(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807448
(24)【登録日】2020年12月9日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】走査反射鏡振幅測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20201221BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20201221BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G01M11/00 M
G03F7/20 521
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-501601(P2019-501601)
(86)(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公表番号】特表2019-531495(P2019-531495A)
(43)【公表日】2019年10月31日
(86)【国際出願番号】CN2017094614
(87)【国際公開番号】WO2018019265
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2019年2月19日
(31)【優先権主張番号】201610614644.9
(32)【優先日】2016年7月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】王興海
(72)【発明者】
【氏名】袁明波
(72)【発明者】
【氏名】王海江
【審査官】
河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−072182(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104423181(CN,A)
【文献】
特開2003−140078(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/032485(WO,A1)
【文献】
特開2005−321484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10−26/12
G01M 11/00
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を出力する光源と、
前記光源が出力する光信号のスポットのサイズ及び形状を調節する絞りと、
測定される走査反射鏡が載置され、前記走査反射鏡を載置した後、周期的に前記光信号を反射することができる走査反射鏡設置構造と、
前記走査反射鏡の一側に横方向に設置され、前記走査反射鏡によって反射された後の光信号を検出及び収集するための3つ以上のセンサーユニットを含み、走査反射鏡が周期的な振動の開始位置にある時には、反射後の光信号は3つ以上のセンサーユニットの中の中央に位置する一つのセンサーユニットによって収集され、
走査反射鏡に偏角がある時には、反射後の光信号は残りのセンサーユニットによって収集される光電センサーと、
信号収集及び処理器であって、
前記光電センサーによって収集された信号を処理するために用いられ、
前記光電センサーに含まれるエッジセンサーユニットを用いてスポットの振動周波数を計算し、
前記振動周波数に基づき、前記光電センサーに含まれる非エッジセンサーユニットを用いて前記走査反射鏡の振幅の計算に関与させて、前記走査反射鏡の振幅を得るための信号収集及び処理器と、
を含む走査反射鏡振幅測定装置であって、
前記エッジセンサーユニットは、
前記光電センサーで中央から最も離れた二つのセンサーユニットであり、
前記非エッジセンサーユニットは、
前記光電センサーで中央から最も離れた二つのセンサーユニットを除く残りのセンサーユニットである、
ことを特徴とする走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項2】
前記光源から出力される光信号は空間ガウス分布の光信号であることを特徴とする請求項1に記載の走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項3】
前記センサーユニットは奇数個であることを特徴とする請求項1に記載の走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項4】
前記センサーユニットは密接に配列されることを特徴とする請求項1に記載の走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項5】
前記スポットは円形を呈し、その直径は前記センサーユニットの測定サイズと同じであることを特徴とする請求項1に記載の走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項6】
位置調節装置をさらに含み、前記位置調節装置は前記光電センサーの横方向位置を調節して、前記光電センサーを第一横方向位置または第二横方向位置上に位置させることができることを特徴とする請求項1に記載の走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項7】
前記第一横方向位置及び第二横方向位置の間隔は0.2m〜1mであることを特徴とする請求項6に記載の走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項8】
前記第一横方向位置及び第二横方向位置の間隔は0.5mであることを特徴とする請求項7に記載の走査反射鏡振幅測定装置。
【請求項9】
各センサーユニットの縦方向位置y1、y2・・・・・・yNを記録するステップ;
走査反射鏡を走査反射鏡設置構造の上に載置し、それを周波数fで動作させ、前記スポットを前記光電センサー上に投影するステップ;
信号収集及び処理器は各センサーユニットが各サンプリング時刻tjiで検出した発光強度Ijiを収集し、それぞれ以下のように記録するステップ、
センサーユニット1:(t11、I11)、(t12、I12)・・・(t1i、I1i)・・・,
センサーユニット2:(t21、I21)、(t22、I22)・・・(t2i、I2i)・・・,
・・・
センサーユニットj:(tj1、Ij1)、(tj2、Ij2)・・・(tji、Iji)・・・,
・・・
センサーユニットN:(tN1、IN1)、(tN2、IN2)・・・(tNi、INi)・・・;
収集した発光強度Ijiに対してマッチングを行い、各センサーユニットによって検出された発光強度の極大値点に対応する時刻Tjkを取得するステップ、
センサーユニット1:T11、T12、・・・、T1k、・・・,
T11<T12<・・・<T1k<・・・を満たし、
センサーユニット2:T21、T22、・・・、T2k、・・・,
T21<T22<・・・<T2k<・・・を満たし、
・・・
センサーユニットj:Tj1、Tj2、・・・、Tjk、・・・,
Tj1<Tj2<・・・<Tjk<・・・を満たし、
・・・
センサーユニットN:TN1、TN2、・・・、TNk、・・・,
TN1<TN2<・・・<TNk<・・・を満たす;
複数のセンサーユニットのそれぞれ二つの連続する極大値点間の時刻差Tj(k+1)−Tjk及びTjk−Tj(k−1)を計算し、二つの連続する極大値点間の時刻差がともに1/(2f)より大きいセンサーユニットに対応する極大値点間の時刻差Tj(k+1)−Tjkを選択して、スポットの振動周波数fc=1/(Tj(k+1)−Tjk)を得るステップ;
二つの連続する極大値点間の時刻差がともに1/(2f)より大きくないセンサーユニットについて、前記スポットの振動周波数fc、前記二つの連続する極大値点間の時刻差がともに1/(2f)より大きくないセンサーユニットの前記縦方向位置及び前記検出した発光強度の極大値点に対応する時刻によって、振動関数を通じて前記走査反射鏡の振幅を得るステップ;
を含み、
ここで、N、i、j、kは正整数であり、且つN≧3、1≦j≦Nであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の走査反射鏡振幅測定装置を用いた走査反射鏡振幅測定方法。
【請求項10】
前記光電センサーを第一横方向位置に位置させて測定して、前記走査反射鏡が第一横方向位置における第一振幅(A1)をマッチングするステップ;
前記光電センサーを第二横方向位置に位置させて測定して前記走査反射鏡が第二横方向位置における第二振幅(A2)をマッチングするステップ;
及び、前記第一横方向位置及び第二横方向位置の間隔がΔLのときには、第一振幅A1、第二振幅A2及び間隔ΔLによって走査反射鏡の動作時に反射される光束の一方向最大スイング角度(θm)を計算して得るステップ;
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の走査反射鏡振幅測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の技術分野に関し、特に、走査反射鏡振幅測定装置及び測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投影露光装置は、マスク上のパターンを対物レンズを通じてシリコンウェハー面に投影する装置である。投影露光装置には、シリコンウエハー面を指定した露光位置に正確に移動させるための自動焦点制御システムが必要であり、このシステムの各種の異なる技術的方案が実現される。検出光路には、走査反射鏡及び検出スリットが設置されており、走査反射鏡は何れかの周波数で高速単振動を行うため、投射されたスポットも検出スリットで高速で往復走査運動をするようになる。スリットの遮光作用により、光電検出器が最後に検出した信号がある動的測定信号になり、この動的測定信号を分析して処理することで、信号対雑音比の高いスポットの位置を得ることができ、さらにシリコンウェハーの高度値を得ることができ、この高度値に基づいてシリコンウェハーが最適な焦点面に位置するまでシリコンウェハーの支持機構を調節する。詳細な原理は、中国特許公開番号CN100535763Cを参照されたい。
【0003】
従来の走査反射鏡に基づく光電垂直測定システムは、投影スリットを有する投影ブランチと、検出スリットを有する検出ブランチとに分けられることができる。投影スリットと検出スリットはサイズが同じであり、走査反射鏡によって信号を変調した後、信号特徴を抽出して、測定対象物の垂直測定高さをバックステッピングする。
【0004】
走査反射鏡は、光電垂直位置測定システムにおいて光信号を変調する作用をし、光電垂直位置測定システム全体において鍵と見なすことができる。走査反射鏡の性能は他のシステムの性能と結合して判断するしかなく、走査反射鏡に問題がある場合には、システムの試験段階になってようやく発見されるため、人力、物力及び時間の無駄使いになってしまう。現在に至るまで、走査反射鏡の性能をテストするための独立的で、成熟した、且つ正確に定量化された測定装置はなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、走査反射鏡振幅測定装置及び測定方法を提供することであり、走査反射鏡を適用する前に走査反射鏡の特性について便利な測定を実施し、走査反射鏡の性能の良し悪しの識別を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した技術的問題を解決するために、本発明は、
光信号を出力する光源と、前記光源が出力する光信号のスポットのサイズ及び形状を調節する絞りと、
測定される走査反射鏡が載置され、前記走査反射鏡が載置された後、前記光信号を周期的に反射することができる走査反射鏡設置構造と、
前記走査反射鏡の一側に横方向に設置され、前記走査反射鏡によって反射された後の光信号を検出及び収集するための3つ以上のセンサーユニットを含む光電センサーと、
前記光電センサーで収集された信号を処理して前記走査反射鏡の振幅を得る信号収集及び処理機と、を含む走査反射鏡振幅測定装置を提供する。
【0007】
選択できるものとして、前記光源が出力する光信号は空間ガウス分布の光信号である。
【0008】
選択できるものとして、前記センサーユニットは奇数個である。
【0009】
選択できるものとして、前記センサーユニットは密接に配列される。
【0010】
選択できるものとして、前記スポットは円形を呈し、その直径は前記センサーユニットの測定サイズと同じである。
【0011】
選択できるものとして、前記走査反射鏡振幅測定装置は、位置調節装置をさらに含み、前記位置調節装置は前記光電センサーの横方向位置を調節して、前記光電センサーが第一横方向位置または第二横方向位置上に位置されるようにすることができる。
【0012】
選択できるものとして、前記第一横方向位置及び第二横方向位置の間隔は0.2m〜1mである。
【0013】
選択できるものとして、前記第一横方向位置及び第二横方向位置の間隔は0.5mである。
【0014】
本発明は上述したような走査反射鏡振幅測定装置を利用した走査反射鏡振幅測定方法をさらに提供し、以下のステップを含む:
各センサーユニットの縦方向位置y
1、y
2・・・・・・y
Nを記録するステップ;
走査反射鏡を走査反射鏡設置構造の上に載置し、それを周波数fで動作させ、前記スポットを前記光電センサー上に投影するステップ;
信号収集及び処理器は各センサーユニットが各サンプリング時刻t
jiで検出した発光強度I
jiを収集し、それぞれ以下のように記録するステップ;
センサーユニット1:(t
11、I
11)、(t
12、I
12)・・・(t
1i、I
1i)・・・,
センサーユニット2:(t
21、I
21)、(t
22、I
22)・・・(t
2i、I
2i)・・・,
・・・・・・
センサーユニットj:(t
j1、I
j1)、(t
j2、I
j2)・・・(t
ji、I
ji)・・・,
・・・・・・
センサーユニットN:(t
N1,I
N1),(t
N2,I
N2)・・・(t
Ni,I
Ni);
収集した発光強度I
jiに対してマッチングを行い、各センサーユニットによって検出された発光強度の極値点に対応する時刻T
jkを取得し、以下のように記録するステップ;
センサーユニット1:T
11、T
12、・・・、T
1k、・・・,
T
11<T
12<・・・<T
1k<・・・を満たし、
センサーユニット2:T
21、T
22、・・・、T
2k、・・・,
T
21<T
22<・・・<T
2k<・・・を満たし、
・・・・・・
センサーユニットj:T
j1、T
j2、・・・、T
jk、・・・,
T
j1<T
j2<・・・<T
jk<・・・を満たし、
・・・・・・
センサーユニットN:T
N1、T
N2、・・・、T
Nk、・・・,
T
N1<T
N2<・・・<T
Nk<・・・を満たす;
複数のセンサーユニットのそれぞれ二つの連続する時刻差T
j(k+1)−T
jk及びT
jk−T
j(k−1)を計算し、二つの連続する時刻差が同時に1/(2f)より大きいセンサーユニットに対応する時刻差T
j(k+1)−T
jkを選択して、スポットの振動周波数fc=1/(T
j(k+1)−T
jk)を得るステップ;
二つの連続する時刻差が同時に1/(2f)より大きくないセンサーユニットについて、前記スポットの振動周波数fc、前記二つの連続する時刻差が同時に1/(2f)より大きくないセンサーユニットの前記縦方向位置及び前記検出した発光強度の極値点に対応する時刻によって、振動関数を通じて前記走査反射鏡の振幅を得るステップ;
を含み、ここで、N、i、j、kは正整数であり、且つN≧3、1≦j≦Nである。
【0015】
選択できるものとして、前記走査反射鏡振幅測定方法は、前記光電センサーを第一横方向位置に位置させて測定し、前記走査反射鏡が第一横方向位置における第一振幅A1をマッチングするステップ;
前記光電センサーを第二横方向位置に位置させて測定し、前記走査反射鏡が第二横方向位置における第二振幅A2をマッチングするステップ;
及び、前記第一横方向位置及び第二横方向位置の間隔がΔLのときには、第一振幅A1、第二振幅A2及び間隔ΔLによって走査反射鏡の動作時に反射される光束の一方向最大スイング角度θ
mを計算して得るステップ;
をさらに含む。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明が提供する走査反射鏡振幅測定装置及び測定方法は、従来技術における欠点を補うことで、走査反射鏡を利用する前に走査反射鏡の特性について便利な測定を実施し走査反射鏡の性能の良し悪しの識別を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例における走査反射鏡振幅測定装置の構造を示す図面である。
【
図2】本発明の一実施例における走査反射鏡振幅測定装置の光電センサーが互いに異なる位置に位置する際の図面である。
【
図3】本発明の一実施例における走査反射鏡振幅測定方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例における
光電センサーの中央に位置した非エッジセンサーユニットとエッジセンサーユニットとの間にある非エッジセンサーユニットで検出したエネルギー分布図である。
【
図5】本発明の一実施例における非エッジセンサーユニットで検出したエネルギー分布図である。
【
図6】本発明の一実施例においてマッチングされた振動関数画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面とともに本発明の走査反射鏡振幅測定装置及び測定方法について詳しく説明する。ここでは本発明の好ましい実施形態を示しており、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者はここで記述された本発明について修正することができるが、依然として本発明の有利な効果を実現することができることを理解すべきである。そこで、以下の記述は本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に広く知られたものであり、本発明を制限するものではないことと理解すべきである。
【0019】
明確性のため、実際の実施例の全ての特徴は記載しない。以下の説明では、不必要な詳細な説明により本発明を曖昧にする虞があることを避けるために公知の機能及び構造に対する詳細な説明は省略する。実際実施例の開発において、関係するシステムまたは関係するビジネスの制限によって一つの実施例から他の実施例に変更するなど、開発者の特定の目的を達するために大量の実施詳細を行わなければならないことを理解すべきである。さらに、このような開発作業は複雑で、時間がかかる可能性があるが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとっては日常的な作業にすぎない。
【0020】
以下の段落では添付図面を参照して例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。以下の説明及び特許請求範囲によって本発明の利点及び特徴はさらに明らかになる。なお、図面には、非常に簡易化した形式を採用し、且つ正確ではない縮尺比率を使用しており、本発明の実施例を容易かつ明確に説明することを補助するために用いられることに留意すべきである。
【0021】
以下、前記走査反射鏡振幅測定装置の測定方法に対する好適な実施例を挙げて本発明の内容について明確に説明する。本発明の内容は以下の実施例に限定されず、その他本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常の技術的手段を通じて行った改良も本発明の思想範囲内に属することは明らかである。
【0022】
図1に示すようにに示すように、
図1は本発明の一実施例による走査反射鏡振幅測定装置の構造を示す図面である。
図1に示すように、前記走査反射鏡振幅測定装置は、
光信号を出力する光源20と、
前記光源20から出力される光信号のスポットのサイズ及び形状を調節する絞り21と、
測定する走査反射鏡22を載置し、前記走査反射鏡22が周期的に振動するようにして前記走査反射鏡22を載置した後周期的に前記光信号を反射する走査反射鏡設置構造と、
3つ以上のセンサーユニットを含み、前記走査反射鏡22により反射された後の光信号を検出及び収集する光電センサー23であって、選択できるものとして、第一位置231または第二位置232(
図2に示すように)に設置されることができる光電センサー23と、
前記光電センサーによって収集された信号を処理して前記走査反射鏡の振幅を得る信号収集及び処理器24と、を含む。
【0023】
図1から本発明における走査反射鏡振幅測定装置の光路図について明らかなように、光源は光束を発射し、光束は絞りを経て円形のスポットを形成し、さらに走査反射鏡22によって走査されて反射された後、スポットを光電センサー23に反射させる。
【0024】
具体的には、本発明の実施例において、前記光源20が出力する光信号は空間ガウス分布の光である。絞り21は光電センサー23に到達したスポットのサイズと光電センサー23の各センサーユニットの測定サイズが一致することを保証することができ、光電センサー23がスポットとマッチングして正確に測定することができるようにする。
【0025】
図1に示すように、前記走査反射鏡22が周期的に振動する時に、光束は扇形に反射され、反射された光束は周期的に揺れることになり、一方向の最大のスイング角度はθ
mであり、一つのスイング周期は反射された光束が開始位置から反時計回り方向にθ
m角度スイングした後、再び時計回り方向に開始位置に戻り、開始位置から時計回り方向にθ
m角度スイングした後、再び反時計回り方向に開始位置に戻ることを含む。前記走査反射鏡22によって反射された後の光信号をさらに確実に検出及び収集するために、前記センサーユニットは奇数個であり、例えば3つ、5つ、7つ、9個、15個などとすることができる。走査反射鏡22が開始位置にある時には、反射後の光信号は奇数個のセンサーユニットの中の中央に位置する一つのセンサーユニットによって収集され、走査反射鏡22に偏角がある時には、反射後の光信号は残りのセンサーユニットによって収集される。さらに、光信号の損失を防止するために、前記センサーユニットは緊密に配列されるようにし、且つ、各センサーユニットの測定サイズとスポットの直径が同じであることによって、全面においてより正確なデータを得ることができる。
【0026】
走査反射鏡22の振幅の測定を実現するために、光源20から発する光を完全に走査反射鏡22の反射面に入射させる必要があり、以下では、開始位置を定義する際に、反射される光束の光軸方向を横方向とし、横方向と垂直する方向を縦方向と定義する。本実施例において、光が光源20から出射される方向と光電センサー23の設置方向は平行であり、何れも縦方向である。
【0027】
図1に示すように、Lは走査反射鏡22と光電センサー23との間の横方向距離であり、Sは走査反射鏡22が縦方向においてスポットに生じさせる最大変位である。
【0028】
図2によれば、前記走査反射鏡振幅測定装置は、位置調節装置25をさらに含み、前記位置調節装置25は前記光電センサー23の位置を横方向に調節して第一位置231及び第二位置232上に位置するようにすることができる。それにより、光電センサー23は第一位置231及び第二位置232上で異なる発光強度を受信することができ、走査反射鏡22の振幅を測定するようにする。ここで、L1は走査反射鏡22と第一位置231との間の横方向距離であり、L2は走査反射鏡22と第二位置232との間の横方向距離であり、両者の差は0.2m〜1mである。つまり、第一位置231と第二位置232との間の距離は0.2m〜1mであり、具体的には、例えば0.5mであってもよい。S1は第1位置231で測定された走査反射鏡22が縦方向においてスポットに生じさせる最大変位であり、S2は第2位置232で測定された走査反射鏡22が縦方向においてスポットに生じさせる最大変位である。
【0029】
以下、
図3を結合して本発明の走査反射鏡振幅測定方法について説明する。本発明の走査反射鏡振幅測定方法は前記走査反射鏡振幅測定装置を利用して実現され、以下のステップを含む:
【0030】
まず、ステップS11を実行し、各センサーユニットの縦方向位置y
1、y
2・・・・・・y
Nを記録する。具体的には、センサーユニット中心の縦方向位置がセンサーユニットの縦方向位置を表し、また、各センサーユニットの縦方向位置は同じ基準点に対応する。もちろん、このような記録は操作を簡単にするためであり、本技術分野において通常の知識を有する者は必要に応じて、例えば各センサーユニットエッジの縦方向位置を記録してセンサーユニットの縦方向位置などを表すことができる。
【0031】
次に、ステップS12を実行し、走査反射鏡22を走査反射鏡設置構造の上に載置し、それを固定周波数fで動作させ、前記スポットを前記光電センサー23上に投影する。
【0032】
次に、ステップS13を実行し、信号収集及び処理器24は各センサーユニットが各サンプリング時刻t
jiで検出した発光強度I
jiを収集し、それぞれ以下のように記録する。
【0033】
センサーユニット1:(t
11、I
11)、(t
12、I
12)・・・(t
1i、I
1i)・・・,
センサーユニット2:(t
21、I
21)、(t
22、I
22)・・・(t
2i、I
2i)・・・,
・・・・・・
センサーユニットj:(t
j1、I
j1)、(t
j2、I
j2)・・・(t
ji、I
ji)・・・,
・・・・・・
センサーユニットN:(t
N1、I
N1)、(t
N2、I
N2)・・・(t
Ni、I
Ni)・・・,
;ここで、jは第j番目のセンサーユニットを表し、iは第i番目のサンプリング時刻を表し、1≦j≦N;
【0034】
次に、ステップS14を実行し、信号収集及び処理器24によって収集された各センサーユニットが各サンプリング時刻t
jiで検出された発光強度I
jiに対してマッチングを行い、各センサーユニットによって検出された発光強度の各極値点に対応する時刻T
jkを取得し、以下のように記録する。
センサーユニット1:T
11、T
12、・・・、T
1k、・・・,
T
11<T
12<・・・<T
1k<・・・を満たし、
センサーユニット2:T
21、T
22、・・・、T
2k、・・・,
T
21<T
22<・・・<T
2k<・・・を満たし、
・・・・・・
センサーユニットj:T
j1、T
j2、・・・、T
jk、・・・,
T
j1<T
j2<・・・<T
jk<・・・を満たし、
・・・・・・
センサーユニットN:T
N1、T
N2、・・・、T
Nk、・・・,
T
N1<T
N2<・・・<T
Nk<・・・を満たす。
【0035】
次に、ステップS15を実行し、複数のセンサーユニットのそれぞれ二つの連続する
極大値点間の時刻差T
j(k+1)−T
jk及びT
jk−T
j(k−1)を計算し、その計算結果からエッジセンサーユニット及び非エッジセンサーユニットを判断する。具体的には、T
j(k+1)−T
jk及びT
jk−T
j(k−1)が
ともに1/(2f)より大きい場合、このセンサーユニットをエッジセンサーユニットと称し、T
j(k+1)−T
jk及びT
jk−T
j(k−1)が
ともに1/(2f)より大きくなければ、このセンサーユニットを非エッジセンサーユニットと称
する。
エッジセンサーユニットを用いてスポットの振動周波数fcを計算
するが、前記走査反射鏡の振幅Aの計算には関与
させないこととする。
非エッジセンサーユニットを用いて前記走査反射鏡の振幅Aの計算に関与
させるが、スポットの振動周波数fcの計算には関与
させないこととする。
【0036】
その他、エッジセンサーユニットは光電センサー23で中央から最も離れた二つのセンサーユニットを指し、非エッジセンサーユニットは光電センサー23で中央から最も離れた二つのセンサーユニットを除く残りのセンサーユニットを指す。
理論的には、エッジセンサーユニットは光電センサー23全体の両端に位置し、各走査周期は
一回の光強度の極大値に
対応することだけができ、
二回の光強度の極大値
点間の時刻差は理論的に1/fと基本的に同じであるので、2つの連続する
極大値点間の時刻差が
ともに1/2fより大きい。非エッジセンサーユニットは各走査周期内で
二回の光強度の極大値に
対応することができるので、非エッジセンサーユニットの2つの連続する極大値
点間の時刻差は
ともに1/2fよりも大きくない。
図4は光電センサー23の中央に位置した非エッジセンサーユニットとエッジセンサーユニットとの間にある非エッジセンサーユニットによって検出されたエネルギー分布図を示すものであり、2つの連続する極大値点間の時刻差は何れも1/2fより小さいものである(ともに1/2fより大きくないことを満たす)。図5は光電センサー23の中央に位置した非エッジセンサーユニットによって検出されたエネルギー分布図を示するものであり、2つの連続する
極大値点間の時刻差は何れも1/2fと同じである(
これは1/2fより大きくないことを満たす)。以上から、両者は大きな差があり、計算結果の検証とすることができる。
以上の分析によって、センサーユニットによってマンチングして得られた発光強度の極
大値点に対応する複数の時刻に対して、連続する2つの時刻の差はほとんど変わらず、その他のセンサーユニットの差よりも明らかに大きいため、エッジセンサーユニットであることが分かりやすい。2つの連続する時刻の差を比較することによってエッジーセンサーユニットを識別することに加えて、エネルギー分布図によってエッジセンサーユニットを識別することもできる。
【0037】
次に、ステップS161を実行し、ステップS15の計算によってエッジセンサーユニットに対応するTj
(k+1)−T
jkを選択し、スポットの振動周波数fc=1/(T
j(k+1)−T
jk)を得る。
【0038】
次に、ステップS162を実行し、ステップS15の計算によって、各前記非エッジセンサーユニットの各光強度極値点に対応する前記縦方向位置y
m及び前記時刻T
mkを得て、以下のように記録する。
【0039】
非エッジセンサーユニットm(T
m1、y
m)、(T
m2、y
m)・・・(T
mk、y
m)・・・、ここで、1≦m<N−1。
【0040】
その後、ステップS17を実行し、前記スポットの振動周波数fc、前記非エッジセンサーユニットの各光強度の極値点に対応する前記位置y
m及び前記時刻T
mkによって振動関数y
m=A*sin(2πf
ct
m+φ)を通じて前記走査反射鏡の振幅Aを得る。式において、y
mはスポットの位置を表し、t
mは振動時刻を表し、φは初期位相を表す。
図6に示すように、振動関数を用いてスポットの光電センサー上での運動軌跡をマッチングする。
【0041】
前記ステップにおいて、N、i,j、k、mは何れも正整数であり、N≧3であることを理解することができる。
【0042】
必要に応じて、走査反射鏡22の動作時に反射される光束の一方向の最大のスイング角度θ
mをさらに得ることができる。
【0043】
具体的には、
まず、光電センサー23が第1位置231に位置するように調節して前記S11〜S17の測定過程を行って、第1位置における走査反射鏡22の振幅A1をマッチングし、次に、前記光電センサー23を横方向に距離ΔL調節して第2位置232に位置するようにして測定を行って、第2位置における走査反射鏡22の振幅A2をマッチングする。
【0044】
再び、振幅A1、A2及びΔLを式A≒2θ
mLに代入して方程式を形成する。式において、Lは光電センサー23と走査反射鏡との間の横方向距離を表し、Aはその位置で測定される走査反射鏡22の振幅を表す。
【0045】
方程式を解いた後、走査反射鏡の動作時に反射された光束の一方向の最大のスイング角θ
m、及び光電センサー23が第1位置231に位置する際に走査反射鏡からの横方向距離L1と光電センサー23が第2位置232に位置する際に走査反射鏡からの横方向距離L2が得られる。
【0046】
以上のようにして、本発明で提供する走査反射鏡振幅測定装置及び測定方法は従来技術における欠点を補って、走査反射鏡を利用する前に走査反射鏡の特性について便利な測定を実施し走査反射鏡の性能の良し悪しを識別可能とする。
【0047】
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は本発明の精神及び範囲を逸脱しないで本発明について各種改進及び変形を行うことができることは明らかである。このように、本発明のこれらの修正及び変形が本発明の特許請求範囲及び同等の技術範囲内に属すれば、本発明はこれらの改進及び変形を含むものとする。