(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
系統に接続される系統配線、さらに前記系統配線に接続される蓄電配線を通じて供給される系統からの交流電力を直流電力に変換して、蓄電池に接続される電池配線を通じて前記蓄電池を充電する充電動作モードと、前記電池配線を通じて蓄電池から放電される直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する放電動作モードとを少なくとも実行する電力変換部と、
前記系統配線、前記蓄電配線および前記電池配線の少なくともいずれか一つに取り付けられ、当該取り付けられた配線の温度を測定する配線温度測定部と
前記配線温度測定部の測定結果に基づいて前記系統配線、前記蓄電配線および前記電池配線の各々の上限電力値を超えないように前記電力変換部による前記動作モードを制御する制御部と、
を備え、
前記配線温度測定部は、各配線の温度を測定するため複数個取り付けられ、
前記制御部は、選択された動作モードごとに前記複数の配線温度測定部のうち前記配線の温度を取得すべき配線温度測定部を特定し、特定した前記配線温度測定部で測定された前記配線の温度のみに基づいて前記上限電力値を求めることを特徴とするパワーコンディショナ。
前記制御部は、配線径ごとに配線温度と前記上限電力値とを対応づけたテーブルを記憶する記憶部を有し、前記配線温度測定部から送信された前記配線の測定温度に対応する前記上限電力値を前記テーブルから求めることを特徴とする請求項1記載のパワーコンディショナ。
前記制御部は、配線径と配線温度とをパラメータとして前記上限電力値との関係を規定する数式を記憶する記憶部を有し、配線ごとに設定する配線径と、前記配線温度測定部から送信された前記配線の測定温度とを前記数式に入力することで前記配線の測定温度に対応する前記上限電力値を求めることを特徴とする請求項1記載のパワーコンディショナ。
前記電力変換部は、PV配線を通じて供給される太陽電池パネルで発電された直流電力を前記蓄電池に充電するPV充電動作モードおよび/または前記太陽電池パネルで発電された直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するPV放電動作モードを実行可能とされ、
前記配線温度測定部は、前記系統配線、前記蓄電配線、前記電池配線および前記PV配線の少なくともいずれか一つに取り付けられ、当該取り付けられた配線の温度を測定し、
前記制御部は、前記配線温度測定部の測定結果に基づいて前記系統配線、前記蓄電配線、前記電池配線および前記PV配線の各々の上限電力値を超えないように前記電力変換部を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のパワーコンディショナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の蓄電システムによれば、蓄電池の充電の際に系統配線に流れる電流は、一般家庭負荷に流れる電流と、蓄電池に流れる電流と、自立負荷に流れる電流との総和となる。蓄電池に流れる電流が一定の場合には、一般家庭負荷に流れる電流が増大すると系統配線の温度が上昇することに繋がる。また、蓄電池を利用して一般家庭負荷に電力供給を行う際には、一般家庭負荷に流れる電流が増大すると電池配線および蓄電配線が発熱して配線の温度が上昇することに繋がる。配線の温度が上昇すると、配線材の寿命や信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、系統配線、電池配線および蓄電配線の配線材を太くすることが考えられるが、この場合、配線材の交換や接続作業に係る作業員の負担が大きくなり、配線材に係るコストも上昇してしまう。また、住宅においては、既に宅内の壁などに系統配線がなされている場合があり、このような場合、系統配線の配線材を太い配線材のものに交換することは困難である。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、電力供給に用いられる配線の温度上昇を抑え、配線材の長寿命化や信頼性の向上を可能にするパワーコンディショナおよびこのパワーコンディショナを有する蓄電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0009】
(1) 系統に接続される系統配線、さらに前記系統配線に接続される蓄電配線を通じて供給される系統からの交流電力を直流電力に変換して、蓄電池に接続される電池配線を通じて前記蓄電池を充電する充電動作モードと、前記電池配線を通じて蓄電池から放電される直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する放電動作モードとを少なくとも実行する電力変換部と
、
前記系統配線、前記蓄電配線および前記電池配線の少なくともいずれか一つに取り付けられ、当該取り付けられた配線の温度を測定する配線温度測定部と
前記配線温度測定部の測定結果に基づいて前記系統配線、前記蓄電配線および前記電池配線の各々の上限電力値を超えないように前記電力変換部による前記動作モードを制御する制御部と、
を備え、
前記配線温度測定部は、各配線の温度を測定するため複数個取り付けられ、
前記制御部は、選択された動作モードごとに前記複数の配線温度測定部のうち前記配線の温度を取得すべき配線温度測定部を特定し、特定した前記配線温度測定部で測定された前記配線の温度のみに基づいて前記上限電力値を求めることを特徴とするパワーコンディショナ。
【0010】
(2) (1)において、前記制御部は、配線径ごとに配線温度と前記上限電力値とを対応づけたテーブルを記憶する記憶部を有し、前記配線温度測定部から送信された前記配線の測定温度に対応する前記上限電力値を前記テーブルから求めることを特徴とするパワーコンディショナ。
【0011】
(3) (1)において、前記制御部は、配線径と配線温度とをパラメータとして前記上限電力値との関係を規定する数式を記憶する記憶部を有し、配線ごとに設定する配線径と、前記配線温度測定部から送信された前記配線の測定温度とを前記数式に入力することで前記配線の測定温度に対応する前記上限電力値を求めることを特徴とするパワーコンディショナ。
【0012】
(4) (2)または(3)において、前記制御部は、前記配線径に加えて前記配線の種類も加味して前記上限電力値を求めることを特徴とするパワーコンディショナ。
【0013】
(5) (1)〜(4)において、前記電力変換部は、PV配線を通じて供給される太陽電池パネルで発電された直流電力を前記蓄電池に充電するPV充電動作モードおよび/または前記太陽電池パネルで発電された直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給するPV放電動作モードを実行可能とされ、
前記配線温度測定部は、前記系統配線、前記蓄電配線、前記電池配線および前記PV配線の少なくともいずれか一つに取り付けられ、当該取り付けられた配線の温度を測定し、
前記制御部は、前記配線温度測定部の測定結果に基づいて前記系統配線、前記蓄電配線、前記電池配線および前記PV配線の各々の上限電力値を超えないように前記電力変換部を制御することを特徴とするパワーコンディショナ。
【0015】
(
6)
蓄電池と、
(1)〜(5)のパワーコンディショナと、を備えることを特徴とする蓄電システム。
【0016】
(1)〜(
6)によれば、系統配線、蓄電配線および電池配線の少なくともいずれか一つに配線温度測定部が取り付けられ、制御部が、配線温度測定部の測定結果に基づいて系統配線、蓄電配線および電池配線の各々の上限電力値を超えないように前記電力変換部を制御する。これにより、系統配線、蓄電配線および電池配線の発熱を抑えることが可能になり、配線材の長寿命化や信頼性の向上を図ることが可能になる。また、既存の系統配線に配線温度測定部を取り付けることによって、系統配線に流れる電流が増大しないように制御できるため、住宅における既設の系統配線を、電流の増大に耐え得るように太い配線材のものに変更する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電力供給に用いられる配線の温度上昇を抑え、配線の長寿命化や信頼性の向上を可能にするパワーコンディショナおよび蓄電システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態における蓄電システム1の構成を示すブロック図である。蓄電システム1は、パワーコンディショナ10と、蓄電池20と、蓄電ブレーカ26と、蓄電配線30と、電池配線32と、自立配線34と、測定器具40と、測定器具42とを備えている。
【0020】
蓄電システム1は、宅内に設置された分電盤(図示せず)から延びる、一般家庭負荷110に系統電力を供給する系統配線102に接続され、通常は、系統配線102からの系統電力を用いて充電し、充電した電力を必要に応じて系統配線102を介して宅内の電化製品に供給する機能を備えている。系統電力は、屋外の配電線から変圧器で変圧され、引込線を介して宅内に引き込まれる電力である。通常時には、配電線から変圧器、引込線等によって宅内に引き込んだ系統電力が、系統配線102を介して一般家庭負荷110に供給される。なお、以下の説明において、系統電力の電源を系統電源と称する。
【0021】
次に、パワーコンディショナ10について説明する。
パワーコンディショナ10は、制御部12と、インターフェース部14と、インバータ16と、コンバータ18と、系統連系リレー21と、自立出力リレー22と、ACリンクリレー24と、を備えている。制御部12は、パワーコンディショナ10全体を制御するものであり、インターフェース部14は、測定器具40、42等の外部機器を接続するものである。なお、インバータ16と、コンバータ18とが本発明の「電力変換部」に相当する。
【0022】
コンバータ18は、蓄電池20の放電による直流電力の直流電圧を昇圧して、インバータ16に供給する。また、コンバータ18は、インバータ16からの直流電力の直流電圧を降圧して蓄電池20に供給する。この降圧された直流電力が蓄電池20に供給されることによって、蓄電池20が充電される。
【0023】
インバータ16は、コンバータ18によって昇圧された蓄電池20からの直流電力を交流電力に変換して一般家庭負荷110および自立負荷112に供給する、DC/AC動作(回生動作)を行う。また、インバータ16は、系統配線102から入力した交流電力を直流電力に変換し、コンバータ18を介して蓄電池20に供給する、AC/DC動作(力行動作)を行う。
【0024】
また、インバータ16には、系統連系リレー21および自立出力リレー22の電源側(蓄電池20側)がそれぞれ接続されており、系統連系リレー21の負荷側(一般家庭負荷110側)が、インバータ16に対する交流電力の入出力部となる。また、自立出力リレー22の負荷側は、自立負荷112に接続される。ACリンクリレー24は、系統連系リレー21の負荷側と自立出力リレー22の負荷側とに接続される。
【0025】
系統連系リレー21は、系統電源とインバータ16との接続をオン/オフするものである。自立出力リレー22は、自立負荷112とインバータ16との接続をオン/オフするものであり、自立出力リレー22をオンにすることによって、インバータ16から出力される交流電力が自立負荷112に供給される。ACリンクリレー24は、系統電源から出力される交流電力を自立負荷112に供給するか否か選択させるもの、言い替えれば、ACリンクリレー24は、系統電力を自立負荷112に直接的に供給すること可能な状態と不可能な状態とのいずれかに切り替えるものであり、オンの場合に、系統電力を自立負荷112に直接的に供給すること可能になる。自立負荷112は、常時、電力を供給し続ける必要がある重要負荷を指す。一般家庭負荷110には家庭用コンセントを介して電力が供給される一方、重要負荷には自立コンセントを介して電力が供給される。
【0026】
系統連系リレー21、自立出力リレー22およびACリンクリレー24を切り替えることにより、一般家庭負荷110および自立負荷112に電力を供給する電源を切り替えることが可能になる。例えば、通常時において、系統連系リレー21およびACリンクリレー24をオンにして、自立出力リレー22をオフにすることにより、系統電源から蓄電池20および自立負荷への電力供給が可能になる。また、停電時において、系統連系リレー21をオフさせ、自立出力リレー22をオンにして、ACリンクリレー24をオフにすることにより、蓄電池20を電源とする自立負荷112への電力供給が可能になる。
【0027】
蓄電配線30は、パワーコンディショナ10における系統連系リレー21の負荷側と、系統配線102とを接続するものである。系統配線102は、契約ブレーカ101から延び、系統配線102における契約ブレーカ101の下流側に、主幹ブレーカ103が配置され、さらに下流に複数の分岐ブレーカ(図示しない)が配置され、分岐ブレーカから延びる系統配線102に商用電源用のコンセントが取り付けられている。蓄電配線30は、系統配線102における主幹ブレーカ103の下流側の所定部位から分岐している。
【0028】
蓄電ブレーカ26は、蓄電配線30に配置され、設置時やメンテナンス時または故障したときに電路を開放する。自立配線34は、パワーコンディショナ10における自立出力リレー22の他端部と、自立負荷112とを接続するものである。
【0029】
測定器具40は、系統配線102の温度を測定する器具であり、系統配線102における、主幹ブレーカ103に対して下流側の近傍に配置される。測定器具42は、電池配線32の温度を測定する器具であり、電池配線32の所定部位に配置される。測定器具46は、蓄電配線30の温度を測定する器具であり、蓄電配線30の所定部位に配置される。測定器具40、42および46の測定結果は、インターフェース部14を介して制御部12に送信される。本実施形態においては、測定器具40、42および46として熱電対を使用している。
【0030】
次に、制御部12について説明する。
制御部12は、各種の処理を行うCPU12aと、蓄電システム1の動作させるための各種のプログラム、データ、テーブル等が記憶されているROM12bと、使用者による操作に基づいて各種の入力を行う入出力部12cと、を備えている。
【0031】
ROM12bには、異なる複数の運転モードのプログラムが記憶されている。CPU12aは、複数の運転モードから選択された一の運転モードを実行することによって蓄電システム1を制御する。複数の運転モードとしては、ACリンクリレー24をオンにして系統電力を一般家庭負荷110および自立負荷112に供給するとともに、蓄電池20を充電する充電モード、蓄電池20からの電力を一般家庭負荷110および自立負荷112に供給する放電モード、および系統電力と蓄電池20からの電力とを併用して一般家庭負荷110および自立負荷112に供給する併用モード等が設定可能である。また、時間帯ごとの運転モードの切換設定や、特定条件を満たした場合(例えば、系統電源がオフになった場合)に実行する運転モードの設定等を、入出力部12cあるいはリモコン70の操作によって行うことが可能である。
【0032】
例えば、電気料金が安い深夜電力の時間帯において蓄電池20の充電を行い、通常は、系統電源からの電力と蓄電池20からの電力とを併用して使用し、停電発生時には、蓄電池20の放電を行うように運転モードを設定することが可能である。
【0033】
次に、蓄電システム1の系統連系時(系統連系リレー21がオン)の動作について説明する。なお、系統連系時には、ACリンクリレー24はオン状態とされ、自立出力リレー22はオフ状態とされる。
【0034】
[充電時の動作]
充電時において系統配線102に流れる電流が、一般家庭負荷110に流れる電流と、蓄電池20に流れる充電用の電流と、自立負荷112に流れる電流との和になるため、充電電流が一定の場合において、一般家庭負荷電流が増大すると系統配線102の温度が上昇する。
【0035】
本実施形態によれば、系統配線102における主幹ブレーカ103と蓄電配線30の分岐部位の間の所定部位に測定器具40が配置されており、この部位の温度を測定器具40が測定し、例えば数ミリ秒あるいは数秒間隔で、測定結果を制御部12に送信する。
【0036】
制御部12は、測定器具40から送信された測定温度に基づいて充電の上限電力値を設定する。具体的には、制御部12のROM12bに、系統配線102に使用している配線材の温度と充電の上限電力との対応関係を示すテーブルが記憶されており、CPU12aが、測定器具40から送信された測定温度に対応する上限電力値をテーブルから求めて設定する。制御部12は上限電力値を超えないようにインバータ16およびコンバータ18を制御して充電動作を実行させる。これにより、充電電流を下げることが可能になり、系統配線102の温度の上昇を抑えることができる。このため、過電流に耐え得るように系統配線102を太くするといった宅内工事を行う必要がなくなる。
【0037】
一方、充電電流が一定の場合において、自立負荷電流が増大すると、蓄電配線30を通じて自立負荷112に電力供給されていることから蓄電配線30の温度が上昇する。本実施形態によれば、蓄電配線30の所定部位に測定器具46が配置されており、この部位の温度を測定器具46が測定し、測定結果を制御部12に送信する。この場合においても、制御部12が、ROM12bに記憶されているテーブルを参照して、測定器具40から送信される測定結果に対応する充電の上限電力値を求めて設定する。これにより、充電電流を下げることが可能になり、蓄電配線30の温度の上昇を抑えることができる。
【0038】
[放電時の動作]
蓄電池20の放電時において、一般家庭負荷電流または自立負荷電流が増大すると電池配線32の温度が上昇する。電池配線32の所定部位に測定器具42が配置されており、測定器具42が、この部位の温度を測定し、例えば数ミリ秒あるいは数秒間隔で、測定結果を制御部12に送信する。
【0039】
制御部12は、測定器具42から送信された測定温度に基づいて放電の上限電力値を設定する。具体的には、制御部12のROM12bに、電池配線32に使用している配線材の温度と充電の上限電力値との対応関係を示すテーブルが記憶されており、CPU12aが、測定器具42から送信された測定温度に対応する上限電力値をテーブルから求めて設定する。コンバータ18は、設定された上限電力値を越えないように直流電圧の昇圧幅を決定し、直流電圧を昇圧してインバータ16に送り、インバータ16によって直流電圧が交流電力に変換されて一般家庭負荷110および自立負荷112に供給される。一般家庭負荷110と自立負荷112に必要な電力が前記上限電力値を超えるときは、不足分が系統電力から供給される。これにより、放電電流の上昇が規制され、結果として、電池配線32の温度上昇を抑えることができる。このため、電池配線32として必要以上に太い配線部材を用いる必要がなくなり、その分、コストの低減を図ることができる。
【0040】
ところで、
図1に示す蓄電システム1は、一体型蓄電システムと称されるタイプのものであり、パワーコンディショナ10と蓄電池20とが一体となっている。ここで、本発明の実施形態における蓄電システム1は、一体型蓄電システムに限るものではなく、他のタイプの蓄電システム1であってもよい。他のタイプとしては、
図2に示すセパレート型蓄電システムと称されるタイプ、
図3に示す一体型ハイブリッド蓄電システムと称されるタイプ、
図4に示すセパレート型ハイブリッド蓄電システムと称されるタイプ、
図5に示す一体型マルチDC入出力蓄電システムと称されるタイプ、
図6に示すセパレート型マルチDC入出力蓄電システムと称されるタイプがある。
【0041】
図2に示すセパレート型蓄電システムと称される蓄電システム1は、
図1に示す一体型蓄電システムの蓄電システム1における蓄電池20を、蓄電装置50としたものである。蓄電池20は、蓄電装置50の筐体に収納されており、パワーコンディショナ10と蓄電装置50とが別体となっている。パワーコンディショナ10と蓄電装置50とは電池配線32によって接続されており、電池配線32に蓄電池20への充電電流および蓄電池20からの放電電流が流れる。電池配線32の接続作業は、蓄電システム1の設置作業員によって行われる。
【0042】
セパレート型の場合にはパワーコンディショナ10と蓄電装置50とが別体であるため、設置作業員は、電池配線32を適宜選択することが可能である。例えば、高価であるが安全を確保するために太い電池配線32にするか、安価な細い電池配線32にするか選択することが可能である。なお、電池配線32として用いる配線材を顧客に選択させることも可能である。ただし最低限の仕様は工事説明書等に記載のものにする必要はある。
【0043】
パワーコンディショナ10と蓄電装置50とが別体とされたセパレート型蓄電システムでは、施行業者が電池配線32を施すため、コスト低減の観点から安価な細い線材が使用される可能性がある。この場合、負荷電力によっては電池配線32の温度が上昇するおそれがある。一方で、安全をみて必要以上に太い線材が使用され、コストアップとなる可能性がある。そこで、以下に示す構成を採用することができる。
【0044】
例えば、停電時に自立負荷112に蓄電池20から電力供給する場合について説明する。停電時には、系統連系リレー21はオフ状態とされ、自立出力リレー22がオン状態とされる。
【0045】
蓄電池20からの放電電流は電池配線30および自立配線34を通じて自立負荷112に供給される。このため、自立負荷電流が増大すると電池配線32の温度が上昇する。このため、上記と同様にして、制御部12がROM12bに記憶されているテーブルを参照して、測定器具42から送信される測定結果に対応する放電の上限電力値を求めて設定する。これにより、放電電流を下げることが可能になり、電池配線32の温度の上昇を抑えることができる。このため、電池配線32として必要以上に太い線材を用いる必要がなくなり、コストの低減を図ることができる。
【0046】
図3に示す一体型ハイブリッド蓄電システムと称される蓄電システム1は、
図2に示す一体型蓄電システムに太陽電池パネル150およびコンバータ152を追加し、太陽電池パネル150によって発電した電力を蓄電池20、自立負荷112あるいは一般家庭負荷110に供給する機能を加えたものである。具体的に、
図3に示すように、複数のコンバータ152がインバータ16の蓄電池20側にコンバータ18とともに並列に接続され、これらのコンバータ152に太陽電池パネル150がPV配線154によって接続されている。また、
図3に示す蓄電システム1は、熱電対からなる測定器具44をさらに備えている。測定器具44は、PV配線154に配置され、PV配線154の温度を計測する。測定器具44による測定結果は制御部12に送信される。なお、
図3においては、測定器具44は一つであるが、太陽電池パネル150の数に応じて複数設置してもよい。
【0047】
図4に示すセパレート型ハイブリッド蓄電システムと称される蓄電システム1は、
図3に示す一体型ハイブリッド蓄電システムの蓄電システム1における蓄電池20を、蓄電装置50としたものである。蓄電池20は、
図2に示すセパレート型蓄電システムと同様に、蓄電装置50の筐体に収納されており、パワーコンディショナ10と蓄電装置50とが別体となっている。パワーコンディショナ10と蓄電装置50とは電池配線32によって接続されており、電池配線32に蓄電池20への充電電流および蓄電池20からの放電電流が流れる。
【0048】
図5に示す一体型マルチDC入出力蓄電システムと称される蓄電システム1は、
図3に示す一体型ハイブリッド蓄電システムの蓄電システム1に、V2H(Vehicle to Home)対応の電気自動車の蓄電池を充電する機能、および電気自動車の蓄電池による電力を蓄電池20、自立負荷112あるいは一般家庭負荷110に供給する機能を加えたものである。
【0049】
図6に示すセパレート型マルチDC入出力蓄電システムと称される蓄電システム1は、
図4に示す蓄電システム1に、V2H対応の電気自動車の蓄電池を充電する機能、および電気自動車の蓄電池による電力を蓄電池20、自立負荷112あるいは一般家庭負荷110に供給する機能を加えたものである。
【0050】
図2〜6に示す蓄電システム1は、
図1に示す蓄電システム1と同様に、測定器具40、42を系統配線102あるいは電池配線32に配置して温度計測を行い、その計測結果に基づいてパワーコンディショナ10の上限電力値を設定することにより、系統配線102あるいは電池配線32における過電流による温度上昇を抑えることが可能になる。
【0051】
図4、6に示すセパレート型の蓄電システム1は、
図2に示すセパレート型の蓄電システム1と同様に、設置作業員が電池配線32を高価で安全な太い配線材とするか、安価であるが上限電力に耐えうる細い配線材にするか適宜選択可能である。
【0052】
図3〜6に示すように太陽電池パネル150を有する蓄電システム1は、PV配線154に測定器具44を配置してPV配線154の温度を計測する。測定器具44による測定結果は制御部12に送信され、制御部12が測定結果に基づいてパワーコンディショナ10の上限電力値を設定する
【0053】
図3〜6に示す蓄電システムにおいても、太陽電池パネル150において発電された電力を用いて自立負荷112や一般家庭負荷110に電力供給したり、蓄電池20を充電している際に、太陽電池パネル150の発電電力が増大するとPV配線154の温度が上昇し易くなる。そこで、制御部12は、PV配線154の温度に応じて上限電力値を設定する。具体的に、制御部12のROM12bに、PV配線154に使用している配線材の温度と充電の上限電力値との対応関係を示すテーブルが記憶されており、CPU12aが、測定器具44から送信された測定温度に対応する上限電力値をテーブルから求めて設定する。そして、コンバータ152は、設定した上限電力値を越えないように直流電圧を変圧して出力する。これにより、PV配線154の温度が上がった場合には上限電力値を下げることにより、PV配線154に流れる電流を抑えることが可能になり、その結果、PV配線154の温度上昇を抑えることが可能になる。この構成によれば、既設配線のまま、太陽電池パネル150およびパワーコンディショナ10の容量を大きくした場合でも配線を新たに敷設し直すことなく稼働させることができる。
【0054】
配線の温度と充放電の上限電力との対応関係を示すテーブルとしてROM12bには、配線径に応じて複数種類のテーブルが記憶されており、設置作業員が、系統配線102、蓄電配線30、電池配線32およびPV配線154の配線径を予め調査し、制御部12の初期設定において、これらの配線径を、入出力部12cまたはリモコン70を操作して入力することにより、使用するテーブルが特定され、配線の温度に応じた上限電力値が設定可能になる。これにより、温度測定部位の配線径が一旦確定してしまえば配線が交換されない限り、以後、テーブルを参照することにより、測定した温度に応じた上限電力値が設定される。
【0055】
また、
図1、
図2に示す蓄電システム1においては、測定器具40、42および46が配置されているが、少なくとも測定器具40が配置されていればよい。例えば、パワーコンディショナ10筐体内の電池配線32が過電流に耐えうる太い配線材である場合には、測定器具42を電池配線32に配置する必要はない。
【0056】
また、
図3〜6に示す蓄電システム1においては、測定器具40、42、44および46が配置されているが、4つ全て配置する必要は無く、少なくとも測定器具40が配置されていればよい。
【0057】
また、
図1、
図2に示す蓄電システム1において測定器具40、42および46を配置し、
図3〜6に示す蓄電システム1において測定器具40、42、44および46を配置した場合でも、選択された動作モードに応じて制御部12が温度データを取得すべき測定器具を特定し、特定された測定機器の温度データのみに基づき上限電力値を設定してもよい。これにより、制御部12に配置した測定機器のすべてから温度データを取得する場合に比較し、制御部12の処理負荷を軽減することができる。その結果、制御部12に高速処理に特化した専用ICを実装することなく、比較的安価なICを用いることができ、コスト低減を図ることができる。例えば、
図3に示す蓄電システム1において、既設のPV配線154の配線径が比較的細い場合に、太陽電池パネル150で発電された電力を用いて自立負荷112および一般家庭負荷110に電力を供給するとともに、蓄電池20を一定の充電電流で充電している際には(発電電力に基づく放電および蓄電モード)、一般家庭負荷電流が増加すると、他の配線に比較しPV配線154の温度上昇が顕著になる。その場合、制御部12は測定器具44(PV配線154に配置された測定器具)の温度データのみを取得してインバータ16およびコンバータ152を制御して放電時の上限電力値を設定すればよい。特に、太陽光電池パネル150からの発電電力を利用する場合、天候によっては蓄電池50から放電(充電電力を利用)したり、太陽光電池パネル150から放電(発電電力を利用)したり、またはその両方の電力を利用したり、動作モードが頻繁に変化することが多い。この場合、動作モードごとに温度データを取得する測定器具を特定することで、制御部12の処理負荷を効果的に低減することができる。
【0058】
以上、説明したように構成された本発明の実施形態によれば測定器具40、42、44および46を、系統配線102、電池配線32、PV配線154および蓄電配線30に取り付け、配線が発熱した場合に、配線の温度に合わせて制御部12が、充放電電力の上限値を自動的に設定して、一般家庭負荷110および自立負荷112に供給する負荷電力および/または蓄電池20に供給する充電電力が上限値(上限電力値)を越えないようにインバータおよびコンバータの少なくとも何れか一方を制御することにより、系統配線102、蓄電配線30、電池配線32およびPV配線154に流れる電流が増大することを抑えることが可能になる。これにより、系統配線102、蓄電配線30、電池配線32およびPV配線154の発熱を抑えることが可能になり、配線材の長寿命化や信頼性の向上を図ることが可能になる。特に、系統配線102に測定器具40を取り付けることによって系統配線102に流れる電流が増大しないように制御できるため、住宅における既設の系統配線を、電流の増大に耐えうるように太い配線材のものに変更する必要がなくなる。具体的には、既設住宅などの系統配線に蓄電システムを設置する場合、系統配線径を調査し、制御部12に入力することにより、初期設定が完了し、それ以降、配線の温度に応じて上限電力値が自動的に設定される。このため、配線に流れる電流が制御部12によって制御されることから、系統配線102の配線材を太いものに替える必要がなくなり、既設住宅における既設の系統配線を、再度、配線し直す必要もなくなる。
【0059】
[他の実施形態]
本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態においては、測定器具40、42、44として熱電対を適用して配線材の温度を計測しているが、熱電対以外の器具を用いて温度測定を行ってもよい。
【0060】
また上述した他の実施形態によれば、配線温度と上限電力値とを対応付けたテーブルを、配線径ごとに複数用意して、その中から、実際の配線材の配線径に対応するテーブルを選択しているが、それに限るものではない。例えば、配線温度をパラメータとして上限電力値との関係を規定する数式を予め作成し、測定器具40、42、44および46により測定した配線温度を数式に当てはめることにより、上限電力値を求めてもよい。なお、この場合でも、設置時等に配線径を確認、計測しておき、予め計測した配線径を設定(数式に入力)することで、実質上、配線ごとに配線温度のみを変数とする数式を作成することができる。
【0061】
さらに、上記テーブルや数式を配線径ごとに設ける場合に限らず、配線径に加えて配線の種類(材質)も加味して配線径と配線の種類ごとにテーブルや数式を作成してもよい。配線径だけでなく、配線の種類(CV線やVVF線など)によっても上限電力値が異なるからである。この場合、例えば、配線の種類と配線径ごとに配線温度と上限電力値とを対応づけたテーブルを作成し、制御部12は、予め設定・記憶された配線の種類と配線径のテーブルをもとに、測定された配線温度から上限電力値を設定するように構成してもよい。