(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807570
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】水面の浮遊ごみ捕集装置
(51)【国際特許分類】
E02B 15/00 20060101AFI20201221BHJP
B63B 35/32 20060101ALI20201221BHJP
B63B 35/38 20060101ALI20201221BHJP
B63B 43/02 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
E02B15/00 Z
B63B35/32 C
B63B35/38 B
B63B43/02
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-149341(P2016-149341)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-17064(P2018-17064A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】508352506
【氏名又は名称】株式会社琳聡堂
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】浅田 浩司
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−136647(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3010143(JP,U)
【文献】
特開2002−002881(JP,A)
【文献】
特開2006−172017(JP,A)
【文献】
特開2007−319002(JP,A)
【文献】
特開2003−080243(JP,A)
【文献】
特開平05−285474(JP,A)
【文献】
特開平09−155340(JP,A)
【文献】
特開2014−108372(JP,A)
【文献】
特開平09−047609(JP,A)
【文献】
特開2016−022452(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0185618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 15/00−15/10
B63B 35/32
B63B 35/38
B63B 43/02
C02F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口とし、底面にバランス調整用のウェイトを備えた容器本体を有し、その容器本体の開口外縁の近傍に複数のフロートを連結し、かつ、容器本体内には分別用のネットを設け、かつ、容器内に流入した水の汲み出し機構を備えており、前記した容器本体の上面開口は円形としてあり、前記した水の汲み出し機構は、モーターを駆動源とするポンプであることとし、前記したポンプを備えた機構の上面にはモーターの電源として利用するソーラーパネルが備えられている水面の浮遊ごみ捕集装置において、前記したポンプを備えた機構の汲み上げ管の下端は容器本体の底面近くに位置されていることを特徴とする水面の浮遊ごみ捕集装置。
【請求項2】
上面開口とし、底面にバランス調整用のウェイトを備えた容器本体を有し、その容器本体の開口外縁の近傍に複数のフロートを連結し、かつ、容器本体内には分別用のネットを設け、かつ、容器内に流入した水の汲み出し機構を備えており、前記した容器本体の上面開口は円形としてあり、前記した水の汲み出し機構は、モーターを駆動源とするポンプであることとし、前記したポンプを備えた機構の上面にはモーターの電源として利用するソーラーパネルが備えられている水面の浮遊ごみ捕集装置において、前記したポンプを備えた機構の汲み上げ管の下端は容器本体内に流入する水の表面近くに位置されていることを特徴とする水面の浮遊ごみ捕集装置。
【請求項3】
前記した容器本体の壁面で、開口縁近くとなる上方位置に複数の窓孔を形成してあることを特徴とする請求項2に記載の水面の浮遊ごみ捕集装置。
【請求項4】
前記したウェイトは容器本体の二重底内に収納されていることを特徴とする請求項1から3のうち1項に記載の水面の浮遊ごみ捕集装置。
【請求項5】
前記したウェイトとして、前記モーター(11)の電源を補助するためのバッテリーを使用していることを特徴とする請求項1から4のうち1項に記載の水面の浮遊ごみ捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水面、例えば海、河川、湖沼、池、その他プール等の人工的貯水施設の水面に浮遊しているごみを自動的に捕集するための水面の浮遊ごみ捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記した水面の浮遊ごみは、船、ボート等を利用するか、岸辺からの掻き寄せによる人力に頼った手作業で捕集されるもので、非常に煩わしく時間も人件費もかかってしまうものであった。また、場合によっては、かかる作業も行われることがなく、そのまま放置状態とされ、景観を悪化させるとともに悪臭の原因ともなり、健康にも悪影響を及ぼしてしまうものとなっていた。
【0003】
また、時として、船舶からのオイル漏れ等も発生し、その水面に比重や界面張力で浮かぶオイルの回収はでき得ないか、非常に困難なものとなっている。
【0004】
さらに、水面に浮遊するごみは、プラスチック製の袋、ペットボトル、紙屑、古布、空き缶、煙草の吸殻、木端等々多種多様なものが存在しており、そのごみを個別に捕集することは不可能に近い困難な作業となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
出願人は、本願発明に関して先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似していると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明が解決しようとする問題点は、従来、水面に浮遊している多種の雑多なごみを大掛かりな設備を不要とし、自動的に捕集する装置の存在はなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題点を解決するために、本発明に係る水面の浮遊ごみ捕集装置は、上面開口とし、底面にバランス調整用のウェイトを備えた容器本体を有し、その容器本体の開口外縁の近傍に複数のフロートを連結し、かつ、容器本体内には分別用のネットを設け、かつ、容器内に流入した水の汲み出し機構を備えて
おり、前記した容器本体の上面開口は円形としてあり、前記した水の汲み出し機構は、モーターを駆動源とするポンプであることとし、前記したポンプを備えた機構の上面にはモーターの電源として利用するソーラーパネルが備えられている水面の浮遊ごみ捕集装置において、前記したポンプを備えた機構の汲み上げ管の下端は容器本体の底面近くに位置されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る水面の浮遊ごみ捕集装置は、
上面開口とし、底面にバランス調整用のウェイトを備えた容器本体を有し、その容器本体の開口外縁の近傍に複数のフロートを連結し、かつ、容器本体内には分別用のネットを設け、かつ、容器内に流入した水の汲み出し機構を備えており、前記した容器本体の上面開口は円形としてあり、前記した水の汲み出し機構は、モーターを駆動源とするポンプであることとし、前記したポンプを備えた機構の上面にはモーターの電源として利用するソーラーパネルが備えられている水面の浮遊ごみ捕集装置において、前記したポンプを備えた機構の汲み上げ管の下端は容器本体内に流入する水の表面近くに位置されていることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明に係る水面の浮遊ごみ捕集装置は、
前記した容器本体の壁面で、開口縁近くとなる上方位置に複数の窓孔を形成してあることを特徴としている。
【0010】
そして、本発明に係る水面の浮遊ごみ捕集装置は、前記したウェイトは容器本体の二重底内に収納されていることを特徴とし、前記したウェイトとして、
前記モーター(11)の電源を補助するためのバッテリーを使用していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る水面の浮遊ごみ捕集装置は上記のように構成されている。そのため、容器本体の開口縁を水面と略同一面に保持させることができ、その容器本体に重量が加えられることで、水面の浮遊ごみは表面張力で支承された状態で、その水面の水とともに容器内に流入することとなり、そのごみはネットで受け止めることとなり、他の水はネットを通過して容器内に溜まるが、この溜まった水は汲み出し機構で周域へ放水するので容器の位置状態を保持することができ、後にネットに捕集されたごみを廃棄することとなり、水面の浮遊ごみは大掛かりな設備を必要とすることなく、自然で自動的に捕集することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、
図1及び
図2を参照して、本発明の第一実施例を説明する。図中1は容器本体を示しており、この容器本体1は金属、もしくはプラスチックによって全体を成形されている。この容器本体1は上面に円形をした開口2を形成し、その開口2から下方に向けて徐々に径を小さくした筒状となっている。この容器本体1の底部分は二重底3となっており、ウェイトを収納することができるようになっているもので、この二重底3の施蓋は内側からでも外側からでも選択して行なうことができる。
【0015】
また、容器本体1の開口2の縁部外側には複数、例えば120度ピッチで三個のフロート4、4‥が支持バー4a、4a‥を介して連接させており、容器本体1の沈下を防止している。
【0016】
容器本体1の開口2の内縁には、ごみ集積用のネット5がその周縁を止着されて設けられており、このネット5はごみRが集積して下方へ沈んで行っても、二重底3の上面には接触しない大きさと弛みを有したものとなっている。このネット5は、そのメッシュを選択調整することで、液体で水と混合しないオイルにも透過させずに溜めることも可能となる。ごみRと共に開口2から流入した水はネット5を通過して容器本体1内に蓄積されていく。
【0017】
一方、図中6、6‥は容器本体1内にごみRと共に流入した水を
外部へ汲み出し放出するためのホースを示しており、本実施例では、前記したフロート4、4‥の上方を跨ぐように設置されている。このホース6、6‥は逆U字状に設置され、その両端開口は容器本体1内の水及び外部の水へ挿入されている。その最頂内部の気圧を大気圧以下とするため、当初に負圧を作り、ホース6、6‥内に水を満たす作業をするための手動ポンプ7、7‥がそのホース6、6‥の最頂部分に設けられている。
【0018】
この第一実施例にあって、容器本体1を水面に投下すると、ウェイトの作用で容器本体1は開口2を水面と略同一面もしくは水面より少々下った面として保持される。すると、水面の表面張力作用によって、水面の水はごみRを支承したまま開口2の縁を乗り越えて容器本体1内に流入することとなる。この流入によってごみRは、ネット5によって受け止められ、水はそのネット5を通過して容器本体1内に溜まっていくが、この溜まった水はホース6、6‥によって汲み上げられ、容器本体1外へ放出されることとなり、水面に浮遊している雑多なごみRをネット5で捕集することができ、その後にネット5ごとごみRを回収して廃棄処分することができる。
【実施例2】
【0019】
次いで、
図3を参照して本願発明の第二実施例を説明する。第一実施例と共通する部分は同一の符号を付して詳しい説明は省略する。この第二実施例では複数の排水パイプ10、10‥をフロート4、4‥で支承する構成で汲み出し機構が設けられている。複数の排水パイプ10、10‥の先端開口は水内には挿入されていないが、サイズによっては先端が水内に挿入されていてもよい。
【0020】
この汲み出し機構は上面にモーター11を搭載しており、このモーター11の駆動力でポンプを作動させ、汲み上げパイプ12によって容器本体1内に溜まった水を汲み上げ、前記排水パイプ10、10‥から外部に排水する。この第二実施例にあっては、汲み上げパイプ12の下面開口(汲み上げ口)に二重底3の近傍まで延設されており、溜まった水の底部分からの汲み上げを行なうものとしている。また、この汲み上げパイプ12はネット5を避けて容器本体1内で片寄せられるが、屈曲したパイプとすることもでき、或いはネット5に汲み上げパイプ12の挿通孔を形成してもよい。
【0021】
また、汲み出し機構の上面にはモーター11の電源としてソーラーパネル13が設けられているもので、加えて、ウェイトと兼用させるバッテリー14も二重底3内に収納されており、電源を補助し、確保する構成となっている。
【実施例3】
【0022】
続けて、
図4を参照して本願発明の第三実施例を説明する。第一実施例、第二実施例と共通する部分は同一の符号を付して詳しい説明は省略する。この第三実施例では複数の排水パイプ10、10‥は、容器本体1の上面開口2の縁で支承されているもので、フロート4、4‥もこの支承を補助している。
【0023】
この第三実施例では、容器本体1の周壁に、開口縁近くで複数の窓孔15、15‥が形成されており、この窓孔15、15‥を水面と対応させた構成としており、水とごみRはこの窓孔15、15‥を通って容器本体1内へ流入するものとしている。
【0024】
また、この第三実施例にあっては汲み上げパイプ12aの下端開口は容器本体1内の溜まった水の水面近くに位置される構成となっている。
【0025】
本実施例に係る水面の浮遊ごみ捕集装置は上記のように構成されているもので、容器本体1はワイヤ、或いはロープで岸や作業船に繋留しておくと、回収に便利である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本実施例に係る容器本体は、底に向かって徐々に径を小さくした円筒状としてあるが、開口2の形状は水とごみの流入に際して表面張力との関係から円形であることが望ましいが、本体胴部の形状は円筒状に特にこだわるものではない。
【符号の説明】
【0027】
1 容器本体
2 開口
3 二重底
4 フロート
4a 支持バー
5 ネット
6 ホース
7 手動ポンプ
10 排水パイプ
11 モーター
12、12a 汲み上げパイプ
13 ソーラーパネル
14 バッテリー
15 窓孔
R ごみ