特許第6807319号(P6807319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807319
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】自動定量的回帰
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20210101AFI20201221BHJP
【FI】
   G01N27/62 D
【請求項の数】21
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-538418(P2017-538418)
(86)(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公表番号】特表2018-504709(P2018-504709A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】IB2016050305
(87)【国際公開番号】WO2016120762
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2019年1月17日
(31)【優先権主張番号】62/107,601
(32)【優先日】2015年1月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510075457
【氏名又は名称】ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ブルトン, ライル
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−115104(JP,A)
【文献】 特開平08−184588(JP,A)
【文献】 特開2006−177953(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0077351(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0065476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60−70、92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体のための較正曲線モデルのパラメータを生成する方法であって、
a)複数の較正標準を提供することであって、前記較正標準の各々は、既知の濃度の前記検体を含む、ことと、
b)既知の濃度の前記検体を含む前記較正標準の各々を解析デバイス内で分析することによって、前記較正標準の各々に対する解析値を決定し、前記解析値の各々をその対応する較正標準濃度に較正点対としてデータ記憶装置内で関連付けることと、
c)較正曲線を生成することにおける使用のために、所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対のサブセットを識別することであって、前記較正点対のサブセットは、連続した濃度レベルにおける対であり、前記最良適合の決定は、前記較正点対の各々の第1の曲線適合メトリックを相互に比較することと、前記比較に基づいて、前記所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対を選択することとによって行われ、前記第1の曲線適合メトリックは、前記較正点対が前記所定の曲線適合タイプにいかに良く適合するかを決定する、ことと、
d)前記サブセットより高いか、またはより低いかのいずれかのすぐ次の濃度レベルにおける1つ以上の追加の較正点対と、以前に試験された任意の他の較正点対とを含むことが、好適な較正曲線の生成をもたらすであろうかどうかを前記所定の曲線適合タイプを使用した第2の曲線適合メトリックを用いて試験し、該当する場合、前記追加の較正点対を前記サブセットの中に含めることによって、前記サブセット内の前記較正点対の数を増加させることと、
e)全ての較正点対が試験されてしまうまで、ステップd)を繰り返すことと、
f)較正点対の前記結果として生じるサブセットを前記所定の曲線適合タイプに適合させることによって、前記較正曲線モデルのパラメータを計算することと
を含む、方法
【請求項2】
前記所定の曲線適合タイプは、線形であり、前記第1の曲線適合メトリックは、rまたはRであり、前記較正点対のサブセットを識別することは、
i)3または4つの連続した濃度レベルの各々において1つ以上の較正点対を選択し、前記較正点対に対して線形回帰を行うことにより、rまたはRと線形方程式の係数とを決定することと、
ii)連続した3または4つの濃度レベルにおける全ての可能な1つ以上の較正点対がそれらのrまたはRと線形方程式の係数とを決定されてしまうまで、ステップ)を反復的に繰り返すことと、
iii)最高のrまたはR値を有する前記3または4つの連続した濃度レベルの各々における1つ以上の較正点対であるように、前記較正対のサブセットを設定することと
によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線形回帰は、前記線形方程式の係数を所定の較正点を通るようにすることによって行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の較正点は、原点(0,0)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記曲線適合メトリックは、Rである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の曲線適合タイプは、線形または二次関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記サブセットは、前記較正点対の総数の少なくとも20%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記点のサブセットは、最初に、3または4つの較正点対を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記解析値は、解析的分析のピーク面積である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記解析的分析は、質量分析計分析である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の曲線適合メトリックは、正確度である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
+/−30%の正確度に対する閾値が、利用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の曲線適合メトリックは、前記第1の曲線適合メトリックと同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の曲線適合メトリックは、前記最良適合が所定の点を通るようにすることを含み、前記第2の曲線適合メトリックは、所定の点を通るようにすることを利用しない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の点は、原点である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップd)において、追加の較正点対が、前記サブセットに追加されない、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記データ記憶装置は、コンピュータ制御式デバイス内のメモリアレイであり、前記コンピュータ制御式デバイスは、前記解析デバイスを動作させ、制御するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記解析デバイスは、質量分析計である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
未知の濃度を有するサンプル中の検体の量を決定するための前記較正曲線モデルの使用をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記曲線適合メトリックは、正確度と、rまたはRのいずれか一方との両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
サンプル中の1つ以上の検体の濃度を決定する方法であって、
a)複数の較正標準を提供することであって、前記較正標準の各々は、既知の濃度の1つ以上の検体を含む、ことと、
b)質量分析計を提供することと、
c)前記質量分析計に動作可能に接続されたデジタルコンピュータを提供することであって、前記デジタルコンピュータは、処理ユニット、情報を前記質量分析計に送信し、かつ前記質量分析計から受信するためのデータI/Oコントローラ、ディスプレイ要素、およびデータ記憶装置デバイスを備えている、ことと、
d)前記既知の濃度を含む前記較正標準の各々を前記質量分析計内で分析することによって、前記較正標準の各々における前記1つ以上の検体の各々に対するピーク面積値を決定し、前記1つ以上の検体の各々に対して、前記ピーク面積値の各々をその対応する較正標準濃度に較正点対として前記データ記憶装置デバイス内で関連付けることと、
e)較正曲線を生成することにおける使用のために、前記処理ユニットを使用して、前記1つ以上の検体の各々に対して、所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対のサブセットを識別することであって、前記較正点対のサブセットは、連続した濃度レベルにおける対であり、前記最良適合の決定は、前記較正点対の各々の第1の曲線適合メトリックを相互に比較することと、前記比較に基づいて、前記所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対を選択することとによって行われ、前記第1の曲線適合メトリックは、前記較正点対が前記所定の曲線適合タイプにいかに良く適合するかを決定する、ことと、
f)前記1つ以上の検体の各々に対して、前記処理ユニットを使用して、前記サブセットより高いか、またはより低いかのいずれかであるすぐ次の濃度レベルにおける1つ以上の追加の較正点対と、以前に試験された任意の他の較正点対とを含むことが、好適な較正曲線の生成をもたらすであろうかどうかを第2の曲線適合メトリックを用いて試験し、該当する場合、前記追加の較正点対を前記サブセットの中に含めることによって、前記サブセット内の前記較正点対の数を増加させることと、
g)前記1つ以上の検体の各々に対して全ての較正点対が試験されてしまうまで、ステップf)を繰り返すことと、
h)前記1つ以上の検体の各々に対して、前記処理ユニットを使用して、前記所定の曲線適合タイプのモデル方程式の係数および/または指数を決定することによって、較正点対の結果として生じるサブセットから較正曲線を作成し、前記モデル方程式の前記係数および/または指数を前記データ記憶装置デバイス内に記憶することと、
i)質量分析計分析を前記サンプルに対して行うことであって、前記サンプルは、知の濃度の前記検体のうちの1つ以上のものを含むか、または含むと考えられ、前記1つ以上の検体の各々に対する未知のピーク面積値を求めることと、
j)前記1つ以上の検体の各々に対して、前記処理ユニットを使用して、前記未知のピーク面積値を前記モデル方程式を使用して決定された濃度と相関させることと、
k)前記1つ以上の検体の各々に対する前記決定された濃度を前記ディスプレイ要素上に出力することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮出願第62/107,601号(2015年1月26日出願、名称「Automatic Quantitative Regression」)に対する優先権を主張し、上記出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(分野)
本教示は、自動化された方式において回帰モデルを生成する方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
検体の絶対定量化は、例えば、殺虫剤に対する食品製品のスクリーニングを含む、種々の分野において重要であり、特定の化合物の有無およびその濃度の両方を把握することが重要である。概して、定量化は、較正曲線が生成される方法によって行われる。この曲線は、概して、解析デバイスまたはプロセスによって提供される応答である解析値と、値を生成するために使用された検体の特定の濃度を結び付ける。この曲線は、概して、異なる既知の濃度を有する標準のセットを入手し、標準を分析にかけることによって作成される。これらの標準の各々は、解析値を分析から生成し、解析値を濃度に関連付けるプロットが生成されることができる。未知の濃度の検体を伴う対応するサンプルが、分析される場合、解析値が求められ、それは、次いで、較正曲線を参照することによって、濃度値に変換されることができる。概して、回帰曲線モデルが、データ点から導出され、点を通して最良適合線を生成し、最良適合線は、内挿および/または外挿を通して、解析値と標準以外の濃度との間の相関を可能にする。
【0004】
標準は、当技術分野において公知の種々の方法によって生成されることができる。1つの方法は、最高濃度の検体を含む開始混合物の連続希釈を行うことを伴う。質量分析計(MS)分析では、複数の検体を同時に分析することが可能であり、複数の検体を含む較正標準溶液が、したがって、作製されることができる。これは、全化合物に対するダイナミックレンジに及び、ある場合には、同じ絶対濃度範囲に及ぶ標準の生成をもたらすことができる。しかしながら、化合物のMS感度は、非常に異なり得るので、大部分の化合物に対して、定量下限(LLOQ)を下回るか、または定量上限(ULOQ)を上回るか、もしくは両方である低濃度標準が存在する。容認可能較正曲線を求めるために、LLOQを下回るか、またはULOQを上回るこれらの点は、検体毎に除外されなければならない。これは、手動で行われることができるが、労働集約的である。
【0005】
理想的には、種々の標準からの全ての解析値および関連付けられた濃度が、好ましくは線形である濃度曲線をもたらすであろう。しかしながら、LLOQまたはULOQに関連する限界等の機器における限界、不適切な標準、および/またはサンプル調製ならびに他の可能な理由に起因して、全解析値およびそれらの関連付けられた濃度が、較正曲線を作成することにおいて利用されるわけではない。時には、残りの点によって提供される一般的傾向から有意に逸脱する1つ以上の点は、生成された較正を覆すほど十分なものになり得、その結果、曲線は、解析値と濃度との関係を真に表さない。そのような場合、これらの「外れ値」点は、好ましくは、較正曲線を作成するときに除外される。わずかのみの点が、多くの点のデータセット内の外れ値である場合、除外されるべき点を手動で決定する方が視覚的に容易であるが、しかしながら、「外れ値」の数が、有効点の数に近づくか、またはそれを超える場合、このタスクを手動で行うことはより困難であり得る。
【0006】
加えて、そのような手順は、手動で行われるとき、時間がかかり得る。例えば、複数の検体を同時に分析可能な質量分析計分析では、既知の濃度を有する数百の異なる化合物を含む標準溶液が、調製され得る。そのような溶液に対する外れ値および生成される数百の較正曲線の手動決定を行うことも、非常に労働集約的である。
【0007】
較正曲線を生成するプロセスを自動化する試みは、様々なレベルの成功を収めている。1つの方法では、較正曲線は、1つ以上の外れ値が存在するかどうかにかかわらず、収集された全データ点を使用して自動的に生成されることができる。これは、解析値と濃度関係を真に表すものではない不適切なモデルにつながり得る。データセットからの外れ値の除外を自動化する試みも行われている。これらの試みの大部分は、点の大部分が有効であるいわゆる「非外れ値」であると仮定し、比較的に小数の外れ値を除去することを試みる。1つのそのような方法は、元のデータのサブセットをランダムに選択する、RANSAC(ランダムサンプルコンセンサス)手順であり、モデルが、サブセットに適合され、残りの点が、次いで、生成されたモデルに対して試験され、モデルに適合する任意の残りの点が、次いで、新しいモデルに組み込まれ、この手順は、モデルがもはや改良されなくなり得るまで反復方式で行われる。この方法は、質量分析において環境サンプルを取り扱う場合によくあるように、外れ値の数が有効点の数を超える場合、うまく機能しないという短所に悩まされる。時として使用される他の方法は、決定された適合モデルに対するデータの残差を調べる。これは、外れ値の数が多い場合、平均残差もまた大きくあり得るので、難点を呈する。例えば、点の半分が適合された領域の外側にあると見なされる場合、統計的に言うと、「外れ値」と見なされず、この場合、適切に除去されないこともある。適合された領域から有意に異なる点(特に、より大きい濃度値を伴う点)は、計算される適合に著しく影響を及ぼし、残りの点の大部分が外れ値であるかのようにそれを見せる。いくつかの技法は、1つまたは2つのみの点を除去することを試みているが、これは、除去される必要がある多くの点が存在する場合、機能しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本教示の一実施形態では、検体のための較正曲線モデルのパラメータを生成する方法が、提供される。方法は、a)複数の較正標準を提供することであって、該較正標準の各々は、既知の濃度の検体を含む、ことと、b)既知の濃度の検体を含む該較正標準の各々を解析デバイス内で分析することによって、解析値を該較正標準の各々に対して決定し、該解析値の各々とその対応する較正標準濃度を較正点対としてデータ記憶装置内で関連付けることと、c)較正曲線を生成することにおける使用のために、所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対のサブセットを識別することであって、較正点対のサブセットは、連続した濃度レベルにおける対であり、最良適合の決定は、第1の曲線適合メトリックの使用によって行われる、ことと、d)サブセットより高いか、またはより低いかのいずれかのすぐ次の濃度レベルにおける1つ以上の追加の較正点対と、以前に試験された任意の他の較正点対とを含むことが、好適な較正曲線の生成をもたらすであろうかどうかを該所定の曲線適合タイプを使用した第2の曲線適合メトリックを用いて試験し、該当する場合、該追加の較正点対を該サブセットの中に含めることによって、サブセット内の較正点対の数を増加させることと、e)全較正点対が試験されるまで、ステップd)を繰り返すことと、f)較正点対の該結果として生じるサブセットを所定の曲線適合タイプに適合することによって、較正曲線モデルのパラメータを計算することとを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、所定の曲線適合タイプが線形である場合を含み、第1の曲線適合メトリックは、rまたはRであり、較正点対のサブセットを識別することは、i)3または4つの連続した濃度レベルの各々において1つ以上の較正点対を選択し、rまたはRと線形方程式の係数とを決定するように、該較正点対に対して線形回帰を行うことと、ii)連続した3または4つの濃度レベルにおける全ての可能な1つ以上の較正点対がそれらのrまたはRと線形方程式の係数とを決定されてしまうまでステップa)を反復的に繰り返すことと、iii)較正対のサブセットを、最高のrまたはR値を有する3または4つの連続した濃度レベルの各々における1つ以上の較正点対であるように設定することとによって行われる。いくつかの実施形態では、方法は、線形回帰は、線形方程式の係数を所定の較正点を通るようにすることによって行われる場合を含む。いくつかの実施形態では、所定の較正点は、原点(0,0)である。
【0010】
いくつかの実施形態では、本教示の方法は、曲線適合メトリックがRである場合を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本教示の方法は、所定の曲線適合タイプが線形または二次関数である場合を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、サブセットが較正点対の総数の少なくとも20%を含む場合を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、点のサブセットが、最初に、3または4つの較正点対を含む場合を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、解析値が解析的分析のピーク面積である場合を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、解析的分析が質量分析計分析である場合を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の曲線適合メトリックが正確度である場合を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、+/−30%の正確度に対する閾値が利用される場合を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の曲線適合メトリックが第1の曲線適合メトリックと同一である場合を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の曲線適合メトリックが最良適合が所定の点を通るようすることを含む場合を含み、第2の曲線適合メトリックが所定の点を通るようにすることを利用しない場合を含む。いくつかの実施形態では、方法は、所定の点は、原点である。
【0020】
いくつかの実施形態では、前述の方法は、ステップd)において追加の較正点対がサブセットに追加されない場合を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、データ記憶装置がコンピュータ制御式デバイス内のメモリアレイであり、該コンピュータ制御式デバイスが該解析デバイスを動作させ、制御するように構成される場合を含む。いくつかの実施形態では、解析デバイスは、質量分析計である。いくつかの実施形態では、方法はさらに、未知の濃度を有するサンプル中の検体の量を決定するための較正曲線モデルの使用を含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、曲線適合メトリックが正確度とrまたはRのいずれか一方との両方を含む場合を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本教示は、a)複数の較正標準を提供することであって、該較正標準の各々は、既知の濃度の1つ以上の検体を含む、ことと、b)質量分析計を提供することと、c)該質量分析計に動作可能に接続されたデジタルコンピュータを提供することであって、該デジタルコンピュータは、処理ユニット、情報を該質量分析計に送信し、かつそこから受信するためのデータI/Oコントローラ、ディスプレイ要素、およびデータ記憶装置デバイスを備えている、ことと、d)既知の濃度を含む該較正標準の各々を、該質量分析計内で、該1つ以上の検体の各々に対して分析することによって、該較正標準の各々における該1つ以上の検体の各々に対するピーク面積値を決定し、該ピーク面積値の各々をその対応する較正標準濃度に較正点対として該データ記憶装置デバイス内で関連付けることと、e)該1つ以上の検体の各々に対して、該処理ユニットを使用して、較正曲線を生成することにおける使用のために、所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対のサブセットを識別することであって、較正点対のサブセットは、連続した濃度レベルにおける対であり、最良適合の決定は、第1の曲線適合メトリックの使用によって行われる、ことと、f)該1つ以上の検体の各々に対して、該処理ユニットを使用して、サブセットより高いか、またはより低いかのいずれかであるすぐ次の濃度レベルにおける1つ以上の追加の較正点対と、以前に試験された任意の他の較正点対とを含むことが、好適な較正曲線の生成をもたらすであろうかどうかを第2の曲線適合メトリックを用いて試験し、該当する場合、該追加の較正点対を該サブセットの中に含めることによって、サブセット内の較正点対の数を増加させることと、g)全較正点対が、該1つ以上の検体の各々に対して試験されるまで、ステップf)を繰り返すことと、h)該1つ以上の検体の各々に対して、該処理ユニットを使用して、該所定の曲線適合タイプのモデル方程式の係数および/または指数を決定することによって、較正点対の結果として生じるサブセットから較正曲線を作成し、モデル方程式の該係数および/または指数をデータ記憶装置デバイス内に記憶することと、i)質量分析計分析をサンプルに対して行うことであって、サンプルは、未知の濃度の検体のうちの1つ以上のものを含むか、または含むと考えられ、1つ以上の検体の各々に対して、未知のピーク面積値を求めることと、j)1つ以上の検体の各々に対して、該処理ユニットを使用して、未知のピーク面積値を該モデル方程式を使用して決定された濃度と相関させることと、k)該1つ以上の検体の各々に対して該決定された濃度を該ディスプレイ要素上に出力することとを含む、サンプル中の1つ以上の検体の濃度を決定する方法を提供する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
検体のための較正曲線モデルのパラメータを生成する方法であって、
a)複数の較正標準を提供することであって、前記較正標準の各々は、既知の濃度の前記検体を含む、ことと、
b)既知の濃度の前記検体を含む前記較正標準の各々を解析デバイス内で分析することによって、前記較正標準の各々に対する解析値を決定し、前記解析値の各々をその対応する較正標準濃度に較正点対としてデータ記憶装置内で関連付けることと、
c)較正曲線を生成することにおける使用のために、所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対のサブセットを識別することであって、前記較正点対のサブセットは、連続した濃度レベルにおける対であり、前記最良適合の決定は、第1の曲線適合メトリックの使用によって行われる、ことと、
d)前記サブセットより高いか、またはより低いかのいずれかのすぐ次の濃度レベルにおける1つ以上の追加の較正点対と、以前に試験された任意の他の較正点対とを含むことが、好適な較正曲線の生成をもたらすであろうかどうかを前記所定の曲線適合タイプを使用した第2の曲線適合メトリックを用いて試験し、該当する場合、前記追加の較正点対を前記サブセットの中に含めることによって、前記サブセット内の前記較正点対の数を増加させることと、
e)全ての較正点対が試験されてしまうまで、ステップd)を繰り返すことと、
f)較正点対の前記結果として生じるサブセットを前記所定の曲線適合タイプに適合させることによって、前記較正曲線モデルのパラメータを計算することと
を含む、方法
(項目2)
前記所定の曲線適合タイプは、線形であり、前記第1の曲線適合メトリックは、rまたはRであり、前記較正点対のサブセットを識別することは、
i)3または4つの連続した濃度レベルの各々において1つ以上の較正点対を選択し、前記較正点対に対して線形回帰を行うことにより、rまたはRと線形方程式の係数とを決定することと、
ii)連続した3または4つの濃度レベルにおける全ての可能な1つ以上の較正点対がそれらのrまたはRと線形方程式の係数とを決定されてしまうまで、ステップa)を反復的に繰り返すことと、
iii)最高のrまたはR値を有する前記3または4つの連続した濃度レベルの各々における1つ以上の較正点対であるように、前記較正対のサブセットを設定することと
によって行われる、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記線形回帰は、前記線形方程式の係数を所定の較正点を通るようにすることによって行われる、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記所定の較正点は、原点(0,0)である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記曲線適合メトリックは、Rである、項目2に記載の方法。
(項目6)
前記所定の曲線適合タイプは、線形または二次関数である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記サブセットは、前記較正点対の総数の少なくとも20%を含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記点のサブセットは、最初に、3または4つの較正点対を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記解析値は、解析的分析のピーク面積である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記解析的分析は、質量分析計分析である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記第1の曲線適合メトリックは、正確度である、項目1に記載の方法。
(項目12)
+/−30%の正確度に対する閾値が、利用される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記第2の曲線適合メトリックは、前記第1の曲線適合メトリックと同一である、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記第1の曲線適合メトリックは、前記最良適合が所定の点を通るようにすることを含み、前記第2の曲線適合メトリックは、所定の点を通るようにすることを利用しない、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記所定の点は、原点である、項目14に記載の方法。
(項目16)
ステップd)において、追加の較正点対が、前記サブセットに追加されない、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記データ記憶装置は、コンピュータ制御式デバイス内のメモリアレイであり、前記コンピュータ制御式デバイスは、前記解析デバイスを動作させ、制御するように構成されている、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記解析デバイスは、質量分析計である、項目17に記載の方法。
(項目19)
未知の濃度を有するサンプル中の検体の量を決定するための前記較正曲線モデルの使用をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記曲線適合メトリックは、正確度と、rまたはRのいずれか一方との両方を含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
サンプル中の1つ以上の検体の濃度を決定する方法であって、
a)複数の較正標準を提供することであって、前記較正標準の各々は、既知の濃度の1つ以上の検体を含む、ことと、
b)質量分析計を提供することと、
c)前記質量分析計に動作可能に接続されたデジタルコンピュータを提供することであって、前記デジタルコンピュータは、処理ユニット、情報を前記質量分析計に送信し、かつそこから受信するためのデータI/Oコントローラ、ディスプレイ要素、およびデータ記憶装置デバイスを備えている、ことと、
d)前記既知の濃度を含む前記較正標準の各々を前記質量分析計内で分析することによって、前記較正標準の各々における前記1つ以上の検体の各々に対するピーク面積値を決定し、前記1つ以上の検体の各々に対して、前記ピーク面積値の各々をその対応する較正標準濃度に較正点対として前記データ記憶装置デバイス内で関連付けることと、
e)較正曲線を生成することにおける使用のために、前記処理ユニットを使用して、前記1つ以上の検体の各々に対して、所定の曲線適合タイプに最良適合する較正点対のサブセットを識別することであって、前記較正点対のサブセットは、連続した濃度レベルにおける対であり、前記最良適合の決定は、第1の曲線適合メトリックの使用によって行われる、ことと、
f)前記1つ以上の検体の各々に対して、前記処理ユニットを使用して、前記サブセットより高いか、またはより低いかのいずれかであるすぐ次の濃度レベルにおける1つ以上の追加の較正点対と、以前に試験された任意の他の較正点対とを含むことが、好適な較正曲線の生成をもたらすであろうかどうかを第2の曲線適合メトリックを用いて試験し、該当する場合、前記追加の較正点対を前記サブセットの中に含めることによって、前記サブセット内の前記較正点対の数を増加させることと、
g)前記1つ以上の検体の各々に対して全ての較正点対が試験されてしまうまで、ステップf)を繰り返すことと、
h)前記1つ以上の検体の各々に対して、前記処理ユニットを使用して、前記所定の曲線適合タイプのモデル方程式の係数および/または指数を決定することによって、較正点対の結果として生じるサブセットから較正曲線を作成し、前記モデル方程式の前記係数および/または指数を前記データ記憶装置デバイス内に記憶することと、
i)質量分析計分析を前記サンプルに対して行うことであって、前記サンプルは、前記未知の濃度の検体のうちの1つ以上のものを含むか、または含むと考えられ、前記1つ以上の検体の各々に対する未知のピーク面積値を求めることと、
j)前記1つ以上の検体の各々に対して、前記処理ユニットを使用して、前記未知のピーク面積値を前記モデル方程式を使用して決定された濃度と相関させることと、
k)前記1つ以上の検体の各々に対する前記決定された濃度を前記ディスプレイ要素上に出力することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例1における全データ点に対する線形回帰曲線を描写する。
図2図2は、実施例1からの5、10、および20における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図3図3は、実施例1からの10、20、および50における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図4図4は、実施例1からの20、50、および100における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図5図5は、実施例1からの50、100、および200における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図6図6は、実施例2における全データ点に対する線形回帰曲線を描写する。
図7A図7AおよびBは、原点を通るようにさせられる、実施例2からの0.05、0.1、0.2、および0.5における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図7B図7AおよびBは、原点を通るようにさせられる、実施例2からの0.05、0.1、0.2、および0.5における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図8図8は、原点を通るようにさせられる、実施例2からの0.1、0.2、0.5、および1.0における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図9図9は、原点を通るようにさせられる、実施例2からの10、20、50、および100における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図10A図10AおよびBは、実施例2からの10、20、50、および100における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図10B図10AおよびBは、実施例2からの10、20、50、および100における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図11図11は、実施例2からの10、20、50、および100における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図12A図12AおよびBは、実施例2からの5、10、20、50、および100における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図12B図12AおよびBは、実施例2からの5、10、20、50、および100における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図13A図13AおよびBは、実施例2からの5、10、20、50、100、および200における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図13B図13AおよびBは、実施例2からの5、10、20、50、100、および200における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線を描写する。
図14図14は、実施例2からの2、5、10、20、50、100、および200における濃度レベルに対して決定される線形回帰曲線の拡大図を描写する。
図15図15は、本教示とともに利用されるシステムの概略を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態の以下の説明は、本説明の発明の例示かつ例証にすぎず、開示される精密な実施形態に対する本教示の限定と理解されるべきではない。これらの説明は、包括的と意図されるものではなく、修正および変形例が、本教示に照らして、または本教示を実践することによって可能である。
【0026】
いくつかの実施形態における本教示は、ソフトウェアを利用するが、本教示は、ソフトウェアおよびハードウェアの両方の組み合わせにおいて、またはハードウェア単独で実装され得ることを理解されたい。
【0027】
本教示は、例えば、ある解析方法を較正標準に対して行うことから求められた解析値を含むデータから、較正曲線を生成する方法を提供する。自動手段を通した較正曲線の作成は、多数の検体を処理するとき、オペレータが失うであろう消費時間量を削減し得る。加えて、最も厳密な命令および標準的操作手順を用いても、異なるオペレータは、点が除外される順序に応じて、若干異なる結果を達成し得るので、自動化された方法は、一貫し、かつ再現可能な結果を提供する。
【0028】
較正標準は、当技術分野において公知の任意の方法を使用して作成されることができる。質量分析計標準に対して、個々の標準は、複数の検体を同時に分析する質量分析計の能力に起因して、いくつかの異なるタイプの検体を含むように調製され得る。
【0029】
解析値を生成することにおいて利用され得る解析方法は、典型的には、所与の検体を定量化するために使用され、生成された較正曲線を利用する任意の解析方法であることができる。方法から利益を享受し得る解析方法の典型的な例として、特定のサンプル中の検体の光の透過または吸収がその濃度に関連する蛍光等の種々のタイプの光学関連分析を含む種々のタイプの分光測定技法が挙げられる。特に、本教示は、質量分析、より具体的には、液体クロマトグラフィ質量分析において使用するための較正曲線を生成するための自動化された方式において有用である。
【0030】
用語「解析値」は、値が、濃度の関数であることが分かっているか、またはそうであると考えられる解析的分析から求められた物理的測定値を含む、任意の測定値を含むように意図される。光学ベースの分析では、光学的に敏感なサンプルを通した可視、UV等のいずれかの光の吸収性および透過性質は、ベールの法則によって支配され、濃度と相関し得る。そのような場合、解析値は、好ましくは、吸光度であると見なされ得るが、%透過率も、使用され得る。他の場合には、検体の数に関連する物理的カウントが、ある形態の検出器を使用して決定されることができる。これらの解析的測定技法のうちのいくつかでは、スペクトルまたはクロマトグラムが、生成され、スペクトルまたはクロマトグラムにおいて結果として生じるピークは、基準サンプルが利用されたかどうかに応じて、相対または絶対のいずれかの定量的値の決定のために利用されることができる。例えば、定量的質量分析では、ピークが、クロマトグラムにおいて描写され、曲線のピークのカウント値、またはより好ましくは、そのピークに対する曲線下面積が、その濃度に関連する。カウント値またはピーク面積は、解析値と見なされる。
【0031】
本説明の教示は、デジタルコンピュータデバイス上で行われることができる。デバイスは、典型的には、CPU、メモリ記憶、およびコントローラI/O等の処理ユニットを含むことができる。コントローラI/Oは、解析デバイスに動作可能に接続され、その間で情報を送受信し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータは、命令を解析デバイスに送信し、結果をそこから受信するために使用されることができる。
【0032】
生成されるべき較正曲線は、好ましくは、性質上、公知の式y=ax+bによって表される線形であり、式中、yは、解析値(ある程度の誤差を有することが予期される)であり、xは、濃度であり(最小限の誤差を有することが予期される)、aは、較正曲線の傾きであり、bは、y−切片である。この線形方程式に対するaおよびbの値は、適合された線形モデルを定義する、方程式の係数であり、適合された較正曲線モデルのパラメータである。データから概して線形であるモデルを生成するために使用される技法は、公知であり、線形回帰分析を含むことができる。最も一般的線形回帰モデル分析は、最小二乗法を伴い、データ点のセットからの二乗残差の和は、最小化される。残差は、生成されたモデルに基づく予測される値と実際の値との間の差異である。線形回帰モデルを有するデータは、好ましいが、他のタイプのデータも、概して線形ではない、較正曲線を利用し得る。例えば、酵素測定において利用される較正曲線は、時として、性質上、シグモイドタイプ(s形状)である。他の場合では、二次関数を含むモデルも、利用され得る。シグモイドタイプ曲線が存在する場合でも、依然として、性質上、線形である、曲線の部分が存在し、ある形態の線形回帰は、分析が曲線の線形部分に限定される場合、依然として、適用され得る。
【0033】
例えば、以下のモデル方程式によって表され得る、二次関数、べき関数、一次対数関数、および二次対数関数等の非線形モデル方程式にデータを適合することを試みる他の形態の非線形回帰分析も、使用されることができる。
【0034】
二次関数:y=ax+bx+c
べき関数:y=ax
一次対数関数y=aln(x)+b
二次対数関数:ln(y)=aln(x)+bln(x)+c
各場合において、種々の方程式の係数および指数は、較正曲線モデルのパラメータであり、点に対する適合較正曲線モデルを生成する目的のために決定されることができる。概して、較正曲線を生成する方法は、以下のステップを伴う。最初に、各々が既知の濃度の所与の検体を含むいくつかの標準サンプル溶液を提供する。いくつかのタイプの分析、例えば、質量分析では、各標準サンプル溶液が同時に測定され得るいくつかの異なる検体を含むことが可能である。各サンプルは、次いで、定量的解析技法を使用して試験され、その定量的解析技法は、濃度を表すその分析に特有の解析値を提供する。
【0035】
本教示を行う一般的方法は、以下のステップを含み得る。
1)最良適合を与える少数の連続する点(多くの場合、曲線の中央にある点)を見つける。ある実施形態では、これは、最良の3つまたは4つの連続する点(より正確には、1つの濃度に複数の点が存在する場合の3つまたは4つの濃度レベル)であり得る。
2)容認可能な適合および/または正確度が保持されるならば、この開始「シード」を、より低い1つの濃度レベル、またはより高い1つの濃度レベルに拡張する。
3)点の範囲がさらに拡張されることができなくなるまで、ステップ(2)を繰り返す。
4)前述のステップは、少数の不正確な点が、完全モデルが決定されることを妨げないように、外れ値を除去するための標準技法を使用して行われる。
【0036】
ステップ(1)は、任意の導出されたモデルが所定の点を通るようにすることによって行われ得る。これは、例えば、切片が0である原点であり得る。最も実践的場合に対して、そのような手順がデータセットから好適な中央開始点を見つけることが知られている。この開始点が見つけられると、この範囲の拡張(ステップ2ならびに3および/または4)は、所定の点を通るようにさせられない実際の回帰タイプを使用し、回帰タイプは、線形、二次関数、またはそれ以外のものであり得る。
【0037】
液体クロマトグラフィ(LC)/MS定量化では、正確度を一次品質メトリックとして使用することが非常に一般的である。(正確度は、実際の既知の濃度の回帰方程式を使用して計算される濃度に対する比率である。)CVも、一般に、使用される(これは、同一既知の濃度を伴う複数の点に対して計算される濃度の標準偏差である)。相関係数および関連実体も、品質メトリックとして使用され得る。
【0038】
一連の解析値およびその対応する濃度は、次いで、いくつかの方法で表され、較正曲線点の集合を形成する。本明細書に提供される本教示および実施例では、これらの点は、説明される技法のより良好な可視化を可能にする目的のために物理的にプロットされたが、点の実際の物理的プロットは、必要ではなく、これは、他の手段によって、例えば、コンピュータ制御式デバイス内の内部表現および後続ステップにおいて適切な曲線適合を決定するためのそのようなデータ点の数値コンピュータ制御式処理によって、達成されることもできることを理解されたい。したがって、本教示における用語「〜を表す」を使用した言及では、例えば、プロット上の点の物理的プロットまたはコンピュータ制御式媒体もしくはデバイス内のそのようなプロットのコンピュータ制御式表現の両方を含むことが意図される。較正曲線点は、較正点対の集合を用いて非グラフィック様式で表されることができ、解析値を表す値とその対応する較正標準濃度との個別の対が、一緒に関連付けられ、各対が、集合的に、データ記憶装置内に記憶される。理解されるであろうように、これらの対の各々は、情報がグラフィックでプロット化された場合の較正曲線上の点を表す。データ記憶装置は、そのようなデータを記憶するための任意の既知の方法を含むことができる。故に、本教示では、用語「点」または関連専門用語の使用は、グラフィック手段を介して物理的にプロットされた点と、コンピュータ制御式タイプの手段内に記憶される、対にされた解析値および濃度値の表現である較正点対の使用の両方を指すものと理解されたい。これは、例えば、変数配列内の点の記憶またはコンピュータのメモリの内側の他の様式の記憶を指し得る。これはまた、RAMディスク、ハードディスク、テープドライブ、ソリッドステートメモリ、またはディスク等を含み得る、コンピュータ制御式記憶媒体内の較正点対の記憶を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の解析値が、同一濃度レベルにおいて求められ得、すなわち、同一標準サンプル溶液の反復測定または同一濃度を有する異なる標準サンプル溶液の測定が、データセット内に含まれ得る。このように、そのような点からのデータは、平均化され、使用され得る平均値を決定することができるか、または代替として、データ点は、累積的に使用されることができる。他の実施形態では、追加の分析が、同一濃度における点上で行われ、任意のそのようなデータ点が除外されるべきかどうかを決定し得る。これは、例えば、正確度等のメトリックを使用して行われることができる。
【0039】
較正曲線点が表されると、その点の総数のサブセットの初期検索が、行われ、恣意的モデルに適合された場合、最良適合を提供する連続する点を識別する。モデルは、例えば、以前に参照された任意のそのようなモデルであることができる。この初期検索は、濃度または解析値軸のいずれかの軸上に位置し得る所定の点(すなわち、xまたはy−切片点のいずれか)をモデルが通るようにし得る。ある場合には、この所定の点は、原点(0,0)であり、濃度および解析値は両方とも、ゼロであることが予期されるが、解析値または濃度のいずれか(もしくは両方)が非ゼロである、他の状況も存在し得る。そのような非ゼロ切片も、本教示内に含まれることが意図される。恣意的モデルに対する点の最良適合の決定は、開始の第1の曲線適合メトリックの使用によって決定される。このメトリックは、計算された曲線適合モデルがモデルを決定するために利用された実際のデータ点をいかに良く表すかを決定する解析的方法である。例えば、線形回帰を通して決定される線形曲線適合モデルに対して、これは、最も多くの場合、0と1との間の小数値である、決定係数(R値)を計算することによって行われ、1は、非常に良好な線形適合を表し、0は、線形適合を全く表さない。Rは、例えば、通常の最小二乗法シナリオにおける以下の式を使用して決定されることができる。
【0040】
【数10】
【0041】
式中、yは、従属変数である。
Nは、yの値の総数である。
【0042】
【数11】
【0043】
は、モデルによって予測される値である。
【0044】
【数12】
【0045】
は、y値の平均値である。
【0046】
類似パラメータは、同様に使用され得る相関係数である「r」である。回帰モデルによって予測されるものと比較される既知の値の比率が決定される正確度の使用を含む他の曲線適合メトリックも、利用され得る。所与のモデルのために要求される容認可能な正確度は、概して、全点がある恣意的閾値を満たすことを要求し得る。いくつかの実施形態では、この閾値は、+/−30%である。すなわち、全ての実際の点は、決定される回帰モデルの30%以内になければならない。他の実施形態では、正確度に対する閾値は、+/−20%である。他の実施形態では、全点が、恣意的閾値を満たすことを要求されないこともある。いくつかの実施形態では、複数のデータ点が、同一濃度に存在し得る場合、変動係数(CV)に関連する追加のメトリックが、利用されることができる。%CVが、ある恣意的値を超えると決定される場合、任意の平均値は、不適切であると決定され、したがって、そのような点は、除外されるべきである。いくつかの実施形態では、CVは、典型的には、20〜30%の範囲内にあることができる。代替として、解析値に対する平均値が決定されておらず、個々の点が含まれている場合、所与の濃度におけるCV閾値外の点は、個々に除外されることができる。そのようなCVメトリックは、他のメトリックと組み合わせてのみ利用されることができる。いくつかの実施形態では、複数の個々のメトリックが、本教示とともに利用され得る全体的メトリックに到達するために、重み付き、または非重み付き方法のいずれかにおいて1つに組み合わせられ得る。いくつかの実施形態では、全ての個々のメトリックは、点が容認可能であると見なされるために、個々に満たされる必要があり得る。正確度が開始曲線適合メトリックにおいて使用されていない場合、導出されたモデルが原点等の所定の点を通るようにすることが好ましい。正確度が使用されているとき、所定の点を通るようにさせられることが要求されない好適なモデルが、求められ得る。
【0047】
サブセットを含む点の数は、表されている点の総数に基づいて変動し得る。例えば、それは、総数の少なくとも10%であり、かつ50%を上回らず、好ましくは、それは、約20%を上回り得る。概して、サブセットは、少なくとも3つの点、しかし、好ましくは、少なくとも4つの点を含まなければならない。
【0048】
最良のサブセットは、反復技法を通して決定され、各点と、すぐ続くn数の点(サブセット内の点の総数が(n+1)である場合)とが、恣意的モデルに対する最良適合を決定するために、ある形態の曲線適合分析を受ける。モデルおよび分析は、線形、べき、指数、または他の非線形タイプの曲線適合プロセス等のタイプを含むことができる。最良適合の決定は、生成されたモデルが、いかにモデルを決定するために利用された実際の点を良く表すかを決定する開始曲線適合メトリックを用いて決定される。データ点が、同一濃度において複数の点を含む場合、技法は、所与の濃度レベルにおける点または複数の点と、続くn個の濃度レベルにおける続く点または複数の点との使用を伴う。
【0049】
開始曲線適合メトリックが、次いで、連続するデータ点または連続した濃度レベルの全ての可能なサブセットに対して体系的に決定され、可能なサブセットは、固定数の点を含み、随意に、所定の点を通るようにさせられる。最良適合メトリックを伴うデータ点のセットが、次いで、さらなる処理のために選択される。点の2つの異なるサブセットが、同様の最良適合メトリックを有する場合があり得る。そのような場合、利用可能なデータ点の全体的広がりの最も中心(すなわち、中央)の、点のサブセットが、好ましくは、使用される。曲線適合モデルが線形であることが予期される場合、回帰係数が、随意に、原点等の所定の点を通るようにさせられ得る、線形回帰モデルのために決定されることができ、プロセスは、次いで、較正曲線上の他の連続した点(または濃度レベル)に対して繰り返される。
【0050】
この点のサブセットが決定されると、曲線適合モデル方程式が、この選定された一連の点に対して計算されるが、具体的には、所定の点を通るように(初期の一連の点を決定する場合にそうであったように)させられず、補完の第2の曲線適合メトリックが、計算される。補完曲線適合メトリックは、開始曲線適合メトリックを計算するために使用された同一メトリックに基づいても、異なっていてもよい。随意に、この時点において、補完曲線適合メトリックは、いくつかの点が、そのような点をモデル内に含むための要件をもはや満たさないことを示し得る。これは、開始曲線適合メトリックが、決定されるモデルが特定の点を通るようにすることを含む様式で計算されたときに生じる潜在性がある(補完曲線メトリックモデルは強制することを含まない)。これらの点は、随意に、この時点において除去され得る。好ましくは、この追加の除去ステップは、所与の濃度における一連の2つ以上の点のサブセットである点においてのみ行われる(すなわち、所与の濃度におけるそのような点の除去は、依然として、その濃度におけるモデル化のために利用可能な較正点を残すであろう)。
【0051】
次いで、点のサブセットを発展させるための試みが、最初に決定された選択された点のサブセットの直上または直下のいずれかである次の利用可能な点と、この発展段階中に試験された任意の他の前の点とを体系的に分析することによって、行われる。この点(または2つ以上の点が所与の濃度に存在する場合、複数の点)は、一度に1つずつ分析され、そのような点(または複数の点)を含むことが、補完適合メトリックに基づく点を含む計算された曲線適合モデルに対して容認可能な全体的適合を生成するであろうかどうかが決定され、該当する場合、点は、点のサブセットに追加され、プロセスは、繰り返される。好ましくは、考慮すべき次の利用可能な点は、次の利用可能なより高い点とより低い点との間で交互する。発展段階の間に試験されるべき最初の点は、次の最高または次の最低点のいずれかであることができる。いくつかの実施形態では、追加の点が元の点のサブセットに追加されることができないと決定され得、したがって、全ての追加の点が、外れ値と見なされる。複数の点が所与の濃度レベルに存在する場合、1つの追加の点とは対照的に、次の濃度レベルにおける点または複数の点が、利用される。新しい点を伴う補完曲線適合メトリックが、依然として、容認可能な適合をもたらすかどうかを決定することは、数が数値的に比較され得る任意の基準によって行われることができる。一実施形態では、新しい点を伴う曲線適合メトリックは、前の曲線適合メトリックより高いか、または、前の曲線適合メトリックのある一定のパーセンテージ以内であるかのいずれかであることが要求され得る。他の実施形態では、新しい曲線適合メトリックは、前の曲線適合メトリックより高いか、またはそれに等しくなければならない。例えば、rの使用の場合、追加の点を伴うrの任意の新しい値は、rの前の値より高い、またはより低い場合、rの前の値の20%以内であると定義することが可能である。いくつかの実施形態では、この閾値は、10%、5%、または1%であることができる。いくつかの実施形態では、この曲線適合メトリックは、所定の閾値と関連して容認可能な正確度を有することが見出される点の数であることができるか、または前述で参照されたrもしくはRであることができる。
【0052】
加えて、随意に、本教示に従って行われる曲線適合計算は、濃度の関数である変動量の差異を補償し得る重み係数を組み込み得る。そのような重み係数は、時として、標準偏差が濃度に伴って増加する、化学測定システムにおいて必要である。そのような重み係数は、1(重み係数なし)、1/x、1/x、1/y、1/y、およびlog(x)のうちの1つ以上のものを含み得る。この重み係数は、初期の点のサブセットの決定および点のサブセットを「発展」させるために利用される方法の一方または両方において利用され得る。重み係数を較正モデルの導出に組み込む方法は、当技術分野において公知である。
【0053】
本教示、より具体的には、本説明の方法に説明される処理ステップのうちのいくつかは、特殊ハードウェアを備えているコントローラ上で行われる、またはデジタルコンピュータ上で行われることができる。コンピュータは、制御区分と、データI/Oコントローラと、ディスプレイ要素と、キーボードとを含むことができる。制御区分は、測定ユニット(すなわち、解析デバイス)内の各機構の動作制御を行い、測定ユニットから求められた情報を分析する機能を有する。制御区分は、CPU、ROM、RAM等の処理ユニットを備え得る。ディスプレイ要素は、制御区分によって求められた分析結果を表示し、必要に応じて、以下に説明される較正曲線のグラフ等を表示するために提供される。このディスプレイ要素は、例えば、モニタ、画面、またはプリンタ等の物理的出力であることができる。好ましくは、コンピュータまたはコントローラは、例えば、図15に描写されるように、解析デバイスを制御するために利用され、情報を解析デバイスと交換し、デバイス動作と複雑に結び付けられるように、動作可能に接続および構成される。特に、この構成は、解析デバイスが質量分析計である場合、特に有用である。
【0054】
(実施例1)
10個のデータ点のセットが、表1に描写される。このデータは、種々の濃度において求められたピーク面積の形態の一連の解析値を含み、線形相関を示すと仮定される。データはまた、同一濃度において求められたいくつかの解析点を含む。
【0055】
【表1】
【0056】
可能な第1のステップとして、複数の解析値を伴う点を有する濃度が、最初に分析され、任意のそのような点が統計的外れ値であるかどうか決定される。該当する場合、それらは、除去される。外れ値が除去されると、残りの値点は、所与の濃度に対する代表的ピーク面積を求めるために平均される。本明細書に説明される方法の実施形態を図示する目的のために、所与の濃度における全データ点は、有効であり、濃度10および20において求められた点の平均が求められたと仮定される。これらの点のプロットは、点および原点を通るようにさせられた点(切片を伴わない方程式)に適合された線形回帰線とともに、図1に描写される。これらの曲線の両方に対する決定係数は、理想的ではなく、決定された曲線適合モデルは、最適ではない。
【0057】
データ点の初期検索が、原点を通るようにさせられるとき最良線形適合を有する連続した点のサブセットを決定するために行われる。本実施例では、3つの連続した点のサブセットが利用されたが、点の総数未満の任意の数が、利用され得る。これは、全での可能な3つの点の組み合わせが試験されてしまうまで、各点をすぐ続く2つの点とともに連続して分析することによって行われる。原点を通るようにさせられる最良線形適合が、最高の決定係数(R値)を有する生成された線形適合モデルの分析によって決定される。図2−5は、この一続きのデータに対する最適線形適合を決定するこの段階的な一続きのものを描写する。プロットから明白であるように、濃度20μg/ml、50μg/ml、および100μg/mlにおけるデータ点(図4)は、最も最適である。線形回帰モデルが、次いで、これらの3つの点に対して決定され、モデルは、原点を通るようにさせられない。線形回帰モデルは、次いで、決定された元の点(20μg/ml、50μg/ml、および100μg/ml)の直下または直上のいずれかの次の利用可能な点を回帰モデルに連続して追加することによって改良されるように試みられ、モデルは、適合が依然として容認可能であるかどうかを決定するために再試験される。試験される点は、随意に、次の最低と次の最高との間で交互し、10μg/ml、200μg/ml、および5μg/mlの順で試験する。その対応する曲線適合モデルおよび対応する回帰モデルが、決定される。表2は、この分析の結果を列挙する。
【0058】
【表2】
【0059】
したがって、生成された線形モデル内で利用される点が、10μg/ml、20μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、および200μg/mlとなると、このデータセットに基づく最終の最良適合回帰は、y=62.354x+32.888となる。
【0060】
(実施例2)
23個のデータ点のセットが、表3に描写され、1/x重み係数および線形適合を利用して本教示を受ける。
【0061】
【表3】
【0062】
1/x重みを伴うこれらのデータ点に対する標準線形曲線適合は、図6に描写される。明白であるように、rに対する値は、不良である。選択点は、較正曲線メトリックとして利用される、その正確度の測定値(100%×実際の値/予測される値)とともに標識されている。
【0063】
図7AおよびBは、原点を通るようにさせられる線形モデルに最良適合する点の初期サブセットを識別する初期手順のプロットを描写する。これらの図では、黒丸は、モデルを作成することにおいて利用された点である一方、白丸は、モデルにおいて利用されない点である。図7Bは、原点近傍の図7Aのエリアの拡大図を示す。4つの濃度レベルからの点のスライディング窓10は、最初に、図7Bに見られるように利用され、この初期窓は、濃度レベル0.1において求められた4つの点と、0.05、0.2、および0.5から1つずつとの7つの点を有する。描写されるように、正確度およびrのレベルの両方が、不良である。
【0064】
図8は、利用されている濃度レベルの次の窓20を描写する。これらは、0.1、0.2、0.5、および1.0における点である。このプロットに対するr値は、不良である。プロセスは、全ての濃度レベルが考慮されるまで、スライディング窓を全点を通して移動させることによって繰り返される。r値によって決定される最良適合を含む窓が、次いで、さらなる処理のために利用される。簡略目的のために、各スライディング窓に対する個々のプロットは、ここでは提示されないが、本教示を使用して、当業者によって求められることができる。これらのデータ点に対する最良利用可能適合は、濃度レベル10μg/ml、20μg/ml、50μg/ml、および100μg/mlを使用するときに決定され、そのモデル適合は、図9に表示される。これらの点は、次いで、原点を通るようにさせられない較正曲線モデルを生成するために利用される。このモデルは、図10AおよびBに描写される。図10Bは、10Aのプロットの拡大図である。
【0065】
各点の正確度に対する図10Bに描写される新しく生成されたモデルの分析は、濃度レベル10μg/mlにおける点30のうちの1つが、計算されたモデルの30%以内である所定の正確度閾値の所望の境界の外側にあること(すなわち、163.6%)を示す。この1つの点は、除去され、図11に描写される新しい回帰モデルをもたらす。
【0066】
データ点のサブセットが、次いで、元々決定された点のサブセットの直上または直下のいずれかである次の利用可能な濃度レベルにおける追加の点を考慮することによって追加される。本実施例では、濃度5μg/mlにおける追加の点40が、モデルに組み込まれ、図12AおよびBに描写される新しい回帰線が、計算される。これらのデータ点に対して、回帰モデルに対する全点の正確度は、rの値が若干低下したが(r=0.99633からr=0.99525)、依然として、容認可能な閾値内である。点は、したがって、保たれ、点の初期サブセットは、現時点で、5つの濃度レベルからのデータを含む。
【0067】
次のより高い濃度レベル(すなわち、200μg/ml)において利用可能な点を含む、一連の点における次の利用可能な点50が、試みられる。新しい回帰モデルが、計算され、図13AおよびBに描写される。見られるように、r値は、低下し、点のうちのいくつかに対する正確度は、30%閾値を超えて増加する。したがって、この点は、モデルから除外される。
【0068】
試験されるべき次の利用可能な点60は、濃度レベル2μg/mlにおける点であり、新しいモデルが、計算され、プロットの一部は、図14に描写される。このモデルの正確度は、不良であり、濃度2μg/mlにおける点は、非常に不良な正確度を有し、濃度レベル10μg/mlにおける点70のうちの1つの正確度を損なわせる。この点は、したがって、除外される。加えて、濃度レベル1μg/mlおよび0.1μg/mlにおける点も、別個に検討され(簡潔にするために図示せず)、濃度レベル2μg/mlにおける点同様に、モデルと比較されるときの点の正確度が不良と見なされるほど、結果として生じる曲線を歪めることになる。故に、良好な正確度および容認可能r値を有すると見なされる、生成されるモデルは、y=193.98277x−830.16887の方程式を用いて生成され、図12Aおよび12Bに描写されるものである。
【0069】
(実施例3)
殺虫剤スクリーニング運転が、質量分析計において実施され、175個を上回る化合物が、監視された。種々の化合物に対する全ダイナミックレンジを対象とするために、各化合物に対して12個の異なる濃度レベルを使用した標準曲線が、本教示を使用して行われ、訓練されたオペレータによって手動で生成された曲線と比較され、好適ではないと見なされる個々の点は、曲線適合プロセスから除去された。
【0070】
ほぼ全例において、本教示による自動化された方法は、事実上、訓練されたオペレータと同一点を較正曲線(すなわち、LLOQを下回る点、ULOQを上回る点、および他の外れ値)を除外した。時間にして、5秒未満が、手動アプローチのために要求された数時間とは対照的に、全検体を処理するために要求された。
【0071】
本教示内で説明された本発明は、前述の実施形態のみに限定されず、代わりに、多くの変形例が、以下の請求項によって定義される本発明の概念の範囲内で可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15