(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンベアによって搬送されるワークの側面にインクジェットプリンタを用いて印字を行う際の印字条件を設定する方法であって、以下のa〜hのステップを含むことを特徴とする印字条件の設定方法。
a)携帯端末のカメラによって、前記コンベアで搬送されるワークを、当該コンベアの近傍に設置された前記インクジェットプリンタの印字ヘッドと共に撮影する。
b)撮影された動画を構成する複数の画像から、前記ワークの印字面が映った画像を取り出すと共に、当該画像から印字面の画像を抽出する。
c)前記画像から印字ヘッドの近傍に設置された一対のマーカの画像を抽出する。
d)前記抽出した一対のマーカ間の距離を、予め用意した実際のマーカ間の距離と比較することによって前記印字面の寸法を算出する。
e)前記動画を構成する複数の画像から前記印字面の一辺が前記一対のマーカのそれぞれを通過するときの時刻データを取り出し、当該時刻データの差で前記マーカ間の距離を割ることによって前記コンベアの搬送速度を算出する。
f)前記抽出された印字面の画像を前記携帯端末のディスプレイに表示すると共に、印字データに基づいて作成された仮想の印字イメージを、前記印字面に重ねて表示する。
g)前記ディスプレイに表示された印字面に対して前記印字イメージの位置を調節する。
h)前記印字面に対する印字イメージの位置が確定した画像データから、前記ワークの実際の印字面の印字位置を特定するデータを読み出す。
前記印字位置を特定するデータおよび前記コンベアの搬送速度のデータは、印字条件として、前記印字データと共に前記インクジェットプリンタのコントローラに送信される、請求項1に記載の印字条件の設定方法。
前記gのステップにおいて、前記印字イメージの位置と共に大きさを調節し、前記hのステップにおいて、前記印字面に対する印字イメージの位置および大きさが確定した画像データから、前記ワークの印字面の印字位置および大きさを特定するデータを読み出す、請求項1または2に記載の印字条件の設定方法。
前記一対のマーカは、前記印字ヘッドの筐体の背面に、水平方向の高さが略等しくなるように取り付けられる、請求項1ないし4のいずれかに記載の印字条件の設定方法。
前記印字ヘッドとして、複数のノズルが鉛直方向に等間隔に配置されたドロップオンデマンド方式の印字ヘッドを用いる、請求項1ないし5のいずれかに記載の印字条件の設定方法。
前記印字位置を特定するデータおよび前記コンベアの搬送速度のデータは、印字条件として、前記印字データと共に前記インクジェットプリンタのコントローラに送信される、請求項7に記載の印字システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の印字システムでは、IJPは静止しており、印字対象物(商品、梱包容器、以降、「ワーク」という)がコンベア上を移動している。ワークの側面の狙った位置に狙い通りの内容を印字するためには、コンベアの搬送速度、印字する位置、印字の濃度等を設定する必要がある。一般に、このような印字の際に必要となる内容を「印字条件」と呼んでいる。
【0006】
現状では、印字条件のうち位置については、ユーザが印字面の端から印字する位置までの距離を計測し、その値をIJPのコントローラに入力している。また搬送速度については、タコメータ等を用いて直接コンベアの速度を測定し、その値をコントローラに入力している。
【0007】
そして、コントローラに入力した印字条件で試しに印字を行い、狙った通りの印字が行われるか否か確認しながら、印字条件を設定している。
【0008】
しかし、上述した印字条件の設定方法では、印字条件を決定するまでに時間がかかり、またワークに不要な印字を行う必要がある。そのため、仮想現実(AR:Augmented Reality)の技術を利用して、試し印字を省略する方法が提案されている。
【0009】
特許文献2に記載の印字システムは、ハンドヘルド型のIJPを用いる点で本発明とは異なっているが、携帯端末のディスプレイに映し出された印字媒体にAR技術を用いて印字イメージを表示している。そして、そのディスプレイの画面上で印字の大きさや位置を調節して、印字条件を設定している。
【0010】
特許文献2に記載の印字システムを採用すれば、試し印字を行うことなく印字条件を設定でき、しかも条件の設定に要する時間を大幅に短縮できる。
【0011】
これに対し、コンベアで搬送されるワークの側面に印字を行う場合には、コンベアの搬送速度に合わせて印字のタイミングを調節する必要がある。
【0012】
印字のタイミングを調節する方法として、コンベアに取り付けられたエンコーダとIJPを接続することによって、コンベアの位置情報を自動的に取得する方法もあるが、エンコーダが取り付けられていないコンベアには適用できない。そのような場合、事前に、タコメータ等を用いてコンベアの搬送速度を計測し、その値をIJPのコントローラに手動で入力している。
【0013】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、ARを利用した編集作業の流れの中で、エンコーダやタコメータ等を用いることなくコンベアの搬送速度を取得できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る印字条件の設定方法は、コンベアによって搬送されるワークの側面にインクジェットプリンタを用いて印字を行う際の印字条件を設定する方法であって、以下のa〜hのステップを含むことを特徴とする。
a)携帯端末のカメラによって、前記コンベアで搬送されるワークを、当該コンベアの近傍に設置された前記インクジェットプリンタの印字ヘッドと共に撮影する。
b)撮影された動画を構成する複数の画像から、前記ワークの印字面が映った画像を取り出すと共に、当該画像から印字面の画像を抽出する。
c)前記画像から印字ヘッドの近傍に設置された一対のマーカの画像を抽出する。
d)前記抽出した一対のマーカ間の距離を、予め用意した実際のマーカ間の距離と比較することによって前記印字面の寸法を算出する。
e)前記動画を構成する複数の画像から前記印字面の一辺が前記一対のマーカのそれぞれを通過するときの時刻データを取り出し、当該時刻データの差で前記マーカ間の距離を割ることによって前記コンベアの搬送速度を算出する。
f)前記抽出された印字面の画像を前記携帯端末のディスプレイに表示すると共に、印字データに基づいて作成された仮想の印字イメージを、前記印字面に重ねて表示する。
g)前記ディスプレイに表示された印字面に対して前記印字イメージの位置を調節する。
h)前記印字面に対する印字イメージの位置が確定した画像データから、前記ワークの実際の印字面の印字位置を特定するデータを読み出す。
【0015】
ここで、前記印字位置を特定するデータおよび前記コンベアの搬送速度のデータは、印字条件として、前記印字データと共に前記インクジェットプリンタのコントローラに送信されることが好ましい。
【0016】
また前記gのステップにおいて、前記印字イメージの位置と共に大きさを調節し、前記hのステップにおいて、前記印字面に対する印字イメージの位置および大きさが確定した画像データから、前記ワークの印字面の印字位置および大きさを特定するデータを読み出すことが好ましい。
【0017】
前記b〜hのステップは、前記携帯端末にインストールされたアプリケーションソフトを用いて実行されることが好ましい。
【0018】
前記一対のマーカは、前記印字ヘッドの筐体の背面に、水平方向の高さが略等しくなるように取り付けられることが好ましい。
【0019】
前記印字ヘッドとして、複数のノズルが鉛直方向に等間隔に配置されたドロップオンデマンド方式の印字ヘッドを用いることが好ましい。
【0020】
また本発明に係る印字システムは、コンベアによって搬送されるワークの側面にインクジェットプリンタを用いて印字を行う印字システムであって、
ユーザによって操作され、前記インクジェットプリンタの印字条件を設定する携帯端末と、
記コンベアの近傍に設置され、前記ワークの側面に印字を行う印字ヘッド、および前記携帯端末から送信された印字データおよび印字条件のデータを受信し、前記印字ヘッドの駆動信号およびタイミング信号を生成するコントローラを具備したインクジェットプリンタと、を備え、
前記携帯端末は、
内蔵のカメラによって、前記コンベア搬送されるワークを、当該コンベアの近傍に設置された前記インクジェットプリンタの印字ヘッドと共に撮影し、
撮影された動画を構成する複数の画像から、前記ワークの印字面が映った画像を取り出すと共に、当該画像から印字面の画像を抽出し、
前記画像から印字ヘッドの近傍に設置された一対のマーカの画像を抽出し、
前記抽出した一対のマーカ間の距離を、予め用意した実際のマーカ間の距離と比較することによって前記印字面の寸法を算出し、
前記動画を構成する複数の画像から前記印字面の一辺が前記一対のマーカのそれぞれを通過するときの時刻データを取り出し、当該時刻データの差で前記マーカ間の距離を割ることによって前記コンベアの搬送速度を算出し、
前記抽出された印字面の画像を前記携帯端末のディスプレイに表示すると共に、印字データに基づいて作成された仮想の印字イメージを、前記印字面に重ねて表示し、
前記ディスプレイに表示された印字面に対して前記印字イメージの位置を調節し、
前記印字面に対する印字イメージの位置が確定した画像データから、前記ワークの印字面の印字位置を特定するデータを取り出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の印字条件の設定方法によれば、印字ヘッドの近傍に設置された一対のマーカを含む動画を撮影することで、コンベアの搬送速度を簡単に算出することができる。結果として、ARを利用した編集作業の一連の流れの中で、コンベアの搬送速度を含む全ての印字条件を簡単に設定することができ、しかも印字条件の設定に要する時間を大幅に短縮できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る印字条件の設定方法および印字システムについて、図面を参照して説明する。
【0024】
<印字条件の設定の手順>
最初に、
図1、
図2および
図3を参照して、本発明に係る印字条件の設定方法における処理手順の概要を説明する。
図1に、印字条件を設定する印字システム1の概略構成を示す。
図2に、携帯端末4のカメラで撮影したワーク(商品または包装箱)3とIJP5の印字ヘッド55を示す。また
図3に、ワーク3の印字面31にARを用いて仮想の印字イメージPIを表示した状態を示す。
【0025】
本発明は、コンベア2で搬送されるワーク3の側面(印字面)31に、コンベア2に隣接して設置されたIJP5を用いて印字を行う際の印字条件の設定方法を提供するものである。
【0026】
本実施の形態では、インクを吐出するノズルが鉛直方向に複数、等間隔に配置されたドロップオンデマンド方式の印字ヘッドを用いてワークに印字を行うものとする。ただし、本発明に係る印字条件の設定方法は、コンティニュアス方式等の他の方式のインクジェットプリンタを用いて印字を行う場合にも適用できる。
【0027】
前述したように、コンベア2で搬送されるワーク3の印字面31に印字を行う場合、予め印字条件を設定する必要がある。具体的には、第1の条件として、印字面に対する印字の位置と大きさを設定する必要がある。すなわち、印字面31のどの位置に、どの大きさで印字するかを決定する必要がある。
【0028】
第2の条件として、コンベア2で搬送されるワーク3の側面に第1の条件に従って印字を行うためには、印字ヘッド55のノズルからインクが吐出するタイミングを、コンベア2の搬送速度にあわせて調節する必要があり、そのために搬送速度を計測する必要がある。
【0029】
本発明では、上述した2つの印字条件を、ARを利用した編集作業の一連の流れの中で設定している。その前提として、
図1に示すように、コンベア2で搬送されるワーク3とコンベア2に近接して設置されたIJP5の印字ヘッド55とを、ユーザUが携帯端末4のカメラを用いて撮影し、
図2に示すようにワーク3と印字ヘッド55を含む動画データを取得している。そして、得られた動画データから、ワークの側面すなわち印字面31の全てと印字ヘッド55が映った画像を抽出している。
【0030】
また本発明では、ARにおける現実世界を拡張する手段として、上述した画像から抽出される2つの標識を用いている。第1の標識は空間の特徴点を抽出したもので、コンベア2で搬送されるワーク3の側面の画像を抽出し、その側面を印字面とし、そこに仮想のオブジェクトとして印字イメージを重ねて表示している。
【0031】
図3に、このようにして抽出された印字面の画像31に、仮想の印字イメージPIを重ねて表示した画像を示す。そして
図3の印字イメージPIに対し、携帯端末4の機能の一つであるオブジェクトを移動・拡大・縮小する機能を用いて、印字面31に対する印字イメージPIの位置と大きさを調節している。なお、印字される文字の大きさを変えられない場合には、文字の位置だけを変えるようにしてもよい。
【0032】
上述の手順により調節した印字イメージの位置と大きさに基づいて印字条件を設定するためには、印字面31のサイズをワーク3の実際の寸法に置き換える必要がある。本発明では、第2の標識を用いて印字面のサイズを実際の寸法に置き換えている。
【0033】
第2の標識は、特定のルールで黒と白のパターン化した図形である一対のマーカM1、M2を、印字ヘッド55の筐体の背面に取り付け、その一対のマーカM1、M2の画像を撮影画像から抽出したものである。マーカM1、M2は、ワーク3の印刷面31のサイズを算出するために用いられ、水平方向の高さが略等しくなるように取り付けられる。
【0034】
マーカ間の実際の寸法は予め用意され、携帯端末4のメモリに格納されている。従って、
図3に示した印字面における印字の位置と大きさを決める寸法a、b、cを、マーカ間の距離に基づいて実際の寸法に置き換えれば、前述の第1の印字条件、即ち実際の印字面における印字データの位置および大きさを示すデータを算出できる。
【0035】
次に、印字の第2の条件について説明する。
図2において、ユーザUは、携帯端末4のカメラを操作してワーク3が実線で示す位置から二点差線で示す位置まで搬送される間の動画を撮影する。その動画から印字面の一辺(図では左辺AB)がマークM1とM2を通過するときの画像を取り出し、それぞれの画像データから時刻データを取り出す。
【0036】
前述したように、マークM1、M2間の距離は予め決まっているため、印字面31の左辺ABが2つのマーカM1、M2を通過するとき(
図2の位置P1、P2)の時間差でマーカ間の距離を割れば、ワークの搬送速度すなわち第2の印字条件を算出できる。
【0037】
このようにして算出した第1の印字条件で示す印字面の位置に、第2の印字条件に基づいてタイミング信号を生成し、その信号に基づいて印字ヘッド55のノズルからインクを吐出すれば、ワーク3の側面の所定の位置に所定の大きさの印字を行うことができる。
【0038】
前述したように、従来の印字システムでは、エンコーダを用いてコンベアの位置情報を計測し、その情報をIJPに提供するか、タコメータ等を用いてコンベア2の搬送速度を計測し、その値をIJPのコントローラに手動で入力してタイミング信号を生成していた。
【0039】
これに対し、本発明では、ARを利用した編集作業の一連の流れの中で、2つの標識を組み合わせて使用することにより、第1および第2の印字条件を設定している。すなわち、本発明に係る印字条件の設定方法では、コンベアにエンコーダを取り付けて位置情報を取得したり、タコメータ等でコンベアの搬送速度を計測する必要がない。
【0040】
<携帯端末およびIJPの構成と機能>
次に、
図4および
図5を参照して、本発明に係る印字条件の設定方法を実現する携帯端末およびIJPの制御系の構成と各部の機能について説明する。
【0041】
図4に示したように、携帯端末4は、制御部41、通信モジュール42、カメラ43、ディスプレイ44、操作部45および記憶部46を備えており、通常、スマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)で構成される。
【0042】
制御部41は、携帯端末4の各部の動作を制御すると共に、記憶部46に記憶されたプログラムを読み出して、図示しないCPUで実行することにより、ブロック411〜416の各機能を実現する。
【0043】
印字データ取得部411は、操作部44で受け付けた、または通信モジュール42で受信した印字データを取得し、記憶部46に格納する。印字データ取得部411で取得する印字データには、一対のマーカM1、M2間の距離等の、印字条件の算出に必要なデータも含まれる。
【0044】
画像取得部412は、カメラ43で撮影した動画のデータを取得すると共に、それを一時的に記憶部46に格納する。カメラで撮像された動画データは、通常、データの容量を減らすため、データ圧縮した後メモリに格納されるが、本実施の形態では、印字面抽出部413およびマーカ抽出部414において、圧縮されていない画像データに基づいて認識処理を行うため、非圧縮のフレーム毎の画像データを記憶部46に格納する。
【0045】
ユーザUは、記憶部46に格納されたフレーム単位の画像データをディスプレイ45に表示し、操作部44を操作して画像を選択する。印字面抽出部413は、ユーザUの指示に従い、第1の画像認識ソフトを用いて画像の中からワーク3の印字面を第1の標識として抽出する。
図2に示すような印字面31の画像が抽出された画像データは、一時的に記憶部46に格納される。
【0046】
マーカ抽出部414は、印字面抽出部413と同様に、ユーザUの操作によって、記憶部46から読み出されたフレームの画像に対し、第2の画像認識ソフトを用いて、画像の中から第2の標識である一対のマーカを抽出する。抽出された一対のマーカの画像データは、一時的に記憶部46に格納される。
【0047】
画像生成表示部415は、印字面抽出部413で抽出した印字面の画像を、携帯端末4のディスプレイ45に表示すると共に、記憶部46に格納された印字データを読み出して仮想の印字イメージPIを生成し、
図3に示すように、そのイメージPIをディスプレイ45に表示された印字面31に重ねて表示する。
【0048】
印字条件設定部416は、マーカ抽出部414で抽出したマーカM1、M2の座標データを、マーカ間の距離の実測値と比較し、得られた係数を用いて印字面31の各辺の寸法を算出する。更に、ユーザの操作により設定された第1の印字条件であるa、b、cの値を実際の寸法に置き換える。
【0049】
更に印字条件設定部416は、マーカ抽出部414で取り出された時刻データに基づいてワーク3の搬送速度を算出する。
【0050】
通信モジュール42は、印字条件設定部416で設定された第1および第2の印字条件のデータを、無線通信によってIJP5のコントローラ51に送信し、一方、IJP5の記憶部に格納された印字条件の算出に必要なデータを受信する。通信モジュール42は、無線LAN、Bleetooth(登録商標)などのモジュールによって構成される。
【0051】
カメラ43は、CMOS等の撮像素子を備え、ワーク3や印字ヘッド55の撮影に用いられる。印字条件を設定するためには、数秒間の動画があれば済む。前述したように本実施の形態では、数秒間のフレーム毎の非圧縮の画像データが記憶部46に格納される。
【0052】
操作部44およびディスプレイ45はタッチパネル式の液晶ディスプレイ等で構成される。操作部44は印字条件の設定に必要なデータの入力や第1の印字条件の設定等に使用され、ディスプレイ45はカメラ43で撮影した映像や印字イメージ等の表示に用いられる。
【0053】
記憶部46は、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリで構成される。不揮発性メモリには制御部41の各機能を実現するOSやプログラムが格納される。一方、揮発性メモリには、カメラで撮影した画像データや印字データ等が格納され、更に、制御部41での演算におけるワーキングメモリとしての機能を果たす。
【0054】
次に、IJP5の構成を説明する。
図5に示すように、IJP5は、コントローラ51、通信モジュール52、操作部53、ディスプレイ54、印字ヘッド55、記憶部56および光電センサ57を備えている。
【0055】
コントローラ51は印字ヘッド55の動作を制御するもので、市販のパーソナルコンピュータと同様の機能を備えている。コントローラ51は、記憶部56に格納されたプログラムを読み出して、図示しないCPUで実行することにより、印字データ取得部511、プリンタドライバ512およびタイミング信号生成部513の各機能を実現する。
【0056】
印字データ取得部511は、通信モジュール52や操作部53を介して外部から入力された印字データ等を取得し、記憶部56に格納する。
【0057】
プリンタドライバ512は、操作部53から入力された印字データがカラーで表現されている場合、印字データに対して色変換およびハーフトーニング(擬似中間調再現)等の処理を行い、印字ヘッド55の駆動信号を作成する。プリンタドライバ512で生成された駆動信号は、印字ヘッド55に送信される。
【0058】
本実施の形態では、印字面に黒インクを用いて印字を行う場合を想定しているため、ハーフトーニングの処理だけを行う。インクドットによるハーフトーニングの処理については、広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0059】
タイミング信号生成部513は、携帯端末4から送信されたコンベア2の搬送速度のデータに基づいてタイミング信号を生成し、印字ヘッド55に送信する。
【0060】
通信モジュール52は、携帯端末4の通信モジュール42と同様の機能を有し、印字データ取得部511で取得した印字データを、無線通信により携帯端末4の印字データ取得部41に送信し、逆に、携帯端末4から送信された印字条件のデータを受信し、印字データ取得部511に引き渡す。
【0061】
操作部53およびディスプレイ54はタッチパネル式の液晶ディスプレイ等で構成される。操作部53は印字に必要なデータの入力や印字位置の調節等に用いられ、ディスプレイ55はワーク3の印字面に印字されるデータの表示に用いられる。
【0062】
印字ヘッド55は、プリンタドライバ512で生成された駆動信号およびタイミング信号生成部513で生成されたタイミング信号に従って、ノズルからインクを吐出し、ワーク3の側面に印字を行う。
【0063】
前述したように、本実施の形態では、印字ヘッドとして、ドロップオンデマンド方式の印字ヘッドを用いている。後述する
図7に、印字ヘッド55に形成されたノズル551の配列状態を示す。印字ヘッド55の前面には、複数のノズル551が鉛直方向に等間隔で形成されており、コントローラ51から供給される駆動信号およびタイミング信号に基づいて、所定のノズルから所定のタイミングでインクを吐出することにより、ワークの印字面に印字が行われる。
【0064】
記憶部56は、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリおよびRAM等の揮発性メモリで構成される。不揮発性メモリには、OSおよびコントローラ51の各ブロックの機能を実現するプログラム、更に印字データが格納される。一方、揮発性メモリは、プリンタドライバ512で駆動信号を生成する際およびタイミング信号生成部513でタイミング信号を生成する際にワーキングメモリとしての機能を果たす。
【0065】
光電センサ57は、
図1に示すように印字ヘッド55の上流側のコンベア2の近傍に設置され、ワーク3が光電センサ58を横切ったときに信号を発生する。光電センサ58の出力信号は、タイミング信号を生成する際のトリガー信号として利用され、この信号に基づいて印字面で印字を開始する位置が決定される。
【0066】
<印字条件設定の手順>
次に、
図6〜
図9のフローチャートを参照して、本実施の形態に係る印字システムにおいて、印字条件を設定する際の手順を説明する。最初に、
図6および
図7を参照して、印字条件設定の際の準備手順について説明する。
【0067】
最初に、
図1に示すように、コンベア2の近傍にIJP5の印字ヘッド51を設置すると共に、印字ヘッドの上流側に光電センサ57を設置する(ステップS11)。印字ヘッド55は、フレーム50によって図示しないベースに固定されている。また印字ヘッド55とプリンタ本体58との間はインク供給用のパイプ59で接続され、プリンタ本体59に内蔵されたインクタンク(図示せず)から印字ヘッド55にインクが供給される。
【0068】
次に、携帯端末4に印字条件設定用のアプリケーションソフトをインストールする(ステップS12)。インストールされたアプリケーションソフトは記憶部46に格納される。アプリケーションソフトは、制御部41のブロック411〜416に示す機能を実現する。
【0069】
次に、ユーザは、印字データおよび印字条件の設定に必要なデータを用意し、操作部44または通信モジュール42を介して、それらのデータを携帯端末4に入力する。印字条件設定に必要なデータとして一対のマーカM1、M2に関するデータがある。
図7を参照して、印字条件設定に必要なデータについて説明する。
【0070】
図7は、印字ヘッド55の筐体の前面に形成されたノズル551と、筐体の背面に取り付けられた一対のマーカM1、M2との位置関係を示す。
【0071】
一対のマーカM1とM2の間の距離W1は、前述した印字面31の寸法およびコンベア2の搬送速度を算出する際に必要なデータである。また一方のマーカM2とノズル551との間の間隔W2、マーカM1、M2と最上位のノズルとの間隔h1、マーカM1、M2と最下位のノズルとの間隔h2は印字面における印字イメージPIの位置a、b、cを設定する際に必要なデータである。
【0072】
ちなみに、前述の
図3には、最上位のノズルの位置Htと最下位のノズルの位置Hbが示されている。これらの値は、印字イメージPIの位置を決める際の規準となる。
【0073】
印字条件を設定するためには、上述したデータ以外に、マーカの鉛直方向の高さとコンベア上に載置されたワーク3の側面の上辺および下辺の高さデータが必要であり、これらのデータは、予め計測され、携帯端末の記憶部46に格納される。このようにして、印字条件設定の準備が完了する。
【0074】
なお、本実施の形態では、マーカM1、M2を印字ヘッド55の筐体の背面に取りつけたが、印字ヘッドの形態によっては、マーカを取り付けるスペースを確保できない場合がある。そのような場合は、印字ヘッドの近傍に取付板を設置し、その取付板にマーカを取り付けるようにしてもよい。
【0075】
次に、
図8および
図9を参照して、印字条件を設定する際の手順を説明する。前述の
図1に示したように、ユーザUは、コンベア2にワーク3を載置した状態でコンベア2を駆動し、ワーク3を搬送する。
【0076】
ユーザUは、携帯端末4のカメラ43を用いて、コンベアで搬送されるワーク3を、印字ヘッド55と共に撮影する(ステップS21)。その状態を前述の
図2に示す。ユーザUは、カメラ43を操作して、印字ヘッド55の前を通過するワーク3が、実線で示す位置から2点鎖線で示す位置まで移動する間の動画を撮影する。
【0077】
なお、撮影の際には、携帯端末4の位置を、カメラ43で撮影された画像において、四角形の印字面に歪が生じない位置、すなわち上下の辺、左右の辺の長さが等しくなる位置で撮影することが好ましい。
【0078】
カメラ43で撮影された動画の映像データは、画像取得部412で取得された後、記憶部46のRAMに一時的に格納される。前述したように、記憶部46には、撮影時間が数秒間の非圧縮の複数のフレームの映像データが格納される。
【0079】
ユーザUは、記憶部46から映像データを読み出し、ディスプレイ45に表示する。そして複数のフレームから、
図2に示すようなワーク3の印字面が全て表示された画像を取り出す(ステップS22)。
【0080】
制御部の印字面抽出部413は、ユーザUの指示に従い、第1の画像認識用ソフトを用いて、取り出された画像から印字面の画像を抽出する(同ステップS22)。
【0081】
続いて印字面抽出部413は、抽出された印字面の画像の4つの頂点(A〜D)の座標データを取り出す(ステップS23)。取り出された座標データはディスプレイ上での位置を示す相対的なデータである。取り出された4つの頂点の座標データは一時的に記憶部46に格納される。
【0082】
次に、ユーザUは、マーカ抽出部414に対し、第2の画像認識ソフトを用いて、先程取り出した1フレームの画像データから、印字ヘッド55の背面に取り付けられた一対のマーカM1、M2の画像を抽出する(ステップS24)。
【0083】
更に、マーカ抽出部413は、抽出された一対のマーカM1、M2の形状と位置を特定する(ステップS25)。マーカM1、M2の形状と位置は、ディスプレイ45の画面の座標として表現される。
【0084】
前述の
図6のステップS13で説明したように、一対のマーカM1、M2間の距離W1は予め用意され、記憶部46に格納されている。従って、画像データに基づいた一対のマーカM1、M2間の距離を示す座標データを実測値と対比させることによって、ディスプレイ45の印字面の座標データを実際の印字面の寸法に置き換えることができる(ステップS26)。
【0085】
次に、ユーザUは、記憶部46に格納された動画データを読み出してディスプレイ45に表示し、印字面の左辺ABが一対のマーカと一致する2つのフレーム(
図2の位置P1,P2)の画像データを取り出し、それぞれの画像データに記述された時刻データを読み出す(ステップS27)。
【0086】
2つの画像データに記述された時刻データの差は、印字面の左辺ABがマーカ間(P1とP2間)を通過した時間を示すため、この時刻差で一対のマーカ間の距離W1を割れば、コンベア2の搬送速度を算出することができる(ステップS28)。このようにして算出した印字面の各辺の長さおよび搬送速度のデータは、記憶部46に格納される。
【0087】
次に、
図9を参照して、印字面に印字される文字の位置と大きさを特定する手順について説明する。
【0088】
ユーザUは、
図8のステップS22において抽出した印字面の画像データを記憶部46から読み出し、携帯端末4のディスプレイ45に表示する(ステップS31)。
【0089】
次に、ユーザUは画像生成表示部415に指示し、印字データに基づいて仮想の印字イメージPIを作成し、ディスプレイ45に表示された印字面31に重ねて表示する(ステップS32)。前述の
図3に、その状態を示す。
【0090】
この状態において、ユーザUは、携帯端末4の基本的機能である、ディスプレイに表示されたオブジェクトを移動・拡大・縮小させる機能を用いて、印字イメージの位置と大きさを調節する(ステップS33)。
【0091】
ユーザUは、ディスプレイ45に表示された印字イメージPIを見ながら、操作部44を操作して文字の位置と大きさを調節し、狙い通りの印字イメージであると判断した場合(ステップS34においてYes)、印字条件を確定する(ステップS35)。
【0092】
すなわち、印字条件設定部46は、ディスプレイ45の画面からa、b、cの座標データを取り出す。前述したステップS26の処理によって、印字面31の実際の寸法が算出されているため、そのデータを用いれば、上述したa、b、cの値をワーク3における実際の寸法に置き換えることができる。
【0093】
制御部41は、このようにして設定された印字条件(a、b、cの寸法、コンベアの搬送速度)のデータを、通信のジュール42を介してIJP5のコントローラ51に送信する(同ステップS35)。
【0094】
<印字の手順>
次に、IJP1における印字手順について説明する。通信モジュール52を介して携帯端末4から、印字データと共に印字条件のデータを取得したコントローラ51の印字データ取得部511は、そのデータをプリンタドライバ512とタイミング信号生成部513に引き渡す。印字データおよび第1の印字条件のデータを受取ったプリンタドライバ512は、これらのデータに基づいて印字ヘッド55の駆動信号を作成する。
【0095】
更に、第2の印字条件のデータを受取ったタイミング信号生成部513は、コンベア2の搬送速度のデータに基づいてタイミング信号を生成し、上述した駆動信号と共に印字ヘッド55に送付する。
【0096】
駆動信号およびタイミング信号を受取った印字ヘッド55は、光電センサ57の出力信号をトリガーとして、所定のノズルから所定のタイミングでインクを吐出することによって、コンベア2で搬送されるワーク3の印字面に印字を行う。
【0097】
上述したように、本実施の形態に係る印字条件の設定方法によれば、ARを利用した編集作業の中で、2つの標識を組み合わせることにより、インクジェットプリンタの印字条件すなわち、印字面での印字の位置や大きさを示すデータおよびタイミング信号の生成に必要なコンベアの搬送速度のデータを簡単に生成することができる。
【0098】
結果として、従来のような試し印字を行うことなく印字条件を設定でき、しかも印字条件の設定に要する時間を大幅に短縮できる。
【0099】
なお、上述の実施の形態では、印字条件の設定を行うアプリケーションソフトを携帯端末4にインストールしたが、アプリケーションソフトをパーソナルコンピュータ(以降、「PC」という)にインストールしてもよい。
【0100】
携帯端末4では記憶部46に格納できる画像データに限度があるが、通常のPCを用いれば、HDD等の大容量のメモリを備えているため、動画の撮影データを非圧縮で格納しても問題がない。