特許第6807152号(P6807152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807152
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】近接に基づく一時的なオーディオ共有
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20201221BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20201221BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20201221BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20201221BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20201221BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
   H04N21/436
   H04N21/442
   H04R1/10 101B
   G10K15/04 302F
   H04M1/00 V
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-226583(P2015-226583)
(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公開番号】特開2016-111697(P2016-111697A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】14/564,247
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ ディ チェンソ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン マルティ
【審査官】 殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−141936(JP,A)
【文献】 特開2006−079179(JP,A)
【文献】 特開2009−105642(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0290648(US,A1)
【文献】 米国特許第8782136(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0091717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
G10K 15/04
H04M 1/00
H04N 21/436
H04N 21/442
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のオーディオコンテンツを再生している第1のメディア装置及び第2のオーディオコンテンツを再生している第2のメディア装置が所定距離内にあると判断すると、
前記第1のメディア装置で再生されている前記第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにすること、及び
前記第2のメディア装置で再生されている前記第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第1のメディア装置で再生されるようにすること
を行うことと、
前記第1のメディア装置及び前記第2のメディア装置がもはや前記所定距離内にない場合であっても、前記第1のメディア装置が前記第2のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生を終了することを可能にすること、及び/または、前記第2のメディア装置が前記第1のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生を終了することを可能にすることと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のメディア装置での前記第2のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生が終了したと判断すると、前記第1のオーディオコンテンツの再生を前記第1のメディア装置で再開すること、及び/または
前記第2のメディア装置での前記第1のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生が終了したと判断すると、前記第2のオーディオコンテンツの再生を前記第2のメディア装置で再開すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2及び第1のメディア装置で再生される前記第1及び第2のオーディオコンテンツの前記セグメントの継続期間が、それぞれ、所定の時間閾値よりも短い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のメディア装置、前記第2のメディア装置及び第3のメディア装置の各々が前記所定距離内にあり、前記第3のメディア装置が第3のオーディオコンテンツを再生しており、前記方法が、
前記第1及び第2のメディア装置の一方を選択することを、前記第3のメディア装置に記憶された好みのジャンル、前記第1及び第2のメディア装置の前記選択された一方に記憶された好みのジャンル、前記第3のメディア装置と前記第1及び第2のメディア装置との間で共有されたソーシャルメディア接続数、前記第3のメディア装置のユーザと前記第1及び第2のメディア装置の前記選択された一方のユーザとの間に関係が存在すること、のうちの少なくとも1つに基づいて行うことと、
前記第1及び第2のメディア装置の前記選択された一方のそれぞれの前記オーディオコンテンツを前記第3のメディア装置で再生することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び第2のオーディオコンテンツが、無線データ接続によって前記メディア装置間で転送される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のオーディオコンテンツを識別するという前記第1のメディア装置でのリクエストを受信することと、
前記第1の装置の無線データ接続を介して受信された前記第2のオーディオコンテンツについての識別情報を前記第1のメディア装置で出力することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2のメディア装置の各々が、スマートフォン、1組のヘッドフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、車両におけるインフォテイメントシステム、スマートウォッチ、頭部装着型ディスプレイ装置及び可搬メディアプレーヤのうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサによって実行されると動作を実行するコンピュータ可読プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品であって、前記動作は、
第1のオーディオコンテンツを再生している第1のメディア装置及び第2のオーディオコンテンツを再生している第2のメディア装置が所定距離内にあると判断すると、
前記第1のメディア装置で再生されている前記第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにすること、及び
前記第2のメディア装置で再生されている前記第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第1のメディア装置で再生されるようにすること
を行うことと、
前記第1のメディア装置及び前記第2のメディア装置がもはや前記所定距離内にない場合であっても、前記第1のメディア装置が前記第2のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生を終了することを可能にすること、及び/または、前記第2のメディア装置が前記第1のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生を終了することを可能にすることと
を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記第1のオーディオコンテンツの前記セグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにすることが、
前記第2のメディア装置の前記第2のオーディオコンテンツの音量を徐々に消していく一方で前記第2のメディア装置の前記第1のオーディオコンテンツの前記セグメントの音量を増加させることを含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
前記第1のメディア装置によって、前記第2のオーディオコンテンツを少なくとも1つのソーシャルネットワーキングサイト上で共有することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記第1のオーディオコンテンツの前記セグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにする前に、前記第2の装置で前記第1のオーディオコンテンツの前記セグメントの再生を可能にするという前記第2の装置でのリクエストを受信することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
前記第1及び第2のオーディオコンテンツの前記セグメントが、それぞれの前記メディア装置のネットワーク接続を介してインターネットから受信される、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記第1のメディア装置が複数の他のメディア装置の所定範囲内にあり、前記メディア装置の各々がそれぞれのオーディオコンテンツを再生しており、前記動作が、
前記第2のオーディオコンテンツを前記第1のメディア装置で再生することに続いて、前記複数の他のメディア装置の各々で再生されるそれぞれの前記オーディオコンテンツのセグメントを順次再生することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
コンピュータプロセッサと、
プログラムを含むメモリと
を備えたシステムであって、
前記プログラムは、前記プロセッサによって実行されると、動作を実行し、前記動作は、
前記システムが第1のオーディオコンテンツを再生しており、第2のシステムが第2のオーディオコンテンツを再生しており、前記システムが前記第2のシステムの所定距離内にあると判断すると、
前記システムで再生されている前記第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第2のシステムで再生されるようにすること、及び
前記第2のシステムで再生されている前記第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記システムで再生されるようにすること
を行うことと、
前記システム及び前記第2のシステムがもはや前記所定距離内にない場合であっても、前記システムが前記第2のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生を終了することを可能にすること、及び/または、前記第2のシステムが前記第1のオーディオコンテンツの前記少なくともセグメントの再生を終了することを可能にすることと
を含む、システム。
【請求項15】
前記動作が、
前記システム及び前記第2のシステムが前記所定距離内にあると判断する前に、音楽を再生している近隣のシステムを検索するというリクエストを前記システムで受信することを更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のオーディオコンテンツを購入するという前記システムのリクエストを受信したことに応じて、前記第2のオーディオコンテンツを購入するための前記システム上でのインターフェイスを提供することを更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
Bluethoothビーコン信号、IEEE802.11ワイヤレスビーコン信号、赤外信号及び位置共有アプリケーションのうちの少なくとも1つによって、前記システムが前記第2のシステムの前記所定距離内にあると判断される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記動作が、
前記第2のオーディオコンテンツを識別するというリクエストが前記システムによって受信されたことに応じて、
前記第2のオーディオコンテンツについての識別情報を受信すること、及び
前記第2のオーディオコンテンツについての前記識別情報のオーディオ表示を、前記システムを介して出力すること
を行うことを更に含む、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルオーディオの共有に関し、より具体的には近接に基づく一時的なオーディオ共有に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
ここに開示される態様は、第1のオーディオコンテンツを再生する第1のメディア装置及び第2のオーディオコンテンツを再生する第2のメディア装置が所定距離内にあると判断されると、第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが第2のメディア装置で再生されるようにし、第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが第1のメディア装置で再生されるようにする動作を実行するシステム、方法及びコンピュータプログラム製品を含む。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
第1のオーディオコンテンツを再生する第1のメディア装置及び第2のオーディオコンテンツを再生する第2のメディア装置が所定距離内にあると判断すると、
前記第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにすること、及び
前記第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第1のメディア装置で再生されるようにすること
を行う方法。
(項目2)
前記第1及び第2のメディア装置がもはや前記所定距離内にないと判断すると、
前記第1のオーディオコンテンツの再生を前記第1のメディア装置で再開すること、及び
前記第2のオーディオコンテンツの再生を前記第2のメディア装置で再開すること
を更に行う上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記第2及び第1のメディア装置で再生される前記第1及び第2のオーディオコンテンツの前記セグメントの継続期間が、それぞれ、所定の時間閾値よりも短い上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目4)
前記第1のメディア装置、前記第2のメディア装置及び第3のメディア装置の各々が前記所定距離内にあり、前記第3のメディア装置が第3のオーディオコンテンツを再生しており、前記方法が、
前記第1及び第2のメディア装置の一方を選択することであって、前記第3のメディア装置に記憶された好みのジャンル、前記第1及び第2のメディア装置の前記選択された一方に記憶された好みのジャンル、前記第3のメディア装置と前記第1及び第2のメディア装置との間で共有されたソーシャルメディア接続数、前記第3のメディア装置のユーザと前記第1及び第2のメディア装置の前記選択された一方のユーザとの間に関係が存在すること、のうちの少なくとも1つに基づいて前記第1及び第2のメディア装置の一方を選択すること、及び
前記第1及び第2のメディア装置の前記選択された一方のそれぞれの前記オーディオコンテンツを前記第3のメディア装置で再生すること
を更に行う上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記第1及び第2のオーディオコンテンツが、無線データ接続によって前記メディア装置間で転送される、上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記第2のオーディオコンテンツを識別するという前記第一メディア装置でのリクエストを受信すること、及び
前記第1の装置の無線データ接続を介して受信された前記第2のオーディオコンテンツについての識別情報を前記第1のメディア装置に出力すること
を更に行う上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記第1及び第2のメディア装置の各々が、スマートフォン、1組のヘッドフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、車両におけるインフォテイメントシステム、スマートウォッチ、頭部装着型ディスプレイ装置及び可搬メディアプレーヤのうちの1つからなる上記項目のうちのいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
プロセッサによって実行されると、
第1のオーディオコンテンツを再生する第1のメディア装置及び第2のオーディオコンテンツを再生する第2のメディア装置が所定距離内にあると判断すると、
前記第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにすること、及び
前記第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第1のメディア装置で再生されるようにすること
を行う動作を実行するコンピュータ可読プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品。
(項目9)
前記第1のオーディオコンテンツの前記セグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにすることが、
前記第2のメディア装置の前記第2のオーディオコンテンツの音量を徐々に消していく一方で前記第2のメディア装置の前記第1のオーディオコンテンツの音量を増加させることを含む、上記項目に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目10)
前記第1のメディア装置によって、前記第2のオーディオコンテンツを少なくとも1つのソーシャルネットワーキングサイト上で共有すること
を更に含む上記項目のうちのいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目11)
前記第1のオーディオコンテンツの前記セグメントが前記第2のメディア装置で再生されるようにする前に、前記第2の装置で前記第1のオーディオコンテンツの前記セグメントの再生を可能にするという、前記第2の装置でのリクエストを受信すること
を更に含む上記項目のうちのいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目12)
前記第1及び第2のオーディオコンテンツの前記セグメントが、それぞれの前記メディア装置のネットワーク接続を介してインターネットから受信される上記項目のうちのいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目13)
前記第1のメディア装置が複数の他のメディア装置の所定範囲内にあり、前記メディア装置の各々がそれぞれのオーディオコンテンツを再生しており、前記動作が、
前記第2のオーディオコンテンツを前記第1のメディア装置で再生することに続いて、前記複数の他のメディア装置の各々で再生されるそれぞれの前記オーディオコンテンツのセグメントを順次再生すること
を更に含む上記項目のうちのいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目14)
時間閾値が経過したと判断すると、
前記第1のオーディオコンテンツの再生を前記第1のメディア装置で再開すること、及び
前記第2のオーディオコンテンツの再生を前記第2のメディア装置で再開すること
を更に含む上記項目のうちのいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目15)
コンピュータプロセッサ、及び
プログラムを含むメモリであって、前記プロセッサによって実行されると、
前記システムが第1のオーディオコンテンツを再生しており、第2のシステムが第2のオーディオコンテンツを再生しており、前記システムが前記第2のシステムの所定距離内にあると判断すると、
前記第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記第2のシステムで再生されるようにすること、及び
前記第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが前記システムで再生されるようにすること
を含む動作を実行する前記プログラムを含む前記メモリ
を備えたシステム。
(項目16)
前記動作が、
前記両システムが前記所定距離内にあると判断する前に、
音楽を再生している近隣のシステムを検索するリクエストを前記システムで受信すること
を更に含む上記項目に記載のシステム。
(項目17)
前記第2のオーディオコンテンツを購入するという、前記システムのリクエストを受信したことに応じて、前記第2のオーディオコンテンツを購入するための前記システム上でのインターフェイスを提供すること
を更に含む上記項目のうちのいずれか一項に記載のシステム。
(項目18)
Bluethoothビーコン信号、IEEE802.11ワイヤレスビーコン信号、赤外信号及び位置共有アプリケーションのうちの少なくとも1つによって、前記システムが前記第2のシステムの前記所定距離内にあると判断される上記項目のうちのいずれか一項に記載のシステム。
(項目19)
前記動作が、
前記第2のオーディオコンテンツを識別するリクエストが前記システムによって受信されたことに応じて、
前記第2のオーディオコンテンツについての識別情報を受信すること、及び
前記第2のオーディオコンテンツについての前記識別情報のオーディオ表示を、前記システムを介して出力すること
を更に含む上記項目のうちのいずれか一項に記載のシステム。
(項目20)
前記動作が、
時間閾値が経過したこと、及び
前記両システムがもはや前記所定距離内にないこと
のうちの少なくとも一方を判断すると、前記システムでの前記第2のオーディオコンテンツの再生を停止すること
を更に含む項上記項目のうちのいずれか一項に記載のシステム。
(摘要)
第1のオーディオコンテンツを再生する第1のメディア装置及び第2のオーディオコンテンツを再生する第2のメディア装置が所定距離内にあることと判断すると、第1のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが第2のメディア装置で再生されるようにすること、及び第2のオーディオコンテンツの少なくともセグメントが第1のメディア装置で再生されるようにすることを含む動作を実行するシステム、方法及びコンピュータプログラム製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1-1】図1A−1Eは、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を模式的に示す。
図1-2】図1A−1Eは、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を模式的に示す。
図1-3】図1A−1Eは、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を模式的に示す。
図2図2は、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を提供するシステムを示す。
図3図3は、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を提供する方法を示す。
図4図4は、一態様による、メディア共有のための装置を選択する方法を示す。
図5図5は、一態様による、追加の動作を実行するユーザリクエストを処理する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
ここに開示される態様は、相互に近接内にいるユーザ間で音楽(または任意のデジタルオーディオ)のサンプルを共有する技術を提供する。二人の参加ユーザが相互に閾距離内に入ると、彼らのメディアプレーヤで再生されている音楽がフェードアウトする一方で、他のユーザの音楽がフェードインする。他のユーザの音楽のサンプルは、所定の継続時間にわたって、または両ユーザが相互に近接内にいなくなるまで再生される。そして、ユーザには、以下に限定するわけではないが、彼らがちょうど聴いた音楽サンプルについての情報(タイトル、アーティスト及び他の情報)を検索すること、サンプルとして聴いた音楽を購入すること、サンプルとして聴いた音楽をソーシャルメディアサイト上で共有すること、ソーシャルメディアを介して他のユーザに接続することといった様々な選択肢が提示される。
【0005】
ここで使用される用語「オーディオコンテンツ」とは、音楽、歌曲、ポッドキャスト、語り、インタビュー、ラジオ放送などの任意のタイプのデジタルオーディオコンテンツであってもよい。ほとんどの場合、あらゆるタイプのオーディオコンテンツがメディア装置間で共有されることができる。同様に、オーディオコンテンツは生放送され、または録音される。ここで用いられるどの特定の実施例も、本開示を限定するものとして捉えられるべきではない。
【0006】
図1Aは、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を模式的に示したものである。図示するように、ユーザA101が、1組のヘッドフォン103を介して歌曲1を聴いている。同様に、第2のユーザであるユーザB102が、1組のヘッドフォン103を介して歌曲2を聴いている。ヘッドフォン103は、ローカル及びリモートオーディオ並びに/またはビデオの再生を可能とする無線通信機、プロセッサ及びメモリ(全て不図示)を備えてもよい。他の態様では、ヘッドフォン103は、メディアプレーヤ、コンピュータまたは他の装置(全て不図示)によって生成されるオーディオを出力してもよい。図示するように、ユーザは相互に近づいているが、まだ相互に閾距離110外にいる。閾距離110は、3メートルなどの任意の距離であればよく、ヘッドフォン103間での通信を確立するのに用いられる無線技術に応じて変動してもよい。
【0007】
一方、図1Bに示すように、ユーザが閾距離110内に入ると、歌曲2がユーザA101のヘッドフォン103に出力される一方で歌曲1がユーザB102のヘッドフォンに出力されるように歌曲が共有される。ヘッドフォン103(またはメディア再生装置)は、(Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、NFCなどといった技術を用いて)まず無線接続を確立する。ひとたび接続されると、共有される歌曲はその接続を介して転送される。代替的に、それぞれのヘッドフォン(または装置)はそれらの歌曲に関する情報を共有することで、それらの歌曲のオーディオをインターネットからダウンロードすることが可能となる。
【0008】
共有される歌曲は、10秒など、所定の継続時間にわたって再生される。したがって、歌曲2がユーザA101に対して10秒間再生される一方で、歌曲1がユーザB102に対して10秒間再生されることになる。共有される歌曲はその歌曲のどの時点から再生されてもよい。例えば、ユーザが閾距離110に入った時に歌曲1の50秒がユーザA101のヘッドフォンで再生されていた場合には、ユーザB102のヘッドフォンでは歌曲1の50秒時点が再生されるようにしてもよい。同様に、共有される歌曲の再生がそれぞれの歌曲の開始点から開始してもよい。またさらに、各共有される歌曲のランダムなセグメントが他のユーザのヘッドフォンで再生されてもよい。例えば、ユーザB102に対して再生される歌曲1のセグメントが歌曲1の20秒から30秒の範囲となる一方で、ユーザA101に対して再生される歌曲2のセグメントが2分15秒から2分25秒の範囲となってもよい。
【0009】
それぞれのヘッドフォンでの歌曲間の切換は、フェード切換など、任意の形態で行うことができる。代替的に、共有される歌曲が再生を開始できるようにするために、現在再生されている歌曲を停止するようにしてもよい。歌曲を共有するために、ユーザ101−102は、音楽の共有に参加する表示を提示してもよい。例えば、ユーザはサービスにオプトインしてもよいし、または表示要求を切り換えて、音楽を共有する用意のある付近の装置を検索するようにしてもよい。
【0010】
共有される歌曲のセグメントが終了すると、当初再生されていた歌曲が再生を再開する。したがって、共有される歌曲が再生を終了すると、歌曲1(または次のキューにある歌曲)がユーザA101に対して再生される一方で、歌曲2(または次のキューにある歌曲)がユーザB102に対して再生される。同様に、両ユーザがもはや閾距離110内にいない場合、共有される歌曲の再生は停止する。したがって、図1Cに示すように、もはやユーザが閾距離110内にいない場合には、歌曲1がユーザA101に対して再生される一方で歌曲2がユーザB102に対して再生される。一方、ある態様においては、ユーザが閾距離110を離れる前に共有に係る歌曲が再生を終了していない場合であっても、(セグメント全体が受信された場合には)セグメントは再生を終了する。
【0011】
図1Dは、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を説明するグラフ120である。グラフ120は、図1A−1CにおけるユーザAに対して再生される各歌曲の時間に対する音量を表す。図示するように、ユーザが閾距離110内に入るまでユーザA101は最初に歌曲1(線121で表される)を聴き、ユーザが閾距離110内に入る時点で、歌曲1がフェードアウトし始める一方で歌曲2(線122で表される)がフェードインし始める。そして、歌曲2が、所定の継続時間にわたって(またはユーザが閾距離110内にいなくなるまで)再生され、その時点で歌曲2がフェードアウトする一方で歌曲1がフェードインする。
【0012】
図1Eは、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を説明するグラフ125である。グラフ120は、図1A−1CにおけるユーザBに対して再生される各歌曲の時間に対する音量を示す。図示するように、ユーザが閾距離110内に入るまでユーザB102は最初に歌曲2(線123で表される)を聴き、ユーザが閾距離110内に入る時点で、歌曲2がフェードアウトし始める一方で歌曲1(線124で表される)がフェードインし始める。そして、歌曲1が、所定の継続時間にわたって(またはユーザが閾距離110内にいなくなるまで)再生され、その時点で歌曲1がフェードアウトする一方で歌曲2がフェードインする。
【0013】
ひとたびユーザが共有に係る歌曲を聴いた後では、各態様によってユーザは多様な動作を行うことが可能となる。例えば、ユーザは、その歌曲に関する識別情報(サンプルの再生中に提供されなかった場合)を検索することができる。同様に、ユーザは当該歌曲を購入するリクエストを行うことができ、その時点で、当該歌曲を購入するポータルがユーザに提供される。またさらに、ユーザはサンプル(または歌曲全体)をソーシャルメディアサイト、eメール、マルチメディアメッセージングなどを介して共有することができる。もちろん、ユーザは、その歌曲を好みそうな他のユーザにサンプルを奨めることもできる。またさらに、ユーザ101及び102の一方(または両方)が他のユーザと接続することを表明した場合には、ユーザが連絡情報を交換することができるようにし、または1以上のソーシャルメディアプラットフォームを介して接続できるようにしてもよい。
【0014】
図2に、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を与えるシステム200を示す。ネットワーク接続されたシステム200はコンピュータ202を備える。コンピュータ202はまた、ネットワーク230を介して他のコンピュータと接続され得る。概略として、ネットワーク230は、通信ネットワーク及び/または広域ネットワーク(WAN)であればよい。特定の態様において、ネットワーク230はインターネットである。コンピュータ202は、限定するわけではないが、メディアプレーヤ、スマートフォン、ラップトップ若しくは他の可搬コンピュータ、ゲームコンソール、スマートウォッチ、頭部装着型ディスプレイ装置(眼鏡など)またはタブレットコンピュータといったような、オーディオを出力するように構成された任意の演算装置であればよい。同様に、コンピュータ202は、ウェアラブルヘッドフォン、頭部装着型ディスプレイ装置、スマートウォッチまたは車載エンターテイメント(またはインフォテイメント)システムといった任意の装置に一体化されてもよい。
【0015】
コンピュータ202は、概略として、バス220を介してメモリ206に接続されたプロセッサ204、ネットワークインターフェイス装置218、ストレージ208、入力装置222及び出力装置224を備える。コンピュータ202は、一般的に、オペレーティングシステム(不図示)の制御下にある。オペレーティングシステムの例として、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、Microsoft Windows(登録商標)オペレーティングシステムの各バージョン、及びLinux(登録商標)オペレーティングシステムの各ディストリビューションがある。(UNIX(登録商標)は、米国及び他国におけるThe Open Group社の登録商標である。Microsoft及びWindows(登録商標)は、米国、他国またはその両方におけるMicrosoft Corporation社の登録商標である。Linux(登録商標)は、米国、他国またはその両方におけるLinus Torvalds社の登録商標である)。より一般的には、ここに開示される機能をサポートする任意のオペレーティングシステムが使用され得る。プロセッサ204は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどのを代表するものとして備えられている。ネットワークインターフェイス装置218は、コンピュータ202がネットワーク230を介して他のコンピュータと通信することを可能とする任意のタイプのネットワーク通信装置であればよい。
【0016】
ストレージ208は、永続的な記憶装置であればよい。ストレージ208が単一のユニットとして図示されているが、ストレージ208は固定ディスクドライブ、固体ドライブ、SANストレージ、NASストレージ、リムーバブルメモリカードまたは光学ストレージといった固定の及び/または取外し可能な記憶装置の組合せであってもよい。メモリ206及びストレージ208は、複数の1次及び2次記憶装置にわたる1つの仮想アドレス空間の一部であればよい。
【0017】
入力装置222は、コンピュータ202への入力を供給するための任意の装置であればよい。例えば、キーボード及び/またはマウスが用いられる。出力装置224は、コンピュータ202のユーザに出力を提供するための任意の装置であればよい。例えば、出力装置224は、従来の表示画面または一組のスピーカであればよい。入力装置222から分離して示されているが、出力装置224と入力装置222とは結合されていてもよい。例えば、一体化されたタッチスクリーンを有する表示画面を用いてもよい。
【0018】
ヘッドフォン223は、ユーザの耳の中に、耳に当てて、または耳の近くに、適所に保持されるように設計された一対の小型スピーカであればよい。ヘッドフォン223は、任意の形態要素を採り得る。前述したように、コンピュータ202は、リモート(またはストリーミング)オーディオを再生するワイヤレスBluetooth(登録商標)ヘッドフォン、またはローカルストレージからのメディアを再生するヘッドフォンのように、ヘッドフォン223に一体化されてもよい。
【0019】
図示するように、メモリ206は再生アプリケーション212を有し、これは相互に近隣内にいるユーザ間での音楽の共有を容易にするように広く構成されたアプリケーションである。概略として、再生アプリケーション212は、任意のタイプの歌曲またはオーディオファイルをユーザに対してヘッドフォン223(または出力装置224)を介して再生することができる。一方、第1のコンピュータ202が、音楽共有に参加している第2のコンピュータ202の閾距離110内に入ると、再生アプリケーション212は、第1及び第2のコンピュータに無線データ接続を確立させ、現在再生されている歌曲についての情報を共有させ、その歌曲が他方のコンピュータで再生されるようにすることができる。具体的には、歌曲Aが第1のコンピュータで再生されるとともに歌曲Bが第2のコンピュータで再生されている場合、再生アプリケーション212は、第1のコンピュータでの歌曲Aの再生を停止し、歌曲Bのセグメントが第1のコンピュータで再生されるようにすることができる。同様に、再生アプリケーション212は、第2のコンピュータでの歌曲Bの再生を停止し、歌曲Aのセグメントが第2のコンピュータで再生されるようにすることができる。再生アプリケーション212の使用例として、歌曲のセグメントを装置間で送信するか、または歌曲のセグメントをインターネット上の遠隔地から取得してもよい。歌曲のセグメントが再生を終えると、再生アプリケーション212は、当初再生されていた歌曲に再生を再開させてもよい。同様に、ユーザがもはや閾距離110内にいない場合、再生アプリケーション212は、共有オーディオコンテンツの再生を停止してもよい。
【0020】
ある態様では、複数のコンピュータ202が閾距離110内に位置する場合がある。そのような場合に、再生アプリケーション212は、(ユーザの嗜好が付近の全ユーザからの再生を指定することである場合)付近の全ユーザの歌曲のセグメントをそれぞれの装置で順次再生することができる。一方、ユーザが共有に係る音楽を他の全ユーザからは聴きたくない場合には、再生アプリケーション212は、当該ユーザをランダムに他のユーザに対付けることができる。代替的に、再生アプリケーション212は、プロファイル209内の1以上のユーザの嗜好に基づいて、当該ユーザを付近のユーザの一部に対付けるようにしてもよい。例えば、(閾距離110以内に位置する)10人中4人のユーザのプロファイルがヒップホップを好みのジャンルとして指定している場合には、再生アプリケーション212はこれらの4人のユーザ間の共有を順次開始することができる。
【0021】
再生アプリケーション212はまた、共有された歌曲を聴くことに応じてユーザが様々な動作を行うこと、例えば、共有された歌曲の識別情報をソーシャルメディアプラットフォーム250から取得すること、共有された歌曲を購入するためのポータルをリモートメディアサービス250を介して提供すること、ユーザが歌曲を(ソーシャルメディアプラットフォーム240、eメール等を介して)共有できるようにすることなどを可能とする。
【0022】
図示するように、ストレージ208は、プロファイル209、メディアストア210及び関連付け211を有している。プロファイル209は、概略として、識別情報、好みなどのユーザデータを記憶するように構成される。例えば、ユーザZのプロファイル情報は外国音楽に対する好みを反映する一方で、ユーザYのプロファイルはブルーグラスミュージックに対する好みを反映している。追加的に、プロファイル209は、ユーザは2人以上のユーザが近隣内にいる場合に付近の全ユーザと自動的に交流したいと思っているかといったようなマルチユーザ設定を指定することができる。メディアストア210は、再生アプリケーション212によってローカルユーザに対して再生され、またはリモートユーザと共有され得る異なったデジタルオーディオファイルを有することができる。関連付け211は、直接的な関係が存在しない場合のそれぞれのユーザ間の疎遠さの程度など、ユーザ間の関係を含むことができる。再生アプリケーション212は、ここに記載するような音楽の共有に関してユーザを対付けるために、プロファイル209及び関連付け211におけるデータを活用することができる。
【0023】
前述したように、再生アプリケーション212は、ソーシャルメディアプラットフォーム240及びリモートメディアサービス250へのポータルをそれぞれのインターフェイス241及び251を介してユーザに提供することができる。一般的に、ソーシャルメディアプラットフォーム240は、ユーザ同士が交流できるようにするソーシャルネットワーキングサイトである。例えば、ユーザは、再生アプリケーション212を用いて、ソーシャルメディアプラットフォーム240上で彼ら自身のプロファイルで歌曲を共有することができる。リモートメディアサービス250は、オーディオコンテンツを検索すること、オーディオコンテンツを再生すること、オーディオコンテンツを購入することなどのためのサービスを含む。例えば、ユーザは、再生アプリケーション212を用いて共有オーディオコンテンツをリモートメディアサービス250を介して検索することができ、ひとたびユーザがその共有オーディオコンテンツについての識別情報を入手してしまえば、ユーザは再生アプリケーション212を用いて、識別されたオーディオコンテンツをリモートメディアサービス250を介して購入することができる。
【0024】
図3に、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有を提供する方法300を示す。一般的に、方法300の各ステップは、相互に近隣内にある装置間でオーディオコンテンツのセグメントを自動的に共有する。例えば、ベートーベンの月光の曲を聴いているユーザXが、オーディオポッドキャストを聴いているユーザYとの近隣内に入る場合、各ユーザの装置の再生アプリケーション212は、ユーザXがオーディオポッドキャストのセグメントを聴く一方で、ユーザYが月光の曲のセグメントを聴くように、オーディオコンテンツを共有することができる。
【0025】
方法300はステップ310で始まり、ここで、ユーザは再生アプリケーション212によって提供される共有サービスにオプトインする。ユーザは、彼または彼女の装置をオーディオの共有に利用可能とする、記憶された設定を介してオプトインすることができる。代替的に、ユーザは、オーディオを共有する付近の装置をスキャンするリクエストを与えることができる。ステップ320において、再生アプリケーション212は、ユーザのメディア再生装置の閾距離内にある2以上の装置を検出する。前述したように、メディア再生装置は、可搬メディアプレーヤ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、インフォテイメントシステム付きの車両、一体化ワイヤレスチップセット付きのヘッドフォンなど、オーディオを再生し、無線データ通信を行うことができる任意の装置であればよい。装置は、無線周波数(RF)検出(Bluetooth(登録商標)またはWi−Fiビーコン信号を介するなど)、赤外信号、位置共有サービスまたはアプリケーション(Apple(登録商標)Inc社による「友達を探す」アプリケーションなど)など、任意の適宜の技術を用いることができる。閾距離は、装置が無線で通信できる範囲内の距離であればよい。
【0026】
ステップ330において、図4を参照してより詳細を説明するように、再生アプリケーション212は、オーディオコンテンツを共有するための近隣の装置を選択する。再生アプリケーション212は、利用可能な近隣装置の数、共通の興味または嗜好、共有される接続、ユーザプロファイル209における設定など、任意数の要素に基づいて共有のための近隣装置を選択することができる。ステップ340において、再生アプリケーション212が彼らの現在再生中のオーディオコンテンツを、対付けられた装置にストリーム配信することができるように、各装置の再生アプリケーション212が無線接続してアドホック無線通信ネットワークを形成する。他の態様では、再生アプリケーション212は、個々のセルラネットワーク通信を用いて、または対付けられたスマートフォンの接続を活用して、まずインターネットに接続することによって相互に接続する。インターネットに接続されれば、各装置の再生アプリケーション212は互いに通信することができる。通信経路にかかわらず、各装置の再生アプリケーション212は、現在再生中のオーディオコンテンツ、プロファイル209におけるユーザの嗜好または他のデータ、及び関連付け211における交流関係または交友関係に関する情報を共有することができる。ステップ350において、再生アプリケーション212は、そのそれぞれの装置で現在再生中のオーディオコンテンツを、対付けられた装置の再生アプリケーション212と共有する。したがって、例えば、ユーザAがヴィバルディの四季を聴いている一方でユーザBがモーツアルトのレクイエム・ニ短調を聴いている場合、ユーザAの装置の再生アプリケーション212はモーツアルトを再生し、一方でユーザBの装置の再生アプリケーション212はヴィバルディを再生することになる。再生アプリケーション212がオーディオコンテンツを装置間で直接転送するようにしてもよいし、再生アプリケーション212がそれぞれの装置にオーディオコンテンツをインターネットからダウンロードさせるようにしてもよい。
【0027】
ステップ360において、各装置の再生アプリケーション212は、装置がもはや閾距離内にないと判断すると、及び/またはオーディオコンテンツを共有する制限時間が切れたと判断すると、オーディオコンテンツの共有を停止する。例えば、オーディオコンテンツの共有が開始された時にユーザが同じコーヒーショップにいたが、一方(または双方)のユーザがその後コーヒーショップを去った場合、再生アプリケーション212は共有コンテンツの再生を停止するようにしてもよい。一方、ある態様では、再生アプリケーション212は、制限時間に達するまで、共有コンテンツのセグメントが再生を継続できるようにしてもよい。同様に、2台の車両が停止信号で停止していた場合、車両が異なる方向に曲がり、閾距離内でなくなるまで、彼らのインフォテイメントシステムは共有された音楽を再生してもよい。制限時間は、10秒など任意の時間であればよく、ユーザが他方のユーザのオーディオコンテンツを聴くことができる最大時間となる。そうすることによって、著作権法及び契約義務の遵守を維持することができる。ステップ370において、図5を参照してより詳細を説明するように、再生アプリケーション212は、他のユーザからの共有オーディオコンテンツを聴くことに応じて、追加の動作を行うユーザリクエストを処理する。例えば、ユーザは、共有オーディオコンテンツを識別し、共有オーディオコンテンツを購入し、共有オーディオコンテンツを他人と共有し、他のユーザとソーシャルメディアまたは他のプラットフォームを介して接続するようにリクエストすることができる。
【0028】
図4に、一態様による、近接に基づく一時的なオーディオ共有のための装置を選択するステップ330に対応する方法400を示す。一般的に、再生アプリケーション212は、オーディオコンテンツを装置間で共有(及び受信)するために参加装置が少なくとも1つの近隣装置と対付けられることを確実にするために、方法400の各ステップを実行することができる。方法400の各ステップは、ある装置上で稼働している再生アプリケーション212に関して、単一の構成としての視点から説明されるが、全ての装置が少なくとも1つの装置と対付けられることを確実にするために同じ処理が他の装置によって続いて行われる。ステップ410において、再生アプリケーション212は、1つの装置のみが現装置の閾距離内にある(すなわち、全2個の装置が相互に近接内にある)と判断すると、現装置と対付けるための当該1つの近隣装置を選択する。
【0029】
ステップ420において、再生アプリケーション212は、2以上の装置が閾距離内にあるが、現装置のユーザが全ての近隣装置とは音楽を共有したいとは思っていないと判断すると、1つの近隣装置を選択して現装置と対付ける。例えば、現装置におけるユーザの嗜好として、全ての近隣装置との共有ではなく、装置のうちの1つ(または2個若しくは他の個数)のみとの共有を指定することであってもよい。そのような場合、再生アプリケーション212は、(距離が)最も近い装置、他の装置がどの歌曲を現在再生しているか、各ユーザのプロファイルにおける嗜好、ユーザが好まない音楽のジャンル、交友関係及び疎遠さの程度などといった属性の組に基づいて、1つの近隣装置を選択することができる。例えば、ユーザAのプロファイルは、カントリーミュージックを嫌いなものとして、クラシック音楽を好きなものとして指定し得る。ユーザBの近隣装置が現在カントリーミュージックを再生している場合、ユーザAはカントリーミュージックを好まないことを明示しているので、再生アプリケーション212はユーザBの装置を選択しない。一方、ユーザCの近隣装置がベートーベンを再生している場合、再生アプリケーション212は、好ましい音楽ジャンルなのでユーザCの装置を選択する。同様に、再生アプリケーション212は、ユーザプロファイルにおける嗜好を比較して、最も共通点の多い(そのような好き嫌いの)ユーザを見つけ、それらのユーザを対付けることができる。ユーザの設定が、最大3人のユーザとオーディオを共有することを指定している場合、再生アプリケーション212は、上記属性に基づいてユーザの装置を3個の装置までと対付けることができる。
【0030】
ステップ430において、再生アプリケーション212は、2以上の装置が閾距離内にあること及びユーザが全装置とコンテンツを共有したいと思っていると判断すると、オーディオコンテンツを共有するために全ての近隣装置を選択する。そのような場合、再生アプリケーション212は、装置がオーディオコンテンツを順次共有するように、各近隣装置を選択することができる。再生アプリケーション212は、キューの初めに類似の嗜好を持つユーザを割り当てたり、あるいは、ランダムに装置を順序付けるなど、任意の方法に従って装置共有の順序を整える。
【0031】
図5に、一態様による、追加の動作を実行するユーザリクエストを処理するステップ370に対応する方法500を示す。概略として、方法500のステップは、近隣装置から共有オーディオコンテンツを聴いたユーザに再生アプリケーション212が提供する例示機能を示す。ステップ510において、再生アプリケーション212は、共有オーディオコンテンツを識別するユーザリクエストに応じて共有オーディオコンテンツの識別情報を出力する。例えば、ユーザが新しい歌曲を聴く(しかし、タイトル、アーティストまたはアルバム情報を知らない)場合、ユーザは、識別情報をリクエストすることができる。それに応じて、再生アプリケーション212は、歌曲を分析するオンラインポータルにアクセスして、その歌曲についての正しい識別情報を提供することができる。ステップ520において、再生アプリケーション212は、共有オーディオコンテンツを購入するユーザリクエストに応じて、ユーザが共有オーディオコンテンツを購入するためのインターフェイスを提供する。例えば、共有オーディオコンテンツが再生を終えると、再生アプリケーション212は、共有メディアを購入するためのリンクを表示する。ユーザがそのリンクを選択した場合、再生アプリケーション212は、ユーザを、共有オーディオコンテンツを購入するためのポータルに誘導する。ステップ530において、再生アプリケーション212は、ユーザリクエストに応じて、共有オーディオコンテンツをソーシャルメディアプラットフォームに公表するためのインターフェイスを提供する。例えば、ユーザが共有オーディオコンテンツへのリンクを友人のソーシャルメディアプロファイルに提示したいと思う場合、再生アプリケーション212は、友人のプロファイルにリンクを貼るために、ソーシャルメディアプラットフォームへのインターフェイスを提供する。同様に、再生アプリケーション212は、共有メディアを、eメール、ソーシャルメディアメッセージ、テキストメッセージ、マルチメディアメッセージなどの他のフォーマットを介して共有することができる。ステップ540において、再生アプリケーション212は、他のユーザと接続するためのユーザリクエストに応じて、共有メディアを共有するユーザとの関係を構築するためのインターフェイスを提供する。例えば、ユーザAがユーザBの音楽のサンプルを好む場合、ユーザAは、ソーシャルネットワーキングサイトでユーザBに接続したいと思う。それに応じて、再生アプリケーション212は、ユーザBの連絡情報(プロファイル209におけるソーシャルネットワーキングプロファイルへのURLなど)を識別し、友達申請をユーザBに送信するためのインターフェイスを提供する。同様に、再生アプリケーション212は、eメールアドレス及び電話番号といった他の連絡情報の共有を容易にすることもできる。
【0032】
有利なことに、ここに開示される態様によって、ユーザが近隣装置とオーディオコンテンツを共有することが可能となる。共有は、近接(または、近隣装置を検索するためのユーザリクエスト)によってトリガされることができる。2つの装置が対付けられると、これらの装置は、各装置が他の装置のオーディオコンテンツを再生するように、オーディオコンテンツを共有する。ユーザは、ソーシャルメディアサイト上で音楽を共有することに大きな関心を持っており、ここに開示される態様は、音楽の共有とともに交友関係及び他の関係の発展を容易にすることができる。
【0033】
本開示の種々の態様の記述は、説明のために提示されたものであり、網羅的なものではなく、開示される態様に限定されるものでもない。開示された態様の範囲及び精神から逸脱することなく多数の変形及び変更を実施できることが当業者には明らかなものとなる。ここで使用される用語は、各態様の原理、実際の適用または市場でみられる技術に対する技術的改善を最も的確に説明し、ここに開示される態様を当業者が理解することができるように選択されたものである。
【0034】
以上において、この開示において提示された態様が参照されてはいるが、本開示の範囲は、特定の説明に係る態様に限定されない。逆に、異なる態様に関係するか否かを問わず、構成及び要素のあらゆる組合せが、検討される態様を実施及び実行するのに熟慮される。またさらに、ここに開示される態様は他の可能な解決手段または従来技術に対する有利な効果を達成するが、特定の効果が所与の態様によって達成されるか否かは、本開示の範囲の限定とはならない。したがって、記載される態様、構成、態様及び効果は、単なる例示に過ぎず、請求項に明示的に記載されるものを除いて、添付の特許請求の範囲の構成要件または限定事項とはみなされない。同様に、「発明」への言及は、ここに開示されるいかなる発明の主題の一般化として解釈されるべきではなく、請求項に明示的に記載されるものを除いて、添付の特許請求の範囲の構成要件または限定事項として解釈されるべきではない。
【0035】
本開示の態様は、「回路」、「モジュール」または「システム」として全てここに一般に言及される全体的にハードウェアの態様、全体的にソフトウェアの態様(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)またはソフトウェアの態様及びハードウェアの態様を組み合わせた態様の形態を採り得る。
【0036】
本開示は、システム、方法及び/またはコンピュータプログラム製品である。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本開示の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する単数のコンピュータ可読記憶媒体(または複数のコンピュータ可読記憶媒体)を含む。
【0037】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置による使用に供する命令を保持及び記憶することができる有体の装置である。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、これらに限定されないが、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、またはこれら装置の任意の適切な組合せであればよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な実施例を非網羅的に列挙すると、可搬コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、可搬コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多目的ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピディスク、パンチカードまたはそこに記録された命令を有する溝における隆起構造体などの機械的に符号化されたデバイス、及びこれらの任意の適切な組合せがある。ここで使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、無線電波若しくは他の自由に伝搬する電磁波、導波路若しくは他の伝送媒体中を伝搬する電磁波(例えば、ファイバ光ケーブルを通過する光パルス)、または配線を介して伝送される電気信号のような一時的な信号自体として解釈されるべきではない。
【0038】
ここに記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの演算/処理装置に、または外部コンピュータ若しくは外部記憶装置に、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク及び/またはワイヤレスネットワークを介してダウンロードされることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイヤーウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/またはエッジサーバを備えることができる。各演算/処理装置におけるネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェイスは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、コンピュータ可読プログラム命令をそれぞれの演算/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体での記憶のために転送する。
【0039】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語若しくは類似のプログラミング言語のような通常の手順プログラミング言語を含む1以上のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードである。コンピュータ可読プログラム命令は、全てユーザのコンピュータ上で実行されるか、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして一部がユーザのコンピュータ上で実行されるか、一部がユーザのコンピュータ上で実行され、さらに一部がリモートコンピュータ上で実行されるか、または全てがリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されることができ、またはその接続は外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダによってインターネットを介して)なされ得る。ある態様では、本開示の態様を実行するために、例えば、プログラム可能な論理回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路が、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をカスタマイズすることによってコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0040】
本開示の態様を、開示の態様による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート説明及び/またはブロック図を参照してここに説明した。フローチャート説明及び/またはブロック図における各ブロック並びにフローチャート説明及び/またはブロック図におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施できることが分かる。
【0041】
コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令により、フローチャート及び/またはブロック図の単数のブロック若しくは複数のブロックで指定される機能/動作を実施するための手段が生み出されるように、コンピュータ可読プログラム命令が汎用コンピュータ、特定用途向けコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに供給されて機械を生産することができる。命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャート及び/またはブロック図の単数のブロック若しくは複数のブロックで指定される機能/動作を実施する命令を含む製品を構成するように、これらのコンピュータ可読プログラム命令を、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置及び/または他の装置に対して特定の態様で機能するよう指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0042】
また、コンピュータ、他のプログラム可能な装置または他の装置上で実行される命令により、フローチャート及び/またはブロック図の単数のブロック若しくは複数のブロックで指定される機能/動作が実施されるように、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他の装置で実行させてコンピュータ実施処理を生成するようにコンピュータ可読プログラム命令をコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他の装置に読み込まれせることもできる。
【0043】
図面におけるフローチャート及びブロック図は、本開示の種々の態様によるシステム、方法及びコンピュータ可読プログラム製品の可能な実施例のアーキテクチャ、機能及び動作を示す。これに関して、フローチャート及びブロック図における各ブロックは、命令のモジュール、セグメントまたは部分を表し、それは特定の論理機能を実施するための1以上の実行可能な命令を備える。ある代替の実施例では、ブロックに示される機能は、図面に示されたのとは異なる順序で起こり得る。例えば、連続して示される2つのブロックが、関連する機能に応じて、実際に、実質的に同時に実行されることもあれば、ブロックが逆の順序で実行されることもある。また、ブロック図及び/またはフローチャート説明の各ブロック並びにブロック図及び/またはフローチャート説明におけるブロックの組合せは、特定の機能若しくは動作を実行し、または特定用途のハードウェア及びコンピュータ命令の組合せを実行する特定用途のハードウェアに基づくシステムによって実施されることができる。
【0044】
上記記載は本開示の態様に関わるものだが、開示の他の及び更なる態様が、その基本的範囲から逸脱することなく発案され、その範囲は以降の特許請求の範囲によって特定される。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3
図4
図5