特許第6807695号(P6807695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本カーバイド工業株式会社の特許一覧

特許68076952−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法
<>
  • 特許6807695-2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法 図000005
  • 特許6807695-2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807695
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/08 20060101AFI20201221BHJP
   C07C 43/16 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   C07C41/08
   C07C43/16
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-198295(P2016-198295)
(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公開番号】特開2018-58798(P2018-58798A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 眞一
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 渉
(72)【発明者】
【氏名】野村 直樹
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00509968(EP,A1)
【文献】 特公昭30−000213(JP,B1)
【文献】 特許第084523(JP,C2)
【文献】 特開平04−198144(JP,A)
【文献】 特開平10−182536(JP,A)
【文献】 OPARINA,L.A.,Russian Journal of Organic Chemistry,2008年,44(10),1434-1437
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基を含む反応液においてアセチレンとメチルセロソルブとを反応させる2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法において、反応温度を90〜130℃とし、該アセチレン及び該メチルセロソルブを連続的又は間欠的に該反応液に供給し、前記反応液のメチルセロソルブの転化率が19〜90%の範囲内にある間、高段数の蒸留設備を用いずに、反応留分の抜出しを行いながら反応させることを特徴とする、2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法。
【請求項2】
前記反応液のメチルセロソルブの転化率が58〜90%の範囲内にある間、前記反応留分の抜出しを行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記反応液のメチルセロソルブの転化率が19〜50%の範囲内にある間、前記反応留分の抜出しを行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
順に、少なくとも反応容器、冷却装置および反応留分貯槽を連通させた装置において、アセチレンガスを含む気体を該反応容器から該反応留分貯槽へ流通させ、該反応留分貯槽の出口における気体の流速が該反応容器の単位体積(1L)当り1.5L/Hr以上となる条件で前記反応を行う、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記反応留分貯槽の出口から排出されたアセチレンガスを含む気体を前記反応容器の入口へ導入することにより再循環させる、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニルエーテルは、従来から、アルカリ金属触媒の存在下、アルコールとアセチレンとを120〜180℃の高温下に反応させる方法(レッペ法によるビニル化反応)で工業的に製造されている。その他の製造方法としては、アルキルビニルエーテルとアルコールをエーテル交換反応させる方法(特許文献1)や、ビニルエステルとアルコールをエステル交換反応させる方法が知られている(特許文献2)。
【0003】
しかしながら、レッペ法によるビニル化反応では、連続式の生産方式で製造を行う場合、精製前の反応液に原料アルコールが多量に含まれる。特許文献3には、連続反応蒸留により、目的のビニルエーテルと原料アルコールとを含む混合物を得た後、抽出蒸留し、さらに別の精製工程を設けた方法が記載されているが、工業的な製造法としては製造コストの面で不利である。従って、煩雑な精製工程を経ることなく高純度のビニルエーテルを製造するために、原料アルコールを精製前に低減させることが必要である。
【0004】
一方、レッペ法によるビニル化反応において、回分式又は半回分式の生産方式でアルコールの転化を完結させることで原料アルコールを低減することはできるが、アルコールの転化を完結させる方法では、反応の終盤で副反応が増え、タール状物質が多量に生成してしまう。また、特許文献1や特許文献2に記載の方法において原料アルコールを消失させるためには、ビニル基の供給源であるビニル基含有化合物を大過剰に用いなければならない点で効率的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−87224号公報
【特許文献2】特開2003−73321号公報
【特許文献3】特開2006−8519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の背景技術に鑑み、原料アルコールの2−メトキシエタノール(別名メチルセロソルブ)をビニル化し、下記(式1)で示される2−メトキシエチルビニルエーテルを高純度、かつ、効率的に製造する方法を提供することを課題とする。
CHO−CH−CH−O−CH=CH・・・(式1)
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記の製造方法を見いだした。
[1]塩基を含む反応液においてアセチレンとメチルセロソルブとを反応させる2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法において、反応温度を90〜130℃とし、該アセチレン及び該メチルセロソルブを連続的又は間欠的に該反応液に供給し、反応留分の抜出しを行いながら反応させることを特徴とする、2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法。
[2]前記反応液のメチルセロソルブの転化率が19〜99%の範囲内にある間、前記反応留分の抜出しを行う、[1]に記載の製造方法。
[3]前記反応液のメチルセロソルブの転化率が19〜90%の範囲内にある間、前記反応留分の抜出しを行う、[1]に記載の製造方法。
[4]前記反応液のメチルセロソルブの転化率が58〜90%の範囲内にある間、前記反応留分の抜出しを行う、[1]に記載の製造方法。
[5]前記反応液のメチルセロソルブの転化率が19〜50%の範囲内にある間、前記反応留分の抜出しを行う、[1]に記載の製造方法。
[6]順に、少なくとも反応容器、冷却装置および反応留分貯槽を連通させた装置において、アセチレンガスを含む気体を該反応容器から該反応留分貯槽へ流通させ、該反応留分貯槽の出口における気体の流速が該反応容器の単位体積(1L)当り1.5L/Hr以上となる条件で前記反応を行う、[1]〜[5]に記載の製造方法。
[7]前記反応留分貯槽の出口から排出されたアセチレンガスを含む気体を前記反応容器の入口へ導入することにより再循環させる、[6]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、安全、かつ、効率的に、高純度の2−メトキシエチルビニルエーテルを製造することができる。特に、本発明によると、原料のメチルセロソルブの含有量が少ない反応留分が得られるため、高段数の蒸留設備を用いて精製を行う必要がなく、簡素な設備で蒸留を実施できる。また、蒸留時の還流比を大きくとる必要がないため短時間で効率的に、高純度の2−メトキシエチルビニルエーテルを製造することができる。さらに、広い範囲のメチルセロソルブ転化率で高純度の2−メトキシエチルビニルエーテルが得られるため、反応制御における組成の維持、管理が容易で、安定して高い品質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例で用いた反応系の概略図である。
図2】メチルセロソルブ転化率の反応液に対する反応留分の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、2−メトキシエチルビニルエーテルをMOEVEと称することがある。本発明におけるメチルセロソルブの転化率(%)は、反応液または反応留分のガスクロマトグラフィー分析のピーク面積をもとに、以下に定義される式から計算される。反応のごく初期において、反応留分が水性層、有機層に分離することがあるが、本明細書における反応留分のメチルセロソルブの転化率とは、有機層における転化率をさす。
転化率=MOEVE面積/(MOEVE面積+メチルセロソルブ面積)×100
【0011】
以下、本発明の詳細について説明する。本発明は、下記(式1)で示される2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法である。
CHO−CH−CH−O−CH=CH・・・(式1)
具体的には、塩基を含む反応液においてアセチレンとメチルセロソルブとを反応させる2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法において、反応温度を90〜130℃とし、該アセチレン及び該メチルセロソルブを連続的又は間欠的に該反応液に供給し、反応留分の抜出しを行いながら反応させることを特徴とする、2−メトキシエチルビニルエーテルの製造方法である。
【0012】
本発明における塩基は、反応触媒として用いられるものであって特に制限はないが、アルカリ金属化合物であることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、これら水酸化物とメチルセロソルブを反応して得られるアルコラートなどが挙げられる。特に好ましい塩基としては、水酸化カリウム、水酸化カリウムとメチルセロソルブを反応して得られるアルコラートが挙げられる。塩基の使用量について特に制限はないが、一般に原料のメチルセロソルブに対して1〜50モル%、好ましくは5〜30モル%、更に好ましくは5〜20モル%である。
【0013】
本発明におけるアセチレンの供給圧力は、特に制限はないが、安全上の観点から0.2MPa(ゲージ圧)以下が好ましく、更に好ましくは大気圧以上、0.18MPa(ゲージ圧)以下である。
【0014】
本発明における反応温度は、130℃以下、好ましくは120℃以下を維持することが重要である。反応温度が135℃を超えると、反応留分における2−メトキシエチルビニルエーテルの純度が低下し、また反応液中のタール状物質の生成も増え、連続生産に支障をきたすおそれがあり好ましくない。効率的な反応を起こすための反応温度の下限は、90℃、好ましくは100℃である。
【0015】
本発明は、無溶媒で行ってもよく、反応溶媒を用いても良い。反応溶媒としては、非プロトン性極性溶媒を用いることが出来る。例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグライム化合物、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジ−2−オン、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
本発明の製造方法において、反応留分の抜出しを行う際の反応液のメチルセロソルブの転化率は19%以上であることが好ましい。反応液のメチルセロソルブ転化率の上限は、99%以下であることが好ましく、更に好ましくは90%以下である。反応液のメチルセロソルブの転化率が19%未満であると、反応留分のメチルセロソルブ転化率が低くなり好ましくない。反応液のメチルセロソルブの転化率が19%以上であると、反応留分のメチルセロソルブ転化率が高くなり好ましい。反応液のメチルセロソルブの転化率が58%以上であると、反応留分のメチルセロソルブ転化率が更に高くなるためより好ましい。一方、反応液のメチルセロソルブの転化率が90%を超えると、触媒の析出や、タール分等の副生により、反応液の分散性が低下し、反応液の撹拌、混合や、アセチレンガスの圧入に困難を生じる可能性があるため、メチルセロソルブの転化率を90%以下に維持して反応を行うことが好ましい。なお、従来技術との関係において、反応留分の抜出しを行う際の反応液のメチルセロソルブの転化率が19〜50%である範囲においても反応留分のメチルセロソルブ転化率が十分に高くなる点で、本発明は特に有利な効果を奏する。すなわち、抜出し時の反応液のメチルセロソルブ転化率の許容範囲が広がるため、反応液の反応組成の制御、管理が容易となり、ひいては目的生成物である2−メトキシエチルビニルエーテルの品質安定化を向上することができる。
【0017】
本発明において、反応液のメチルセロソルブの転化率の維持、管理方法は、特に制限されるものではないが、例えば、次の方法により行うことができる。反応液のメチルセロソルブ転化率が19%未満のときは、メチルセロソルブの供給を行わず反応留分を反応液に戻しながら反応を継続させ、メチルセロソルブ転化率が19%以上に達したら当該反応速度以下でメチルセロソルブの供給と反応留分の抜出しを開始する。更に、反応液のメチルセロソルブ転化率が目標値に到達した後は、反応速度<mol/Hr>=メチルセロソルブ供給量<mol/Hr>=反応留分抜出量<mol/Hr>となる速度で、メチルセロソルブの供給と反応留分の抜出しを行う。この場合の反応速度は、アセチレン吸収量の計測値から求めることができる。
【0018】
尚、反応留分を反応液中に戻す場合、アルカリ金属水酸化物が触媒であると、反応の初期に反応留分が水性層と有機層とに分離することがあるが、水性層は反応液に戻さず有機層のみを反応液に戻すことが好ましい。
【0019】
また、反応速度が低下した場合は、反応容器内にメチルセロソルブとともに触媒を供給しても良い。触媒の供給は、間欠的又は連続的に反応液を抜出しながら行っても良い。
【0020】
メチルセロソルブの転化率は、反応液、反応留分をそれぞれ、ガスクロマトグラフィーで分析することにより求めることができる。
【0021】
本発明における反応は、反応留分貯槽出口において、アセチレンを含む気流が存在する状態で行うことが好ましい。アセチレンを含んだ気体は、系外に排出することもできるが、反応容器入口に戻し、循環再利用することが経済的な観点から好ましい。反応留分貯槽出口における気体の流速は、反応容器単位体積(1L)当り、1.5L/Hr以上であることが好ましい。反応留分貯槽出口における気体の流速が1.5L/Hr以上であれば、反応温度が130℃以下においても、効率的に反応留分を留出させることができる。反応留分貯槽出口における気体の流速が反応容器単位体積(1L)当り、1.5L/Hr以下であると、反応留分の留出速度が遅く、且つ安定しないことがある。反応留分貯槽出口における気体の流速は、流量計により計測した測定値をもとに、反応容器入口のアセチレン流速を調整することで、制御することができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例で用いた反応系の概略図を図1に示す。
【0023】
実施例1
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管、ガス導出管、冷却器、反応留分貯槽を備えた容量10LのSUS製耐圧反応容器に、メチルセロソルブ4860g(63.86mol)、塩基として純度95.0質量%の水酸化カリウム930g(15.7mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、反応系内を窒素にて置換した。次いで、昇温しながら反応系内の雰囲気を窒素ガスからアセチレンガスに置換し、反応液温が90℃に達した時点を起点として、大気圧下、約213時間反応させた。反応中、アセチレンの供給速度は、反応留分貯槽出口での気体流速が0.25L/min(反応容器1L当り1.5L/Hr)以上となるように調整し、反応液温を90〜130℃に制御した。反応は、反応容器内の反応液から反応留分を留出させながら行った。この間、間欠的又は連続的にメチルセロソルブを反応容器内に供給し、反応容器内の液質量をほぼ一定に保った。
【0024】
反応液と反応留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、反応液のメチルセロソルブの転化率が19〜99%の範囲内の時、反応留分のメチルセロソルブの転化率は97%以上であった。また、反応液のメチルセロソルブの転化率が58〜99%の範囲の時、反応留分のメチルセロソルブの転化率は99%以上であった。
【0025】
参考例1
実施例1で得られた2−メトキシエチルビニルエーテルを純度97.4%で含む反応留分に少量の水酸化カリウムを加え、常圧下で単蒸留したところ、純度99.5%の2−メトキシエチルビニルエーテルが蒸留収率83%で得られた。
【0026】
比較例1
反応温度を135〜140℃に、反応容器内圧を0.16〜0.18MPaに、反応時間を約22時間に変更した以外は、実施例1と同様に反応させた。反応液と反応留分をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、反応液のメチルセロソルブの転化率が73%の時点で、反応留分のメチルセロソルブの転化率は98%であった。すなわち、反応液のメチルセロソルブの転化率が73%付近に達するまで、反応留分のメチルセロソルブの転化率は97%以上にならなかった。また、反応液のメチルセロソルブの転化率が85%付近に達するまで、反応留分のメチルセロソルブの転化率は99%以上にならなかった。さらに、反応温度が135〜140℃と高かったため、副生成物としてタール状物質が多く生成した。
【0027】
反応留分と反応液のガスクロマトグラフィー分析は、以下の条件で行った。
(反応留分の分析)
<オートサンプラー>
装置: SHIMADZU AOC−20i
注入量: 0.2μl
プランジャ吸入速度: 高速
吸入後待ち時間: 0.2sec
プランジャ注入速度: 高速
注入後待ち時間: 0.0sec
<GC>
装置: SHIMADZU GC−2010 plus
キャリアーガス: He
カラム: DB−17(30m×0.25mmID、液相の膜厚0.25μm)
気化室温度: 250℃
圧力: 85.8kPa
カラム流量: 0.81mL/min
線速度: 23.7cm/sec
スプリット比: 90
温度プログラム:
【0028】
【表1】
【0029】
検出器: FID
検出器温度: 270℃
測定時間: 17min
(反応液の分析)
<オートサンプラー>
装置: SHIMADZU AOC−20i
注入量: 0.2μl
プランジャ吸入速度: 低速
吸入後待ち時間: 20.0sec
プランジャ注入速度: 高速
注入後待ち時間: 1.0sec
<GC>
装置: SHIMADZU GC−2010 plus
キャリアーガス: He
カラム: DB−17(30m×0.25mmID、液相の膜厚0.25μm)
気化室温度: 260℃
圧力: 96.3kPa
カラム流量: 1.17mL/min
線速度: 28.8cm/sec
スプリット比: 90
温度プログラム:
【0030】
【表2】
【0031】
検出器: FID
検出器温度: 280℃
測定時間: 20min
【0032】
実施例1と比較例1で得られた反応液のメチルセロソルブ転化率および反応留分のメチルセロソルブ転化率の分析データを表3にまとめ、両者の関係を図2にグラフ化した。図2に示した通り、反応温度を90〜130℃の範囲とすることで、反応液のメチルセロソルブの転化率が低い時点から、メチルセロソルブ転化率の高い反応留分が得られた。一方、反応温度が135〜140℃の場合では、反応液のメチルセロソルブ転化率が50%を超えるまで、メチルセロソルブ転化率の高い反応留分は得られなかった。製造条件を本発明の特定の範囲とすることで、反応液のメチルセロソルブの転化率が低い時点から、反応留分の純度を飛躍的に向上させることができた。
【0033】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によると、メチルセロソルブの含有量が少ない反応留分が得られるため、高段数の蒸留設備を用いて精製を行う必要がなく、簡素な設備で蒸留を実施できる。また、蒸留時の還流比を大きくとる必要がないため短時間で効率的に、高純度の2−メトキシエチルビニルエーテルを製造することができる。さらに、広い範囲のメチルセロソルブ転化率で高純度の2−メトキシエチルビニルエーテルが得られるため、反応制御における組成の維持、管理が容易で、安定して高い品質を維持することができる。
図1
図2