(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における工作機械ユニットを示す斜視図である。
図2は、
図1中の工作機械ユニットの内部構造を示す正面図である。
図3は、
図1中の工作機械ユニットの内部構造を示す斜視図である。
図4は、
図1中の工作機械ユニットの内部構造を示す別の斜視図である。
【0021】
なお、本明細書では、機械の左右方向であって、水平方向に延びる軸を「X軸」といい、機械の前後方向であって、水平方向に延びる軸を「Z軸」といい、鉛直方向に延びる軸を「Y軸」という。X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する直交3軸である。
【0022】
図1から
図4を参照して、この発明の実施の形態1における工作機械ユニット100Aは、マシニングセンター120および旋盤130を有する。マシニングセンター120および旋盤130は、X軸方向に並んで配置されている。
【0023】
まず、工作機械ユニット100Aの外観構造について説明すると、工作機械ユニット100Aは、スプラッシュガード51と、操作盤58とを有する。
【0024】
スプラッシュガード51は、工作機械ユニット100Aの外観をなすカバー体である。スプラッシュガード51は、マシニングセンター120および旋盤130を一体に覆うように設けられている。スプラッシュガード51は、マシニングセンター120および旋盤130の各加工エリアを区画形成している。
【0025】
スプラッシュガード51は、その構成部位として、前部52を有する。前部52は、工作機械ユニット100Aの機械前部に設けられている。
【0026】
スプラッシュガード51は、扉部56L,56Mを有する。扉部56L,56Mは、前部52に設けられている。扉部56L,56Mは、開閉可能に設けられている。扉部56Lが閉状態とされることにより、旋盤130の加工エリアが、外部空間から遮断され、扉部56Lが開状態とされることにより、旋盤130の加工エリアが、外部空間に解放される。扉部56Mが閉状態とされることにより、マシニングセンター120の加工エリアが、外部空間から遮断され、扉部56Mが開状態とされることにより、マシニングセンター120の加工エリアが、外部空間に解放される。
【0027】
スプラッシュガード51は、窓部57L,57Mをさらに有する。窓部57Lおよび窓部57Mは、それぞれ、扉部56Lおよび扉部56Mに設けられている。窓部57L,57Mは、透明部材から形成されている。窓部57Lおよび窓部57Mは、それぞれ、ユーザが外部空間から旋盤130およびマシニングセンター120の加工エリア内を視認するために設けられている。
【0028】
操作盤58は、工作機械ユニット100Aの運転操作や調整に必要な各種装置をまとめて配置したものである。操作盤58は、スプラッシュガード51に設けられている。操作盤58は、前部52に設けられている。操作盤58は、前部52において、扉部56Lおよび扉部56Mの間に設けられている。
【0029】
本実施の形態では、スプラッシュガード51に1つの操作盤58が設けられており、その操作盤58は、旋盤130およびマシニングセンター120におけるワーク加工で共用される。
【0030】
続いて、工作機械ユニット100Aの内部構造について説明する。マシニングセンター120は、ベッド12と、主軸頭21と、サドル26と、コラム31と、マガジン37と、テーブル41と、テーブル支持台46とを有する。
【0031】
ベッド12は、コラム31やテーブル支持台46等を搭載するためのベース部材であり、工場などの据え付け面に設置されている。
【0032】
ベッド12には、コラム31が取り付けられている。コラム31は、ベッド12に固定されている。コラム31は、X軸方向におけるマシニングセンター120の機械中心に対して左右非対称の形状を有する。コラム31は、Z軸方向から見て、略L字形状を有する。
【0033】
より具体的には、コラム31は、その構成部位として、基部32および立ち上がり部33を有する。基部32は、ベッド12上に配置されている。基部32は、ベッド12に締結されている。立ち上がり部33は、基部32から鉛直上方向に立ち上がるように設けられている。立ち上がり部33は、ベッド12の、X軸方向における一方の端部の直上に設けられている。
【0034】
コラム31には、サドル26が取り付けられている。サドル26は、コラム31に対して、Y軸方向にスライド移動可能に設けられている。サドル26には、主軸頭21が取り付けられている。主軸頭21は、サドル26に対して、Z軸方向にスライド移動可能に設けられている。
【0035】
主軸頭21は、工具主軸22を有する。工具主軸22は、Z軸に平行な中心軸210を中心に、モータ駆動により回転可能に設けられている。工具主軸22には、マシニングセンター120におけるワーク加工のための工具が装着される。工具主軸22の回転に伴って、工具主軸22に装着された工具が中心軸210を中心に回転する。
【0036】
コラム31、サドル26および主軸頭21には、サドル26のY軸方向へのスライド移動、および、主軸頭21のZ軸方向へのスライド移動を可能とするための送り機構や案内機構、駆動源としてのサーボモータなどが適宜、設けられている。
【0037】
マガジン37は、支持部材36を介して、サドル26により支持されている。すなわち、マガジン37は、主軸頭21とともにY軸方向に移動する。
【0038】
マガジン37は、工具主軸22に装着する交換用の工具を収納するための装置である。マガジン37には、X軸に平行な中心軸220を中心に旋回可能なように複数の工具が保持されている。工具主軸22に装着された工具と、マガジン37において所定の工具交換位置に割り出しされた工具とが、図示しない自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)により交換される。
【0039】
ベッド12には、テーブル支持台46が取り付けられている。テーブル支持台46は、ベッド12に固定されている。テーブル支持台46は、工具主軸22が配置される機械後方側に傾いて設けられている。テーブル支持台46には、テーブル41が取り付けられている。テーブル41は、テーブル支持台46に対して、X軸方向にスライド移動可能に設けられている。
【0040】
テーブル41は、ワークを保持するための装置である。テーブル41は、Z軸方向において工具主軸22と対向する位置にワークを保持する。テーブル41は、搭載部(ゆりかご治具)42と、旋回機構部44と、基台45とを有する。
【0041】
搭載部42は、主面48を有する。主面48は、X軸に平行な軸を含む平面である。主面48は、搭載部42の平板部分の一面である。主面48には、各種のクランプ機構(不図示)を用いて、ワークが着脱可能に搭載される。
【0042】
搭載部42は、旋回機構部44により支持されている。搭載部42は、X軸に平行な中心軸230の両端において、旋回機構部44により支持されている。搭載部42は、旋回機構部44により、中心軸230を中心に旋回可能なように設けられている。
【0043】
搭載部42は、少なくとも、主面48がX軸−Z軸平面上で延在する水平面となる姿勢(以下、「搭載部42の基本姿勢」という)と、搭載部42が基本姿勢からその両側に90°旋回し、主面48がX軸−Y軸平面上で延在する鉛直面となる姿勢(以下、主面48が工具主軸22とは反対側を向いて鉛直面となる搭載部42の姿勢を、「搭載部42の第1旋回姿勢」といい、主面48が工具主軸22の側を向いて鉛直面となる搭載部42の姿勢を、「搭載部42の第2旋回姿勢」という)との間で旋回可能に設けられている。
【0044】
旋回機構部44は、基台45に接続されている。テーブル41のうちの基台45が、テーブル支持台46に取り付けられている。
【0045】
テーブル支持台46および基台45には、テーブル41のX軸方向へのスライド移動を可能とするための送り機構や案内機構、駆動源としてのサーボモータなどが適宜、設けられている。
【0046】
旋盤130は、ベッド71と、コラム73と、主軸台74と、刃物台79とを有する。
ベッド71は、コラム73および刃物台79等を搭載するためのベース部材であり、工場などの据え付け面に設置されている。ベッド71は、X軸方向においてマシニングセンター120のベッド12と隣り合って配置されている。
【0047】
ベッド71には、コラム73が取り付けられている。コラム73は、ベッド71に対して、Z軸方向にスライド移動可能に設けられている。コラム73には、主軸台74が取り付けられている。主軸台74は、コラム73に対して、Y軸方向にスライド移動可能に設けられている。
【0048】
主軸台74は、ワーク主軸75およびチャック76を有する。ワーク主軸75は、Z軸に平行な中心軸240を中心に、モータ駆動により回転可能に設けられている。チャック76は、ワーク主軸75の先端に設けられている。チャック76は、ワークを把持可能なように構成されている。ワーク主軸75の回転に伴って、チャック76に把持されたワークが中心軸240を中心に回転する。
【0049】
ベッド71、コラム73および主軸台74には、コラム73のZ軸方向へのスライド移動、および、主軸台74のY軸方向へのスライド移動を可能とするための送り機構や案内機構、駆動源としてのサーボモータなどが適宜、設けられている。
【0050】
刃物台79は、タレット78を有する。タレット78には、旋盤130におけるワーク加工のための複数の工具が放射状に取り付けられている。タレット78は、Z軸に平行な中心軸250を中心に旋回可能に設けられている。タレット78が中心軸250を中心に旋回することによって、タレット78に取り付けられた工具が周方向に移動し、ワーク加工に用いられる工具が割り出される。
【0051】
刃物台79は、ベッド71に取り付けられている。より具体的には、ベッド71は、前部72を有する。前部72は、旋盤130の機械前部に設けられている。刃物台79は、前部72に取り付けられている。刃物台79は、タレット78がZ軸方向においてワーク主軸75(チャック76)の側を向くように設けられている。
【0052】
工作機械ユニット100Aは、ワーク搬送装置61をさらに有する。ワーク搬送装置61は、マシニングセンター120および旋盤130にワークを搬送するための装置である。ワーク搬送装置61は、マシニングセンター120および旋盤130の間に渡って、各工作機械の加工エリアの上方の空間に設けられている。
【0053】
本実施の形態では、ワーク搬送装置61が、マシニングセンター120および旋盤130の間でワークを搬送する。マシニングセンター120に隣り合う位置および/または旋盤130に隣り合う位置に、ワークを収納するためのワークストッカが設けられてもよい。この場合に、ワーク搬送装置61は、マシニングセンター120、旋盤130およびワークストッカの間でワークを搬送してもよい。
【0054】
ワーク搬送装置61は、把持部64と、移動機構部62と、傾転機構部66とを有する。
【0055】
把持部64は、ワークを把持可能なように構成されている。把持部64としては、たとえば、周方向に配列される複数の爪部材を有し、その複数の爪部材を、空圧や油圧により縮径方向および拡径方向に動作させることによって、ワークを把持したり、解放したりする構造が用いられる。
【0056】
移動機構部62は、把持部64を、X軸方向およびY軸方向に移動可能なように構成されている。
【0057】
より具体的には、移動機構部62は、第1移動機構部62Xおよび第2移動機構部62Yを有する。把持部64は、第2移動機構部62Yに接続されている。第2移動機構部62Yは、Y軸方向に延びる長尺形状を有し、把持部64は、その第2移動機構部62Yの下端に接続されている。第2移動機構部62Yは、リニアガイド等の直動機構により、把持部64をY軸方向に移動可能なように構成されている。第2移動機構部62Yは、第1移動機構部62Xに接続されている。第1移動機構部62Xは、X軸方向に延びる長尺形状を有する。第2移動機構部62Yは、その第1移動機構部62Xに直角に交差するように設けられている。第1移動機構部62Xは、リニアガイド等の直動機構により、第2移動機構部62YをX軸方向に移動可能なように構成されている。
【0058】
図5および
図6は、ワーク搬送装置における把持部の傾転動作を示す側面図である。
図1から
図6を参照して、傾転機構部66は、把持部64および移動機構部62(第2移動機構部62Y)の接続部分に設けられている。傾転機構部66は、把持部64をY軸方向においてマシニングセンター120のテーブル41と対向させる第1状態(
図5中に示す状態)と、把持部64をZ軸方向において旋盤130のワーク主軸75と対向させる第2状態(
図6中に示す状態)との間で傾転可能なように構成されている。
【0059】
把持部64は、第1状態および第2状態の間において、Y軸−Z軸平面内で90°傾きを変化させる。第1状態において、把持部64は、Y軸方向において鉛直下側を向く。把持部64として上記の複数の爪部材が用いられる場合、複数の爪部材は、鉛直下方向に向けて突出し、X軸−Z軸平面内で縮径方向および拡径方向に動作するように位置決めされる。第2状態において、把持部64は、Z軸方向において機械後方側を向く。把持部64として上記の複数の爪部材が用いられる場合、複数の爪部材は、Z軸方向において機械後方側に向けて突出し、X軸−Y軸平面内で縮径方向および拡径方向に動作するように位置決めされる。傾転機構部66としては、たとえば、空圧や油圧により作動するピストンや、電動モータなどが用いられる。
【0060】
図2から
図4中には、マシニングセンターにおけるワーク搬送時の待機工程が示されている。
図7は、マシニングセンターにおけるワーク搬送時のローディング(装着)工程を示す斜視図である。
図8は、旋盤におけるワーク搬送時の待機工程を示す斜視図である。
図9は、旋盤におけるワーク搬送時のローディング工程を示す斜視図である。
【0061】
図2から
図4を参照して、マシニングセンター120にワークを搬送する場合、第1移動機構部62Xを動作させることによって、ワークを把持した把持部64を、マシニングセンター120の加工エリアの上方に移動させ、その位置に待機させる。把持部64は、Y軸方向において鉛直下側を向く第1状態にされている。
【0062】
図7を参照して、第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において下降させ、マシニングセンター120の加工エリア内に進入させる。マシニングセンター120の加工エリア内では、テーブル41の搭載部42が、主面48が水平面となる基本姿勢とされている。
【0063】
把持部64により把持されたワークを、搭載部42の主面48上に載置する。クランプ機構(不図示)を動作させることによりワークを搭載部42に装着するとともに、把持部64によるワークの把持を解消する。第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において上昇させ、マシニングセンター120の加工エリア内から退避させる。
【0064】
図8を参照して、旋盤130にワークを搬送する場合、第1移動機構部62Xを動作させることによって、ワークを把持した把持部64を、旋盤130の加工エリアの上方に移動させ、その位置に待機させる。把持部64は、Z軸方向において機械後方側を向く第2状態にされている。
【0065】
図9を参照して、第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において下降させ、旋盤130の加工エリア内に進入させる。把持部64を、Z軸方向においてワーク主軸75(チャック76)と対向する位置まで移動させる。
【0066】
コラム73をZ軸方向において機械前方側に移動させることによって、チャック76を、把持部64に把持されたワークに接近させる。チャック76を動作させることによりワークをワーク主軸75に装着するとともに、把持部64によるワークの把持を解消する。コラム73をZ軸方向において機械後方側に移動させることによって、チャック76を、把持部64から後退させる。第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において上昇させ、旋盤130の加工エリア内から退避させる。
【0067】
このように本実施の形態では、マシニングセンター120および旋盤130におけるワーク搬送時、傾転機構部66により把持部64の姿勢を変化させることによって、把持部64をテーブル41およびワーク主軸75に対向させることができる。このため、3軸の移動機構部やロボットなどの複雑なワーク搬送システムを用いることなく、マシニングセンター120および旋盤130におけるワーク搬送を可能にできる。
【0068】
また、本実施の形態では、ワーク主軸75が、Y軸方向に移動可能に構成され、テーブル41が、X軸方向に移動可能に構成されている。
【0069】
このような構成によれば、ワーク搬送装置61の取り付け時(据え付け時)におけるテーブル41およびワーク主軸75間のY軸方向の位置調整を、テーブル41の位置(主面48の高さ)を基準にY軸方向におけるワーク主軸75の位置を変化させることにより行なうことができる。また、ワーク搬送装置61の取り付け時(据え付け時)におけるテーブル41およびワーク主軸75間のX軸方向の位置調整を、ワーク主軸75の位置を基準にX軸方向におけるテーブル41の位置を変化させることにより行なうことができる。これにより、ワーク搬送装置61の取り付け時におけるマシニングセンター120および旋盤130間の位置調整を容易に行なうことができる。
【0070】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における工作機械ユニット100Aの構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における工作機械ユニット100Aは、マシニングセンター120と、水平方向に延びる第1軸(X軸)の軸方向にマシニングセンター120と並んで配置される旋盤130と、マシニングセンター120および旋盤130にワークを搬送するワーク搬送装置61とを備える。マシニングセンター120は、第1軸(X軸)に直交する第2軸(Z軸)に平行な軸を中心に工具を回転させる工具主軸22と、第2軸(Z軸)の軸方向において工具主軸22と対向する位置にワークを保持するためのテーブル41とを有する。旋盤130は、水平方向に延び、第1軸(X軸)に直交する第3軸(Z軸)に平行な軸を中心にワークを回転させるワーク主軸75を有する。ワーク搬送装置61は、ワークを把持可能な把持部64と、把持部64を、第1軸(X軸)の軸方向、および、鉛直方向に延びる第4軸(Y軸)の軸方向に移動させる移動機構部62と、把持部64を、第4軸(Y軸)の軸方向においてテーブル41と対向させる第1状態と、第3軸(Z軸)の軸方向においてワーク主軸75と対向させる第2状態との間で傾転させる傾転機構部66とを有する。
【0071】
このように構成された、この発明の実施の形態1における工作機械ユニット100Aによれば、マシニングセンター120および旋盤130におけるワーク搬送を、簡易な構成のワーク搬送装置61により実現することができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、工具主軸22の回転軸(中心軸210)が水平方向に延びるマシニングセンター120について説明したが、本発明においては、工具主軸の回転軸が水平方向および鉛直方向の間の斜め方向に延びるマシニングセンターであってもよい。
【0073】
(実施の形態2)
図10および
図11は、この発明の実施の形態2における工作機械ユニットにおいて、マシニングセンターにおけるワーク搬送時のローディング工程を示す側面図である。本実施の形態における工作機械ユニットは、実施の形態1における工作機械ユニット100Aと比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
【0074】
図10および
図11を参照して、この発明の実施の形態2における工作機械ユニットでは、ワーク搬送装置61が、実施の形態1において説明した傾転機構部66を有しない。把持部64は、Z軸方向において機械後方側を向く第2状態に固定されている。
【0075】
マシニングセンター120にワークを搬送する場合、第1移動機構部62Xを動作させることによって、ワークを把持した把持部64を、マシニングセンター120の加工エリアの上方に移動させ、その位置に待機させる。
【0076】
第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において下降させ、マシニングセンター120の加工エリア内に進入させる。マシニングセンター120の加工エリア内では、テーブル41の搭載部42が、主面48が工具主軸22とは反対側を向いて鉛直面となる第1旋回姿勢とされている。
【0077】
把持部64により把持されたワークを、Z軸方向において搭載部42の主面48と対向するように位置決めする。クランプ機構(不図示)を動作させることによりワークを搭載部42に装着するとともに、把持部64によるワークの把持を解消する。第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において上昇させ、マシニングセンター120の加工エリア内から退避させる。
【0078】
なお、搭載部42に備えられるクランプ機構には、Y軸方向において移動するワークとの干渉を避けるための各種の退避機構が設けられてもよい。
【0079】
このような構成によれば、マシニングセンター120におけるワーク搬送時に、テーブル41の旋回機構(チルト機構)を利用することによって、把持部64を、旋盤130におけるワーク搬送時と同じ姿勢(第2状態)でテーブル41と対向させることができる。これにより、実施の形態1においてワーク搬送装置61に備えられていた傾転機構部66を省略することができる。
【0080】
図12は、
図11中の工作機械ユニットにおけるワーク搬送装置の変形例を示す側面図である。
図12を参照して、本変形例では、ワーク搬送装置61が、反転機構部67をさらに有する。
【0081】
反転機構部67は、把持部64がZ軸方向に沿った第1方向を向く第3状態(
図10および
図11中に示す、把持部64がZ軸方向において機械後方側を向く状態)と、把持部64がZ軸の軸方向に沿った、第1方向とは反対の第2方向を向く第4状態(
図12中に示す、把持部64がZ軸方向において機械前方側を向く状態)との間で、把持部64を反転可能なように構成されている。把持部64は、反転機構部67により、Y軸に平行な中心軸260を中心に回転する。第3状態から第4状態に変化する場合の把持部64の回転方向と、第4状態から第3状態に変化する場合の把持部64の回転方向とは、同じであってもよいし、反対であってもよい。把持部64が反転する際の中心軸は、X軸に平行な軸であってもよい。
【0082】
マシニングセンター120にワークを搬送する場合、第1移動機構部62Xを動作させることによって、ワークを把持した把持部64を、マシニングセンター120の加工エリアの上方に移動させ、その位置に待機させる。把持部64は、Z軸方向において機械前方側を向く第4状態にされている。
【0083】
第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において下降させ、マシニングセンター120の加工エリア内に進入させる。マシニングセンター120の加工エリア内では、テーブル41の搭載部42が、主面48が工具主軸22の側を向いて鉛直面となる第2旋回姿勢とされている。
【0084】
把持部64により把持されたワークを、Z軸方向において搭載部42の主面48と対向するように位置決めする。クランプ機構(不図示)を動作させることによりワークを搭載部42に装着するとともに、把持部64によるワークの把持を解消する。第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において上昇させ、マシニングセンター120の加工エリア内から退避させる。
【0085】
このようにワーク搬送装置61に反転機構部67が設けられることによって、マシニングセンター120におけるワーク搬送時の搭載部42の姿勢を、主面48が工具主軸22とは反対側を向いて鉛直面となる第1旋回姿勢としてもよいし、主面48が工具主軸22の側を向いて鉛直面となる第2旋回姿勢としてもよい。
【0086】
以上に説明した、この発明の実施の形態2における工作機械ユニットの構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における工作機械ユニットは、マシニングセンター120と、水平方向に延びる第1軸(X軸)の軸方向にマシニングセンター120と並んで配置される旋盤130と、マシニングセンター120および旋盤130にワークを搬送するワーク搬送装置61とを備える。マシニングセンター120は、第1軸(X軸)に直交する第2軸(Z軸)に平行な軸を中心に工具を回転させる工具主軸22と、第2軸(Z軸)の軸方向において工具主軸22と対向する位置にワークを保持するためのテーブル41とを有する。旋盤130は、水平方向に延び、第1軸(X軸)に直交する第3軸(Z軸)に平行な軸を中心にワークを回転させるワーク主軸75を有する。ワーク搬送装置61は、第3軸(Z軸)の軸方向においてワーク主軸75と対向し、ワークを把持可能な把持部64と、把持部64を、第1軸(X軸)の軸方向、および、鉛直方向に延びる第4軸(Y軸)の軸方向に移動させる移動機構部62とを有する。テーブル41は、ワークを着脱可能に搭載する搭載部42と、搭載部42を、第1軸(X軸)に平行な軸を中心に旋回させる旋回機構部44とを含む。
【0087】
このように構成された、この発明の実施の形態2における工作機械ユニットによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0088】
(実施の形態3)
図13は、この発明の実施の形態3における工作機械ユニットの内部構造を示す正面図である。
図14は、
図13中の工作機械ユニットの内部構造を示す斜視図である。
図15は、
図13中の工作機械ユニットの内部構造を示す別の斜視図である。
【0089】
本実施の形態における工作機械ユニットは、実施の形態1における工作機械ユニット100Aと比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
【0090】
図13から
図15を参照して、この発明の実施の形態3における工作機械ユニット100Bは、実施の形態1における旋盤130に替えて、旋盤(立旋盤)140を有する。マシニングセンター120および旋盤140は、X軸方向に並んで配置されている。
【0091】
旋盤140は、ベッド81と、コラム87と、刃物台85と、主軸台82とを有する。
ベッド81は、コラム87および主軸台82等を搭載するためのベース部材であり、工場などの据え付け面に設置されている。ベッド81は、X軸方向においてマシニングセンター120のベッド12と隣り合って配置されている。
【0092】
ベッド81には、コラム87が取り付けられている。コラム87は、ベッド81に対して、Z軸方向にスライド移動可能に設けられている。コラム87には、刃物台85が取り付けられている。刃物台85は、コラム87に対して、Y軸方向にスライド移動可能に設けられている。
【0093】
刃物台85は、タレット86を有する。刃物台85は、タレット86がY軸方向において鉛直下側を向くように設けられている。タレット86には、旋盤140におけるワーク加工のための複数の工具が放射状に取り付けられている。タレット86は、Y軸に平行な中心軸280を中心に旋回可能に設けられている。タレット86が中心軸280を中心に旋回することによって、タレット86に取り付けられた工具が周方向に移動し、ワーク加工に用いられる工具が割り出される。
【0094】
ベッド81、コラム87および刃物台85には、コラム87のZ軸方向へのスライド移動、および、刃物台85のY軸方向へのスライド移動を可能とするための送り機構や案内機構、駆動源としてのサーボモータなどが適宜、設けられている。
【0095】
ベッド81には、主軸台82が取り付けられている。主軸台82は、ベッド81に固定されている。
【0096】
主軸台82は、ワーク主軸84およびチャック83を有する。ワーク主軸84は、Y軸に平行な中心軸270を中心に、モータ駆動により回転可能に設けられている。チャック83は、ワーク主軸84の先端に設けられている。チャック83は、ワークを把持可能なように構成されている。ワーク主軸84の回転に伴って、チャック83に装着されたワークが中心軸270を中心に回転する。
【0097】
ワーク搬送装置61は、実施の形態1において説明した傾転機構部66を有しない。把持部64は、Y軸方向において鉛直下側を向く第1状態に固定されている。
【0098】
図13から
図15中には、マシニングセンターにおけるワーク搬送時の待機工程が示されている。
図16は、マシニングセンターにおけるワーク搬送時のローディング工程を示す斜視図である。
図17は、旋盤におけるワーク搬送時の待機工程を示す斜視図である。
図18は、旋盤におけるワーク搬送時のローディング工程を示す斜視図である。
【0099】
図13から
図15を参照して、マシニングセンター120にワークを搬送する場合、第1移動機構部62Xを動作させることによって、ワークを把持した把持部64を、マシニングセンター120の加工エリアの上方に移動させ、その位置に待機させる。
【0100】
図16を参照して、第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において下降させ、マシニングセンター120の加工エリア内に進入させる。マシニングセンター120の加工エリア内では、テーブル41の搭載部42が、主面48が水平面となる基本姿勢とされている。
【0101】
把持部64により把持されたワークを、搭載部42の主面48上に載置する。クランプ機構(不図示)を動作させることによりワークを搭載部42に装着するとともに、把持部64によるワークの把持を解消する。第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において上昇させ、マシニングセンター120の加工エリア内から退避させる。
【0102】
図17を参照して、旋盤140にワークを搬送する場合、第1移動機構部62Xを動作させることによって、ワークを把持した把持部64を、旋盤140の加工エリアの上方に移動させ、その位置に待機させる。
【0103】
図18を参照して、第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において下降させ、旋盤140の加工エリア内に進入させる。把持部64を、ワーク主軸84(チャック83)に接近させる。チャック83を動作させることによりワークをワーク主軸84に装着するとともに、把持部64によるワークの把持を解消する。第2移動機構部62Yを動作させることによって、把持部64をY軸方向において上昇させ、旋盤140の加工エリア内から退避させる。
【0104】
このように本実施の形態では、マシニングセンター120および旋盤140におけるワーク搬送時、把持部64の姿勢を変化させることなく、把持部64をテーブル41およびワーク主軸84に対向させることができる。このため、3軸の移動機構部やロボットなどの複雑なワーク搬送システムを用いることなく、マシニングセンター120および旋盤140におけるワーク搬送を可能にできる。
【0105】
以上に説明した、この発明の実施の形態3における工作機械ユニット100Bの構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における工作機械ユニット100Bは、マシニングセンター120と、水平方向に延びる第1軸(X軸)の軸方向にマシニングセンター120と並んで配置される旋盤140と、マシニングセンター120および旋盤140にワークを搬送するワーク搬送装置61とを備える。マシニングセンター120は、第1軸(X軸)に直交する第2軸(Z軸)に平行な軸を中心に工具を回転させる工具主軸22と、第2軸(Z軸)の軸方向において工具主軸22と対向する位置にワークを保持するためのテーブル41とを有する。旋盤140は、鉛直方向に延びる第3軸(Y軸)に平行な軸を中心にワークを回転させるワーク主軸84を有する。ワーク搬送装置61は、第3軸(Y軸)の軸方向においてワーク主軸84およびテーブル41と対向し、ワークを把持可能な把持部64と、把持部64を、第1軸(X軸)の軸方向、および、第3軸(Y軸)の軸方向に移動させる移動機構部62とを有する。
【0106】
このように構成された、この発明の実施の形態3における工作機械ユニット100Bによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0107】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。