特許第6807199号(P6807199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807199
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】洗濯用薬液の投入装置及び投入方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20201221BHJP
   D06F 31/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   D06F39/02 A
   D06F31/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-184535(P2016-184535)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-47027(P2018-47027A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮二
(72)【発明者】
【氏名】山根 和浩
(72)【発明者】
【氏名】繁中 禎宜
(72)【発明者】
【氏名】扶川 陽一
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0098811(US,A1)
【文献】 特開2016−127243(JP,A)
【文献】 特開2013−059735(JP,A)
【文献】 特開2010−273874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00〜51/02
A47L 15/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リネンサプライ業又はクリーニング業の業務用洗濯機の洗濯機槽に洗濯用薬液を投入する装置であって、
洗濯用薬液を収容する薬液タンクと、
前記薬液タンクの洗濯用薬液を薬液タンク側から洗濯機槽側に送り、かつ洗濯機槽側から薬液タンク側に戻すように循環させるための循環用配管と、
前記洗濯用薬液を前記循環用配管にて循環させる循環ポンプと、
前記循環用配管から分岐して設けられ前記洗濯機槽に前記洗濯用薬液を投入するための投入用配管と、
前記投入用配管の流路を開閉する弁と、
前記投入用配管を流れる前記洗濯用薬液の流量を測定する流量計と、
を備え
前記洗濯用薬液を前記循環ポンプにより前記循環用配管にて常時循環させ、前記投入用配管の前記弁を開いて前記流量計にて流量を測定しながら前記洗濯用薬液を前記洗濯機槽に投入する、洗濯用薬液の投入装置。
【請求項2】
前記流量計が非接触流量計である、請求項1に記載の投入装置。
【請求項3】
前記循環用配管における前記投入用配管との分岐部よりも下流側の戻し配管において、当該戻し配管内を流れる前記洗濯用薬液の圧力を検出するための圧力センサが設けられた、請求項1又は2に記載の投入装置。
【請求項4】
複数の前記洗濯機槽に対して前記洗濯用薬液を投入するように、前記投入用配管が前記循環用配管から複数分岐して設けられ、複数の前記投入用配管のそれぞれに前記弁及び前記流量計が設けられた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投入装置。
【請求項5】
リネンサプライ業又はクリーニング業の業務用洗濯機の洗濯機槽に投入装置を用いて洗濯用薬液を投入する方法であって、
前記投入装置は、洗濯用薬液を収容する薬液タンクと、前記薬液タンクの洗濯用薬液を薬液タンク側から洗濯機槽側に送りかつ洗濯機槽側から薬液タンク側に戻すように循環させるための循環用配管と、前記洗濯用薬液を前記循環用配管にて循環させる循環ポンプと、前記循環用配管から分岐して設けられ前記洗濯機槽に前記洗濯用薬液を投入するための投入用配管と、前記投入用配管に設けられた弁及び流量計と、を備え、
前記洗濯用薬液を前記循環ポンプにより前記循環用配管にて常時循環させ、
前記投入用配管の前記弁を開いて前記流量計にて流量を測定しながら前記洗濯用薬液を前記洗濯機槽に投入する、洗濯用薬液の投入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、業務用洗濯機における洗濯用薬液の投入装置及び投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用洗濯機においては、洗剤や漂白剤、仕上げ加工剤などの薬剤を水と混合して希釈してなる薬液を、洗濯機の槽内に投入するために、洗濯用薬液の投入装置が付設されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、各洗濯用薬液を夫々収容した複数の薬液タンクと、該薬液タンクから洗濯機槽に各洗濯用薬液を送る複数のチューブ式ポンプ及び配管と、を備えた自動投入装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、各薬液タンク及び給水路と攪拌タンクとをそれぞれパイプで接続し、各パイプの途中にチェックバルブと流量計と電磁弁をそれぞれ設け、更に攪拌タンクに加圧・減圧装置を設けて、各薬液タンク内の薬液と給水路からの水を、流量計を用いて計量して攪拌タンク内で希釈混合し、この希釈した薬液を加圧エアーにより洗濯機槽内に噴霧して投入することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−318997号公報
【特許文献2】特開2001−120888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のようなチューブ式ポンプを用いた洗濯用薬液の投入では、ポンプの送液部であるチューブが劣化しやすく、劣化すると計量が不正確になるので、正確な投入が困難になる。また、チューブ式ポンプのような定量送りポンプを用いて一方向の配管で投入する場合、ポンプから洗濯機槽までの配管に洗濯用薬液を完全に満たしておくことができず、薬液の投入後に配管内に部分的に空気が侵入することで定量での投入が困難になる。特に、業務用洗濯機では、一般に薬液タンクと洗濯機槽とが離れた位置にあるため、配管内に空気が入り込みやすく、定量投入を更に難しくする。
【0007】
なお、上記特許文献2には、電磁弁と流量計を用いて薬液を供給することが開示されているが、攪拌タンクに計量投入するために流量計を用いるものであり、流量計を用いて洗濯機槽に投入することについても、また洗濯用薬液を循環させながら投入することについても開示されていない。
【0008】
本発明の実施形態は、業務用洗濯機の洗濯機槽に洗濯用薬液を正確に投入することができる投入装置及び投入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る洗濯用薬液の投入装置は、リネンサプライ業又はクリーニング業の業務用洗濯機の洗濯機槽に洗濯用薬液を投入する装置であって、洗濯用薬液を収容する薬液タンクと、前記薬液タンクの洗濯用薬液を薬液タンク側から洗濯機槽側に送り、かつ洗濯機槽側から薬液タンク側に戻すように循環させるための循環用配管と、前記洗濯用薬液を前記循環用配管にて循環させる循環ポンプと、前記循環用配管から分岐して設けられ前記洗濯機槽に前記洗濯用薬液を投入するための投入用配管と、前記投入用配管の流路を開閉する弁と、前記投入用配管を流れる前記洗濯用薬液の流量を測定する流量計と、を備え、前記洗濯用薬液を前記循環ポンプにより前記循環用配管にて常時循環させ、前記投入用配管の前記弁を開いて前記流量計にて流量を測定しながら前記洗濯用薬液を前記洗濯機槽に投入するものである。
【0010】
本発明の実施形態に係る洗濯用薬液の投入方法は、リネンサプライ業又はクリーニング業の業務用洗濯機の洗濯機槽に投入装置を用いて洗濯用薬液を投入する方法であって、前記投入装置は、洗濯用薬液を収容する薬液タンクと、前記薬液タンクの洗濯用薬液を薬液タンク側から洗濯機槽側に送りかつ洗濯機槽側から薬液タンク側に戻すように循環させるための循環用配管と、前記洗濯用薬液を前記循環用配管にて循環させる循環ポンプと、前記循環用配管から分岐して設けられ前記洗濯機槽に前記洗濯用薬液を投入するための投入用配管と、前記投入用配管に設けられた弁及び流量計と、を備え、前記洗濯用薬液を前記循環ポンプにより前記循環用配管にて常時循環させ、前記投入用配管の前記弁を開いて前記流量計にて流量を測定しながら前記洗濯用薬液を前記洗濯機槽に投入するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、薬液タンク側から洗濯機槽側にわたり設けられた循環用配管にて洗濯用薬液を常時循環させながら、該循環用配管から分岐した投入用配管より流量計を用いて流量を測定しつつ洗濯機槽内に洗濯用薬液を投入することができる。このように常時循環させるので、配管内への空気の入り込みを抑制することができ、流量計を用いて確実に定量での投入が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る投入装置の模式的な構成図である。
図2】第2実施形態に係る投入装置の模式的な構成図である。
図3】第3実施形態に係る投入装置の模式的な構成図である。
図4】第4実施形態に係る投入装置の模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る洗濯用薬液の投入装置は、業務用洗濯機の洗濯機槽に洗濯用薬液を投入するための自動投入装置である。業務用洗濯機としては、例えばリネンサプライ業やクリーニング業等の業務用洗濯機が挙げられる。一般に、業務用洗濯は、予洗、本洗、すすぎ、加工の4つの工程を経て行われる。かかる4工程を行う業務用洗濯機には、予洗、本洗、すすぎ及び加工が単独槽で行われるバッチ式洗濯機と、予洗、本洗、すすぎ及び加工用の複数の槽を並設してなり、被洗物をこれら各槽に順次移動させながら連続して洗濯を行う連続洗濯機があり、いずれの洗濯機に設けられるものであってもよい。
【0014】
洗濯用薬液は、洗濯機に投入される液体の薬剤であり、洗浄剤液とも称される。例えば、洗剤、漂白剤、アルカリ剤、酸、中和剤、柔軟剤、糊剤、抗菌剤などの薬剤を、そのまま、又は、水に溶解ないし希釈したものが挙げられる。
【0015】
図1に示す第1実施形態に係る投入装置10Aは、洗濯用薬液として、粉末洗剤を水に溶かしてなる洗剤溶液を、業務用洗濯機に自動投入するための洗剤投入装置である。
【0016】
投入装置10Aは、業務用洗濯機として、2台の連続洗濯機1,2、即ち連洗機1及び連洗機2に、洗剤溶液を投入する装置である。連続洗濯機としては、特に限定されず、例えば、特開2010−214002号公報に開示されているように、予洗槽、本洗槽、すすぎ槽及び加工槽の各洗濯機槽を有するものが挙げられる。この例では、図1に示すように、投入装置10Aは、連洗機1の予洗槽1A(即ち、「予洗」)と、2つの本洗槽1B,1C(即ち、「本洗1」及び「本洗2」)、並びに、連洗機2の予洗槽2A(即ち、「予洗」)と、2つの本洗槽2B,2C(即ち、「本洗1」及び「本洗2」)のそれぞれについて、洗剤溶液を投入できるように構成されている。
【0017】
投入装置10Aは、薬液タンク12と、循環用配管14と、循環ポンプ16と、投入用配管18と、電磁弁20と、流量計22とを備える。
【0018】
薬液タンク12は、洗濯用薬液として洗剤溶液を収容するタンクであり、連続洗濯機1,2の各洗濯機槽1A〜C,2A〜Cとは離れた位置に設けられている。薬液タンク12には、粉末洗剤を溶かしかつ希釈するための水を、薬液タンク12内に供給する給水装置24が設けられている。給水装置24は、給水配管26に電磁弁28と流量計30を設けることにより構成されており、流量計30による正確な希釈が可能である。
【0019】
薬液タンク12には、粉末洗剤を水に溶解させやすくするための加熱手段32と、洗剤溶液を攪拌する攪拌装置34と、洗剤溶液の温度を検知する温度センサ36が設けられている。加熱手段32は、この例では蒸気を加熱源とした加熱パイプからなり、温度センサ36の検知結果に基づいてバルブ32Aを開閉することにより、洗剤溶液の温度を所定範囲内に制御するよう構成されている。
【0020】
薬液タンク12には、また、洗剤溶液の液量を検知する液面センサ38が設けられている。液面センサ38により洗剤溶液の残量を監視するとともに、洗剤溶液を補充する際、検知した残量から必要な水量を自動計算して、その水量を給水装置24から供給するように構成されている。
【0021】
循環用配管14は、薬液タンク12の洗剤溶液を、薬液タンク12側から洗濯機槽1A〜C,2A〜C側に送り、かつ洗濯機槽側から薬液タンク側に戻すように循環させる配管である。詳細には、循環用配管14は、薬液タンク12の洗剤溶液を洗濯機槽1A〜C,2A〜Cの近傍へ送るために、薬液タンク12の底部から引き出されて洗濯機槽1A〜C,2A〜Cの設置場所まで延びる送り配管14Aと、洗濯機槽近傍まで送られた洗剤溶液を薬液タンク12に戻すために、前記設置場所から薬液タンク12まで延びる戻し配管14Bとを備えてなる。
【0022】
循環ポンプ16は、洗剤溶液を循環用配管14にて循環させるためのポンプであり、循環用配管14(より詳細には、送り配管14Aにおける薬液タンク12近傍の上流部)に設けられている。循環ポンプ16は、薬液タンク12から洗剤溶液を吸引して、循環用配管14の送り配管14Aに流し、更に戻し配管14Bを通って薬液タンク12に戻すように循環させる。循環パイプ16としては、例えばインペラを持つポンプのような汎用の非定量送りポンプを用いることができ、劣化しにくいステンレス製ポンプが好ましく用いられる。なお、循環ポンプ16の上流には図示しないストレーナーを設けてもよい。
【0023】
投入用配管18は、洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに洗剤溶液を投入するための配管であり、循環用配管14から分岐して設けられている。この例では、連続洗濯機1,2の複数の洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに対してそれぞれ洗剤溶液を投入するように、投入用配管18は、循環用配管14から複数分岐して、即ち各洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに対しそれぞれ分岐して、設けられている。より詳細には、投入用配管18は、各洗濯槽1A〜C,2A〜Cの上方を通る送り配管14Aから下方に分岐して延び、各洗濯槽1A〜C,2A〜C内に引き込まれている。
【0024】
電磁弁20は、洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに洗剤溶液を投入するために投入用配管18の流路を開閉する弁であり、投入用配管18に設けられている。電磁弁20は、複数の投入用配管18のそれぞれに設けられている。
【0025】
流量計22は、投入用配管18を流れる洗剤溶液の流量を測定する計測器であり、投入用配管18において、電磁弁20の上流側、即ち循環用配管14からの分岐部と電磁弁20との間に設けられている。流量計22は、複数の投入用配管18のそれぞれに設けられている。流量計22としては、例えば超音波流量計や電磁流量計等の非接触流量計を用いることが好ましく、この例では超音波流量計を用いている。
【0026】
循環用配管14には、配管内を流れる洗剤溶液の圧力を常時監視する圧力センサ40が設けられている。圧力センサ40は、投入用配管18との分岐部よりも下流側の戻し配管14Bにおいて、当該戻し配管14B内を流れる洗剤溶液の圧力を検出する。
【0027】
第1実施形態の投入装置10Aを用いて洗剤溶液を投入する際には、まず、薬液タンク12に洗剤を投入するとともに、給水装置24を用いて所定量の水を自動投入し、加熱手段32を用いて加熱しつつ、攪拌装置34により攪拌して、洗剤を水に溶解させて洗剤溶液を調製する。次いで、循環ポンプ16を用いて、洗剤溶液を循環用配管14に循環させる。このようにして洗剤溶液を循環用配管14にて常時循環させながら、投入用配管18の電磁弁20を開いて流量計22にて流量を測定しながら洗剤溶液を洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに投入する。詳細には、洗剤溶液を投入すべき洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに対して、不図示の制御部からの信号に基づいて、当該洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに対応する投入用配管18の電磁弁20を開く。これにより、循環用配管14Aを流れる洗剤溶液が、分岐部から当該投入用配管18に流れ、対応する洗濯機槽1A〜C,2A〜C内に洗剤溶液が投入される。この投入用配管18を流れる洗剤溶液の流量を流量計22により計測しながら、流量が指定値になったときに、電磁弁20を閉じる。これにより、所定量の洗剤溶液が洗濯機槽1A〜C,2A〜C内に投入される。
【0028】
このように本実施形態によれば、薬液タンク12から洗濯機槽1A〜C,2A〜C側まで延びる循環用配管14を設けて洗剤溶液を常時循環させるので、薬液タンク12と洗濯機槽1A〜C,2A〜Cとの距離が遠くても、配管内への空気の入り込みを抑制することができ、定量での投入を容易にすることができる。また、常時循環させることで、ポンプや配管の閉止による洗剤溶液の投入ミスを回避することができる。
【0029】
また、流量計22を設けたことにより、気温の変化により洗剤溶液の粘度が変化した場合でも、定量での投入が可能である。
【0030】
更に、常時循環させるものにおいて流量計22を設けたことにより、仮に複数の投入用配管18の電磁弁20が同時に開状態になった場合でも、流量を実測しているため、定量での投入が可能である。そのため、定量での投入のために高出力の循環ポンプを用いる必要がなく、循環ポンプ16の低出力化が可能である。すなわち、循環ポンプ16が高出力の場合、複数の電磁弁20が開かれたときでも、一定時間の電磁弁20の開閉により一定量の洗剤溶液を投入することができるが、循環ポンプ16が低出力の場合に、このような電磁弁20の時間管理での開閉では、洗剤溶液の投入量のバラツキが大きい。これに対し、定量投入可能な流量計22を設けたことにより、循環ポンプ16の出力によらずに、複数の洗濯機槽1A〜C,2A〜Cに一定量投入することができる。そのため、低出力の循環ポンプ16の利用が可能となる。
【0031】
また、流量計22が非接触流量計であることにより、流量計22での詰まりや腐食を抑制することができる。
【0032】
また、循環用配管14の戻し配管14Bに圧力センサ40を設けたことにより、循環用配管14の圧力を監視することができ、循環ポンプ16やストレーナーでの不具合を検出し、事前警報することもできる。圧力センサ40は、複数の電磁弁20が全て閉じている段階での圧力をみることで、電磁弁20の不具合を検出することもできる。そのため、圧力センサ40は、投入用配管18の分岐部よりも下流側の戻し配管14Bに設けられていることが好ましい。
【0033】
図2は、第2実施形態に係る投入装置10Bを示した図である。この投入装置10Bは、洗濯用薬液として、漂白剤を水で希釈した漂白剤溶液を、業務用洗濯機に自動投入するための漂白剤投入装置である。漂白剤は液体であるため、投入装置10Bには、加熱手段と温度センサと攪拌装置が設けられておらず、その点で第1実施形態の投入装置10Aとは異なる。
【0034】
また、第2実施形態の投入装置10Bは、上記2台の連続洗濯機1,2の各洗濯機槽のうち、連洗機1の本洗槽1B(即ち、「本洗1」)と、連洗機2の本洗槽2B(即ち、「本洗1」)に、漂白剤溶液を投入するものであり、この点でも第1実施形態の投入装置10Aと異なる。
【0035】
また、第2実施形態の投入装置10Bでは、各投入用配管18に設ける流量計として、非接触流量計である電磁流量計22Aを用いている。電磁流量計22Aを用いることにより、腐食性液体の漂白剤溶液でも安定して流量を計測することができる。
【0036】
第2実施形態について、その他の構成及び作用効果については第1実施形態と同様であり、対応する要素には同じ符号を付して、説明は省略する。
【0037】
図3は、第3実施形態に係る投入装置10Cを示した図である。この投入装置10Cは、洗濯用薬液として、液体洗剤などの洗濯助剤を水で希釈した洗濯助剤溶液を、業務用洗濯機に自動投入するための洗濯助剤投入装置である。投入装置10Cには、加熱手段と温度センサと攪拌装置が設けられておらず、その点で第1実施形態の投入装置10Aとは異なる。第3実施形態について、その他の構成及び作用効果については第1実施形態と同様であり、対応する要素には同じ符号を付して、説明は省略する。
【0038】
図4は、第4実施形態に係る投入装置10Dを示した図である。この投入装置10Dは、洗濯用薬液として、柔軟剤、中和剤、糊剤、抗菌剤などの加工助剤を水で希釈した加工助剤溶液を、業務用洗濯機に自動投入するための加工助剤投入装置である。投入装置10Dには、加熱手段と温度センサと攪拌装置が設けられておらず、その点で第1実施形態の投入装置10Aとは異なる。
【0039】
また、第4実施形態の投入装置10Dは、上記2台の連続洗濯機1,2の各洗濯機槽のうち、連洗機1の加工槽1D(即ち、「加工」)と、連洗機2の加工槽2D(即ち、「加工」)に、加工助剤溶液を投入するものであり、この点でも第1実施形態の投入装置10Aと異なる。第4実施形態について、その他の構成及び作用効果については第1実施形態と同様であり、対応する要素には同じ符号を付して、説明は省略する。
【0040】
以上の第1〜第4実施形態の投入装置10A,10B,10C,10Dは、業務用洗濯機に対して、いずれか1つ付設してもよいが、2つ以上組み合わせて適用してもよく、これら4つの投入装置を全て組み合わせて適用してもよい。すなわち、例えば、上記2台の連続洗濯機1,2に対して、これら4つの投入装置10A,10B,10C,10Dを全て付設してもよく、様々な洗濯用薬液の安定した定量投入が可能となる。
【0041】
また、上記実施形態の投入装置10A,10B,10C,10Dは、2台の業務用洗濯機に対して洗濯用薬液を投入するものであるが、1台の業務用洗濯機に投入するものでもよく、3台以上の業務用洗濯機に投入するものでもよい。
【0042】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
10A,10B,10C,10D…投入装置、12…薬液タンク、14…循環用配管、14A…送り配管、14B…戻し配管、16…循環ポンプ、18…投入用配管、20…電磁弁、22…流量計、22A…電磁流量計、40…圧力センサ
図1
図2
図3
図4