【文献】
溝上 宗二他,運航モニタリングによる内航フェリーの推進性能評価法,三菱重工技報,日本,三菱重工業株式会社,2007年,VOL.44 NO.3,第39〜44頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記積載量データ取得手段は、前記船舶の喫水を示す喫水データを取得し、前記喫水データが示す喫水に応じた排水量から前記船舶の軽荷排水量を減算した量を示すデータを前記積載量データとして生成することにより取得する
請求項2に記載の情報処理装置。
前記積載量データ取得手段は、前記船舶の航行中の複数の時点の各々における前記船舶の喫水を示す前記喫水データを取得し、前記複数の時点の各々に関し前記喫水データが示す喫水に応じた排水量から前記軽荷排水量を減算した量を示すデータを前記積載量データとして生成することにより取得する
請求項3に記載の情報処理装置。
前記積載量データ取得手段は、前記船舶の喫水を示す喫水データと、前記船舶に積載されているバラスト水の量を示すバラスト水量データと、前記船舶に積載されている燃料の量を示す燃料量データとを取得し、前記喫水データが示す喫水に応じた排水量から、前記バラスト水量データが示すバラスト水の量と前記燃料量データが示す燃料の量と前記船舶の軽荷排水量とを減算した量を示すデータを前記積載量データとして生成することにより取得する
請求項5に記載の情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
船舶の燃料消費量は、船舶に積載された積載物の量と輸送距離に依存する。従って、船舶における燃料消費量の評価においては、燃料消費量の絶対値よりも単位積載量単位距離当たり燃料消費量がより重要な意味を持つ。なお、「単位積載量単位距離当たり燃料消費量」とは、単位量の積載物を単位距離だけ輸送するために要した燃料消費量を意味する。単位積載量単位距離当たり燃料消費量の単位は、例えば「ton/(ton・mile)」である。
【0005】
特許文献1に記載の燃料消費モニタリングシステムによる場合、船舶の燃料消費量の絶対値の計時変化や積算量は表示されるが、単位積載量単位距離当たり燃料消費量が表示されることはない。従って、特許文献1に記載の燃料消費モニタリングシステムのユーザは、船舶の燃料消費量を積載物の量及び輸送距離を考慮して評価することはできない。
【0006】
上記の事情に鑑み、本発明は、船舶の燃料消費量を積載物の量及び輸送距離を考慮して評価することを可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の態様として、船舶に積載された積載物の量を示す積載量データを取得する積載量データ取得手段と、前記船舶の航行距離を示す航行距離データを取得する航行距離データ取得手段と、前記船舶の燃料消費量を示す燃料消費量データを取得する燃料消費量データ取得手段と、前記積載量データと前記航行距離データと前記燃料消費量データとを用いて算出した単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力する出力手段とを備える情報処理装置を提案する。
【0008】
この態様に係る情報処理装置によれば、船舶の単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報が提供されるため、積載物の量及び輸送距離を考慮した船舶の燃料消費量の評価が可能となる。
【0009】
本発明の第1の態様において、前記積載量データは、貨物の量とバラスト水の量と燃料の量とを含む量を示す、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0010】
この態様に係る情報処理装置によれば、船舶に積載されている貨物、バラスト水及び燃料の総量を考慮した燃料消費量の評価が可能となる。
【0011】
本発明の第1の態様において、前記積載量データ取得手段は、前記船舶の喫水を示す喫水データを取得し、前記喫水データが示す喫水に応じた排水量から前記船舶の軽荷排水量を減算した量を示すデータを前記積載量データとして生成することにより取得する、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0012】
この態様に係る情報処理装置によれば、船舶の喫水により示される積載量(載貨重量)を考慮した燃料消費量の評価が可能となる。
【0013】
本発明の第3の態様において、前記積載量データ取得手段は、前記船舶の航行中の複数の時点の各々における前記船舶の喫水を示す前記喫水データを取得し、前記複数の時点の各々に関し前記喫水データが示す喫水に応じた排水量から前記軽荷排水量を減算した量を示すデータを前記積載量データとして生成することにより取得する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0014】
この態様に係る情報処理装置によれば、バラスト水の取り込みや排出、燃料の消費による残量の変化等によって船舶の航行中に積載量が変化しても、当該変化が反映された積載量を用いて算出された単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報が提供される。
【0015】
本発明の第1の態様において、前記積載量データは、貨物の量を示す、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0016】
この態様に係る情報処理装置によれば、船舶に積載されている貨物の量を考慮した燃料消費量の評価が可能となる。
【0017】
本発明の第5の態様において、前記積載量データ取得手段は、前記船舶の喫水を示す喫水データと、前記船舶に積載されているバラスト水の量を示すバラスト水量データと、前記船舶に積載されている燃料の量を示す燃料量データとを取得し、前記喫水データが示す喫水に応じた排水量から、前記バラスト水量データが示すバラスト水の量と前記燃料量データが示す燃料の量と前記船舶の軽荷排水量とを減算した量を示すデータを前記積載量データとして生成することにより取得する、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0018】
この態様に係る情報処理装置によれば、船舶の喫水、バラスト水の量、燃料の量を用いて算出された貨物の量を考慮した燃料消費量の評価が可能となる。
【0019】
本発明の第1乃至第6のいずれかの態様において、前記出力手段は、前記船舶が航行した港間航路の各々に関し前記単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力する、という構成が第7の態様として採用されてもよい。
【0020】
この態様に係る情報処理装置によれば、港間航路の各々に関し、積載物の量及び輸送距離を考慮した船舶の燃料消費量の評価が可能となる。
【0021】
本発明の第1乃至第7のいずれかの態様において、前記出力手段は、過去の所定期間内における前記船舶の航行に関し前記単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力する、という構成が第8の態様として採用されてもよい。
【0022】
この態様に係る情報処理装置によれば、過去の所定期間内における航行に関し、積載物の量及び輸送距離を考慮した船舶の燃料消費量の評価が可能となる。
【0023】
本発明の第1乃至第8のいずれかの態様において、前記燃料消費量データ取得手段は、複数の燃料の種類の各々に関する前記船舶の燃料消費量を示す前記燃料消費量データを取得し、前記出力手段は、前記複数の燃料の種類の各々に関する前記情報を出力する、という構成が第9の態様として採用されてもよい。
【0024】
この態様に係る情報処理装置によれば、複数の燃料の種類の各々に関し、積載物の量及び輸送距離を考慮した船舶の燃料消費量の評価が可能となる。
【0025】
本発明の第1乃至第9のいずれかの態様において、前記船舶の位置を示す位置データを取得する位置データ取得手段を備え、前記出力手段は、前記位置データが示す位置に基づき特定される前記船舶が航行した複数の海域の各々に関し前記情報を出力する、という構成が第10の態様として採用されてもよい。
【0026】
この態様に係る情報処理装置によれば、複数の海域の各々に関し、積載物の量及び輸送距離を考慮した船舶の燃料消費量の評価が可能となる。
【0027】
本発明の第1乃至第10のいずれかの態様において、前記出力手段は、前記単位積載量単位距離当たり燃料消費量を用いて算出した単位積載量単位距離当たり二酸化炭素排出量を含む前記情報を出力する、という構成が第11の態様として採用されてもよい。
【0028】
この態様に係る情報処理装置によれば、積載物の量及び輸送距離を考慮した船舶の二酸化炭素排出量の評価が可能となる。
【0029】
本発明の第1乃至第11のいずれかの態様において、前記出力手段により出力された前記情報を示す画面を表示装置に表示させる表示手段を備える、という構成が第12の態様として採用されてもよい。
【0030】
この態様に係る情報処理装置によれば、ユーザは画面に表示される情報を見ることにより、積載物の量及び輸送距離を考慮した船舶の燃料消費量の評価を行うことができる。
【0031】
本発明の第1乃至第12のいずれかの態様において、操作を受け付ける操作手段と、前記船舶の推進機関の回転数を制御するガバナに対し、前記操作手段により受け付けられた操作に応じた動作指示を与える指示手段とを備える、という構成が第13の態様として採用されてもよい。
【0032】
この態様に係る情報処理装置によれば、ユーザは、単位積載量単位距離当たり燃料消費量を考慮して、船舶の負荷を調整することができる。
【0033】
本発明の第1乃至第13のいずれかの態様において、前記出力手段により出力された前記情報が所定の条件を満たす場合に警報を報知する報知手段を備える、という構成が第14の態様として採用されてもよい。
【0034】
この態様に係る情報処理装置によれば、ユーザは、単位積載量単位距離当たり燃料消費量が所定の閾値を超過した等の所定の条件が満たされたことを容易に知ることができる。
【0035】
また、本発明は、第15の態様として、コンピュータに、船舶に積載された積載物の量を示す積載量データを取得する処理と、前記船舶の航行距離を示す航行距離データを取得する処理と、前記船舶の燃料消費量を示す燃料消費量データを取得する処理と、前記積載量データと前記航行距離データと前記燃料消費量データとを用いて算出した単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力する処理とを実行させるためのプログラムを提案する。
【0036】
この態様に係る情報処理装置によれば、コンピュータにより、本発明の第1の態様に係る情報処理装置が実現される。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、船舶の燃料消費量を積載物の量及び輸送距離を考慮して評価することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理装置1が搭載された船舶3の構成を示す図である。船舶3は、例えば貨物船である。船舶3の主な構成要素は、船体30、船橋31、機関制御室32、推進機関33、シャフト34、プロペラ35、燃料タンク36、燃料配管37、ガバナ38、バラスト水タンク39、流量計40、回転計41、喫水計42及び衛星航法システム43である。
【0040】
情報処理装置1は船橋31に配置されている。また、機関制御室32には情報処理装置1に表示される画面と同様の画面を表示するとともにユーザの操作を受け付けるタッチディスプレイ2が配置されている。
【0041】
推進機関33はシャフト34を駆動してプロペラ35を回転させることにより推進力を発生させる。燃料タンク36は燃料を収容し、燃料配管37は燃料タンク36から推進機関33への燃料の供給経路を形成する。
【0042】
ガバナ38は、情報処理装置1から出力された指示データに基づいて推進機関33における燃料の噴射量を調整することにより、推進機関33の回転数を制御する。
【0043】
流量計40は、燃料配管37内を移動する燃料の流量を計測して、計測した流量を表す流量データを所定の時間間隔で出力する。回転計41は、推進機関33の回転数(単位時間当たり回転数)を計測して、計測した回転数を表す回転数データを所定の時間間隔で出力する。
【0044】
喫水計42は、船舶3の喫水を計測して、計測した喫水を示す喫水データを所定の時間間隔で出力する。衛星航法システム43は船舶3の所定位置に配置されたアンテナにより複数の航法衛星から送信される航法信号を受信し、受信した航法信号を用いてアンテナの位置(緯度経度)を算出し、算出した位置を示す位置データを所定の時間間隔で出力する。
【0045】
情報処理装置1は、船舶3の単位積載量単位距離当たり燃料消費量を出力する装置である。
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置1のハードウェア構成は一般的なコンピュータのハードウェア構成であり、演算部11、記憶部12、入出力IF(Interface)部13及びUI(User Interface)部14を備える。
【0046】
記憶部12は、例えばハードディスクドライブ等の記憶装置を備え、プログラムやデータを記憶する。演算部11は、プロセッサとデータ処理におけるワークエリアとして用いられるメモリを備え、記憶部12に記憶されたプログラムに従い各種データ処理を実行する。
【0047】
入出力IF部13には、ガバナ38、流量計40、回転計41、喫水計42、衛星航法システム43及びタッチディスプレイ2が接続される。演算部11は、入出力IF部13を介して流量計40から流量データを受信し、受信時刻(計測時刻を示す)と対応付けて流量データを記憶部12に記憶させる。また、演算部11は、入出力IF部13を介して回転計41から回転数データを受信し、受信時刻(計測時刻を示す)と対応付けて回転数データを記憶部12に記憶させる。また、演算部11は、入出力IF部13を介して喫水計42から喫水データを受信し、受信時刻(計測時刻を示す)と対応付けて喫水データを記憶部12に記憶させる。また、演算部11は、入出力IF部13を介して衛星航法システム43から位置データを受信し、受信時刻(計測時刻を示す)と対応付けて位置データを記憶部12に記憶させる。
【0048】
UI部14は、例えばタッチディスプレイを備え、各種情報を表示するとともに、ユーザによる操作を受け付ける。なお、UI部14が情報処理装置1の本体から分離された装置として構成され、入出力IF部13にUI部14が接続されてもよい。演算部11は、ユーザによる操作に応じてガバナ38に対する動作指示を示す指示データを生成し、入出力IF部13を介してガバナ38に指示データを送信する。
【0049】
UI部14又はタッチディスプレイ2がユーザから受け付ける操作には、船舶3が航路上の港の各々に関する入港時刻及び出港時刻を入力する操作が含まれる。ユーザにより入力された入港時刻及び出港時刻を示すデータは記憶部12に記憶される。記憶部12は、例えば
図3に示す構成の入出港テーブルに、ユーザにより入力される入港時刻及び出港時刻を示すデータを格納する。入出港テーブルの「港名」欄には予め船舶3の航路上の港の名称が格納されており、ユーザはこれらの港の名称の中から対象の港の名称を選択した後、入港時刻又は出港時刻の入力を行う。
【0050】
図4は、情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
図4に示される構成部は、演算部11が記憶部12に記憶されているプログラムに従ったデータ処理を行うことにより実現される。
【0051】
積載量データ取得手段21は、船舶3の積載量、すなわち船舶3の積載物の量を示す積載量データを取得する。本実施形態においては、積載量データ取得手段21は記憶部12から喫水データを読み出し、読み出した喫水データが示す喫水に応じた排水量から船舶3の軽荷排水量を減算した量を示す積載量データを生成することにより、積載量データを取得する。従って、本実施形態における積載量データが示す積載量は一般に載貨重量と呼ばれる量である。載貨重量の主要な内訳は貨物の重量、バラスト水の重量及び燃料の重量であるが、載貨重量には清水、ビルジ、乗組員等の重量も含まれる。
【0052】
航行距離データ取得手段22は、船舶3の航行距離を示す航行距離データを取得する。本実施形態においては、航行距離データ取得手段22は記憶部12から位置データを読み出し、読み出した位置データが示す位置を時系列順に結んだ経路の距離を示す航行距離データを生成することにより、航行距離データを取得する。
【0053】
燃料消費量データ取得手段23は、船舶3の燃料消費量を示す燃料消費量データを取得する。本実施形態においては、燃料消費量データ取得手段23は記憶部12から流量データを読み出し、読み出した流量データが示す燃料の流量の累計を示す燃料消費量データを生成することにより、燃料消費量データを取得する。
【0054】
算出手段24は、積載量データ取得手段21により取得される積載量データと、航行距離データ取得手段22により取得される航行距離データと、燃料消費量データ取得手段23により取得される燃料消費量データとを用いて、単位積載量単位距離当たり燃料消費量を算出する。
【0055】
出力手段25は、算出手段24により算出される単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力する。本実施形態においては、出力手段25は単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータを、その時点の時刻(計測時刻を示す)と対応付けて記憶部12に出力する。記憶部12は、出力手段25により出力されるデータを記憶する。
【0056】
表示手段26は、出力手段25により出力された単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を示す画面をUI部14とタッチディスプレイ2に表示させる。本実施形態においては、表示手段26は、出力手段25により出力され、記憶部12に記憶された単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータを読み出し、読み出したデータが示す単位積載量単位距離当たり燃料消費量を含む情報を示す画面(後述の
図5)をUI部14とタッチディスプレイ2に表示させる。
【0057】
操作手段27は、ユーザによる操作を受け付ける。指示手段28は、操作手段27により受け付けられた操作に応じた動作指示を、推進機関33の回転数を制御するガバナ38に与える。
【0058】
図5は、UI部14とタッチディスプレイ2に表示される画面を示す図である。なお、
図5中の「#」は数字を示す。この画面には、仮想的な操作子として、「回転数の設定」と表示された操作子51、「燃料消費量の設定」と表示された操作子52、「入出港時刻の入力」と表示された操作子53、及びテンキー54が配置される。
【0059】
ユーザにより操作子51に対する操作が行われると、テンキー54による回転数の設定が受け付けられる。演算部11は、入出力IF部13を介して、ユーザにより設定された回転数で推進機関33を運転するための動作指示を示す指示データをガバナ38に送信する。ガバナ38は、当該指示データが示す動作指示に従い、ユーザにより設定された回転数で推進機関33が運転するように、推進機関33における燃料の噴射量を調整する。
【0060】
ユーザにより操作子52に対する操作が行われると、テンキー54による燃料消費量(単位時間当たり燃料消費量)の設定が受け付けられる。演算部11は、入出力IF部13を介して、設定された燃料消費量で推進機関33を運転するための動作指示を示す指示データをガバナ38に送信する。ガバナ38は、当該指示データが示す動作指示に従い、ユーザにより設定された燃料消費量となるように、推進機関33における燃料の噴射量を調整する。
【0061】
なお、
図5の画面において、回転数が設定された場合には燃料消費量の設定は無効となり、燃料消費量が設定された場合には回転数の設定は無効となる。
【0062】
ユーザにより操作子53に対する操作が行われると、テンキー54により、まず船舶3の航路上の港の選択が受け付けられ、続いて、選択された港の入港時刻及び出港時刻のいずれかの選択が受け付けられる。その後、選択された港の入港時刻又は出港時刻の入力が受け付けられる。
【0063】
領域55には、推進機関33の現在の回転数が実測値として表示される。また、ユーザにより回転数が設定されている場合には、領域55にはユーザにより設定されている回転数も表示される。領域55に表示される回転数の実測値は、例えば、記憶部12に記憶されている最新の回転数データが示す回転数である。
【0064】
領域56には、推進機関33の現在の燃料消費量(単位時間当たり燃料消費量)が実測値として表示される。また、ユーザにより燃料消費量が設定されている場合には、領域56にはユーザにより設定されている燃料消費量も表示される。なお、
図5は、ユーザにより回転数が設定され、領域56に燃料消費量の設定値が表示されない場合を例示している。領域56に表示される燃料消費量の実測値は、例えば、記憶部12に記憶されている直近の単位時間の期間内の時刻に対応付けて記憶されている流量データが示す流量の累計値(例えば、1分間当たりの流量(リットル)を1時間当たりの流量(トン)に換算したもの)である。
【0065】
領域57には、船舶3の現在の積載量(載貨重量)と、現在の単位積載量単位距離当たり燃料消費量が表示される。また、領域58には、船舶3の過去の単位積載量単位距離当たり燃料消費量の経時変化を示すグラフが表示される。
図6は、情報処理装置1が領域57及び48に船舶3の積載量及び単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を表示するために行う処理の流れ図である。以下に
図6に示される処理の流れを説明する。
【0066】
情報処理装置1は、所定時間(例えば、1分間)が経過したか否かを判定する(ステップA01)。所定時間が経過すると(ステップA01:YES)、積載量データ取得手段21は、記憶部12から直近の過去の所定時間(例えば、1分間)の期間内の時刻に対応付けて記憶されている喫水データを読み出す(ステップA02)。
【0067】
続いて、積載量データ取得手段21は、読み出した喫水データが示す喫水の代表値(例えば、最新値、平均値、中央値等)を特定する(ステップA03)。続いて、積載量データ取得手段21は、ステップA03において特定した喫水の代表値に応じた排水量(船舶3の現在の排水量)から、船舶3の軽荷排水量を減じて、船舶3の現在の積載量(載貨重量)を算出する(ステップA04)。なお、船舶3の軽荷排水量は、例えば船舶3の製造者により算出された定数であり、情報処理装置1に予め設定されている。
【0068】
積載量データ取得手段21は、ステップA04において算出した積載量を示す積載量データを生成し、例えばその時点の時刻(測定時刻を示す)に対応付けて記憶部12に記憶させる(ステップA05)。
【0069】
ステップA02〜A05の処理と並行して、航行距離データ取得手段22は、記憶部12から直近の過去の所定時間(例えば、1分間)の期間内の時刻に対応付けて記憶されている位置データを読み出す(ステップA06)。続いて、航行距離データ取得手段22は、読み出した位置データが示す位置を時系列順に結んだ経路の距離を、直近の過去の所定時間における船舶3の航行距離を示す値として算出する(ステップA07)。
【0070】
航行距離データ取得手段22は、ステップA07において算出した航行距離を示す航行距離データを生成し、例えばその時点の時刻(測定時刻を示す)に対応付けて記憶部12に記憶させる(ステップA08)。
【0071】
ステップA02〜A08の処理と並行して、燃料消費量データ取得手段23は、記憶部12から直近の過去の所定時間(例えば、1分間)の期間内の時刻に対応付けて記憶されている流量データを読み出す(ステップA09)。続いて、燃料消費量データ取得手段23は、読み出した流量データが示す流量の累計値を、直近の過去の所定時間における船舶3の燃料消費量を示す値として算出する(ステップA10)。
【0072】
燃料消費量データ取得手段23は、ステップA10において算出した燃料消費量を示す燃料消費量データを生成し、例えばその時点の時刻(測定時刻を示す)に対応付けて記憶部12に記憶させる(ステップA11)。
【0073】
ステップA02〜A11の処理が完了すると、続いて、算出手段24は、ステップA11において生成された燃料消費量データが示す燃料消費量を、ステップA05において生成された積載量データが示す積載量とステップA08において生成された航行距離データが示す航行距離とを乗算した値で除算して、直近の過去の所定時間(例えば、1分間)の期間内の単位積載量単位距離当たり燃料消費量を算出する(ステップA12)。
【0074】
算出手段24は、ステップA12において算出した単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータを生成する。算出手段24により生成された単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータは、出力手段25により、例えばその時点の時刻(測定時刻を示す)に対応付けて記憶部12に出力される。記憶部12は、出力手段25から出力されるデータを記憶する(ステップA13)。
【0075】
ステップA13の処理が完了すると、情報処理装置1はステップA01以降の処理を繰り返す。その結果、記憶部12には、積載量、航行距離、燃料消費量及び単位積載量単位距離当たり燃料消費量の時系列変化を示すデータが記憶されてゆく。
【0076】
図5に示される画面の領域57に表示される積載量及び単位積載量単位距離当たり燃料消費量は、上記のように記憶部12に記憶されてゆくデータの最新のものが示す値である。また、領域58に表示されるグラフは、記憶部12に記憶されている単位積載量単位距離当たり燃料消費量の時系列変化を示すデータを用いて生成されたグラフである。
【0077】
本実施形態によれば、ユーザは過去の所定期間における、船舶の単位積載量単位距離当たり燃料消費量を知ることができる。その結果、ユーザは船舶の燃料消費量を、積載物の量及び輸送距離を考慮して、評価することができる。
【0078】
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形されてもよい。以下にそれらの変形の例を示す。なお、これらの変形例は適宜組み合わせられてもよい。
【0079】
(1)上述した実施形態において、積載量データ取得手段21は喫水データを用いて積載量を算出し、算出した積載量を示す積載量データを生成する。積載量データ取得手段21が積載量データを取得する方法はこれに限られない。例えば、ユーザが積載量を入力し、積載量データ取得手段21がユーザにより入力された積載量を示す積載量データを取得してもよい。
【0080】
(2)上述した実施形態において、積載量データ取得手段21は載貨重量を示す積載量データを取得する。載貨重量は、貨物の重量に加え、バラスト水の重量、燃料の重量を含む重量である。積載量データ取得手段21が取得する積載量データが示す積載量は、貨物の重量、バラスト水の重量及び燃料の重量を含む重量に限られない。例えば、積載量データ取得手段21が、貨物の重量を示す積載量データを取得してもよい。
【0081】
積載量データ取得手段21が、貨物の重量を示す積載量データを取得する場合、積載量データ取得手段21が、喫水データに加え、船舶3に積載されているバラスト水の重量を示すバラスト水量データと、船舶3に積載されている燃料の重量を示す燃料量データとを取得し、喫水データが示す喫水に応じた排水量から、バラスト水量データが示すバラスト水の重量と、燃料量データが示す燃料の重量と、船舶3の軽荷排水量とを減算した重量を示すデータを積載量データとして生成することにより取得してもよい。
【0082】
この変形例において、例えば、船舶3は、燃料タンク36に収容される燃料の液位を計測する液位計と、バラスト水タンク39に収容されるバラスト水の液位を計測する液位計とを備える。情報処理装置1は、これらの液位計は各々から、燃料又はバラスト水の液位を示す液位データを、例えば所定時間の経過毎に受信し、受信時刻(計測時刻を示す)に対応付けて記憶部12に記憶する。
【0083】
積載量データ取得手段21は、
図6のステップA02において、喫水データに加え、燃料及びバラスト水の各々に関する液位データを読み出す。また、積載量データ取得手段21は、
図6のステップA03において、喫水の代表値の特定に加え、燃料及びバラスト水の各々に関する液位の代表値の特定を行い、特定した燃料の液位の代表値に応じた燃料の重量を示す燃料量データと、特定したバラスト水の液位の代表値に応じたバラスト水の重量を示すバラスト水量データを生成する。
【0084】
積載量データ取得手段21は、
図6のステップA03において、上記のように生成した燃料量データ及びバラスト水量データを用いて、積載量データの生成を行う。
【0085】
この変形例によれば、単位重量の貨物を単位距離だけ輸送するために用いられた燃料消費量が単位積載量単位距離当たり燃料消費量として提示される。その結果、ユーザは、貨物の輸送の効率の観点から燃料消費量の評価を行うことができる。
【0086】
なお、この変形例において、積載量データ取得手段21が貨物の重量を示す積載量データを取得する方法は上述した方法に限られない。例えば、積載量データ取得手段21が、船舶3が港において全ての貨物の荷下ろしが完了した状態において喫水計42により計測された喫水を示す喫水データと、貨物の荷積みが完了した状態において喫水計42により計測された喫水を示す喫水データとを用いて、貨物の重量を示す積載量データを生成してもよい。この場合、積載量データ取得手段21は、荷積みの完了時における喫水に応じた排水量から、荷下ろしの完了時における喫水に応じた排水量を減算した値を示す積載量データを生成する。
【0087】
(3)上述した実施形態において、積載量データ取得手段21は、船舶3の航行中の複数の時点の各々における船舶3の喫水を示す喫水データを取得し、それらの複数の時点の各々に関し喫水データが示す喫水に応じた排水量から船舶3の軽荷排水量を減算した量を示すデータを積載量データとして生成する。そのため、船舶3の航行中のバラスト水の取り込みや排出、燃料の消費等に伴う載貨重量の変化が反映された単位積載量単位距離当たり燃料消費量が提示される。
【0088】
航行中にバラスト水の取り込みや排出が行われない場合や、航行中の燃料の消費量が載貨重量に比べて無視できる程度に小さい場合、積載量データ取得手段21が航行中には載貨重量の算出は行わず、積載量データ取得手段21が港に停泊時の船舶3の喫水を示す喫水データを用いて算出した載貨重量を航行中の載貨重量として用いる構成が採用されてもよい。
【0089】
(4)出力手段25が、船舶3が航行した港間航路の各々に関し単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力してもよい。この変形例において、算出手段24は、ユーザにより入力された船舶3の航路上の港の各々に関する入港時刻及び出港時刻に基づき、船舶3が港間航路の各々を航行した期間を特定する。続いて、算出手段24は特定した期間に応じた積載量データ、航行距離データ及び燃料消費量データを用いて単位積載量単位距離当たり燃料消費量を算出する。出力手段25は、算出手段24により算出された港間航路の各々に関する単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータを出力する。
【0090】
この変形例によれば、ユーザは港間航路の各々に関し船舶3の燃料消費量を評価することができる。
【0091】
(5)出力手段25が、過去の所定期間内(例えば、暦年における1年の期間内)における船舶3の航行に関し単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力してもよい。この変形例において、算出手段24は、過去の所定期間の開始時刻(例えば、対象の年の1月1日の0時)から終了時刻(例えば、対象の年の12月31日の24時)までの期間に応じた積載量データ、航行距離データ及び燃料消費量データを用いて単位積載量単位距離当たり燃料消費量を算出する。出力手段25は、算出手段24により算出された過去の所定期間内の航行における単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータを出力する。
【0092】
この変形例によれば、ユーザは過去の所定期間内における船舶3の燃料消費量を評価することができる。
【0093】
(6)燃料消費量データ取得手段23が、複数の燃料の種類の各々に関する船舶3の燃料消費量を示す燃料消費量データを取得し、出力手段25が、それら複数の燃料の種類の各々に関し、単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力してもよい。
【0094】
この変形例は、推進機関33が複数の種類の燃料(例えば、A重油とC重油と天然ガス等)を切り替えて使用可能である場合に適用される。この変形例において、船舶3は、例えば第1の種類の燃料(例えば、A重油)を収容する燃料タンクから推進機関33へ流れる燃料の流量を計測する流量計と、第2の種類の燃料(例えば、C重油)を収容する燃料タンクから推進機関33へ流れる燃料の流量を計測する流量計を備える。燃料消費量データ取得手段23は、これらの流量計の各々により計測された流量を示す流量データを用いて、複数の種類の燃料の各々に関する船舶3の燃料消費量を示す燃料消費量データを生成する。
【0095】
算出手段24は、複数の種類の燃料の各々に関し、単位積載量単位距離当たり燃料消費量を算出し、出力手段25は、複数の種類の燃料の各々に関し算出手段24により算出された単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータを出力する。
【0096】
この変形例によれば、ユーザは異なる種類の燃料の各々に関し、その種類の燃料を用いた場合の船舶3の燃料消費量を評価することができる。
【0097】
(7)情報処理装置1が、船舶3の位置を示す位置データを取得する位置データ取得手段を備え、出力手段25が、位置データが示す位置に基づき特定される船舶3が航行した複数の海域の各々に関し、単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報を出力してもよい。なお、位置データ取得手段は、例えば衛星航法システム43から出力される位置データを取得する。
【0098】
この変形例において、算出手段24は、記憶部12に記憶されている位置データに基づき、複数の海域の各々に関し、船舶3がその海域を航行した期間を特定する。続いて、算出手段24は複数の海域の各々に関し、特定した期間の積載量データ、航行距離データ及び燃料消費量データを用いて、単位積載量単位距離当たり燃料消費量を算出する。出力手段25は、複数の海域の各々に関し算出手段24により算出された単位積載量単位距離当たり燃料消費量を示すデータを出力する。
【0099】
この変形例によれば、ユーザは異なる海域の各々に関し、その海域を航行した場合の船舶3の燃料消費量を評価することができる。
【0100】
(8)出力手段25が、算出手段24により算出された単位積載量単位距離当たり燃料消費量を用いて算出した単位積載量単位距離当たり二酸化炭素排出量を含む情報を出力してもよい。
【0101】
この変形例において、算出手段24は、例えば、算出した単位積載量単位距離当たり燃料消費量に対し、燃料の種類に応じた二酸化炭素換算係数(単位重量の燃料が燃料した場合に排出される二酸化炭素重量を示す係数)を乗算して、単位積載量単位距離当たり二酸化炭素排出量を算出する。出力手段25は、算出手段24により算出された単位積載量単位距離当たり二酸化炭素排出量を示すデータを出力する。
【0102】
この変形例によれば、ユーザは船舶3の燃料消費量を二酸化炭素排出量の観点から評価することができる。
【0103】
(9)情報処理装置1、出力手段25により出力された単位積載量単位距離当たり燃料消費量に関する情報が所定の条件を満たす場合に警報を報知する報知手段を備えてもよい。この変形例において、報知手段は、例えば出力手段25により出力されるデータが示す単位積載量単位距離当たり燃料消費量が所定の閾値を超過した等の所定の条件が満たされると、表示、音声等により警報を報知する。
【0104】
この変形例によれば、積載物の量及び輸送距離を考慮した場合の船舶3の燃料消費量の効率が悪化したような場合、ユーザはそのことを容易に気付くことができる。
【0105】
(10)上述した実施形態又はその変形例において、船舶3が備える計測機器(流量計40、喫水計42、衛星航法システム43、燃料又はバラスト水の液位計等)の少なくとも一部が、他の種類の計測機器により代替されてもよい。例えば、流量計40に代えて、燃料タンク36に収容されている燃料の液位を計測する液位計が用いられてもよい。この場合、燃料消費量データ取得手段23は、流量計40から出力される流量データが示す燃料消費量に代えて、液位計から出力される液位データが示す燃料の残量の減少分を燃料消費量として算出して用いる。
【0106】
また、船舶3が備える計測機器(流量計40、喫水計42、衛星航法システム43、燃料又はバラスト水の液位計等)により行われる計測の少なくとも一部が、乗組員等による目視計測により代替されてもよい。例えば、船舶3が港に停泊中に、乗組員等が船体30に記された喫水ゲージに基づき目視で喫水を計測する。そして、乗組員等が、UI部14又はタッチディスプレイ2を操作して、計測した喫水を情報処理装置1に入力する。積載量データ取得手段21は、喫水計42から出力される喫水データに代えて、乗組員等により入力された喫水を示す喫水データを用いる。
【0107】
(11)積載量の単位はメトリックトン、英トン、米トンなどのいずれであってもよい。また、上述した実施形態において、積載量は重量であるものとしたが、積載量が重量以外の量であってもよい。例えば、積載量が貨物の量を示し、貨物の密度が均一であれば、貨物の重量に代えて、貨物の体積が積載量として用いられてもよい。
【0108】
(12)上述した実施形態において、船舶3の燃料消費量は推進機関33の燃料消費量であるものとしたが、船舶3の燃料消費量が推進機関33以外の装置による燃料消費量を含んでもよい。例えば、船舶3が推進機関33に加え、発電用のエンジンを備える場合、それらのエンジンの燃料消費量と推進機関33の燃料消費量の合計値が船舶3の燃料消費量として用いられてもよい。
【0109】
(13)情報処理装置1の配置は船橋31に限られない。また、タッチディスプレイ2の配置は機関制御室32に限られない。また、タッチディスプレイ2に代えて、情報処理装置1と同様の構成の装置が用いられてもよい。
【0110】
(14)上述した実施形態において、情報処理装置1はコンピュータがプログラムに従うデータ処理を行うことにより実現される。これに代えて、情報処理装置1がいわゆる専用装置として構成されてもよい。
【0111】
(15)コンピュータに、情報処理装置1が行う処理を実行させるためのプログラムは、例えば、光記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して提供されてもよい。本発明にかかるプログラムが記録媒体に記憶された状態で提供される場合、コンピュータが当該プログラムを記録媒体から読み取り用いる。また、本発明にかかるプログラムが通信ネットワークを介して提供される場合、コンピュータが当該プログラムを配信元の装置から受信して用いる。