(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
クロム及びリンを含有する排水中の前記クロムを3価から6価に酸化した後、当該排水とカルシウム化合物とを反応させ、リン含有不溶化物を生成するリン含有不溶化物生成工程と、
前記リン含有不溶化物を含む排水を、前記リン含有不溶化物を含む汚泥と第1処理水とに固液分離する第1固液分離工程と、
前記第1処理水と還元剤とを反応させ、前記クロムを6価から3価に還元して、クロム含有不溶化物を生成するクロム含有不溶化物生成工程と、
前記クロム含有不溶化物を含む第1処理水を、前記クロム含有不溶化物を含む汚泥と第2処理水とに固液分離する第2固液分離工程と、を備えることを特徴とするクロム及びリンを含有する排水の処理方法。
前記リン含有不溶化物生成工程は、前記排水と酸化剤とを反応させ、前記クロムを3価から6価に酸化することを特徴とする請求項1に記載のクロム及びリンを含有する排水の処理方法。
クロム及びリンを含有する排水中の前記クロムを3価から6価に酸化した後、当該排水とカルシウム化合物とを反応させ、リン含有不溶化物を生成するリン含有不溶化物生成手段と、
前記リン含有不溶化物を含む排水を、前記リン含有不溶化物を含む汚泥と第1処理水とに固液分離する第1固液分離手段と、
前記第1処理水と還元剤とを反応させ、前記クロムを6価から3価に還元して、クロム含有不溶化物を生成するクロム含有不溶化物生成手段と、
前記クロム含有不溶化物を含む第1処理水を、前記クロム含有不溶化物を含む汚泥と第2処理水とに固液分離する第2固液分離手段と、を備えることを特徴とするクロム及びリンを含有する排水の処理装置。
前記リン含有不溶化物生成手段は、前記排水と酸化剤とを反応させ、前記クロムを3価から6価に酸化することを特徴とする請求項3に記載のクロム及びリンを含有する排水の処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施形態に係る排水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
図1に示す排水処理装置1は、酸化処理槽10及びCa反応槽12を有するリン含有不溶化物生成装置14、第1凝集反応槽16、第1固液分離槽18、還元処理槽20を有するクロム含有不溶化物生成装置22、第2凝集反応槽24、第2固液分離槽26を備える。リン含有不溶化物生成装置14は、酸化剤供給ライン28、アルカリ剤供給ライン30、カルシウム化合物供給ライン32を備え、酸化剤供給ライン28及びアルカリ剤供給ライン30は酸化処理槽10に接続され、カルシウム化合物供給ライン32はCa反応槽12に接続されている。クロム含有不溶化物生成装置22は、還元剤供給ライン34及び酸剤供給ライン36を備え、還元剤供給ライン34及び酸剤供給ライン36は、還元処理槽20に接続されている。
【0015】
図1に示すように、酸化処理槽10には、排水流入ライン38が接続されている。また、酸化処理槽10とCa反応槽12、Ca反応槽12と第1凝集反応槽16、第1凝集反応槽16と第1固液分離槽18、第1固液分離槽18と還元処理槽20、還元処理槽20と第2凝集反応槽24、第2凝集反応槽24と第2固液分離槽26はそれぞれ、接続ライン40により接続されている。また、第2固液分離槽26には処理水排出ライン42が接続されている。また、第1固液分離槽18の底部及び第2固液分離槽26の底部には、それぞれ汚泥排出ライン44,46が接続されている。また、第1凝集反応槽16には、第1凝集剤供給ライン48が接続され、第2凝集反応槽24には、アルカリ剤供給ライン49及び第2凝集剤供給ライン50が接続されている。
【0016】
本実施形態に係る排水処理装置1の動作の一例について説明する。
【0017】
処理対象である排水中には、クロム及びリンが含まれている。排水中のクロムは少なくとも3価のクロム(Cr
3+)を含むものであればよいが、通常、3価と6価のクロムが混在している。また、排水中のリンは、主にリン酸イオン(PO
42−)等のイオン状となっている。このようなクロム及びリンを含有する排水が、排水流入ライン38を通り酸化処理槽10に供給される。また、過酸化水素等の酸化剤が、酸化剤供給ライン28から酸化処理槽10に供給され、必要に応じて、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤がアルカリ剤供給ライン30から酸化処理槽10に供給される。酸化処理槽10内では、排水と酸化剤とが反応し、排水中の3価のクロムが6価のクロムに酸化される。酸化処理された排水は接続ライン40を通り、Ca反応槽12に供給される。また、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物がカルシウム化合物供給ライン32からCa反応槽12に供給される。Ca反応槽12内では、排水とカルシウム化合物とが反応し、リン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)等のリン含有不溶化物が生成される。ここで、排水中の6価のクロムは、3価のクロムより安定であるため、カルシウム化合物やリンとの反応が抑えられ、リン酸クロム等のクロム含有不溶化物やリン−クロム錯体等はほとんど生成されない。
【0018】
次に、リン含有不溶化物及び6価のクロムを含む排水が接続ライン40を通り、第1凝集反応槽16に供給される。また、凝集剤が第1凝集剤供給ライン48から第1凝集反応槽16に供給される。第1凝集反応槽16内では、凝集反応により、排水中のリン含有不溶化物がフロック化される。ここで、排水中にリン酸クロム等のクロム含有不溶化物やリン−クロム錯体が存在すると、フロック化したリン含有不溶化物に吸着する等して、クロム混入汚泥となったり、リン含有不溶化物のフロック化を阻害したりする場合がある。しかし、本実施形態では、酸化処理により排水中のクロムを6価のクロムとして存在させ、クロム含有不溶化物やリン−クロム錯体の生成を抑制しているため、クロム混入汚泥の生成やリン含有不溶化物のフロック化の阻害を抑制することが可能となる。
【0019】
フロック化したリン含有不溶化物及び6価のクロムを含む排水は接続ライン40を通り、第1固液分離槽18に供給される。第1固液分離槽18内では、フロック化したリン含有不溶化物を含む汚泥と処理水(第1処理水)とに固液分離され、第1処理水は接続ライン40から還元処理槽20に供給され、汚泥は汚泥排出ライン44から系外へ排出される。排水中の6価クロムは第1処理水と共に還元処理槽20に供給されるため、系外へ排出されるリン含有不溶化物を含む汚泥はクロム混入量の少ない汚泥となる。
【0020】
第1処理水が還元処理槽20に供給された後、重亜硫酸ナトリウム(NaHSO
3)等の還元剤が還元剤供給ライン34から還元処理槽20に供給され、必要に応じて塩酸等の酸剤が酸剤供給ライン36から還元処理槽20に供給される。還元処理槽20内では、第1処理水と還元剤とが反応して、第1処理水中の6価クロムが3価クロムに還元され、クロム含有不溶化物が生成される。
【0021】
クロム含有不溶化物を含む第1処理水は、接続ライン40から第2凝集反応槽24に供給される。また、凝集剤が第2凝集剤供給ライン50から第2凝集反応槽24に供給される。また、必要に応じて、アルカリ剤がアルカリ剤供給ライン49から第2凝集反応槽24に供給される。第2凝集反応槽24内では、凝集反応により、第1処理水中のクロム含有不溶化物がフロック化される。
【0022】
フロック化したクロム含有不溶化物を含む第1処理水は、接続ライン40から第2固液分離槽26に供給される。第2固液分離槽26内では、フロック化したクロム含有溶化物を含む汚泥と処理水(第2処理水)とに固液分離され、第2処理水は処理水排出ライン42から系外へ排出され、汚泥は汚泥排出ライン46から系外へ排出される。系外へ排出される汚泥はクロム含有量の高い汚泥(クロム濃縮汚泥)となる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、リン含有不溶化物を含む汚泥と、クロム不溶化物を含む汚泥とを別々に回収することができるため、有害なクロムを含む汚泥の量を削減することが可能となり、ひいては、汚泥処分費を削減することが可能となる。
【0024】
以下に、本実施形態の各処理工程の詳細を説明する。
【0025】
処理対象排水中のクロム濃度は、特に制限されるものではないが、例えば、10〜10000mg/Lの範囲であり、リン濃度は、特に制限されるものではないが、例えば、10〜10000mg/Lの範囲である。
【0026】
<リン含有不溶化物生成工程>
排水中のクロムを3価から6価に酸化させる酸化方法は、処理コスト、作業の容易性等の点から、既述の酸化剤を排水に添加して、酸化剤と排水とを反応させる方法が好ましいが、これに制限されるものではなく、オゾン酸化法、フェントン酸化法等の従来公知の酸化方法が適用可能である。
【0027】
本実施形態で使用される酸化剤は、特に制限されるものではないが、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、二酸化塩素、過硫酸ナトリウム等が挙げられるが、これらの中では、クロムを効率的に6価に酸化する観点から、過酸化水素が好ましい。
【0028】
排水と酸化剤とを反応させてクロムを酸化させる場合には、アルカリ剤を添加して、反応pHを9.0以上に調整することが好ましく、10.0以上に調整することがより好ましい。反応pHを上記範囲とすることで、クロムを効率的に6価に酸化することが可能となる。なお、反応pHは、例えば、酸化処理槽10内に設置したpH計(不図示)により測定される。アルカリ剤は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等が用いられる。また、ORP計(不図示)により、酸化剤の添加量を制御してもよい。ORPは、0〜100mVの範囲となるように制御することが好ましい。
【0029】
酸化剤の添加量は、排水中のクロム濃度等によって適宜設定されるものであり、特に制限されるものではないが、例えば、排水中のクロム濃度に対してモル濃度で1.0倍量以上添加することが好ましく、1.5倍量以上添加することがより好ましい。
【0030】
Ca反応槽12に添加されるカルシウム化合物は、リン含有不溶化物の生成に寄与するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム塩等が挙げられる。
【0031】
排水とカルシウム化合物とを反応させてリン含有不溶化物を生成する際の反応pHは、9.0以上であることが好ましく、10.0以上であることが好ましい。反応pHを9.0以上とすることで、リン含有不溶化物を効率的に生成することが可能となる。
【0032】
カルシウム化合物の添加量は、排水中のリン濃度等によって適宜設定されるものであり、特に制限されるものではないが、例えば、排水中のリン濃度に対してモル濃度として1.0倍量以上添加することが好ましく、1.1倍量以上添加することがより好ましい。
【0033】
本実施形態では、クロムの酸化とリン含有不溶化物の生成を別々の槽で行っているがこれに制限されるものではなく、単一槽で、排水中のクロムを3価から6価に酸化した後、カルシウム化合物を添加してリン含有不溶化物を生成してもよい。
【0034】
<第1固液分離工程>
排水中のリン含有不溶化物を効率的に回収する点で、排水に凝集剤を添加し、排水中のリン含有不溶化物をフロック化させた後、固液分離処理を行うことが望ましい。凝集剤は、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄(ポリ鉄)、塩化第二鉄等の無機凝集剤や、アニオン系、ノニオン系およびカチオン系の高分子凝集剤等が挙げられる。
【0035】
本実施形態では、第1固液分離槽18により、排水からフロック化したリン含有不溶化物を沈降させ、リン含有不溶化物を含む汚泥と第1処理水を分離する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、膜ろ過装置等のその他の固液分離装置により、リン含有不溶化物を含む汚泥と第1処理水を分離してもよい。第一固液分離工程により回収されたリン含有不溶化物を含む汚泥は、脱水処理により水分を低減する処理が一般に行われる。これにより、汚泥重量を減少させることができるほか、水分中のクロム濃度を低減し、クロム含有量のより少ない汚泥とすることができる。脱水処理は、フィルタープレスやスクリュープレスなどの脱水機が一般に用いられ、その他ドライヤーなどの熱を使った蒸発濃縮設備等も用いられる。
【0036】
第1固液分離工程により回収されたリン含有不溶化物を含む汚泥は、クロム含有不溶化物の含有量が少ない汚泥であるため、例えば、回収した汚泥を廃棄処分せずに、リン酸製造の原料や、肥料などとして再利用することも可能である。なお、本実施形態の排水処理は、クロム、リンの他にフッ素(フッ化物イオン)を含む排水に対しても適用することができる。排水中のフッ素は、例えば、カルシウム化合物との反応により、フッ素含有不溶化物となり、第1固液分離槽18により回収される汚泥中に含まれる。
【0037】
<クロム含有不溶化物生成工程>
第1処理水と還元剤とを反応させて、クロムを6価から3価に還元する際には、酸剤を添加して、反応pHを6.0以下に調整することが好ましく、3以下に調整することがより好ましい。反応pHを上記範囲とすることで、クロムを効率的に6価から3価に還元し、クロム不溶化物を生成することが可能となる。なお、反応pHは、例えば、還元処理槽20内に設置したpH計(不図示)により測定される。また、ORP計(不図示)により、還元剤の添加量を制御してもよい。ORPは、250〜300mV程度の範囲となるように制御されることが好ましい。酸剤は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等が用いられる。クロムを6価から3価に還元処理した後は、凝集反応を良好に行うため、pHを中性付近〜アルカリ性に調整することが好ましい。これにより、クロム不溶化物の生成を促進したり、クロム不溶化物の凝集性を向上させたりすることが可能となる。クロムを6価から3価に還元した後のpH調整は、例えば、本実施形態のように、凝集剤を添加する際に第2凝集反応槽24にアルカリ剤を添加することにより行われても良いし、還元処理槽20にアルカリ剤を添加することにより行われても良い。
【0038】
本実施形態で用いられる還元剤は、特に制限されるものではないが、例えば、アルカリ金属の亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ギ酸塩等が挙げられ、具体的には、重亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0039】
還元剤の添加量は、排水中又は第1処理水中のクロム濃度等によって適宜設定されるものであり、特に制限されるものではないが、例えば、排水中又は第1処理水中のクロム濃度に対してモル濃度で1.0倍量以上添加することが好ましく、2.0倍量以上添加することがより好ましい。
【0040】
<第2固液分離工程>
第1処理水中のクロム含有不溶化物を効率的に処理する点で、第1処理水に凝集剤を添加し、第1処理水中のクロム不溶化物をフロック化させた後、固液分離処理を行うことが望ましい。また、クロム不溶化物の凝集性等の点から、第1処理水に凝集剤を添加する際に、第1処理水にアルカリ剤等を添加して、pHを中性付近〜アルカリ性(例えば、pH6〜10)に調整することが好ましい。使用する凝集剤、アルカリ剤は、前述と同様である。
【0041】
本実施形態では、第2固液分離槽26により、第1処理水からフロック化したクロム含有不溶化物を沈降させ、クロム含有不溶化物を含む汚泥と第2処理水を分離する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、膜ろ過装置等のその他の固液分離装置により、クロム含有不溶化物を含む汚泥と第2処理水を分離してもよい。
【0042】
第2固液分離工程により回収された汚泥は、高濃度のクロム含有不溶化物を含むため、例えば、濃縮・脱水して廃棄処分される。既述したように、本実施形態では、有害なクロムを含む汚泥の量を削減することができるため、廃棄処分に掛かる費用を削減することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
(実施例)
表1に示す水質のアルミニウム精製工場排水に対して、以下の処理を行った。
【0045】
【表1】
【0046】
上記アルミニウム精製工場排水500mlをビーカーに採取し、NaOHでpHを10に調整した。ジャーテスター(宮本理研工業製)を用いて、120ppmの撹拌速度で排水を撹拌しながら、過酸化水素を500mg/L添加し、25分間反応させた。過酸化水素添加後、排水は青→黄色に色調変化した(ORP:44mV)。次に、塩化カルシウム溶液を8000mg−CaCl
2/L加え、10分間反応させた後、高分子凝集剤(オルガノ株式会社製、オルフロックAP−1)を10mg/L添加し、5分間反応させた。次に、5分静置後、排水を5Aのろ紙でろ過した。当該ろ過により得られたろ過水を第1処理水として、F、PO
4、Cr濃度を測定した。また、当該ろ過により得られた汚泥を第1汚泥として、その汚泥量を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0047】
第1処理水500mlに、塩酸を添加してpHを3に調整した後、重亜硫酸ナトリウムを3000mg/L添加し、10分間反応させた(ORP:260mV)。次に、NaOHを添加し、pHを8程度とした後、高分子凝集剤(オルガノ株式会社製、オルフロックAP−1)を5mg/L添加し、5分間反応させた。次に、5分静置後、第1処理液を5Aのろ紙でろ過した。当該ろ過により得られたろ過水を第2処理水として、F、PO
4、Cr濃度を測定した。また、当該ろ過により得られた汚泥を第2汚泥として、その汚泥量を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0048】
(比較例)
上記アルミニウム精製工場排水500mlをビーカーに採取し、塩酸でpHを3に調整した。ジャーテスター(宮本理研工業製)を用いて、120ppmの撹拌速度で排水を撹拌しながら、重亜硫酸ナトリウムを1500mg/L添加し、10分間反応させた。重亜硫酸ナトリウム添加後、排水は黄色→青に色調変化した(ORP:280mV)。次に、塩化カルシウム溶液を8000mg−CaCl
2/L加え、NaOHでpHを10とした後、10分間反応させた。その後、高分子凝集剤(オルガノ株式会社製、オルフロックAP−1)を10mg/L添加し、5分間反応させた。次に、5分静置後、排水を5Aのろ紙でろ過した。当該ろ過により得られたろ過水を第1処理水として、F、PO
4、Cr濃度を測定した。また、当該ろ過により得られた汚泥を第1汚泥として、その汚泥量を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0049】
第1処理水500mlに、水酸化カルシウムスラリーを560mg−Ca(OH)
2/L添加し、塩酸でpHを7程度とした後、10分間反応させた。その後、高分子凝集剤(オルガノ株式会社製、オルフロックAP−1)を5mg/L添加し、5分間反応させた。次に、5分静置後、第1処理液を5Aのろ紙でろ過した。当該ろ過により得られたろ過水を第2処理水として、F、PO
4、Cr濃度を測定した。また、当該ろ過により得られた汚泥を第2汚泥として、その汚泥量を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例では、第1処理水中のクロム濃度は、処理前の排水中のクロム濃度と同じであり、リン濃度が検出限界値以下まで低減していることから、第1汚泥として、クロム非含有のリン含有汚泥が得られたと言える。また、実施例では、第2処理水中のクロム濃度が検出限界値以下まで低減していることから、第2汚泥として、クロム含有汚泥が得られたと言える。一方、比較例では、第1処理水中のリン濃度が10mg/Lまで低減し、クロム濃度が20mg/Lまで低減していることから、第1汚泥として、クロム及びリン含有汚泥が得られたと言える。同様に、第2処理水中のリン濃度及びクロム濃度から、第2汚泥として、クロム及びリン含有汚泥が得られたと言える。ここで、クロム含有汚泥量は、実施例の場合、第2汚泥量のみであるので、実施例の方が比較例より、クロム含有汚泥量を削減することができたと言える。したがって、実施例のように、酸化剤(過酸化水素)を添加して、クロムを3価から6価に酸化した後、カルシウム化合物(塩化カルシウム)を添加して、リン含有汚泥を生成・除去した後、還元剤(重亜硫酸ナトリウム)を添加して、クロムを3価から6価に還元し、クロム含有汚泥を生成・除去することで、リン含有汚泥中へのクロムの混入が抑制され、ひいては、クロム含有汚泥の発生量を削減することが可能となる。なお、比較例の処理水質が実施例の処理水質より悪い原因は、クロムが3価の状態で、カルシウム化合物が添加されているため、クロムがカルシウムやリンと反応して凝集性の悪い不溶化物や錯体が形成されたためであると考えられる。