特許第6807724号(P6807724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807724
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】熱交換装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20201221BHJP
   F28F 13/06 20060101ALI20201221BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20201221BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20201221BHJP
   F28F 1/40 20060101ALI20201221BHJP
   F28F 1/04 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F28D7/16 D
   F28F13/06
   F28F9/02 Z
   F28F21/08 A
   F28F1/40 A
   F28F1/04
   F28F9/02 E
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-241848(P2016-241848)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-96617(P2018-96617A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】小池 佑一
(72)【発明者】
【氏名】吉矢 和史
(72)【発明者】
【氏名】古賀 義隆
(72)【発明者】
【氏名】森谷 翔
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−513921(JP,A)
【文献】 特開2015−190697(JP,A)
【文献】 特開平8−136182(JP,A)
【文献】 特開2013−113482(JP,A)
【文献】 特開2015−25649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/06, 7/16
F02M 26/27 − 26/32
F28F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィンを含むと共に、往路、Uターン路、及び復路により第1流体を通す通路を形成し、かつ、前記Uターン路において前記復路に流れ込む第1流体を内側寄りに指向させる指向部を有する第1通路ユニットと、
一端側から挿入される前記第1通路ユニットを収容する収容部を有すると共に前記第1通路ユニットと協働して第2流体を通す通路を形成する外側ケースと、
前記第1流体の入口及び出口を画定すると共に前記外側ケースの開口部に連結されるケースカバーと、を備え、
前記第1通路ユニットは、前記複数のフィンを有し前記往路及び復路を直線状に画定する通路部材と、前記通路部材の一方側の開口部を覆うと共に前記Uターン路を形成するヘッダー部材と、前記通路部材の他方側の開口部を前記往路と前記復路に仕切る仕切り壁を有するフランジ部材を含み、
前記通路部材は、断面が櫛状をなすように前記複数のフィンが一体成型された二つの通路半体を互いに突き合わせて形成されている、
ことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記指向部は、前記Uターン路の内壁面から前記復路に向けて突出する突出壁として形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記突出壁は、前記Uターン路の幅方向に亘って伸長する畝状に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記外側ケースは、前記第2流体を導入するべく前記開口部の近傍に設けられた導入口と、前記第2流体を導出するべく前記開口部と反対側の閉塞部の近傍に設けられた導出口を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記外側ケースは、前記フランジ部材を当接させて連結するべく、前記開口部の周りに形成されたケースフランジ部を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記ケースカバーは、前記ケースフランジ部に対して、前記フランジ部材を挟み込んで連結されるカバーフランジ部を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記ヘッダー部材は、前記通路部材を内側に嵌め込むように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記第1通路ユニットは、複数の前記通路部材と、前記複数の通路部材の間に介在して前記第2流体の通路を画定するスペーサ部材を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記ケースカバーは、前記入口の近傍領域において、急拡大する段差部を含む、
ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一つに記載の熱交換装置。
【請求項10】
前記往路の通路面積は、前記復路の通路面積よりも大きく設定されている、
ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一つに記載の熱交換装置。
【請求項11】
前記第1通路ユニットは、アルミニウム材料を用いて形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか一つに記載の熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1流体と第2流体との間で熱交換を行う熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換装置としては、外管と、外管の内側に配置される複数の伝熱管と、外管に接続されて冷却水を導入及び排出する導入管及び排出管と、排気ガスの入口と出口を仕切る仕切り板を有するフランジ部材等を備え、自動車のEGRシステムに用いられる熱交換器が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この熱交換器において、外管は、上側アウターケース、下側アウターケース、及び後部カバー部材により構成されている。そして、上側アウターケース、下側アウターケース、及び後部カバー部材は、それぞれステンレス板をプレス加工して形成されている。
また、伝熱管は、上側ケース、下側ケース、及び複数の部品の組合せからなる放熱フィンにより構成されている。そして、上側ケース、下側ケース、及び放熱フィンは、それぞれステンレス板をプレス加工して形成されている。
【0004】
上記構成をなす熱交換器において、導入管から流れ込んだ冷却水は、外管と複数の伝熱管との間に形成された隙間を流れて排出管から流れ出る。一方、入口から通路内に流れ込んだ排気ガスは、直線状の往路を流れ、U字状の領域において180度方向変換されてUターンを行い、直線状の復路を流れて出口から流れ出る。
【0005】
しかしながら、U字状の領域においては、排気ガスが外側の内壁面に沿って流れるため、Uターンを行った排気ガスは復路内の外側寄りに偏倚した流れとなる。
したがって、復路内において、排気ガスが均一に流れず、排気ガスを効率よく冷却することができない。
【0006】
また、上記熱交換器においては、外管及び伝熱管が、それぞれステンレス板のプレス加工により形成された3つの部材を接合して構成されているため、部品点数が多く、製造工程が煩雑で、高コストを招く。
さらに、伝熱管を構成する放熱フィンは、凹部と凸部をプレスにより交互に形成されるものであるため、凹部と凸部の間隔すなわちフィンの間隔を狭くするには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−88010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解消して、熱交換効率の向上等を図れる熱交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の熱交換装置は、複数のフィンを含むと共に、往路、Uターン路、及び復路により第1流体を通す通路を形成し、かつ、Uターン路において復路に流れ込む第1流体を内側寄りに指向させる指向部を有する第1通路ユニットと、一端側から挿入される第1通路ユニットを収容する収容部を有すると共に第1通路ユニットと協働して第2流体を通す通路を形成する外側ケースと、第1流体の入口及び出口を画定すると共に外側ケースの開口部に連結されるケースカバーとを備え、第1通路ユニットは、複数のフィンを有し往路及び復路を直線状に画定する通路部材と、通路部材の一方側の開口部を覆うと共にUターン路を形成するヘッダー部材と、通路部材の他方側の開口部を往路と復路に仕切る仕切り壁を有するフランジ部材を含み、通路部材は、断面が櫛状をなすように複数のフィンが一体成型された二つの通路半体を互いに突き合わせて形成されている、構成となっている。
【0010】
上記熱交換装置において、指向部は、Uターン路の内壁面から復路に向けて突出する突出壁として形成されている、構成を採用してもよい。
【0011】
上記熱交換装置において、突出壁は、Uターン路の幅方向に亘って伸長する畝状に形成されている、構成を採用してもよい。
【0012】
上記熱交換装置において、外側ケースは、第2流体を導入するべく開口部の近傍に設けられた導入口と、第2流体を導出するべく開口部と反対側の閉塞部の近傍に設けられた導出口を有する、構成を採用してもよい。
【0014】
上記熱交換装置において、外側ケースは、フランジ部材を当接させて連結するべく開口部の周りに形成されたケースフランジ部を有する、構成を採用してもよい。
【0015】
上記熱交換装置において、ケースカバーは、ケースフランジ部に対して、フランジ部材を挟み込んで連結されるカバーフランジ部を有する、構成を採用してもよい。
【0016】
上記熱交換装置において、ヘッダー部材は、通路部材を内側に嵌め込むように形成されている、構成を採用してもよい。
【0018】
上記熱交換装置において、第1通路ユニットは、複数の上記通路部材と、複数の通路部材の間に介在して第2流体の通路を画定するスペーサ部材を含む、構成を採用してもよい。
【0019】
上記熱交換装置において、ケースカバーは、第1流体の入口の近傍領域において、急拡大する段差部を含む、構成を採用してもよい。
【0020】
上記熱交換装置において、往路の通路面積は、復路の通路面積よりも大きく設定されている、構成を採用してもよい。
【0021】
上記熱交換装置において、第1通路ユニットは、アルミニウム材料を用いて形成されている、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記構成をなす熱交換装置によれば、従来技術の問題点を解消して、熱交換効率の向上等を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る熱交換装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
図2図1に示す熱交換装置の分解斜視図である。
図3図1に示す熱交換装置に含まれる第1通路ユニットの分解斜視図である。
図4図1に示す熱交換装置において、第1流体の通路及び第2流体の通路を示す断面図である。
図5図1に示す熱交換装置において、第1通路ユニットに含まれる二つの通路部材の間を通る第2流体の通路を示す断面図である。
図6】第1通路ユニットのUターン路に形成された指向部(突出壁)の作用を示す模式図である。
図7図1に示す熱交換装置のケースカバーを示すものであり、(a)はケースカバーを正面から視た正面図、(b)は(a)中のE1−E1における断面図である。
図8】第1通路ユニットに含まれる通路部材を示すものであり、(a)は複数のフィンが一体成型された二つの通路半体を突き合わせる前の状態を示す斜視図、(b)は二つの通路半体を突き合わせて接合した状態を示す斜視図である。
図9図8(b)に示す通路部材の往路及び復路を正面から視た正面図である。
図10図9に示す通路部材を二つ含む第1通路ユニットが外側ケースに挿入された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面の図1ないし図10を参照しつつ説明する。
この実施形態において、熱交換装置Mは、外側ケース10、ケースカバー20、外側ケース10に挿入される第1通路ユニットUにより構成されている。
第1通路ユニットUは、二つの通路部材30、スペーサ部材40、ヘッダー部材50、フランジ部材60により構成されている。
そして、第1通路ユニットUは、第1流体を通すべく、長手方向Lに伸長する直線状の往路Gr、Uターン路Ur、長手方向Lに伸長する直線状の復路Crからなる通路R1を形成するものである。
【0025】
外側ケース10は、アルミニウム材料等を用いて金型成形により、略直方体の外輪郭をなすように形成されている。
外側ケース10は、収容部11、開口部12、閉塞部13、ケースフランジ部14、導入管15、導出管16、凹状溝17,18を備えている。
【0026】
収容部11は、略矩形断面をなし、第1通路ユニットUを収容するように形成されている。
開口部12は、略矩形断面をなし、第1通路ユニットUを挿入し得るように形成されている。
閉塞部13は、第1通路ユニットUを挿入した状態で、第1通路ユニットUのヘッダー部材50と協働して、第2流体の通路R2を画定するように形成されている。
ケースフランジ部14は、第1通路ユニットUのフランジ部材60を当接させる当接面14a、締結用のボルトを通す6個の貫通孔14bを備えている。
【0027】
導入管15は、外側ケース10の長手方向Lにおいて開口部12の近傍でかつ幅方向Wにおいて略中間領域に形成され、収容部11との境界において第2流体を導入する導入口15aを備えている。
導出管16は、外側ケース10の長手方向Lにおいて閉塞部13の近傍でかつ幅方向Wにおいて略中間領域に形成され、収容部11との境界において、第2流体を導出する導出口16aを備えている。
【0028】
このように、第2流体の導入口15aが開口部12の近傍に位置し、第2流体の導出口16aが閉塞部13の近傍に位置するため、導入口15aから導入された第2流体を、往路Grの上流側に位置する第1流体と近接させることができる。また、導出口16aが導入口15aから離れた位置にあるため、第2流体がショートカットで流れるのを防止することができる。
それ故に、第1流体と第2流体との間の熱交換効率を高めることができる。例えば、第1流体が高温流体及び第2流体が低温流体の場合、第1流体を効率良く冷却することができる。
【0029】
凹状溝17は、第2流体の通路R2を画定するものであり、外側ケース10の長手方向Lにおいて開口部12から閉塞部13まで伸長すると共に、幅方向Wにおいて導入口15aと重なる領域に形成されている。
凹状溝18は、第2流体の通路R2を画定するものであり、外側ケース10の長手方向Lにおいて開口部12から閉塞部13まで伸長すると共に、幅方向Wにおいて導出口16aと重なる領域に形成されている。
【0030】
ケースカバー20は、アルミニウム材料等を用いて金型成形により、図2に示すように、略立方体の外輪郭をなすように形成されている。
ケースカバー20は、入口通路21、出口通路22、仕切り壁23、カバーフランジ部24、段差部25を備えている。
【0031】
入口通路21は、外側ケース10の長手方向Lに伸長して第1通路ユニットUの往路Grに連通すると共に、長手方向Lに向けて開口する第1流体の入口21aを画定するように形成されている。
出口通路22は、外側ケース10の長手方向Lに伸長して第1通路ユニットUの復路Crに連通すると共に、長手方向L及び幅方向Wに垂直な方向に向けて開口する第1流体の出口22aを画定するように形成されている。
【0032】
仕切り壁23は、入口通路21と出口通路22を分離すると共に、第1通路ユニットUに含まれるフランジ部材60の仕切り壁63と接合されるように形成されている。
カバーフランジ部24は、ケースフランジ部14と同一の輪郭をなし、第1通路ユニットUのフランジ部材60に当接する当接面24a、締結用のボルトを通す6個の貫通孔24bを備えている。
【0033】
段差部25は、入口21aの近傍領域、すなわち、入口通路21の途中において、通路面積が急拡大するように形成されている。
これによれば、ケースカバー20の入口21aから第1通路ユニットUの往路Grに向けて第1流体が流れ込む際に、段差部25の領域において、第1流体に渦を生じさせて、撹拌作用を得ることができる。それ故に、第1流体の流速が低下して、第1流体と第2流体との間の熱交換効率を高めることができる。
【0034】
第1通路ユニットUは、前述の通り、二つの通路部材30、スペーサ部材40、ヘッダー部材50、フランジ部材60により構成されており、これらの部材は所定の接合方法により互いに接合されている。尚、接合方法としては、ロウ付け、溶着、接着剤、その他の接合手段が適用される。
【0035】
通路部材30は、二つの通路半体31,31を互いに突き合わせて接合することにより形成されている。
通路半体31は、例えば、アルミニウム材料を用いた押出し成形により形成されており、断面が櫛状をなすように等間隔で一体成型された複数(ここでは、27個)のフィン31aを備えている。
このように、通路半体31が、アルミニウム材料を用いて押出し成形されることにより、複数のフィン31a同士の間隔を狭く設定することができる。それ故に、熱交換効率を向上させることができる。特に、アルミニウム材料は、ステンレス材料等に比べて、高熱伝導性であるため、熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0036】
複数のフィン31aには、外壁31´よりも低い突出高さの複数のフィンと、外壁31´と同じ突出高さの複数のフィン(ここでは、フィン31a´で示す)が含まれている。
そして、二つの通路半体31,31を突き合わせることにより、図9に示すように、外壁31´同士及びフィン31a´同士が当接するようになっている。
【0037】
ここでは、図9に示すように、中間位置よりも上側に偏倚した位置において、互いに当接する一対のフィン31a´により、往路Grと復路Crに二分されるようになっている。すなわち、往路Grの通路面積が復路Crの通路面積よりも大きく設定されている。
このように、通路部材30は、予め形成された複数のフィン31a,31a´を有する二つの通路半体31,31を互いに突き合わせて接合することにより構成される。したがって、部品点数の削減、製造工程の簡素化等を達成しつつ、通路部材30を容易に形成することができる。
【0038】
また、図10に示すように、二つの通路部材30がスペーサ部材40を挟んで幅方向Wに配置されることにより、第1通路ユニットUが構成されている。
スペーサ部材40は、幅方向Wにおいて所定の厚みをなし、二つの通路部材30,30の間に第2流体の通路R2を画定するようになっている。
【0039】
ヘッダー部材50は、アルミニウム材料等を用いて形成され、二つの通路部材30,30を内側に嵌め込む環状の外縁部51、二つの通路部材30,30の一方側の開口部を覆う壁面52、壁面52から突出して形成された指向部としての突出壁53を備えている。
【0040】
外縁部51は、外側ケース10の収容部11の内壁面に対して、密接に嵌合されるように形成されている。
壁面52は、第1流体を往路Grから復路Crに導くUターン路Urを画定するように形成されている。
突出壁53は、Uターン路Urを画定する壁面52から復路Crに向けて突出し、又、Uターン路Urの幅方向Wに亘って伸長する畝状に形成されている。
また、突出壁53は、復路Crの領域でかつ往路Gr側に偏倚した領域に形成されている。
そして、突出壁53は、Uターン路Urにおいて、復路Crに流れ込む第1流体を内側寄り(往路Grに近い側)に指向させるようになっている。
【0041】
このように、指向部としての突出壁53を設けたことにより、図6に示すように、第1流体が往路Grを経てUターン路Urから復路Crに流れ込む際に、第1流体が復路Crの内側寄りに指向されて、復路Crにおける第1流体の流れが均一化される。
特に、突出壁53が畝状に形成されることで、簡単な形態を採用しつつも、第1流体を復路の外側だけでなく内側に亘って均一に流れるように指向させることができる。これにより、第1流体と第2流体との間での熱交換効率を高めることができる。
したがって、第1流体がエンジンの排気ガス及び第2流体が冷却水の場合は、排気ガスを効率良く冷却することができる。
【0042】
また、ヘッダー部材50は、通路部材30を内側に嵌め込むように形成されているため、ヘッダー部材50を外側ケース10の収容部11に嵌め込んで位置決めしつつ、通路部材30の外壁と外側ケース10の内壁の間に、第2流体の通路R2として所定の隙間を確保することができる。
【0043】
フランジ部材60は、アルミニウム材料等を用いて、ケースフランジ部14と同一の輪郭をなす平板状に形成され、二つの通路部材30,30の他方側の開口部に接合されている。
そして、フランジ部材60は、ケースフランジ部14の当接面14aに当接する当接面61、カバーフランジ部24の当接面24aに当接する当接面62、仕切り壁63、仕切り壁64、締結用のボルトを通す6個の貫通孔65を備えている。
【0044】
仕切り壁63は、二つの通路部材30,30の往路Grと復路Crを区分けするフィン31a´と接合されると共に、ケースカバー20の仕切り壁23と接合されるように形成されている。
仕切り壁64は、二つの通路部材30,30の他方側の開口部の縁に接合されて、二つの通路部材30,30の間の通路R2を入口通路21及び出口通路22から遮断するように形成されている。
【0045】
ここでは、第1通路ユニットUにおいて、往路Grの通路面積が復路Crの通路面積よりも大きくなるように設定されている。
したがって、例えば、第1流体が高温流体及び第2流体が低温流体の場合、第1通路ユニットUを流れる第1流体は、第2流体との熱交換により、体積が膨張した状態から収縮した状態となるため、圧力損失を低減しつつ、熱交換効率を高めることができる。
【0046】
次に、第1通路ユニットUの組付けについて説明する。
二つの通路部材30、スペーサ部材40、ヘッダー部材50、フランジ部材60を別々に形成する。
その後、二つの通路部材30の一方側に、スペーサ部材40を挟み込んで接合しつつ、ヘッダー部材50を接合する。
続いて、二つの通路部材30の他方側に、フランジ部材60を接合するだけで、第1通路ユニットUの組付けが完了する。
このように、部品点数の削減、製造工程の簡素化等を達成しつつ、第1通路ユニットUを容易に形成することができる。
【0047】
次に、熱交換装置Mの組付けについて説明する。
外側ケース10、ケースカバー20、第1通路ユニットUを準備する。
続いて、第1通路ユニットUを、外側ケース10の開口部12から収容部11に挿入する。そして、フランジ部材60をケースフランジ部14に当接させる。
続いて、ケースカバー20を、第1通路ユニットUのフランジ部材60に近づけ、カバーフランジ部24をフランジ部材60に当接させて、カバーフランジ部24とケースフランジ部14の間にフランジ部材60を挟み込む。
この状態において、外側ケース10のケースフランジ部14、第1通路ユニットUのフランジ部材60、及びケースカバー20のカバーフランジ部24のそれぞれの貫通孔24b、65、14bにボルトを通してナットと螺合する。
これにより、第1通路ユニットUを外側ケース10内の所定の位置に位置決めしつつ、熱交換装置Mの組付けが完了する。
【0048】
このように、部品点数の削減、構造の簡素化、製造工程の簡素化等を達成しつつ、熱交換装置Mを容易に形成することができる。
また、第1通路ユニットUを外側ケース10に挿入しつつ、第1通路ユニットUのフランジ部材60を外側ケース10のケースフランジ部14に当接させて位置決めすることにより、第1通路ユニットUと外側ケース10の間に形成される隙間を、第2流体の通路R2として容易に形成することができる。
【0049】
次に、上記構成をなす熱交換装置Mの作用について説明する。
第2流体は、外側ケース10の導入口15aから外側ケース10内に導入される。そして、外側ケース10と第1通路ユニットUにより画定される通路R2を経て、外側ケース10の導出口16aから導出される。
【0050】
一方、第1流体は、ケースカバー20の入口21aから流れ込み、入口通路21を通過して通路部材30の往路Grに向かう。
ここで、入口通路21の段差部25により渦が生じ、第1流体は撹拌作用を受ける。
続いて、第1流体は、往路Grを流れてUターン路Urに至り、180度方向変換させられて復路Crに流れ込む。
【0051】
このUターン路Urの領域において、第1流体は、突出壁53により、復路Crの内側寄りに指向されるため、従来のような外側に偏倚した流れが抑制されて、復路Crにおける流れが均一化される。
そして、第1流体は、復路Crを通過し、ケースカバー20の出口通路22を経て、出口22aから外部に排出される。
【0052】
この流れ過程によれば、第1流体と第2流体との間での熱交換効率を高めることができ、第1流体が高温流体及び第2流体が低温流体の場合は、第1流体を効率良く冷却することができる。
この熱交換装置MがエンジンのEGRシステムに適用される場合、第1流体としての排気ガスを、第2流体としての冷却水により効率良く冷却することができる。
【0053】
上記実施形態においては、Uターン路Urの領域に形成される指向部として、Uターン路Urの内壁面から突出する突出壁53を示したが、これに限定されるものではなく、第1流体を復路の内側寄りに指向させるものであれば、別個に形成された整流板、あるいはその他の部材であってもよい。
上記実施形態においては、突出壁として畝状をなす突出壁53を示したが、これに限定されるものではなく、複数の突出壁からなる他の形態をなすものを採用してもよい。
【0054】
上記実施形態においては、第1通路ユニットUを構成する通路部材として二つの通路部材30を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、一つの通路部材30、又は、三つ以上の通路部材30を採用してもよい。
上記実施形態においては、外側ケース10がケースフランジ部14を有し、第1通路ユニットUがフランジ部材60を有し、ケースカバー20がカバーフランジ部24を有する構成を示したが、これに限定されるものではなく、相互に連結及び位置決めする構成であれば、その他の形態及び構造を採用してもよい。
【0055】
上記実施形態においては、第1流体として高温流体、第2流体として低温流体を適用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、逆に、第1流体として低温流体、第2流体として高温流体を適用してもよい。
上記実施形態においては、第1流体として排気ガス、第2流体として冷却水を示したが、これに限定されるものではなく、その他の流体を適用することができる。
【0056】
以上述べたように、本発明の熱交換装置によれば、従来技術の問題点を解消して、熱交換効率を向上させることができるため、エンジンのEGRシステムに適用されるのは勿論のこと、その他の熱交換器等においても有用である。
【符号の説明】
【0057】
M 熱交換装置
10 外側ケース
R2 第2流体の通路
W 幅方向
11 収容部
12 開口部
13 閉塞部
14 ケースフランジ部
15a 導入口
16a 導出口
20 ケースカバー
21a 入口
22a 出口
23 仕切り壁
24 カバーフランジ部
25 段差部
U 第1通路ユニット
R1 第1流体の通路
Gr 往路
Ur Uターン路
Cr 復路
30 通路部材
31 通路半体
31´ 外壁
31a、31a´ フィン
40 スペーサ部材
50 ヘッダー部材
52 壁面
53 突出壁(指向部)
60 フランジ部材
63,64 仕切り壁
図1
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