【実施例】
【0053】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0054】
実施例1
<銀ナノワイヤの合成>
200mLのガラス容器にプロピレングリコール100g(和光純薬工業(株)製)を秤量し、硝酸銀2.3g(東洋化学工業(株)製)を加えて室温で2時間撹拌することで硝酸銀溶液を調製した。
【0055】
1L四つ口フラスコ(メカニカルスターラー、滴下漏斗、還流管、温度計、窒素ガス導入管)にプロピレングリコール600g、塩化テトラブチルアンモニウム0.11g(ACROS社製)、ポリビニルピロリドンK−90 7.2g(和光純薬工業(株)製)を仕込み、窒素ガスフロー下、200rpmの回転数で150℃にて1時間撹拌することで完全に溶解させた溶液を調製した。以下の測定方法により求めたポリビニルピロリドンK−90の重量平均分子量は32万であった。
【0056】
<重量平均分子量測定方法>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと省略する。)を用い、ポリエチレンオキサイド(標準試料 昭和電工(株)製 STANDARD使用)に換算した値で求めた。なお、GPCの測定条件は以下のとおりである。
装置名:日本分光(株)製HPLCユニット HSS−2000
カラム:Shodex(登録商標)カラムKD−803とKD−805を接続
移動相:臭化リチウムを0.01mol/L溶解したDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)溶液
流速 :1.0mL/分
検出器:日本分光(株)製 RI−2031Plus
温度 :40.0℃
試料量:サンプルループ 100μリットル
試料濃度:0.1質量%前後に調製
【0057】
先に調製した硝酸銀溶液を滴下漏斗に入れ、撹拌下2.5時間かけて前記溶液に滴下し、滴下終了後さらに1時間加熱撹拌を継続し反応を完結させた。
【0058】
得られた銀ナノワイヤ粗分散液の濃度をICP発光分光分析装置(日立ハイテクサイエンス社製 vista−pro)を用いて測定したところ0.2質量%であった。また、含まれる銀ナノワイヤの形状を、SEM(日立ハイテク株式会社製 FE−SEM S−5000)を用いて任意に50点観察し、計測したところ平均径:36nm、平均長:13μmであった。
【0059】
<溶媒置換金属ナノワイヤ分散液の製造>
上記得られた銀ナノワイヤ粗分散液700gを2Lビーカーに入れ、メカニカルスターラーを用いて150rpmにて撹拌しながら酢酸ブチル686g(和光純薬工業(株)製)を添加した。30分撹拌を継続した後、撹拌を止め30分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。その後、デカンテーション操作により上澄みを1029g除去した。沈殿を含む残液に酢酸ブチル406gを再度添加し、10分撹拌を継続した後、撹拌を止め10分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。再度デカンテーション操作により上澄み液を563g除去した。以上により沈降工程と上澄み除去工程を2回繰り返したことになる。
【0060】
次に、沈殿を含む残液にイオン交換水(純水)1421g(計算上前記銀ナノワイヤ粗分散液中に含まれる銀量の1000倍量)を添加し、60℃で加熱しながら1時間撹拌をおこなうことで銀ナノワイヤを含む沈殿物を水層に均一に分散させた(再分散工程)。分散液を2Lの分液漏斗に移液し、室温で12時間静置することで酢酸ブチル層と水層と沈殿物とを分離させた。沈殿物は不溶性不純物として除去した。また、酢酸ブチル層118gと水層1494gとに分液し、酢酸ブチル層を除去した(不溶性不純物除去工程)。水層にイオン交換水を加え2005gまで希釈した。
【0061】
<クロスフロー濾過>
得られた銀ナノワイヤの水分散液2005gを卓上小型試験機(日本ガイシ株式会社製、セラミック膜フィルター セフィルト使用、膜面積0.24m
2、孔径2.0μm、寸法Φ30mm×250mm、ろ過差圧0.01MPa)に流し入れ、循環流速12L/min、分散液温度25℃にてクロスフロー濾過を実施した(精製工程)。ろ液が700g得られる毎にイオン交換水700gを系に加え、ろ液が合計5600g得られた段階でクロスフロー濾過を終了した。クロスフロー濾過後の分散液10gをPFA製容器に量りとり、100℃で6時間加熱することで乾燥させた。乾燥後の固体を熱重量分析装置(NETZSCH製、差動型示差熱天秤TG−DTA2000SE)により10℃/minの昇温速度で500℃まで加熱し、350〜500℃での質量変化量をPVPの質量、500℃での残分を銀の質量とみなして分散液中の成分量を簡易的に測定した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1189gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。ろ液には薄黄色の濁りが確認され、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8510)を用いて観察したところ、銀ナノワイヤの混入は確認されなかったが、微細粒子の混入は確認された。
【0062】
得られた0.1質量%の銀ナノワイヤの水分散液1000gにエチレングリコールモノメチルエーテル500gを添加して、2リットル三口フラスコに精留管(ウィットマー)、エチレングリコールモノメチルエーテルを入れた圧力平衡側管付き滴下ロート、熱電対で温度を測定するためのガラス挿入管を付け、更に精留管の上には還流を行うことのできる分留頭を付けた。
【0063】
蒸留系内を31.2kPaまで減圧にし、分留頭を全還流の状態でオイルバスにより加熱し還流温度が、ほぼ70℃になったことを確認したうえで留出温度がほぼ70℃を維持できるようにゆっくりと共沸液を流出させた。100g留出するごとに、滴下ロートからほぼ同質量のエチレングリコールモノメチルエーテルを追添した。1000g留出した段階で留出液の水濃度は85質量%であった。この段階でエチレングリコールモノメチルエーテルを1000g追添した。この後、エチレングリコールモノメチルエーテルの追添はやめ、留出速度を極力抑えて、留出温度が急に上がらないようにしながら、共沸液を500g留出させた。400g程度留出した段階で、留出温度は一定となった。
【0064】
留出後、銀ナノワイヤの分散液はほぼ1000gとして回収でき、銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、水濃度は600ppmであった。
図3に蒸留前の銀ナノワイヤのSEM写真を、
図4に蒸留後の銀ナノワイヤのSEM写真を示す。蒸留操作前後でほぼ差がなく、凝集が起きていないことを確認できた。
【0065】
実施例2
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液672gを得た。2Lビーカーに銀ナノワイヤ粗分散液を入れ、メカニカルスターラーを用いて150rpmにて撹拌しながら酢酸エチル1171g(和光純薬工業(株)製)を添加した。30分撹拌を継続した後、撹拌を止め60分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。その後、デカンテーション操作により上澄みを1766g除去した。沈殿を含む残液に酢酸エチル106gを再度添加し、10分撹拌を継続した後、撹拌を止め10分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。再度デカンテーション操作により上澄み液を123g除去した。以上により沈降工程と上澄み除去工程を2回繰り返したことになる。
【0066】
次に、沈殿を含む残液にイオン交換水(純水)1371gを添加し、60℃で加熱しながら1時間撹拌をおこなうことで銀ナノワイヤを含む沈殿物を水層に均一に分散させた。分散液を室温で12時間静置することで水層と沈殿物を分離させた。沈殿物は不溶性不純物として除去した。水層にイオン交換水を加え2100gまで希釈した。
【0067】
実施例1と同様の条件にてクロスフロー濾過を実施した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1270gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。
【0068】
実施例1と同様の条件にて、銀ナノワイヤの水分散液1000gの共沸蒸留を実施した。銀ナノワイヤの分散液はほぼ1000gとして回収でき、銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、SEMの観察により共沸前後でほとんど変化がないことを確認した。また、水濃度は600ppmであった。
【0069】
実施例3
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液676gを得た。この銀ナノワイヤ粗分散液を10Lポリエチレン製容器に入れ、メカニカルスターラーを用いて150rpmにて撹拌しながらアセトン3618g(和光純薬工業(株)製)を添加した。30分撹拌を継続した後、撹拌を止め60分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。その後、デカンテーション操作により上澄みを4076g除去した。沈殿を含む残液にアセトン600gを再度添加し、10分撹拌を継続した後、撹拌を止め10分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。再度デカンテーション操作により上澄み液を701g除去した。以上により沈降工程と上澄み除去工程を2回繰り返したことになる。
【0070】
次に、沈殿を含む残液にイオン交換水(純水)1405gを添加し、60℃で加熱しながら1時間撹拌をおこなうことで銀ナノワイヤを含む沈殿物を水層に均一に分散させた。分散液を室温で12時間静置することで水層と沈殿物を分離させた。沈殿物は不溶性不純物として除去した。水層にイオン交換水を加え2102gまで希釈した。
【0071】
実施例1と同様の条件にてクロスフロー濾過を実施した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1179gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。
【0072】
実施例1と同様の条件にて、銀ナノワイヤの水分散液1000gの共沸蒸留を実施した。銀ナノワイヤの分散液はほぼ1000gとして回収でき、銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、SEMの観察により共沸前後でほとんど変化がないことを確認した。また、水濃度は600ppmであった。
【0073】
実施例4
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液700gを得た。この銀ナノワイヤ粗分散液を2Lビーカーに入れ、メカニカルスターラーを用いて150rpmにて撹拌しながら酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル1290g(和光純薬工業(株)製)を添加した。30分撹拌を継続した後、撹拌を止め60分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。その後、デカンテーション操作により上澄みを1922g除去した。沈殿を含む残液に酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル200gを再度添加し、10分撹拌を継続した後、撹拌を止め10分静置することで上澄み液と沈殿物とを分離させた。再度デカンテーション操作により上澄み液を205g除去した。以上により沈降工程と上澄み除去工程を2回繰り返したことになる。
【0074】
次に、沈殿を含む残液にイオン交換水(純水)1401gを添加し、60℃で加熱しながら1時間撹拌をおこなうことで銀ナノワイヤを含む沈殿物を水層に均一に分散させた。分散液を室温で12時間静置することで水層と沈殿物を分離させた。沈殿物は不溶性不純物として除去した。水層にイオン交換水を加え2100gまで希釈した。
【0075】
実施例1と同様の条件にてクロスフロー濾過を実施した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1210gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。
【0076】
実施例1と同様の条件にて、銀ナノワイヤの水分散液1000gの共沸蒸留を実施した。銀ナノワイヤの分散液はほぼ1000gとして回収でき、銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、SEMの観察により共沸前後でほとんど変化がないことを確認した。また、水濃度は600ppmであった。
【0077】
実施例5
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液700gを得た。実施例1と同様の方法を用いて溶媒置換をおこない銀ナノワイヤの水分散液2100gを調製した。
【0078】
得られた銀ナノワイヤの水分散液2100gを卓上小型試験機(日本ガイシ株式会社製、セラミック膜フィルター セフィルト使用、膜面積0.24m
2、孔径2.0μm、寸法Φ30mm×250mm、ろ過差圧0.01MPa)に流し入れ、循環流速12L/min、分散液温度40℃にてクロスフロー濾過を実施した。ろ液が700g得られる毎にイオン交換水700gを系に加え、ろ液が合計5600g得られた段階でクロスフロー濾過を終了した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1249gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。ろ液には薄黄色の濁りが確認され、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8510)を用いて観察したところ、銀ナノワイヤの混入は確認されなかったが、微細粒子の混入は確認された。実施例1に対し、分散液温度を40℃にすることでろ過時間が10時間から9時間に低減した。
【0079】
実施例1と同様の条件にて、銀ナノワイヤの水分散液1000gの共沸蒸留を実施した。銀ナノワイヤの分散液はほぼ1000gとして回収でき、銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、SEMの観察により共沸前後でほとんど変化がないことを確認した。また、水濃度は600ppmであった。
【0080】
実施例6
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液700gを得た。実施例1と同様の方法を用いて溶媒置換をおこない銀ナノワイヤの水分散液2092gを調製した。
【0081】
得られた銀ナノワイヤの水分散液2092gを卓上小型試験機(日本ガイシ株式会社製、セラミック膜フィルター セフィルト使用、膜面積0.24m
2、孔径2.0μm、寸法Φ30mm×250mm、ろ過差圧0.01MPa)に流し入れ、循環流速12L/min、分散液温度25℃にてクロスフロー濾過を実施した。ろ液が700g得られる毎にイオン交換水700gを系に加え、ろ液が合計4200g得られた段階でクロスフロー濾過を終了した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1199gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。ろ液には薄黄色の濁りが確認され、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8510)を用いて観察したところ、銀ナノワイヤの混入は確認されなかったが、微細粒子の混入は確認された。実施例1に比べてろ液量が少ない段階でクロスフロー濾過を終了しても実施例1と同等の銀ナノワイヤの精製ができた。
【0082】
実施例1と同様の条件にて、銀ナノワイヤの水分散液1000gの共沸蒸留を実施した。銀ナノワイヤの分散液はほぼ1000gとして回収でき、銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、SEMの観察により共沸前後でほとんど変化がないことを確認した。また、水濃度は600ppmであった。
【0083】
実施例7
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液700gを得た。実施例1と同様の方法を用いて溶媒置換をおこない銀ナノワイヤの水分散液2010gを調製した。
【0084】
銀ナノワイヤの水分散液2010gを卓上小型試験機(日本ガイシ株式会社製、セラミック膜フィルター セフィルト使用、膜面積0.24m
2、孔径2.0μm、寸法Φ30mm×250mm、ろ過差圧0.01MPa)に流し入れ、循環流速12L/min、分散液温度25℃にてクロスフロー濾過を実施した。ろ液が1000g得られる毎にイオン交換水1000gを系に加え、ろ液が合計6000g得られた段階でクロスフロー濾過を終了した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1015gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。ろ液には薄黄色の濁りが確認され、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−8510)を用いて観察したところ、銀ナノワイヤの混入は確認されなかったが、微細粒子の混入は確認された。実施例1より濃縮倍率を大きくしたが、銀ナノワイヤが凝縮することなく、実施例1と同等の銀ナノワイヤの精製ができた。
【0085】
実施例1と同様の条件にて、銀ナノワイヤの水分散液1000gの共沸蒸留を実施した。銀ナノワイヤの分散液はほぼ1000gとして回収でき、銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、SEMの観察により共沸前後でほとんど変化がないことを確認した。また、水濃度は600ppmであった。
【0086】
実施例8
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液700gを得た。実施例1と同様の方法を用いて溶媒置換をおこない銀ナノワイヤの水分散液2110gを調製した。
【0087】
実施例1と同様の条件にてクロスフロー濾過を実施した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1201gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。
【0088】
実施例1の共沸有機溶媒であるエチレングリコールモノメチルエーテルをプロピレングリコールモノメチルエーテルに変えて、同様に操作を行った。なお、減圧度は51.5kPaで留出温度は80℃になるように留出させた。500g留出時に共沸液の水濃度を分析したところ、45質量%程度であったため、更に700g追添し、1200gのプロピレングリコールモノメチルエーテルを追加したのち、追添をやめ、共沸液を更に500g留出させた。
【0089】
得られた分散液の銀ナノワイヤ濃度は0.1質量%であり、SEMの観察により共沸前後でほとんど変化がないことを確認した。水濃度は3000ppmであった。
【0090】
比較例1
実施例1と同様の合成方法を用いて銀ナノワイヤ粗分散液700gを得た。実施例1と同様の方法を用いて溶媒置換をおこない銀ナノワイヤの水分散液2101gを調製した。
【0091】
実施例1と同様の条件にてクロスフロー濾過を実施した。銀ナノワイヤとポリビニルピロリドンの濃度比(銀ナノワイヤ/構造規定剤(質量比))は11であった。得られた銀ナノワイヤ分散液の銀濃度は0.1質量%、質量は1169gであり、含まれる銀ナノワイヤは元の長さを保持しかつ、凝集は見られなかった。
【0092】
実施例1の共沸有機溶媒であるエチレングリコールモノメチルエーテルを2−プロパノール(沸点:82℃)に変えて、同様に操作を行った。0.1質量%の銀ナノワイヤの水分散液100gに2−プロパノール100gを添加して、300mL三口フラスコに精留管(ウィットマー)、2−プロパノールを入れた圧力平衡側管付き滴下ロート、熱電対で温度を測定するためのガラス挿入管を付け、更に精留管の上には還流を行うことのできる分留頭を付けた。
【0093】
常圧にて分留頭を全還流の状態でオイルバスにより加熱し、還流温度がほぼ80℃になったことを確認したうえで、留出温度がほぼ80℃を維持できるようにゆっくりと共沸液を流出させた。20g留出するごとに、滴下ロートからほぼ同質量の2−プロパノールを追添した。100g留出した段階で留出液の水濃度は11質量%であった。共沸液を200g留出させた段階で蒸留を止め、ガスクロマトグラフィーにより分散液の濃度を測定したところ、2−プロパノール濃度は22%、水濃度は78%であり、溶媒置換を良好に行うことはできなかった。
【0094】
比較例2
実施例1の共沸有機溶媒であるエチレングリコールモノメチルエーテルを1−ブタノールに変えて、同様に操作を行った。比較例1にて得られた0.1質量%の銀ナノワイヤの水分散液100gに1−ブタノール100gを添加して、300mL三口フラスコに精留管(ウィットマー)、1−ブタノールを入れた圧力平衡側管付き滴下ロート、熱電対で温度を測定するためのガラス挿入管を付け、更に精留管の上には還流を行うことのできる分留頭を付けた。溶液は二相に分離し、銀ナノワイヤは水層に分配された。加熱撹拌を開始したところ銀ナノワイヤは激しく凝集を起こした