特許第6807733号(P6807733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807733
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】高所作業車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20201221BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B66F9/06 U
   B66F11/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-251376(P2016-251376)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-104124(P2018-104124A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】川島 延之
【審査官】 加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−080607(JP,A)
【文献】 特開昭49−085801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 11/04
B66F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転キャブを前部に有して走行可能な車体と、
前記車体上に設けられた昇降装置と、
前記昇降装置に取り付けられ、前記運転キャブ後方の前記車体上において前端部が前記運転キャブ側に位置し、後端部が前記車体の後端部側に位置する前後方向に延びた状態で格納される作業台とを備える高所作業車において、
前記作業台は、前記昇降装置に取り付けられた第1作業台と、前記第1作業台の床面に沿ってスライド移動可能に設けられた第2作業台とを有し、前記第1作業台に対して前記第2作業台をスライド移動させることにより前記作業台の床面の広さを前記スライド移動方向に拡大縮小可能に構成され、
前記作業台が前記車体上に格納されているときに、前記第2作業台の後端部が前記車体の後端部よりも後方に突出せず、且つ前記第2作業台の床面の前端部が前記第1作業台の床面の前端部よりも前方に延びて前記運転キャブに接近した状態となるように、前記第2作業台を前方にスライド移動させて前記第1作業台に収容することが可能な構成であること特徴とする高所作業車。
【請求項2】
前記第1作業台は、前記昇降装置に作業台支持装置を介して取り付けられ、
前記作業台支持装置は、前記第2作業台を前方にスライド移動させて前記第1作業台へ収容したときに前記第1作業台の床面の前端部よりも前方に延びる前記第2作業台の床面の前端部の上方空間に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の高所作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業台の床面を拡大縮小可能に構成された高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車の一例として、走行可能なトラック車両をベースに構成され、その車体上に作業装置を搭載して構成された高所作業車が知られている。この作業装置は、車体上に水平旋回可能に配設された旋回台と、旋回台に起伏動自在に枢結された伸縮動自在なブームと、ブームの先端部に上下に揺動自在に枢結されてブームの起伏角度に拘らず垂直に保持される垂直ポストと、垂直ポストに水平状態に取り付けられた作業台とを有して構成されているものがある。また、旋回台およびブーム等に代えて、垂直方向に伸縮可能な垂直マストもしくはシザースリンク機構を有し、それらの上部に取り付けられた作業台を垂直昇降移動させる構成のものもある。
【0003】
このような高所作業車は、電線工事、道路トンネル内の保守点検作業、橋梁の保守点検作業等の種々の作業現場で用いられている。例えば、橋梁の保守点検作業に用いられる高所作業車では、作業台が細長い床面を有する矩形状に形成され、その長手方向に伸縮して作業台の床面を拡大縮小可能に構成されている(例えば、特許文献1を参照)。そして、作業台を伸長させて床面を拡大させることにより、作業台上での作業範囲を広く確保することができるようになっている。また、作業台を縮小させることにより、作業台の端部が車体の端部よりも外方に突出しないように作業台を車体上に格納することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3869285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の高所作業車には、作業台上での作業範囲を出来るだけ広く確保するとともに、格納時に作業台を出来るだけ縮小させるため、作業台を例えば3段伸縮式などの多段伸縮構成としたものがある。ところが、作業台の伸縮段数を多くすると、格納時に作業台をコンパクトにすることができる反面、伸縮構造が複雑になったり、作業台の重量が重くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業台上での広い作業範囲を確保しつつ、作業台の端部が車体の端部よりも外方に突出しないように作業台を格納することができ、さらに作業台を軽量化することができる高所作業車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車は、運転キャブを前部に有して走行可能な車体と、前記車体上に設けられた昇降装置(例えば、実施形態における旋回台4、ブーム5、屈伸ポスト6および伸縮ポスト10)と、前記昇降装置に取り付けられ、前記運転キャブ後方の前記車体上において前端部が前記運転キャブ側に位置し、後端部が前記車体の後端部側に位置する前後方向に延びた状態で格納される作業台とを備える。そして、前記作業台は、前記昇降装置に取り付けられた第1作業台と、前記第1作業台の床面に沿ってスライド移動可能に設けられた第2作業台とを有し、前記第1作業台に対して前記第2作業台をスライド移動させることにより前記作業台の床面の広さを前記スライド移動方向に拡大縮小可能に構成され、前記作業台が前記車体上に格納されているときに、前記第2作業台の後端部が前記車体の後端部よりも後方に突出せず、且つ前記第2作業台の床面の前端部が前記第1作業台の床面の前端部よりも前方に延びて前記運転キャブに接近した状態となるように、前記第2作業台を前方にスライド移動させて前記第1作業台に収容することが可能な構成であることを特徴とする。
【0008】
上記構成の高所作業車において、前記第1作業台は、前記昇降装置に作業台支持装置(例えば、実施形態における旋回ベース12および作業台ブラケット13等)を介して取り付けられ、前記作業台支持装置は、前記第2作業台を前方にスライド移動させて前記第1作業台へ収容したときに前記第1作業台の床面の前端部よりも前方に延びる前記第2作業台の床面の前端部の上方空間に配設された構成としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る高所作業車によれば、運転キャブ後方の車体上において作業台の前端部が運転キャブ側に位置し、作業台の後端部が車体の後端部側に位置する前後方向に延びた状態で、作業台が格納されているときに、第2作業台の後端部が車体の後端部よりも後方に突出せず、且つ第2作業台の床面の前端部が第1作業台の床面の前端部よりも前方に延びて運転キャブに接近した状態となるように、第2作業台を前方にスライド移動させて第1作業台に収容することが可能に構成される。このような構成により、作業台上での作業範囲を広くするために第2作業台の床面の長さを長くしても、第2作業台の後端部が車体の後端部よりも後方に突出することなく作業台を車体上に格納することができる。また、第2作業台の床面の長さを長くすることができるため、作業台を2段伸縮式の構成としても、作業台上での広い作業範囲を確保することができる。また、作業台を2段伸縮式の構成とすることにより、従来の3段伸縮式の作業台よりも、伸縮構造を簡単にすることができるとともに、作業台を軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る高所作業車の一例である橋梁点検車の側面図である。
図2】上記橋梁点検車の平面図である。
図3】上記橋梁点検車の点検作業状態を示す背面図(一部断面)である。
図4】上記橋梁点検車の作業台を示す図であり、(a)は作業台を縮小させた状態の側面図、(b)は作業台を伸長させた状態の側面図である。
図5】上記作業台を示す図であり、(a)は作業台を縮小させた状態の斜視図、(b)は作業台を伸長させた状態の斜視図である。
図6】上記作業台を基端側から見た正面図である。
図7】上記作業台の一部拡大図(一部断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係る高所作業車の一例である橋梁点検車について説明する。橋梁点検車1は、図1図3に示すように、トラック車両をベースとして構成され、車体2の前後左右に車輪3a,3bを配設して走行可能であり、車体2の前部に運転キャブ2aが設けられている。
【0012】
車体2の前後左右にはローラージャッキ17が設けられている。ローラージャッキ17は、車体の左右方向に拡幅可能なアウトリガ17a(図3を参照)と、上下方向に伸縮可能なジャッキ17bと、ジャッキ17bの下端部に回転自在に取り付けられたローラー17cとを有して構成される。橋梁点検車1では、アウトリガ17aを張り出してローラー17cを路面に接地させることにより、後述する作業台20を所望の位置に移動させた状態で車両を走行させて作業を行うことができるようになっている。ローラージャッキ17の作動操作は、車体2に設けられたジャッキ操作レバー(図示せず)の操作により行われる。
【0013】
車体2の後部には旋回台4が水平旋回自在に取り付けられており、この旋回台4は車体
2内に設けられた旋回モータ(図示せず)により旋回動可能に構成されている。旋回台4の上部には、基部が上下揺動自在に枢結されたブーム5が取り付けられている。ブーム5は、旋回台4とブーム5の間に跨設されたブーム起伏シリンダ52(図3を参照)により起伏動可能に構成されている。ブーム5は、その基端側から基端ブーム5a、先端ブーム5bを入れ子式に組み合わされて伸縮動自在であり、内蔵されたブーム伸縮シリンダ(図示せず)により伸縮動可能に構成されている。
【0014】
先端ブーム5bの先端部には屈伸ポスト6が上下に揺動自在に枢結され、この屈伸ポスト6の揺動軸と同軸にリンクアーム7が枢結されている。リンクアーム7の上端部にはポストレベリングシリンダ54のロッド側端部が枢結され、このシリンダ54のボトム側端部が先端ブーム5b内に枢結されている。リンクアーム7の下端部にはポスト屈伸シリンダ55のロッド側端部が枢結され、このシリンダ55のボトム側端部が屈伸ポスト6の下部に枢結されている。屈伸ポスト6の先端部には筒状のホルダ9が上下揺動可能に取り付けられている。ホルダ9内には伸縮ポスト10が軸方向に移動自在に挿入されて取り付けられている。
【0015】
屈伸ポスト6は、ポスト屈伸シリンダ55により先端ブーム5bに対して上下に揺動可能であり、先端部に取り付けられたホルダ9および伸縮ポスト10を所望の屈伸角度位置に設定することができるように構成されている。ポストレベリングシリンダ54のボトム側油室とブーム起伏シリンダ52のロッド側油室とが油路で繋がれて、いわゆる油圧回路式のレベリング機構が構成されており、ブーム5が起仰(倒伏)されたときにリンクアーム7およびポスト屈伸シリンダ55を介して屈伸ポスト6をブーム5の起伏角度と同一角度だけ倒伏(起仰)作動させ、ブーム5の起伏角度の如何に拘わらずホルダ9および伸縮ポスト10が常時一定角度に保持される(通常作業時には伸縮ポスト10が常に垂直な状態に維持される)ように構成されている。
【0016】
伸縮ポスト10は、第1ポスト10a,第2ポスト10b、第3ポスト10cおよび第4ポスト10dを入れ子式に組み合わされて構成され、ポスト内部に配設されたポスト伸縮シリンダ(図示せず)により伸縮動可能に構成されている。また、伸縮ポスト10は、ホルダ9と第1ポスト10aの間に跨設されたポスト昇降シリンダ(図示せず)により、ホルダ9に対して軸方向に移動可能に構成されている。第4ポスト10dの先端部には、図3に示す状態において左右に延びる軸を中心に揺動自在に支持アーム11が枢結されている。支持アーム11は、第4ポスト10dと支持アーム11との間に跨設されたアーム揺動シリンダ(図示せず)により揺動可能に構成されている。
【0017】
支持アーム11の先端部には、図3に示す状態において前後に延びる軸を中心に揺動自在に旋回ベース12が枢結されている。旋回ベース12の下端部には、上下に延びる軸を中心に旋回動自在に作業台ブラケット13が取り付けられており、この作業台ブラケット13に作業台20が取り付けられている。作業台ブラケット13は、内蔵された作業台旋回モータ(図示せず)により旋回ベース12に対して作業台20とともに旋回動(首振り動)可能に構成されている。支持アーム11と旋回ベース12の間には作業台レベリングシリンダ57が跨設されている。作業台レベリングシリンダ57は、作業台20に設けられた傾斜検出器(図示せず)の検出信号に基づいて伸縮作動が制御され、ブーム5の起伏角度や伸縮ポスト10の屈伸角度等の如何に拘わらず、作業台20の床面が常に水平状態に維持されるようにレベリング制御されるようになっている。
【0018】
作業台20は、図3図7に示すように、作業台ブラケット13に取り付けられた第1作業台21と、第1作業台21の床面に沿ってスライド移動可能に設けられた第2作業台22とを有して構成される。第1作業台21および第2作業台22はそれぞれ、作業者が搭乗可能な平面視矩形状の作業床21a,22aと、これらの作業床の上面周囲を取り囲
むように立設された手摺り21b,22bとを有して構成されている。
【0019】
第1作業台21の作業床21a(以下、第1作業床21aと称する)の左右両端部にはそれぞれ、左右一対のレール部材23が第1作業床21aの長手方向に延びて設けられている。左右のレール部材23は、互いに向き合う方向(内側)に開口した略コ字状に形成されている(図6を参照)。第2作業台22の作業床22a(以下、第2作業床22aと称する)の基端側左右両端部にはそれぞれ、左右一対のプレート部材24が第2作業床22aの長手方向に延びて設けられ、左右のプレート部材24の上下面にそれぞれ上下一対の基端側スライダ部材24a,24bが設けられている(図6および図7を参照)。これらの基端側スライダ部材24a,24bが左右のレール部材23内に挿入され、基端側スライダ部材24a,24bの上下面がそれぞれレール部材23の内面に当接した状態となり、基端側スライダ部材24a,24bがレール部材23内を摺動可能になっている。第1作業床21aの先端側上面には、左右一対の先端側スライダ部材25が設けられており、これらの先端側スライダ部材25上に第2作業床22aの下面が当接した状態で載置され、第2作業床22aが左右の先端側スライダ部材25上を摺動可能になっている。このような構成により第1および第2作業床21a,22aが係合されているため、第2作業床22aが左右のレール部材23にガイドされて第1作業床21aの上方をスライド移動可能になっている。
【0020】
左右のレール部材23の基端部(作業台ブラケット13側の端部)は、第1作業床21aの基端部よりも外方に突出するように延びて設けられている(図5(b)を参照)。そのため、第1作業床21aに対して第2作業床22aを基端部側にスライド移動させると、第2作業床22aの基端部が第1作業床21aの基端部よりも外方に突出した状態となるように構成されている(図5(a)を参照)。この第2作業床22aの突出する基端部は、第2作業床22aを第1作業床21aの先端側にスライド移動させて作業台20を拡張させたときに(図5(b)に示す状態)、第1作業床21aの先端部と上下に重なる部分(オーバーラップする部分)と対応している。すなわち、作業台20の拡張時にオーバーラップする第2作業床22aの基端部が、作業台20の縮小時に第1作業床21aの基
端部よりも外方に突出するようになっている。第1作業床21aの基端部よりも外方に突
出する左右のレール部材23の基端部の上方には、旋回ベース12および作業台ブラケット13を配設するための空間が設けられている。左右のレール部材23の基端部が第1作業床21aの基端部よりも外方に突出しているため、図5(a)に示すように第2作業床22aをスライド移動させて縮小状態としたときに、第2作業床22aの左右の基端側スライダ部材24a,24b(図6を参照)が左右のレール部材23から飛び出すことなく常に挿入された状態とすることができ、これにより作業台20のスムーズな伸縮作動が可能になっている。
【0021】
第1および第2作業床21a,22aの下面には作業台拡縮シリンダ58が設けられている。作業台拡縮シリンダ58は、ボトム側基端部が第1作業床21aの下面に枢結され、ロッド側端部が第2作業床22aの下面に枢結されており、作業台拡縮シリンダ58を伸縮作動させることにより第1作業床21aに対して第2作業床22aをスライド移動させて作業台20の床面積を拡大および縮小可能に構成されている。
【0022】
作業台20には、搭乗した作業者が操作する操作装置(図示せず)が設けられている。この操作装置は、ブーム5の起伏、伸縮および旋回操作を行うためのブーム操作レバーと、伸縮ポスト10の起伏(屈伸)および伸縮操作を行うためのポスト操作レバーと、作業台20の旋回(首振り)および拡縮操作を行うための作業台操作レバーとを有して構成される。作業者は、これらの操作レバーを操作することにより、ブーム起伏シリンダ52、ブーム伸縮シリンダ、旋回モータ、ポスト起伏シリンダ55、ポスト昇降シリンダ、作業台旋回モータおよび作業台拡縮シリンダ58の各作動操作を行うことができるようになっ
ている。
【0023】
車体2には、走行用のエンジンと、油圧ポンプと、エンジンの駆動力を取り出して油圧ポンプを駆動するパワーテイクオフ機構とが設けられている。パワーテイクオフ機構をオン・オフ作動させる(油圧ポンプを駆動させたり停止させたりする)ためのPTO操作レバーは、運転キャブ2a内に設けられている。旋回モータ、起伏シリンダ52、ブーム伸縮シリンダ、ポスト起伏シリンダ55、ポスト昇降シリンダ、作業台拡縮シリンダ58および作業台旋回モータには、油圧ポンプから吐出された作動油が、それぞれの油圧アクチュエータに対応する制御バルブ経由で供給される。そして、これらの各油圧アクチュエータは、対応する制御バルブのスプールの駆動状態に応じた方向および速度で作動するようなっている。
【0024】
車体2にはコントローラ(図示せず)が設けられており、このコントローラのバルブ制御部は、ブーム操作レバー、ポスト操作レバーおよび作業台操作レバーの操作状態(操作方向および操作量)に応じて出力された操作信号に基づいて各制御バルブのスプールを駆動するようになっている。ブーム操作レバー、ポスト操作レバーおよび作業台操作レバーの操作状態(操作方向および操作量)は、各操作レバーに設けられたレバー操作状態検出器(例えば、ポテンショメータによって構成される)により検出され、その検出信号が操作レバーの操作方向および操作量に対応した操作信号としてバルブ制御部に入力され、バルブ制御部により各制御バルブのスプールが駆動されるようになっている。
【0025】
このように構成された橋梁点検車1では、図1および図2に示すように、ブーム5、伸縮ポスト10および作業台20を車体2上に格納することができるようになっている。この格納時に作業台20は、第1作業床21aに対して第2作業床22aを基端側(作業台ブラケット13側)にスライド移動させて作業台20の床面積を縮小させ、運転キャブ2a後方の車体2上において前後方向に延びた状態で格納される。このとき、第2作業床22aの後端部が車体2の後端部よりも後方に突出しないように第2作業床22aを前方にスライド移動させ、第2作業床22aの前端部が第1作業床21aの前端部よりも前方に延びて運転キャブ2aに接近した状態で格納されるようになっている。そのため、作業台20上での作業範囲を広くするために第2作業床22aの床面の長さを長くしても、第2作業床22aの後端部が車体2の後端部よりも後方に突出することなく作業台20を車体2上に格納することができる。換言すれば、運転キャビン2aとの間の空間を有効利用することにより、第2作業床22aの床面の長さを長くすることができる。また、第2作業床22aの床面の長さを長くすることができるため、作業台20を2段伸縮式の構成としても、作業台20上での広い作業範囲を確保することができる。また、作業台20を2段伸縮式の構成とすることにより、従来の3段伸縮式の作業台よりも、伸縮構造を簡単にすることができるとともに、作業台を軽量化することができる。
【0026】
これまで本発明に係る実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、橋梁点検車に本発明を適用した例を示したが、本発明は、車体上に設けられた垂直上方に伸縮動可能な垂直マストにより作業台を昇降移動させる高所作業車や、車体上に設けられたシザースリンク機構により作業台を昇降移動させる高所作業車等、種々の高所作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 橋梁点検車(高所作業車)
2 車体
4 旋回台(昇降装置)
5 ブーム(昇降装置)
6 屈伸ポスト(昇降装置)
10 伸縮ポスト(昇降装置)
12 旋回ベース(作業台支持装置)
13 作業台ブラケット(作業台支持装置)
20 作業台
21 第1作業台
21a 作業床(第1作業床)
22 第2作業台
22a 作業床(第2作業床)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7