(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板の上面における前記第3の樹脂枠よりも外周側に、前記第1から第4の発光部にそれぞれ対応する第1から第4の電極端子が設けられている、請求項2または3に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、発光装置について詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0020】
図1は、発光装置1の上面図である。発光装置1は、基板5、LED素子31〜34、樹脂枠41〜43および封止樹脂51〜54を有する。発光装置1は、発光素子として多数のLED素子を含み、例えば投光器、高天井照明、スタジアム照明、イルミネーションなどのLED光源装置として利用されるLEDパッケージである。
【0021】
発光装置1では、樹脂枠41〜43により分割され、封止樹脂51〜54により覆われた2つの半円形の領域と2つの円環状(ドーナツ型)の領域が、それぞれ第1〜第4の発光部に相当する。第1の発光部はシアン色(C)に、第2の発光部は赤色(R)に、第3の発光部は青色(B)に、第4の発光部は緑色(G)に発光する。以下で説明するように、発光装置1には、第1〜第4の発光部にそれぞれ対応する4系統の電極端子が設けられており、各発光部は独立に発光可能である。このため、発光装置1では、1色ごとの発光も可能であり、4色すべてを発光させれば白色光が得られる。また、各発光部の電流を調整することにより、全体の発光色の調整も可能である。すなわち、発光装置1は、4つのLED発光モジュールを1台に集約し、白色光の調色機能を実現させた、フルカラーのCOBの照明パッケージである。
【0022】
図2は、発光装置1の基板5の上面図である。
図3(A)〜
図3(C)は、発光装置1の基板5の分解図である。より詳細には、
図3(A)〜
図3(C)は、それぞれ、金属基板10、回路基板20および回路基板20上に設けられたレジスト27の上面図である。基板5は、金属基板10と回路基板20とで構成されている。
【0023】
金属基板10は、耐熱性および放熱性に優れたアルミニウムで構成され、LED素子31〜34の実装領域を有する平坦な基板である。金属基板10は一例として正方形の形状を有し、金属基板10の対角線上で向かい合う2つの頂点付近には、発光装置1を照明器具などに取り付けるための2つの固定用貫通穴18が設けられている。金属基板10は、LED素子31〜34および後述する蛍光体の粒子により発生した熱を放熱させる放熱基板としても機能する。なお、金属基板10の材質は、耐熱性と放熱性に優れたものであれば、例えば銅などの別の金属でもよい。
【0024】
回路基板20は、例えばガラスエポキシ基板などの絶縁性の基板であり、一例として、金属基板10と同じ大きさの正方形の形状を有する。回路基板20にも、対角線上で向かい合う2つの頂点付近には、金属基板10と同様に2つの固定用貫通穴28が設けられている。回路基板20は、固定用貫通穴28の位置が金属基板10の固定用貫通穴18の位置と合うように、その下面が例えば接着シートにより金属基板10の上面に貼り付けられて固定されている。
【0025】
回路基板20は、その中央部分に半円形の2つの開口部21C,21Rを有する。また、回路基板20は、開口部21C,21Rの外周側に、円環領域を周方向に4等分した形状である開口部21B
1〜21B
4を有し、さらに、開口部21B
1〜21B
4の外周側に、円環領域を周方向に4等分した形状である4つの開口部21G
1〜21G
4を有する。開口部21C,21R,21B
1〜21B
4,21G
1〜21G
4の形成位置が、第1〜第4の発光部の位置にそれぞれ対応する。開口部21C,21R,21B
1〜21B
4,21G
1〜21G
4内で露出している金属基板10の上面が、それぞれ、LED素子31〜34の実装領域11C,11R,11B
1〜11B
4,11G
1〜11G
4である。
【0026】
また、回路基板20の上面における樹脂枠43よりも外周側であって、固定用貫通穴28が設けられていない残りの2つの頂点のうちの一方には電極端子24C,24R,24B,24Gが、他方には電極端子25C,25R,25B,25Gが、それぞれ設けられている。電極端子24C,25C、電極端子24R,25R、電極端子24B,25Bおよび電極端子24G,25Gは、それぞれ、第1〜第4の電極端子の一例であり、第1〜第4の発光部に対応し、LED素子31〜34に接続されている。電極端子24C,24R,24B,24Gと電極端子25C,25R,25B,25Gは、一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、これらが外部電源に接続されて電圧が印加されることによって、発光装置1の各発光部は発光する。
【0027】
また、回路基板20の上面には、配線パターン22C,22R,22B,22Gおよび配線パターン23C,23R,23B,23Gが設けられている。これらの配線パターンは、例えば金メッキにより形成される。
【0028】
配線パターン22Cは、樹脂枠41の下に相当する開口部21Cの縁部を90度分の円弧に沿って延び、開口部21B
4,21G
4と開口部21B
1,21G
1の間の壁部である回路基板20の接続領域261の上を通って、電極端子24Cに接続されている。配線パターン23Cは、樹脂枠41の下に相当する開口部21Cの残りの縁部と開口部21Rの縁部とを計180度分の円弧に沿って延び、開口部21B
2,21G
2と開口部21B
3,21G
3の間の壁部である回路基板20の接続領域263の上を通って、電極端子25Cに接続されている。配線パターン22C,23Cは、第1の配線パターンの一例である。
【0029】
配線パターン22Rは、樹脂枠41の下に相当する開口部21Rの縁部を90度分の円弧に沿って延び、開口部21B
1,21G
1と開口部21B
2,21G
2の間の壁部である回路基板20の接続領域262の上を通って、電極端子24Rに接続されている。配線パターン23Rは、樹脂枠41の下に相当する開口部21Rの残りの縁部を90度分の円弧に沿って延び、開口部21B
3,21G
3と開口部21B
4,21G
4の間の壁部である回路基板20の接続領域264の上を通って、電極端子25Rに接続されている。配線パターン22R,23Rは、第2の配線パターンの一例である。
【0030】
配線パターン22Bは、樹脂枠43の下に相当する開口部21G
1,21G
2の外側の縁部を約150度分の円弧に沿って延び、電極端子24Bに接続されている。配線パターン23Bは、樹脂枠43の下に相当する開口部21G
3の外側の縁部を90度分の円弧に沿って延び、電極端子25Bに接続されている。また、配線パターン22Bの一部は接続領域262の上に、配線パターン23Bの一部は接続領域264の上に、それぞれ枝分かれしている。配線パターン22B,23Bは、第3の配線パターンの一例である。
【0031】
配線パターン22Gは、樹脂枠43の下に相当する開口部21G
1の外側の縁部を90度分の円弧に沿って延び、電極端子24Gに接続されている。配線パターン23Gは、樹脂枠43の下に相当する開口部21G
3,21G
4の外側の縁部を約150度分の円弧に沿って延び、電極端子25Gに接続されている。また、配線パターン22Gの一部は接続領域262の上に、配線パターン23Gの一部は接続領域264の上に、それぞれ枝分かれしている。配線パターン22G,23Gは、第4の配線パターンの一例である。
【0032】
また、回路基板20の上面には、開口部21G
1〜21G
4よりも中央側の円形領域および電極端子24C,24R,24B,24G,25C,25R,25B,25Gの部分を除いて、レジスト27が設けられている。
【0033】
LED素子31〜34は、それぞれ、例えば発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を発する青色LEDである。ただし、LED素子31〜34は、青色LEDに限らず、例えば紫色LEDまたは近紫外LEDであってもよく、その発光波長帯域は、紫外域を含む200〜460nm程度の範囲内であってもよい。LED素子31〜34は、それぞれ、金属基板10の実装領域11C,11R,11B
1〜11B
4,11G
1〜11G
4に、発光面を金属基板10とは反対側に向けて、例えば透明な絶縁性の接着剤などにより固定されている。
【0034】
図4は、発光装置1におけるLED素子31〜34の配置を示す上面図である。LED素子31〜34は、上面に一対の素子電極を有し、
図4に示すように、各発光部における隣接するLED素子31〜34の素子電極は、ボンディングワイヤ(以下、単にワイヤという)35によりそれぞれ互いに電気的に接続されている。
【0035】
LED素子31は、実装領域11Cにおいてワイヤ35により24個ずつ直列に接続され、この24個のLED素子31が1つのグループを構成している。各グループの両端のLED素子31から出たワイヤ35は、配線パターン22Cまたは配線パターン23Cに接続されており、発光装置1では、6グループのLED素子31が、配線パターン22Cと配線パターン23Cの間に並列に接続されている。計144個のLED素子31は、第1の複数のLED素子の一例である。
【0036】
LED素子32は、実装領域11Rにおいてワイヤ35により24個ずつ直列に接続され、この24個のLED素子32が1つのグループを構成している。各グループの両端のLED素子32から出たワイヤ35は、配線パターン22Rまたは配線パターン23Rに接続されており、発光装置1では、6グループのLED素子32が、配線パターン22Rと配線パターン23Rの間に並列に接続されている。LED素子31とLED素子32は、樹脂枠41の直線部41Lに関して線対称かつ樹脂枠41の中心に関して点対称に配置されている。計144個のLED素子32は、第2の複数のLED素子の一例である。
【0037】
LED素子33は、実装領域11B
1〜11B
4のそれぞれに36個ずつ実装され、全体として、樹脂枠41と樹脂枠42の間で3個の同心円状に配置されている。LED素子33は、実装領域11B
4,11B
1における3グループと、実装領域11B
2,11B
3における3グループとに分かれて、ワイヤ35により24個ずつ直列に接続されている。各グループの両端のLED素子33から出たワイヤ35は、接続領域262上の配線パターン22Bまたは接続領域264上の配線パターン23Bに接続されており、発光装置1では、6グループのLED素子33が、配線パターン22Bと配線パターン23Bの間に並列に接続されている。計144個のLED素子33は、第3の複数のLED素子の一例である。
【0038】
LED素子34は、実装領域11G
1〜11G
4のそれぞれに36個ずつ実装され、全体として、樹脂枠42と樹脂枠43の間で3個の同心円状に配置されている。LED素子34は、実装領域11G
4,11G
1における3グループと、実装領域11G
2,11G
3における3グループとに分かれて、ワイヤ35により24個ずつ直列に接続されている。各グループの両端のLED素子34から出たワイヤ35は、接続領域262上の配線パターン22Gまたは接続領域264上の配線パターン23Gに接続されており、発光装置1では、6グループのLED素子34が、配線パターン22Gと配線パターン23Gの間に並列に接続されている。計144個のLED素子34は、第4の複数のLED素子の一例である。
【0039】
LED素子31〜34の順方向電圧をそれぞれVf
1〜Vf
4とおくと、電極端子24C,24R,24B,24Gと電極端子25C,25R,25B,25Gの間にそれぞれ24×Vf
1,24×Vf
2,24×Vf
3および24×Vf
4以上の電圧を印加することにより、すべてのLED素子31〜34が発光する。
【0040】
図5(A)は、
図4に符号VAで示した部分の拡大断面図である。
図5(A)では、接続領域264におけるLED素子34のワイヤ35と配線パターン23Gとの接続を示している。接続領域264の上面には、配線パターン23B,23R,23Gの3本が図中右側(開口部21G
3の側)から順に配置されており、配線パターン23B,23Rの上には、ワイヤ35との短絡を防止するためのレジスト70が塗布されている。接続領域264の配線パターン23Gには、その両側(開口部21G
3の側と開口部21G
4の側)からLED素子34のワイヤ35が接続されており、図中右側から配線パターン23Gに接続されるワイヤ35は、配線パターン23B,23Rを跨いでいる。
【0041】
なお、ワイヤ35が撓まないように、接続領域264とそれに隣接するLED素子34との間に金属バンプを配置し、金属バンプによって高さを稼いでから、配線パターン23B,23Rを跨いでワイヤ35を配線パターン23Gに接続してもよい。また、図示しないが、接続領域262におけるLED素子33,34のワイヤ35と配線パターン22B,22Gとの接続、および接続領域264におけるLED素子33のワイヤ35と配線パターン23Bとの接続も、
図5(A)に示したものと同様である。すなわち、接続領域262,264において、配線パターン22R,23Rは封止樹脂53,54の下を通り、LED素子33,34のワイヤ35は配線パターン22R,23Rを跨いでいる。
【0042】
図5(B)は、
図4に符号VBで示した部分の拡大断面図である。
図5(B)では、接続領域261におけるLED素子34のワイヤ35と配線パターン22Cとの位置関係を示している。接続領域261の上面には配線パターン22Cが配置されており、配線パターン22Cの上には、ワイヤ35との短絡を防止するためのレジスト70が塗布されている。接続領域261では、ワイヤ35は配線パターン22Cを跨いでいる。
【0043】
図示しないが、接続領域261におけるLED素子33のワイヤ35と配線パターン23Bとの位置関係、および接続領域263におけるLED素子33,34のワイヤ35と配線パターン23Cとの位置関係も、
図5(B)に示したものと同様である。すなわち、接続領域261,263において、配線パターン22C,23Cは封止樹脂53,54の下を通り、LED素子33,34のワイヤ35は配線パターン22C,23Cを跨いでいる。
【0044】
樹脂枠41は、第1の樹脂枠の一例であり、封止樹脂51,52の流出しを防止するためのダム材である。樹脂枠41は、開口部21C,21Rの大きさに合わせて成形された枠体であり、円環部41Cおよび円環部41Cの中心を通り円環部41Cを2分する直線部41Lを有する。樹脂枠41は、開口部21C,21Rの縁部に沿って回路基板20の上面に固定されており、配線パターン22C,22R,23C,23Rの一部を覆っている。樹脂枠41は、LED素子31,32から出射された光とその外周側に実装されたLED素子33から出射された光との混色性が高まるように、例えば透明なシリコーン樹脂で構成され、透光性を有する。なお、樹脂枠41には、散乱材が混入されていてもよい。
【0045】
樹脂枠42は、第2の樹脂枠の一例であり、封止樹脂53の流出しを防止するためのダム材である。樹脂枠42は、開口部21B
1〜21B
4の外側の円周の大きさに合わせて形成された円環状の枠体であり、開口部21B
1〜21B
4の縁部に沿って、樹脂枠41を取り囲むように回路基板20の上面に固定されている。樹脂枠42も、LED素子31〜34から出射された光の混色性が高まるように、例えば透明なシリコーン樹脂で構成され、透光性を有する。なお、樹脂枠42にも、散乱材が混入されていてもよい。
【0046】
樹脂枠43は、第3の樹脂枠の一例であり、封止樹脂54の流出しを防止するためのダム材である。樹脂枠43は、開口部21G
1〜21G
4の外側の円周の大きさに合わせて形成された円環状の枠体であり、開口部21G
1〜21G
4の縁部に沿って、樹脂枠42を取り囲むように回路基板20の上面に固定されている。樹脂枠41の円環部41Cおよび樹脂枠42,43は、すべて同心円状に配置されている。また、樹脂枠43は、配線パターン22R,22B,22G,23R,23B,23Gの一部を覆っている。樹脂枠43は、例えば白色粒子が混入された不透明なシリコーン樹脂で構成され、反射性を有する。これにより、LED素子31〜34から側方に出射された光が発光装置1の正面(LED素子31〜34から見て金属基板10とは反対側)に向けて反射するため、発光装置1の正面における発光強度が高くなる。
【0047】
封止樹脂51は、第1の封止樹脂の一例であり、樹脂枠41の円環部41Cおよび直線部41Lにより囲まれる実装領域11C上の空間に充填されて、半円板の形状に硬化され、144個のLED素子31を一体的に封止(保護)する。封止樹脂51は、LED素子31からの青色光を吸収してシアン色に発光するBa
2MgSi
2O
7:Eu
2+またはBaSi
2O
2N
2:Eu
2+などの蛍光体を含有する。
【0048】
封止樹脂52は、第2の封止樹脂の一例であり、樹脂枠41の円環部41Cおよび直線部41Lにより囲まれる実装領域11R上の空間に充填されて、半円板の形状に硬化され、144個のLED素子32を一体的に封止(保護)する。封止樹脂52は、LED素子32からの青色光を吸収して赤色に発光するCaAlSiN
3:Eu
2+などの蛍光体を含有する。
【0049】
封止樹脂53は、第3の封止樹脂の一例であり、樹脂枠41,42により囲まれる実装領域11B
1〜11B
4上および接続領域261〜264上の空間に充填されて、144個のLED素子33を一体的に封止(保護)する。封止樹脂53は青色光を出射する第3の発光部に対応し、LED素子33は青色LEDであるため、封止樹脂53は、蛍光体を含有しない透明樹脂であってもよい。
【0050】
封止樹脂54は、第4の封止樹脂の一例であり、樹脂枠42,43により囲まれる実装領域11G
1〜11G
4上および接続領域261〜264上の空間に充填されて、144個のLED素子34を一体的に封止(保護)する。封止樹脂54は、LED素子34からの青色光を吸収して緑色に発光する(BaSr)
2SiO
4:Eu
2+などの蛍光体を含有する。
【0051】
封止樹脂51〜54は、例えば、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの無色かつ透明な樹脂で構成される。封止樹脂51〜54の材質は、すべて同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。また、発光装置1における樹脂枠41〜43および封止樹脂51〜54の高さはそれぞれ同じであり、したがって、封止樹脂51〜54の厚さはすべての発光部で同じである。ただし、例えば、樹脂枠41の高さを樹脂枠42,43よりも高くして、封止樹脂51,52の上面を封止樹脂53,54の上面よりも高くするなど、発光面となる封止樹脂51〜54の高さを発光部ごとに異ならせてもよい。
【0052】
発光装置1の第1の発光部は、LED素子31および封止樹脂51で構成される。第1の発光部は、樹脂枠41の円環部41Cおよび直線部41Lにより画定される一方の半円領域に配置され、シアン色の光を出射する。光の3原色であるR,G,BからRを除いた色がシアンである(C=G+B)ため、第1の発光部の発光波長は、青色から緑色に跨る例えば480〜520nmの範囲内にピークを有する。
【0053】
発光装置1の第2の発光部は、LED素子32および封止樹脂52で構成される。第2の発光部は、樹脂枠41の円環部41Cおよび直線部41Lにより画定される他方の半円領域に配置され、赤色光を出射する。第2の発光部の発光波長は、例えば620〜750nmの範囲内にピークを有する。
【0054】
発光装置1の第3の発光部は、LED素子33および封止樹脂53で構成される。第3の発光部は、第1および第2の発光部を取り囲む樹脂枠41と樹脂枠42の間の環状領域に配置され、青色光を出射する。第3の発光部の発光波長は、例えば450〜490nmの範囲内にピークを有する。
【0055】
発光装置1の第4の発光部は、LED素子34および封止樹脂54で構成される。第4の発光部は、第3の発光部を取り囲む樹脂枠42と樹脂枠43の間の環状領域に配置され、緑色光を出射する。第4の発光部の発光波長は、例えば500〜570nmの範囲内にピークを有する。
【0056】
保護素子61〜64は、LED素子31〜34に過電圧が印加されたときに電流をバイパスさせてLED素子31〜34を保護するための素子であり、それぞれツェナーダイオードで構成される。保護素子61〜64は、
図4に示すように、回路基板20上において、それぞれ、配線パターン22Cと配線パターン23Cの間、配線パターン22Rと配線パターン23Rの間、配線パターン22Bと配線パターン23Bの間および配線パターン22Gと配線パターン23Gの間に、ワイヤを介してLED素子31〜34と並列に接続されている。
【0057】
図6(A)〜
図6(C)は、発光装置1の製造工程を示す上面図である。これらの図では、簡単のため、
図1に示したものとはLED素子31〜34の個数を少なく記載しており、ワイヤ35の図示を省略している。
【0058】
発光装置1の製造時には、まず、
図6(A)に示すように、金属基板10上の実装領域11C,11R,11B
1〜11B
4,11G
1〜11G
4にLED素子31〜34が実装される。このとき、発光部ごとに、LED素子31〜34同士はワイヤ35で24個ずつ直列接続され、直列接続の各グループの端部に位置するLED素子31〜34から出たワイヤ35は、配線パターン22C,22R,22B,22G,23C,23R,23B,23Gのいずれかに接続される。次に、
図6(B)に示すように、回路基板20の上面に樹脂枠41〜43が固定される。そして、
図6(C)に示すように、樹脂枠41〜43により囲まれる各領域に封止樹脂51〜54が充填されて、LED素子31〜34が封止される。以上の工程により、
図1に示す発光装置1が完成する。
【0059】
以上説明したように、発光装置1は、基板中央に配置された2つの半円形の発光部と、その外周側に同心円状に配置された2つの円環状の発光部とを有し、中央の2つの半円領域はシアン色および赤色に、それよりも外周側の円環領域は青色に、最外殻の円環領域は緑色に発光する。各色の発光部を別々のパッケージで構成すると、発光部同士の距離が離れていることに起因して色むらが発生し得るが、各色の発光部を1つのパッケージ(1コア)内にまとめることにより、互いに近接した位置から各色の光が出射されるため、発光装置1では混色性が改善される。
【0060】
また、シアンのスペクトルは青色と緑色が半々で生成されるため、基板中央に赤色とシアン色の発光部を配置することで、これらの発光部のスペクトルはRGBの混ざったものになる。ただし、赤色とシアン色の発光部のみではそれらを発光させたときに赤色が強くなり過ぎるので、それを防ぐために、発光装置1では、外周側に円環状の青色と緑色の発光部が配置されている。仮に、青色と緑色の発光部を基板中央に、赤色とシアン色の発光部を外周側に配置するなど、発光装置1のものとは異なる配置にしたとすると、色のバランスが崩れ、RGBのうちでいずれかの色が目立ち過ぎるという不具合が生じる恐れがある。しかしながら、発光装置1では、基板中央に赤色とシアン色の発光部を配置することで、すべての発光部を発光させたときに、バランスのとれた発光色が得られる。
【0061】
したがって、演色性の観点でも、各色の発光部の配置は、発光装置1のものが最適である。発光装置1では、赤色、緑色および青色の発光部に加えて、シアン色の発光部を設け、かつ、各発光部を上記の通りに配置することで、各発光部からの出射光の混色性および装置全体の発光色の演色性が向上する。
【0062】
図7は、別の発光装置のセラミック基板10’の上面図である。
図8(A)および
図8(B)は、セラミック基板10’とその上に設けられたレジスト27の分解図である。
【0063】
セラミック基板10’は、その上面にLED素子31〜34の配線パターン22C,22R,22B,22G,23C,23R,23B,23Gおよび電極端子24C,24R,24B,24G,25C,25R,25B,25Gが形成され、かつLED素子31〜34が実装される平坦な基板である。セラミック基板10’は、開口部が形成されていない点が発光装置1の回路基板20とは異なるが、セラミック基板10’上の配線パターンおよび電極端子の形状および配置は、回路基板20のものと同じである。また、
図8(B)に示すセラミック基板10’のレジスト27は、
図2(C)に示した回路基板20のものと同じである。セラミックは比較的、熱伝導率が高い材質であるため、セラミック基板10’は、発光装置1の金属基板10と回路基板20の機能を兼ねている。
【0064】
発光装置は、金属基板10と回路基板20で構成される基板に代えて、
図7に示したようなセラミック基板10’を有してもよい。セラミック基板10’を有する発光装置も、基板以外の構成は発光装置1と同じであり、上面図は
図1に示したものと同じである。
【0065】
図9(A)〜
図9(C)は、セラミック基板10’を有する発光装置2の製造工程を示す上面図である。これらの図でも、簡単のため、LED素子31〜34の個数を実際の製品よりも少なく記載しており、ワイヤの図示を省略している。
【0066】
発光装置2の製造時には、まず、
図9(A)に示すように、LED素子31〜34が、発光装置1のLED素子31〜34と同様の配置でセラミック基板10’上に実装され、ワイヤを介して配線パターン22C,22R,22B,22G,23C,23R,23B,23Gに接続される。発光装置2におけるLED素子31〜34の接続関係も、発光装置1のものと同じである。次に、
図9(B)に示すように、セラミック基板10’の上面に樹脂枠41〜43が固定され、
図9(C)に示すように、樹脂枠41〜43により囲まれる各領域に封止樹脂51〜54が充填される。以上の工程により、発光装置2が完成する。
【0067】
発光装置2でも、発光装置1と同様に、各発光部からの出射光の混色性および装置全体の発光色の演色性が向上する。また、発光装置1では、回路基板20の各開口部内で露出している金属基板10の上面に直接LED素子31〜34が実装されているため、放熱牲がよく、製品寿命が長くなる。これに対し、発光装置2では、金属基板10および回路基板20に代えてセラミック基板10’を使用するので、基板の構造が単純であり、かつ絶縁性が高くなる。
【0068】
なお、発光装置1,2では、製造を容易にするために、LED素子31〜34としてすべて同じ発光波長の素子を使用し、各封止樹脂に異なる種類の蛍光体を分散混入させることにより、発光部ごとに異なる色を得ている。ただし、LED素子31〜34として、発光波長が互いに異なる素子を使用してもよい。例えば、LED素子32は赤色光を発する赤色LEDであってもよく、この場合、封止樹脂52は赤色蛍光体を含有しなくてもよい。また、LED素子34は緑色光を発する緑色LEDであってもよく、この場合、封止樹脂54は緑色蛍光体を含有しなくてもよい。また、LED素子33は、紫外LED素子などの青色光以外の光を発する素子であってもよく、この場合、封止樹脂53は、LED素子33からの光を吸収して青色に発光するBaMgAl
10O
17:Eu
2+などの蛍光体を含有してもよい。