特許第6807613号(P6807613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6807613スーツブロワおよびこれを用いたチューブ型熱交換器の洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807613
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】スーツブロワおよびこれを用いたチューブ型熱交換器の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   F23J 3/00 20060101AFI20201221BHJP
   F28G 1/16 20060101ALI20201221BHJP
   F28G 1/12 20060101ALI20201221BHJP
   F28G 15/04 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F23J3/00 101B
   F23J3/00 101Z
   F23J3/00 A
   F28G1/16 A
   F28G1/12 F
   F28G15/04
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-517377(P2019-517377)
(86)(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公表番号】特表2019-534439(P2019-534439A)
(43)【公表日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】KR2016012013
(87)【国際公開番号】WO2018074644
(87)【国際公開日】20180426
【審査請求日】2019年4月1日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0135297
(32)【優先日】2016年10月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516145600
【氏名又は名称】ジースコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】ホン ソン ホ
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−234711(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/076472(WO,A1)
【文献】 特表2016−540953(JP,A)
【文献】 特表2003−506664(JP,A)
【文献】 特開平08−178588(JP,A)
【文献】 特開平05−033920(JP,A)
【文献】 特開平09−089497(JP,A)
【文献】 特開2010−249363(JP,A)
【文献】 特許第2571995(JP,B2)
【文献】 実開昭59−170735(JP,U)
【文献】 米国特許第04649987(US,A)
【文献】 実開平05−052592(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 3/00
F28G 1/12
F28G 1/16
F28G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通過する流路を含み前記流路上に位置するチューブ型熱交換器を洗浄するスーツブロワにおいて、
前記流路の流入口の表面上で一方向に沿って往復する一端部を含むランスチューブと、
前記ランスチューブと連結されて前記ランスチューブを前記一方向に往復させ、前記ランスチューブを時計方向および反時計方向に回転させる駆動部と、
前記ランスチューブの前記一端部に連結されて前記流入口に蒸気を噴射する第1ノズルと、
前記第1ノズルと隣り合って前記ランスチューブの一端部に連結され、前記流入口に固体粒子を噴射する第2ノズルとを含
前記駆動部と隣り合って前記ランスチューブの前記一端部を囲む、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルを整備するノズル整備チャンバーをさらに含み、
前記ノズル整備チャンバーは、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルを露出し選択された形態の前記第1ノズルおよび前記第2ノズルに交換することを可能にするゲートを含み、
前記ランスチューブと連結されて前記ランスチューブを時計方向および反時計方向に回転させる回転駆動ユニットを含み、
前記回転駆動ユニットは、前記ランスチューブを前記時計方向または前記反時計方向に0°超過180°以下の範囲まで回転させる、
スーツブロワ。
【請求項2】
前記駆動部は、
前記ランスチューブと連結されて前記ランスチューブを前記一方向に往復させる往復駆動ユニットを含む請求項1に記載のスーツブロワ。
【請求項3】
前記回転駆動ユニットは、周期的に前記ランスチューブの回転方向を切換させる、請求項2に記載のスーツブロワ。
【請求項4】
前記往復駆動ユニットは、
前記ランスチューブ上に位置するスライディングガイド部と、
前記スライディングガイド部に沿って往復運動するスライディング部と、
前記スライディング部と前記ランスチューブの間を連結する連結部とを含む、請求項2に記載のスーツブロワ。
【請求項5】
前記ランスチューブの内部を貫通し、前記第1ノズルと連通する第1チューブと、
前記ランスチューブの内部を貫通し、前記第2ノズルと連通する第2チューブとをさらに含む、請求項1に記載のスーツブロワ。
【請求項6】
前記第1チューブと連結され、前記第1チューブに前記蒸気を供給する蒸気供給部と、
前記第2チューブと連結され、前記第2チューブに前記固体粒子を供給する固体粒子供給部とをさらに含む、請求項5に記載のスーツブロワ。
【請求項7】
前記固体粒子供給部は複数のサブ粒子供給部を含み、
前記複数のサブ粒子供給部それぞれは互いに異なる固体粒子を前記第2チューブに供給する、請求項6に記載のスーツブロワ。
【請求項8】
前記互いに異なる固体粒子はドライアイスペレット、氷粒、およびサンドのうちの少なくとも一つを含む、請求項7に記載のスーツブロワ。
【請求項9】
前記第2ノズルは、前記第1ノズルに比べてさらに長い、請求項1に記載のスーツブロワ。
【請求項10】
前記第2ノズルは、前記第1ノズルと異なる形状である、請求項1に記載のスーツブロワ。
【請求項11】
前記第2ノズルと隣り合って前記ランスチューブの最外郭部に位置し、
前記第2ノズルに比べてさらに長いノズルプロテクターをさらに含む、請求項1に記載のスーツブロワ。
【請求項12】
前記第1ノズルは、前記第2ノズルに対して0°超過180°以下の角度範囲を有するように配置される、請求項1に記載のスーツブロワ。
【請求項13】
流体が流路上で熱交換を行うチューブ型熱交換器を洗浄する洗浄方法において、
前記流路の流入口の表面上で一方向に沿って往復および回転するスーツブロワによって蒸気を噴射する段階と、
前記流入口の表面上で前記一方向に沿って往復および回転する前記スーツブロワによって固体粒子を噴射する段階とを含
前記スーツブロワは、駆動部と隣り合ってランスチューブの前記一端部を囲む、複数のノズルを整備するノズル整備チャンバーをさらに含み、
前記ノズル整備チャンバーは、前記複数のノズルを露出し選択された形態の前記複数のノズルに交換することを可能にするゲートを含み、
前記ランスチューブと連結されて前記ランスチューブを時計方向および反時計方向に回転させる回転駆動ユニットを含み、
前記回転駆動ユニットは、前記ランスチューブを前記時計方向または前記反時計方向に0°超過180°以下の範囲まで回転させる、
チューブ型熱交換器の洗浄方法。
【請求項14】
前記蒸気を噴射する段階は、
前記流入口の表面に蒸気温度90℃〜300℃、圧力10kg/cm2g〜50kg/cm2gで高温の蒸気を噴射する段階を含む、請求項13に記載のチューブ型熱交換器の洗浄方法。
【請求項15】
前記固体粒子を噴射する段階は、
前記流入口の表面に0.5kg/cm2g〜20kg/cm2gの圧力でドライアイスペレットを噴射する段階と、
前記流入口の表面に0.5kg/cm2g〜30kg/cm2gの圧力で氷粒またはサンドを噴射する段階とを含む、請求項13に記載のチューブ型熱交換器の洗浄方法。
【請求項16】
前記流入口の表面上で前記一方向に沿って往復する前記スーツブロワの移動速度は可変的である、請求項13に記載のチューブ型熱交換器の洗浄方法。
【請求項17】
前記スーツブロワは、前記一方向と並んだ回転軸を中心に時計方向または反時計方向に沿って回転する、請求項13に記載のチューブ型熱交換器の洗浄方法。
【請求項18】
前記スーツブロワは周期的に回転方向が転換される、請求項17に記載のチューブ型熱交換器の洗浄方法。
【請求項19】
複数の前記ノズルは同一物質を噴射する、請求項13に記載のチューブ型熱交換器の洗浄方法。
【請求項20】
前記スーツブロワは第1ノズルと第2ノズルとを含み、
前記第1ノズルは前記蒸気を噴射し、
前記第2ノズルは前記固体粒子を噴射する、請求項13に記載のチューブ型熱交換器の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーツブロワおよびこれを用いたチューブ型熱交換器の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃焼炉のチューブや廃熱熱交換器などはチューブ束が繰り返して配置されている形態である。これら熱交換器チューブに燃焼中に発生した粉塵や汚染物質がたまると熱効率が低下するので、周期的にこれらを除去しなければならない。
【0003】
現在は、主に圧縮空気やスチームなどを使用してこれら汚染物質を除去している。
【0004】
しかし、これらの設備で一部の汚染物質は、圧縮空気やスチームなどでは除去がうまくいかない場合がある。そして、セメント工場の廃熱ボイラーでチューブなどの汚染物質の除去のために、セメントの品質低下の可能性でスチームなどを使用することができない。一方、バイオマスボイラーのチューブなどもスチームを使用する場合、塩素(Cl)などによるチューブ腐食が増加して使用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、チューブ型熱交換器を容易に洗浄するスーツブロワおよびチューブ型熱交換器の洗浄方法を提供する。
【0006】
また、本発明が解決しようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は下記の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例によるスーツブロワは、流体が通過する流路を含み流路上に位置するチューブ型熱交換器を洗浄するスーツブロワであって、流路の流入口の表面上で一方向に沿って往復する一端部を含むランスチューブと、ランスチューブと連結されてランスチューブを一方向に往復させ、ランスチューブを時計方向および反時計方向に回転させる駆動部と、ランスチューブの一端部に連結されて流入口に蒸気を噴射する第1ノズルと、第1ノズルと隣り合ってランスチューブの一端部に連結され、流入口に固体粒子を噴射する第2ノズルとを含む。
【0008】
駆動部は、ランスチューブと連結されてランスチューブを一方向に往復させる往復駆動ユニットと、ランスチューブと連結されてランスチューブを時計方向および反時計方向に回転させる回転駆動ユニットとを含むことができる。
【0009】
回転駆動ユニットは、周期的にランスチューブの回転方向を転換させることができる。
【0010】
回転駆動ユニットは、ランスチューブを時計方向または反時計方向に0°超過180°以下の範囲まで回転させることができる。
【0011】
往復駆動ユニットは、ランスチューブ上に位置するスライディングガイド部と、スライディングガイド部に沿って往復運動するスライディング部と、スライディング部とランスチューブの間を連結する連結部とを含むことができる。
【0012】
ランスチューブの内部を貫通し、第1ノズルと連通する第1チューブと、ランスチューブ内部を貫通し、第2ノズルと連通する第2チューブとをさらに含むことができる。
【0013】
第1チューブと連結され、第1チューブに蒸気を供給する蒸気供給部および第2チューブと連結され、第2チューブに固体粒子を供給する固体粒子供給部をさらに含むことができる。
【0014】
固体粒子供給部は、複数のサブ粒子供給部を含み、複数のサブ粒子供給部それぞれは互いに異なる固体粒子を第2チューブに供給することができる。
【0015】
互いに異なる固体粒子は、ドライアイスペレット、氷粒およびサンドのうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
第2ノズルは、第1ノズルに比べてさらに長くても良い。
【0017】
第2ノズルは、第1ノズルと異なる形状であってもよい。
【0018】
第2ノズルと隣り合ってランスチューブの最外郭部に位置し、第2ノズルに比べてさらに長いノズルプロテクターをさらに含むことができる。
【0019】
駆動部と隣り合ってランスチューブの一端部を囲むノズル整備チャンバーをさらに含むことができる。
【0020】
ノズル整備チャンバーは、第1ノズルおよび第2ノズルを露出するゲートを含むことができる。
【0021】
第1ノズルは第2ノズルに対して、0°超過180°以下の角度範囲を有するように配置され得る。
【0022】
本発明の他の実施例によるチューブ型熱交換器の洗浄方法は、流体が流路上で熱交換を行うチューブ型熱交換器を洗浄することで、流路の流入口の表面上で一方向に沿って往復および回転するスーツブロワによって蒸気が噴射される段階および流入口の表面上で一方向に沿って往復および回転するスーツブロワによって固体粒子が噴射される段階を含む。
【0023】
蒸気が噴射される段階は、流入口の表面に蒸気温度90℃〜300℃、圧力10kg/cmg〜50kg/cmgで高温の蒸気を噴射する段階を含むことができる。
【0024】
固体粒子が噴射される段階は、流入口の表面に0.5kg/cmg〜20kg/cmgの圧力でドライアイスペレットを噴射する段階と、流入口の表面に0.5kg/cmg〜30kg/cmgの圧力で氷粒またはサンドを噴射する段階とを含むことができる。
【0025】
流入口の表面上で一方向に沿って往復するスーツブロワの移動速度は可変的であり得る。
【0026】
スーツブロワは、一方向と並んだ回転軸を中心に時計方向または反時計方向に沿って回転することができる。
【0027】
スーツブロワは、周期的に回転方向が転換されることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、チューブ型熱交換器を容易に洗浄するスーツブロワおよびチューブ型熱交換器の洗浄方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】チューブ型熱交換器を洗浄する一実施例によるスーツブロワを示した図である。
図2図1のスーツブロワがチューブ型熱交換器の汚染物質を除去する原理を示した図である。
図3】一実施例によるスーツブロワを示した図である。
図4図3のスーツブロワのランスチューブを回転する駆動部を示した図である。
図5図3に示されたノズル整備チャンバーの底部を示した図である。
図6図3に示された第1ノズルおよび第2ノズルのノズル口を概略的に示した図である。
図7図6の一変形例を示した図である。
図8図6の他の変形例を示した図である。
図9】他の実施例によるスーツブロワを示した図である。
図10図9のスーツブロワの作動原理を正面から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明すると、以下のとおりである。ただし、本発明を説明するにあたって、既に公知である機能または構成に対する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0031】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付与する。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示しており、本発明が必ずしも図示されたものに限定されるわけではない。
【0032】
図面では様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示している。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示している。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あるというとき、これは他の部分の“直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0033】
以下、図1乃至図4を参照して一実施例によるスーツブロワを説明する。
【0034】
図1は、チューブ型熱交換器を洗浄する一実施例によるスーツブロワを示した図である。
【0035】
図1に示されているように、一実施例によるスーツブロワ1000は、チューブ型熱交換器10を洗浄する。チューブ型熱交換器10は、流体Fが通過する流路11を含み、流体Fから熱を回収して外部に供給を行う。チューブ型熱交換器10の流路11は、流体Fが流入する流入口11aを含む。ここで、チューブ型熱交換器10はボイラーの過熱器、再熱器または廃熱回収熱交換器などが挙げられるが、これに限定されない。チューブ型熱交換器10は、従来の多様な形態を有することができる。
【0036】
図2は、図1のスーツブロワがチューブ型熱交換器10に存在する汚染物質Pを除去する原理を示した図である。図2に示されているように、本実施例のスーツブロワ1000から噴射される蒸気または固体粒子によって熱交換器チューブTの表面に付着している汚染物質Pが除去される様子を概略的に示している。
【0037】
このとき、本実施例のスーツブロワ1000から噴射される蒸気または固体粒子によって熱交換器チューブTの表面から除去された汚染物質をP’に示した。
【0038】
図2のように熱交換器チューブTの表面から汚染物質Pを除去するために、以下では図3乃至図10を参照して本発明の一実施例によるスーツブロワ1000について詳しく説明する。
【0039】
図3は、図1に示されたスーツブロワ1000をより詳しく示した図である。
【0040】
図1および図3に示されているように、スーツブロワ1000は単数または複数であり、複数のスーツブロワ1000それぞれは、チューブ型熱交換器10の流路11の流入口11aの表面上に水平に多数設置され得る。
【0041】
スーツブロワ1000はランスチューブ100、駆動部200、第1ノズル300、第2ノズル400、第1チューブ500、第2チューブ600、蒸気供給部700、固体粒子供給部800、ノズルプロテクター900、およびノズル整備チャンバー950を含む。
【0042】
ランスチューブ100は、チューブ型熱交換器10の流路11の流入口11aの表面上で一方向Xに沿って往復する一端部101を含む。
【0043】
ここで、一方向Xとは、チューブ型熱交換器10を通じる流体Fの移動方向と交差する順方向であってもよいが、これに限定されない。
【0044】
図4は、図3にスーツブロワのランスチューブを回転する駆動部を示した図である。
【0045】
図3および図4を参照して本実施例の駆動部200について説明する。
【0046】
駆動部200は、ランスチューブ100と連結されてランスチューブ100を一方向Xに往復させる往復駆動ユニット210と、ランスチューブ100と連結されてランスチューブ100を一方向Xに時計方向および反時計方向に回転させる回転駆動ユニット220とを含む。
【0047】
このような本発明の駆動部200によって本実施例によるランスチューブ100は、往復駆動ユニット210によって一方向Xに沿って往復運動すると同時に回転駆動ユニット220によって回転運動を一緒にすることができるので、熱交換器チューブTに対する洗浄面積を拡大して能力をさらに向上させることができる。このとき、駆動部200の往復駆動ユニット210による往復運動と回転駆動ユニット220による回転運動は、前述したように同時に起こることができるが、これに限定されるのではなく、予め設定された距離を一方向Xに沿って移動した後に、予め設定された周期で回転運動を進行し再び一方向Xに沿って移動するなどの変形例も可能である。
【0048】
これは熱交換器10の構造や熱交換器チューブTの表面に存在する汚染物質Pの状態により多様に変化できる。
【0049】
このとき、本実施例の往復駆動ユニット210は、スライディングガイド部212とスライディング部214と連結部216とを含む。スライディングガイド部212は、ランスチューブ100上に位置し、一方向Xに沿って延長されている。スライディング部214は、スライディングガイド部212に沿って一方向Xに往復運動する。スライディング部214とスライディングガイド部212のうちの少なくとも一つはモータなどの駆動ユニットを含むことができる。連結部216は、スライディング部214とランスチューブ100の間を連結し、連結部216によってスライディング部214の往復運動によりランスチューブ100の一端部101が一方向Xに沿って往復運動する。
【0050】
回転駆動ユニット220は、ランスチューブ100を時計方向および反時計方向に回転させることができ、より具体的には、本実施例の回転駆動ユニット220は、ランスチューブ100を時計方向または反時計方向に0°超過180°以下の範囲まで回転させることができる。
【0051】
このとき、本実施例による回転駆動ユニット220は一定の時間間隔をもって周期的に回転方向を転換させることができる。したがって、一例として、一定時間の間時計方向にランスチューブ100を回転させる回転駆動ユニット220は一定時間が過ぎれば、反時計方向にランスチューブ100を回転させることができる。再び一定時間の間ランスチューブ100が反時計方向に回転した後、再び本実施例による回転駆動ユニット220によってランスチューブ100は時計方向に回転することができる。
【0052】
このように一定時間を周期でランスチューブ100の回転方向が転換されると、より多くのチューブ面積に洗浄効果を与えることができる。
【0053】
第1ノズル300は、ランスチューブ100の一端部101に連結されて流入口11aに蒸気を噴射する。第1ノズル300は、流入口11aの表面に蒸気温度90℃〜300℃、圧力10kg/cmg〜50kg/cmgで高温の蒸気を噴射することができるが、これに限定されない。
【0054】
第2ノズル400は、第1ノズル300と隣り合ってランスチューブ100の一端部101に連結され、流入口11aに固体粒子を噴射する。第2ノズル400は、ドライアイスペレット、氷粒、およびサンドのうちの少なくとも一つを含む固体粒子を噴射することができる。第2ノズル400は、流入口11aの表面に0.5kg/cmg〜20kg/cmgの圧力でドライアイスペレットを噴射したり、流入口11aの表面に0.5kg/cmg〜30kg/cmgの圧力で氷粒またはサンドを噴射することができるが、これに限定されない。
【0055】
一方、第2ノズル400は、流入口11aの表面に高圧水を噴射することができる。本実施例による第2ノズル400は第1ノズル300に比べてさらに長く、第2ノズル400から噴射される固体粒子は、第1ノズル300から噴射される蒸気に比べてさらに低い圧力で流入口11aに噴射されることができる。
【0056】
第1チューブ500はランスチューブ100の内部を貫通し、第1ノズル300と連通している。第2チューブ600は、第1チューブ500と隣り合ってランスチューブ100の内部を貫通し、第2ノズル400と連通している。
【0057】
蒸気供給部700は第1チューブ500と連結され、第1チューブ500に高温の蒸気を供給する。
【0058】
固体粒子供給部800は第2チューブ600と連結され、第2チューブ600にドライアイスペレット、氷粒、およびサンドのうちの少なくとも一つを含む固体粒子を供給する。固体粒子供給部800は、複数のサブ粒子供給部である第1サブ粒子供給部810、第2サブ粒子供給部820、および第3サブ粒子供給部830を含む。
【0059】
第1サブ粒子供給部810は第2チューブ600にドライアイスペレットを供給し、第2サブ粒子供給部820は第2チューブ600に氷粒を供給し、第3サブ粒子供給部830は第2チューブ600にサンドを供給する。つまり、複数のサブ粒子供給部それぞれは互いに異なる固体粒子であるドライアイスペレット、氷粒、およびサンドのうちの少なくとも一つを第2チューブ600に供給する。
【0060】
ノズルプロテクター900は、第2ノズル400と隣り合ってランスチューブ100の最外郭部102に位置し、第2ノズル400に比べてさらに長い。ノズルプロテクター900は、ランスチューブ100が一方向Xに往復運動するとき、第1ノズル300および第2ノズル400が外部の干渉によって破損することを抑制する。
【0061】
ノズル整備チャンバー950は駆動部200と隣り合ってランスチューブ100の一端部101を囲んでいる。ノズル整備チャンバー950は、一方向Xに移動するランスチューブ100の移動経路内に位置している。
【0062】
図5は、図3に示されたノズル整備チャンバーの底部を示した図である。
【0063】
図5に示されているように、ノズル整備チャンバー950は、一方向Xに移動するランスチューブ100の移動経路内に位置してランスチューブ100の一端部101を囲んでおり、第1ノズル300および第2ノズル400を露出するゲート951を含む。
【0064】
ゲート951を通じて第1ノズル300および第2ノズル400を選択された形態のノズルに交替することができる。
【0065】
図6は、図2に示された第1ノズルおよび第2ノズルのノズル口を概略的に示した図であり、図7は、図6の一変形例を示した図であり、図8は、図6の他の変形例を示した図である。図6乃至図8それぞれに示されているように、第1ノズル300および第2ノズル400それぞれは多様な形態を有することができる。第2ノズル400は、第1ノズル300と異なる形状を有することができるが、これに限定されない。
【0066】
具体的には、第1ノズル300および第2ノズル400それぞれの吐出口は、図6および図7に示されているように四角形であってもよく、図8に示されているように円形であってもよい。その他にも、楕円形、多角形などの多様な形態を有することができ、この中から選択された形態の第1ノズル300および第2ノズル400が図5に示されたゲート951を通じてランスチューブ100の一端部101に連結され得る。
【0067】
このように、一実施例によるスーツブロワ1000は、チューブ型熱交換器10に対応して一方向Xに往復するランスチューブ100、ランスチューブ100の一端部101に連結されて蒸気を噴射する第1ノズル300、および第1ノズル300と隣り合って選択された固体粒子を噴射する第2ノズル400を含むことによって、チューブ型熱交換器10を洗浄する作業環境に応じて、蒸気、ドライアイスペレット、氷粒、サンド、高圧水などを選択してチューブ型熱交換器10を容易に洗浄することができる。
【0068】
一例として、ドライアイスペレットを用いてチューブ型熱交換器10に付着した硫酸アンモニウム塩や粉塵または飛散石膏を除去する原理は次のとおりである。
【0069】
ドライアイスペレットが、第2ノズル400を通じて高速で噴射されてチューブ型熱交換器10の表面に衝突すれば、ドライアイスペレットは、チューブ型熱交換器10に付着した硫酸アンモニウム塩を超低温(一例として、零下78℃)で急速凍結させる。
【0070】
凍結した硫酸アンモニウム塩は、周辺の温度差によって収縮しながら数多くの亀裂を起こす。ドライアイスペレットは、これらの亀裂を通じて硫酸アンモニウム塩の間に浸透すると同時に昇華しながら、体積が800倍以上膨張して硫酸アンモニウム塩だけを持ち上げることになる。超低温で凍結した異物は、チューブ型熱交換器10の表面から容易に分離して排出される。
【0071】
以下、図9および図10を参照して本実施例の一変形例によるスーツブロワを説明する。図9は、本実施例の一変形例によるスーツブロワを示した図である。
【0072】
図10は、図9に示されたスーツブロワの作動模様を正面から示した図である。
【0073】
図9および図10に示されているように、本実施例の一変形例によるスーツブロワ1000は、変更された第1ノズル310と第2ノズル410とを含む。変更された第1ノズル310と第2ノズル410は洗浄剤を垂直に噴射するのではなく、一定角度の傾斜をもって噴射する構造である。より具体的に説明すると、本変形例による第2ノズル410は、第1ノズル310に対して0°超過180°以下の角度範囲を有するように配置される。これは熱交換器チューブTが図2に示すように一列に配置されるのではなく、図9に示すように複数のサブチューブT1、T2を含んでジグザグに配置される変形例で、洗浄効果を高めるための配置である。
【0074】
第1ノズル310と第2ノズル410は、図9に示されているように同じ長さを有することができるが、これに限定されるのではなく、互いに異なる長さを有して、長さに応じた洗浄力の制御も可能である。
【0075】
図10は、図9にスーツブロワの作動原理を正面から示した図である。図10には、第1ノズル310および第2ノズル410(図9参照)が予め設定された傾斜角度で回転しながら熱交換器チューブTの表面を洗浄する模様が概略的に示されている。このとき、図10には、正面から見たとき、第1ノズル310に隠れて見えない第2ノズル410(図9参照)の図示を省略している。第1ノズル310と第2ノズル410の配置関係は図9を参照する。
【0076】
図10には、第1ノズル310および図示していないが、第2ノズル410(図9参照)の回転範囲が示されている。図10に示されているように、第1ノズル310および第2ノズル410は、一定の傾斜角度で時計方向または時計反対方向に左右に回転することによって、熱交換器チューブTの表面を洗浄できる面積を最大限に拡張させることができる。したがって、熱交換器チューブTの表面に対する洗浄力がより向上することができる。
【0077】
図面に示したもの以外にも、熱交換器10および熱交換器チューブTの配置に応じて第1ノズル310および第2ノズル410の配置角度および数量はいくらでも多様に変形できる。
【0078】
このとき、第1ノズル310および第2ノズル410を通じて噴射される洗浄剤は、前述したように、高温の蒸気、高圧水、ドライアイスペレット、サンドなどが同じノズルを通じて同時に噴射されることができ、これらを混合して第1ノズル310と第2ノズル410のそれぞれから一緒に噴射することができる。また、前述したように第1ノズル310は蒸気を噴射し、第2ノズル410は固体粒子を噴射する実施例も可能である。
【0079】
以下、本発明の他の実施例によるチューブ型熱交換器の洗浄方法を説明する。本発明の他の実施例によるチューブ型熱交換器の洗浄方法は、チューブ型熱交換器10の流路11の流入口11aの表面上で一方向に沿って往復および回転するスーツブロワ1000またはその変形例によるスーツブロワ1000を用いて行うことができる。
【0080】
まず、流体Fが通過する流路11上で熱交換を行うチューブ型熱交換器の流路11の流入口11aの表面上で一方向に沿って往復および回転するスーツブロワ1000を用いて蒸気を噴射する。
【0081】
このとき、本実施例によるスーツブロワ1000は、一方向と並んだ方向に沿って配置される回転軸を中心に時計方向および反時計方向に回転することができる。
【0082】
前述したように、本実施例のスーツブロワ1000は、時計方向または反時計方向に0°超過180°以下の範囲まで回転でき、一定の時間間隔をもって周期的に回転方向が転換され得る。
【0083】
このとき、蒸気を噴射する段階は、流入口の表面に蒸気温度90℃〜300℃、圧力10kg/cmg〜50kg/cmgで高温の蒸気を噴射する段階を含むことができる。
【0084】
次に、流入口11aの表面上で一方向に沿って往復するスーツブロワ1000を用いて固体粒子を噴射する。
【0085】
具体的に、固体粒子を噴射する段階は、流入口の表面に0.5kg/cmg〜20kg/cmgの圧力でドライアイスペレットを噴射する段階と、流入口の表面に0.5kg/cmg〜30kg/cmgの圧力で氷粒またはサンドを噴射する段階とを含むことができる。
【0086】
また、流入口の表面上で一方向に沿って往復するスーツブロワ1000を用いて高圧水を噴射することができる。
【0087】
このとき、上述した流入口11aの表面上で一方向に沿って往復するスーツブロワ1000の速度は可変的であり得る。
【0088】
スーツブロワで2種類の洗浄液を同時に噴射する場合、例えば、高温の蒸気とドライアイスペレットを同時に噴射する場合、最も好ましくは、熱素子に高温の蒸気をまず噴射し、ドライアイスペレットを噴射することで、これによって洗浄効果を高めることができる。
【0089】
その逆の場合は、洗浄効果が減少することができる。
【0090】
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せずに多様な修正および変形が可能であることは当技術分野における通常の知識を有する者には自明である。したがって、かかる修正例または変形例は本発明の技術的思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施形態は本発明の特許請求の範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0091】
1000 スーツブロワ
100 ランスチューブ
200 駆動部
300 第1ノズル
400 第2ノズル
500 第1チューブ
600 第2チューブ
700 蒸気供給部
800 固体粒子供給部
900 ノズルプロテクター
950 ノズル整備チャンバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10