特許第6807534号(P6807534)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807534
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】ウェーブボックスの取付構造
(51)【国際特許分類】
   A21C 11/00 20060101AFI20201221BHJP
   A21C 11/24 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   A21C11/00 D
   A21C11/24 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-79824(P2019-79824)
(22)【出願日】2019年4月19日
(65)【公開番号】特開2020-174592(P2020-174592A)
(43)【公開日】2020年10月29日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】508229208
【氏名又は名称】株式会社金子製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】金子 敦弘
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭36−024881(JP,Y1)
【文献】 実公昭39−023795(JP,Y1)
【文献】 実公昭47−041413(JP,Y1)
【文献】 実開昭60−147285(JP,U)
【文献】 実開昭58−041397(JP,U)
【文献】 特開2001−193197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00 −15/04
A23L 7/109− 7/113
F16B 5/00 − 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地を所定幅の麺に細断するスリッターと、該スリッターの下流に配置されるウェーブボックスと、該スリッターにウェーブボックスを着脱自在に連結する取付け用プレートとを備えた製麺装置におけるウェーブボックスの取付構造であって、
ウェーブボックスの複数の仕切り板の板厚を等しく形成すると共に、最も外側に位置する左右の仕切り板にそれぞれボルト挿通孔を形成し、各ボルト挿通孔の内側から外側に突出する仕切用ボルトを設けると共に、突出した各仕切用ボルトに長ナットがねじ止めされ、
ウェーブボックスの左右外側に配置される一対の取付け用プレートにそれぞれボルト挿通孔を形成し、各ボルト挿通孔の外側から内側に突出するプレート用ボルトを設け、各プレート用ボルトを仕切用ボルトにねじ止めされている長ナットにねじ止めし、
プレート用ボルトと仕切用ボルトとにねじ止めされた長ナットを介してウェーブボックスと取付け用プレートとを固定するように構成したことを特徴とするウェーブボックスの取付構造。
【請求項2】
前記ウェーブボックスは、前記スリッターで細断された前記麺を受ける受け板と、該受け板の上面に立設された複数の前記仕切り板とを備え、各仕切り板の板厚が等しく形成された請求項1記載のウェーブボックスの取付構造。
【請求項3】
前記仕切用ボルトは、ハイテンションボルト又は頭付スタッドボルトにて形成された請求項1記載のウェーブボックスの取付構造。
【請求項4】
前記仕切用ボルトは頭付スタッドボルトにて形成され、前記ボルト挿通孔に挿通して溶着した請求項1記載のウェーブボックスの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製麺装置で使用されるウェーブボックスの寸法精度を高め、取り付け作業を容易にするウェーブボックスの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製麺時において、生地を細断するロール形状のスリッターと、スリッターの下流に配置され、細断された麺を小分けして個食数や量目を設定する仕切り枠形状のウェーブボックスが使用されている。
【0003】
このウェーブボックスは、小分け用の仕切り枠が設けられており、主に、ウェーブの付いた麺を製麺するために使用される。すなわち、このウェーブボックスの下流に麺を搬送するベルトコンベアが設置されている。そして、スリッターからウェーブボックスに排出される麺の速度よりもウェーブボックスからベルトコンベアへの搬送速度を遅く設定することで、ウェーブボックス内に停滞した麺にウェーブが形成される構成である。また、このウェーブボックスは、麺の個食数や個食ごとの量目を設定する目的でも使用されている。
【0004】
特許文献1に記載の製麺装置は、麺に手揉み風の変形を施すために、ウェーブボックスの下流に二つのベルトコンベアを備え、各ベルトコンベアの搬出速度を変えるように構成したものである。
【0005】
一方、製麺装置において、製麺する麺の太さや個食数、量目などに変更がある場合は目的に応じたウェーブボックスに交換する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3761876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の交換用のウェーブボックスは、ウェーブボックスの外側の仕切り板10のみが厚く形成されている(図8参照)。この仕切り板10には雌ねじ凹部12が形成されており(図7(イ)参照)、この雌ねじ凹部12にねじ止めする連結ボルト13で仕切り板10に取付け用プレートQを連結する(同図(ロ)参照)。そして、この取付け用プレートQをウェーブボックスRに連結し、ウェーブボックスRを取付ける構造であった。そのため、他の仕切りの幅よりも、この仕切り板10で仕切られた幅が微妙に狭くなっている(図8参照)。この結果、ウェーブボックスRの交換が可能な製麺装置では、仕切りの位置によって個食の分量などに僅かな相違が生じる不都合があった。
【0008】
すなわち、スリッターから排出される麺全体の幅が一定幅に設定されているので、この幅を基に各仕切り幅が設定されている。ところが、ウェーブボックスの両側の仕切り板10が他の仕切りより厚く形成されているので、両端部の仕切りの量目が均一にならない。しかも、両端部の仕切りに沿った麺の流れが悪くなるなどの不都合もあった。
【0009】
従来では、この仕切り板10による量目の相違が僅かなことから、このような不均衡は見逃されていた。ところが、個食の量目が少なくなるほど不均衡の比率が高まるので、量目を少量に設定するような状況が増えるにつれて、寸法精度の高いウェーブボックスの提供が望まれている。
【0010】
更に、交換用のウェーブボックスでは、ウェーブボックスRをスリッターPに連結する際に、取付け用プレートQを介して連結している(図8参照)。この取付け用プレートQは、ウェーブボックスRの取付け位置を調整するために、ウェーブボックスの両側の仕切り板10と取付け用プレートQとの間の多数のナット11を調整するものである(図7(ロ)参照)。
【0011】
ところが、これらのナット11の調整は、取付け用プレートQをスリッターPに取り付けた状態では困難になるため、予めウェーブボックスRに連結した状態でナット11を調整し、その後、ウェーブボックスRと共に取付け用プレートQをウェーブボックスRに連結する作業になっている(図8参照)。したがって、このウェーブボックスRが取付け用プレートQの連結作業の妨げになり、ウェーブボックスRの交換作業を困難にしていた。
【0012】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、ウェーブボックスの交換が可能な製麺装置において、ウェーブボックスの寸法精度を高めることができ、しかもウェーブボックスの交換作業も容易に行えるウェーブボックスの取付構造の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、生地Mを所定幅の麺Nに細断するスリッターPと、該スリッターPの下流に配置されるウェーブボックスRと、該スリッターPにウェーブボックスRを着脱自在に連結する取付け用プレートQとを備えた製麺装置におけるウェーブボックスRの取付構造であって、ウェーブボックスRの複数の仕切り板R3の板厚を等しく形成すると共に、最も外側に位置する左右の仕切り板R3にそれぞれボルト挿通孔R4を形成し、各ボルト挿通孔R4の内側から外側に突出する仕切用ボルトR1を設けると共に、突出した各仕切用ボルトR1に長ナットR2がねじ止めされ、ウェーブボックスRの左右外側に配置される一対の取付け用プレートQにそれぞれボルト挿通孔Q3を形成し、各ボルト挿通孔Q3の外側から内側に突出するプレート用ボルトQ1を設け、各プレート用ボルトQ1を仕切用ボルトR1にねじ止めされている長ナットR2にねじ止めし、プレート用ボルトQ1と仕切用ボルトR1とにねじ止めされた長ナットR2を介してウェーブボックスRと取付け用プレートQとを固定するように構成したものである。
【0014】
第2の手段において前記ウェーブボックスRは、前記スリッターPで細断された前記麺Nを受ける受け板R5と、該受け板R5の上面に立設された複数の前記仕切り板R3とを備え、各仕切り板R3の板厚が等しく形成されている。
【0015】
第3の手段の前記仕切用ボルトR1は、ハイテンションボルト又は頭付スタッドボルトにて形成されたものである。
【0016】
第4の手段の前記仕切用ボルトR1は頭付スタッドボルトにて形成され、前記ボルト挿通孔R4に挿通して溶着した構成とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1のごとく、プレート用ボルトQ1と仕切用ボルトR1とにねじ止めされた長ナットR2を介してウェーブボックスRを取付け用プレートQに固定するように構成したことで、従来の仕切り板10のように、ウェーブボックスの両側の仕切り板R3を厚く形成しなくてもウェーブボックスRを取付けることが可能になった。
【0018】
更に、長ナットR2を介してウェーブボックスRと取付け用プレートQとを固定する構成なので、この長ナットR2によるウェーブボックスRの位置調整は、取付け用プレートQをスリッターPに連結した状態でも行える。したがって、取付け用プレートQを予めスリッターPに固定した状態でもウェーブボックスRを連結することができ、ウェーブボックスRの交換作業を容易に行えるようになった。
【0019】
請求項2のように、ウェーブボックスRは、各仕切り板R3の板厚が等しく形成されているので、従来のように、個食ごとの量目に僅かな違いが生じるといった課題を解決した。また、従来の仕切り板10のように一部の仕切り板のみを厚く形成する必要がないので、ウェーブボックスRの製造工程も簡略化することができる。
【0020】
請求項3によると、仕切用ボルトR1を、ハイテンションボルト又は頭付スタッドボルトにて形成することで、仕切用ボルトR1の耐久性を著しく高めることができる。更に、ウェーブボックスRの連結強度も高まるものである。
【0021】
請求項4のごとく仕切用ボルトR1を頭付スタッドボルトにて形成し、ボルト挿通孔R4に挿通して溶着した構成にすると、ボルト挿通孔R4を形成した仕切り板R3の強度まで高めることができる。この結果、仕切用ボルトR1の支持強度と共に、ウェーブボックスRの支持強度を高めることも可能になり、ウェーブボックスRに大量の麺Nを受ける際も安定した支持ができる。
【0022】
しかも、ボルト挿通孔R4に仕切用ボルトR1を溶着した状態でウェーブボックスRの交換作業ができるので、この交換作業が極めて容易になる。
【0023】
このように本発明によると、ウェーブボックスの各仕切りの幅を正確にすることができ、しかもウェーブボックスの交換作業も容易にすることができるなどといった当初の目的を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の取付構造を備えた製麺装置の一実施例を示す側面図である。
図2】本発明の取付構造を示す製麺装置の要部側面図である。
図3】本発明の取付構造を示す製麺装置の要部正面図である。
図4】本発明の取付構造を示す製麺装置の要部分解正面図である。
図5】本発明の取付構造を示す製麺装置の要部拡大正面図である。
図6】(イ)〜(ハ)は、本発明のウェーブボックスと取付け用プレートとを連結する工程を示す要部拡大正面図である。
図7】(イ)、(ロ)は、従来の取付構造の工程を示す要部拡大正面である。
図8】従来の取付作業を示す要部分解正面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明は製麺装置SにおけるウェーブボックスRの取付構造である。この製麺装置Sには、生地Mを細断するスリッターPと、細断された麺Nを受けるウェーブボックスRと、麺Nを搬送するベルトコンベアTとを備えている(図1参照)。このウェーブボックスRは、スリッターPのハウジングP2にスリッター用ボルトP1で着脱自在に連結するものである(図2参照)。
【0026】
図示のウェーブボックスRは、スリッターPで細断された麺を受ける受け板R5と、この受け板R5の上面に立設された複数の仕切り板R3とを備えている(図4参照)。そして、各仕切り板R3の板厚及び仕切り板R3相互の間隔は等しく形成されており、この間に、スリッターPで細断した麺Nを送り込むと、各仕切り板R3の間で個食ごとの量目に正確に分けられる(図3参照)。
【0027】
このウェーブボックスRの複数の仕切り板R3の中で最も外側に位置する左右の仕切り板R3にそれぞれボルト挿通孔R4を形成する(図5参照)。更に、各ボルト挿通孔R4の内側から外側に突出する仕切用ボルトR1を設ける(図6(イ)参照)。そして、ボルト挿通孔R4から突出した各仕切用ボルトR1の先端側に長ナットR2を配置する(同図(ロ)参照)。そして、仕切用ボルトR1に長ナットR2をねじ止めする(同図(ハ)参照)。
【0028】
一方、取付け用プレートQは、ウェーブボックスRの左右外側に平行に配置される一対の連結用部材で、この取付け用プレートQを介してウェーブボックスRをスリッターPに連結する(図3参照)。各取付け用プレートQには、それぞれボルト挿通孔Q3を形成している(図6(イ)参照)。更に、プレート用ボルトQ1を設け、各ボルト挿通孔Q3の外側から内側に突出させる(同図(ロ)参照)。そして、各プレート用ボルトQ1を長ナットR2にねじ止めし、ウェーブボックスRと取付け用プレートQとを連結する(同図(ハ)参照)。
【0029】
仕切用ボルトR1は、鋼製ボルトの他、ハイテンションボルトや頭付スタッドボルトなどを使用して形成することができる。更に、頭付スタッドボルトにて形成した仕切用ボルトR1をボルト挿通孔R4に挿通して溶着することで、仕切用ボルトR1の支持強度と共に、この仕切用ボルトR1を溶着した仕切り板R3の支持強度を高めることができる。
【0030】
また、長ナットR2の長手両端部は仕切り板R3と取付け用プレートQとのいずれか一方又は両方に当接するように連結される。図示例では、仕切用ボルトR1にスタッドボルトを溶着した例を示しており、長ナットR2の一端部は取付け用プレートQに当接している(図6(ハ)参照)。
【0031】
また、長ナットR2の当接位置は任意に変更することが可能であり、長ナットR2の端部が接触した側のボルトの支持力を高めることができる。仮に、鋼製ボルト製の仕切用ボルトR1を使用した場合は、長ナットR2の端部を仕切り板R3に当接させると鋼製ボルトの支持力を高めることができる。仮に、両端部がウェーブボックスRと取付け用プレートQとに同時に当接する連結が可能になる場合は、最も強力な支持力が得られることになる。
【0032】
図示の取付け用プレートQは、プレート体Q2と連結体Q4とを備えている(図6(ハ)参照)。プレート体Q2は、ウェーブボックスRの仕切り板R3と平行に配置される板状部材である。このプレート体Q2にボルト挿通孔Q3を形成している(同図(イ)参照)。
【0033】
一方、連結体Q4は、プレート体Q2のハウジングP2側端部に設けられている連結部位で、プレート体Q2の外側面に突設されている(図6(ハ)参照)。そして、スリッターPのハウジングP2の外側から内側に突出するスリッター用ボルトP1で、この連結体Q4をねじ止めすると、取付け用プレートQがスリッターPに連結される(図5参照)。
【0034】
この取付け用プレートQは、ウェーブボックスRに連結する前に、予めスリッターPに連結しておくことができる(図4参照)。すなわち、個食数や個食の量目が異なる異なったウェーブボックスRに交換する場合、予めスリッターPのハウジングP2に取付け用プレートQを連結しておくと、ウェーブボックスRの取付作業は、プレート用ボルトQ1をウェーブボックスR側の長ナットR2に連結するだけの簡単な作業になる。その後、長ナットR2を調整しウェーブボックスRの位置調整を行うことができる。
【0035】
更に、ウェーブボックスRと取付け用プレートQとの間に仕切り板R3を使用したことで、これまでにないスペースが生じる。このスペースは、スリッターPから流れてくる麺Nの一部をウェーブボックスRの外へ流すような場合に有効利用することも可能になった。
【0036】
尚、本発明において図示例に限定されるものではなく、仕切用ボルトR1やプレート用ボルトQ1等の数や形状あるいは材質等は任意に変更することができる。また、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更も自由に行える。
【符号の説明】
【0037】
M 生地
N 麺
P スリッター
P1 スリッター用ボルト
P2 ハウジング
Q 取付け用プレート
Q1 プレート用ボルト
Q2 プレート体
Q3 ボルト挿通孔
Q4 連結体
R ウェーブボックス
R1 仕切用ボルト
R2 長ナット
R3 仕切り板
R4 ボルト挿通孔
R5 受け板
S 製麺装置
T ベルトコンベア
10 従来の仕切り板
11 ナット
12 雌ねじ凹部
13 連結ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8