(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
湖沼の底に生える水草を除去する水草除去装置において、圧縮した空気を供給するエアー供給源と、このエアー供給源からの圧縮された空気がエアー供給ホースを介して供給されてこの空気圧を利用して前記水草の茎の根元に近い部分を吸込み口より水平方向から吸い込むことにより前記底の土砂から引き抜く引き抜き装置と、この引き抜き装置が引き抜いた前記水草を湖沼の水中から上方へ導く案内用ホースと、この案内用ホースの上端部に取付けられた注出部材と、この注出部材の注出口から水と共に注出された前記水草を回収する回収網から構成される回収装置とを備え、
前記引き抜き装置を垂直方向に延びる中空円筒状を呈して上端が前記案内用ホースに連結される垂直筒部と、この垂直筒部の下部に一端が直交するように連結するもので他端には前記吸込み口が水平方向に向いて開設された水平筒部と、前記エアー供給ホースに一端が連結すると共に他端が前記垂直筒部の上下方向の中間位置において側面に連結するエアー供給筒部とから構成したことを特徴とする水草除去装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1及び
図2基づいて、湖、沼、池、競艇場の湖等の湖沼の底LBの土砂ES中に生える水草WPを除去する水草除去装置1について、また前記湖沼の前記底LBに生える前記水草WPを除去する水草除去方法について詳述する。先ず、
図1に示すように、前記水草除去装置1は、大きく分けて、圧縮した空気を供給するエアー供給源2と、このエアー供給源2からの圧縮された空気がフレキシブルなエアー供給ホース3を介して供給されてこの空気圧を利用して前記水草WPを吸い込んで前述した前記底LBの前記土砂ES中から引き抜く引き抜き装置4と、この引き抜き装置4が引き抜いた前記水草WPを湖沼の水中から上方へ導く蛇腹状の案内用ホース5と、このフレキシブルな案内用ホース5の上端部に取付けられた注出部材6と、この注出部材6から注出された前記水草WPを回収する回収装置7とを備えている。従って、前記水草除去装置1は、湖沼の底から水草を除去する作業をシンプル化することができる。
【0016】
なお、前記エアー供給ホース3、前記案内用ホース5は、それぞれ湖沼の水深に合わせて、適宜の長さを選択するか、複数のホースを連結して継ぎ足したり又は繋ぎ数を減らしたりすることにより対応できる。
【0017】
作業員による入切りスイッチ(図示せず)の操作により電源(バッテリにより)が供給されると、前記エアー供給源2を構成する、例えばコンプレッサーなどが駆動して空気を圧縮し、この圧縮した空気を連結具8を介して接続された前記エアー供給ホース3を介して前記引き抜き装置4に供給する。このエアー供給源2は、少なくとも一人の作業者が乗船する作業船WBに配備されている。
【0018】
図2に示すように、前記引き抜き装置4は、外観が概ねL字形状を呈して、大きく分けて、垂直方向に延びる中空円筒状の垂直筒部10と、この垂直筒部10の下部に一端が直交するように(直角に)連結すると共に他端には吸込み口11Kが水平方向に向いて開設された水平筒部11と、前記エアー供給ホース3に一端が連結すると共に他端が前記垂直筒部10の上下方向の中間位置において側面に連結するエアー供給筒部12とから構成される。即ち、前記引き抜き装置4は、外観が概ねL字形状を呈して、前記垂直筒部10と、この垂直筒部10と直角に連結する水平筒部11とから構成される。
【0019】
そして、前記垂直筒部10、前記水平筒部11及び前記エアー供給筒部12は本実施形態では硬質の合成樹脂で作製されるが、鉄等の金属で作製してもよい。
【0020】
そして、前記エアー供給ホース3の下端部は連結手段13を介して前記エアー供給筒部12に固定される。即ち、前記連結手段13は例えば、前記エアー供給ホース3の下端部に設けられた雌ネジ(又は雄ネジ)が内壁に形成された一方の連結部材と、前記エアー供給筒部12の上端部に設けられた雄ネジ(又は雌ネジ)が外壁に形成された他方の連結部材とから構成して、前記他方の連結部材の前記雄ネジ(又は雌ネジ)と前記一方の連結部材の前記雌ネジ(又は雄ネジ)とを螺合させることにより、前記エアー供給筒部12と内径が同径である前記エアー供給ホース3の下端部は前記エアー供給筒部12の上端部に固定されるが、この連結手段13はその連結の仕方、構造は種々考えられ、その種類は問わない。
【0021】
図2に示すように、前記引き抜き装置4の前記水平筒部11は中空円筒状の大径筒部11Aとこれに連通する中空状の吸込み筒部となる小径筒部11Bとからなり、前記小径筒部11Bは前記大径筒部11Aに直接に連通する第1小径筒部11B1(中空で外形が円錐台形状を呈している。)とこの第1小径筒部11B1に連通する中空円筒状の第2小径筒部11B2とから構成される。前記第1小径筒部11B1は前記大径筒部11Aから前記第2小径筒部11B2に向けて徐々に小径となるような内部空間を存する。なお、前記水平筒部11の前記小径筒部11Bを前記第1小径筒部11B1と前記第2小径筒部11B2とを分けずに、1つの小径筒部として、上部に向けて徐々に小径となるような外形が円錐台形状を呈する中空状のものとしてもよい。
【0022】
従って、前記水草WPを除草する際に、中空円筒状の大径筒部11Aの側面の下端部を湖沼の前記底LB(略水平の前記底LB)に接触させて接地させた状態では、前記引き抜き装置4の前記水平筒部11の中空部の中心軸線は前記底LBの上面と平行となり、前記大径筒部11Aに連通する前記第1小径筒部11B1は前記第2小径筒部11B2に向けて徐々に前記底LBから離れ、前記第2小径筒部11B2の下端部は、例えば2cm程度(なお、2cmより長く又は短くてもよい。)、前記底LBから離れた状態となるように、作製される。このため、円筒状の大径筒部11Aの側面の下端部が湖沼の前記底LBに接触して接地した状態では、前記水平筒部11の前記吸込み口11Kの下端は前記湖沼の前記底LBから、例えば2cm程度離れた位置に配置されることとなる。
【0023】
そして、前記大径筒部11A、前記第1小径筒部11B1及び前記第2小径筒部11B2は縦断面した開口の形状が同心円となり、前記第2小径筒部11B2の端部は開口して、前記水草WPや湖沼の水WAを吸い込む前記吸込み口11Kとなる。但し、前記大径筒部11A、前記小径筒部11Bは縦断面した開口の形状が必ずしも同心円でなくともよい。
【0024】
従って、前記水草WPの除去時において、前記大径筒部11Aの側面の下端部が湖沼の前記底LBに接地した状態では、前記小径筒部11Bの前記吸込み口11Kは、その下端が前記底LBから上方へ2cm程度離れて水平方向(横方向、以下同じ。)に向けて開口することになるため、前記底LBの前記土砂ES中に生えている前記水草WPを引き抜く際には、前記水草WPの茎の根元(茎と根の境)に近い部分、即ち前記土砂ES中から水中に出た部分の前記茎の前記根元に近い部分を前記吸込み口11Kが水平方向から吸い込むことにより前記茎を折り曲げるようにしながら引きくことになる。即ち、前記水草WPの茎の根元に近い部分を前記吸込み口11Kより水平方向から吸い込むことにより、この吸い込まれた茎の吸込み側先端部から折り返して折り曲げながら、前記引き抜き装置4が前記水草WPを前記底LBの前記土砂ESから引き抜くことになる。
【0025】
このため、前記吸込み口11Kは前記底LBから上方へ離れて水平方向(横方向)に向けて開口しているので、前記底LBの前記土砂ES中の石や、貝などを吸い込むことが防止されると共に、斜め上方に引き上げるようになるため、真上方向に引き抜く構造に比べて、極力前記水草WPの根に前記土砂ESが付かないように、引き抜くことができる。従って、水が濁らないようにして、潜水服を着用し前記作業船WBに備えられた空気供給装置に接続されたホースを介して空気が送られると共に排気が可能な潜水用ヘルメットをかぶって潜水して除草作業を行う作業員DIの視界を妨げないようにし、前記水草WPの作業効率の向上を図ることができる。
【0026】
なお、前記引き抜き装置4の前記垂直筒部10と前記水平筒部11の前記大径筒部11Aの内径は、例えば100mm程度であり、前記第2小径筒部11B2の内径(円形の吸込み口11Kの径)は、例えば65mmである。このように、前記吸込み口11Kの径を小さくすることにより、水深が約2m50cm程度の浅い湖沼で前記水草WPの除去作業をした場合でも、吸引圧力が高められ水WA等の吸引力を強くすることができ、前記水草WPを前記底LBの前記土砂ES中から引き抜き易くしている。
【0027】
前記エアー供給ホース3の下端部には、前記エアー供給筒部12が接続されているが、前記エアー供給ホース3及び前記エアー供給筒部12の内径は、例えば15mm程度である。そして、前記エアー供給筒部12の側部には、開閉調整バルブ15が設けられ、この開閉調整バルブ15が閉じられていれば、前記エアー供給ホース3と前記引き抜き装置4との連通は遮断され、全開又は任意の開度に開かれていれば連通状態となる。
【0028】
そして、前記エアー供給筒部12は前記垂直筒部10に開設された円形の連通口16を介して連通しているが、この連通口16に近い直下方の位置において、前記垂直筒部10の側壁の内側面に水流出部材17の下端部が溶着される。この水流出部材17は、その下端部が前記垂直筒部10の側壁の内側面に溶着固定され、外形が円錐台形状を呈する中空状の基部17Aと、内径が100mm程度の前記垂直筒部10と同心円で外径が75mm程度の中空円筒状を呈する円筒部17Bとから構成される。この場合、前記連通口16は前記円筒部17Bと前記基部17Aとに跨って面するように形成される。なお、前記水流出部材17を前記基部17Aと前記円筒部17Bとに分けずに、上部に向けて徐々に小径となるような外形が円錐台形状を呈する中空状のものとしてもよい。
【0029】
そして、前記円筒部17Bの外径は75mm程度で、内径が65mm程度であり、前記内径が100mmである前記引き抜き装置4の前記垂直筒部10の側壁の内側面と前記水流出部材17との間に圧縮された高圧空気のエアー上昇通路UPが形成されることになる。即ち、前記垂直筒部10より小径で開口面積が小さく絞った前記水流出部材17の全外周に亘って前記垂直筒部10の側壁の内側面との間に前記エアー上昇通路UPが形成されると共に、内部には前記水平筒部11の前記吸込み口11Kから吸い込まれた水WPの流路FPが形成される。
【0030】
従って、前記エアー供給源2からの圧縮された高圧空気が前記エアー供給ホース3、前記エアー供給筒部12を介して前記連通口16から前記垂直筒部10と前記水流出部材17との間に導入されると、前記エアー上昇通路UPに沿って上昇し、更に前記垂直筒部10内を上昇することになる。この高圧空気の上昇に伴い、上昇する水流が生じるので、前記底LBから前記水草WPが引き抜かれ、水WA及び前記水草WAは前記水平筒部11、前記垂直筒部10、前記水流出部材17、再び前記垂直筒部10内を上昇し、やがて前記案内用ホース5及び前記注出部材6を介して注出されて前記水草WPは前記回収装置7に回収されることとなる。
【0031】
この場合、前述したように、前記エアー供給筒部12からの圧縮された高圧空気は、前記水草WPが通過する前記垂直筒部10内に直接には吹き込まれず、水泡BBも細かくし、前記垂直筒部10の中心部に多くの水WAが通るよう前記水泡BBが前記水流出部材17の回りに集められ、前記水流出部材17の前記流路FP内の上昇中の水WAや前記水草WPに直接高圧空気を当てないようにする。前記垂直筒部10内で上昇中の水WAや前記水草WPに直接高圧空気を当てるようにすると、上昇中の水WAや前記水草WPに乱気流が生じて、効率の良い上昇水流を作ることはできないが、本実施形態によれば、このような問題は解消できる。
【0032】
そして、前述したような圧縮された高圧空気の上昇に伴って、前記吸込み口11Kから湖沼の水WAは前記水平筒部11を経て前記垂直筒部10内へと導かれ、水WAは狭められた前記水流出部材17により効率の良い早い水流ができて、前記吸込み口11Kからの吸込みも強くなって、浅い水深でも前記水草WPの吸引に係る作業効率が上昇する。なお、
図2で示すBLは、前記エアー供給筒部12からの高圧空気と前記垂直筒部10内の水WAとの境界を示す。
【0033】
なお、前記案内用ホース5の下端部には連結部材20が設けられ、また前記垂直筒部10の上端部には連結部21が形成されているので、前記連結部材20と前記連結部21とは突き合わせた状態で例えばボルトとナットで連結結合され、共に内径が100mmである前記案内用ホース5と前記垂直筒部10とは連結されている。
【0034】
また、前記案内用ホース5の上端部には連結部材22が設けられ、また前記注出部材6の端部には連結部23が形成されているので、前記連結部材22と前記連結部23とは突き合わせた状態で例えばボルトとナットで連結結合され、前記案内用ホース5と前記注出部材6とは連結されている。なお、前記連結部材22と前記連結部23とは、例えば硬質の合成樹脂材料にて作製される。
【0035】
前記注出部材6は、例えば硬質の合成樹脂材料にて作製され、概ね外形がL字形状の中空円筒状を呈して、前記案内用ホース5をそのまま延長するような方向に延びて下端部に前記連結部23が形成される一方の部分6Aとこの部分6Aから直角に(直交するように)折れ曲げて形成され端部には注出口6Cが形成された他方の部分6Bとから構成される。
【0036】
前記回収装置7は前記注出部材6の前記注出口6Cから水WPと共に注出された前記水草WPを回収するものであるが、前記水草WPを収納する合成樹脂製の回収網25と、前記回収網25の取り入れ開口部を形成するもので比重が水より小さい、例えば材木などで構成され、例えば平面視四角形状に枠組みされた取り入れ口形成部材26(浮き輪の役目を果たす。)とから構成される。
【0037】
また、前記取り入れ口形成部材26には、図示しないが前記案内用ホース5を固定するための、例えば紐等の固定具(図示せず)が設けられており、前記取り入れ口形成部材26に形成された取り入れ口からその先端が挿入された状態の前記案内用ホース5は前記固定具により前記取り入れ口形成部材26に固定される。そして、この前記案内用ホース5が前記取り入れ口形成部材26に固定されて前記水草WPを回収している状態でも、前記回収装置7全体は軽く、前記回収装置7は水に浮かんだ状態である(
図1参照)。
【0038】
そして、前記エアー供給源2からの圧縮された高圧空気が前記エアー供給ホース3を介して供給され、この空気圧を利用して前記引き抜き装置4が前記水草WPを吸い込んで前記底LBの前記土砂ES中から引き抜き、この引き抜き装置4が引き抜いた前記水草WPを水WAと共に前記案内用ホース5を介して上昇させて、前記水草WPを含んだ水WAを前記注出部材6から前記回収装置7の前記回収網25内に放出する際には、前記回収網25により確実に回収するものであるから、散らばって回収に手間取ることもない。
【0039】
即ち、
図1に示すように、前記案内用ホース5内を上昇する空気により前記注出部材6が傾いて寝たような状態となった前記回収網25の側部に接触して押し上げるようになるため、前記他方の部分6Bが下向きとなり、前記注出口6Cから下方向へ向けて前記水草WPを含んだ水WAを放出し、前記注出部材6が接触している前記回収網25の側部に対向する前記注出部材6から遠い側部に向けて(前記注出口6Cが下向きとなって)放出するため、前記注出部材6から水と共に放出される前記水草WPが、前記回収網25により切断されて小さくされることが極力減少するので、前記回収網25の網目をくぐって前記回収網25外部へ出ることにより散乱することが減少して確実に回収することができる。
【0040】
また、前記注出部材6は外形がL字形状を呈して、前記案内用ホース5をそのまま延長するような方向に延びた前記一方の部分6Aと、この部分6Aから直角に折れ曲げて形成された前記他方の部分6Bとから構成されるために、注出部材を前記案内用ホース5をそのまま延長するような方向に延びた部分しかない構造にすると前述した放出時にこの注出部材及び前記案内用ホース5は反作用により後方(放出方向とは反対の方向)へ後ずさりするようになるが、そのような問題も起こらないし、勢いよく直進する水WAに含まれた前記水草WPが前記回収網25から抜けるのも防止される。
【0041】
以上のような構成にすることにより、以下動作について説明する。先ず、前記開閉調整バルブ15が閉じられている状態において、前記エアー供給ホース3、及び前記回収装置7に上部が固定された前記案内用ホース5に接続されている前記引き抜き装置4を湖沼の水中に投入する。
【0042】
そして、湖沼の水中にいる潜水して除草作業を行う前記作業員DIが、任意の開度に前記開閉調整バルブ15を開いて、前記作業船WB上にいる作業員と有線電話などを使用して連絡を取って、湖沼の前記底LBに生える前記水草WPを除去する水草除去作業を開始する。
【0043】
即ち、前記作業船WB上の作業員は前記入切りスイッチを操作して、前記エアー供給源2を駆動させると、この駆動により圧縮された高圧空気が前記エアー供給ホース3を介して前記引き抜き装置4に供給される。
【0044】
このとき、前記エアー供給源2からの圧縮された高圧空気は前記エアー供給ホース3、前記エアー供給筒部12を介して前記連通口16から前記垂直筒部10と前記水流出部材17との間に導入され、前記エアー上昇通路UPに沿って上昇し、更に前記垂直筒部10内を上昇することになる。
【0045】
この上昇する高圧空気の上昇に伴い、前記垂直筒部10内に勢いのよい水流ができて、湖沼の水中で寝ている状態から徐々に、前記エアー供給ホース3、前記引き抜き装置4及び前記案内用ホース5は、直立するような状態になるので(但し、前記案内用ホース5の上部は緩やかに水平方向に曲がった状態となる。)、湖沼の水中にいる潜水して除草作業を行う前記作業員DIは前記引き抜き装置4を掴んで、湖沼の前記底LBに生える前記水草WPの近くに移動させて、前記大径筒部11Aの側面の下端部を湖沼の前記底LBに接地させる。
【0046】
このとき、前記エアー供給筒部12からの高圧空気は、前記水草WPが通過する前記垂直筒部10内に直接には吹き込まれず、前記水泡BBも細かくし、前記垂直筒部10の中心部に多くの水が通るよう前記水泡BBを前記水流出部材17の回りに集められ、前記水流出部材17内の上昇中の水WAに直接高圧空気を当てないようにして、上昇中の水WAに乱気流が生じないようにして、効率の良い上昇水流が作られる。
【0047】
従って、高圧空気の上昇に伴って、前記吸込み口11Kから湖沼の水WAは前記水平筒部11を経て前記垂直筒部10内へと導かれ、水は狭められた前記水流出部材17により効率の良い早い水流ができて、前記吸込み口11Kからの吸込みも強くなって、前記底LBから上方へ離れて水平方向に向けて開口することになった前記第2小径筒部11B2の前記吸込み口11Kが前記水草WPの茎の根元(茎と根の境)に近い部分、即ち前記土砂ES中から水中に出た部分の前記茎の前記根元に近い部分を水平方向から吸い込むことにより、この吸い込まれた茎の吸込み側先端部から折り返して折り曲げながら、前記引き抜き装置4が前記水草WPを前記底LBの前記土砂ESから引き抜くことになる(
図2参照)。
【0048】
この場合、前記吸込み口11Kは水平方向に向いているので、前記底LBの前記土砂ES中の石や、貝などを吸い込むことは防止されると共に、斜め上方に前記水草WPを引き上げるようにするので、直上方に引き抜く構造に比べて、極力前記水草WPの根に前記土砂ESが付かないように、引き抜くことができる。
【0049】
そして、このような引き抜きの際には、前述したように、高圧空気が前記連通口16から前記垂直筒部10と前記水流出部材17との間に導入されると、前記エアー上昇通路UPに沿って上昇し、更に前記垂直筒部10内を上昇することになるが、高圧空気は前記水草WPが通過する前記垂直筒部10内に直接には吹き込まれず、前記水泡BBも細かくし、前記垂直筒部10の中心部の前記流路FP内に多くの水WAが通るよう前記水泡BBを前記水流出部材17の回りに集められ、前記水流出部材17内の上昇中の水WAや前記水草WPに直接高圧空気を当てないようにし、上昇中の水WAや前記水草WPに乱気流が生じさせることがなく、効率の良い上昇水流を作ることはでき、また高圧空気の上昇に伴って、前記吸込み口11Kから前記水平筒部11を経て前記垂直筒部10内へと導かれた水は狭められた前記水流出部材17により効率の良い早い水流ができて、前記吸込み口11Kからの吸込みも強くなって、水深が浅くとも前記水草WPの吸引に係る作業効率の向上を図ることができる。
【0050】
そして、前記引き抜き装置4が引き抜いた前記水草WPを水WAと共に前記案内用ホース5を介して上昇させて、前記水草WPを含んだ水WAは前記注出部材6から前記回収装置7の前記回収網25内に放出される。この場合、前記案内用ホース5内を上昇する空気により前記注出部材6が傾いて寝たような状態となった前記回収網25の側部に接触して押し上げるようになるため、前記注出部材6の前記他方の部分6Bが下向きとなり、前記注出口6Cから下方向へ向けて前記水草WPを含んだ水WAを放出し、前記注出部材6が接触している前記回収網25の側部とは対向する前記注出部材6から遠い側部に向けて(前記注出口6Cが下向きとなって)放出するため、前記注出部材6から水と共に放出される前記水草WPが、前記回収網25により切断されて小さくされることが極力減少するので、前記回収網25の網目をくぐって前記回収網25外部へ出ることにより散乱することが減少して確実に回収することができる。
【0051】
このように、潜水して除草作業を行う前記作業員DIが前記引き抜き装置4を移動させつつ、次々と前記水草WP群を湖沼の前記底LBの前記土砂ES中から前記引き抜き装置4が引き抜いて、前記回収装置7で回収するものである。従って、引き抜いた前記水草WPを前記回収装置7により回収するものであるから、散らばって回収に手間取ることもない。やがて、前記水草WPの除去作業を終了する場合には、前記エアー供給源2のエアー供給を停止させると共に前記開閉調整バルブ15を閉じるものである。また、前記水草除去装置1を前記作業船WBに引き上げて、全てが終了する。
【0052】
なお、以上の実施形態では、前記大径筒部11Aの側面の下端部が湖沼の前記底LBに接地した状態では、前記第2小径筒部11B2の前記吸込み口11Kは、前記底LBから例えば2cm程度、上方へ離れて水平方向に向けて開口することになるが、前記吸込み口11Kの開口面積、内径の大きさ、形状、その下端の前記底LBからの距離などについて、前記水草WPの種類や生えている場所に応じて変更することが考えられる。
【0053】
即ち、前記水平筒部11を大径筒部11A1と小径筒部11Dとから構成し、前記水平筒部11の一部を構成する筒部である前記大径筒部11A1に種類が異なる吸込み筒部としての前記小径筒部11Dを着脱自在に取り付ける実施態様について、以下
図3及び
図4に基づいて説明する。即ち、前記大径筒部11A1に開口面積や、開口の径の大きさ、形状、前記底LBからの距離等の種類が異なる前記小径筒部11Dを着脱させる構造について、以下説明する。
【0054】
前記小径筒部11Dは前記大径筒部11A1が着脱自在に嵌合する中空円筒状の嵌合部11D1と、この嵌合部11D1に連通する第1小径筒部11D2(中空で外形が円錐台形状を呈している。)と、この第1小径筒部11D2に連通する中空円筒状の第2小径筒部11D3とから構成される。前記第1小径筒部11D2は前記嵌合部11D1から第2小径筒部11D3に向けて徐々に小径となるような内部空間を存する。
【0055】
即ち、前記大径筒部11A1の外径は、例えば110mmで、前記大径筒部11A1が嵌合する前記嵌合部11D1の内径も約110mmであり、先の実施形態の前記第2小径筒部11B2の内径(円形の吸込み口11Kの径)が65mmであるのに対して、この実施形態の前記第2小径筒部11D3の内径(円形の吸込み口11K1の径)は、例えば80mmである。なお、前記第1小径筒部11D2と前記第2小径筒部11D3とを分けずに、1つの小径筒部として、上部に向けて徐々に小径となるような外形が円錐台形状を呈する中空状のものとしてもよい。
【0056】
そして、このように構成された前記大径筒部11A1に吸込み筒部としての前記小径筒部11Dを
図3に示す状態から、
図4に示すように、前記大径筒部11A1に前記小径筒部11Dを外方から嵌合させて取り付ける。
【0057】
即ち、前記大径筒部11A1をその先端側から前記小径筒部11Dの前記嵌合部11D1内に嵌入させ、前記大径筒部11A1の先端部が前記第1小径筒部11D2内壁と前記第2小径筒部11D3内壁との境界まで届くまで(当接して停止するまで)嵌入させて、取り付ける。なお、吸込み筒部としての小径筒部の嵌合部の外径と前記大径筒部11A1の内径を略同じにして、前記嵌合部を前記大径筒部11A1内に嵌入させることにより取り付けてもよい。
【0058】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。