特許第6807210号(P6807210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807210
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】ホームドア装置及び情報表示装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   B61B1/02
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-204738(P2016-204738)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-65442(P2018-65442A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 良博
(72)【発明者】
【氏名】新山 智章
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 紀一
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−049825(JP,A)
【文献】 特開2012−056532(JP,A)
【文献】 特開2017−114412(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0120234(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/095444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームに設置されるホームドア装置であって、
移動可能に設けられるドアパネルと、
前記ドアパネルを駆動する駆動部が収納された収納部と、
情報を表示する表示部と、
前記駆動部を露出させるために前記収納部に設けられた開口部の少なくとも一部が前記表示部により覆われる第1位置と、前記表示部により前記開口部が覆われない位置又は前記開口部の前記表示部により覆われる領域が前記第1位置にあるときと比較して小さい位置である第2位置との間で前記表示部を移動させる移動部と、を備え
前記ドアパネルは、一方向に移動する第1ドアパネルと、一方向とは逆方向に移動する第2ドアパネルとを備え、
前記収納部は、前記第1ドアパネルを駆動する第1駆動部が収納され、前記開口部としての第1開口部を有する第1収納部と、前記第2ドアパネルを駆動する第2駆動部が収納され、前記開口部としての第2開口部を有する第2収納部とを備え、
前記第1収納部と前記第2収納部とは、離間して設置され、
前記第1収納部と前記第2収納部との間には、前記第1収納部と前記第2収納部とに固定される固定パネルが備えられ、
前記固定パネルと前記表示部との間に前記移動部が取り付けられる
ホームドア装置。
【請求項2】
前記第2位置は、前記表示部を前記第1位置から前記ドアパネルの厚さ方向に垂直な方向に沿って移動させた位置である
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項3】
前記第2位置は、前記表示部を前記第1位置から所定の回転軸を中心に回転させた位置である
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記ドアパネルの移動方向における前記表示部の長さは、前記ドアパネルの移動方向における前記第1収納部及び前記固定パネル及び前記第2収納部のそれぞれの長さの和と等
しい
請求項1〜3のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項5】
前記ドアパネルの移動方向における前記表示部の長さは、前記収納部の前記ドアパネルの移動方向における長さと等しい
請求項1〜3のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項6】
前記収納部は、前記開口部を塞ぐ蓋を有し、
前記表示部は、前記蓋を兼ねる
請求項1〜のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項7】
前記表示部は、情報の表示態様を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記表示部が前記第2位置のときに露出する位置に配設される
請求項1〜のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項8】
前記表示部の上部は、軌道側又は前記プラットホーム側に傾斜した傾斜部となっている
請求項1〜のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項9】
前記収納部の上部は、前記表示部の傾斜部と同じ側に傾斜した傾斜部となっており、
前記表示部の傾斜部と前記収納部の傾斜部とが連続的に設けられている
請求項に記載のホームドア装置。
【請求項10】
プラットホームに設置されるホームドア装置であって、
移動可能に設けられるドアパネルと、
前記ドアパネルを駆動する駆動部が収納された収納部と、
情報を表示する表示部と、
前記駆動部の少なくとも一部が前記表示部により覆われる第1位置と、前記表示部により前記駆動部が覆われずに露出する位置又は前記駆動部の前記表示部により覆われる領域が前記第1位置にあるときと比較して小さい位置である第2位置との間で前記表示部を移動させる移動部と、を備え
前記ドアパネルは、一方向に移動する第1ドアパネルと、一方向とは逆方向に移動する第2ドアパネルとを備え、
前記収納部は、前記第1ドアパネルを駆動する第1駆動部と、前記第2ドアパネルを駆動する第2駆動部と、が離間して収納され、
前記移動部は、前記第1駆動部と前記第2駆動部との間に設けられ、前記表示部を移動可能に支持する支持部を備える
ホームドア装置。
【請求項11】
前記移動部は、前記表示部を前記ドアパネルの移動方向に移動させるスライド機構であって、
前記支持部は、ガイド溝である
請求項10に記載のホームドア装置。
【請求項12】
移動可能に設けられるドアパネルと、前記ドアパネルを駆動する駆動部が収納された収納部と、を備えるとともにプラットホームに設置されるホームドア装置に取り付けられて情報を表示する情報表示装置であって、
前記駆動部を露出させるために前記収納部に設けられた開口部の少なくとも一部が覆われる第1位置と、前記開口部が覆われない位置又は前記開口部の覆われる領域が前記第1位置にあるときと比較して小さい位置である第2位置との間で移動させる移動部を備え
前記ドアパネルは、一方向に移動する第1ドアパネルと、一方向とは逆方向に移動する
第2ドアパネルとを備え、
前記収納部は、前記第1ドアパネルを駆動する第1駆動部が収納され、前記開口部としての第1開口部を有する第1収納部と、前記第2ドアパネルを駆動する第2駆動部が収納され、前記開口部としての第2開口部を有する第2収納部とを備え、
前記第1収納部と前記第2収納部とは、離間して設置され、
前記第1収納部と前記第2収納部との間に設けられ、前記第1収納部と前記第2収納部とに固定される固定パネルを備え、
前記移動部は、前記固定パネルとの間に取り付けられる
情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットホームに設置されるホームドア装置及びホームドア装置に取り付けられる情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラットホームに設置されて、プラットホームと線路等の軌道とを区画するホームドア装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ホームドア装置は、プラットホームに固定されたガイドボックスにドアパネルが往復移動可能に支持されている。ガイドボックス内には、ドアパネルを開閉駆動するための駆動部や制御部が収納されている。
【0003】
特許文献1に記載のホームドア装置では、ガイドボックスのホーム側の側面に情報を表示する情報表示装置(表示部)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−56532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載のホームドア装置では、ガイドボックス内の駆動部や制御部等の機器をメンテナンスしやすいようにガイドボックスに設けられたメンテナンス用の開口部を塞がないように情報表示装置が設けられている。このため、情報表示装置の設置位置が制限されている。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報表示装置の設置位置に関する自由度を高めることのできるホームドア装置及び情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するホームドア装置は、プラットホームに設置されるホームドア装置であって、移動可能に設けられるドアパネルと、前記ドアパネルを駆動する駆動部が収納された収納部と、情報を表示する表示部と、前記駆動部を露出させるために前記収納部に設けられた開口部の少なくとも一部が前記表示部により覆われる第1位置と、前記表示部により前記開口部が覆われない位置又は前記開口部の前記表示部により覆われる領域が前記第1位置にあるときと比較して小さい位置である第2位置との間で前記表示部を移動させる移動部と、を備える。
【0008】
上記課題を解決する情報表示装置は、移動可能に設けられるドアパネルと、前記ドアパネルを駆動する駆動部が収納された収納部と、を備えるとともにプラットホームに設置されるホームドア装置に取り付けられて情報を表示する情報表示装置であって、前記駆動部を露出させるために前記収納部に設けられた開口部の少なくとも一部が覆われる第1位置と、前記開口部が覆われない位置又は前記開口部の覆われる領域が前記第1位置にあるときと比較して小さい位置である第2位置との間で移動させる移動部を備える。
【0009】
上記構成によれば、メンテナンス時以外の通常時には情報表示装置(表示部)を第1位置、すなわち開口部を覆う位置に配置することができる。一方、メンテナンス時には移動部を通じて情報表示装置(表示部)を第2位置に移動させることで駆動装置のメンテナンス作業を容易に行うことができる。したがって、情報表示装置(表示部)の設置位置に関する自由度を高めることができる。ここで、上記表示部と上記情報表示装置とは同様の装置である。
【0010】
上記ホームドア装置について、例えば前記第2位置は、前記表示部を前記第1位置から前記ドアパネルの厚さ方向に垂直な方向に沿って移動させた位置である。
上記ホームドア装置について、例えば前記第2位置は、前記表示部を前記第1位置から所定の回転軸を中心に回転させた位置である。
【0011】
上記ホームドア装置について、前記ドアパネルは、一方向に移動する第1ドアパネルと、一方向とは逆方向に移動する第2ドアパネルとを備え、前記収納部は、前記第1ドアパネルを駆動する第1駆動部が収納され、前記開口部としての第1開口部を有する第1収納部と、前記第2ドアパネルを駆動する第2駆動部が収納され、前記開口部としての第2開口部を有する第2収納部とを備え、前記第1収納部と前記第2収納部とは、前記第1ドアパネルと前記第2ドアパネルとを収容することができるように離間して設置され、前記第1収納部と前記第2収納部との間には、前記第1収納部と前記第2収納部とに固定される固定パネルが備えられ、前記固定パネルと前記表示部との間に前記移動部が取り付けられることが好ましい。
【0012】
上記情報表示装置について、前記ドアパネルは、一方向に移動する第1ドアパネルと、一方向とは逆方向に移動する第2ドアパネルとを備え、前記収納部は、前記第1ドアパネルを駆動する第1駆動部が収納され、前記開口部としての第1開口部を有する第1収納部と、前記第2ドアパネルを駆動する第2駆動部が収納され、前記開口部としての第2開口部を有する第2収納部とを備え、前記第1収納部と前記第2収納部とは、離間して設置され、前記第1収納部と前記第2収納部との間に設けられ、前記第1収納部と前記第2収納部とに固定される固定パネルを備え、前記移動部は、前記固定パネルとの間に取り付けられることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、第1収納部と第2収納部との間に固定される固定パネルに移動部が取り付けられることで、収納部に移動部を取り付ける構造を備える必要がなく、取り付けに伴う収納部の構造の変更を少なくすることができる。また、固定パネルを予め備えるホームドア装置であれば、情報表示装置(表示部)が取り付けられた固定パネルに交換することで情報表示装置(表示部)をホームドア装置に備えることができる。
【0014】
上記ホームドア装置について、前記ドアパネルの移動方向における前記表示部の長さは、前記ドアパネルの移動方向における前記第1収納部及び前記固定パネル及び前記第2収納部のそれぞれの長さの和と等しいことが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、ドアパネルの移動方向における表示部の長さを同移動方向において第1収納部及び第2収納部からはみ出さない範囲で最大にすることができる。
上記ホームドア装置について、前記ドアパネルの移動方向における前記表示部の長さは、前記収納部の前記ドアパネルの移動方向における長さと等しいことが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、ドアパネルの移動方向における表示部の長さを同移動方向において第1収納部及び第2収納部からはみ出さない範囲で最大にすることができる。
上記ホームドア装置について、前記収納部は、前記開口部を塞ぐ蓋を有し、前記表示部は、前記蓋を兼ねることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、表示部が収納部の開口部を閉じる蓋となるので、収納部の開口部を閉じる蓋を別途設ける必要がなく、ホームドア装置において蓋を必須の構成とする場合には、部品点数の削減を図ることができる。
【0018】
上記ホームドア装置について、前記表示部は、情報の表示態様を制御する表示制御部を備え、前記表示制御部は、前記表示部が前記第2位置のときに露出する位置に配設されることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、表示部を第2位置に移動させることで表示制御部が露出するので、表示制御部のメンテナンスを行うことができる。
上記ホームドア装置について、前記表示部の上部は、軌道側又は前記プラットホーム側に傾斜した傾斜部となっていることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、表示部の上部に物を置くと落ちるため、プラットホームの利用者が表示部の上部に物を置かないようになる。
上記ホームドア装置について、前記収納部の上部は、前記表示部の傾斜部と同じ側に傾斜した傾斜部となっており、前記表示部の傾斜部と前記収納部の傾斜部とが連続的に設けられていることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、収納部の上部に物を置くと落ちるため、プラットホームの利用者が表示部の上部や収納部の上部に物を置かないようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、情報表示装置の設置位置に関する自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ホームドア装置の第1の実施形態の構成を示す斜視図。
図2】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置が第1位置に位置した状態を示す正面図。
図3】同実施形態のホームドア装置の構成を示す平面図。
図4】同実施形態のホームドア装置から情報表示装置を取り外した状態を示す正面図。
図5】同実施形態のホームドア装置から情報表示装置及び開口部の蓋を取り外した状態を示す正面図。
図6】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置の取付構造を示す横断面図。
図7】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置の取付構造を示す縦断面図。
図8】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置が第2位置に位置した状態を示す正面図。
図9】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置が第2位置に位置した状態を示す平面図。
図10】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置が第2位置に位置した状態を示す正面図。
図11】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置が第2位置に位置した状態を示す正面図。
図12】同実施形態のホームドア装置の電気的構成を示すブロック図。
図13】ホームドア装置の第2の実施形態の構成を示し、情報表示装置が第1位置に位置する状態を示す正面図。
図14】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置が第2位置に位置する状態を示す側面図。
図15】同実施形態のホームドア装置の情報表示装置が第2位置に位置する状態を示す正面図。
図16】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
図17】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
図18】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
図19】ホームドア装置の変形例を示す平面図。
図20】ホームドア装置の変形例を示す平面図。
図21】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
図22】ホームドア装置の変形例を示す平面図。
図23】ホームドア装置の変形例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、図1図12を参照して、ホームドア装置及び情報表示装置の第1の実施形態について説明する。このホームドア装置は、鉄道等のプラットホームに設置される。
【0025】
図1及び図2に示すように、ホームドア装置10は、略矩形状のケース13を有する収納部としてのガイドボックス11,12を二つ備えている。第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12とは、間隔を空けてプラットホーム1に固定されている。第1ガイドボックス11は、第1ガイドボックス11から図中左側へ進出する第1ドアパネル15を移動可能に支持している。第1ガイドボックス11には、第1ドアパネル15を駆動する第1駆動装置21が収納されている(図2参照)。また、第2ガイドボックス12は、第2ガイドボックス12から図中右側へ進出する第2ドアパネル16を移動可能に支持している。第2ガイドボックス12には、第2ドアパネル16を駆動する第2駆動装置31が収納されている(図2参照)。なお、第1駆動装置21は第1駆動部に相当し、第2駆動装置31は第2駆動部に相当する。
【0026】
図1に示すように、ホームドア装置10は、プラットホーム1の軌道2側の縁部に沿って設置される。ホームドア装置10は、プラットホーム1を軌道2側とプラットホーム1側とに区画する。第1ドアパネル15と第2ドアパネル16とは、第1ガイドボックス11の第1収納空間20と第2ガイドボックス12の第2収納空間30とに収納されることで、プラットホーム1と車両との乗降通路17が開かれる。なお、図示しないが、ホームドア装置10は、間隔をおいて複数設置され、隣同士のホームドア装置10の第1ドアパネル15と第2ドアパネル16とによって乗降通路17が開閉される。
【0027】
図3は、第1ガイドボックス11の収納空間20と第2ガイドボックス12の収納空間30にそれぞれ収納された第1ドアパネル15と第2ドアパネル16とを二点鎖線で示している。第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12との設置間隔は、第1ドアパネル15と第2ドアパネル16とを、第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12との間に収納できる長さとなっている。また、両ドアパネル15,16がガイドボックス11,12内に収納された状態では、両ドアパネル15,16がガイドボックス11,12の厚み方向に並ぶ状態となる。すなわち、第1ドアパネル15は、収納空間20,30内において軌道2側の領域に配設されている。第2ドアパネル16は、収納空間20,30内において第1ドアパネル15の通過領域よりもプラットホーム1側に配設されている。言い換えると、収納空間20,30内において、第1ドアパネル15は、第2ドアパネル16の通過領域よりも軌道2側に配置されている。なお、隣り合うホームドア装置10は、両ドアパネル15,16のガイドボックス11,12の厚み方向の位置が逆になっていることが望ましい。
【0028】
図2に示すように、ホームドア装置10は、情報を表示することが可能な情報表示装置50を備えている。情報表示装置50は、第1ガイドボックス11の図中左端から第2ガイドボックス12の図中右端までの範囲のプラットホーム1側に取り付けられている。情報表示装置50のドアパネル15,16の移動方向の長さは、第1ガイドボックス11の図中左端と第2ガイドボックス12の図中右端との間の長さとほぼ等しい。また、情報表示装置50の鉛直方向の長さは、ガイドボックス11,12の鉛直方向の長さとほぼ等しい。すなわち、情報表示装置50の大きさは、第1ガイドボックス11のプラットホーム1側の正面11B全体と第2ガイドボックス12のプラットホーム1側の正面12B全体とを覆う大きさである。情報表示装置50は、情報を表示する部分であるディスプレイ51を備えている。ディスプレイ51は、情報表示装置50のほぼ中央に位置している。また、情報表示装置50は、情報表示装置50を制御する表示制御部52を備えている。表示制御部52は、情報表示装置50の鉛直方向下部に位置している。ここでディスプレイ51として液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどを用いることができる。なお、情報表示装置50は表示部に相当する。
【0029】
図4に示すように、第1ガイドボックス11は、第1駆動装置21を露出させるための第1開口部22と、第1開口部22を閉じる第1蓋23とを備えている。第1開口部22は、第1ガイドボックス11のプラットホーム1側の面に形成されている。第1蓋23は、第1開口部22に対して着脱可能となっている。また、第2ガイドボックス12は、第2駆動装置31を露出させるための第2開口部32と、第2開口部32を閉じる第2蓋33とを備えている。第2開口部32は、プラットホーム1側の面に形成されている。第2蓋33は、第1開口部22に対して着脱可能となっている。
【0030】
図5に示すように、第1蓋23を第1開口部22から取り外すことにより第1開口部22が開放されて第1駆動装置21が露出するため、第1駆動装置21等のメンテナンスを行うことができる。なお、第1ドアパネル15の上部は、第1ガイドボックス11内の設けられる第1支持部25によって支持される。第1ドアパネル15の下部は、第1駆動装置21によって駆動力が付与される。また、第2蓋33を第2開口部32から取り外すことにより第2開口部32が開放されて第2駆動装置31が露出するため、第2駆動装置31等のメンテナンスを行うことができる。なお、第2ドアパネル16の上部は、第2ガイドボックス12内の設けられる第2支持部35によって支持される。第2ドアパネル16の下部は、第2駆動装置31によって駆動力が付与される。第1ガイドボックス11には、第1駆動装置21と第2駆動装置31との駆動を制御する駆動制御部18が収納されている。駆動制御部18は、鉛直方向における第1ガイドボックス11のほぼ中央に位置している。
【0031】
ホームドア装置10には、第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12とを覆う情報表示装置50が設けられている。したがって、このままでは第1ガイドボックス11の第1開口部22と第2ガイドボックス12の第2開口部32とが露出しない。そこで、図6及び図7に示すように、ホームドア装置10は、情報表示装置50を、第1開口部22と第2開口部32とを覆う第1位置P1(図1)と、第1開口部22又は第2開口部32を覆わない位置である第2位置P2A,P2B(図8図10)との間で移動させる移動部としてのスライド機構60を備えている。
【0032】
スライド機構60は、情報表示装置50をドアパネル15,16の厚さ方向に垂直な方向、言い換えればドアパネル15,16の移動方向に沿って第1位置P1と第2位置P2A,P2Bとの間で移動させる。図8に示すように、右側第2位置P2Aは、情報表示装置50が右側へ移動して第1ガイドボックス11の第1開口部22を露出させる位置である。図10に示すように、左側第2位置P2Bは、情報表示装置50が左側へ移動して第2ガイドボックス12の第2開口部32を露出させる位置である。
【0033】
図6及び図7に示すように、ホームドア装置10は、第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12との間に固定される板状の固定パネル40を備えている。ドアパネル15,16の移動方向における固定パネル40の長さは、第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12の離間距離とほぼ同じである。また、固定パネル40の鉛直方向の長さは、第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12との鉛直方向の長さとほぼ同じである。固定パネル40は、第1ガイドボックス11に取り付けられている第1ブラケット24と第2ガイドボックス12に取り付けられている第2ブラケット34とに固定されている。
【0034】
図6に示すように、第1ブラケット24は、第1ガイドボックス11の第1ドアパネル15が進出する左側側面11Aからプラットホーム1側の面である正面11Bに沿って延出され、第1ガイドボックス11の右側側面11Cから立設する立設部24Aを備えている。また、第2ブラケット34は、第2ガイドボックス12の第2ドアパネル16が進出する右側側面12Aからプラットホーム1側の面である正面12Bに沿って延出され、第2ガイドボックス12の左側側面12Cから立設する立設部34Aを備えている。固定パネル40は、第1ブラケット24の立設部24Aと第2ブラケット34の立設部34Aとに複数の螺子41によって固定されている。固定パネル40の背面40Bは、第1ブラケット24と第2ブラケット34とに螺子止めされている。
【0035】
図6及び図7に示すように、情報表示装置50は、スライド機構60を介して固定パネル40に取り付けられている。すなわち、スライド機構60は、固定パネル40と情報表示装置50との間に取り付けられている。固定パネル40には、ドアパネル15,16の移動方向に延出する凹部からなるガイド溝61が上下に一対設けられている。ガイド溝61は、ガイドボックス11,12の表面よりも突出した位置に設けられている。また、情報表示装置50の固定パネル40側の面である背面50Bには、ドアパネル15,16の移動方向に延出し、各ガイド溝61に摺動可能に嵌合する凸部からなるガイド凸部62が上下に一対設けられている。そして、情報表示装置50は、ガイド溝61にガイド凸部62が嵌合した状態で摺動することにより固定パネル40及び第1ガイドボックス11及び第2ガイドボックス12に対してドアパネル15,16の移動方向に移動することができる。
【0036】
情報表示装置50は、まずスライド機構60を介して固定パネル40に取り付けられて、続いてこの固定パネル40を第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12とに固定することでホームドア装置10に取り付けられる。
【0037】
図7に示すように、ホームドア装置10は、固定パネル40に対する情報表示装置50の移動を規制するロック機構80を備えている。ロック機構80は、U字状のロック部材81と、このロック部材81を回転させる回転部82と、ロック部材81がロック位置に回転されたときに当接する規制部材83とを備えている。ロック部材81は、情報表示装置50の背面50B側に位置する。回転部82は、情報表示装置50の正面50A側に位置し、ロック部材81と連結されている。規制部材83は、棒状の部材であって、固定パネル40に固定されている。ロック部材81はU字状の部材であるため、90°回転させると規制部材83と当接する。ロック部材81と規制部材83とが当接すると、情報表示装置50の移動が規制されたロック状態となる。
【0038】
また、情報表示装置50の下部には、表示制御部52(図2参照)から固定パネル40側へ通信ケーブルや電源ケーブルを保護及び案内するケーブルベア(登録商標)53が設けられている。ケーブルベア(登録商標)53の先端部53Aは、固定パネル40に固定されたL字状のフック42に取り付けられている。また、図示していないが、ケーブルベア(登録商標)53の基端部は、情報表示装置50に取り付けられている。情報表示装置50の下部の両端部には、プラットホーム1に接地して情報表示装置50自体を支持する支持脚54が設けられている。
【0039】
図1に示すように、第1ガイドボックス11の上部は、プラットホーム1側に傾斜している。具体的には、第1ガイドボックス11の上部には、第1カバー26が設けられている。この第1カバー26は、プラットホーム1側に傾斜した傾斜面26aを有している。したがって、第1カバー26においてプラットホーム1側の部位は軌道2側の部位よりも鉛直方向下方に位置している。第2ガイドボックス12の上部は、プラットホーム1側に傾斜している。具体的には、第2ガイドボックス12の上部には、第2カバー36が設けられている。この第2カバー36においてプラットホーム1側の部位は軌道2側の部位よりも鉛直方向下方に位置している。第1カバー26と第2カバー36との間には、両カバー26,36に連続する第3カバー46が取り付けられている。第3カバー46は、第1カバー26の端部と第2カバー36の端部とに固定されている。第3カバー46は、プラットホーム1側に傾斜した傾斜面46aを有している。したがって、第3カバー46においてプラットホーム1側の部位は軌道2側の部位よりも鉛直方向下方に位置している。第1カバー26の傾斜面26aと第2カバー36の傾斜面36aと第3カバー46の傾斜面46aとは同じ傾斜角となっている。また、情報表示装置50の上部は、プラットホーム1側に傾斜している。具体的には、情報表示装置50の上部には、第4カバー56が設けられている。この第4カバー56においてプラットホーム1側の部位は軌道2側の部位よりも鉛直方向下方に位置している。
【0040】
図7に示すように、第4カバー56は、第1カバー26及び第2カバー36及び第3カバー46と同じようにプラットホーム1側に傾斜しており、第1カバー26及び第2カバー36及び第3カバー46と第4カバー56とが連続的に設けられている。すなわち、第1カバー26及び第2カバー36及び第3カバー46の各傾斜面26a,36a,46aと第4カバー56の傾斜面56aとが面一となっている。
【0041】
次に、図12を参照して、ホームドア装置10の電気的な構成について説明する。
ホームドア装置10は、外部に設けられる中央制御部70によって制御されている。中央制御部70は、ホームドア装置10の表示制御部52にディスプレイ51に表示させる情報を出力する。表示制御部52は、中央制御部70から入力された情報をディスプレイ51に表示させる。また、中央制御部70は、ホームドア装置10の駆動制御部18にドアパネル15,16の開又は閉を指示する指示信号を出力する。駆動制御部18は、中央制御部70から入力された指示信号に基づいて第1駆動装置21と第2駆動装置31とを駆動させる。駆動制御部18は、中央制御部70からの指示信号をトリガとして、図示しない各種センサによってドアパネル15,16を移動させて良いか否かを判断した上で第1駆動装置21と第2駆動装置31とを駆動させる。図12では、駆動制御部18と第1駆動装置21と第2駆動装置31をまとめて駆動部19としている。なお、同一のプラットホーム1に複数のホームドア装置10が設置されている場合には、中央制御部70が全てのホームドア装置10を一括制御する。
【0042】
次に、図2図8図11を参照して、上記のように構成されたホームドア装置10の作用について説明する。
図2に示すように、ホームドア装置10は、ドアパネル15,16を収納空間20,30から進出させた閉状態となっている。そして、軌道2上に車両が到着して、車両から車両の扉を開く開信号が中央制御部70に入力されると、中央制御部70はドアパネル15,16を開状態とすべく開の指示信号を駆動制御部18に出力する。駆動制御部18は、中央制御部70から入力された開の指示信号に基づいて第1駆動装置21と第2駆動装置31とを駆動制御することでドアパネル15,16を収納空間20,30に収納する。ドアパネル15,16が開状態となると、乗降通路17が通行可能となる。続いて、車両から車両の扉を閉じる閉信号が中央制御部70に入力されると、中央制御部70はドアパネル15,16を閉状態とすべく閉の指示信号を駆動制御部18に出力する。駆動制御部18は、中央制御部70から入力された閉の指示信号に基づいて第1駆動装置21と第2駆動装置31とを駆動制御することでドアパネル15,16を収納空間20,30から進出させる。ドアパネル15,16が閉状態となると、乗降通路17が通行不能となる。
【0043】
中央制御部70は、情報表示装置50の表示制御部52に情報を出力する。この表示制御部52に出力される情報は、ドアパネル15,16の状態に応じて切り替わる情報であってもよく、ドアパネル15,16の状態によらず切り替わる情報であってもよい。この情報は、広告や注意喚起のための画像である。
【0044】
次に、ホームドア装置10におけるメンテナンス作業について説明する。
図2に示すように、メンテナンス時以外の通常時には、第1ガイドボックス11と固定パネル40と第2ガイドボックス12とが情報表示装置50により覆われている。言い換えれば、第1ガイドボックス11の第1開口部22と第2ガイドボックス12の第2開口部32とが情報表示装置50により覆われた第1位置P1に情報表示装置50が位置している。
【0045】
図8及び図9に示すように、第1駆動装置21のメンテナンスを行う際には、まずロック機構80のロック状態を解除して、スライド機構60によって情報表示装置50を固定パネル40に対して右側へ移動させ、第1ガイドボックス11の第1開口部22が情報表示装置50により覆われない位置である右側第2位置P2Aに位置させる。そして、第1開口部22から第1蓋23を取り外すことで、第1駆動装置21を露出させて、第1駆動装置21のメンテナンスを行うことができる。第1駆動装置21のメンテナンスが終わったら、第1蓋23を第1開口部22に取り付けて、情報表示装置50を第1位置P1に移動させ、ロック機構80をロック状態に変更する。
【0046】
図10及び図11に示すように、第2駆動装置31のメンテナンスを行う際には、スライド機構60によって情報表示装置50を固定パネル40に対して左側へ移動させ、第2ガイドボックス12の第2開口部32が情報表示装置50により覆われない位置である左側第2位置P2Bに位置させる。そして、第2開口部32から第2蓋33を取り外すことで、第2駆動装置31を露出させて、第2駆動装置31のメンテナンスを行うことができる。第2駆動装置31のメンテナンスが終わったら、第2蓋33を第2開口部32に取り付けて、情報表示装置50を第1位置P1に移動させる。
【0047】
したがって、メンテナンス作業において情報表示装置50が邪魔になることはなく、情報表示装置50の設置位置に関する自由度を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0048】
(1)メンテナンス時以外の通常時には情報表示装置50を第1位置P1、すなわち開口部22,32を覆う位置に配置することができる。一方、メンテナンス時にはスライド機構60を通じて情報表示装置50を第2位置P2A,P2Bに移動させることで駆動装置21,31のメンテナンス作業を容易に行うことができる。したがって、情報表示装置50の設置位置に関する自由度を高めることができる。
【0049】
(2)情報表示装置50がスライド機構60によってドアパネル15,16の厚さ方向に垂直な方向に沿って第1位置P1と第2位置P2A,P2Bとの間を移動するので、メンテナンス時に情報表示装置50がプラットホーム1の中央側へ突出して通行を妨げないようにすることができる。よって、情報表示装置50が移動した際に、プラットホーム1において情報表示装置50が占有する面積を抑制することができる。
【0050】
(3)第1ガイドボックス11と第2ガイドボックス12との間に固定される固定パネル40にスライド機構60が取り付けられることで、ガイドボックス11,12にスライド機構60を取り付ける構造を備える必要がなく、取り付けに伴うガイドボックス11,12の構造の変更を少なくすることができる。また、固定パネル40を予め備えるホームドア装置10であれば、情報表示装置50が取り付けられた固定パネル40に交換することで情報表示装置50をホームドア装置10に備えることができる。
【0051】
(4)ドアパネル15,16の移動方向における情報表示装置50の長さを同移動方向において第1ガイドボックス11及び第2ガイドボックス12からはみ出さない範囲で最大にすることができる。
【0052】
(5)情報表示装置50の上部に物を置くと落ちるため、プラットホーム1の利用者が情報表示装置50の上部に物を置かないようになる。
(6)ガイドボックス11,12の上部に物を置くと落ちるため、プラットホーム1の利用者が情報表示装置50の上部やガイドボックス11,12の上部に物を置かないようになる。
【0053】
(第2の実施形態)
以下、図13図15を参照して、ホームドア装置及び情報表示装置の第2の実施形態について説明する。この実施形態のホームドア装置は、第2位置が情報表示装置50を第1位置から所定の回転軸を中心に回転させた位置である点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
図13に示すように、ホームドア装置110は、第1の実施形態と同様に、第1ドアパネル15と、第1ドアパネル15を駆動する第1駆動装置21と、第2ドアパネル16と、第2ドアパネル16を駆動する第2駆動装置31とを備えている。そして、ホームドア装置110は、第1駆動装置21と第2駆動装置31との両方を収納する収納部としてガイドボックス111を備えている。ドアパネル15,16の移動方向におけるガイドボックス111の長さは、ドアパネル15,16を収納可能な長さであって、ドアパネル15,16より若干長くなっている。ガイドボックス111のプラットホーム1側の面である正面111Aには、第1駆動装置21及び第2駆動装置31を露出させるための開口部112が設けられている。
【0055】
図14に示すように、ホームドア装置110は、情報表示装置150を備えている。情報表示装置150は、ガイドボックス111のプラットホーム1側に取り付けられている。情報表示装置150のほぼ中央にディスプレイ151が設けられている。ホームドア装置110は、ガイドボックス111の開口部112が情報表示装置150により覆われる第1位置P11と、情報表示装置150により開口部112が覆われない位置である第2位置P12との間で情報表示装置150を移動させる移動部としての回転機構160を備えている。回転機構160は、回転軸161を中心に情報表示装置150を回転させて、第1位置P11と第2位置P12との間で移動させる。ガイドボックス111は開口部112を塞ぐ蓋を有し、情報表示装置150がこの蓋を兼ねる。なお、情報表示装置150は表示部に相当する。
【0056】
回転機構160は、情報表示装置150の上端部に設けられ、ドアパネル15,16の移動方向に延出する回転軸161を備えている。この回転軸161は、ガイドボックス111の上端部に固定されている。よって、情報表示装置150は、回転軸161を中心にガイドボックス111に対して回転する。また、回転機構160は、情報表示装置150とガイドボックス111とに接続されるダンパー162を備えている。ダンパー162は、情報表示装置150をガイドボックス111の開口部112から開いた状態に維持することができる。
【0057】
図14に示すように、情報表示装置150の第1位置P11は、ガイドボックス111の開口部112を情報表示装置150が閉じた位置である。第1位置P11の情報表示装置150は、ドアパネル15,16の厚さ方向において半分ほどがガイドボックス111に嵌合する。このため、ガイドボックス111からの情報表示装置150のプラットホーム1側への突出量は抑制されている。情報表示装置150の第2位置P12は、ガイドボックス111の開口部112を露出させ、ガイドボックス111の正面111Aに対してほぼ垂直となる位置、言い換えれば第1位置P11からほぼ90°回転した位置である。ガイドボックス111の上部には、カバー113が設けられている。カバー113は、ドアパネル15,16の厚み方向において中央を境にプラットホーム1側と軌道2側とに傾斜した傾斜面を有している。
【0058】
次に、図13図15を参照して、上記のように構成されたホームドア装置110のメンテナンス作業について説明する。
図13に示すように、メンテナンス時以外の通常時には、ガイドボックス111の正面111Aが情報表示装置150により覆われている。言い換えれば、ガイドボックス111の開口部112が情報表示装置150により覆われた第1位置P1に情報表示装置150が位置している。
【0059】
図14及び図15に示すように、駆動装置21,31のメンテナンスを行う際には、回転機構160の回転軸161によって情報表示装置150を回転させ、ガイドボックス111の開口部112が情報表示装置150により覆われない位置である第2位置P12に位置させる。そして、情報表示装置150を第2位置P12に位置させることで、駆動装置21,31を露出させて、駆動装置21,31のメンテナンスを行うことができる。駆動装置21,31のメンテナンスが終わったら、情報表示装置50を第2位置P12に移動させる。
【0060】
したがって、メンテナンス作業において情報表示装置150が邪魔になることはなく、情報表示装置50の設置位置に関する自由度を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(4)、(6)に加え、以下の効果を奏することができる。
【0061】
(1)メンテナンス時以外の通常時には情報表示装置150を第1位置P11、すなわち開口部112を覆う位置に配置することができる。一方、メンテナンス時には回転機構160を通じて情報表示装置150を第2位置P12に移動させることで駆動装置21,31のメンテナンス作業を容易に行うことができる。したがって、情報表示装置150の設置位置に関する自由度を高めることができる。
【0062】
(2)情報表示装置150が回転機構160によって第1位置P11と第2位置P12との間を回転するので、メンテナンス時にドアパネル15,16がプラットホーム1と車両との乗降通路17に情報表示装置150が位置しないようにすることができる。よって、情報表示装置150が移動した際に、ホームドア装置110の乗降通路17の開口幅が減少することを抑制することができる。
【0063】
(3)情報表示装置150を第2位置P12に移動させることで表示制御部152が露出するので、表示制御部152のメンテナンスを行うことができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
【0064】
・第1の実施形態では、情報表示装置50をスライド機構60によってドアパネル15,16の移動方向に移動させたが、情報表示装置50をスライド機構によって鉛直方向に移動させてもよい。例えば、図16に示す例では、情報表示装置250の第1位置P21は、第1の実施形態と同様の位置であって、情報表示装置250が第1ガイドボックス11の正面11Bと固定パネル40と第2ガイドボックス12の正面12Bとを覆う位置である。情報表示装置250の第2位置P22は、情報表示装置250が鉛直方向において第1ガイドボックス11の開口部22と第2ガイドボックス12の開口部32とを覆わない位置である。情報表示装置250は、図示しないスライド機構によって鉛直方向に移動可能である。開口部22,32は、蓋23,33によってそれぞれ閉じられている。このような構成によれば、メンテナンス時に情報表示装置250が第2位置P22に移動しても、情報表示装置250がプラットホーム1側にも、乗降通路17側にも突出しない。
【0065】
・また、図17に示す例では、情報表示装置350は左側情報表示装置350Aと右側情報表示装置350Bとに左右に分割される。情報表示装置350の第1位置P31は、情報表示装置350が第1ガイドボックス11の正面11Bと固定パネル40と第2ガイドボックス12の正面12Bとを覆う位置である。左側情報表示装置350Aの第2位置P32Aは、左側情報表示装置350Aが右側情報表示装置350Bから分離してドアパネル15,16の移動方向において左側に移動して第1ガイドボックス11の開口部22を覆わない位置である。右側情報表示装置350Bの第2位置P32Bは、右側情報表示装置350Bが左側情報表示装置350Aから分離してドアパネル15,16の移動方向において右側に移動して第2ガイドボックス12の開口部32を覆わない位置である。情報表示装置350は、図示しないスライド機構によってドアパネル15,16の移動方向に移動可能である。開口部22,32は、蓋23,33によってそれぞれ閉じられている。スライド機構は、第1ガイドボックス11と左側情報表示装置350Aとの間と、第2ガイドボックス12と右側情報表示装置350Bとの間とにそれぞれ設けられることが好ましい。
【0066】
・第1の実施形態では、情報表示装置50を第1ガイドボックス11の正面11Bと固定パネル40と第2ガイドボックス12の正面12Bとを覆う大きさとしたが、情報表示装置によって収納部であるガイドボックスに設けられた開口部の一部が覆われればよい。すなわち、情報表示装置のドアパネル15,16の移動方向における長さは、第1ガイドボックス11の正面11Bと固定パネル40と第2ガイドボックス12の正面12Bとの和である長さよりも短くてもよい。また、図18に示す例では、情報表示装置450の鉛直方向における長さをガイドボックス11,12の鉛直方向の長さよりも短くしている。情報表示装置450は、第1位置P41と、左側第2位置P42A、右側第2位置P42Bとの間で図示しないスライド機構によって移動する。開口部22,32は、蓋23,33によってそれぞれ閉じられている。
【0067】
・第2の実施形態では、情報表示装置150がガイドボックス111の上部の設けられた回転軸161を中心に回転して第2位置P12に移動するようにしたが、他の位置に回転軸を設けて情報表示装置を回転させて第2位置に移動させてもよい。例えば、図19に示すように、情報表示装置550は回転機構560によって回転する。すなわち、ガイドボックス111の左側端部に回転軸561が設けられている。情報表示装置550は、ガイドボックス111の開口部112を覆う第1位置P51と、ガイドボックス111の開口部112を覆わない第2位置P52との間で回転機構560によって回転する。情報表示装置550は、開口部112を閉じる蓋としてもよい。
【0068】
・また、図20に示す例では、情報表示装置は左右に左側情報表示装置650Aと右側情報表示装置650Bとに分割される。情報表示装置650A,650Bは、回転機構660によってガイドボックス111に対して回転する。左側情報表示装置650Aは、ガイドボックス111の左側端部に設けられる左側回転軸661によって回転する。右側情報表示装置650Bは、ガイドボックス111の右側端部に設けられる右側回転軸662によって回転する。情報表示装置650A,650Bの第1位置P61A,P61Bは、情報表示装置650A,650Bがガイドボックス111の正面111Aを覆う位置である。左側情報表示装置650Aの第2位置P62Aは、左側情報表示装置650Aが右側情報表示装置650Bと分離して左側回転軸661を中心に回転してガイドボックス111の開口部112の左側を覆わない位置である。右側情報表示装置650Bの第2位置P62Bは、右側情報表示装置650Bが左側情報表示装置650Aと分離して右側回転軸662を中心として回転してガイドボックス111の開口部112の右側を覆わない位置である。情報表示装置650A,650Bは、開口部112を閉じる蓋としてもよい。
【0069】
・また、ガイドボックス111の正面111Aに対して垂直方向に延出する回転軸を設け、この回転軸を中心に情報表示装置が回転することで第2位置に位置するようにしてもよい。例えば、図21に示す例では、情報表示装置750は回転機構760によって回転する。ガイドボックス111の正面111Aの左側上部の角に回転軸761が設けられている。情報表示装置750は、開口部112を閉じる蓋として機能する。情報表示装置750は、ガイドボックス111の開口部112を覆う第1位置P71と回転軸761を中心として回転した位置である第2位置P72との間を移動する。
【0070】
図22に示す例では、情報表示装置850は、移動部860によって第1位置P81と第2位置P82との間を移動する。移動部860は、情報表示装置850を折り畳む折り畳み機構861と、第1ガイドボックス11又は第2ガイドボックス12に接触した状態のまま移動可能な接触機構862とを備えている。情報表示装置850の第1位置P81は、第1ガイドボックス11の開口部22と第2ガイドボックス12の開口部32とを覆う位置である。情報表示装置850の第2位置P82は、折り畳まれて移動して第1ガイドボックス11の開口部22と第2ガイドボックス12の開口部32との少なくとも一方を覆わない位置である。開口部22,32は、蓋23,33によってそれぞれ閉じられている。
【0071】
図23に示す例では、情報表示装置950は、有機ELディスプレイや電子ペーパーなどのように薄膜状で変形可能であって、第1ガイドボックス11の正面11Bと第2ガイドボックス12の正面12Bとに貼り付けられる。情報表示装置950は、静電気力、磁力、吸盤等の貼り付け手段によって貼り付けられている。情報表示装置950は、第1ガイドボックス11の開口部22と第2ガイドボックス12の開口部32とを覆う第1位置P91から変形することで開口部22と開口部32とを覆わない第2位置P92に変更することができる。
【0072】
・上記各実施形態では、第2位置を情報表示装置により開口部が覆われない位置とした。しかしながら、第2位置を、開口部の情報表示装置により覆われる領域が第1位置にあるときと比較して小さい位置であるようにしてもよい。このようにすれば、情報表示装置の設置位置に関する自由度を高めることができる。開口部32は、蓋33によって閉じられている。
【0073】
・上記各実施形態では、ガイドボックス11,12の開口部22,32を蓋23,33によって閉じたが、蓋23,33を省略して、情報表示装置50,250,350,450,850,950を開口部22,32の蓋としてもよい。
【0074】
・上記各実施形態では、情報表示装置150,550,650A,650B,750をガイドボックス111の開口部112の蓋としたが、情報表示装置とは別に蓋を設けてもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、ディスプレイ51は液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなど電子的ディスプレイとしたが、これに代えて紙のポスターを有する表示パネルのような非電子的ディスプレイであってもよい。
【0076】
・上記各実施形態では、情報表示装置をホームドア装置10,110,210,310,410,510,610,710,810,910のプラットホーム1側に設けたが、軌道2側に設けてもよい。なお、情報表示装置は、ホームドア装置のプラットホーム1側と軌道2側の両方に設けてもよいし、軌道2側のみに設けてもよい。
【0077】
・上記各実施形態では、中央制御部70がホームドア装置10を制御したが、ホームドア装置10が車両から開閉信号を直接取得して駆動装置21,31と情報表示装置とを制御してもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、ドアパネルを2個備えたホームドア装置としたが、ドアパネルを1個のみ備えたホームドア装置としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…プラットホーム、2…軌道、10…ホームドア装置、11…第1ガイドボックス、11A…左側側面、11B…正面、11C…右側側面、12…第2ガイドボックス、12A…右側側面、12B…正面、12C…左側側面、13…ケース、15…第1ドアパネル、16…第2ドアパネル、17…乗降通路、18…駆動制御部、19…駆動部、20…第1収納空間、21…第1駆動装置、22…第1開口部、23…第1蓋、24…第1ブラケット、24A…立設部、25…第1支持部、26…第1カバー、30…第2収納空間、31…第2駆動装置、32…第2開口部、33…第2蓋、34…第2ブラケット、34A…立設部、35…第2支持部、36…第2カバー、40…固定パネル、40A…正面、40B…背面、41…螺子、42…フック、46…第3カバー、50…情報表示装置、50A…正面、50B…背面、51…ディスプレイ、52…表示制御部、53…ケーブルベア、53A…先端部、54…支持脚、56…第4カバー、60…スライド機構、61…ガイド溝、62…ガイド凸部、63…ベアリング、70…中央制御部、80…ロック機構、81…ロック部材、82…回転部、83…規制部材、110…ホームドア装置、111…ガイドボックス、112…開口部、150…情報表示装置、160…回転機構、161…回転軸、162…ダンパー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23