(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0012】
また、本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、断面視においては、第1基板に対して第2基板が配置される側を「上」又は「上方」といい、その逆を「下」又は「下方」として説明する。
【0013】
また、本明細書において説明される第1基板は、少なくとも平面状の一主面を有し、この一主面上に絶縁層、半導体層及び導電層の各層、あるいはトランジスタ及び表示素子等の各素子が設けられる。以下の説明では、断面方向から見た場合において、第1基板の一主面を基準とし、第1基板に対して「上」、「上層」、「上方」又は「上面」として説明する場合には、特に断りのない限り、第1基板の一主面を基準にして述べるものとする。
【0014】
また、本明細書において、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、同様の意味を有し、状況に応じて入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能である。
【0015】
また、本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【0016】
その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0017】
(実施形態1.表示装置の構成1)
図1は、本発明の一実施形態に係る、表示装置10を示す。
図1(A)は、表示装置10の上面図を示す。
【0018】
図1(A)において、表示装置10は、基板100と、基板101と、画素102を有する表示領域103と、周縁部104と、タッチセンサ105と、ソースドライバとしての機能を有する駆動回路106と、ゲートドライバとしての機能を有する駆動回路107と、フレキシブルプリント基板108と、を有する。
図1(A)において、画素102と、タッチセンサ105の配線は、マトリクス状に設けられている。
【0019】
表示装置10において、表示領域103、駆動回路106、駆動回路107、フレキシブルプリント基板108は、それぞれ電気的に接続されており、外部からの信号を入力することにより表示領域において静止画および動画を表示することができる。また、タッチセンサ105も、フレキシブルプリント基板108と電気的に接続しており、例えば接触時の配線間容量の変化を用いた静電容量方式により情報の入出力を行っている。
【0020】
なお、本実施形態に示す構成及び方法などは、他の実施形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0021】
(実施形態2.表示装置の周縁部の構成)
図1(A)の表示装置10の領域20の拡大図を
図1(B)に示す。領域20は、表示領域103、周縁部104、導電層171、シール材173を有する。表示装置10の周縁部104は、表示領域103の端部よりも外側の領域を有する。
【0022】
図1(B)のA1−A2間の断面図を
図1(C)に示す。
図1(C)において、周縁部104は、導電層160、封止層161、導電層171、シール材173、充填材174、基板101を有する。導電層160は、表示領域103における発光素子130に用いられる電極としても用いることができる。なお、シール材173によって、基板100と基板101とを固定し、充填材174を設けない中空封止としても良いし、充填材174によって、基板100と基板101とを固定する場合は、シール材173を設けなくても良い。
【0023】
封止層161は、無機封止層162、有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167、無機封止層169を有する。封止層161は、例えば有機EL層のような発光素子への水分や酸素の侵入を防止する機能を有する。封止層161は、表示領域103を覆うように設けられる。
【0024】
(無機封止層162、無機封止層169)
無機封止層162、無機封止層169には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。無機封止層162、無機封止層169の膜厚は、数十nmから数μmとすることができる。
【0025】
(有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167)
有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167には、アクリル、ポリイミド、エポキシ等の材料を用いることができる。有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167の膜厚は、数μmから数十μmとすることができる。
【0026】
封止層161において、無機封止層162上に有機封止層163が設けられる。また、有機封止層163上に有機封止層165が設けられる。また、無機封止層162、有機封止層163、有機封止層165上に有機封止層167が設けられる。また、無機封止層162、有機封止層167上に無機封止層169が設けられる。
【0027】
有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167の端部は、無機封止層162、および無機封止層169の端部と、表示領域103の端部との間に設けられる。
【0028】
また、有機封止層165の端部は、表示領域103の端部と、有機封止層163の端部の間となるように設けられる。また、有機封止層167の端部は、無機封止層162、無機封止層169の端部と、有機封止層163の端部の間となるように設けられる。
【0029】
また、無機封止層162、無機封止層169の端部は、表示領域103、有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167のいずれの端部よりも外側に位置する。
【0030】
上記構造とすることで、無機封止層162、無機封止層169が接する構造となる。これにより、有機封止層163、165、167の端部が外部に露出しないようにすることができる。また、無機封止層が複数設けられているため、一部にピンホール等の欠陥が出来てしまったとしても、他の無機封止層がその欠陥を補って、水分の侵入をより効果的に抑制することができる。
【0031】
また、
図2(A)に示すように、封止層161において、有機封止層163と有機封止層165との間に無機封止層164、有機封止層165と有機封止層167との間に無機封止層166を設けることができる。この場合、
図2(B)に示すように有機封止層167の端部は、表示領域103の端部と有機封止層165の端部の間に設けてもよい。
【0032】
図3、および
図4に表示装置10のA1−A2間の断面図および上面図を示す。
図3(A)に示す有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167の端部に相当する領域において、
図3(B)に示すように、導電層171の線幅を他の領域よりも広い形状となるように設けてもよい。また、
図4(B)に示すように直線形状となるように設けてもよい。
【0033】
また、有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167の端部は、A1−A2断面方向から見た場合、傾斜を有するテーパー形状とすることが好ましい。
【0034】
また、有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167の端部の角部は、A1−A2断面方向から見た場合、丸みを有する形状とすることが好ましい。
【0035】
上記構造とすることで、導電層160を断線させることなく、安定して設けることができる。
【0036】
(実施形態3.表示装置の周縁部の製造方法)
以下、
図5乃至
図11を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明する。なお、以下に示す製造方法は、
図1乃至
図4で説明される表示装置に対応するものである。
図5乃至
図11の(A)、(B)はそれぞれ、断面図と上面図に対応する。
【0037】
導電層160上に無機封止層162を形成する(
図5参照)。このとき、表示領域103は、無機封止層162により、覆われていることが好ましい。無機封止層162は、プラズマCVD法、熱CVD法、蒸着法、スピンコーティング法、スプレー法、印刷法を用いて形成することができる。例えば、無機封止層162として、プラズマCVD法で形成した窒化シリコン膜を用いることができる。
【0038】
次に、無機封止層162上に有機封止層163を形成する(
図6参照)。有機封止層163は、有機封止層163となる有機層をスピンコーティング法、蒸着法、スプレー法、インクジェット法、印刷法などを用いて数μmから数十μm程度の厚さに形成し、フォトグラフィー法およびドライエッチング法などを用いて加工する。このとき、有機封止層163の端部が表示領域の端部と、無機封止層162の端部の間となるように形成することが好ましい。なお、当該有機層の形成方法、加工方法は、これらに限定されず、適宜変更することができる。
【0039】
次に、有機封止層163上に有機封止層165を形成する(
図7参照)。有機封止層165の形成方法は、有機封止層163と同様であるが、有機封止層165の端部が有機封止層163の端部と、表示領域103の端部の間となるように形成することが好ましい。
【0040】
次に、有機封止層165、有機封止層163、無機封止層162上に有機封止層167を形成する(
図8参照)。有機封止層167の形成方法は、有機封止層163と同様であるが、有機封止層167の端部が、有機封止層163の端部と、無機封止層162の端部の間となるように形成することが好ましい。
【0041】
次に、有機封止層167、無機封止層162上に無機封止層169を形成する(
図9参照)。無機封止層169の形成方法は、無機封止層162と同様とすることができる。なお、無機封止層162、無機封止層169の端部は、表示領域103、有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167のいずれの端部よりも外側に位置するようにマスクを用いて形成してもよいし、マスクを用いずに形成してもよい。
【0042】
また、有機封止層163形成後、有機封止層165形成前に無機封止層164を形成してもよいし、有機封止層165を形成後、有機封止層167の形成前に無機封止層166を形成してもよい。
【0043】
次に、無機封止層169上に、導電層171となる導電層170を形成する。導電層170は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法などにより、形成することができる。
【0044】
次に、導電層170上に、フォトレジスト172を形成する(
図10参照)。フォトレジスト172は、有機封止層163、有機封止層165、有機封止層167の端部に相当する領域において、
図10(B)に示すように、フォトレジスト172の線幅を他の領域よりも広い形状となるように設けることが好ましい。このとき、端部に相当する線幅は、他の領域の線幅の1倍以上、2倍未満とすることが好ましい。
【0045】
次に、導電層170をドライエッチングすることにより、導電層171を形成する。有機封止層163、165、167端部による段差に重畳する領域は、フォトレジスト172の膜厚が薄くなるため、導電層170がよりエッチングされやすい。フォトレジスト172を当該箇所で幅広い形状としておくことにより、エッチング後の導電層170の線幅が周囲より細くならないように形成できる。幅広い形状については、エッチング後に十分な線幅が残る程度に、かつ隣の他の配線と短絡しない程度であればよく、フォトレジスト172の形状をそれほど精密に制御する必要は無い。つまり、エッチング後に導電層170が幅広い箇所が残っていても良いし、逆にわずかに幅細くなっても問題ない。続けて基板シール材173、充填材174を形成する(
図11参照)。シール材173、充填材174の形成には、スピンコーティング法、蒸着法、スプレー法、インクジェット法、印刷法などを用いることができる。
【0046】
上記製造方法を用いることにより、封止性を高く有し、かつ、タッチセンサ用の配線を断線させることなく、安定して表示装置を製造することができる。
【0047】
なお、本実施形態に示す構成及び方法などは、他の実施形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0048】
(実施形態4.表示装置の構成2)
以下、表示装置10のその他の構成を含めた構造を、図面を用いて説明する。
【0049】
図12に、表示装置10の上面図および断面図を示す。
図12には、
図1(A)の周縁部A1−A2間、画素部B1−B2間、駆動回路部C1−C2間、端子部D1−D2間の断面図を示す。なお、
図12は封止層161の構造が
図1(B)の構造を有したものであり、
図13は
図2(A)の構造を有したものである。
【0050】
(トランジスタ110、111)
トランジスタ110、トランジスタ111は、半導体層142、ゲート絶縁層143、ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147等を有する。
図12において、トップゲート・トップコンタクト構造を有しているが、これに限定されず、ボトムゲート構造としてもよいし、ボトムコンタクト構造としてもよい。また、トランジスタ110、111が、nチャネルおよびPチャネル両方を有している場合は、CMOS構造とすることで、集積度を向上させることができ、また低消費電力化を実現することができる。
【0051】
(基板100、101)
基板100、101は、ガラス基板又は有機樹脂基板が用いられる。有機樹脂基板としては、例えば、ポリイミド基板が用いられる。有機樹脂基板は、板厚を数マイクロメートルから数十マイクロメートルにすることができ、可撓性を有するシートディスプレイを実現することが可能となる。基板100、101は、後述する発光素子からの出射光を外に取り出すために、透明性が求められる。発光素子からの出射光を取り出さない側にある基板は、透明である必要は無いため、前述の材料に加えて、金属基板の表面に絶縁層を形成したものを用いることができる。なお、基板100、101の第2面(断面を見た際の、基板外側の面)にカバーガラス、保護フィルムなどを設けてもよい。これにより、表示装置をキズ、カケから防ぐことができる。基板101は、後述する発光素子を保護する役割を持っているが、封止膜で十分に保護できるのであれば不要である。
【0052】
(絶縁層141)
絶縁層141は、下地膜としての機能を有する。絶縁層141は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等を用いて形成される。絶縁層141は、単層であっても、積層であってもよい。上記材料を用いることで、基板100から不純物、代表的にはアルカリ金属、水、水素等の半導体層142への拡散を抑制することができる。
【0053】
(半導体層142)
半導体層142は、シリコン、シリコンゲルマニウム、酸化物半導体、有機物半導体などが用いられる。シリコンでは、例えばアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンが用いられる。酸化物半導体には、例えばインジウム、ガリウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、錫、ハフニウム、ネオジム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、イットリウムのうち、少なくとも1つ以上の金属を用いることができる。例えば、インジウム、ガリウム、亜鉛を有する酸化物半導体(IGZO)を用いることができる。
【0054】
(ゲート絶縁層143)
ゲート絶縁層143には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。
【0055】
(絶縁層149、絶縁層154)
絶縁層149、絶縁層154は、ゲート絶縁層143と同様の材料を用いて形成することができる。また、絶縁層149、絶縁層154は、単層としてもよいし、上記材料の積層構造としてもよい。
【0056】
(ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147)
ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147には、タングステン、アルミニウム、クロム、銅、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、インジウム、亜鉛から選ばれた金属元素、または上記金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成される。また、ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147は、窒素、酸素、水素などを有してもよい。また、ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147は、上記材料の積層としてもよい。
【0057】
(絶縁層150)
絶縁層150は、平坦化膜としての機能を有する。絶縁層150には有機絶縁材料、無機絶縁材料、または有機材料と無機材料の積層された絶縁材料をもちいることができる。例えば、酸化シリコン、窒化シリコンなどを含む膜、アクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリシロキサンなどの高分子材料、または感光性樹脂を用いることができる。
【0058】
(導電層153)
なお、導電層153は、ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147と同様の材料を用いることができる。
【0059】
(容量素子120、121、122)
容量素子120は、ゲート絶縁層143を誘電体層として、半導体層142のソースまたはドレイン領域とゲート電極層145と同様の材料を用いた容量電極層146が重畳する領域に設けることができる。また、容量素子121は、絶縁層149を誘電体として、容量電極層146とソース・ドレイン電極層147と同様の材料を用いた容量電極層148aを用いることができる。また、容量素子122は、絶縁層154を誘電体として、導電層153、導電層155を用いることができる。
【0060】
(発光素子130)
発光素子130は、導電層155、有機EL層159、導電層160を用いて形成することができる。なお、本発明の一実施形態において、発光素子130は、有機EL層159で発光した光を導電層160側に放射する、いわゆるトップエミッション型の構造を有する。なお、発光素子130は、トップエミッション型に限定されず、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型とすることができる。
【0061】
(有機EL層159)
有機EL層159は、有機エレクトロルミネセンス材料などの発光材料を含む層である。有機EL層159は、低分子系又は高分子系の有機材料を用いて形成される。低分子系の有機材料を用いる場合、有機EL層159は発光性の有機材料を含む発光層に加え、当該発光層を挟むように正孔注入層や電子注入層、さらに正孔輸送層や電子輸送層等含んで構成されていてもよい。例えば、有機EL層159は、発光層をホール注入層と電子注入層とで挟んだ構造とすることができる。また、有機EL層159は、ホール注入層と電子注入層に加え、ホール輸送層、電子輸送層、ホールブロック層、電子ブロック層などを適宜付加されていていてもよい。
【0062】
(導電層155)
導電層155は、画素電極としての機能を有し、さらに光を反射させる性質を有することが好ましい。例えば、導電層153は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、等の光反射性の金属材料を用いてもよいし、正孔注入性に優れるITO(IndiumTinOxide:酸化インジウムスズ)やIZO(IndiumZincOxide:酸化インジウム亜鉛)による透明導電層と、光反射性の金属層とが積層された構造を有していてもよい。
【0063】
(導電層160)
導電層160は、有機EL層159で発光した光を透過させるため、透光性を有しかつ導電性を有するITO(酸化スズ添加酸化インジウム)やIZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)等の透明導電膜を用いることができる。
【0064】
(導電層171)
導電層171は、タッチセンサの配線としての機能を有する。導電層171は、導電層160と同様の材料を用いてもよいし、微細な配線とした場合、ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147に示すような材料を用いることができる。ゲート電極層145、ソース・ドレイン電極層147と同様の材料を用いた場合、導電性を高めることができる。これにより、タッチセンサを高速で応答させることができる。
【0065】
(バンク層157)
バンク層157は、導電層155の周縁部を覆うと共に、導電層155の端部で滑らかな段差を形成するために、有機樹脂材料で形成される。有機樹脂材料としては、アクリルやポリイミドなどを用いることができる。
【0066】
(シール材173、充填材174)
シール材173、充填材174には、無機材料、有機材料、また、有機材料と無機材料の複合材料を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、シリカゲルなどをもちいることができる。
【0067】
(カラーフィルタ層175)
カラーフィルタ層175は、特定の波長帯域の光を透過する機能を有する。例えば、赤色、緑色、青色、又は黄色の波長帯域の光を透過させることができる。前述した有機EL層159を形成するにあたり、各画素で異なる材料を用いて発光層を形成することによって、出射光そのものに特定の色を持たせる場合は、カラーフィルタ層175は不要である。
【0068】
(遮光層177)
遮光層177は、遮光性する機能を有する。例えば、顔料を分散した樹脂、染料を含む樹脂の他、黒色クロム膜等の無機膜、カーボンブラック、複数の無機酸化物の固溶体を含む複合酸化物等を用いることができる。
【0069】
(フレキシブルプリント基板108)
フレキシブルプリント基板108は、異方性導電膜181を用いて導電層148と電気的に接続することができる。
【0070】
なお、本実施形態に示す構成及び方法などは、他の実施形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0071】
(実施形態5.表示装置の製造方法)
以下、表示装置10の製造方法について、
図14乃至17を用いて説明する。
【0072】
(5−1トランジスタ及び層間絶縁層の形成)
図14に示すように、基板100の第1面(断面方向から見た場合の上面)に、絶縁層141、画素部B1−B2間のトランジスタ110(半導体層142、ゲート絶縁層143及びゲート電極層145を含んで形成される)及び容量素子120(容量電極146、ゲート絶縁層132、半導体層142のソース・ドレイン領域によって形成される)、駆動回路部C1−C2間のトランジスタ111、容量素子121(容量電極層146、絶縁層149、容量電極層148aによって形成される)、ソース・ドレイン電極層147、端子部D1−D2間の端子層148b、絶縁層149、絶縁層150を形成する。画素部B1−B2間のトランジスタ110と、駆動回路部C1−C2間のトランジスタ111とは同じ構造を有している。また、容量電極層148a、端子部D1−D2間の端子層148bは、絶縁層149上に、ソース・ドレイン電極層147と同じ導電層で形成されている。ソース・ドレイン電極層147は、例えば、下層側からチタン(Ti)層、アルミニウム(Al)層、チタン層(Ti)の3層が積層膜を形成する。各層は、適宜フォトグラフィー法、ナノインプリンティング法、インクジェット法、エッチングなどを用いて、所定の形状とすることができる。
【0073】
図14において示される絶縁層149は、単層又は複数の層で形成される。例えば、絶縁層149は、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とを積層して形成される。このような絶縁層149は、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法)、スパッタリング法等によって作製される。絶縁層149上に形成される絶縁層150は有機絶縁材料で形成される。有機絶縁材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリシロキサンなどの高分子材料を含むことが好ましい。絶縁層150は、このような有機絶縁材料を用い、スピンコーティング法、インクジェット法、ラミネート法、印刷法、ディップコーティング法、蒸着重合法等を用いて基板100の略全面に形成される。絶縁層150は、1μm以上の厚みで形成することが好ましい。これにより、絶縁層150によってトランジスタ110等による凹凸が埋設され、平坦な表面を基板100上に形成することができる。
【0074】
(5−2発光素子の形成)
次に、
図15に示すように、画素部B1−B2間において絶縁層150上に、容量素子122(導電層153、絶縁層154、導電層155で形成される)、発光素子130(導電層155、有機EL層159、導電層160で形成される)、バンク層157を形成する。各層は、適宜フォトグラフィー法、ナノインプリンティング法、インクジェット法、エッチングなどを用いて、所定の形状とすることができる。
【0075】
導電層153、導電層155は、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法などを用いて数十から数百nmの厚さに形成することができる。例えば、導電層153として、スパッタリング法により形成したモリブデン、アルミニウム、モリブデンの積層膜を用いることができる。例えば、導電層155として、スパッタリング法により形成したITO、銀、ITOの積層膜を用いることができる。
【0076】
絶縁層154は、CVD法(プラズマCVD法、熱CVD法)、スピンコーティング法、印刷法などにより形成することができる。例えば、絶縁層154として、プラズマCVD法により形成した窒化シリコン膜を用いることができる。
【0077】
バンク層157は、導電層155の上面を露出するように開口部が形成される。バンク層157の開口部の端部は、なだらかなテーパー形状となるのが好ましい。これにより段差被覆性を向上させることができる。また、バンク層157は、端子部D1−D2において、導電層148の上面には設けられないように形成してもよいし、導電層148の上面が露出するように開口部を形成してもよい。また、バンク層は数μmの厚さを用いて形成することができる。例えば、バンク層157として、スピンコーティング法により形成したポリイミド膜を用いることができる。
【0078】
有機EL層159は、少なくとも導電層155と重なるように形成する。例えば、有機EL層159は、真空蒸着法、印刷法、スピンコーティング法などにより成膜することができる。有機EL層159を真空蒸着法により形成する場合、シャドーマスクを用い、端子部D1−D2には成膜されないように形成することが好ましい。有機EL層159は、隣接する画素と異なる材料を用いて形成してもよいし、全ての画素において同一の有機EL層159を用いてもよい。例えば、白色光を出射する有機EL層159を全ての画素に共有されるように形成した場合、カラーフィルタなどを用いて各画素から取り出す光の波長を選択すればよい。
【0079】
有機EL層159を形成した後、導電層160を形成する。導電層160は、透光性を有する導電層をスパッタリング法により成膜する。例えば、発光素子130は導電層160側から光を出射するトップエミッション型とした場合、導電層160の膜厚は均一であることが好ましい。
【0080】
導電層160は、真空蒸着法、スパッタリング法により形成することができる。導電層160は、端子部D1−D2に成膜されないようにしてもよいし、形成後に除去してもよい。例えば、導電層160として、スパッタリング法により成膜したIZO膜を用いることができる。
【0081】
(5−3封止層の形成)
次に、導電層160上に、封止層161、導電層171を形成する。封止層161の形成方法については、実施形態3にて説明しているため、ここでは省略する。
【0082】
なお、周縁部A1−A2間において、絶縁層140、及びバンク層157が除去された領域が形成される。絶縁層150上の絶縁層154は、絶縁層150の側面、及び絶縁層149の上面に沿って設けられる。バンク層157上の導電層160は、バンク層157の側面、絶縁層154の上面に沿って設けられる。
【0083】
このように、周縁部A1−A2間において、有機絶縁材料で形成される絶縁層150及びバンク層157が除去された領域を形成し、無機材料で形成される絶縁層154及び導電層160が配設されることで、有機絶縁材料で形成される絶縁層150、及びバンク層157を、無機材料の層により挟み込むことができる。これにより、周縁部A1−A2側から画素部B1−B2への水分等の浸入を防ぐことができる。また、本発明の一実施形態である、封止層161に含まれる無機封止層162、無機封止層169を組み合わせることで、水分遮断効果をさらに高めることができる。したがって、上記領域を水分遮断領域179として機能させることができ、その構造を「水分遮断構造」ということができる。
【0084】
(5−4対向基板との貼り合わせ、フレキシブルプリント基板の接合)
次に、対向基板となる基板101上に、カラーフィルタ層175、遮光層177を形成し、シール材173、充填材174を用いて、基板100と貼り合わせる。
【0085】
遮光層177、カラーフィルタ層175は、スピンコーティング法、スプレー法、インクジェット法を用いて形成することができる。また、遮光層177は、画素部B1−B2間において発光素子130からの光が出射する領域に開口部を有するように形成される。例えば、遮光層177として、スピンコーティング法により形成した黒色顔料を有する感光性有機樹脂材料(黒レジスト)を用いることができる。
【0086】
カラーフィルタ層175は、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ法を用いたエッチング方法などにより、画素部B1−B2間において発光素子130からの光が出射する領域に設けられるように形成される。
【0087】
基板100、基板101をシール材173、充填材174を介して貼り合わせる場合、基板間の距離を安定させるため、スペーサーなどをあらかじめ設けてもよい。スペーサーは、有機絶縁材料、無機絶縁材料いずれを用いてもよい。また、充填材174には、光硬化性の光硬化型接着剤を用いた場合、材料の硬化速度が速く、作業時間を短縮することが可能である。
【0088】
フレキシブルプリント基板108は、異方性導電膜181を用いて導電層148と電気的に接続することができる。このとき、端子部D1−D2間に存在する膜は、レーザー照射を行うなどして、除去することが好ましい。異方性導電膜181には、銀、銅などの金属粒子を樹脂中に含ませ、塗布することで形成することができる。
【0089】
上記実施形態を用いることにより、水分バリア性に優れ、かつタッチセンサ配線の形状を安定させた表示装置を製造することができる。
【0090】
なお、本実施形態に示す構成及び方法などは、他の実施形態に示す構成及び方法などと適宜組み合わせて用いることができる。