(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807373
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】屋内駐車場内換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20201221BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
F24F7/007 D
F24F7/007 B
F24F7/06 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-245831(P2018-245831)
(22)【出願日】2018年12月27日
(65)【公開番号】特開2020-106222(P2020-106222A)
(43)【公開日】2020年7月9日
【審査請求日】2018年12月27日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507282314
【氏名又は名称】ニッシントーア・岩尾株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 茂生
(72)【発明者】
【氏名】門池 幹弘
【審査官】
奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−267337(JP,A)
【文献】
特開2001−349587(JP,A)
【文献】
特開平03−244949(JP,A)
【文献】
特開平10−281518(JP,A)
【文献】
特開平05−264080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00−7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気側開口より外部の空気を吸い込むことで屋内駐車場内へ空気を供給する給気用送風機と、
複数台の貫流送風機を組み合わせてそれらの貫流送風機が噴出する気流を重ね合わせ、排気側開口へ屋内駐車場内の空気を送り出すことで屋内駐車場内の空気を外部へ排出する排気用送風機と、
給気用送風機から排気用送風機に向う気流によって屋内駐車場内の空気を掃気しつつ搬送して屋内駐車場内全体の平面的な換気を促す複数台の搬送用送風機と、
排気用送風機の近傍位置に設置されてその周辺の空気のCOガス濃度を示す信号を出力するCOセンサと、
そのCOセンサの出力信号に基づき給気用送風機と排気用送風機と搬送用送風機の少なくとも何れかの作動を制御する送風機制御装置と、
を具え、
前記複数台の搬送用送風機の少なくとも一部は、複数台の貫流送風機を組み合わせてそれらの貫流送風機が噴出する気流を繋ぎ合わせ、前記給気用送風機から前記排気用送風機に向う平面的に分かれた複数経路の気流を生じさせるものであることを特徴とする屋内駐車場内換気システム。
【請求項2】
給気用送風機は、複数台の貫流送風機を組み合わせてそれらの貫流送風機が噴出する気流を重ね合わせるものであることを特徴とする、請求項1記載の屋内駐車場内換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋内駐車場内の換気を行う換気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3に例示する屋内駐車場は、屋外と略ロ字状の駐車スペースPとの間を、図では左下および右上の2箇所の外部スロープSを通って出入りするようになっており、このような屋内駐車場における従来の屋内駐車場内換気システムでは、ダクトDで屋外に接続された給気用遠心送風機(シロッコファン)1から給気ガラリ2を通して駐車スペースP内に空気を供給するとともに、ダクトDで屋外に接続された排気用遠心送風機(シロッコファン)3から排気ガラリ4を通して駐車スペースP内の空気を排出し、給気ガラリ2と排気ガラリ4との間では、貫流送風機5を複数台配置して駐車スペースP内の空気を搬送および攪拌している。
【0003】
図3の換気システムの場合、給気ガラリ2側から排気ガラリ4側へ気流が万遍なく届くように複数の貫流送風機5によって生じさせる主気流F1により空気を搬送し駐車スペースP内全体の換気を促す一方、給気ガラリ2および排気ガラリ4が外部スロープSの開口と近いため、排気用遠心送風機3が短絡気流F2で示すように外部スロープSの開口から外部空気を引込んで機械排気したり、給気用遠心送風機1が短絡気流F3で示すように機械給気で取り入れた空気を短絡して外部スロープSの開口から外部へ排出したりする。
【0004】
図4に例示する屋内駐車場は、
図3に示すものより駐車スペースPが広いため、屋外と駐車スペースPとの間を、図では右上および中央下の2箇所の外部スロープSを通るのに加えて、図では左上および左下の2箇所の開口Oを通って出入りするようになっており、このような屋内駐車場における従来の屋内駐車場内換気システムでは、ダクトDで屋外に接続された給気用遠心送風機(シロッコファン)1から給気ガラリ2を通して駐車スペースP内に空気を供給するとともに、ダクトDで屋外に接続された排気用遠心送風機(シロッコファン)3から排気ガラリ4を通して駐車スペースP内の空気を排出し、給気ガラリ2と排気ガラリ4との間では、貫流送風機5を複数台配置して駐車スペースP内の空気を搬送および攪拌している。
【0005】
図4の換気システムの場合、給気ガラリ2側から排気ガラリ4側へ気流が万遍なく届くように複数台の貫流送風機5によって生じさせる主気流F1により空気を搬送し駐車スペースP内全体の換気を促す一方、給気ガラリ2および排気ガラリ4が外部スロープSの開口や開口Oと近かったり向き合っていたりするため、排気用遠心送風機3が短絡気流F2で示すように外部スロープSの開口や開口Oから外部空気を引込んで排気したり、給気用遠心送風機1が短絡気流F3で示すように給気で取り入れた空気を短絡して外部スロープSの開口や開口Oから外部へ排出したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2923256号公報
【特許文献2】特許第4463383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この一方で駐車場内は、駐車場法令によれば、外部に通ずる開口が床面積の10%に満たない場合、床面積1m
2対し14m
3/hの換気が必要でありかつ、自動車ターミナルの位置、構造および設備の基準を定める政令によりCOガス濃度を100ppm以下にする必要があり、それらに適合させて環境を保全する換気設備の設置が義務となる。
【0008】
しかしながら、上記
図3および
図4に示すような従来の換気システムでは、排気用遠心送風機3が短絡気流F2で示すように外部スロープSの開口や開口Oから外部空気を引込んで排気したり、給気用遠心送風機1が短絡気流F3で示すように給気で取り入れた空気を短絡して外部スロープSの開口や開口Oから外部へ排出したりすることから、駐車スペースP内のCOガス濃度の濃淡を想定するのは困難で、結果的にCOセンサ6を排気ガラリ4の近傍の1か所の他、複数個所にも設置しなければならない。
【0009】
また、給気用遠心送風機(シロッコファン)1および排気用遠心送風機(シロッコファン)3は電気容量が大きいため、COセンサ6の出力信号に応じたインバータ制御でCOガス濃度の検出値に連動させるので、複数のCOセンサ6の出力信号のバラツキにより充分な換気効果が得られない場合がある。
【0010】
ところで本願出願人は、先に特許文献1記載のダクトレス送風システムおよび特許文献2記載の大空間の換気方法を提案しており、これらの送風システムおよび換気方法によれば、複数台の貫流送風機が噴き出す気流を組み合わせることで、屋内の気流を一定方向に向わせることができる。
【0011】
この発明は、上述の如き送風システムおよび換気方法に鑑みて、従来の換気システムの課題を有利に解決した屋内駐車場内換気システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の屋内駐車場内換気システムは、
給気側開口より外部の空気を吸い込むことで屋内駐車場内へ空気を供給する給気用送風機と、
複数台の貫流送風機を組み合わせてそれらの貫流送風機が噴出する気流を重ね合わせ、排気側開口へ屋内駐車場内の空気を送り出すことで屋内駐車場内の空気を外部へ排出する排気用送風機と、
給気用送風機から排気用送風機に向う気流によって屋内駐車場内の空気を掃気しつつ搬送して屋内駐車場内全体の平面的な換気を促す複数台の搬送用送風機と、
排気用送風機の近傍位置に設置されてその周辺の空気のCOガス濃度を示す信号を出力するCOセンサと、
そのCOセンサの出力信号に基づき給気用送風機と排気用送風機と搬送用送風機の少なくとも何れかの作動を制御する送風機制御装置と、
を具え、
前記複数台の搬送用送風機の少なくとも一部は、複数台の貫流送風機を組み合わせてそれらの貫流送風機が噴出する気流を繋ぎ合わせ、前記給気用送風機から前記排気用送風機に向う平面的に分かれた複数経路の気流を生じさせることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の屋内駐車場内換気システムにあっては、給気用送風機が、給気側開口より外部の空気を吸い込むことで屋内駐車場内へ空気を供給し、排気用送風機が、排気側開口へ屋内駐車場内の空気を送り出すことで屋内駐車場内の空気を外部へ排出し、複数台の搬送用送風機が、給気用送風機から排気用送風機に向う気流によって屋内駐車場内の空気を掃気しつつ搬送して屋内駐車場内全体の換気を促す。
【0014】
従って、この発明の屋内駐車場内換気システムによれば、屋内駐車場内の気流の方向が常に給気用送風機から排気用送風機に向う一定方向になるので、屋内駐車場内で気流の流速が最も遅い、すなわち屋内駐車場内の自動車から排出されるCOガスの濃度が最も濃い、給気用送風機から遠い排気用送風機の近傍位置にCOセンサを設置してCOガス濃度を監視することで、屋内駐車場内全体のCOガス濃度を確実に基準値以下に維持することができる。
【0015】
なお、この発明の屋内駐車場内換気システムにおいては、給気用送風機
は、複数台の貫流送風機を組み合わせてそれらの貫流送風機が噴出する気流を重ね合わせるものであっても良い。
【0016】
このようにすれば、貫流送風機は一般に複数台組み合わせても同等の送風能力の1台の遠心送風機より使用電力が少ないので、
排気用送風機だけでなく給気用送風機
についても使用電力の節電効果を得ることができる。
【0017】
また、この発明の屋内駐車場内換気システムにおいては、
上記のように、複数台の搬送用送風機の少なくとも一部は、複数台の貫流送風機を組み合わせてそれらの貫流送風機が噴出する気流を繋ぎ合わせ
、前記給気用送風機から前記排気用送風機に向う平面的に分かれた複数経路の気流を生じさせる。
【0018】
このようにす
ることで、複数台の搬送用送風機の配置の無駄を減らして、搬送用送風機の使用電力の節電効果を得ることができる。
【0019】
さらに、この発明の屋内駐車場内換気システムにおいては
上記のように、
排気用送風機の近傍位置に設置されてその周辺の空気のCOガス濃度を示す信号を出力するCOセンサと、
そのCOセンサの出力信号に基づき給気用送風機と排気用送風機と搬送用送風機の少なくとも何れかの作動を制御する送風機制御装置と、
を具えて
いる。
【0020】
このように
することで、屋内駐車場内全体のCOガス濃度を確実に基準値以下に維持するように屋内駐車場内換気システムを自動運転させることができ、換気システムの操作の手間が省けるとともにそれぞれの送風機の使用電力の節電効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の屋内駐車場内換気システムの一実施形態を具える屋内駐車場の断面図である。
【
図2】この発明の屋内駐車場内換気システムの他の一実施形態を具える屋内駐車場の断面図である。
【
図3】従来の屋内駐車場内換気システムの一例を具える屋内駐車場の断面図である。
【
図4】従来の屋内駐車場内換気システムの他の一例を具える屋内駐車場の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、
図1は、この発明の屋内駐車場内換気システムの一実施形態を具える屋内駐車場の断面図であり、この実施形態の屋内駐車場内換気システムは、
図3に示すものと同様の構造の屋内駐車場に設けられたものである。
【0023】
すなわち、
図1に示す屋内駐車場は、屋外と略ロ字状の駐車スペースPとの間を、図では左下および右上の2箇所の外部スロープSを通って出入りするようになっており、この屋内駐車場に設けられた上記実施形態の屋内駐車場内換気システムは、給気側開口としての図では右上の外部スロープSから外部の空気を吸い込むことでこの屋内駐車場の駐車スペースP内へ空気を供給する給気用送風機7と、排気側開口としての図では左下の外部スロープSへこの屋内駐車場の駐車スペースP内の空気を送り出すことで駐車スペースP内の空気を外部へ排出する排気用送風機8と、給気用送風機7から排気用送風機8に向う気流に
よって駐車スペースP内の空気を掃気しつつ搬送
して駐車スペースP内全体の換気を促す、搬送用送風機としての複数台の貫流送風機5とを具えている。
【0024】
この実施形態の屋内駐車場内換気システムにおける給気用送風機7と排気用送風機8とは何れも、複数台、図示例では4台の貫流送風機5を組み合わせてそれらの貫流送風機5が噴出する気流を重ね合わせることで強力かつ指向性の強い気流を発生させるものであり、このように貫流送風機5を組み合わせる構成は前記特許文献2に詳細に記載されている。貫流送風機5は4台組み合わせても、同等の送風能力の給気用遠心送風機1および排気用遠心送風機3の各々より使用電力が少ないので、このように構成することで、給気用送風機7および排気用送風機8の使用電力の節電効果を得ることができる。
【0025】
また、この実施形態の屋内駐車場内換気システムにおける複数台の貫流送風機5の少なくとも一部は、複数台、図示例では3台の貫流送風機5を組み合わせてそれらの貫流送風機5が噴出する気流を繋ぎ合わせることで指向性の強い気流を長い距離に亘って発生させるものであり、このように貫流送風機5を組み合わせる構成は前記特許文献1に詳細に記載されている。このように構成することで、搬送用送風機を構成する複数台の貫流送風機5の配置の無駄を減らしもしくは無くして、搬送用送風機の使用電力の節電効果を得ることができる。
【0026】
この実施形態の屋内駐車場内換気システムにあっては、給気用送風機7が、給気側開口としての図では右上の外部スロープSから外部の空気を吸い込むことで駐車スペースP内へ空気を供給し、排気用送風機8が、排気側開口としての図では左下の外部スロープ
Sへ駐車スペースP内の空気を送り出すことで駐車スペースP内の空気を外部へ排出し、搬送用送風機としての複数台の貫流送風機5が、給気用送風機7から排気用送風機8に向う
平面的に分かれた複数経路の気流である主気流F1および副気流F4によって駐車スペースP内の空気を掃気しつつ搬送して駐車スペースP内全体の
平面的な換気を促す。
【0027】
従って、この実施形態の屋内駐車場内換気システムによれば、駐車スペースP内の気流の方向が常に給気用送風機7から排気用送風機8に向う一定方向になるので、駐車スペースP内で気流の流速が最も遅い、すなわち駐車スペースP内の自動車から排出されるCOガスの濃度が最も濃い、給気用送風機7から遠い排気用送風機8の近傍位置にCOセンサ6を設置してCOガス濃度を監視することで、駐車スペースP内全体のCOガス濃度を確実に基準値以下に維持することができる。
【0028】
図2は、この発明の屋内駐車場内換気システムの他の一実施形態を具える屋内駐車場の断面図であり、この実施形態の屋内駐車場内換気システムは、
図4に示すものと同様の構造の屋内駐車場に設けられたものである。
【0029】
すなわち、
図2に示す屋内駐車場は、屋外と、
図1に示すものより広い床面積7,400m
2の駐車スペースPとの間を、図では右上および中央下の2箇所の外部スロープSを通るのに加えて、図では左上および左下の2箇所の開口Oを通って出入りするようになっており、この屋内駐車場に設けられた上記実施形態の屋内駐車場内換気システムは、給気側開口としての図では右上および中央下の2箇所の外部スロープSからそれぞれ外部の空気を吸い込むことでこの屋内駐車場の駐車スペースP内へ空気を供給する2台の給気用送風機7と、排気側開口としての図では左上および左下の2箇所の開口Oへそれぞれこの屋内駐車場の駐車スペースP内の空気を送り出すことで駐車スペースP内の空気を外部へ排出する2台の排気用送風機8とを具えるとともに、2台の給気用送風機7から2台の排気用送風機8に向う一定方向の気流に
よって駐車スペースP内の空気を掃気しつつ搬送
して駐車スペースP内全体の換気を促す、搬送用送風機としての複数台の貫流送風機5を具えている。
【0030】
この実施形態の屋内駐車場内換気システムにおける給気用送風機7と排気用送風機8とは何れも先の実施形態におけると同様、複数台、図示例では4台の貫流送風機5を組み合わせてそれらの貫流送風機5が噴出する気流を重ね合わせることで強力かつ指向性の強い気流を発生させるものであり、このように貫流送風機5を組み合わせる構成は前記特許文献2に詳細に記載されている。貫流送風機5は4台組み合わせても、同等の送風能力の給気用遠心送風機1および排気用遠心送風機3の各々より使用電力が少ないので、このように構成することで、給気用送風機7および排気用送風機8の使用電力の節電効果を得ることができる。
【0031】
また、この実施形態の屋内駐車場内換気システムにおける複数台の貫流送風機5の少なくとも一部は先の実施形態におけると同様、複数台、図示例では3台の貫流送風機5を組み合わせてそれらの貫流送風機5が噴出する気流を繋ぎ合わせることで指向性の強い気流を長い距離に亘って発生させるものであり、このように貫流送風機5を組み合わせる構成は前記特許文献1に詳細に記載されている。このように構成することで、搬送用送風機を構成する複数台の貫流送風機5の配置の無駄を減らしもしくは無くして、搬送用送風機の使用電力の節電効果を得ることができる。
【0032】
この実施形態の屋内駐車場内換気システムにあっては、2台の給気用送風機7が、給気側開口としての図では右上および中央下の箇所の外部スロープSからそれぞれ外部の空気を吸い込むことで駐車スペースP内へ空気を供給し、2台の排気用送風機8が、排気側開口としての図では左上および左下の2箇所の開口Oへそれぞれ駐車スペースP内の空気を送り出すことで駐車スペースP内の空気を外部へ排出し、搬送用送風機としての複数台の貫流送風機5が、
平面的に分かれた複数経路の気流である、図では
右上の給気用送風機7から
左下の排気用送風機8に向う主気流F5および図では
中央下の給気用送風機7から
左上の排気用送風機8に向う副気流F6によって駐車スペースP内の空気を掃気しつつ搬送して駐車スペースP内全体の
平面的な換気を促す。
【0033】
従って、この実施形態の屋内駐車場内換気システムによれば、駐車スペースP内の気流の方向が常に給気用送風機7から排気用送風機8に向う一定方向になるので、駐車スペースP内で気流の流速が最も遅い、すなわち駐車スペースP内の自動車から排出されるCOガスの濃度が最も濃い、2台の給気用送風機7から遠い2台の排気用送風機8の近傍位置にCOセンサ6をそれぞれ設置してCOガス濃度を監視することで、駐車スペースP内全体のCOガス濃度を確実に基準値以下に維持することができる。
【0034】
なお、上記
図1および
図2に示す実施形態の屋内駐車場内換気システムはさらに各々、排気用送風機8の近傍位置に設置されてその周辺の空気のCOガス濃度を示す信号を出力するCOセンサ6と、そのCOセンサ6の出力信号に基づき給気用送風機7と排気用送風機8との作動を例えばON,OFF制御するとともに搬送用送風機としての複数台の貫流送風機5の作動を屋内駐車場の使用時間に対応させてタイマーで制御する図示しない送風機制御装置とを具えている。
【0035】
従って、この実施形態の屋内駐車場内換気システムによれば、駐車スペースP内全体のCOガス濃度を確実に基準値以下に維持するように屋内駐車場内換気システムを自動運転させることができ、換気システムの操作の手間が省けるとともに給気用送風機7,排気用送風機8および貫流送風機5の各々の使用電力の節電効果も得ることができる。
【0036】
(実施例)
図1に示す実施形態の屋内駐車場内換気システムにおいては、上記のようにCOセンサ6と送風機制御装置とを用いて自動運転することで、COガス濃度の測定値が、エリアA1では10ppm、エリアA2では15ppm、エリアA3では20ppm、エリアA4では25ppmとなって、排気用送風機8の近傍位置で最も高いCOガス濃度となったが、全て例えば政令の100ppm以下に充分に収まっていた。これに対し、
図3に示す従来の換気システムでは、COガス濃度の測定値が、エリアA1では20ppm、エリアA2では20ppm、エリアA3では25ppm、エリアA4では25ppmとなって場所によってばらついており、1箇所での測定ではCOガス濃度の測定上充分でないことが明らかになった。
【0037】
また、
図2に示す実施形態の屋内駐車場内換気システムにおいては、上記のようにCOセンサ6と送風機制御装置とを用いて自動運転することで、COガス濃度の測定値が、エリアA5では5ppm、エリアA6では10ppm、エリアA7では15ppm、エリアA8では20ppmとなって、排気用送風機8の近傍位置で最も高いCOガス濃度となったが、全て例えば政令の100ppm以下に充分に収まっていた。これに対し、
図4に示す従来の換気システムでは、COガス濃度の測定値が、エリアA5では20ppm、エリアA6では25ppm、エリアA7では10ppm、エリアA8では5ppmとなって場所によってばらついており、少数箇所での測定ではCOガス濃度の測定上充分でないことが明らかになった。
【0038】
さらに、
図1に示す実施形態の屋内駐車場内換気システムにおいては、給気用送風機7および排気用送風機8の各々を構成する4台の貫流送風機5の合計の使用電力は0.34kWであり、
図3に示す給気用遠心送風機1および排気用遠心送風機3の各々の使用電力である15kWよりも大幅に少なかった。
【0039】
また、
図2に示す実施形態の屋内駐車場内換気システムにおいては、駐車スペースPの床面積7,400m
2に対する法定換気風量が103,600m
3/hとなるところ、その法定換気風量をそれぞれ2台ずつで達成する給気用送風機7および排気用送風機8の各々を構成する4台の貫流送風機5の合計の使用電力は0.34kWとなっており、
図4に示す駐車スペースPの法定換気風量103,600m
3/hをそれぞれ達成する給気用遠心送風機1および排気用遠心送風機3の各々の使用電力である31.5kWよりも大幅に少なかった。
【0040】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明の屋内駐車場内換気システムは上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で適宜変更し得るものであり、
例えば、送風機制御装置を、給気用送風機7,排気用送風機8および貫流送風機5のON,OFF制御に代えて、給気用送風機7,排気用送風機8および貫流送風機5の何れか1種類以上をインバータ制御するものとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
かくしてこの発明の屋内駐車場内換気システムによれば、屋内駐車場内の気流の方向が常に給気用送風機から排気用送風機に向う一定方向になるので、屋内駐車場内で気流の流速が最も遅い、すなわち屋内駐車場内の自動車から排出されるCOガスの濃度が最も濃い、給気用送風機から遠い排気用送風機の近傍位置にCOセンサを設置してCOガス濃度を監視することで、屋内駐車場内全体のCOガス濃度を確実に基準値以下に維持することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 給気用遠心送風機
2 給気ガラリ
3 排気用遠心送風機
4 排気ガラリ
5 貫流送風機
6 COセンサ
7 給気用送風機
8 排気用送風機
A1〜A8 エリア
D ダクト
F1,F5 主気流
F2,F3 短絡気流
F4,F6 副気流
O 開口
S 外部スロープ