(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性部材は、一端部が前記第1ギアと係合し、他端部が前記第2ギアと係合して、前記基準角度状態からの前記相対角度が小さくなる方向に付勢力を発生する捻りバネである、請求項1乃至3のいずれか一項記載の入力装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の入力装置を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の入力装置100を示す断面図である。入力装置100は、基部110、台座120、基板125、モータ130、ウォームギア135、歯車ユニット140、ロータ150を含む。
【0011】
以下では、
図1に加えて、
図2乃至
図10を用いて説明する。
図2は、入力装置100から基板125を取り除いた構成を示す斜視図である。
図1は、
図2におけるA−A矢視断面に対応する断面を示している。
図3は、
図2からロータ150を取り除いた構成を示す斜視図である。
図4は、
図3から基部110を取り除いた構成を示す斜視図である。
【0012】
また、入力装置100は、上述の構成要素に加えて、さらに捻りバネ160(
図5、6、7参照)、角度センサ170(
図9参照)、及び制御部を含む。制御部については、
図1乃至
図10を用いて各部の構成要素を説明した後に説明する。
【0013】
図5は、入力装置100から歯車ユニット140の一部分を取り除いた構成を示す斜視図である。
図6乃至
図8Bは、歯車ユニット140の一部分を除いた構成と捻りバネ160を示す図である。
図9及び
図10は、角度センサ170を示す図である。
【0014】
以下では、各図において共通のXYZ座標を用いて説明する。また、XZ面視することを平面視と称す。また、以下では説明の便宜上、Y軸正方向を上、Y軸負方向を下と称す場合があるが、普遍的な上下関係を表すものではない。また、以下では説明の便宜上、Y方向の位置を高さで表現する場合がある。Y軸方向における最も正方向側は上部であり、Yにおける最も負方向側は底部である。
【0015】
また、以下では、中心軸C(
図1参照)とは、基部110、台座120、ロータ150に共通の中心軸である。これらの部材は平面視で中心軸Cが中心を通る円形である。中心軸CはY軸に平行である。
【0016】
入力装置100は、一例として、車両に搭載され、ダッシュボード周辺に配置されるディスプレイパネルに表示されるナビゲーション装置やエアコンディショナ等の様々な装置の操作画面に表示されるGUI(Graphic User Interface)の操作部等を遠隔操作する際に利用される入力装置である。入力装置100は、例えば、車両のセンターコンソールのように運転者又は助手席の乗員の手元に配置される。ただし、入力装置100の利用形態は、このような利用形態に限られるものではない。
【0017】
基部110は、入力装置100のベースの部分であり、平面視で中心軸Cを中心軸とする円環状の部材である。基部110は、平面視で最外周側に設けられる円筒部111と、平面視で円筒部111と同心円状で内側に設けられる円筒部112とを有する。円筒部111、112は、中心軸Cを中心軸とする円筒状の部材である。
【0018】
円筒部112は、円筒部111の下端(Y軸方向における負方向側の端部)から径方向内側に延在する接続部111Aによって保持されており、円筒部111よりも高さが高い。接続部111Aは、円周方向に等間隔で4個配置されており、隣り合う接続部111A同士の間には隙間が設けられている。
【0019】
基部110は、円筒部111及び112の間にロータ150を回転自在に軸支する。円筒部111及び112により、ロータ150は、中心軸Cを回転中心軸として回転する。このような基部110は、例えば、成型樹脂で構成される。
【0020】
台座120は、平面視で基部110の内側に設けられており、Y軸方向における高さは基部110の底部と等しい。台座120は、基板部121及び延出部122を有する。このような台座120は、例えば、成型樹脂で構成される。台座120は、ベース部材の一例である。また、台座120は、基部110のような隣接する周辺部品と一体に成形されていてもよい。また、台座120自身が、複数の別部品から構成されていてもよい。
【0021】
基板部121は、平面視で中央に位置する円板状の部材であり、固定部121A、121Bを有する。固定部121Aにはモータ130が固定され、固定部121Bには基板125が固定される。
【0022】
基板部121には、2個の延出部122が接続されている。片方の延出部は、基板部121に対してX軸正方向かつZ軸正方向の側に平面的に延出している。他方の延出部は、基板部121に対してX軸負方向かつZ軸負方向の側に平面的に延出している。
【0023】
延出部122は、平面視における最も外側に、Y軸正方向に突出する突出部122Aを2個ずつ有する。このため、突出部122Aは、4個ある。突出部122Aは、基部110の円筒部112の内周面に係合される。これにより、台座120は、基部110に取り付けられる。また、他方の延出部122は、Y軸正方向に突出する円柱状の軸部122Bを有する。すなわち、台座120は、軸部122Bを有する。軸部122B(
図5参照)には、歯車ユニット140が回転自在に軸支される。
【0024】
モータ130は、台座120の基板部121の上面(Y軸正方向側の表面)に設けられる固定部121Aに固定されている。モータ130自身によって回転駆動されるモータ130の駆動軸130Aは、X軸方向に延在しており、回転軸135Aが一体に回転するように接続されている。モータ130の駆動軸130A及び回転軸135Aが中心軸Cに垂直である。なお、駆動軸130Aと回転軸135Aとは、本実施形態では別体としたが、一体に成形されていてもよい。
【0025】
ウォームギア135は、X軸方向に延在する駆動軸130A及び回転軸135Aと一体に回転するように、回転軸135Aに圧入勘合されている。ウォームギア135は、X軸に沿って螺旋状に形成される成型樹脂製又は金属製のギアである。ウォームギア135には歯車ユニット140のギア142が噛合(係合)する。なお、ウォームギア135と回転軸135Aとは、本実施形態では別体としたが、一体に成形されていてもよい。
【0026】
歯車ユニット140は、台座120の延出部122の軸部122Bに回転自在に軸支される。歯車ユニット140は、ギア141とギア142とを有する。ギア141とギア142との間には、断面形状が円形の金属線からなり、円形の巻回部の両端に円の接線方向に延びる直線状の端部を有する捻りバネ160が設けられる。
【0027】
ギア141は、ウォームギア135に噛合(係合)するギアであり、第1ギアの一例である。ギア141は、ギア142よりも外径が小さい略円筒形状のはす歯歯車であり、中心軸上に設けられる孔部141Aと、Y軸正方向側の端部及びY軸負方向側の端部のそれぞれに、孔部141Aから径方向外側に切り欠かれた略扇形状の切欠部141B1及び切欠部141B2とを有する。
【0028】
ギア141は、孔部141Aがギア142の軸部142Bに差し込まれることによってギア142と同軸上に回転自在に軸支される。また、ギア141の切欠部141B1には、捻りバネ160の直線状の端部161Aが係合され、ギア141の切欠部141B2には、捻りバネ160の直線状の端部161Bが係合される。切欠部141B1及び切欠部141B2の周方向の幅は、捻りバネ160の金属線の直径よりも広く、端部161A及び端部161Bは周方向に移動可能となっている。端部161Aは、捻りバネの一端部の一例であり、端部161Bは、捻りバネの他端部の一例である。
【0029】
ギア142は、中心軸上に設けられる孔部142Aと、平歯車で構成されるギア142の中心側でY軸正方向に延在する軸部142Bと、軸部142BのY軸正方向側の端部からY軸負方向側の端部まで連続した、孔部142Aから径方向外側に切り欠かれた略扇形状の切欠部142C1及び切欠部142C2とを有する。ギア142の切欠部142C1には、捻りバネ160の直線状の端部161Aが係合され、ギア142の切欠部142C2には、捻りバネ160の直線状の端部161Bが係合される。ギア142は、ロータ150のギア152Aに噛合(係合)する。ギア142は、第2ギアの一例である。
【0030】
ギア142の孔部142Aは、軸部122Bに貫通されて、ギア142が回転自在に軸支される。ギア142の軸部142Bは、ギア141の孔部141Aをギア142と同軸上に回転自在に軸支する円筒状の部材である。軸部142Bには、中心軸上に捻りバネ160の巻回部を収容する収容部142B1が設けられている。収容部142B1は、捻りバネ160の巻回部の外径に合わせた内径を有する円筒状のスペースである。また、捻りバネ160の巻回部の内径は軸部122Bよりも大きく設定されている。
なお本実施形態では、捻りバネ160の端部161Aと端部161Bの成す角度をフリーな状態よりも広げた状態で保持して、両端部が閉まる方向に力を発生するように設定してあり、この設定を前提に説明する。しかしながら、この設定に限定されるものではなく、逆に両端部の成す角度がフリーな状態よりも狭い状態で保持され、両端部が広がる方向に力を発生するように設定しても良い。
【0031】
初期状態でギア141の切欠部141B1とギア142の切欠部142C1とは、平面視でそれぞれの半径方向に延びる壁の周方向の位置が互いに一致しており、直線上に並んで配置されている。また、ギア141の切欠部141B2とギア142の切欠部142C2とは、平面視でそれぞれの半径方向に延びる壁の周方向の位置が互いに一致しており、直線上に並んで配置されている。この壁の周方向の位置が互いに一致して直線上に並んで配置されている状態をギア141とギア142の基準角度状態と定義する。基準角度状態においては、捻りバネ160の直線状の端部161A及び端部161Bは、各切欠部の壁に同時に当接しすることができるので、ギア141及びギア142の両方に同じ大きさの付勢力を付与して、各切欠部の壁が直線状に一致した基準角度状態を維持するように作用する。また、上記初期状態、及び後述するロータ150への回転操作及びモータ130の回転駆動が解除された状態では、捻りバネ160の付勢力によりギア141及びギア142は互いに相対角度状態から基準角度状態に戻る。
【0032】
軸受部143は、ギア142の軸部142Bと、基板125の下面との間に設けられた交差する2面を有する略L字状の部品であり、一方の面により、ギア142の軸部142Bを軸支するとともに、捻りバネ160が収容される収容部142B1のY軸正方向側に蓋をしている。さらに軸受部143は、他方の面により、回転軸135Aの先端部を図示しない凹部により回転可能に軸支して、回転軸135AをX軸上に保持している。これによりウォームギア135がギア141から反力を受けても回転軸135Aが反ることなく、確実にウォームギア135がギア141と係合することができる。
【0033】
ロータ150は、円筒部151及び、円筒部152を有する。円筒部151及び、円筒部152の中心軸は中心軸Cである。このようなロータ150は、例えば、成型樹脂で構成される。ロータ150の直径は、約50mm程度である。ロータ150は、円筒部151及び、円筒部152の内部が中空にされた中空状のロータである。
【0034】
ロータ150は、入力装置100の操作者が直接的に触れて操作するロータである。このため、ロータ150は、ノブとして利用される部材である。ここでは、操作者がロータ150に直接的に触れて操作する形態について説明するが、ロータ150を覆うカバー状の別部材が設けられてもよく、又は、可動する別部材が係合されていてもよく、これらの場合には、操作者は別部材に触れて間接的にロータ150を操作することになる。
【0035】
円筒部151は、円筒部152よりも上側(Y軸正方向側)に位置し、円筒部152よりも外径及び内径が大きい。円筒部151は、円筒部152の上側に接続されている。円筒部151は、ロータ150のうち、操作者が直接的に触れる部分である。
【0036】
円筒部152の外周は、円筒部151の内周よりも大きく、円筒部151の外周よりも小さい。円筒部152と円筒部151の厚さは略同一である。断面視で円筒部152と円筒部151との間には段差がある。
【0037】
円筒部152は、円筒部111及び112の間の隙間に嵌め込まれており、基部110に対して回転自在に軸支されている。円筒部152が円筒部111及び112の間の隙間に嵌め込まれると、円筒部112の外周面に設けられた係合部112Aが円筒部152と円筒部151との間の段差に係合し、基部110に対してロータ150が嵌め込まれる。
【0038】
円筒部152の内周面の下端には、周方向(回転方向)にわたってギア152Aが形成されている。ギア152Aは、円筒部152の内周に一周にわたって設けられている平歯車である。ギア152Aは、第3ギアの一例である。
【0039】
ギア152Aは、基部110の円筒部112の内側から見ると、4個の突出部122Aの間に表出する。ギア152Aは、歯車ユニット140のギア142に噛合(係合)する。このため、操作者がロータ150を回転させようとして力をかけると、ギア152Aからギア142に回転力が伝達され、ギア142から捻りバネ160を介してギア141に回転力が伝達され、さらにウォームギア135に伝達される。
【0040】
捻りバネ160は、端部161A、161Bを有し、端部161A、161Bの間で螺旋状に巻回されている捻りコイルバネである。捻りバネ160は、弾性部材の一例である。捻りバネ160は、端部161A、161Bがそれぞれ切欠部142C1、142C2に位置し、巻回部が収容部142B1の内部に収容されるように、軸部142Bに取り付けられる。また、端部161Aは、軸部142Bに軸支されるギア141の切欠部141Bに係合され、端部161Bは、軸部142Bに軸支されるギア141の切欠部141Cに係合される。
【0041】
角度センサ170は、2つの角度センサ170A、170Bを有する。角度センサ170A、170Bは、例えば、磁気センサで構成される。角度センサ170は、角度検出部の一例である。角度センサ170A、170Bは、それぞれ、第1角度検出部、第2角度検出部の一例である。
【0042】
角度センサ170Aは、
図9に示すように、基板125の下面に取り付けられている。角度センサ170Aの平面視での位置は、ギア141の回転中心近傍の位置である。角度センサ170Aでギア141と一体に回転する図示しない磁石の磁束の変化を検出することでギア141の回転角度(第1回転角度の一例)を検出するためである。
【0043】
角度センサ170Bは、
図10に示すように、台座120の軸部122Bの近くに配置される。角度センサ170Bの平面視での位置は、ギア142の回転中心近傍の位置である。角度センサ170Bでギア142と一体に回転する図示しない磁石の磁束の変化を検出することでギア142の回転角度(第2回転角度の一例)を検出するためである。なおロータ150は、ギア142と常に係合した状態で回転するため、角度センサ170Bにより検出したギア142の回転角度のデータを制御部へ送信し、ギア142とロータ150とのギア比とを基にして、ロータ150の回転角度を制御部により算出するようにしてもよい。
【0044】
以上のような構成の入力装置100において、操作者がロータ150を回転させようとして力をかけると、ギア152Aから歯車ユニット140のギア142に回転力が伝達され、捻りバネ160を介してギア141に回転力が伝達される。このときに、ウォームギア135がモータ130によって回転駆動されていなければ、ウォームホイール側からウォームギアを回転駆動することができないというウォームギアのセルフロック効果によって、ギア141がウォームギア135を回転しようとしても回転できない。そのため、ギア141とギア142との相対角度がゼロ度である初期状態(基準角度状態)から、ギア142がギア141に対して相対的に回転した相対角度状態となり、捻りバネ160の両端部の成す角度がさらに広げられて、捻りバネ160の両端部の成す角度が狭くなる方向に復元力を発生する。また、復元力の大きさは、ギア142とギア141の相対角度の大きさに比例して変化する。復元力は、付勢力の一例である。
【0045】
また操作者がロータ150を回転させようとして力をかけ、ギア152Aからギア142に回転力が伝達され、捻りバネ160を介してギア141に回転力が伝達されたときに、ウォームギア135がモータ130によって、ギア141の回転方向と逆方向に、ギア141の回転速度と同じ移動速度となるように回転駆動されていれば、ギア141は捻りバネ160を介してギア142により負荷なく回転される。したがって、ギア141とギア142とは相対角度がゼロ度である初期状態(基準角度状態)を保ったまま回転することができ、捻りバネ160の両端部の成す角度も変化しないため、捻りバネ160は復元力を発生しない。
【0046】
また操作者がロータ150を回転させようとして力をかけ、ギア152Aからギア142に回転力が伝達され、捻りバネ160を介してギア141に回転力が伝達されたときに、ウォームギア135がモータ130によって、ギア141の回転方向と逆方向に、ギア141の回転速度よりも遅い移動速度となるように回転駆動されると、ギア141とギア142との相対角度がゼロ度である初期状態(基準角度状態)から、上記移動速度の差の分だけギア141の回転が遅れてギア142と相対角度のある相対角度状態となる。したがって、上述したモータ130でウォームギア135を回転駆動しない場合と比べて、相対角度が小さく、捻りバネ160の両端部の成す角度が小さく広げられて、捻りバネ160は相対角度に応じた小さな復元力を発生する。
【0047】
捻りバネ160の復元力は、ギア141とギア142の相対角度をゼロ度である初期状態(基準角度状態)に戻す方向の回転トルクとしてギア142に作用し、ギア152Aを介してロータ150に回転トルクとして付加される。
【0048】
上述のように、モータ130によるウォームギアの回転駆動を制御することで、相対角度が無い状態から相対角度の様々な大きさの状態、すなわち復元力が無い状態から復元力の様々な大きさの状態まで、所望の状態を実現できる。
【0049】
また、捻りバネ160が広げられる際の相対角度の大きさの検出は、角度センサ170A及び角度センサ170Bで検出されるギア141及びギア142のそれぞれの回転角度に基づいて制御部にて計算して得ることができるため、制御部が検出した相対角度の大きさに応じてモータ130の駆動を制御して、捻りバネ160の復元力の大きさを制御することができる。
【0050】
このため、操作者がロータ150を回転させようとして力をかけると、ロータ150を回転操作する操作者の手には、大きさを制御された捻りバネ160の復元力に基づく回転トルクが付加されて力覚として作用することになる。
【0051】
このときに、制御部は、捻りバネ160の復元力をアシストする方向(相対角度がゼロ度となる方向)、又は、復元力を制限する方向(相対角度が大きくなる方向)にモータ130を駆動することによって、ロータ150を操作する操作者の手に力覚を与える。
【0052】
図11は、入力装置100の制御系を示す図である。
図11には、入力装置100の制御部180、モータ130、及び角度センサ170A、170Bに加えて、上位装置10を示す。
【0053】
図11では、モータ130と角度センサ170A、170Bとの間の構成(ウォームギア135、歯車ユニット140)を省くが、モータ130を回転駆動することにより、ウォームギア135、歯車ユニット140を介してロータ150に駆動力が伝達されるとともに、角度センサ170A、170Bが歯車ユニット140のギア141、142の回転角度を検出する。
【0054】
上位装置10は、例えば、車両に搭載されるナビゲーション装置やエアコンディショナ等の様々な装置のECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)である。上位装置10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0055】
上位装置10は、入力装置100の入力モードに応じて、入力装置100に操作が行われた際に提供する力覚に応じた力覚指令を表すデータをメモリに格納しており、選択された入力モードに応じた力覚指令を制御部180に出力する。なお、入力モードとは、例えば、ナビゲーション装置やエアコンディショナ等のいずれかの操作を行うモードであり、入力モードによって、ダッシュボードに設けられているディスプレイの表示内容がナビゲーション装置やエアコンディショナ等に切り替えられる。これらの入力モードに応じた力覚指令により、例えば、強いクリック感や弱いクリック感、又は連続する所定の回転負荷トルクなどの力覚が提供される。
【0056】
制御部180は、力覚パターン発生部181、トルク制御部182、及び角度追従制御部183を有する。
【0057】
力覚パターン発生部181は、角度センサ170A、170Bによって検出される回転量から、それぞれ、ギア141、142の基準角度に対する角度を求め、ギア141、142の基準角度に対する相対角度を求める。力覚パターン発生部181は、上位装置10から入力される力覚指令と、相対角度とに基づいてトルク指令を生成し、トルク制御部182に出力する。
【0058】
力覚パターン発生部181が相対角度を用いてロータ150の所定の角度に対するトルク指令を生成する際には、所定のFS(Force-Stroke)特性を利用して変換を行う。力覚パターン発生部181は、力覚指令の種類に応じたロータ150の所定の角度に対するトルクをストロークに変換し、変換したストロークをFS特性に当て嵌めて基準角度に対する相対角度に変換することによって、トルク指令を生成する。
【0059】
トルク制御部182は、力覚パターン発生部181から入力されるトルク指令が表す基準角度に対する相対角度をモータ130の回転軸135Aの回転角度に変換する変換処理を行うことによって、角度指令を生成する。トルク制御部182は、角度指令を角度追従制御部183に出力する。トルク制御部182は、捻りバネ160の復元力をアシストする方向、又は、復元力を制限する方向に相対角度が移動するようにモータ130の回転軸135Aの回転角度の角度指令を生成する。
【0060】
角度追従制御部183は、角度センサ170Bによって検出される回転角度からロータ150の基準角度に対する現在の角度を求めるとともに、角度センサ170A及び角度センサ170Bから、現在のギア141とギア142の相対角度を求める。角度追従制御部183は、トルク制御部182から入力される角度指令によるロータ150の所定の角度に対する目標相対角度と、現在のギア141とギア142の相対角度とに基づいてフィードバック制御を行うことによって、モータ130の駆動制御を行う駆動信号を生成する。
【0061】
角度追従制御部183は、ギア141とギア142の相対角度が、角度指令が表す角度に一致するように、駆動信号を生成する。駆動信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号であり、角度追従制御部183は、フィードバック制御によってデューティ比を決定する。
【0062】
以上のように、入力装置100は、ロータ150の回転に伴って回転する歯車ユニット140(ギア141、ギア142)及びウォームギア135と、ギア141、142の相対角度の増大を抑制する復元力を発生する捻りバネ160を含むとともに、復元力をアシスト又は制限するようにギア141、142の相対角度を変更するウォームギア135を回転駆動するモータ130を含む。
【0063】
そして、ロータ150が操作された際に、ギア141、142の相対角度に応じて、捻りバネ160の復元力をアシストする方向、又は、復元力を制限するようにウォームギア135の回転をモータ130により制御する。
【0064】
このような構成の入力装置100によって操作者の手に提供される力覚は、捻りバネ160の復元力の変化に伴って付加される回転トルクによって実現される。捻りバネ160の復元力をアシスト又は制限するためにウォームギア135を回転駆動するモータ130のトルクは、従来の装置のようにモータをロータに直結し、モータ自身の回転トルクの変化により力覚を実現する場合に比べて、モータ130の駆動トルクを大幅に低減することができる。
【0065】
このため、入力装置100は、従来の装置よりも小型のモータ130を用いる構成で、力覚を提供することができる。
【0066】
したがって、実施の形態によれば、小型化した入力装置100を提供することができる。
【0067】
また、モータの回転制御をモータ以外の場所に設けた角度センサ170に基づいて行っており、モータ自身には高精度の回転角度検出機構等を有する必要がないため、モータの回転制御に必要だった構造をモータに具備する必要が無くモータの構造を簡素化できるので、モータ130の小型化が可能である。
【0068】
また、ウォームギア135を用いているため、ウォームギア135のセルフロック効果を利用することにより、モータ130が復元力を制限するトルクを発生する場合に、モータ130の保持トルクが小さくて済む。このような観点からも、モータ130の小型化が可能であり、入力装置100の小型化を図ることができる。 また、捻りバネ160の復元力は、歯車ユニット140を介して歯数の大きいロータ150のギア152Aに接続されている。このため、捻りバネ160側から見ると、大きな減速比が得られるので、捻りバネ160の復元力が発生するトルクが小さくても、十分な力覚を提供することができる。このような観点からも入力装置100の小型化を図ることができる。
【0069】
また、モータ130の駆動トルクを時系列的に変化させることによって、様々な力覚を実現することができる。例えば、ナビゲーション装置やエアコンディショナ等の様々な装置の種類や操作内容によって力覚が異なるようにモータ130の駆動パターンを設けておけば、操作者は、力覚だけで操作内容の確認や操作の完了を知覚することができる。
【0070】
なお、以上では、モータ130の駆動軸130A及び回転軸135Aが中心軸Cに垂直である形態について説明したが、モータ130の駆動軸130A及び回転軸135Aは、中心軸Cに垂直ではなくてもよい。
【0071】
また、以上では、入力装置100がウォームギア135、歯車ユニット140(ギア141及びギア142)、及びギア152Aを含む形態について説明したが、これらのギア又は歯の構成は、上述した構成に限られず、他の構成であってもよい。
【0072】
また、以上では、捻りバネ160を用いる形態について説明したが、
図12及び
図13に示すように変形してもよい。
図12及び
図13は、実施の形態の変形例を示す図である。
【0073】
図12に示すように、
図1乃至
図10に示す台座120の代わりに台座120M1を含み、捻りバネ160の代わりに、
図13に示すトーションバネ160M1を含む構成であってもよい。
【0074】
台座120M1は、
図10に示す台座120の軸部122Bの代わりに、軸部122M1Bを有する。軸部122M1Bは、トーションバネ160M1に合わせて、円筒状の部材に、トーションバネ160M1を保持する切り欠き122M1B1を有する。
【0075】
トーションバネ160M1は、金属棒をクランク状に折り曲げたバネであり、
図13に示すように軸部122M1Bに取り付けられる。このようなトーションバネ160M1の下側の端部をギア141及びギア142に係合させ、上側の端部をギア141及びギア142に係合させれば、捻りバネ160を用いる場合と同様の動作を実現できる。すなわち、ギア141とギア142の成す相対角度が小さくなる方向に、トーションバネ160M1の復元力による付勢力を発生することができる。
【0076】
以上、本発明の例示的な実施の形態の入力装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0077】
尚、本国際出願は、2018年3月19日に出願した日本国特許出願2018−051381に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。