11aに設けられた光源用電源ラインに接続され、光源用電源ラインから電力を得ている。投光用基板11aの光源用電源ラインには、電源部16から給電ケーブル17aを介して電力が供給される。
同様に、測定用基板11bは、受光センサ12bが接続されるセンサ用電源ラインを有する。複数の受光センサ12bは、測定用基板11bに設けられたセンサ用電源ラインに接続され、センサ用電源ラインから電力を得ている。測定用基板11bのセンサ用電源ラインには、電源部16から給電ケーブル17bを介して電力が供給される。
【0033】
複数の光源12aは、例えば
図3に示すように、光源用電源ラインに対し並列に接続されている。また、同様に複数の受光センサ12bは、例えば
図3に示すように、センサ用電源ラインに対し並列に接続されている。
光源12aおよび受光センサ12bに接続される給電用の配線部は、それぞれ2つである。そのため、本実施形態のように投光部および受光部がそれぞれ96個設けられる場合は、384個の配線が必要となる。このように膨大な配線をコンパクトにまとめるために、投光用基板11aおよび測定用基板11bは、上記配線のパターン(給電回路)が形成されたプリント基板として構成される。なお、測定用基板11bには、受光センサ12bへの給電回路のみならず、センサ出力回路やセンサ出力の外部への通信回路等が設けられていてもよい。
【0034】
(導光プレート部)
導光プレート部13は、受光用導光路13aを備える。受光用導光路13aは、投光用基板11aに設けられた光源12aから放出され、マイクロプレート20のウェル21に入射し、後述するようにウェル21に収容された試料30等を通過して放出される光を受光センサ12bに導光する。
導光プレート部13は、受光用導光路13aを、マイクロプレート20のウェル21と同じ数だけ備える。つまり、マイクロプレート20の1つのウェル21に対し、1つの受光用導光路13aが対応して設けられる。例えば
図2に示すように、マイクロプレート20のウェル21が96個ある場合、導光プレート部13は、96個の受光用導光路13aを備える。
【0035】
受光用導光路13aは、導光プレート13上にマイクロプレート20が載置された場合に、受光用導光路13aの光入射端が、マイクロプレート20のウェル21の底面に対応する位置に配置されるように、導光プレート部13に設けられている。すなわち、図示を省略した位置決め手段により、マイクロプレート20は、各ウェル21の底面が、受光用導光路13aの光入射端に対向する位置に位置決めされる。また、受光用導光路13aは、当該受光用導光路13aの光出射端が、測定用基板11bに設けられた受光センサ12bに対応する位置に配置されるように、導光プレート部13に設けられている。
また、光源12aは、上記のように位置決めされたマイクロプレート20の上方に投光用基板11aが設置された場合に、マイクロプレート20の各ウェル21に対応する位置に配置されるように、投光用基板11aに設けられている。
【0036】
測定用基板11b上に導光プレート部13が配置され、導光プレート部13上にマイクロプレート20が配置され、マイクロプレート20上に投光用基板11aが配置された状態では、光源12a、受光用導光路13aの光入射端、受光用導光路13aの光出射端および受光センサ12bは、鉛直方向に一列に配置される。そのため、例えば、384ウェルのマイクロプレートのようにウェル自体が小型である場合であっても、投光部、受光部および導光部を、各ウェル21にそれぞれ対応させて配置することができ、適切な光測定が可能である。
なお、光源12a、受光用導光路13aの光入射端、受光用導光路13aの光出射端および受光センサ12bの配置は、厳密に鉛直方向に一列である必要はなく、光源12aから放出され、マイクロプレート20のウェル21に収容された試料30等を通過して放出される光が、受光センサ12bに到達可能な配置であればよい。
【0037】
受光用導光路13aは、光源12aから放出され、マイクロプレート20のウェル21に収容された試料30等を通過して放出される光に対して透明な樹脂(例えば、シリコーン樹脂)により構成される。また、受光用導光路13aは、顔料含有樹脂からなる包囲部材13bにより包囲されている。ここで、顔料含有樹脂は、光透過特性を有する樹脂(例えば、シリコーン樹脂)に、迷光を吸収する特性を有する顔料を含有したものである。上記顔料は、例えば、黒色顔料であるカーボンブラック等を採用することができる。
【0038】
本実施形態では、受光用導光路13aを構成する透明な樹脂と、顔料含有樹脂を構成する光透過性を有する樹脂との材質を同じにする。これにより、両樹脂の界面での反射および散乱が抑制される。また、顔料含有樹脂に入射した迷光は、その顔料含有樹脂で吸収され、受光用導光路13aにほとんど戻らず、迷光の複雑な多重反射がほとんど発生しない。
図4に示すように、受光用導光路13aに侵入する外光等のノイズ光L11のうち、受光用導光路13aの光軸と同方向に進む成分は非常に少なく、大部分は、受光用導光路13aと顔料含有樹脂からなる包囲部材13bとの界面から顔料含有樹脂へと入射し、顔料により吸収される。このとき、上記界面での反射は、受光用導光路13aを構成する透明な樹脂と、包囲部材13bを構成する顔料含有樹脂との材質を同じとすることにより、発生しない。
【0039】
なお、顔料に入射する外光やその散乱光は、当該顔料によりほぼ吸収されるが、わずかながら顔料表面で散乱される。しかしながら、その散乱光は、再度顔料含有樹脂からなる包囲部材13bへと入射する場合が多く、顔料含有樹脂の顔料により吸収されることになる。
したがって、
図4に示すように、受光用導光路13aから取り出される光の大部分は、受光用導光路13aの光軸に沿った直進光L1となる。
【0040】
ところで、受光用導光路13aの断面積や光路長の設定によっては、顔料表面によりわずかながら散乱される散乱光の一部が、受光用導光路13aの光出射端から放出される場合がある。そのため、受光用導光路13aの断面積や光路長を適宜設定し、その強度を測定に影響しない程度にまで減衰することが好ましい。
受光用導光路13aの光入射端の面積が大きくなると、受光用導光路13aへ入射する光量は大きくなる。よって、当該光入射端の面積が大きくなると、受光用導光路13aを進む直進光の強度も、受光用導光路13aの光入射端で散乱して光出射端へと散乱光として到達する外光の強度も大きくなる。
【0041】
本発明者らは、受光用導光路13aの光入射端の面積に対する直進光の強度依存性、および外光の強度依存性を調査した。その結果、受光用導光路13aの直径の増加に対する外光の強度の増加量は、測定光の強度の増加量よりも大きいことがわかった。
つまり、受光用導光路13aの光入射端の面積が狭いほど、S/N比が向上することがわかった。具体的には、光入射端から光出射端までの距離(L)に対する、受光用導光路13aの光入射端の面積(A)の平方根の比(√A/L)が、0.4以下であると、S/N比が十分に高い光測定が可能となることがわかった。
したがって、受光用導光路13aの断面積や光路長は、上記の条件を満たすように設定することが好ましい。これにより、散乱光の光測定への悪影響を適切に抑制することができる。
【0042】
(投光用基板における光源の配置)
上述したように、マイクロプレート20の1つのウェル21には、1つの光源12aおよび1つの受光センサ12bが対応して配置される。すなわち、1つの光源12aから放出される光が、マイクロプレート20のウェル21が収容する試料30に照射され、試料30とウェル21とを通過して受光用導光路13aに入射し、当該受光用導光路13aから放出される光が1つの受光センサ12bによりセンシングされる。
この1つの光源12aに隣接する他の光源12aから放出される光の一部が、試料30およびウェル21を通過して受光用導光路13aに外光として入射した場合であっても、その光の殆どは、
図4に示すように、受光用導光路13aと顔料含有樹脂からなる包囲部材13bとの界面から顔料含有樹脂へと入射し、顔料により吸収される。
【0043】
しかしながら、
図5に示すように、受光用導光路13aの縦断面と導光プレート部13の光出射側の面とが交差する点をa、bとし、受光用導光路13aの縦断面と導光プレート部13の光入射側の面とが交差する点をc、dとするとき、例えば、線分adを通過する外光や、線分bcを通過する外光は、受光用導光路13aと包囲部材13bとの界面に入射することなく、受光用導光路13aの外部へ放出される。
【0044】
すなわち、
図5に示すように、複数の光源12aの発光部が配置される発光面12cと受光用導光路13aの光軸Lcとが交わる点をo、線分adの延長線と発光面12cとが交わる点をq、線分bcの延長線と発光面12cとが交わる点をpとするとき、発光面12cにおいて、中心o、直径pqの円領域から放出される光の少なくとも一部は、受光用導光路13aと包囲部材13bとの界面に入射することなく、受光用導光路13aの光出射端から外部に放出される可能性がある。つまり、このような光は、顔料含有樹脂からなる包囲部材13bに入射しないため、当該顔料による吸収も行われない。
【0045】
例えば、
図6に示すように、中心o、直径pqの円領域に、2つの光源12aの発光部が配置されている場合、これら2つの光源12aから放出される光の少なくとも一部が、それぞれ顔料含有樹脂からなる包囲部材13bに入射することなく1つの受光センサ12bに到達してしまう。この場合、上記2つの光源12aのうち、一方の光源12aから放出されて上記1つの受光センサ12bに到達する光は、外光(ノイズ光)となる。そのため、結果として光測定精度が低くなってしまう。
【0046】
詳細を
図7に示す。受光用導光路13aを円筒形状と仮定し、発光面12cから受光用導光路13aの光出射面(線分ab)までの距離をLa、受光用導光路13aの光路長をLb、受光用導光路13aの直径をdとすると、中心o、直径pqの円領域の半径rは、次式により表すことができる。
r=d(La/Lb−1/2) ………(1)
つまり、発光面12cにおいて、中心o、半径rの円領域内に光源12aの発光部が1つのみ存在するように、各光源12aを投光用基板11aに配置すれば、隣接する他の光源12aからの光が外光として直接受光センサ12bに到達することはなくなる。
【0047】
そこで、本実施形態では、受光用導光路13aの形状を考慮し、各光源12aの発光部が上記円領域内に1つのみ存在するように、各光源12aの配置を規定する。これにより、隣接する他の光源12aからの光が、受光用導光路13aを包囲する顔料含有樹脂によって吸収されずに外光として直接受光センサ12bに到達することを防止することができる。そのため、例えば、384ウェルのマイクロプレートのようにウェル自体が小型であり、各ウェルに対応させて複数の光源12aを近接させて配置する必要がある場合であっても、隣接する他の光源12aからの光が測定結果に悪影響を及ぼすことを防止し、測定誤差を適切に低減することができる。
なお、各ウェル21の中心と各受光用導光路13aの光軸Lcとが一致する場合、各ウェル21のピッチをPとすると、P>2rである方が好ましい。この場合、各受光用導光路13aにそれぞれ対応する上記円領域が重複することがなくなる。そのため、マイクロプレート20のウェル21のピッチPを考慮して、上記円領域に光源12aの発光部分が1つのみ存在するように配置することが好ましい。
【0048】
次に、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10のセッティング方法について説明する。
図8に示すように、筐体15内部に測定用基板11b、複数の受光センサ12b、導光プレート部13、電源部16および給電ケーブル17bが固定された状態のマイクロプレートリーダー10に対して、作業者は、
図9に示すように、各ウェル21に試料30が収容されたマイクロプレート20を設置する。このとき、マイクロプレート20は、導光プレート部13上に載置される。また、このときマイクロプレート20は、各ウェル21の底面が、受光用導光路13aの光入射端に1つずつ対向する位置に配置するように、位置決めされる。
【0049】
次に、
図10に示すように、作業者は、マイクロプレート20の上方に投光用基板11aを設置する。このとき、作業者は、投光用基板11a上の複数の光源12aが、それぞれ1個ずつマイクロプレート20の各ウェル21に対応した位置に配置されるように、投光用基板11aをマイクロプレート20の上方に設置する。ここで、投光用基板11a上の複数の光源12aは、当該投光用基板11aをマイクロプレート20の上方に位置合わせしたときに、マイクロプレート20の各ウェル21に対応した位置に配置されるように、予め隣接する光源12aとの間の距離が設定されている。具体的には、各光源12aは、上述した中心o、半径rの円領域内に光源12aの発光部が1つのみ配置されるように、隣接する光源12aとの間の距離が設定されている。なお、投光用基板11aは、不図示の位置決め部材により上下方向に位置決めがなされるようにしてもよい。
【0050】
作業者は、投光用基板11aをマイクロプレート20の上方に設置した後、投光用基板11aと電源部16とを給電ケーブル17aにより接続する。その後、作業者は、不図示の電源スイッチ等を操作して、電源部16から給電ケーブル17a、17bを介して各光源12aおよび各受光センサ12bへ電力を供給する。これにより、各光源12aから光が放出される。
【0051】
各光源12aから放出された光は、マイクロプレート20の各ウェル21に収容された試料30を通過する。各ウェル21を通過した光は、導光プレート部13の各受光用導光路13aを通過して受光センサ12bによって受光される。このようにして、試料30の光学特性(例えば、吸光特性)が測定される。
受光センサ12bによる測定結果は、光強度情報として、不図示のデータ通信部を介して外部装置に送信可能であってもよい。この場合、外部装置は、上記の光強度情報をもとに、試料30の光学特性を測定する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10は、水平配置されるマイクロプレート20の上方に配置され、マイクロプレート20の1つのウェル21に対応した投光部としての光源12aと、水平配置されるマイクロプレート20の下方に配置され、マイクロプレート20の1つのウェル21に対応した受光部としての受光センサ12bとからなる組を、マイクロプレート20のウェル21の数だけ有する。また、マイクロプレートリーダー10は、受光センサ12bとマイクロプレート20との間に配置され、光源12aから放出されウェル21に収容された試料30を通過した光を受光センサ12bへ導光する受光用導光路13aと、受光用導光路13aを顔料含有樹脂により包囲する包囲部材13bと、を有する導光プレート部13を備える。さらに、マイクロプレートリーダー10は、1つの受光用導光路13aを通過して受光センサ12bに到達する光は、1つの光源12aから放出された光であるように構成されている。
【0053】
このように、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10によれば、マイクロプレート20の各ウェル21全てに対応して、当該ウェル21に収容される試料30に光を照射するための光源12aと、当該試料30から放出される光を計測する受光センサ12bが設けられている。
従来、マイクロプレート20の各ウェル21全てに対応して光源および受光センサを設けるという発想はなく、1回の光測定毎に都度、マイクロプレート20を走査させ、複数回の測定によって全てのウェル21の光測定を行っていた。そのため、全てのウェル21の光測定には時間を要していた。
本実施形態では、従来のように1回の光測定毎にマイクロプレート20を走査させることなく、1回の測定でマイクロプレート20の各ウェル21に収容される試料30の全ての光測定をほぼ同時に行うことが可能である。したがって、測定時間を短縮することができる。また、マイクロプレート20を走査させるための複雑な駆動機構等が不要であるため、装置サイズを小さくすることが可能である。
【0054】
また、導光プレート部13は、透明な樹脂(シリコーン樹脂)により構成される受光用導光路13aを、外光や散乱光を吸収可能な顔料含有樹脂からなる包囲部材13bにより包囲した構成を有する。したがって、上記外光や散乱光からのノイズ光(迷光)の影響を抑制することが可能である。
特に、上記透明な樹脂と、顔料含有樹脂との材質を同じにすることにより、両樹脂の界面での反射や散乱を適切に抑制することができる。つまり、顔料含有樹脂に入射した迷光は当該顔料含有樹脂により吸収され導光路に殆ど戻らず、迷光の複雑な多重反射がほとんど発生しない。また、受光用導光路13aの断面積や光路長を適宜設定することにより、外光の影響を著しく抑制することもできる。
【0055】
すなわち、装置内部に外光が進入したとしても、導光プレート部13における受光用導光路13aにおいて、外光の影響は著しく減衰される。よって、マイクロプレートリーダー内部の光学系に対して厳密にノイズ光対策を行う必要がなく、また、そのノイズ光対策のために装置自体が大がかりになることもない。
以上のようなシリコーン樹脂を用いたモノリシックな光学系の技術を、SOT(Silicone Optical Technologies)と呼称する。本実施形態では、SOT構造をマイクロプレートリーダーの光学系に採用することにより、外光(ノイズ光)の影響をほぼ無視することが可能となり、装置の小型化と高精度な光測定とが実現されたマイクロプレートリーダーとすることができる。
【0056】
また、マイクロプレートリーダー10は、マイクロプレート20を配置する筐体15を備える。筐体15は、例えば遮光性や断熱性を有する材料により構成することもできる。この場合、マイクロプレート20の側面から入射する外光の影響や温度の影響を抑制することができる。したがって、マイクロプレート20の端部に位置するウェル21の測定データの信頼性を確保することができる。
【0057】
さらに、光源12aは、発光面12cにおいて、
図7に示す点oを中心とし、上記(1)式により定義される半径rの円領域内に1つのみ存在するように配置されている。つまり、1つの受光センサ12bに直接光を入射可能な領域内には、1つの光源12aしか配置されないようにしている。このように、受光用導光路13aの形状をもとに光源12aの配置位置を規定することで、1つの受光センサ12bに複数の光源12aから放出された光が入射されることを防止している。つまり、1つの受光用導光路13aを通過して受光センサ12bに到達する光が、1つの光源12aから放出された光となるようにしている。
したがって、例えば、384ウェルのマイクロプレートのようにウェル自体が小型であり、ウェルの中心間距離が短く(例えば4.5mm)、各ウェルに対応させて複数の光源12aを近接させて配置する必要がある場合であっても、迷光の影響を抑制して適切な光測定が可能である。
【0058】
以上のように、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10は、POCT検査等の分野において携帯可能な程度に小型化され、マイクロプレート20の各ウェル21に収容された試料30全ての光測定を短時間で高精度に行うことができる。
【0059】
なお、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10は、上述したように、マイクロプレート20の各ウェル21全てに対して、ほぼ同時に測定データを取得することが可能である。しかしながら、測定データの処理は、必ずしも同時に行うわけではなく、例えば、1回のデータ処理は8つのウェルに対して行い、これを12回行う場合もある。この場合、データ処理時間がある程度かかってしまう。
【0060】
そこで、マイクロプレートリーダー10は、各ウェル21に対応する測定データを、一括して同時に処理することが可能な構造であってもよい。
この場合、
図11に示すように、マイクロプレートリーダー10は、各ウェル21に収容される試料30から放出され、受光用導光路13aによって導光される光を、光ファイバ51で受光する構造であってもよい。つまり、受光部として、受光センサ12bの代わりに光ファイバ51の先端(入射端)51aを配置するようにしてもよい。
【0061】
各ウェル21に対応した受光用導光路13aを通過した光を受光する各光ファイバ51は、光出射端側で束ねることができる。この場合、各光ファイバ51を束ねた光ファイバ束から出射される光は、画像センサ52により取り込むことができる。画像センサ52により取り込まれた画像データは、マイクロプレート20の全ウェル21に対応した光測定データであり、当該画像データを演算処理することにより、全ウェル21に対応した光測定データを一括して同時にデータ処理することが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態においては、マイクロプレートリーダー10は、受光センサ12bからなる受光部の上に導光プレート部13を配置し、導光プレート部13の上にマイクロプレート20を配置し、マイクロプレート20の上に光源12aを配置する構造である場合について説明した。つまり、上述したマイクロプレートリーダー10は、マイクロプレート20のウェル21の上方から光を照射し、ウェル21を通過した光をウェル21の底面側で受光する構造である。
しかしながら、マイクロプレート20のウェル21の下方から光を照射し、ウェル21を通過した光をウェル21の上方で受光する構造であってもよい。
【0063】
(第二の実施形態)
次に、本発明における第二の実施形態について説明する。
上述した第一の実施形態では、所定のウェル数(96ウェル)のマイクロプレートに対応したマイクロプレートリーダーについて説明した。第二の実施形態では、ウェル数が異なるマイクロプレートに対応したマイクロプレートリーダーについて説明する。
例えば、マイクロプレートを用いて細胞培養を行い、培養した細胞に対する光測定を行う場合、ウェル数の少ない(例えば、6ウェル)マイクロプレートが使用される。このような異なる種類のマイクロプレートに対応するために、本実施形態では、1つのウェルのみに対応した単位ユニット(マイクロプレートリーダーユニット)を用いる。
【0064】
図12は、マイクロプレートリーダーユニット18の構成例を示す図である。
この
図12に示すように、マイクロプレートリーダーユニット18は、単位光源ユニット部181と、単位導光ユニット部182と、を備える。単位光源ユニット部181は、光源181aと、光源181aが設けられた保持用基板181bと、光源用コネクタ部181cと、を備える。単位導光ユニット部182は、受光センサ182aと、受光用導光路182bと、包囲部材182cと、を備える。
ここで、光源181aおよび受光センサ182aは、上述した第一の実施形態における光源12aおよび受光センサ12bと同様である。また、受光用導光路182bおよび包囲部材182cは、上述した第一の実施形態における導光プレート部13を構成する受光用導光路13aおよび包囲部材13bと同様である。
【0065】
単位光源ユニット部181において、光源181aと光源用コネクタ181cとは、例えば保持用基板181bを挟んで略同一軸上に設けられ、両者は電気的に接続されている。また、この単位光源ユニット部181は、投光用基板111aに対して着脱可能に構成されている。
投光用基板111aは、上述した第一の実施形態における投光用基板12aと同様の基板の表面に、単位光源ユニット部181の光源用コネクタ部181cと電気的に接続可能な光源用コネクタ部112aを備えた構成を有する。投光用基板111aの基板の表面には給電回路が形成されており、光源用コネクタ部112aは、当該給電回路に電気的に接続されている。そのため、投光用基板111aの光源用コネクタ部112aに単位光源ユニット部181の光源用コネクタ部181cが装着されると、光源181aは、光源用コネクタ部181cを介して光源用コネクタ部112aと電気的に接続される。
【0066】
また、単位導光ユニット部182は、測定用基板111bに対して着脱可能に構成されている。
測定用基板111bは、上述した第一の実施形態における測定用基板11bと同様の基板の表面に、単位導光ユニット部182の受光センサ182aと電気的に接続可能なセンサ用コネクタ部112bを備えた構成を有する。投光用基板111aの基板の表面には給電回路が形成されており、センサ用コネクタ部112bは、当該給電回路に電気的に接続されている。
【0067】
投光用基板111aおよび測定用基板111bは、マイクロプレートとある一定の位置関係となるように、位置合わせされて設置される。
この三者の位置合わせ状態において、光源用コネクタ部112aおよびセンサ用コネクタ部112bは、例えば96ウェルのマイクロプレートの各ウェルに対応するよう、投光用基板111a上および測定用基板111b上にそれぞれ96個ずつ設けられている。
具体的には、光源用コネクタ部112aは、投光用基板111aにおいて、例えば
図2に示す光源12aに対応する位置に設けられている。また、センサ用コネクタ部112bは、測定用基板111bにおいて、例えば
図2に示す受光センサ12bに対応する位置に設けられている。
【0068】
単位光源ユニット部181および単位導光ユニット部182からなるマイクロプレートリーダーユニット18は、96ウェルのマイクロプレートの1つのウェルに相当する大きさを有する。単位光源ユニット部181は、投光用基板111a上に、96ウェルのマイクロプレートの各ウェルにそれぞれ対応して最大96個装着可能である。同様に、単位導光ユニット部182は、測定用基板111b上に、96ウェルのマイクロプレートの各ウェルにそれぞれ対応して最大96個装着可能である。
投光用基板111a上の96個の光源用コネクタ部112aに96個の単位光源ユニット部181をそれぞれ装着すると、光源181a、光源用コネクタ部181cおよび光源用コネクタ部112aは略同一軸上に配置され、光源181aは、マイクロプレートの96個の各ウェル21に対応する位置にそれぞれ配置される。同様に、測定用基板111b上の96個のセンサ用コネクタ部112bに96個の単位導光ユニット部182をそれぞれ装着すると、受光センサ182aは、マイクロプレートの96個の各ウェル21に対応する位置にそれぞれ配置される。
【0069】
図13は、本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10Aの一例を示す図であり、マイクロプレートリーダーユニット18のうち、単位光源ユニット部181を投光用基板111a上に複数隣接させて装着するとともに、単位導光ユニット部182を測定用基板111b上に複数隣接させて装着した場合の図である。この
図13に示すように、複数のマイクロプレートリーダーユニット18を投光用基板111aおよび測定用基板111bに接続した構造は、
図1に示す第一の実施形態におけるマイクロプレートリーダー10の一部(投光用基板11a、光源12a、測定用基板11b、受光センサ12bおよび導光プレート部13)と同様の構造となる。
したがって、96組のマイクロプレートリーダーユニット18を投光用基板111aおよび測定用基板111bに接続したマイクロプレートリーダー10Aは、
図1に示す第一の実施形態におけるマイクロプレートリーダー10と同様の構造となる。
【0070】
なお、
図12および
図13では、マイクロプレートリーダーユニット18が、1つのウェル21のみに対応した単位ユニットである例を示したが、これに限るものではなく、マイクロプレートリーダーユニット18は、複数のウェル21に対応した単位ユニットでもよい。また、マイクロプレートリーダーユニット18を構成する単位光源ユニット部181および単位導光ユニット部182の少なくとも一方が、複数のウェル21に対応していてもよい。例えば、単位導光ユニット部182を8つのウェル21に対応する単位ユニットとし、96ウェルのマイクロプレート20に対し、12個の単位導光ユニット部182を用いるようにしてもよい。
図14は、単位光源ユニット部181が1つのウェル21のみに対応しており、単位導光ユニット部182が複数のウェル21に対応している例を示している。
【0071】
本実施形態におけるマイクロプレートリーダー10Aは、光測定に使用するマイクロプレート20のウェル21の数および位置に応じて、マイクロプレートリーダーユニット18が適宜配置されてなるものである。
例えば96ウェルのマイクロプレート20を使用する場合、
図15に示すように、96組のマイクロプレートリーダーユニット18が、96個の各ウェル21にそれぞれ対応させた位置に配置される。これら96組のマイクロプレートリーダーユニット18のうち、単位光源ユニット部181は、投光用基板111aに形成された配線60aに接続され、電力が供給可能に構成される。同様に、単位導光ユニット部182は、測定用基板111bに形成された配線60bに接続され、電力が供給可能に構成される。ここで、配線60a、60bの接続方式は、マルチドロップ接続やデイジーチェーン接続を用いることができる。
【0072】
一方、6ウェルのマイクロプレート20を使用する場合、
図16に示すように、6組のマイクロプレートリーダーユニット18が、6個の各ウェル21にそれぞれ対応させた位置に配置される。この場合にも、これら6組のマイクロプレートリーダーユニット18のうち、単位光源ユニット部181は、投光用基板111aに形成された配線60aに接続され、電力が供給可能に構成される。同様に、単位導光ユニット部182は、測定用基板111bに形成された配線60bに接続され、電力が供給可能に構成される。
なお、
図16では、1つのウェル21に対して1組のマイクロプレートリーダーユニット18を配置する場合について説明したが、1つのウェル21に対して複数組のマイクロプレートリーダーユニット18を配置してもよい。この場合、1つのウェル21に対応する複数組のマイクロプレートリーダーユニット18の測定データの統計を、当該1つのウェル21に対する測定データとして採用してもよい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態におけるマイクロプレートリーダーユニット10Aは、マイクロプレート20のウェル21の数および位置に応じて、マイクロプレートリーダーユニット18を投光用基板111aおよび測定用基板111b上の必要な位置に必要な数だけ配置する構成を有する。したがって、異なるウェル数のマイクロプレート20に対応したマイクロプレートリーダーとすることができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、マイクロプレートリーダーユニット18は、投光部と受光部と導光プレート部とを備える場合について説明したが、投光部を構成する光源181aおよび受光部を構成する受光センサ182aにそれぞれ接続された配線を有する基板までを含むようにしてもよい。この場合、マイクロプレート20のウェル21の数および位置に対応させてマイクロプレートリーダーユニット18を配置した際に、当該ユニットを構成する上記基板が、電源部に接続された給電ケーブルに接続可能な構成であればよい。
【0075】
(変形例)
上記各実施形態において、受光用導光路(13a、182b)を透明な樹脂により構成する場合について説明したが、これら受光用導光路は空洞であってもよい。その場合、受光用導光路とそれを包囲する顔料含有樹脂からなる包囲部材(13b、182c)との界面における迷光反射の抑制効果は得られないものの、顔料含有樹脂に入射した迷光は当該顔料含有樹脂によって吸収されるので、迷光の複雑な多重反射はある程度抑制される。
【0076】
また、上記各実施形態において、マイクロプレート20のウェル底面が平板形状である場合について説明した。ウェル底面が平板形状の場合、導光プレート部13との接触性が良いため好ましいが、ウェル底面の形状は、必ずしも平板形状でなくてもよい。
例えば
図17に示すように、マイクロプレート20のウェル22の底面の形状が球面であってもよい。この場合、受光用導光路13aの光入射端とウェル22の底面との間には、僅かな間隙が形成されるため、外光が入射するおそれがある。しかしながら、受光用導光路13aの断面積および光路長を適宜設定することにより、外光の強度は測定結果に影響しない程度にまで減衰させることが可能である。
【0077】
さらに、上記各実施形態においては、投光部(光源)と受光部(受光センサ)とを1組ずつ個別に駆動可能な構成であってもよい。この場合、マイクロプレートのウェル数および位置に応じて、必要な数および位置の投光部と受光部とを選択的に駆動することもできる。これにより、ウェル数の異なるマイクロプレートに対応したマイクロプレートリーダーとすることができる。
また、上記各実施形態においては、投光部(光源)数、受光部(受光センサ)数とウェル数とは必ずしも一致する必要はなく、投光部数および受光部数よりも少ないウェル数のマイクロプレートを配置することもできる。
また、上記各実施形態においては、必ずしもマイクロプレートを水平配置して、その鉛直方向に投光部と受光部とを配置することに限られるものではなく、例えばマイクロプレートを垂直配置したり、マイクロプレートの斜め方向に投光部と受光部とを配置したりするなど、ウェルに収容されている試料が光測定できる範囲内で適宜変形可能である。
【0078】
さらに、上記各実施形態においては、光源としてチップLEDを用いる場合について説明したが、光源は、例えば汎用LED(レンズ付きLED)であってもよい。
図18は、汎用LEDである光源12dを備えるマイクロプレートリーダー10Bの概略構成図である。なお、
図18において、
図1に示すマイクロプレートリーダー10と同一構成を有する部分には、
図1と同一符号を付している。
【0079】
汎用LEDは、チップLEDと比較して大型のLEDである。そのため、例えば
図18の矢印L12で示すように、1つの光源(一番左の光源)12dからの光が、隣接する光源(左から2番目の光源)12dに対応するウェル21に入射しやすい。また、例えば矢印L13で示すように、1つの光源(一番左の光源)12dからの光が、隣接する光源(左から2番目の光源)12dの表面に到達して反射され、結果として隣接する光源(左から2番目の光源)12dに対応するウェル21に入射する場合もある。このように、隣接する光源12dからの光が迷光として受光用導光路13aに入射し、測定結果に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0080】
そこで、光源として汎用LEDを用いる場合、
図19に示すように、互いに隣接する光源12dの間に遮蔽部材19aを配置してもよい。この遮蔽部材19aは、1つの光源12dに隣接する光源12dから放出された光が、当該1つの光源12dに対応する受光用導光路13aに入射することを制限するための制限部材である。
遮蔽部材19aは、光源12dからの光を遮蔽する材料により構成する。例えば、遮蔽部材19aは、光を吸収する特性を有する顔料を含有する顔料含有樹脂により構成することもできる。ここで、遮蔽部材19aの配置位置や形状(長さ、厚さ)は、1つの光源12dから放出される光が、他の光源12dに対応するウェル21、ひいては受光用導光路13aに入射しないように適宜設定する。
【0081】
また、
図20に示すように、マイクロプレート20と受光センサ12bとの間に配置されている導光プレート部13と同様の構成を有する導光プレート部19bを、光源12aとマイクロプレート20との間に配置してもよい。
導光プレート部19bは、複数の光源12dにそれぞれ対応する投光用導光路191を備える。投光用導光路191は、光源12aから放出される光に対して透明な樹脂(例えば、シリコーン樹脂)により構成される。また、投光用導光路191は、顔料含有樹脂からなる包囲部材192により包囲されている。この場合、顔料含有樹脂からなる包囲部材192が、互いに隣接する光源12dの間に配置され、1つの光源12dに隣接する光源12dから放出された光が、上記1つの光源12dに対応する受光用導光路13aに入射することを制限ための制限部材として機能する。
【0082】
このように、互いに隣接する光源12dの間に制限部材を配置することで、1つの光源12dから放出される光が、他の光源12dに対応するウェル21に直接入射したり、他の光源12dの表面に反射されて当該他の光源12dに対応するウェル21に入射したりすることを防止することができる。特に、制限部材として顔料含有樹脂を用いることで、1つの光源12dから他のウェル21や他の光源12dに向かう光を適切に吸収させることができる。その結果、各光源12dからの光は、ほぼ直進光として対応する各ウェル21に収容される試料30に入射することができる。
【0083】
なお、上記制限部材は、
図21に示すように、受光用導光路13aの光源側に配置され、受光用導光路13aへの光の入射範囲を制限する開口部13cを有するアパーチャ板13dであってもよい。ここで、開口部13cは、受光用導光路13aの光入射端の開口よりも小さい開口部を有する。このように、アパーチャ板13dを配置することで、受光用導光路13aに入射する光の角度成分を制限することができる。また、この場合、アパーチャ板13dの開口部13cの大きさを適宜設定することで、受光用導光路13aへの光の入射範囲を容易に調整することができる。したがって、迷光が測定結果に及ぼす悪影響を適切に抑制することができる。
【0084】
また、上記制限部材は、
図22に示すように、受光用導光路13aの内壁に設けられ、受光用導光路13aの幅を制限する突出部13eであってもよい。このように、受光用導光路13aの内壁に突出部13eを設けることで、受光用導光路13aに入射する光、もしくは受光用導光路13aから出射する光を適切に制限することができる。また、この場合、突出部13eの大きさを適宜設定することで、受光用導光路13aの幅を容易に調整することができる。したがって、迷光が測定結果に及ぼす悪影響を適切に抑制することができる。
なお、
図22は、突出部13eを受光用導光路13aの光源側端部に設けた例を示しているが、突出部13eを設ける位置は
図22に示す位置に限定されない。
【0085】
なお、前記した導光プレート部13を、透明な樹脂(シリコーン樹脂)からなる受光用導光路13aと、この受光用導光路13aを外光や散乱光を吸収可能な顔料含有樹脂からなる包囲部材13bにより包囲する構成とする場合、当該導光プレート部13は例えば以下の手順で製造される。
図23Aに示すように、まず受光用導光路が後に形成される導光路用空洞部13fが設けられた顔料含有樹脂からなる包囲部材を成形する。
次に、
図23Bに示すように、この包囲部材13fを定盤40上に設置して前記した導光路用空洞部13fに液体状の透明樹脂13gを注入する。この透明樹脂13gを固化することで、
図23Cに示すように、透明な樹脂からなる受光用導光路13aと、顔料含有樹脂からなり前記受光用導光路13aを包囲する包囲部材13bとからなる導光プレート部13が得られる。
【0086】
発明者らがこのような手順で導光プレート部13を製作したところ、以下のような不具合が発生することが判明した。すなわち、前記した導光路用空洞13fに透明樹脂13gを注入して固化する場合、
図23Dのように、液体状の透明樹脂13gを注入した際の表面張力等の影響により、受光用導光路13aの先端部(光入射端)13hが必ずしも平坦状とはならない。このような場合、例えばこの先端部(光入射端)13hから入射する光の一部は散乱され、受光用導光路13aの光出射端から取り出される光の強度が低下する。
また、液体状の透明樹脂13gを注入した際に受光用導光路13a内で気泡が生じても、受光用導光路13aが包囲部材13bにより包囲されているので、目視で前記気泡を確認できない。そして、透明樹脂13gが固化すると、前記気泡は、受光用導光路13aにおける泡状空洞部13iとして固定される。
この泡状空洞部13iに光が入射すると散乱され、散乱光の一部は包囲部材13bに入射して吸収される。よって、受光用導光路の光出射部から取り出される光の強度は低下する。
【0087】
このような不具合を解消するために、発明者らは、以下のような手順で導光プレート部を製作した。
まず、
図24Aを示すように、透明な樹脂からなり、平坦部13jに受光用導光路となる柱状部(柱状部材)13kを設けてなる導光路用透明樹脂部材13mを成形する。この場合、導光路用透明樹脂部材13mは包囲部材13bに包囲されていないので、前記導光路用透明樹脂部材13mに泡状空洞部13iが生じているか否かは目視で確認される。また、前記柱状部13kに対応する導光路用空洞部13fが設けられた顔料含有樹脂からなる包囲部材13bを成形する。
そして、包囲部材13bの導光路用空洞部13fに導光路用透明樹脂部材13mの柱状部13kが挿入されるように包囲部材13bと導光路用透明樹脂部材13mとを嵌合することにより、
図24Bに示すように、透明な樹脂からなる受光用導光路13aと、顔料含有樹脂からなり前記受光用導光路13aを包囲する包囲部材13bとからなる導光プレート部13が得られる。
なお、両者がスムーズに嵌合可能なように、導光路用透明樹脂部材13mの柱状部13kは、側面にテーパ部13nが設けられた円錐台形状とすることが好ましい。
【0088】
図24Bに示す導光プレート部13においては、当該導光プレート部13の上面に透明な樹脂からなる平坦部13jを有し、この平坦部13jの下面は光学的に連続して受光用導光路13aと接続されている。そのため、この平坦部13jを光入射側に配置することにより当該平坦部13jに入射する光の散乱は、
図23Cに示す導光プレート部13の先端部(光入射端)13hに入射する光の散乱より抑制される。そのため、導光プレート部13の受光用導光路13aの光出射端から取り出される光の強度の低下を抑制することができる。
また、受光用導光路となる導光路用透明樹脂部材13mと包囲部材13bを個別に成形するので、導光路用透明樹脂部材13mに泡状空洞部13iが生じているか否かを目視で確認することができる。泡状空洞部13iが形成されていないと確認できた導光路用透明樹脂部材13mと包囲部材13bとを組み合わせて導光プレート部13を形成することにより、泡状空洞部13iにより生じる光散乱を回避することが可能となる。
【0089】
なお、導光プレート部13へ入射する外光の影響を小さくするため、
図25Aに示すように、平坦部13jと円錐台形状の柱状部13kとの接続部分に当該接続部分側の径が柱状部13kの先端部分側の径よりも大きくなるように段差部13pを設けて、
図25Bに示すように、外光に照らされる顔料含有樹脂からなる包囲部材13bの側壁の上部13qが光出射端13r側に配置される受光センサから隠れるようにしても良い。
【0090】
(応用例)
先に説明した通り、上記各実施形態におけるマイクロプレートリーダーは、受光用導光路を、外光や散乱光を吸収可能な顔料含有樹脂によりなる包囲部材により包囲するので、外光や散乱光等が迷光(ノイズ光)となって受光部に入射されることを抑制することができる。また、複数の投光部から放出された光が1つの受光用導光路を通過して受光部に到達しないようにすることができるため、適切に測定誤差を低減することができる。したがって、高精度な測定が可能となる。
このような構造は、例えば、投光部、受光部および受光用導光路の組に対してマイクロプレートを相対的に走査させる方式(以下、「スキャン式」という。)のマイクロプレートリーダーにも適用することができる。
【0091】
スキャン式のマイクロプレートリーダーでは、マイクロプレートを相対的に走査させるための駆動機構が必須となり、一般に、装置自体が大がかりとなる。また、従来のマイクロプレートリーダーでは、迷光の複雑な多重反射が発生する場合があり、それに対応する光学系設計が必要となる。
しかしながら、上述した各実施形態の光学系構成(SOT構造)を採用することにより、従来のように多重散乱等が発生する迷光に対応する光学系設計が必要ない。SOT構造は比較的構成が簡易であるため、SOT構造を採用したスキャン式のマイクロプレートリーダーは、従来のスキャン式のマイクロプレートリーダーと比較して小型化することができる。また、SOT構造の採用により、従来と比較して測定の高精度化を図ることもできる。
【0092】
以下、スキャン式のマイクロプレートリーダーの構成について説明する。
図26および
図27は、SOT構造を採用したスキャン式のマイクロプレートリーダー10Eにおける要部を示す。ここで、
図27は、
図26のX−X断面図である。なお、上述した各実施形態と同様の構成要素については、詳細な説明を省略する。
図27に示すように、マイクロプレートリーダー10Eは、投光用基板11a´と、測定用基板11b´と、光源12a´と、受光センサ12b´と、導光プレート部13´と、を備える。測定用基板11b´には複数の受光センサ12b´が設けられており、この測定用基板11b´の上に導光プレート部13´が設けられている。導光プレート部13´は、複数の受光用導光路13a´を顔料含有樹脂からなる包囲部材13b´により包囲した構造を有する。
【0093】
導光プレート部13´の上部には、一定の間隔が設けられた隙間を挟んで投光用基板11a´が配置されており、この投光用基板11a´には複数の光源12a´が設けられている。
測定用基板11b´、導光プレート部13´および投光用基板11a´は、例えば支持部材(例えば、支柱)11cにより一体的に保持されている。
【0094】
導光プレート部13´と投光用基板11a´との間の一定の間隔が設けられた隙間には、マイクロプレート20が挿入される。すなわち、上記隙間の間隔は、マイクロプレート20が挿入可能なように、マイクロプレート20の厚みよりも大きく設定される。
上記隙間にマイクロプレート20が挿入され位置決めされた状態では、投光用基板11a´に設けられた複数の光源12a´は、当該隙間に挿入されたマイクロプレート20の所定の複数のウェル21にそれぞれ対向するように配置される。また、導光プレート部13´に設けられた複数の受光用導光路13a´や測定用基板11b´に設けられた複数の受光センサ12b´も同様に、隙間に挿入されたマイクロプレート20の所定の複数のウェル21にそれぞれ対向するように配置される。
【0095】
ここで、マイクロプレートリーダー10Eは、マイクロプレート20の一列分のウェル21と同じ数だけ、光源12a´、受光センサ12b´および受光用導光路13a´を備える。すなわち、マイクロプレート20の一列分の各ウェルにそれぞれ対応して、1つの光源12a´、1つの受光センサ12b´および1つの受光用導光路13a´が設けられる。
【0096】
この1つのウェル21に対応した光源12a´、受光用導光路13a´および受光センサ12b´の組は、マイクロプレート20のウェル21の列方向(一つの辺の方向)に複数配置される。例えば、マイクロプレート20が8×12=96ウェルを有する場合、複数配置される光源12a´、受光センサ12b´および受光用導光路13a´の組数は、8または12となる。
また、1つの光源12a´、1つの受光用導光路13a´における光入射端および光出射端、ならびに1つの受光センサ12b´は、鉛直方向に一列に配置される。さらに、複数配置される光源12a´、受光センサ12b´および受光用導光路13a´の組の配置間隔は、マイクロプレート20の各ウェル21のピッチに等しい。
【0097】
よって、導光プレート部13´と投光用基板11a´との間の隙間においてマイクロプレート20を位置決めすることにより、一列分の各ウェル21にそれぞれ対応するように、光源12a´、受光センサ12b´および受光用導光路13a´の組が配置される。
すなわち、マイクロプレート20の一列分の各ウェル21において、1つの光源12a´から放出された光は、1つのウェル21に収容された試料30等を経由して1つの受光用導光路13a´を通過し、1つの受光センサ12b´に到達する。
これにより、マイクロプレート20のウェル一列分の光測定を同時に行うことが可能となる。
【0098】
なお、光源12a´、受光用導光路13a´の光入射端および光出射端、ならびに受光センサ12b´の配置は、厳密に鉛直方向に一列である必要はなく、1つの光源12a´から放出され、マイクロプレート20の1つのウェル21に収容された試料30等を通過して放出される光が、1つの受光用導光路13a´を通過して1つの受光センサ12b´に到達可能な配置であればよい。
【0099】
そして、上記構成を有するマイクロプレートリーダー10Eにおいて、マイクロプレート20のウェル21の列方向に配置された複数の光源12a´、受光センサ12b´および受光用導光路13a´の組に対して、マイクロプレート20を、ウェル21の列方向にほぼ直交する方向に相対的に逐次移動させることにより、マイクロプレート20の全てのウェル21に対して光測定を行うことが可能となる。
例えば、8×12=96ウェルのマイクロプレート20に対して、一列8個のウェル21に対応して光源12a´、受光センサ12b´および受光用導光路13a´の組が8組設けられている場合、上記の相対的に逐次移動させる方向は、ウェル21が12個並ぶ方向となる。
【0100】
上記の相対的な逐次移動は、図示を省略した移動機構により行うことができる。移動機構は、マイクロプレート20をウェル21の列方向に直交する方向に移動させるか、鉛直方向に一列に配置された光源12a´、受光用導光路13a´および受光センサ12b´の組を互いの位置関係を保持したままウェル21の列方向に直交する方向に移動させる。
図26は、マイクロプレート20が固定されており、支柱11cにより一体的に保持される投光用基板11a´、導光プレート部13´および測定用基板11b´の組が、移動機構により逐次移動される場合を示している。
【0101】
移動機構は、例えばサーボモータやステッピングモータの制御機能を有することができる。なお、マイクロプレート20の各ウェル21のピッチが比較的大きい場合には、高精度な位置制御が不要であるため、移動機構はメカ的なストッパ等により実現することもできる。
【0102】
このように、スキャン式のマイクロプレートリーダー10Eは、マイクロプレート20のウェル21の数よりも少ない光測定部(光源12a´、受光用導光路13a´および受光センサ12b´)の組を用いて、マイクロプレート20の全てのウェル21に対する光測定を行うことができる。したがって、上述した
図1などに示すようにウェル21の数と同一の数の光測定部の組を設ける場合と比較して、装置を小型化することが可能である。
また、光測定部の組をマイクロプレート20の一列分のウェル21の数だけ設け、これら光測定部の組をウェル21の列方向に直交する方向に移動させる構成の場合、1軸方向のみの移動とすることができるので、比較的簡易に移動機構を構成することができる。光測定部の組を直交する2軸方向に移動させる場合には、例えばガイドレールを2段にするなど移動機構が高さ方向に大型化するが、1軸方向のみの移動であれば移動機構が高さ方向に大きくならないようにすることができ、結果として装置の薄型化を図ることができる。
【0103】
さらに、スキャン式のマイクロプレートリーダーの場合、マイクロプレートと光測定部の組とを相対的に移動させる必要があるため、マイクロプレートと光測定部との間に所定の隙間が形成される。そのため、この隙間の部分においては外光が侵入したり散乱光が発生したりしやすい。
しかしながら、上記のマイクロプレートリーダー10Eでは、SOT構造の導光プレート部13´を採用しており、直進光のみを取り出すことができるため、例えばマイクロプレート20の下面と導光プレート13´の上面との間に隙間が形成されていても、外光や散乱光などの迷光(ノイズ光)の影響を無視することができる。また、外光の影響を受けないため、室外でも高精度な光測定が可能となる。
このように、スキャン式のマイクロプレートリーダー10Eは、小型で高精度な光測定が可能であるため、測定対象となる試料が得られた現場(オンサイト)での光測定が可能である。例えば、港における輸入穀物に対するカビ毒検査などに適用することができる。
【0104】
なお、
図26および
図27においては、上述した
図1などに示す筐体15、電源部16、給電ケーブル17aおよび17bの図示を省略しているが、上記のように移動機構により、投光用基板11a´、導光プレート部13´および測定用基板11b´の組を移動させる場合、電源部16から投光用基板11a´や測定用基板11b´に給電するための給電ケーブル17a、17bは、投光用基板11a´、導光プレート部13´および測定用基板11b´の移動に追随可能な構成(例えば、長さ、配置)とする。
【0105】
また、上記のマイクロプレートリーダー10Eでは、投光用基板11a´、導光プレート部13´および測定用基板11b´からなる光測定部の組を逐次移動させる場合について説明したが、光測定部の組を固定し、マイクロプレート20を逐次移動させるようにしてもよい。
ただし、マイクロプレート20を移動させる場合、各ウェル21に収容された液体試料30の液面が動き、液面が安定するまでに時間を要する。そのため、マイクロプレート20を移動させるのではなく光測定部の組を移動させる方が、液面を安定させたまま保持することができ、全てのウェル21に対する光測定を短時間で完了させることができるので好ましい。
【0106】
さらに、
図26および
図27に示すマイクロプレートリーダー10Eは、マイクロプレート20の一列分のウェル21と同数の光源12a´、受光用導光路13a´および受光センサ12b´からなる光測定部の組を備える場合について説明した。しかしながら、スキャン式のマイクロプレートリーダーにおいて、光測定部の組数は、マイクロプレート20のウェル数よりも少ない数であればよく、上記に限定されるものではない。
【0107】
例えば、光測定部の組数を、マイクロプレート20の一列分のウェル21よりも少ない数とし、光測定部の組をマイクロプレート20に対して2次元的に逐次移動させるようにしてもよい。この場合にも、マイクロプレート20の全ウェルに対する光測定を行うことができる。
また、光測定部の組数を、マイクロプレート20の一列分のウェル21よりも多い数としてもよい。例えば、光測定部の組数を、マイクロプレート20の二列分や三列分といった複数列分のウェル21と同一の数とし、光測定部の組を複数列分ずつ逐次移動させるようにしてもよい。
【0108】
さらに、光測定部の組は、必ずしもマイクロプレート20の隣接するウェルにそれぞれ対応させて配置しなくてもよい。
図1などに示すようにウェル21の数と同一の数の光源12a、受光用導光路13aおよび受光センサ12bからなる光測定部の組を設ける場合、マイクロプレート20のウェル数が多いほど、光測定部のコストが嵩む。また、マイクロプレート20のウェル数が多いほど各ウェル21のピッチは狭く、光測定部のアライメントが困難になる。
【0109】
そこで、
図28に示すマイクロプレートリーダー10Fのように、光源12a´、受光用導光路13a´および受光センサ12b´の組を、1つおきに各ウェル21に対応させて配置するようにしてもよい。
このようなマイクロプレートリーダー10Fの場合、
図29Aに示すように、光源12a´、受光用導光路13a´および受光センサ12b´の組を、マイクロプレート20の各ウェル21の位置に対して、市松模様状に配置してもよい。この場合、マイクロプレート20を、
図29Aの矢印の方向に一列分移動させることにより、
図29Bに示すようにマイクロプレート20の全てのウェル21に対して光測定を行うことが可能となる。
【0110】
つまり、1回目の光測定では、
図29Aに示すように、光源12a´が対向配置されているウェル21について光測定が行われ、2回目の光測定では、
図29Bに示すように、1回目の光測定において光測定が行われなったウェル21について光測定が行われる。なお、
図29Bにおいて、黒塗りのウェル21´は、1回目に光測定が行われたウェルである。
このような構成により、ウェル数の多い、例えば各ウェル21のピッチが2.25mmである1536ウェルのマイクロプレート20の光測定にも適切に対応することができる。
【0111】
また、マイクロプレートリーダー10Fにおいては、マイクロプレート20の位置を2位置間で切り替えるだけでよいため、モータの位置制御のような複雑な制御が必要なく、移動機構を簡易なアクチュエータで安価に構成することができる。
【0112】
上記のマイクロプレートリーダー10Fは、例えばインキュベータ(培養器)内にて使用することができる。
インキュベータは、培養容器を収容する収容空間(培養空間)を内部に備える。一般に、収容空間には、複数の棚板が上下方向に離間して水平に配置されており、これらの棚板に培養容器を載置するようになっている。そのため、棚段数をかせぐためには、インキュベータ内で使用されるマイクロプレートリーダーには薄型化が要求される。
また、インキュベータの中では、できるだけウェル中の細胞(幹細胞など)に外部刺激(振動)を与えたくない。
【0113】
上述したように、マイクロプレートリーダー10Fは、1軸方向のみの移動であるため、高さ方向に大きくならない装置構成とすることができる。また、マイクロプレートリーダー10Fは、2位置間のみの移動であるため、極力、振動等の刺激を与えない最低限での走査にとどめることができる。
したがって、マイクロプレートリーダー10Fは、インキュベータ内での使用に適したマイクロプレートリーダーとすることができる。
【0114】
なお、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本発明の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本発明の技術的範囲に属する。