(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図27は、一般的な切妻屋根を有する建築物の妻側を示す概略図であり、
図28は、
図27で示したXXVIII−XXVIIIラインから見た概略拡大断面図であって、従来のケラバ通気部材を建築物に設置した状態を示す図である。
【0003】
これらの図を参照して、従来のケラバ通気部材71は、建築物1のケラバの通気に用いられ、後述する第1部材73の第1平坦部74の下面が建築物1の垂木5の上面に当接すると共に、後述する第2部材78の第2平坦部79の上面が屋根下地材8の下面に当接するように設置される。
【0004】
図29は、
図28で示した従来のケラバ通気部材を示す概略底面図であり、
図30は、
図29で示したXXX−XXXラインから見た概略断面図である。
【0005】
これらの図を参照して、従来のケラバ通気部材71は、合成樹脂を折り曲げて形成され、
図27で示した軒先3方向に延びる第1平坦部74と第1平坦部74の
図28で示した妻側2の端部に接続されて垂直下方に延びるガイド部75とからなる第1部材73と、第1平坦部74の上面に当接して、重ねて設置された2枚の中空構造板83a及び中空構造板83bと、合成樹脂を折り曲げて形成され、その下面が中空構造板83bの上面に当接する第2平坦部79と第2平坦部79の
図28で示した妻側2の端部に接続されて垂直下方に延びる垂直部80とからなる第2部材78とから構成される。
【0006】
中空構造板83aは、合成樹脂からなるプレートに多数の中空円錐台87を、
図29の破線で示したように平面視千鳥状態となるように成形加工された通気プレート86と、通気プレート86の中空円錐台87群の下面開口側全面に熱接着させた下面材85と、通気プレート86の中空円錐台87群の上面側全面に熱接着させた上面材84とから構成される。尚、中空構造板83bは、中空構造板83aと同一形状であり、中空構造体83aの上方に重ねて設置される。
【0007】
使用に際して、
図28を参照して、
図28に示した実線の矢印のように、妻側2に位置する胴縁63間に入った外気が、ケラバ通気部材71の第2部材78の垂直部80と防水紙62との間を介して、中空構造板83a及び中空構造板83bの中空円錐台87群の間を通り抜けるようにして、小屋裏10へと通気できるようになっている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるケラバ通気部材の概略正面図であり、
図2は、
図1で示したケラバ通気部材の概略背面図であり、
図3は、
図1で示したケラバ通気部材の概略平面図であり、
図4は、
図1で示したケラバ通気部材の概略底面図であり、
図5は、
図1で示したケラバ通気部材の概略右側面図であり、
図6は、
図1で示したケラバ通気部材の概略左側面図であり、
図7は、
図3で示したVII−VIIラインから見た概略断面図であり、
図8は、
図3で示したVIII−VIIIラインから見た概略断面図であり、
図9は、
図3で示したIX−IXラインから見た概略断面図であり、
図10は、
図5で示したX−Xラインから見た概略断面図であり、
図11は、
図5で示したXI−XIラインから見た概略断面図であり、
図12は、
図5で示したXII−XIIラインから見た概略断面図であり、
図13は、
図5で示したXIII−XIIIラインから見た概略断面図であり、
図14は、
図5で示したXIV−XIVラインから見た概略断面図であり、
図15は、
図1で示したケラバ通気部材を建築物に設置した状態を示す概略断面図であって、
図28に対応した図である。
【0029】
これらの図を参照して、ケラバ通気部材11は、
図15で示した建築物1のケラバの通気に用いられ、垂木5の上面と屋根下地材8の下面との間に設置され、長手方向に延びる直方体形状を有する通気本体16から構成される。
【0030】
ケラバ通気部材11の通気本体16は、例えばポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂材料より一体的に形成され、短手方向の一対の垂直対向面20(
図15で妻側2に配置)及び垂直対向面21(
図15で小屋裏10側に配置)と、
図15で示した屋根下地材8に接する上部対向面26と、
図15で示した垂木5に接する下部対向面27とを含んで構成される。合成樹脂材料より一体的に形成されることにより、通気本体16の成形が容易になるため、コスト的に有利となっている。
【0031】
通気本体16は、上部対向面26及び下部対向面27を貫通する開口24と、開口24と外方とを連通する通気手段30である複数の通気路31及び通気路32と、開口24に連通していない複数の通気路33とが更に形成されている。
【0032】
図3等においては、通気本体16は、後述する配置の仕方に従って長手方向に連続して形成されている。ここでは、
図3を参照して、通気本体16は、長手方向に延びる第1本体部14と、長手方向に延びる一点鎖線を対称軸として第1本体部14と左右対称に形成された第2本体部15と、第1本体部14と第2本体部15とを連結する連結部45a及び連結部45bとを含んで構成されている。即ち、
図3で示した平面視において、通気本体16の開口24は、第1本体部14と、第2本体部15と、連結部45a及び連結部45bとによって、周囲を囲われている。
【0033】
次に、通気本体16の第1本体部14について説明する。尚、上述したように、通気本体16の第2本体部15は、一点鎖線を対称軸として第1本体部14と左右対称に形成されているので、ここでは説明を繰り返さない。
【0034】
通気本体16の第1本体部14は、通気本体16の短手方向の一対の垂直対向面20及び垂直対向面21を貫通する断面矩形形状の通気路33a及び通気路33bと、通気路33aと通気路33bとの間に形成され、通気本体16の短手方向の一対の垂直対向面20及び垂直対向面21の各々と開口24とを連通する通気手段30である複数の一対の通気路31及び通気路32と、隣接する通気路33a、通気路31、通気路32及び通気路33bの各々を仕切る仕切部分40とが更に形成されている。尚、
図3等においては、通気路31及び通気路32は、通気路31a〜通気路31c及び通気路32a〜通気路32dのみを記載しているが、後述する配置の仕方に従い、通気本体16の長手方向に連続して形成されている。又、同様に、仕切部分40は、仕切部分40a〜仕切部分40iのみを記載しているが、後述する配置の仕方に従い、通気本体16の長手方向に連続して形成されている。
【0035】
通気本体16の第1本体部14の通気路31及び通気路32のうち、通気本体16の長手方向の端部17(後述する凹部47a側)から奇数番目の通気路31a〜通気路31cにあっては、第1本体部14の一対の垂直対向面の一方側である垂直対向面20に接続する上部対向面26及び第1本体部14の一対の垂直対向面の他方側(開口24側)である垂直対向面50に接続する下部対向面27の各々が外方端部から中央部18を除いた位置まで切り欠かれている。
【0036】
通気本体16の第1本体部14の長手方向の端部17(後述する凹部47a側)から奇数番目の通気路33a及び通気路33bにあっては、通気本体16の一対の垂直対向面の一方側である垂直対向面20に接続する上部対向面26が外方端部から第1本体部14の中央部18を除いた位置まで切り欠かれ、通気本体16の一対の垂直対向面の他方側である垂直対向面21に接続する上部対向面26が外方端部から第2本体部15の中央部を除いた位置まで切り欠かれている。又、通気路33a及び通気路33bの各々は、通気本体16の第1本体部14と、第2本体部15と、第1本体部14と第2本体部15とを連結する連結部45a及び連結部45bの各々の内部に形成されている。即ち、通気路33a及び通気路33bの各々は、
図3及び
図9に示したように開口24には連通せずに、通気本体16の垂直対向面20と垂直対向面21とを貫通している。
【0037】
又、通気本体16の第1本体部14の通気路31及び通気路32のうち、通気本体16の長手方向の端部17(後述する凹部47a側)から偶数番目の通気路32a〜通気路32dにあっては、第1本体部14の一対の垂直対向面の一方側である垂直対向面20に接続する下部対向面27及び第1本体部14の一対の垂直対向面の他方側(開口24側)である垂直対向面50に接続する上部対向面26の各々が外方端部から中央部18を除いた位置まで切り欠かれている。
【0038】
このように構成することにより、
図3〜
図6、
図8及び
図10を特に参照して、通気路31a〜通気路31c及び通気路32a〜通気路32dは、上述のように垂直対向面20及び垂直対向面50の外方端部が切り欠かれて形成されているため、外方端部における通気路の断面が増加し、通気量が増加する。
【0039】
図3及び
図4を特に参照して、上述のように、通気路33a、通気路31a〜通気路31c、通気路33bの各々は、通気本体16の第1本体部14の長手方向の端部17から奇数番目に形成されている。通気路32a〜通気路32dの各々は、通気本体16の第1本体部14の長手方向の端部17から偶数番目に形成されている。即ち、通気路33a、通気路31a〜通気路31c、通気路33bの各々は、通気路32a〜通気路32dの各々と互い違いとなるように形成されている。又、
図3、
図4、
図7、
図8、
図11及び
図12を特に参照して、通気路31a〜通気路31c及び通気路32a〜通気路32dは、上述のように垂直対向面20及び垂直対向面50の外方端部から中央部18を除いた位置まで切り欠かれて形成されている。又、通気路33a及び通気路33bは、上述のように垂直対向面20及び垂直対向面21の外方端部から切り欠かれて形成されている。このように形成することにより、通気本体16の上部対向面26が
図15で示した屋根下地材8により上方から当接して押圧される際に、押圧力をバランス良く分散させることができる。又、通気本体16の下部対向面27が、
図15で示した垂木5に対して上方から当接して押圧する際に、上方からの押圧力をバランス良く分散させることができる。更に、
図11及び
図12を参照して、通気本体16の仕切部分40a〜仕切部分40iの各々は、欠損部のない中実構造となるように形成されている。
図12を参照して、仕切部分40a、仕切部分40h及び仕切部分40iは、第1本体部14と第2本体部15と連結部45とに跨って、欠損部のない中実構造となるように形成されている。従って、垂直方向の耐荷重が安定し、使用勝手が向上する。
【0040】
図3〜
図6、
図10、
図11及び
図14を特に参照して、隣接する通気路31a〜通気路31c及び通気路32a〜通気路32dの各々を仕切る仕切部分40b〜仕切部分40gの短手方向における両端部41a及び両端部41bの各々は、外方に向ってその厚みが漸縮状態に設定されている。仕切部分40a、仕切部分41h及び仕切部分41iにおいても、同様にして外方に向ってその厚みが漸縮状態に設定されている。即ち、
図14に示したように、断面視において、仕切部分40a〜仕切部分40iの両端部41a及び両端部41bの各々は、先細り形状になっている。このように構成することにより、仕切部分40a〜仕切部分40iを介しての通気抵抗が小さくなるため、通気量が増加する。
【0041】
図5、
図6、
図8及び
図10を参照しつつ、特に
図11を参照して、仕切部分40b〜仕切部分40gの両端部41a及び両端部41bの下方部分の各々は、中央部18を除いて外方に向って拡がる傾斜状態に切り欠かれた切欠き43a及び切欠き43bが形成されている。これにより、
図10を参照して、通気路31cは、隣接する仕切部分40fの切欠き43aに連通することになる。即ち、実質的な通気路の断面が増加することになり、通気量が更に増加する。又、仕切部分40b〜仕切部分40gの両端部41a及び両端部41bの下方部分だけでなく、通気本体16の第1本体部14の短手方向の両端部の下方部分全体が、同様にして、切り欠かれて形成されている。このように構成した理由については後述する。
【0042】
図10を参照して、通気本体16の第1本体部14の上方部分は、上部対向面26側に通気路31cが外方に向って拡がる傾斜状態に切り欠かれた切欠き29が形成されている。これにより、実質的な通気路の断面が増加することになり、通気量が更に増加する。
【0043】
図1〜
図4を特に参照して、通気本体16の第1本体部14の長手方向の端部17には、凹部47aが形成されている。通気本体16の第1本体部14の長手方向の端部17に対向する端部19には、凹部47aに係合する形状の凸部46aが形成されている。これらの係合については後述する。
【0044】
使用に際して、
図15を参照して、実線の矢印の方向に、胴縁63間に入った外気が、ケラバ通気部材11の垂直対向面20側から、通気路31(及び通気路32)に入り、開口24を介して、垂直対向面21側から小屋裏10へと通気する。又、実線の矢印とは逆方向に、小屋裏10内の空気が、ケラバ通気部材11の垂直対向面21側から、通気路31(及び通気路32)に入り、開口24を介して、垂直対向面20側から胴縁63間へと通気することもできる。
【0045】
上述したように、ケラバ通気部材11の通気本体16には、上部対向面26及び下部対向面27を貫通する開口24と、開口24と外方とを連通する通気手段30である複数の通気路31及び通気路32とが形成されている。このように形成されることにより、垂木5や屋根下地材8から開口24に蒸散した水分等が、破線及び一点鎖線の矢印で示したように、通気手段30である通気路31及び通気路32を介して外方へと排出される。よって、建築物1の耐久性が向上する。
【0046】
ケラバ通気部材11の通気本体16は、
図28で示した従来のケラバ通気部材71とは異なり、垂木5に接する上部対向面26と屋根下地材8に接する下部対向面27とに開口24が設けられると共に、通気本体16の短手方向の一対の垂直対向面20及び垂直対向面21の各々と開口24とを連通する一対の通気路31及び通気路32が形成されている。このように形成されることによって、垂木5や屋根下地材8から開口24に蒸散した水分等は、通気手段30である通気路31及び通気路32を介して、ケラバ通気部材11の通気本体16の外方両側に排出される。従って、水分等が排出され易くなり、水分等の排出量が増加する。これにより、垂木5及び屋根下地材8の腐食の虞が少なくなり、建築物1の耐久性がより向上する。
【0047】
図3及び
図4を参照して、ケラバ通気部材11の通気路32a〜通気路32dは、通気本体16の上部対向面26の開口24側の端部において露出するように形成されている。又、ケラバ通気部材11の通気路31a〜通気路31cは、通気本体16の下部対向面27の開口24側の端部において露出するように形成されている。これにより、
図15で示した一点鎖線のように、屋根下地材8から開口24に蒸散する水分等が、上部対向面26の開口24側の端部の下方に位置する屋根下地材8の部分からも蒸散している。よって、このように形成されることにより、垂木5及び屋根下地材8に接する実質的な開口24の平坦面積が増加するため、垂木5及び屋根下地材8からの水分等の蒸散量がより増加することになる。
【0048】
又、
図3及び
図4を参照して、ケラバ通気部材11の通気路31a〜通気路31c、通気路33a及び通気路33bは、通気本体16の上部対向面26の両端部(垂直対向面20側及び垂直対向面21側)において露出するように形成されている。又、ケラバ通気部材11の通気路32a〜通気路32dは、通気本体16の下部対向面27の両端部(垂直対向面20側及び垂直対向面21側)において露出するように形成されている。これにより、
図15で示した二点鎖線のように、垂木5から蒸散する水分等は、下部対向面27の両端部(垂直対向面20側及び垂直対向面21側)の上方に位置する垂木5の部分からも蒸散している。よって、このように形成されることにより、垂木5及び屋根下地材8に接しない通気本体16の平坦面積が増加するため、垂木5及び屋根下地材8からの水分等の蒸散量がより増加することになる。
【0049】
図16は、
図1で示したケラバ通気部材の設置工程の一部を示す概略断面図であり、
図17は、
図16で示した設置工程に続くケラバ通気部材の設置工程の他の一部を示す概略断面図である。
【0050】
設置に際して、まず
図16の(1)を参照して、ケラバ通気部材11の通気本体16の高さがH
1であるとき、ケラバ通気部材11の設置対象となる垂木5の高さH
2(母屋7の上面からの高さ)は、他の垂木6の高さH
3よりも高さH
1だけ短くする。そして、建築物1の妻側2に位置する垂木5に対して、上方から釘等によって、ケラバ通気部材11を固定する。これにより、ケラバ通気部材11の通気本体16の下部対向面27は、垂木5の上面に当接する。
【0051】
ここで、上述したように、通気本体16の短手方向の両端部の下方部分全体が、仕切部分40a〜仕切部分40iを含めて、切り欠かれて形成されているので、垂木5を成形する際に生じた垂木5の上面の両端部にバリがある場合にも、バリの影響を受けずにケラバ通気部材11を垂木5に安定して設置できる。
【0052】
尚、ケラバ通気部材11の通気本体16の短手方向の幅Wは、垂木5の幅と同一に形成されることで、ケラバ通気部材11は安定して垂木5に設置できる。
【0053】
又、複数のケラバ通気部材11を設置する場合には、
図14で示したように、別のケラバ通気部材11aの凹部47c及び凹部47dの各々を、通気部材11の凸部46a及び凸部46bの各々に係合させる。このようにして、同様に、ケラバ通気部材を複数連結させることができる。その際、同様にして形成した長さの異なるケラバ通気部材を用いることで、あらゆるケラバに対応できるようになる。
【0054】
更に、ケラバ通気部材11の通気本体16を、例えばブチルゴム等のゴム材料より一体的に形成しても良い。これにより、設置時に施工者が手で通気本体16を切断して、長さ調節を行うことができる。又、設置対象に容易に追随するので、設置状態が安定する。尚、通気本体16の長手方向に所定間隔でスリット等を設けることで、手で通気本体16を切断し易くなる。
【0055】
次に、
図16の(2)を参照して、外壁下地材61を、垂木5等の外面に固定する。その際、通気スペースを確保するために、外壁下地材61の上端位置が、垂木5の上端位置となるようにする。
【0056】
そして、
図16の(3)を参照して、屋根下地材8を、上方からケラバ通気部材11及び垂木6に固定する。これにより、ケラバ通気部材11の通気本体16の上部対向面26は、屋根下地材8の下面に当接する。その際、
図16の(1)及び(2)を参照して、垂木5に設置されたケラバ通気部材11の高さは、上述したように、他の垂木6と同一の高さH
3となるように形成されているので、屋根下地材8を設置する際に、傾きが生じない。
【0057】
図17の(1)を参照して、防水紙62を、外壁下地材61の外面に設置する。その際、通気スペースを確保するために、防水紙62の上端位置が、外壁下地材61及び垂木5の上端位置となるようにする。
【0058】
そして、
図17の(2)を参照して、胴縁63の上端位置が防水紙62(外壁下地材61及び垂木5)の上端位置よりも下方となるように、胴縁63を設置する。
【0059】
その後、
図17の(3)を参照して、サイディング65を妻側2に設置し、ルーフィング68、のぼり木64、ケラバ水切67及び屋根材69等を上方から屋根下地材8に設置する。ここで、ケラバ通気部材11は、当接している屋根下地材8を介して、上方から荷重がかかった状態となるが、上述のように、ケラバ通気部材11は垂直方向の耐荷重が安定するように構成されているので、使用における信頼性が向上している。
【0060】
図18は、この発明の第2の実施の形態によるケラバ通気部材の概略正面図であって、
図1に対応した図であり、
図19は、
図18で示したケラバ通気部材の概略平面図であって、
図3に対応した図であり、
図20は、
図18で示したケラバ通気部材の概略底面図であって、
図4に対応した図であり、
図21は、
図19で示したXXI−XXIラインから見た概略断面図であり、
図22は、
図19で示したXXII−XXIIラインから見た概略断面図であり、
図23は、
図18で示したケラバ通気部材を建築物に設置した状態を示す概略断面図であって、
図15に対応した図であり、
図24は、
図23で示したXXIV−XXIVラインから見た概略断面図であり、
図25は、
図23で示したXXV−XXVラインから見た概略断面図であり、
図26は、
図25で示したXXVI−XXVIラインから見た概略断面図で、隣接するケラバ通気部材間を示す図であって、
図23に対応した図である。
【0061】
尚、この第2の実施の形態によるケラバ通気部材12は、
図1で示した第1の実施の形態によるケラバ通気部材11と基本的な構成は同一である。ここでは、その相違点を中心に説明する。
【0062】
これらの図を参照して、ケラバ通気部材12は、
図3で示したケラバ通気部材11の通気路31、通気路32及び通気路33を備えておらず、開口24を除いて中実構造となるように形成されている。
【0063】
ケラバ通気部材12の通気本体16の上部対向面26には、開口24に接続すると共に長手方向の端部17及び端部19まで連続的に延びる通気手段30である第1の溝36a及び第1の溝36bが形成されている。
【0064】
又、ケラバ通気部材12の通気本体16の上部対向面26には、開口24に接続しない態様で長手方向の両端部(端部17及び端部19)にまで連続的に延びる通気手段30である第2の溝38a及び第2の溝38bが形成されている。
【0065】
ケラバ通気部材12の通気本体16の下部対向面27には、開口24に接続すると共に長手方向の端部17及び端部19まで連続的に延びる通気手段30である第1の溝36c及び第1の溝36dが形成されている。このように通気本体16を構成した理由については後述する。
【0066】
使用に際して、
図23〜
図26を参照して、ケラバ通気部材12は、垂木5の上面と屋根下地材8の下面との間において、別のケラバ通気部材12aとの間に間隙54を開けて設置される。このように設置するため、ケラバ通気部材12は、
図3で示したケラバ通気部材11の凸部46a及び凸部46b、凹部47a及び凹部47bを備えていない。尚、長手方向の長さが短いケラバ通気部材にあっては、
図3で示したケラバ通気部材11の凸部46a及び凸部46b、凹部47a及び凹部47bと同様のものを形成して、それら複数のケラバ通気部材を連結させ、ケラバ通気部材12と同様の長尺形状にしても良い。
【0067】
図26を参照して、実線の矢印の方向に、胴縁63間に入った外気が、ケラバ通気部材12の垂直対向面20側から、間隙54に入り、垂直対向面21側から小屋裏10へと通気する。又、実線の矢印とは逆方向に、小屋裏10内の空気が、ケラバ通気部材12の垂直対向面21側から、間隙54に入り、垂直対向面20側から胴縁63間へと通気することもできる。
【0068】
垂木5や屋根下地材8から開口24内に蒸散した水分等は、
図23及び
図25に示した破線の矢印のように、ケラバ通気部材12の通気本体16の上部対向面26に形成された通気手段30である第1の溝36a及び第1の溝36bを介して、外方へと排出される。又、垂木5や屋根下地材8から開口24内に蒸散した水分等は、
図23及び
図26に示した一点鎖線の矢印のように、ケラバ通気部材12の通気本体16の下部対向面27に形成された通気手段30である第1の溝36c及び第1の溝36dを介して、外方へと排出される。よって、建築物1の耐久性が向上する。又、ケラバ通気部材12の第1の溝36a〜第1の溝36dは、ケラバ通気部材12の表面にのみ形成されているので、
図5〜
図10で示したようなケラバ通気部材11の通気路31及び通気路32に比べて、通気本体16の強度的影響が小さくなる。
【0069】
又、ケラバ通気部材12の通気本体16の上部対向面26に形成された通気手段30である第2の溝38a及び第2の溝38b内に、屋根下地材8から蒸散した水分等は、
図25に示した二点鎖線の矢印のように、外方へ排出される。よって、屋根下地材8からの水分等の蒸散量が増加することになる。
【0070】
尚、上記の各実施の形態では、ケラバ通気部材の通気本体は、合成樹脂材料より一体的に形成されたものであったが、それ以外の材料より一体的に形成されても良い。又は、例えば複数部材から形成されるように、一体的に形成されていなくても良い。
【0071】
又、上記の各実施の形態では、通気本体は、長尺形状を有するものであったが、長手方向に延びる直方体形状を有し、屋根下地材に接する上部対向面と垂木に接する下部対向面とを含むものであれば、その長さは自在に形成されても良い。
【0072】
更に、上記の各実施の形態では、開口は、複数形成されたものであったが、上部対向面及び下部対向面を貫通するものであれば、少なくとも1つ以上形成されていれば良い。
【0073】
更に、上記の第1の実施の形態では、通気本体は、凹部及び凸部が形成されたものであったが、凹部及び凸部はなくても良い。又は、各々が係合するように、その他の形状や方法で形成されても良い。
【0074】
更に、上記の第1の実施の形態では、ケラバ通気部材は、連結して設置する際には通気路を有するもの同士を係合させたものであったが、通気路を有さない通気部材を本願のケラバ通気部材に連結させて設置しても良い。これにより、ケラバにおける通気路の有無を所望の位置に配置できるので、通気量の調整が容易となる。
【0075】
更に、上記の第1の実施の形態では、通気路は、上部対向面の開口側の端部において露出するものと、下部対向面の開口側の端部において露出するものとを有していたが、上部対向面の開口側の端部又は下部対向面の開口側の端部の一方において露出するものであれば、一方の端部においてのみ露出するものであっても良い。又は、それら端部において露出していなくても良い。
【0076】
更に、上記の第1の実施の形態では、通気手段は、通気本体の短手方向の一対の垂直対向面の各々と開口とを連通する一対の通気路からなるものであったが、開口と外方とを連通するものであれば、例えば開口と一対の垂直対向面の内の一方のみとを連通するように、それ以外の通気路からなるものであっても良い。
【0077】
更に、上記の第1の実施の形態では、通気手段は、特定形状及び特定数の通気路からなるものであったが、開口と外方とを連通するものであれば、それ以外の形状及び数からなるものであっても良い。
【0078】
更に、上記の第1の実施の形態では、ケラバ通気部材は、第1の溝や第2の溝が形成されていないものであったが、第1の溝や第2の溝が形成されても良い。
【0079】
更に、上記の第1の実施の形態では、仕切部分は、特定形状を有するものであったが、それ以外の形状であっても良い。
【0080】
更に、上記の第1の実施の形態では、開口は、特定形状を有するものであったが、例えば円形形状のように、それ以外の形状であっても良い。
【0081】
更に、上記の第1の実施の形態では、連結部は、特定の通気路を含んで形成されたものであったが、その他の通気路を含んで形成されても良い。又は、通気路を含まずに形成されても良い。
【0082】
更に、上記の第1の実施の形態では、通気路は、直線状に形成されたものであったが、例えば曲線状のようにその他の形状に形成されても良い。
【0083】
更に、上記の第2の実施の形態では、通気手段は、第1の溝及び第2の溝からなるものであったが、開口と外方とを連通するものであれば、それ以外の溝からなるものであっても良い。
【0084】
更に、上記の第2の実施の形態では、第1の溝は、上部対向面及び下部対向面に形成されていたが、上部対向面及び下部対向面の少なくとも一方に形成され、開口に接続すると共に長手方向の端部の少なくとも一方まで連続的に延びるものであれば、上部対向面又は下部対向面の一方のみに形成されても良い。
【0085】
更に、上記の第2の実施の形態では、第1の溝は、長手方向の両端部にまで連続的に延びるものであったが、上部対向面及び下部対向面の少なくとも一方に形成され、開口に接続するものであれば、長手方向の端部の少なくとも一方まで連続的に延びるものであっても良い。
【0086】
更に、上記の第2の実施の形態では、第2の溝は、上部対向面のみに形成されたものであったが、開口に接続しない態様で長手方向の両端部にまで連続的に延びるものであれば、下部対向面にも形成されても良い。又は、下部対向面のみに形成されても良い。
【0087】
更に、上記の第2の実施の形態では、第1の溝及び第2の溝は、直線状に形成されたものであったが、例えば曲線状のようにその他の形状に形成されても良い。