(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ロボットに内蔵することにより、入力する回転運動を減速して出力するロボットの減速伝達装置であって、回転運動が入力する回転入力部と、この回転入力部と一体に回転するカム本体部,及びこのカム本体部の外周面に沿って設けた内輪とフレキシブルな外輪間に複数の転動体を介在させたオーバルシャフト部と、インナギアを内周面に形成し、かつ位置を固定したインターナルギア部と、リング形状体の外周面の周方向に沿って形成し、かつ前記インナギアに対して歯数を少なくして、前記オーバルシャフト部の外周面に付設した際に、周方向における等間隔となる三個所以上の噛合位置で前記インナギアに噛合するアウタギアを有するとともに、前記リング形状体の側面から突出し、かつ周方向に沿って所定間隔置きに取付けた伝達ピン本体及びこの伝達ピン本体を軸にして偏心位置が支持され、前記ガイド孔に係合する偏心ローラを有する複数の伝達ピン部を設けたフレックスギア部と、前記伝達ピン部が係合し、かつ周方向に沿って所定間隔置きに形成するとともに、回転時における前記伝達ピン部の変位を許容する複数のガイド孔を放射方向に設けたリング形の出力プレート部を有する回転出力機構とを備えてなることを特徴とするロボットの減速伝達装置。
前記噛合位置は、前記インターナルギア部の周方向に対して、120〔°〕間隔となる三個所,90〔°〕間隔となる四個所又は72〔°〕間隔となる五個所、から選択した個所を用いることを特徴とする請求項1記載のロボットの減速伝達装置。
前記リング形状体は、各伝達ピン部間における内周面から放射方向外方に切欠状に設けた薄肉形成凹部を有することを特徴とする請求項1記載のロボットの減速伝達装置。
前記回転入力部は、内周面の内方を、ケーブル類の配線空間に形成するとともに、外周面に、少なくとも前記オーバルシャフト部のカム本体部を設けてなる筒形の入力回転体により構成することを特徴とする請求項1記載のロボットの減速伝達装置。
前記回転出力機構は、回動自在に支持され、かつ端面に、前記出力プレートを保持するリング凹部を形成したリング形の出力プレート保持体を備えることを特徴とする請求項1記載のロボットの減速伝達装置。
前記ロボットには、少なくとも、生産ラインに設置する、垂直多関節ロボット,水平多関節ロボット,デルタ型ロボットの一又は二以上を含むことを特徴とする請求項1又は7記載のロボットの減速伝達装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、量産性が要求される生産工場の生産ラインでは、複数のアーム部を関節機構により連結して構成した産業用ロボットが設置される。関節機構は、任意のアーム部の端部と他のアーム部の端部を回動可能に連結するとともに、任意のアーム部に内蔵する駆動モータの回転を、1/100〜1/200程度に減速し、減速した回転出力により他のアーム部を回転駆動可能な減速伝達装置を備えている。したがって、この種の減速伝達装置には、高精度の、位置決め制御,角度制御,速度制御等が要求される。
【0003】
従来、このような要求に応える減速伝達装置としては、通称、ハーモニックドライブ(登録商標)と呼ばれる波動歯車機構による減速機が広く用いられており、この波動歯車機構を備えるロボット或いはロボット関連装置としては、例えば、特許文献1で開示される原動装置、特許文献2で開示される産業用ロボットの手首機構、特許文献3で開示される多関節ロボットなどが知られている。
【0004】
この場合、特許文献1で開示される原動装置は、カップ状のハウジングと、このハウジングの内周にリング状のサーキュラ・スプラインを回転可能に支承させるとともに、このサーキュラ・スプラインの内側に配設され、ウェーブジェネレータに付勢されて、サーキュラ・スプラインに噛合するカップ状のフレクスプラインをハウジングに固定してなるハーモニック減速機と、ハウジングに支軸の一端を固着するとともに、この支軸回りに回転するケーシングをフレクスプラインの内部に配設し、このケーシングにウェーブジェネレータを設けてなる液圧モータとを具備し、回転出力をサーキュラ・スプラインから取り出し得るように構成されたものである。
【0005】
また、特許文献2で開示される産業用ロボットの手首機構は、アームに支持されたアーム軸を中心として回転自在に支承された手首全体を回転させる第3軸と、この第3軸に支持され、第3軸に直角な軸を中心として回転自在に支承された手首先端部を傾動させる第2軸と、第2軸に支持され、第2軸に直角な軸を中心として回軸自在に支承された手首先端部の加工具把持部を回転させる第1軸を設け、第1軸および第2軸は、同一中心軸に重ね合わせて配置された減速機にて手首内において減速させ、第3軸は、手首外においてあらかじめ減速させるように構成されたものである。
【0006】
さらに、特許文献3で開示される多関節ロボットは、少くとも2つの制御アームと、両制御アームの関節部に設けられた同一軸上で相対する2つの減速機とを有する多関節ロボットにおいて、2つの減速機が一方の制御アームの関節部に固定された共通のサーキュラスプラインと、該共通のサーキュラスプラインの一端に該サーキュラスプラインと相対的に回動するように取付けられ、かつ他方の制御アームの関節部に連結されたブラケットとを備えた第1および第2のハーモニックドライブ減速磯から構成されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来における波動歯車機構を備えるロボットの減速伝達装置は、次のような問題点があった。
【0009】
第一に、主要構成部品として、フレクスプライン、ウェーブジェネレータ、サーキュラスプラインを備えており、フレクスプラインは、薄肉の金属弾性プレートにより全体をカップ状に形成するとともに、楕円状に変形する開口部の外周に形成した歯車部を、位置を固定したサーキュラスプラインの内周に形成した歯車部に噛合させている。したがって、カップ状に一体形成するフレクスプラインは、高度の精密部品として製造する必要があるため、その製造が容易でなく、高コスト化が避けられない。しかも、フレクスプラインは、使用による金属疲労や動作不良を生じ易く、耐久性にも難がある。結局、従来の波動歯車機構は、イニシャルコスト及びランニングコストの双方において大幅なコストアップを招いてしまう。
【0010】
第二に、カップ状に形成するフレクスプラインにおける開口部の外周に歯車部を形成し、この歯車部を、楕円状のウェーブジェネレータにより波動変形させるとともに、底部の中心に、減速回転を出力する出力軸を結合するため、フレクスプラインを機能させるためには、当該フレクスプラインの軸方向長さをある程度確保する必要があり、減速伝達装置における全体構造の薄型化(小型化)を図るには限界があった
【0011】
第三に、フレクスプラインの全体形状をカップ状に形成し、一端を閉塞する底部の中心に出力軸を結合するため、接続ケーブルを引き回すための空間確保が容易でない。特に、ロボットの場合、多数の関節機構を備え、多彩な動きを実現するための多数の駆動モータを内蔵するため、この駆動モータとロボットコントローラを接続する接続ケーブルの本数は少なくとも駆動モータの数だけ必要になるとともに、この本数を備える接続ケーブルを引き回す必要がある。したがって、多数の接続ケーブルを引き回すことができる空間を確保する観点からも更なる改善の余地があった。
【0012】
第四に、変形が楕円状となるフレクスプラインの外周部に形成した歯車部を、固定したサーキュラスプラインの内周面に形成した歯車部に噛合させているため、フレクスプラインの歯車部とサーキュラスプラインの歯車部の噛合部分は、180〔°〕の位置関係となる二個所(二点)となる。したがって、動作安定性及び回転伝達性、更には機構剛性の観点からはマイナス要因となっていた。
【0013】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したロボットの減速伝達装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るロボットの減速伝達装置1は、上述した課題を解決するため、ロボットRに内蔵することにより、入力する回転運動を減速して出力するロボットの減速伝達装置を構成するに際して、回転運動が入力する回転入力部2と、この回転入力部2と一体に回転するカム本体部3c,及びこのカム本体部3cの外周面に沿って設けた内輪3biとフレキシブルな外輪3bo間に複数の転動体3bm…を介在させたオーバルシャフト部3と、インナギア5gを内周面に形成し、かつ位置を固定したインターナルギア部5と、リング形状体6mの外周面の周方向Ffに沿って形成し、かつインナギア5gに対して歯数を少なくして、オーバルシャフト部3の外周面に付設した際に、周方向Ffにおける等間隔となる三個所以上の噛合位置T…でインナギア5gに噛合するアウタギア6gを有するとともに、リング形状体6mの側面から突出し、かつ周方向Ffに沿って所定間隔置きに取付けた伝達ピン本体7m及びこの伝達ピン本体7mを軸にして偏心位置が支持され、ガイド孔9s…に係合する偏心ローラ7rを有する複数の伝達ピン部7…を設けたフレックスギア部6と、伝達ピン部7…が係合し、かつ周方向Ffに沿って所定間隔置きに形成するとともに、回転時における伝達ピン部7…の変位を許容する複数のガイド孔9s…を放射方向Fdに設けたリング形の出力プレート部9を有する回転出力機構10とを備えてなることを特徴とする。
【0015】
この場合、発明の好適な態様により、噛合位置T…は、インターナルギア部5の周方向Ffに対して、120〔°〕間隔となるT1〜T3の三個所,90〔°〕間隔となるT1〜T4の四個所又は72〔°〕間隔となるT1〜T5の五個所、から選択した個所を用いることができる。また、リング形状体6mには、各伝達ピン部7…間における内周面から放射方向Fd外方に切欠状となる薄肉形成凹部8…を設けることができる。この際、薄肉形成凹部8は、各伝達ピン部7…間に、少なくとも1以上設けることができる。他方、回転入力部2は、内周面11iの内方を、ケーブル類Ka,Kb…の配線空間Sに形成するとともに、外周面11oに、少なくともオーバルシャフト部3のカム本体部3cを設けてなる筒形の入力回転体11により構成することができる。また、一方、回転出力機構10には、回動自在に支持され、かつ端面12sに、出力プレート部9を保持するリング凹部12hを形成したリング形の出力プレート保持体12を設けることができる。なお、減速伝達装置1は、ロボットRを構成する任意のアーム部15と他のアーム部16を連結する関節機構Mjに用いることができるとともに、ロボットRには、少なくとも、生産ラインに設置する、垂直多関節ロボットRv,水平多関節ロボット,デルタ型ロボットの一又は二以上を含ませることができる。
【発明の効果】
【0016】
このような構成を有する本発明に係るロボットの減速伝達装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0017】
(1) 薄肉の金属弾性プレート材を用いて全体形状をカップ状に形成する従来のフレクスプラインは不要になるため、容易に製造可能となり、製造コストの大幅な削減を図れるとともに、金属疲労や動作不良等も大幅に低減できるため、耐久性向上を図ることができるなど、イニシャルコスト及びランニングコストの双方における大幅なコストダウンを実現できる。
【0018】
(2) 従来のフレクスプラインが不要になるため、軸方向における配設スペースのサイズダウンを図ることができる。したがって、減速伝達装置1の全体構造における薄型化が可能になり、小型化に限界のあった、特に産業用ロボットの更なる小型化を容易に実現できる。
【0019】
(3) インターナルギア部5のインナギア5gの周方向Ffに対して、等間隔となる三個所以上の噛合位置T…で噛合するアウタギア6gを有するフレックスギア部6を設けたため、従来における楕円状のフレックスギア部6、即ち、180〔°〕の位置関係により二個所の噛合位置T…となる場合に比べ、インターナルギア部5とフレックスギア部6間における減速及び回転伝達に係わる動作安定性を確保できるとともに、減速伝達機構としての機構剛性(機械的強度)を確保できる。
【0020】
(4) 伝達ピン部7を構成するに際し、リング形状体6mに取付けた伝達ピン本体7m及びこの伝達ピン本体7mを軸にして偏心位置が支持され、かつガイド孔9s…に係合する偏心ローラ7rとを用いて構成したため、周方向Ffの異なる位置で生じるガイド孔9s…に対する伝達ピン本体7m…の周方向Ffの位置ズレを、偏心ローラ7r…により吸収することができる。したがって、ガイド孔9s…と伝達ピン本体7m…を直接係合させた場合に生じる無用な応力を排除でき、伝達ピン本体7m…から回転出力機構10への回転伝達を安定かつ円滑に行うことができるとともに、無用なロス分を排除して回転伝達効率をより向上させることができる。
【0021】
(5) 好適な態様により、噛合位置T…として、インターナルギア部5の周方向Ffに対して、120〔°〕間隔となるT1〜T3の三個所,90〔°〕間隔となるT1〜T4の四個所又は72〔°〕間隔となるT1〜T5の五個所、から選択した個所を用いれば、噛合位置T…が多くなることにより減速伝達機能が低下する不具合を回避しつつ、減速伝達性能を具現化する観点から良好な形態として実施できる。
【0022】
(6) 好適な態様により、リング形状体6mに、各伝達ピン部7…間における内周面から放射方向Fd外方に切欠状となる薄肉形成凹部8…を設ければ、リング形状体6mの全体のフレキシブル性をより高めることができるため、オーバルシャフト部3に基づく径方向の変位(変形)に安定かつ円滑に追従でき、無用なロス分を排除して回転伝達効率をより向上させることができるとともに、リング形状体6mの形成素材に対する選定自由度を高めることができる。
【0023】
(7) 好適な態様により、薄肉形成凹部8は、各伝達ピン部7…間に、少なくとも1以上設けることができるため、薄肉形成凹部8の数量を任意に選択できるなど、設計自由度を高めることができるとともに、リング形状体6mの形成素材や形状等に対応した薄肉形成凹部8の最適化を図ることができる。
【0024】
(8) 好適な態様により、回転入力部2を構成するに際し、内周面11iの内方を、ケーブル類Ka,Kb…の配線空間Sに形成するとともに、外周面11oに、少なくともオーバルシャフト部3のカム本体部3cを設けてなる筒形の入力回転体11を用いれば、減速伝達装置1におけるケーブル類Ka,Kb…の配線空間を確保できるため、ケーブル類Ka…の本数が多くなった場合であっても、他の周辺構造と併せてロボット全体の煩雑化を回避できる。
【0025】
(9) 好適な態様により、回転出力機構10に、回動自在に支持され、かつ端面12sに、出力プレート部9を保持するリング凹部12hを形成したリング形の出力プレート保持体12を設ければ、出力プレート部9の実質的な剛性を高めることができるため、フレックスギア部6の伝達ピン部7…から出力プレート部9に対する回転伝達の安定性をより高めることができる。
【0026】
(10) 好適な態様により、減速伝達装置1を、ロボットRを構成する任意のアーム部15と他のアーム部16を連結する関節機構Mjに用いれば、関節機構Mjの薄型化(小型化)、耐久性及び信頼性の向上に寄与できるため、特に、生産ラインに設置するための最適な産業用ロボット(垂直多関節ロボットRv,水平多関節ロボット,デルタ型ロボット等)を構築できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0029】
まず、本実施形態に係る減速伝達装置1の構成について、
図1〜
図8を参照して説明する。
【0030】
減速伝達装置1は、
図8に示すような産業用ロボットRの関節機構Mjに用いることができる。例示の産業用ロボットRは、垂直多関節ロボットRvであり、機台21の上面に設置したロボット本体部22と、この機台21の下方スペースに収容することによりロボット本体部22を駆動制御するロボットコントローラ23を備える。ロボット本体部22は、第1アーム部(任意のアーム部)15と第2アーム部(他のアーム部)16を備えており、この第1アーム部15と第2アーム部16が関節機構Mjを介して連結される。即ち、第1アーム部15の先端部15sに、本実施形態に係る減速伝達装置1を内蔵し、この減速伝達装置1により第2アーム部16の後端部16rを回転駆動する。これにより、第2アーム部16の位置決め制御,角度制御及び速度制御等を行うことができる。
【0031】
図2及び
図3に、減速伝達装置1の全体構造を示す。なお、
図3において、
図8に示した産業用ロボットRにおける第1アーム部15の先端部15s及び第2アーム部16の後端部16rを、それぞれ仮想線で示している。
図2及び
図3に示すように、減速伝達装置1は、大別して、回転の伝達方向上流側から、回転入力部2,オーバルシャフト部3,フレックスギア部6,インターナルギア部5及び回転出力機構10を備える。これにより、回転入力部2に入力する回転運動は、予め設定した1/100〜1/200レベルで減速され、減速された回転運動は、回転出力機構10から出力する。
【0032】
以下、各部の構成について具体的に説明する。回転入力部2は、全体を筒形に形成した入力回転体11により構成する。この入力回転体11はベアリング(ボールベアリング等)31により回動自在に支持される。この場合、ベアリング31は、外輪を第1アーム部15の内面に取付けた支持筒32に固定するとともに、内輪を入力回転体11の外周面に固定する。入力回転体11は、
図3に示すように、内周面11iの内方がケーブル類Ka,Kb…の配線空間Sとなる。このため、確保する配線空間Sの広さを考慮して内径等を選定することができる。また、入力回転体11の外周面11oにおける軸方向Fsの中間部位には、オーバルシャフト部3を構成するカム本体部3cを一体形成する。
【0033】
したがって、このような筒形の入力回転体11を用いれば、減速伝達装置1におけるケーブル類Ka,Kb…の配線空間Sを確保できるため、ケーブル類Ka…の本数が多くなった場合であっても、他の周辺構造と併せてロボット全体の煩雑化を回避できる利点がある。なお、符号33は、入力回転体11の端面に固定した入力ギアリングである。
【0034】
オーバルシャフト部3は、
図1に示すように、入力回転体11に一体形成したカム本体部3cと、このカム本体部3cの外周面に沿って設けた内輪3biと、フレキシブルな外輪3boと、この内輪3biと外輪3bo間に介在させた複数の転動体3bm…を備える。例示の転動体3bm…はボール体である。なお、内輪3biは、カム本体部3cの外周面に兼用させることも可能である。これにより、カム本体部3cにおける内周面11iの軸直角方向の断面形状は円形状になるとともに、カム本体部3cにおける外周面11oの軸直角方向の断面形状は、三つの角部が円弧状となる正三角形に類似する形状となる(
図1参照)。
【0035】
一方、第1アーム部15の内面には、サーボモータ等の駆動モータ34を固定し、この駆動モータ34の回転シャフトに取付けた駆動ギア34gを入力ギアリング33に噛合させる。これにより、回動自在に支持される入力回転体11に、駆動モータ34からの回転運動が入力する。このように、回転入力部2(入力回転体11)に、駆動モータ34の回転運動を入力させるようにすれば、減速伝達装置1は、駆動モータ34を含めた駆動部として構成できるため、例えば、産業用ロボットのアーム部に内蔵する駆動部の小型化、更には耐久性向上及び信頼性向上に寄与できる利点がある。なお、駆動モータ34から回転入力部2に対する回転伝達方式として、ギア伝達機構を例示したが、タイミングベルトとプーリを利用したベルト伝達機構等の他の回転伝達方式を用いてもよい。
【0036】
フレックスギア部6は、
図1に示すように、オーバルシャフト部3の外輪3boの外周面に沿って付設する。フレックスギア部6は、全体を金属素材(特殊鋼等)により形成したフレキシブル性を有するリング形状体6mを備える。また、このリング形状体6mの外周面には、周方向Ffに沿ったアウタギア6gを形成するとともに、アウタギア6gを構成する各歯部(山部)6gs…の一つ置きに伝達ピン本体7m…を埋設(穴に圧入)する。この場合、各歯部(山部)6gs…は、各伝達ピン本体7m…を支持する機能を有するため、支持強度を確保できる厚さ及び形状を選定する。
【0037】
各伝達ピン本体7m…は、剛性の高い耐摩耗性を有する金属素材を使用し、
図4及び
図6に示すように、断面が円形となる丸棒状に形成する。また、
図5に示すように、一端側を、各歯部(山部)6gs…に埋設するとともに、他端側を、リング形状体6mの側面から横側方(
図5では上方)に突出させる。これにより、各伝達ピン本体7m…は、リング形状体6mの周方向Ffに沿って一定間隔置きに配される。
【0038】
さらに、各伝達ピン本体7m…間におけるリング形状体6mの内周面には、放射方向Fd外方に窪む切欠状の薄肉形成凹部8…を設ける。例示する薄肉形成凹部8…は、形状がU形形状となり、アウタギア6gを構成する各歯部(山部)6gs…間の谷部6gd…の位置に対応して設けている。このような薄肉形成凹部8を設ければ、リング形状体6mにおける内周面と外周面間の厚さ、例示の場合、薄肉形成凹部8と谷部6gd間の厚さを薄くできるため、リング形状体6mの全体を特殊鋼等の金属素材により形成した場合であっても、リング形状体6mのフレキシブル性(弾性)をより高めることができる。
【0039】
図6における実線部分が、
図1において、フレックスギア部6がインターナルギア部5から最離間したときの形状を示すとともに、
図6における仮想線部分が、
図1において、フレックスギア部6がインターナルギア部5に最接近したときの形状を示している。フレックスギア部6は、このような変形を繰り返すため、リング形状体6mに良好なフレキシブル性(弾性)が要求されるが、薄肉形成凹部8…を設けたため、オーバルシャフト部3に基づく径方向の変位(変形)に安定かつ円滑に追従でき、無用なロス分を排除して回転伝達効率をより向上させることができるとともに、リング形状体6mの形成素材に対する選定自由度を高めることができる。なお、薄肉形成凹部8…の形状や位置(間隔)、及び伝達ピン本体7m…の位置(間隔)は、
図6に示した形態に限定されるものではなく、各種形態により実施可能である。
【0040】
他方、インターナルギア部5は、全体を金属素材により剛性を有するリング状に形成し、
図4に示すように、内周面には、周方向Ffに沿ったインナギア5gを形成する。そして、
図3に示すように、インターナルギア部5の外周面を第1アーム部15の内面に取付けて固定するとともに、インナギア5gに、上述したフレックスギア部6のアウタギア6gを噛合させる。この際、インターナルギア部5に形成するインナギア5gの一周の歯数は、フレックスギア部6に形成するアウタギア6gの一周の歯数に対して、多くなるように設定する。例示の場合、アウタギア6gの歯数を「N」に設定し、インナギア5gの歯数を「N+3」に設定した。この場合、フレックスギア部6の全体の外周形状は、正三角形に類似する形状となるため、フレックスギア部6は、インナギア5gに対して、周方向Ffへ120〔°〕の等間隔おきに三個所の噛合位置T…(T1,T2,T3)において噛合する。
【0041】
一方、回転出力機構10は、リング状に形成した出力プレート保持体12を備え、この出力プレート保持体12は、この内周面と入力回転体11の外周面間に配したベアリング(ローラベアリング)36により内周面側が支持されるとともに、この出力プレート保持体12の外周面と第1アーム部15の内面間に配したクロスローラベアリング37により外周面側が支持される。出力プレート保持体12におけるフレックスギア部6に対向する端面12sには、出力プレート部9を嵌合させるリング凹部12hを形成し、このリング凹部12hに、
図9に示す出力プレート部9を嵌合させる。一方、出力プレート保持体12におけるリング凹部12hを有する端面12sに対して反対側の端面12tには、出力接続プレート38を固定する。
【0042】
このように、回転出力機構10に、回動自在に支持され、かつ端面12sに、出力プレート部9を保持するリング凹部12hを形成したリング形の出力プレート保持体12を設ければ、出力プレート部9の実質的な剛性を高めることができるため、フレックスギア部6の伝達ピン本体7m…から出力プレート部9に対する回転伝達の安定性をより高めることができる利点がある。
【0043】
出力プレート部9は全体をリング板状に形成するとともに、周方向Ffに沿って所定間隔置きに形成した複数のガイド孔9s…を有する。そして、ガイド孔9s…には、
図5及び
図7に示すように、前述した伝達ピン本体7m…を軸にして偏心位置が支持される偏心ローラ7r…を係合させる。この場合、各ガイド孔9s…は、出力プレート部9が回転したときの偏心ローラ7r…の変位を許容できるように、放射方向Fdに沿ったスリット状の長孔として形成する。また、伝達ピン本体7m…は一端側をフレックスギア部6のリング形状体6mに埋設し、他端側を横側方に突出させるため、この突出させた伝達ピン本体7m…を、偏心ローラ7r…の偏心位置に設けた支持孔7rs…(
図5)に挿入する。この支持孔7rs…は伝達ピン本体7m…に対して軸受孔として機能させるため、支持孔7rs…の内径は、伝達ピン本体7m…がガタつくことなく、かつ回動自在となるように選定する。
【0044】
したがって、伝達ピン本体7mと偏心ローラ7rの組合わせにより伝達ピン部7が構成される。このように、伝達ピン部7を構成するに際し、リング形状体6mに取付けた伝達ピン本体7mと、この伝達ピン本体7mを軸にして偏心位置が支持され、かつガイド孔9s…に係合する偏心ローラ7rとを具備して構成すれば、周方向Ffの異なる位置で生じるガイド孔9s…に対する伝達ピン本体7m…の周方向Ffの位置ズレを、偏心ローラ7r…により吸収することができる。したがって、ガイド孔9s…と伝達ピン本体7m…を直接係合させた場合に生じる無用な応力を排除でき、伝達ピン本体7m…から回転出力機構10への回転伝達を安定かつ円滑に行うことができるとともに、無用なロス分を排除して回転伝達効率をより向上させることができる利点がある。
【0045】
なお、
図9は、伝達ピン本体7mと偏心ローラ7rを組合わせて伝達ピン部7を構成した例を示したが、伝達ピン部7の構成は、伝達ピン本体7mと偏心ローラ7rの組合わせに限定されものではない。即ち、設計形態によっては、伝達ピン本体7m…をガイド孔9s…に直接係合させる場合を排除するものではない。この場合、偏心ローラ7r…を介在させないため、伝達ピン本体7m…が直接伝達ピン部7を構成する。その他、
図2及び
図3において、符号40…は、シールリングを示す。
【0046】
よって、本実施形態に係る減速伝達装置1によれば、基本構成として、回転運動が入力する回転入力部2と、この回転入力部2と一体に回転するカム本体部3c,及びこのカム本体部3cの外周面に沿って設けた内輪3biとフレキシブルな外輪3bo間に複数の転動体3bm…を介在させたオーバルシャフト部3と、インナギア5gを内周面に形成し、かつ位置を固定したインターナルギア部5と、リング形状体6mの外周面の周方向Ffに沿って形成し、かつインナギア5gに対して歯数を少なくして、オーバルシャフト部3の外周面に付設した際に、周方向Ffにおける等間隔となる三個所の噛合位置T…(T1,T2,T3)でインナギア5gに噛合するアウタギア6gを有するとともに、リング形状体6mの側面から突出し、かつ周方向Ffに沿って所定間隔置きに設けた複数の伝達ピン部7…を有するフレックスギア部6と、伝達ピン部7…が係合し、かつ周方向Ffに沿って所定間隔置きに形成するとともに、回転時における伝達ピン部7…の変位を許容する複数のガイド孔9s…を放射方向Fdに設けたリング形の出力プレート部9を有する回転出力機構10とを備えるため、薄肉の金属弾性プレート材を用いて全体形状をカップ状に形成する従来のフレクスプラインは不要になるため、容易に製造可能となり、製造コストの大幅な削減を図れるとともに、金属疲労や動作不良等も大幅に低減できるため、耐久性向上を図ることができるなど、イニシャルコスト及びランニングコストの双方における大幅なコストダウンを実現できる。また、従来のフレクスプラインが不要になるため、軸方向における配設スペースのサイズダウンを図ることができる。したがって、減速伝達装置1の全体構造における薄型化が可能になり、小型化に限界のあった、特に産業用ロボットの更なる小型化を容易に実現できる。
【0047】
特に、インターナルギア部5のインナギア5gの周方向Ffに対して、等間隔となる三個所(一般的には三個所以上)の噛合位置T1,T2,T3(T…)で噛合するアウタギア6gを有するフレックスギア部6を設けてなるため、従来における楕円状のフレックスギア部6、即ち、180〔°〕の位置関係により二個所の噛合位置T…を有する場合に比べて、インターナルギア部5とフレックスギア部6間における減速及び回転伝達に係わる動作安定性を確保できるとともに、減速伝達機構としての機構剛性(機械的強度)を確保できる。
【0048】
したがって、本実施形態に係る減速伝達装置1を、ロボットRを構成する任意のアーム部15と他のアーム部16を連結する関節機構Mjに用いれば、関節機構Mjの薄型化(小型化)、耐久性及び信頼性の向上に寄与できるため、特に、生産ラインに設置するための最適な産業用ロボット(垂直多関節ロボットRv,水平多関節ロボット,デルタ型ロボット等)を構築できる利点がある。
【0049】
次に、本実施形態に係る減速伝達装置1の動作について説明する。なお、
図9及び
図10には、最もシンプルな構成となる二個所を噛合位置T…とした基本減速伝達装置1oを示す。
【0050】
本実施形態に係る減速伝達装置1の動作も、基本的には、二個所を噛合位置T…とした基本減速伝達装置1oの動作に準ずるため、動作を理解しやすい基本減速伝達装置1oの動作について、各図を参照しつつ
図10(a)〜(d)に従って説明する。なお、
図10(a)〜(d)は原理図のため、カム本体部3cの楕円形状は誇張した細長形状で描いている。
【0051】
まず、ロボットコントローラ23により駆動モータ34をON制御すれば、駆動モータ34が作動し、駆動ギア34gが回転する。この回転運動は入力ギアリング33に伝達されるとともに、さらに、カム本体部3cを含む入力回転体11に伝達される。これにより、カム本体部3cは比較的高速で回転する。
【0052】
図10(a)は、カム本体部3cの回転が開始する前の状態を示している。この状態では、カム本体部3cが位置Psで停止し、カム本体部3cの長手方向(楕円直径の最大方向)は上下方向となる。したがって、フレックスギア部6における始点は符号Xsの位置にありインターナルギア部5の基準点Xoに一致する。
図10(a)の状態では、フレックスギア部6のアウタギア6gがインターナルギア部5のインナギア5gに対して上下二個所の噛合位置T,Tで噛合する。
【0053】
次いで、カム本体部3cが、
図10(a)の位置Psから矢印Dr方向に90°回転した状態を想定する。この状態を
図10(b)に示す。この場合、カム本体部3cは、位置Psから時計方向へ90°回転した位置P1まで変位する。これにより、カム本体部3cの長手方向は、
図10(b)に示すように左右方向となる。したがって、カム本体部3cの回転時には、アウタギア6gがインナギア5gに噛合する上側の噛合位置T(下側の噛合位置Tも同じ)が時計方向に噛み合いつつ90°移動することになる。この際、アウタギア6gの歯数をN、インナギア5gの歯数をN+2とすれば、フレックスギア部6の始点は、基準点Xoに対して、角度Q1=(360°/N)×2)/4だけ、反時計方向となる位置X1へ変位する。
【0054】
さらに、カム本体部3cが
図10(b)の位置P1から矢印Dr方向に90°回転した状態を想定する。この状態を
図10(c)に示す。この場合、カム本体部3cは位置P1から時計方向へ90°回転した位置P2まで変位する。これにより、カム本体部3cの長手方向は、
図10(c)に示すように上下方向となる。したがって、フレックスギア部6の始点は、基準点Xoに対して、角度Q2=(360°/N)×2)/2だけ反時計方向となる位置X2へ変位する。
【0055】
次いで、カム本体部3cが
図10(c)の状態から矢印Dr方向に180°回転した状態を想定する。この状態を
図10(d)に示す。この場合、カム本体部3cは位置P2から180°回転した位置P3まで変位する。これにより、カム本体部3cの長手方向は、上下方向となり、
図10(c)の位置に対して上下反転する。したがって、フレックスギア部6の始点は、基準点Xoに対して、角度Q3=(360°/N)×2)だけ反時計方向となる位置X3へ変位する。以上により、カム本体部3cは、時計方向へ1回転するとともに、フレックスギア部6は、歯数「2」だけ反時計方向へ移動する減速処理が行われる。
【0056】
さらに、減速されたフレックスギア部6の回転運動は、前述した回転出力機構10に伝達される。即ち、フレックスギア部6から突出する伝達ピン本体7m…は、出力プレート部9のガイド孔9s…に係合した偏心ローラ7rの偏心位置に挿入しているため、出力プレート部9はフレックスギア部6の回転運動に完全に同調して回転する。この場合、伝達ピン本体7m、即ち、偏心ローラ7rは、カム本体部3cの外周面の軌跡に従って放射方向Ddに反復変位するが、この変位は、長孔により形成したガイド孔9sにより吸収されるとともに、周方向Ffの異なる位置で生じるガイド孔9s…に対する伝達ピン本体7m…の周方向Ffの位置ズレは、偏心ローラ7r…により吸収される。
【0057】
そして、出力プレート部9の回転運動は、基本減速伝達装置1oにより大きく減速され、
図3に示す、出力プレート保持体12,出力接続プレート38を含む出力プレート部9以外の回転出力機構10を介して第2アーム部16に伝達され、第2アーム部16が回転変位する。即ち、第1アーム部15を支点にして高精度で回転制御される。
【0058】
以上、二個所の噛合位置T…を有する
図9に示す基本減速伝達装置1oの動作について、
図10を参照して説明したが、本実施形態に係る三個所の噛合位置T…(T1,T2,T3)を有する減速伝達装置1の動作も基本は同じである。即ち、本実施形態に係る減速伝達装置1は、アウタギア6gの歯数をN、インナギア5gの歯数をN+3としたため、カム本体部3cが120°回転すれば、基準点Xoに対して、角度Q=(360°/N)×3)/3だけ変位する。次いで、カム本体部3cが120°回転すれば、基準点Xoに対して、角度Q=(360°/N)×3)・2/3だけ変位する。さらに、カム本体部3cが120°回転すれば、基準点Xoに対して、角度Q=(360°/N)×3)だけ変位する。これにより、カム本体部3cが1回転すれば、フレックスギア部6は、歯数「3」だけ反対方向へ移動する減速処理が行われる。
【0059】
次に、本発明の変更実施形態に係る減速伝達装置1について、
図11及び
図12を参照して説明する。
【0060】
図1に示した基本実施形態は、噛合位置T…として、インターナルギア部5の周方向Ffに対して、120〔°〕間隔となるT1〜T3の三個所に設けた場合を示したが、
図11に示す変更実施形態に係る減速伝達装置1は、周方向Ffに沿って90〔°〕の等間隔となる四個所の噛合位置T…(T1,T2,T3,T4)を設けた場合を示す。したがって、カム本体部3cの形状は、四つの角部を円弧状に形成した正方形に類似した形状となる。
【0061】
この場合、アウタギア6gの歯数をN、インナギア5gの歯数をN+4とすれば、カム本体部3cが90°回転することにより、基準点Xo(
図10参照)に対して、角度Q=(360°/N)×4)/4だけ変位する。次いで、カム本体部3cが90°回転すれば、基準点Xoに対して、角度Q=(360°/N)×4)・2/4だけ変位する。さらに、カム本体部3cが180°回転すれば、基準点Xoに対して、角度Q=(360°/N)×4)だけ変位する。これにより、カム本体部3cが1回転すれば、フレックスギア部6は、歯数「4」だけ反対方向へ移動する減速処理が行われる。
【0062】
また、
図12に示す変更実施形態に係る減速伝達装置1は、周方向Ffに沿って72〔°〕の等間隔となる五個所の噛合位置T…(T1,T2,T3,T4,T5)を設けた場合を示す。したがって、カム本体部3cの形状は、五つの角部を円弧状に形成した五角形に類似した形状となる。
【0063】
この場合、アウタギア6gの歯数をN、インナギア5gの歯数をN+5とすれば、カム本体部3cが72°回転することにより、基準点Xo(
図10参照)に対して、角度Q=(360°/N)×5)/5だけ変位する。次いで、カム本体部3cが72°回転すれば、基準点Xoに対して、角度Q=(360°/N)×5)・2/5だけ変位する。さらに、カム本体部3cが216°回転すれば、基準点Xoに対して、角度Q=(360°/N)×5)だけ変位する。これにより、カム本体部3cが1回転すれば、フレックスギア部6は、歯数「5」だけ反対方向へ移動する減速処理が行われる。
【0064】
噛合位置T…として、
図1に三個所の例、
図11に四個所の例、
図12に五個所の例をそれぞれ示したが、基本的には、三個所以上の任意の数の噛合位置T…により実施可能である。しかし、例示のように、噛合位置T…として、インターナルギア部5の周方向Ffに対して、120〔°〕間隔となるT1〜T3の三個所,90〔°〕間隔となるT1〜T4の四個所又は72〔°〕間隔となるT1〜T5の五個所、から選択した個所を用いれば、噛合位置T…が多くなることにより減速伝達機能が低下する不具合を回避しつつ、減速伝達性能を具現化する観点から良好な形態として実施できる。
【0065】
以上、好適実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0066】
例えば、回転入力部2は、内周面11iの内方を、ケーブル類Ka,Kb…の配線空間Sに形成するとともに、外周面11oに、少なくともオーバルシャフト部3のカム本体部3cを一体形成した筒形の入力回転体11を用いて構成した形態を例示したが、別体のカム本体部3cを所定の取付手段により取付けてもよい。また、回転出力機構10には、回動自在に支持され、かつ端面12sに、出力プレート部9を保持するリング凹部12hを形成したリング形の出力プレート保持体12を設けた形態を例示したが、同一の機能を発揮できる他の構成により置換する場合を排除するものではない。一方、入力する回転運動として駆動モータ34の回転運動を例示したが、他の各種の回転運動源を適用できる。また、各部の形成素材として金属素材を例示したが合成樹脂素材や繊維強化複合素材等であってもよいし、弾性が不要となる部品についてはセラミックス素材等であってもよく、素材の種類は限定されない。