(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記レーザ加工ヘッドの前記起点から前記加工開始点への相対移動における移動速度を、前記起点側よりも前記加工開始点側が低速になるよう制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ加工機。
前記レーザ加工ヘッドが前記加工開始点の上方に達したら、前記加工ステップを実行する前に所定時間一時停止させることを特徴とする一時停止ステップを実行することを特徴とする請求項5又は請求項6記載のレーザ加工方法。
前記レーザ加工ヘッドの前記起点から前記加工開始点への相対移動における移動速度を、前記起点側よりも前記加工開始点側を低速にすることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のレーザ加工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーザ加工について、加工経路Ka6の加工を例に
図6を参照して説明する。
図6は、ワークWにおける、加工経路Ka6を含む範囲の上面図である。
図6の紙面直交方向が上下方向であり、紙面延在方向が水平方向である。
【0005】
従来、
図6において太い二点鎖線で示される加工経路Ka6のレーザ加工は、レーザ加工の加工開始点A1の近くに孔Whがある場合、レーザ加工ヘッド(以下、単にヘッドとも称する)の相対的な移動において、例えば次の手順をとっていた。
まず、現在加工している製品の加工経路の終了点でヘッドからのレーザ照射を停止する。
次いで、ヘッドの高さを、加工時の高さ(レーザ加工高さ)よりも高い位置に保持する。この高さは、ヘッドの倣い制御を伴わない相対移動を行う高さである。
次いで、ワークとヘッドとを水平方向に相対的に移動して、これから加工する製品の加工経路の加工開始点A1を、ヘッドの下方に位置させる。
次いで、ヘッドを下降させ、レーザ加工高さで倣い制御を開始すると共に、レーザ光の照射を開始し、倣い制御でワークとヘッドとを相対的に水平移動させて加工開始点A1から加工経路Ka6の加工を行う。
【0006】
ここで、ヘッドの静電容量型センサによる距離の検出範囲ACは、
図6に示される所定の円形範囲である。
従って、ヘッドが加工開始点A1にあるときに検出範囲ACの一部が、ワークWの存在する部分(ハッチング付与)にかかり、残りの部分が(この例で面積の1/4が)、ワークWの存在していない孔Whにかかってしまう。
そのため、倣い制御が不安定となって倣いチャタリング(上下の細かい振動)が生じる場合があった。
【0007】
また、ワークとヘッドとをXY方向(水平方向)に相対的に移動してヘッドを加工開始点A1の上方に位置決めをした後、加工ヘッドをレーザ加工高さに下げてレーザ光を照射し、加工開始点A1から加工経路Ka6に沿って加工を開始する際に、XY方向の位置決め動作に伴う機械揺れが残っている場合がある。
特に、位置決め完了から加工開始までの期間を短く設定した場合、加工開始までに機械揺れが十分に収まらず、加工経路Ka6の初期の部分ARaの切断面が水平方向に凸凹となってうねる、波打ち現象を生じる場合があった。
検討の結果、この波打ち現象は、ワーク或いはヘッドの水平移動である、加工開始点A1までの位置決め動作に伴って稼働した機構部材の水平方向の揺れが、加工開始後も減衰せずに残り、移動動作が不安定になるため、と推察された。
【0008】
このように、従来のレーザ加工装置とその方法においては、これらの倣いチャタリングや加工経路初期の波打ち現象のような、ヘッドの不安定な相対移動動作を生じる虞があるため、これらを生じにくくする工夫が望まれていた。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ワークに対するヘッドの相対移動動作が不安定になりにくいレーザ加工機及びレーザ加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成、手順を有する。
1)ワークに対しレーザ光を出射すると共に前記ワークの表面の所定検出範囲で前記ワークとの距離を測定するセンサを有するレーザ加工ヘッドと、
前記レーザ加工ヘッドの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
次に行うレーザ加工の加工経路において、加工開始点が既設の貫通孔の縁部に位置しているか否か、を判定する判定部と、
前記判定部が、前記加工開始点が既設の貫通孔の縁部に位置していると判定した場合に、前記レーザ加工ヘッドを、前記レーザ光を出射せずに、前記所定検出範囲の全体が前記ワークの存在する部分に含まれる位置である起点の上方において倣い動作させて所定の倣い高さにした後、前記倣い高さを維持して予め設定された加工経路の加工開始点の上方に相対移動し、前記加工開始点の上方に達したら前記レーザ光を出射して前記加工経路で相対移動させるよう制御する
実行部と、
を備えているレーザ加工機である。
2)
前記実行部は、前記起点及び前記起点と前記加工開始点とを繋ぐ位置決め経路を前記所定検出範囲に基づいて設定することを特徴とする1)に記載のレーザ加工機である。
3)前記制御部は、前記レーザ加工ヘッドを、前記加工開始点の上方で所定時間だけ停止させることを特徴とする1)
又は2)に記載のレーザ加工機である。
4)前記制御部は、前記レーザ加工ヘッドの前記起点から前記加工開始点への相対移動における移動速度を、前記起点側よりも前記加工開始点側が低速になるよう制御することを特徴とする1)
〜3)のいずれか一つに記載のレーザ加工機である。
5)ワークに対しレーザ加工ヘッドからレーザ光を出射してレーザ加工を行うレーザ加工方法であって、
前記ワークの表面の所定検出範囲で前記ワークとの距離を測定するセンサを設けた前記レーザ加工ヘッドを、予め設定された加工経路の加工開始点の上方に、前記レーザ光を出射せずに位置決め移動させる位置決めステップと、
前記レーザ加工ヘッドを、前記レーザ光を出射して前記加工経路を相対移動させる加工ステップと、
次に行うレーザ加工の加工経路において、加工開始点が既設の貫通孔の縁部に位置しているか否か、を判定する判定ステップと、
を含み、
前記位置決めステップには、
前記判定ステップにおいて、加工開始点が既設の貫通孔の縁部に位置していると判定した場合に、前記レーザ加工ヘッドを、前記ワークに対し前記所定検出範囲の全体が前記ワークの存在する部分に含まれる位置である起点の上方において倣い動作させて所定の倣い高さにする倣い動作ステップと、
前記倣い動作ステップの実行後、前記レーザ加工ヘッドを、前記倣い高さを維持して前記加工開始点の上方に相対移動させるインターロック移動ステップと、を含み、
前記位置決めステップにより前記レーザ加工ヘッドが前記加工開始点の上方に達したら、前記加工ステップを実行することを特徴とするレーザ加工方法である。
6)
前記動作ステップよりも前に、前記起点及び前記起点と前記加工開始点とを繋ぐ位置決め経路を前記所定検出範囲に基づいて設定する設定ステップを含むことを特徴とする
5)に記載のレーザ加工方法である。
7)前記レーザ加工ヘッドが前記加工開始点の上方に達したら、前記加工ステップを実行する前に所定時間一時停止させることを特徴とする一時停止ステップを実行することを特徴とする5)
又は6)に記載のレーザ加工方法である。
8)前記レーザ加工ヘッドの前記起点から前記加工開始点への相対移動における移動速度を、前記起点側よりも前記加工開始点側を低速にすることを特徴とする5)
〜7)のいずれか一つに記載のレーザ加工方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ワークに対するヘッドの相対移動動作が不安定になりにくい、という効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るレーザ加工機の実施例であるレーザ加工機51の構成を説明するためのブロック図である。
【0014】
図1に示されるように、レーザ加工機51は、レーザ光LSを加工対象物であるワークWに向け出射するレーザ加工ヘッド1(以下、ヘッド1)と、ヘッド1を上下方向(Z軸方向)に移動させる駆動部2と、ヘッド1にレーザ光を供給するレーザ発振器3と、ワークWを把持するクランパ4aを水平方向(XY軸方向)に移動させるワーク駆動部4と、を有する。さらに、レーザ加工機51は、ヘッド1,駆動部2,レーザ発振器3,及びワーク駆動部4の動作を制御する制御部CTと、を有する。
尚、ワーク駆動部4は、ワークWとヘッド1とを相対的に移動させるためのものであればよい。従って、ワーク駆動部4は、上述のクランパ4aをXY方向に移動させるワーク駆動部4に代えて、クランパ4aをX軸方向のみに移動しヘッド1をY軸方向に移動するワーク駆動部であってもよい。また、ワークWは固定としヘッド1をXY方向に移動させるワーク駆動部であってもよい。
【0015】
駆動部2は、ヘッド1の高さ位置をエンコーダやセンサなどで検出し、位置情報J1として制御部CTに向け出力する。また、ワーク駆動部4は、ワークWの水平方向位置をエンコーダやセンサなどで検出し、位置情報J3として制御部CTに向け出力する。
ヘッド1におけるレーザ光を照射する部分であるノズル部1nには、先端に、ワークWとの高さ方向の距離Laを測定するセンサ1aが備えられている。センサ1aは、ワークWの表面での検出範囲AC(
図3参照)が所定の円形となる静電容量型であって、距離Laを含む距離情報J2を制御部CTに向け出力する。
【0016】
制御部CTは、中央処理装置(CPU)CTaと、ドゥエル実行判定部CTbと、ドゥエル実行部CTcと、記憶部CTdと、を有する。
記憶部CTdには外部から供給された加工プログラムやワークWの形状などのレーザ加工に必要な情報が記憶される。
【0017】
この構成において、制御部CTは、位置情報J1及び距離情報J2によってワークWに対する位置及びワークWとの距離Laを把握しつつ、加工プログラム等に沿って駆動部2及びワーク駆動部4の動作を、倣い制御を含めて制御する。
【0018】
ドゥエル実行判定部CTbは、次に実行するレーザ加工の加工経路が、ドゥエルを実行させる経路として予め分類された所定の経路か否かを予め判定する。
ドゥエル実行部CTcは、次に実行するレーザ加工の加工経路が所定の経路である、と判定した場合に、その所定の経路に対応した位置決め経路を設定すると共に所定のタイミングでヘッドの移動を、予め設定した所定の時間だけ一時停止(ドゥエル)するよう制御する。
【0019】
詳しくは、ドゥエル実行判定部CTbは、記憶部CTdに記憶された加工プログラムから、次に行うレーザ加工の加工経路において、加工開始点が既設の貫通孔の縁部に位置しているか否か、を判定する。
例えば、加工経路が、
図2に示される加工経路Ka(太い二点鎖線)の場合、加工開始点A1が、ワークWにおける既設の孔Whの長方形の角部に位置しているので、所定の経路の加工である、と判定する。
所定の経路とは、加工開始点が、ワークWの既設の貫通孔の角部に位置している経路である。
ドゥエル実行部CTcによる一時停止は、必ず実行するものではなく、作業者の操作により、或いは加工プログラムにおいて、実行するか否かが選択設定されるようになっている。
【0020】
ドゥエル実行部CTcによって一時停止を実行するように選択設定されているとき、ドゥエル実行部CTcは、次に実行する加工経路が、所定の経路の加工であると判定した場合、ヘッド1の位置決め経路Kb(
図3参照)を、センサ1aの所定の検出範囲ACに基づいて設定する。また、それと共に、ドゥエル実行部CTcは、ヘッド1の相対位置が、位置決め経路を相対移動する位置決め移動を経て加工開始点A1に達したら、所定の時間tdだけ一時停止を実行させる、という位置決め手順M(
図4参照)を設定する。
【0021】
以下、
図2に示される加工経路Kaでレーザ加工を実行する場合の、位置決め移動例を、
図3〜
図4を参照して説明する。
【0022】
図3に示されるように、加工経路Kaは、ワークWにすでに形成されている長方形の貫通した孔Whの一つの角部を加工開始点A1とし、加工開始点A1から太い二点鎖線で囲まれた正方形形状の部材Wpを、切断抜きする経路である。
加工開始点A1は、詳しくは、縁部Wh1の内の、直交隣接する長辺Wh1aと短辺Wh1bとの交点である。
【0023】
ドゥエル実行部CTcは、加工経路Kaに対し、
図3に太い破線で示される位置決め経路Kbと、
図4に示される位置決め手順Mと、を生成し記憶部CTdに記憶させて設定する。
【0024】
位置決め経路Kbは、具体的には、起点Kb1を孔Whの近傍のワークWが存在する部位に設定し、その起点Kb1と加工開始点A1とを繋ぐ経路である。
ここで、起点Kb1は、
図3に示されるように、その上方にヘッド1を位置させたときに、検出範囲ACが孔Whにかからず、検出範囲ACの全体がワークWの存在する部分(ハッチング付与)に含まれる位置として設定する(
図3参照)。
位置決め経路Kbは、直線及び曲線の少なくとも一方を含む経路として設定される。ヘッド1の相対移動時間を短くするために、位置決め経路Kbの距離は短い方が望ましい。
【0025】
図4の位置決め手順Mに示されるように、ドゥエル実行部CTcは、ヘッド1を、レーザ光の出射を停止した状態で(Step1)、ワーク駆動部4によるワークWのXY軸移動によって位置決め経路Kbの起点Kb1に相対移動させると共に、駆動部2によるZ軸移動により、倣い移動位置まで移動(下降)させる(Step2)。
【0026】
次に、ドゥエル実行部CTcは、倣い指令に基づいて倣い制御をONとし、ヘッド1のノズル部1nの先端位置を、ワークWから上方に所定距離だけ離れた位置とする。すなわち、倣い位置決めを行う。
所定距離は、予め設定されたワークWとノズル部1nの先端との間の上下距離であって、倣い制御で加工を行うときの高さ(倣い高さ)である。
【0027】
ドゥエル実行部CTcは、倣い位置決めを実行したら、倣い制御をOFFし、ヘッド1のZ軸移動を禁止する倣いインターロックを行う。
倣いインターロックにより、ヘッド1のZ軸移動が禁止され、XY軸移動の際の高さ位置が固定される。
【0028】
ドゥエル実行部CTcは、ヘッド1を倣い制御OFFのインターロック状態とし、ワークWを水平移動させて、ヘッド1を位置決め経路Kb上で倣い距離を維持したまま加工開始点A1まで相対移動させる。
【0029】
既述のように、予めドゥエル(一時停止)を実行するように設定されている場合、ドゥエル実行部CTcは、位置情報J3に基づいて、ヘッド1が加工開始点A1の上方に位置したか否かを判定し(Step6)、加工開始点A1の上方に位置したら(Yes)、ドゥエルを実行させる(Step7)。
【0030】
次いでドゥエル実行部CTcは、一時停止時間が所定の時間tdに達したか否かを判定する(Step8)。
所定の時間tdは、ヘッド1の移動速度や、位置決め経路Kbから加工開始点A1で加工経路Kaに移行する際の方向転換角度である角度(劣角)θa(
図3参照)等をパラメータとして、予め実験によって設定する。例えば1秒以上とする。
一時停止時間が所定の時間tdに達したら(Yes)、レーザ光を出射すると共に、インターロックを解除して倣い制御をONにした後、ヘッド1を加工経路Ka上で相対移動してレーザ加工を実行する(Step9)。
【0031】
上述のように、起点Kb1において、ヘッド1は倣い制御されて倣い高さに設定される。
ヘッド1が起点Kb1に位置した状態において、検出範囲ACは、その範囲のすべてがワークWの存在する部分に入っている。そのため、倣いチャタリングを生じることはなく、安定した倣い位置決めが行われる。
【0032】
次いで、ヘッド1は、所定の倣い高さでインターロックされ、位置決め経路Kbを通って加工開始点A1に達する。
そのため、加工開始点A1において、ヘッド1は、従来の高い位置からではなく、既に倣いを実行した倣い高さから加工を開始する。
これにより、加工開始に伴い倣い動作を実行開始しても、ヘッド1のZ軸方向の移動は少なく、加工開始点A1からの加工の際に高さが上下に振動することなく、加工経路Kaを安定的に移動できる。
【0033】
また、上述のように、ドゥエル実行が設定されている場合、ヘッド1が加工開始点A1に達したときに、所定の時間だけワーク駆動部4の動作を停止する。すなわち、ヘッド1の水平相対移動を一時停止する。
この一時停止期間中に、位置決め動作に伴って生じた稼働機構部材の機械的揺れが十分減衰する。
これにより、その機械的揺れは、その後の加工動作に影響を及ぼすことはなく、加工断面に波打ちは生じない。
また、仮に機械的揺れが残っていても、無視できる程度に抑制でき、加工断面に製品として支障のある波打ちを生じさせることはない。
【0034】
ドゥエル実行有無での具体的な切断状態の比較例が
図5のイメージ図に示されている。
図5(a)は、位置決め手順Mにおいてドゥエルを1.0秒実行した場合、(b)は、位置決め手順Mにおいてドゥエルを実行しなかった場合である。
図5(a)では、加工経路Kaで切断した抜き側の部材Wpの、加工開始点A1に近い部分の切断端部に、水平方向(
図5の左右方向)の波打ち(うねり)は生じていない。
これに対し、
図5(b)では、部材Wpの同様部位に水平方向の波打ち(うねり)Wmが生じており、実施例のレーザ加工方法におけるドゥエル実行の効果が確認できた。
【0035】
本発明の実施例は、上述の構成、手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0036】
加工効率化のため、一般に、ヘッド1の、起点Kb1から加工開始点A1までの位置決め経路Kbにおけるインターロック状態での相対移動は、加工時の速度よりも高速の早送りとされる。
これに対し、制御部CTは、波打ち現象の発生を防止するため、位置決め経路Kbの早送り速度を、加工開始点A1に近づくに従って減速するよう制御してもよい。すなわち、ヘッド1の、起点Kb1側よりも加工開始点A1側の相対移動速度を低速にするよう制御する。
例えば、位置決め経路Kbの加工開始点A1側の1/3の区間を、減速区間として加工開始点A1到達時に速度0(ゼロ)又はそれに近い低速になるよう減速させる。
【0037】
これにより、加工開始点A1に達した時点で、ワークWの水平方向の移動に伴う機械振動が十分に抑制され、加工開始点A1からの加工経路Kaにおいて、波打ち現象の発生を良好に抑制することができる。
【0038】
波打ち現象の発生防止又は抑制のために、速度減速制御を実行するか、ドゥエルを実行するか、は、予め作業者の指示又は加工プログラムにより設定される。
【0039】
上述の実施例では、位置決め経路Kb及び位置決め手順Mをドゥエル実行部CTcが設定する例を説明したが、これに限定されない。
例えば、位置決め経路Kb及び位置決め手順Mを、記憶部CTdに、加工プログラムなどの情報の中にそれぞれ加工経路Kaと紐付して含めて記憶させておき、ドゥエル実行判定部CTbがドゥエルを実行すると判定した場合に、ドゥエル実行部CTcが記憶部CTdから呼び出して設定するようにしてもよい。
【0040】
所定の時間tdは、長いほど、水平方向の位置決め動作での稼働機構部材の振動が良好に減衰する反面、加工効率は低下する。そのため、所定の時間tdは、製品品質に影響のない範囲で短く設定するのが好ましい。
位置決め経路Kbから加工経路Kaへの転換角度である角度θaや位置決め経路Kbを移動するヘッド1の相対速度をパラメータとして試加工を行い、実測データから加工効率を考慮した最短時間で設定することが望ましい。
試加工による検討の結果、通常のレーザ加工条件において、時間tdを1秒以上に設定することで、角度θaによらず、通常加工での波打ち発生を、無視できる程度に抑制することができることが明らかになっている。
【0041】
また、角度(劣角)θa(
図3参照)が小さいほど、加工経路Kaの初期のレーザ加工に対する稼働機構部材の揺れの影響が大きくなる。そのため、ドゥエル実行部CTcは、方向転換角度が大きいほどドゥエル時間を長く設定し、揺れを十分減衰させることは好ましい。
例えば、ドゥエル実行部CTcは、
図3に示される角度θa(0<θa<180°)が小さいほど、時間tdを長く設定するとよい。
【0042】
アシストガスの噴射は、例えばドゥエル実行中に実行してよい。
【0043】
上述の実施例と変形例とは、可能な範囲で組み合わせてよい。