(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ガスコンロに内蔵されているグリルとして、ガスコンロの正面板に設けられた開閉扉を引き出すことにより魚等の食材を内部に収容又は取り出し可能なグリル庫と、グリル庫の側壁や上壁に設けられ且つ前記食材を加熱調理するグリルバーナと、グリル庫の後方に連設され且つ前記グリルバーナの加熱によりグリル庫内に発生する燃焼排気や食材からの油煙や臭気成分を外気に開放する排気口から天板の外部上方へ排出させる排気通路を備えたものが知られている。
この種のグリルにおいて、油分の多い食材を加熱調理する際に、食材がグリル庫内で発火した場合、火炎が、前記排気通路を通って、排気口から天板の上方へ排出されることがある。
【0003】
排気口から火炎が排出されないようにしたものとして、排気口に至るまでの排気通路を蛇行させることにより長く設定し、グリル庫内で発生した火炎が排気口まで達するまでに消失するようにしたもの(特許文献1)や、排気通路の内部に多数の仕切りを設けることにより複数の通路に分割し、各通路内を通過する火炎を酸素不足にして消失させると共に、排気通路の後方及びその上方の排気口との間に空間を設け、可燃性の未燃ガスを希薄化させて着火不能としたもの(特許文献2)が発明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記発明のように、排気通路を長く蛇行させたり、排気通路に多数の仕切りを設けたりする構成では、排気抵抗が大きくなり、グリル庫内の燃焼排気や油煙が排気口に向かって排気通路を流れ難くなるという問題がある。この場合、排気通路を流れ難くなった燃焼排気や油煙がグリル庫内に溜まり、グリルバーナが燃焼不良を起こしたり、ガスコンロの正面側の開閉扉との隙間や天板におけるコンロバーナ部から漏れ出て来たりする不都合や、また、グリル庫内の温度が上昇し、グリル皿に溜まった油分や食材に含まれる油分が異常過熱されて、発火し易くなるといった不都合がある。
また、グリル庫内で発生した火炎が想定以上に大きい場合、上記排気通路や仕切りを通路を火炎が通過して排気口から排出されてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、油分の多い食材がグリル庫内で発火した場合でも、燃焼排気が通過する排気通路の排気抵抗を大きくすることなく、火炎が外部へ排出されないようにするグリルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るグリルは、内部に収容された食材をグリルバーナで加熱調理するグリル庫と、前記グリル庫の後方に連通し且つ上方の排気口へ開放する排気通路を備えたグリルにおいて、
前記排気通路は、排気が下方に流れる下向き通路と排気が上方に流れる上向き通路とから上下に連続して蛇行する形状に形成されていると共に、前記排気通路の途中で、前記グリル庫内の下部域に連通するように設定され
、
前記下向き通路と上向き通路は、排気通路内に差し込まれる仕切り板の前面及び後面に沿ってそれぞれ形成され、
前記仕切り板よりも前方で且つグリル庫の後上部域に、グリル庫内で発生した火炎を前記仕切り板の前面上部へ誘導する火炎誘導板が設けられ、
前記火炎誘導板の後端辺は、前記仕切り板の下端よりも上方に位置し、
前記仕切り板の下端近傍には、前記下向き通路から上向き通路へ排気を短絡させる排気孔が形成される。
【0008】
上記構成によれば、グリル庫の後方に設けられている排気通路は、上下に蛇行する形状に形成されているため、グリル庫内に収容された食材が加熱される際に発生する油煙や臭気は、燃焼排気と共にグリル庫の後方へ流れていき、下向き通路と上向き通路を上下に蛇行しながら、上方の排気口から外方へ排出される。
そして、油分が多い食材がグリル庫内で発火した場合、火炎はグリル庫内を上方へ向かって立ち上るため、グリル庫内の温度と圧力は上部域にて高く、下部域にて相対的に低くなる。排気通路はグリル庫の後方に配設されており、排気通路の途中でグリル庫の下部域に連通するように設定されているから、排気通路を燃焼排気と共に上下に蛇行しながら流れてくる火炎は、排気通路の途中にて、温度と圧力の低いグリル庫内の下部域に引っ張り込まれ、グリル庫内に戻される。なお、燃焼排気は、下向き通路及び上向き通路を順に流れて、上方の排気口から外部へ排出される。
火炎の勢いは排気通路を流れる間に弱められる上に、排気通路の途中でグリル庫内に引き戻されることから、火炎が、排気通路のうち上向き通路を上昇して排気口から外部に排出されることはない。
このように、火炎は、グリル庫の後方で上下に蛇行させた排気通路の途中でグリル庫内に戻すことで排気口から排出されない構成としたから、排気口からの火炎の排出を防ぐために、排気通路をグリル庫の前面近傍にまで長く延設させたり、排気通路に多数の仕切りを設けたりした従来のものに比べて、排気通路を流れる燃焼排気の排気抵抗は大きくならず、燃焼排気を比較的スムーズに排気口から外方へ排出することができる。
【0009】
また、上記構成によれば、グリル庫内で生じた火炎は、上方へ燃え上がった後、火炎誘導板に導かれて、それより後方の排気通路に位置する仕切り板の前面上部に当接し、その後、仕切り板の前面に沿って下向き通路を降下する。火炎の勢いは、仕切り板に当接させられた時点で弱まると共に、下向き通路を降下する際にさらに弱くなり、グリル庫内に戻される。
また、上記構成によれば、仕切り板の前面に沿って下向き通路を降下する燃焼排気は、仕切り板の下端に到達する前に、排気孔を通って上向き通路側へ移動し、仕切り板の後面に沿った上向き通路を排気口に向かって上昇する。このように、排気用の通路は短絡化され、排気をスムーズに排気口へ流すことが出来る。
【0010】
前記グリルにおいて、好ましくは、
前記火炎誘導板と、前記火炎誘導板の後端辺から下方へ連設され且つ前記仕切り板の前面よりも前方に離間して位置する前板と、前記前板の下端辺から後方へ連設され且つ前記仕切り板の下端よりも下方に離間して位置する底板と、前記底板の後端辺から上方へ連設され且つ前記仕切り板の後面よりも後方に離間して位置する後板とからグリル後板が設けられ、
前記底板には、前記排気通路と前記グリル庫内とを連通させる火炎還流孔が形成されている。
【0011】
仕切り板は、グリル後板の前板、底板、後板によって、前後方及び下方を包囲された態様となり、前板と仕切り板の前面との間に下向き通路が形成され、後板と仕切り板の後面との間に上向き通路が形成され、これら下向き通路と上向き通路は、仕切り板の下端と底面との間の空間を介して連通している。なお、底面に、火炎還流孔を設けることにより、前記上向き通路と下向き通路からなる排気通路は、その途中で、火炎還流孔を介して、グリル庫内と連通する構成となっている。
グリル庫内で発生した火炎は、グリル後板の火炎誘導板に誘導されて、仕切り板の前面上部に当接した後、グリル後板の前板に沿って下向き通路を降下し、底板に設けた複数の火炎還流孔からグリル庫内へ還流される。火炎の勢いは、火炎誘導板から仕切り板の上部域に当たると共に、下向き通路を降下することで弱まり、弱まった状態で、火炎還流孔からグリル庫内に還流される。
また、火炎還流孔をグリル後板の底板に設けることにより、排気口から排気通路内に流れ込んでくる煮こぼれ等を、この火炎還流孔から下方へ落下させることができるので、前記底板に、排気口からの煮こぼれ等が溜まる不都合を防止することが出来る。
前記底板には火炎還流孔が開放しているから、前板から底板を介して後板に至る伝熱面積は少なく、前板から後板への熱伝導は抑制される。よって、グリル後板の後板の温度は前板に比べて低温となり、下向き通路を降下した後、底板の火炎誘導板を通過せずに後板に至った火炎の勢いは、低温の後板に当たることによってさらに弱められる。
【0012】
前記グリルにおいて、好ましくは、
前記仕切り板の下部域後方に、グリル庫内の温度を検知するサーミスタが設置され、
前記仕切り板の、前記サーミスタに対応する位置には、前
記排気を短絡させる排気孔が形成されている。
上記構成によれば、燃焼排気が排気孔を通過した先には、サーミスタが位置するように設定されているから、グリル庫内の燃焼排気をサーミスタにスムーズに送ることができ、グリル庫内の温度を迅速に且つ正確にサーミスタで検知することができる。
【0013】
前記グリルにおいて、好ましくは、前記グリル後板の後板は、前記グリル庫の後壁に沿って、前記排気口の下方に設けられている。
火炎は、グリル後板の火炎誘導板から前板に沿って、下向き通路を降下した後に、その一部は、上記したように、底板の火炎還流孔からグリル庫内に取り込まれ、他の一部は、火炎還流孔を通過せずに、後板に当接する。
前記グリル後板の後板は排気孔の下方に位置し外気と接触することにより低温に保たれているため、このような低温の後板に火炎が接触すると、火炎の温度が低下し消失する。よって、火炎が上向き通路を排気口まで上昇することはない。
また、グリル後板の後板に沿って位置するグリル庫の後壁も排気口の下方にて低温に保たれるため、火炎誘導板を通過した火炎がグリル庫の後壁に接触したとき、温度低下により消失する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係るグリルによれば、グリル庫内の食材が発火し、火炎が発生した場合、火炎は、燃焼排気や油煙と共に、上下に蛇行する排気通路のうち、下向き通路を流れる間にその勢いは弱められる上に、その途中でグリル庫内に戻される構成としたから、火炎が、上向き通路を上昇し、排気口から外へ排出されることはない。
また、排気通路は、下向き通路と上向き通路とから上下に蛇行する構造としたから、排気通路が占めるスペースを前後方向に小さく設定できると共に、排気通路を、グリル庫の前面近傍にまで長く延設させたり、多数の仕切りを設けたりする従来のものに比べて、排気抵抗が大きくなることはなく、燃焼排気を比較的スムーズに排気口に向かって流すことができるから、燃焼排気がグリル庫内に溜まって、グリルバーナの燃焼不良を生じさせたり、排気口以外の隙間から漏れ出たり、グリル庫内の温度が異常過熱されて発火を生じさせるといった不都合はない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、中央にグリルを備えたガステーブルコンロの斜視図であり、略矩形箱状のコンロ本体(3)の上面部を構成する天板(31)の左右両側寄りに、加熱手段としての2つのコンロバーナ(32)が配設されており、これらコンロバーナ(32)の間におけるコンロ本体(3)の内部には、グリル庫(100)が設けられている。
尚、本明細書では、コンロ本体(3)の前面部(3a)側から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0017】
コンロ本体(3)の前面部(3a)の略中央位置には、グリル庫(100)の開閉扉(14)が設けられており、この開閉扉(14)の把手(15)を前方に引き出すことにより、グリル庫(100)を開放させて、内部に食材を収容したり、焼き上がった食材を取り出したりすることができる。
天板(31)の左右には、コンロバーナ(32)のバーナヘッド(321)を突出させるための略円形のバーナ用開口(322)が設けられており、その周囲には、鍋やフライパン等の調理容器を支持する五徳(36)が載置されている。
さらに、天板(31)の後部中央域には、後述するグリル庫(100)の排気口(10)に通じる横長スリット状の多数の排気孔(30)が設けられている。
【0018】
本発明の実施の形態に係るグリルは、
図2に示すように、矩形箱状の本体ケース(13)内に収容されており、その後方上面に開放している排気口(10)が、コンロ本体(3)の排気孔(30)に対応するように、コンロ本体(3)の中央部に収容される。
グリル庫(100)内で発生した燃焼排気は、グリル庫(100)の後上部域の排気通路(1)を通って排気通路(1)の上端開放部である排気口(10)を経て、コンロ本体(3)の排気孔(30)からガスコンロの外方へ排出される。
なお、排気口(10)の下方であって、本体ケース(13)の後方端近傍であって、排気通路(1)に連通する所定位置には、グリル庫(100)内の温度を検知するサーミスタ(4)が設けられている。サーミスタ(4)による検知温度が所定値を超えると、制御手段(図示せず)がグリル庫(100)内の異常過熱状態を判定し、グリルバーナ(33)の燃焼が停止される。
【0019】
グリル庫(100)の前面部は、食材を出し入れするための取出口が設けられ、取出口は、上述した開閉扉(14)によって開閉自在に閉塞されている。
開閉扉(14)の裏面には、食材の焼き汁を受けるグリルパン(17)が連設されていると共に、グリルパン(17)の上面には、
図3に示すように、焼き網(18)が載置されている。グリルパン(17)と焼き網(18)は、開閉扉(14)を開けばその開放動作に追動して取出口からグリル庫(100)の外部へ引き出されるように構成されている。
【0020】
グリル庫(100)の上壁(12)には、ガス配管(図示せず)から送り込まれたガスを燃焼させるグリルバーナ(33)が配設されており、焼き網(18)に載置された食材は、このグリルバーナ(33)から放出されるガスの燃焼熱によって加熱調理される。
グリルバーナ(33)による加熱により、グリル庫(100)内で発生する燃焼排気は、グリル庫(100)の後上部域へ送られ、排気通路(1)を経て、排気口(10)から、本体ケース(13)の外部へ排出される。
【0021】
上壁(12)の上方には、
図2及び
図3に示すように、上部遮熱板(2)が全域的に被覆されている。上部遮熱板(2)の後端には、排気口(10)内に差し込まれる仕切り板(21)が垂下している。
仕切り板(21)は、排気口(10)の横長さに略一致する幅に設定されており、仕切り板(21)の上端(21a)が、排気口(10)の前端辺(10a)に当接するように上から差し込まれる。
これにより、排気通路(1)は、仕切り板(21)の前後で区画される態様となる。
なお、仕切り板(21)の下端近傍であって、サーミスタ(4)の配設位置に対応する箇所には、複数の排気孔(20)が貫通している。
【0022】
また、グリル庫(100)の後上部域には、仕切り板(21)の下部域の前後方及び下方を離間した状態に包囲するグリル後板(200)が配設されている。
グリル後板(200)は、グリル庫(100)の横幅に略一致する幅を有する板状体を、仕切り板(21)の略下半分の前方に配設される前板(23)と、前板(23)の下端辺から後方へ水平に連設される底板(24)と、底板(24)の後端辺から上方へ連設される後板(25)とから上方に開放する略コ字状体が形成されると共に、前板(23)の上端部から前方へは火炎誘導板(22)が、後板(25)の上端部からさらに後方へは延設板(26)がそれぞれ延設されるように屈曲させた構成となっている。
排気口(10)の前端辺(10a)から下方に差し込まれた仕切り板(21)の後面は排気口(10)に面していることから、仕切り板(21)の後面側に位置するグリル後板(200)の後板(25)やそれに続く延設板(26)は、外気で冷却される態様となる。
なお、後板(25)は、グリル庫(100)の後壁(19)に沿うように設けられていると共に、底板(24)には、グリル庫(100)の後下部域に連通する火炎還流孔(24a)が形成されている。
【0023】
グリル後板(200)の前板(23)は、下端部よりも上端部が仕切り板(21)から離反するように、その上部域は前方へ傾斜されていると共に、、火炎誘導板(22)は、グリル庫(100)の後上部域から水平板を経て、前板(23)の上端部に向かって上昇する傾斜板から形成されている。この火炎誘導板(22)は、グリル庫(100)内で発生した火炎を排気通路(1)へ誘導するためのものであり、火炎を火炎誘導板(22)の傾斜に沿って上昇させた後、仕切り板(21)の上部域に当接するように、各部の寸法及び火炎誘導板(22)の傾斜角度は各々設定されている。
また、延設板(26)は、後方に向かって上昇するように僅かに傾斜しており、その略中央部には、先端の感熱部が延設板(26)より上方に突出するように、サーミスタ(4)が固定されていると共に、サーミスタ(4)の左右両側方及び上方さらには後方を囲むようにケース(40)が設けられている。
サーミスタ(4)は、仕切り板(21)の下端近傍に設けられている排気孔(20)に対応する位置に突出させるために、延設板(26)が延設される後板(25)の高さは、上端部が、仕切り板(21)の排気孔(20)の形成域辺りに位置するように設定されている。
【0024】
これにより、グリル庫(100)の後上部域から排気口(10)へ通ずる排気通路(1)は、仕切り板(21)とグリル後板(200)とで区画され、
図4に示すように、グリル後板(200)の前板(23)と仕切り板(21)の前面との間に下向き通路(1a)が形成され、グリル後板(200)の後板(25)と仕切り板(21)の後面との間に上向き通路(1b)が形成され、これら下向き通路(1a)と上向き通路(1b)は、仕切り板(21)の下端とグリル後板(200)の底面(24)との間の空間及び仕切り板(21)に設けた排気孔(20)を介して連通する構成となっている。
【0025】
グリル庫(100)内の焼き網(18)に、魚等の食材を載置し、グリルバーナ(33)で加熱させると、グリルバーナ(33)からの燃焼熱によって、グリル庫(100)内は加熱され温度が上昇すると共に、食材が加熱調理される。このとき、食材から生じる油煙や臭気は、燃焼排気と共に、
図4の二点鎖線に示すように、グリル庫(100)の後上部域の排気通路(1)へ流れていき、火炎誘導板(22)を介して、下向き通路(1a)を降下した後、排気孔(20)または仕切り板(21)の下方を通過して上向き通路(1b)を上昇し、排気口(10)から外部へ排出される。
排気通路(1)は、下向き通路(1a)及び上向き通路(1b)に沿って1回蛇行するだけの構成であるから、著しく長くなることもなく、また、障害物もないことから、排気抵抗が必要以上に大きくなることはない。よって、燃焼排気は、比較的スムーズに排気口(10)に向かって流れていき、グリル庫(100)内に溜まってグリル庫(100)内が異常過熱状態となったり、グリルバーナ(33)の燃焼不良を生じさせたり、または、コンロ本体(3)の天板(31)のバーナ用開口(322)や開閉扉(14)の隙間から燃焼排気が漏れ出る不都合はない。
【0026】
排気孔(20)から上向き通路(1b)へ流れた燃焼排気は、排気孔(20)に対応する位置に配設されているサーミスタ(4)を囲むケース(40)内にその前方開放部(41)から入り込んだ後、同じ前方開放部(41)から上向き通路(1b)へ脱出し、排気口(10)へ流れていく。
このように、グリル庫(100)内の燃焼排気は、確実に、ケース(40)内のサーミスタ(4)に送ることができるから、グリル庫(100)内の温度を迅速に且つ正確にサーミスタ(4)で検知することができ、サーミスタ(4)の特性を安定させることができる。
【0027】
なお、グリル庫(100)内に収容した食材が油分を多く含む場合、グリルバーナ(33)からの燃焼熱で発火することがある。グリル庫(100)内で火炎が発生した場合、上方へ燃え上がる火炎によって、グリル庫(100)の中央上部域の温度や圧力は、グリル庫(100)の前後左右の下部域よりも高くなる。
【0028】
グリル庫(100)内の中央に発生し、上方へ立ち上がった火炎は、
図4の実線の矢印に示すように、火炎誘導板(22)に誘導されて後方へ向かって斜めに上昇し、仕切り板(21)の前面上部域に当接する。これにより、火炎の勢いは弱められ、燃焼排気と共に、下向き通路(1a)に流れ込む。下向き通路(1a)の上流端部は前板(23)を手前に傾斜させることで幅広に形成されているから、火炎は速やかに下向き通路(1a)に流れ込み、下流端に向かって降下する。火炎の勢いは、下向き通路(1a)を降下する際にさらに弱められる。
【0029】
下向き通路(1a)の下流端であるグリル後板(200)の底板(24)には、火炎還流孔(24a)が開放していることから、前板(23)から後板(25)への伝熱面積は少なく、熱伝導は抑制される。また、上記したように外気によって冷却された後板(25)の影響にて底板(24)も、ある程度冷却される。これにより、勢いが弱められた状態で下向き通路(1a)を降下してくる火炎の一部は、底板(24)における火炎還流孔(24a)の周縁に当たることでその勢いは弱められると同時に冷却され、、その後方の後板(25)に当たることでさらに冷却されて消滅する。また、火炎還流孔(24a)を通過した火炎は、排気通路(1)よりも温度及び圧力が低いグリル庫(100)の後下部域へ引っ張られ、グリル庫(100)内に戻される。
なお、グリル後板(200)の後板(25)が沿うグリル庫(100)の後壁(19)も、外気によって冷却された状態にあることから、火炎還流孔(24a)を通過してグリル庫(100)内に戻された火炎が後壁(19)に接触すると冷却されて消滅する。
【0030】
このように、グリル庫(100)内で発生した火炎は、火炎誘導板(22)によって仕切り板(21)に当接した上に、下向き通路(1a)を降下する間に勢いは弱まり、その一部は、底板(24)の火炎還流孔(24a)からグリル庫(100)内に還流されて消滅すると共に、他の一部は後板(25)に当たって消滅するから、火炎が、排気口(10)を介して、コンロ本体(3)の排気孔(30)から外に溢れることはない。
【0031】
また、コンロ本体(3)の天板(31)の上面で生じた煮こぼれ等が、排気孔(30)を介して、グリルの本体ケース(13)の排気口(10)から排気通路(1)内に流れ込んできた場合、サーミスタ(4)のケース(40)の上面や延設板(26)に落下した後、傾斜に従って、上向き通路(1b)内へ流れて行く。上向き通路(1b)内に流れ込んだ煮こぼれ等は、底板(24)の火炎還流孔(24a)からさらに下方へ落下させることができるから、グリル後板(200)の底板(24)に、煮こぼれ等が溜まる不都合を防止することが出来る。なお、火炎還流孔(24a)の下方に、グリルパン(17)の後端部を位置させて、煮こぼれ等をグリルパン(17)に回収できるようにしておけば、グリルパン(17)を引き出して清掃することで、グリル庫(100)内部を清潔な状態に保ち続けることができる。
【0032】
なお、上記実施の形態で採用した上部遮熱板(2)から垂下させた仕切り板(21)の下端近傍には、下向き通路(1a)から上向き通路(1b)へ排気を短絡させる排気孔(20)が設けられているが、この排気孔(20)は必ずしも設ける必要はない。