(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
2 発明の背景
2.1 発明の分野
本発明の技術は、呼吸器関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善のうちの一つ以上に関する。特に、本発明の技術は、医療機器またはデバイス、およびこれらの使用に関し、治療ガスを、例えば、鼻通路によって患者の呼吸器系に導くデバイスを含むことができる。
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 人の呼吸器系とその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進する。鼻と口は、患者の気道の入口を形成する。
【0004】
気道は一連の気管支を含み、これらの気管支は、肺内に深く入り込むほど狭く、短くなり、数が増える。肺の主要機能は、ガス交換であり、酸素を空気から静脈血中に移動させ、二酸化炭素を外に出すことができる。気管は、左右の気管支に分かれ、さらに最終的に終末細気管支に分かれる。気管支は、導管の気道を作り、ガス交換には関与しない。気道のさらなる分岐は、呼吸細気管支となり、最終的に肺胞になる。肺の胞状領域は、ガス交換が行われる場所であり、呼吸領域と呼ばれる。John B. West著“呼吸生理学”Lippincott Williams & Wilkins、第9版、2011年発行を参照する。
【0005】
幅広い呼吸器疾患が存在する。
【0006】
閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、睡眠中の上気道路の閉鎖または閉塞が特徴である。OSAは、睡眠中の、異常に小さい上気道と、舌、軟口蓋および中咽頭後壁領域の正常な筋緊張喪失の併発により生ずる。この状態は、罹患患者の呼吸を通常30〜120秒の持続した期間の間停止させ、これは時には1晩200〜300回になる。日中の過剰な傾眠を引き起こすことが多く、心血管系疾患および脳損傷を引き起こすこともある。本症候群は、特に中年の肥満男性に一般な疾患であるが、罹患患者にこの問題の自覚がないことがある。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照する。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、患者の呼吸調節疾患であり、通気の漸増および漸減が周期的に交互に起こる期間があり、動脈血の反復的な脱酸素および再酸素負荷を引き起こす。CSRは反復性低酸素症のため有害である可能性がある。患者の中には、CSRが睡眠からの反復的な覚醒を伴っていることもあり、これにより、重度の不眠、交感神経機能亢進および後負荷の悪化が引き起こされる。米国特許第6,532,959号(Berthon−Jones)を参照する。
【0008】
肥満低通気症候群(OHS)は、他の既知の低通気の原因がない状態下での、重度の肥満および覚醒時の慢性高炭酸ガス血症の併発と定義されている。症状は、呼吸困難、起床時の頭痛(morning headache)および日中の過剰な眠気である。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、共通したある特徴を有する下気道疾患のグループのうちのいずれかを含む。これらには、空気の移動に対する抵抗の増加、呼吸の呼気期の延長および肺の正常な弾力の喪失が含まれる。COPDの例は、肺気腫および慢性気管支炎である。COPDは、慢性的なタバコの喫煙(主要なリスク因子)、職業被曝、空気汚染および遺伝的要因により引き起こされる。症状は、労作時呼吸困難、慢性咳嗽および喀痰産生である。
【0010】
神経筋疾患(NMD)は、内因性の筋性病態により直接的に、または、神経性病態により間接的に、筋機能を損なわせる、多くの疾患および病気を含む広い用語である。NMD患者の中には、歩行運動喪失、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋低下、および、最終的に呼吸不全による死亡につながる、進行性筋障害を特徴とする者もいる。神経筋疾患は、急速に進行するものと、緩徐に進行するものに分けられる:(i)急速進行疾患:数カ月かけて悪化し、数年以内に死亡につながる筋障害を特徴とする(例えば、十代での筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD))、(ii)可変性または緩徐に進行する疾患:数年かけて悪化し、平均余命を軽度にのみ減少させる筋障害を特徴とする(例えば、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーおよび筋緊張性ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全の症状は、全身状態低下の悪化、嚥下障害、労作時および安静時呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛ならびに集中困難および気分変化である。
【0011】
胸壁疾患は、呼吸筋と胸郭との間の結合が不十分となる胸郭変形のグループである。疾患は、通常、限定的な欠損を特徴とし、長期にわたる高炭酸ガス血性呼吸不全の可能性となる。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重度の呼吸不全を引き起こすことがある。呼吸不全の症状は、労作時呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下および食欲喪失である。
【0012】
この他の健康な個人は、システムおよびデバイスを利用して呼吸器疾患の発症を予防することができる。
【0013】
2.2.2 治療
経鼻持続的気道陽圧(CPAP)治療法は、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の治療に使用されてきた。この仮説は、持続的気道陽圧が空気圧の副木として作用し、軟口蓋および舌を前に押し出し、後口咽頭壁から離れるようにすることによって、上気道の閉塞を防ぐことができる。
【0014】
非侵襲性通気(NIV)は、患者が十分な呼吸を行うこと、および/または体内の酸素レベルを適切に維持することを支援するために、呼吸作業の一部または、すべてを行って、上気道を通して患者に通気補助を提供する。通気補助は、患者のインタフェースを介して提供される。NIVは、CSR、OHS、COPD、MDおよび胸壁障害の治療に使用されてきた。
【0015】
侵襲性通気(IV)は、もはや効果的に自ら呼吸できない患者に対する通気補助を提供し、気管切開チューブを使用して提供される。
【0016】
人工呼吸器は、患者に注入された呼吸のタイミングおよび圧力を制御し、患者が行う呼吸をモニタリングすることができる。患者の制御およびモニタリング方法は、通常、従量式の方法および従圧式の方法を含む。従量式の方法は、特に、圧力制御従量式通気(PRVC)、従量通気(VV)、および従量式調節持続強制通気(VC−CMV)技法を含むことができる。従圧式の方法は、特に、補助調節(AC)、同期的間欠的強制通気(SIMV)、調節機械通気(CMV)、圧力補助通気(PSV)、持続的気道陽圧(CPAP)または呼吸終末陽圧(PEEP)技法を含む。
【0017】
2.2.3 システム
睡眠呼吸障害の治療に使用する一つの既知のデバイスは、レスメド(ResMed)が製造したS9 Sleep Therapy System(睡眠治療システム)である。成人および小児用の人工呼吸器のResMed Stella
TMシリーズのような人工呼吸器は、これらの限定されないが、NMD、OHSおよびCOPDのような多数の状態を治療するために、広範囲な患者に、侵襲性および非侵襲性依存性呼吸に対する支持を提供することができる。
【0018】
ResMed Elisee
TM150人工呼吸器とResMed VSIII
TM人工呼吸器とは、多数の状態を治療するために、成人または小児患者に適した、侵襲性および非侵襲性依存性通気に対する支持を提供することができる。これらの人工呼吸器は、単一肢または二重肢の回路に容量および大気の通気モードを提供する。
【0019】
システムは、PAPデバイス/人工呼吸器、空気回路、加湿器、患者インタフェースおよびデータ管理を含むことができる。
【0020】
2.2.4 患者インタフェース
患者インタフェースは、例えば、呼吸できるガスの流れを提供することによって、呼吸器具をユーザーにインタフェースするのに使用できる。呼吸できるガスの流れは、鼻および/または口へのマスク、口へのチューブまたはユーザーの気管への気管切開チューブを介して提供され得る。適用される治療法に応じて患者インタフェースは、治療を行うための周囲圧力で十分な変化時の圧力、例えば、約10cmH
2Oの陽圧で、ガスの供給を促進するために、例えば、患者の顔領域にシールを形成することができる。酸素の送達などの他の治療法の場合、患者インタフェースは、約10cmH
2Oの陽圧で、ガスの気道への供給を促進するのに十分なシールを含まないことができる。
【0021】
患者インタフェースのデザインには、いろいろな難問がある。顔面は、複雑な3次元の形状をしている。鼻のサイズと形は、個人によってかなり異なる。頭部には、骨、軟骨と軟組織があり、顔面の異なる領域は、機械的な力に対して異なる反応をする。顎または下顎は、頭蓋骨の他の骨に関連して動くことができる。頭全体が呼吸治療の過程で動くことができる。
【0022】
これらの難問のために、マスクに応じて閉塞性であり、審美的に好ましくなく、コストが高く、装着が不十分であり、使用困難の一つまたはそれ以上の問題に悩み、長期間使用すると摩耗するかまたは患者がシステムに不慣れだと不愉快である。例えば、飛行士専用にデザインされたマスク、個人の保護デバイス(例えば、フィルターマスク)の一部としてデザインされたマスク、SCUBAマスク、または麻酔薬投与のためのマスクは、本来の適用には耐えるが、長期間、例えば、数時間着用することは好ましくないほど不愉快である。睡眠中にマスクを着用しなければならない場合は、特にそうである。
【0023】
患者が治療法に従う限り、鼻CPAP治療法は、特定の呼吸器疾患の治療に特に効果的である。マスクが不愉快であるか使用困難であれば、患者は治療に従わないかもしれない。患者は自分のマスクを定期的に洗浄するようしばしば推奨されているので、マスクの洗浄が困難であれば(例えば、組立または分解が困難であれば)、患者は自分のマスクを洗浄しないかもしれず、これは患者のコンプライアンスに影響する。
【0024】
その他の適用(例えば、飛行士)のためのマスクを睡眠呼吸障害に使用するのは適切でないかもしれないが、睡眠呼吸障害に使用するようデザインされたマスクは、その他の適用に適しているかもしれない。
【0025】
これらの理由から、呼吸療法のためのマスクは、別のフィールドを形成する。
【0026】
2.2.4.1 シール形成部
患者インタフェースは、シール形成部を含むことができる。これは、患者の顔面と直接接触するので、シール形成部の形状と構成とは、患者インタフェースの有効性と快適さに直接影響を与えることができる。
【0027】
患者インタフェースは、シール形成部分が使用中の顔面の何処と係合するが、デザイン意図に従って一部特徴付けられる。患者インタフェースの一つの形態において、シール形成部は、左と右のそれぞれの鼻孔に当たる2つのサブ部分を有することができる。患者インタフェースの一つの形態において、シール形成部分は、使用中に両方の鼻孔を囲む単一の要素であり得る。このような単一の要素は、例えば、顔面の上唇領域と鼻梁領域を覆うようにデザインすることができる。患者インタフェースの一つの形態において、シール形成部分は、例えば、顔面の下唇領域上にシールを形成するなど、使用中の口の領域を囲む要素からなり得る。患者インタフェースの一つの形態において、シール形成部分は、使用中の両方の鼻孔と口の部分を囲む単一の要素からなり得る。患者インタフェースのこれらの異なるタイプは、それらの製造者が付けた種々の名称で知られており、鼻マスク、顔全体マスク、鼻枕、鼻噴霧および口腔鼻マスクが含まれる。
【0028】
患者の顔の一つの領域において、効果的なシール形成部分は、患者の顔の形状、構造、変化および敏感な部分が異なるので、別の領域には適していないことがある。例えば、患者の前頭を覆う水中メガネのシールを患者の鼻に使用するには適当でない。
【0029】
様々な異なる顔の形状およびサイズに適し、快適で効果的な一つのデザインのように、大量生産用として特定のシール形成部をデザインすることができる。患者の顔の形状と大量生産された患者のインタフェースのシール形成部の間に不整合(mismatch)がある程度に、一つまたは全てを充足させてシールを形成しなければならない。
【0030】
シール形成部分の一つのタイプは、患者インタフェースの周辺附近に伸び、シール形成部分が患者の顔と向き合う係合で、シール形成部との力が患者インタフェースに加えられた時に患者の顔に対してシールするように意図されている。シール形成部分は、空気または液体で満たされたクッション、またはゴムなどのエラストマーで作られた弾性シール要素の成形または形成された面を含むことができる。このタイプのシール形成部では、適合性(fit)が適切でない場合、シール形成部分と顔との間に間隔が存在し、シールを達成するために顔に対して患者インタフェースに更なる力を加える必要がある。
【0031】
シール形成部のもう一つタイプは、マスクの周辺近辺に位置した薄い材料からできたフラップシールを含み、マスク内に陽圧がかかると患者の顔に対抗してセルフシーリングを行う。シール形成部分の以前のタイプのように、顔とマスクとの間の整合(match)が良好でないと、シールを形成するために更なる力が必要になるかまたはマスクから漏れが生じる。さらに、シール形成部分の形状が患者のそれに整合しない場合、使用中に折れ曲がるか座屈することができ、漏れが発生する。
【0032】
シール形成部分のもう一つのタイプは、例えば、鼻孔への挿入のような摩擦嵌合要素を含むことができる。
【0033】
シール形成部分のもう一つの形態は、接着剤を使用してシールを達成することができる。顔面に接着剤を絶えず適用し、これを除去するのが不便と感じる患者もいる。
【0034】
ResMed Limitedに譲渡された以下の特許出願に、様々な患者インタフェース・シール形成部の技術が開示されている:WO 1998/004,310; WO 2006/074,513; WO 2010/135,785。
【0035】
鼻枕の一つの形態がPuritan Bennetが製造するAdam Circuitに本出される。また他の鼻枕または鼻噴霧は、Puritan−Bennet Corporationに譲渡された米国特許第4,782,832号(Trimble外)の主題である。
【0036】
ResMed Limitedは、鼻枕を導入する以下の製品を製造した:SWIFT 鼻枕マスク、SWIFT II鼻枕マスク、SWIFT LT鼻枕マスク、SWIFT FX鼻枕マスクおよびLIBERTYフルフェース・マスク。ResMedに譲渡された以下の特許出願に、鼻枕マスクの例を説明している。国際特許出願WO 2004/073,778(特に、ResMed SWIFT鼻枕の特徴を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed SWIFT LT鼻枕の特徴を記載);国際特許出願WO 2005/063,328とWO 2006/130,903(特に、ResMed LIBERTYフルフェース・マスクの特徴を記載);国際特許出願WO 2009/052,560(特に、ResMed SWIFT FX鼻枕の特徴を記載)。
【0037】
2.2.4.2 位置決めと安定化
陽圧空気治療に使用する患者インタフェースのシール形成部は、シールを崩壊しようとする空気圧の相応した力の影響を受ける。このように、シール形成部を位置決めし、顔面の適当な部分とシーリングの関係を維持するために様々な技術が使用されてきた。
【0038】
一つの技術は、接着剤の使用である。例えば、米国特許出願公開第2010/0000534号を参照する。
【0039】
また他の技術は、一つまたは複数のストラップおよび安定化装着帯域の使用である。このような装着帯域の大部分は、一つまたは複数の不適合、かさばる、不快さおよび使用がぎこちないの問題に悩まされる。
【0040】
2.2.4.3 通気口技術
幾つかの形態の患者インタフェースシステムは、吐き出された二酸化炭素のウォッシュアウトを可能にする通気口を含むことができる。通気口は、患者インタフェースの内部空間、例えば、プレナムチャンバから患者インタフェースの外部へ、例えば、周囲環境にガスの流れを可能にし得る。通気口は、オリフィスを備えてもよく、また、マスクの使用する時に、ガスがオリフィスを通って流れることもできる。多くのこのような通気口は、雑音がある。他の通気口は、使用時に塞がって不十分なウォッシュアウトをもたらす場合がある。一部の通気口は、例えば、雑音或いは集束気流によって患者1000のベッドパートナー1100の睡眠に支障をもたらすことができる。
【0041】
ResMed Limitedは、多くの改良されたマスク通気口技術を開発してきた。これについては、WO 1998/034,665号、WO 2000/078,381号、米国特許第6,581,594号、米国特許出願第2009/0050156号、米国特許出願第2009/0044808号を参照する。
【0042】
【表1】
【0043】
様々な対象の音圧値を以下に列挙する。
【0044】
【表2】
【0045】
2.2.5 呼吸器装置(PAPデバイス/人工呼吸器)
呼吸器装置の例としては、ResMedのS9 AutoSet
TMPAPデバイスおよびResMedのStellar
TM150人工呼吸器を含む。呼吸器装置は、典型的には、モータ駆動送風機または圧縮ガス貯蔵器のような圧力発生器を含み、典型的には、前記に説明されたような患者インタフェースを介して、 患者の気道に空気または他の呼気性ガスの流れを供給するように構成される。ある場合には、空気または他の通気性ガスの流れが、患者の気道に陽圧で供給することができる。呼吸器装置の出口は、空気回路を介して前述したような患者インタフェースに接続される。
【0046】
【表3】
【0047】
2.2.6 加湿器
加湿せずに呼吸可能なガスの流れを患者の気道に送達することは、気道の乾燥を引き起こすことができる。医療加湿器は、必要なときに、一般に、患者が(例えば、病院で)眠っているまたは休んでいるときに、周囲の空気に関連して、呼吸可能なガスの流れの湿度および/または温度を増加させるのに使用される。結果的に、医療加湿器は、ベッドサイドの配置に対して小さいことが好ましく、患者の周囲を加湿および/または加熱せずに、患者に送達される呼吸可能なガスの流れを加湿および/または加熱するように構成されるのが好ましい。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、空気調節器、蒸発冷却器)もまた、患者に吸入される空気を加湿および/または加熱することができるが、これらのシステムは、部屋全体を加湿および/または加熱することによって行うため、居住者に対する不快感を引き起こすことができる。
【0048】
呼吸装置および患者インタフェースを有する加湿器の使用は、鼻粘膜の乾燥を最小化し、患者の気道の快適さを増加させる、加湿された空気を生成する。寒冷な気候に加えて、患者インタフェース中および患者インタフェース周囲の顔面領域に通常適用される温暖な空気は、冷たい空気よりさらに快適である。
【0049】
呼吸用加湿器は、多くの形態で利用可能であり、空気回路を介して呼吸装置に結合される独立型デバイスであってもよく、関連呼吸装置と一体化されるか、関連呼吸装置に直接結合されるように構成される。既知の受動加湿器は、多少緩和をもたらすことができるが、一般に、熱加湿器は、患者が快適になるように、十分な湿度および温度を空気に提供するために使用され得る。一般に、加湿器は、数百ミリリットル(ml)の容量を有するウォーターリザーバーまたはウォータータブ、リザーバー中の水を加熱する熱要素、加湿のレベルを変化させ得るコントロール、流れ発生器またはRPTデバイスから空気を受け取る空気入口、および、患者インタフェースに加湿された空気を送達する空気回路に接続されるように適合化された空気出口を備える。
【発明を実施するための形態】
【0081】
5 本発明の技術の実施例の詳細な説明
本発明の技術をさらに詳細に説明する前に、本発明の技術が本明細書で説明されている特定の例に限定されず、変更可能であることを理解すべきである。さらに、本開示において使用される用語は、本明細書で説明されている特定の例のみを説明することを目的としており、制限的なことを意図しないことを理解すべきである。
【0082】
5.1 治療法
一形態において、本技術は、患者1000の気道の入口に陽圧を印加するステップを含む呼吸器疾患を治療するための方法を含む。
【0083】
5.1.1 OSAに対する経鼻CPAP
一形態において、本技術は、患者に経鼻持続気道陽圧を適用することにより、患者の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療する方法を含む。
【0084】
本技術の特定の実施形態において、陽圧での空気の供給は、一方または両方の鼻孔を介して患者の鼻腔に提供される。
【0085】
5.2 治療システム
一形態において、本技術は、呼吸器疾患を治療するための装置を含む。前記装置は、患者インタフェース3000に至る空気回路4170を経て患者1000に空気などの加圧空気を供給するためのPAPデバイス4000を含むことができる。
【0086】
5.3 患者インタフェース3000
本の技術の一態様に従う非侵襲性患者インタフェース3000は、以下の機能的側面として、シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、および空気回路4170に接続するための接続ポート3600を備える。一部の形態において、機能的側面は、一つまたは複数の物理的構成要素により提供され得る。一部の形態では、一つの物理的構成要素は、一つまたは複数の機能的側面を提供することができる。使用時に、シール形成構造3100は、陽圧で気道へ空気の供給を促進するために、患者の気道の入口を取り囲むように配列される。
【0087】
5.3.1 シール形成構造3100
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、シール形成面を提供し、さらにクッション機能を提供することができる。
【0088】
本技術によるシール形成構造3100は、シリコーンのような柔らかくて、柔軟性且つ弾力性のある材料から構成することができる。
【0089】
一形態において、シール形成構造3100は、シール用フランジと支持フランジを含む。好ましくは、シール用フランジは、プレナムチャンバ3200の周辺部の周りに延びる約1mm未満、例えば、約0.25mm〜約0.45mmの厚さを有する比較的薄い部材を含む。支持フランジは、シール用フランジより相対的により厚いことができる。支持フランジは、シール用フランジとプレナムチャンバ3200の周縁エッジの間に配置され、周辺部の少なくとも一部の周りに延びている。支持フランジは、ばね状の要素であるか、またはそれを含み、使用中にシール用フランジを支持して座屈を起こすのを防止する。使用中に、シール用フランジは、プレナムチャンバにおけるシステム圧力に容易に対応することができ、その底面に作用して顔にしっかりと係合するよう促す。
【0090】
一形態において、非浸湿性患者インタフェース3000のシール形成部は、一対の鼻噴霧または鼻枕を含み、それぞれの鼻噴霧または鼻枕は、患者の鼻のそれぞれの鼻孔とシールを形成するように構築されて配置される。
【0091】
本技術の態様による鼻枕または鼻孔は、次を含むことができる:戴頭円錐、少なくともその一部が患者の鼻の下側の底面にシールを形成する;脚または首、戴頭円錐の底面の柔軟な部分と戴頭円錐を脚に接続する。さらに、本発明の技術の鼻枕が接続される構造は、脚の基部に隣接した柔軟な領域を含む。柔軟な領域は一致して作用して 自在継手構造の役目をし、戴頭円錐と鼻枕が接続されている構造の変位と角度の両方の相対運動に対応する。例えば、戴頭円錐は、脚が接続される構造に向けて軸方向に変位させることができる。
【0092】
一つの形態において、非侵襲性シール形成部3000は、使用中に患者の顔の上唇(これがlip superiorである)上にシールを形成するシール形成部を含む。
【0093】
一つの形態において、非侵襲性患者インタフェース3000は、使用中に患者の顔の顎の部分にシールを形成するシール形成部を含む。
【0094】
5.3.2 プレナムチャンバ3200
好ましくは、プレナムチャンバ3200は、使用中にシールが形成される領域における平均的な人の顔の表面輪郭に補完になるように形成された周辺部を有している。使用中には、プレナムチャンバ3200の周縁エッジは、顔の隣接する表面に近接するよう位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって行われる。好ましくは、シール形成構造3100は、使用中にプレナムチャンバ3200の全体周辺部3210を延びる。
【0095】
5.3.3 位置決めおよび安定化構造3300
患者インタフェース3000は、位置決めおよび安定化構造3300によってその作動位置に保持される。例えば、患者インタフェース3000のシール形成構造3100は、位置決めと安定化構造3300によって使用中はシーリング位置に保持される。
【0096】
5.3.4 通気口3400
一つの形態において、患者インタフェース3000は、吐き出される二酸化炭素のウォッシュアウトを可能にするように構成され配置された通気口3400を含む。
【0097】
本技術による通気口3400の一つの形態は、複数の孔、例えば、約20〜約80の孔、または約40〜約60の孔、または約45〜約55の孔を含む。
【0098】
好ましくは、通気口3400は、プレナムチャンバ3200に位置する。代替的に、通気口3400は、分離構造体3500、例えば、スイベル3510内に位置される。
【0099】
5.3.5 分離構造体(複数)3500
一つの形態において、患者インタフェース3000は、少なくとも一つの分離構造体3500、例えば、スイベル3510またはボールおよびソケット3520を含む。
【0100】
5.3.6 接続ポート3600
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0101】
5.3.7 前頭支持体3700
一つの形態において、患者インタフェース3000は、前頭支持体3700を含む。
【0102】
5.3.8 窒息防止バルブ3800
一つの形態において、患者インタフェース3000は、窒息防止バルブ3800を含む。
【0103】
5.3.9 ポート3900
本技術の一つの形態において、患者インタフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の空間(volume)へのアクセスを可能にする一つまたは複数のポートを含む。一つの形態では、これにより、臨床医が補助酸素を供給することが可能になる。一つの形態では、これにより、圧力等、プレナムチャンバ3200内のガスの特性を直接測定することが可能になる。
【0104】
5.4 PAPデバイス4000
例示的な流れ発生器は、本技術の一つの態様によるPAPデバイス4000であることができ、機械的部品および空気圧構成部品4100、電気的部品4200を含むことができ、一つまたは複数のアルゴリズムを実行するようにプログラム化することもできる。PAPデバイスは、好ましくは、上側部分4012および下側部分4014の2つの部分に形成される外部ハウジング4010を備える。また、外部ハウジング4010は、一つまたは複数のパネル(複数)4015を含むことができる。PAPデバイス4000は、好ましくは、PAPデバイス4000の一つまたは複数の内部部品を支持するシャーシ4016を含む。一つの形態において、空気圧ブロック4020は、シャーシ4016によって支持されるか、またはその一部として形成される。PAPデバイス4000は、ハンドル4018を含むこともできる。
【0105】
PAPデバイス4000は、前記デバイスと結合された患者インタフェースのタイプに応じて一つまたは複数の空気圧経路を有することができる。PAPデバイス4000の空気経路は、好ましくは、吸入口エアフィルタ4112、吸入口マフラ4122、陽圧の空気を供給することができる制御可能な圧力デバイス4140(好ましくは、送風機4142)、および/または所望の流量の空気を供給できる流れデバイス(例えば、送風機または酸素供給ラインなどの)、空気ブロツク4020および 放出口マフラ4124を含む。圧力センサなどの一つまたは複数のトランスデューサ4270および圧力トランスデューサ4272および流量センサまたは流量トランスデューサ4274は、空気圧経路内に含まれることができる。
【0106】
好適な空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に位置する空気圧経路の一部を含み、圧力デバイス4140を受容することができる。
【0107】
PAPデバイス4000は、好ましくは、電源装置4210、一つまたは複数の入力デバイス4220、中央コントローラ4230、治療デバイスコントローラ4240、圧力デバイス4140、一つまたは複数の保護回路4250、メモリ4260、トランスデューサ4270、データ通信インタフェース4280、および一つまたは複数の出力デバイス4290を有する。電気的部品4200は、単一のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に装着され得る。代替の形態において、PAPデバイス4000は、2つ以上のPCBA4202を含むこともできる。
【0108】
PAPデバイスは、本明細書の全般にわたって記載される圧力療法または流れ療法のいずれかを提供するように構成され得る。
【0109】
5.4.1 PAPデバイスの機械的部品および空気圧部品4100
5.4.1.1 エアフィルタ(複数)4110
本技術の一つの形態によるPAPデバイスは、一つのエアフィルタ4110、または複数のエアフィルタ4110を含むこともできる。
【0110】
一つの形態において、吸入口エアフィルタ4112は、空気経路の開始部において、圧力デバイス4140の上流に位置する。
図4bを参照する。
【0111】
一つの形態では、放出口エアフィルタ4114、例えば、抗菌性フィルタは、空気圧ブロック4020の放出口と患者インタフェース3000との間に位置する。
図4bを参照する。
【0112】
5.4.1.2 マフラ(複数)4120
本技術の一つの形態において、吸入口マフラ4122は、空気経路において圧力デバイス4140の上流に位置する。
図4bを参照する。
【0113】
本技術の一つの形態において、放出口マフラ4124は、空気経路において圧力デバイス4140と患者インタフェース3000との間に位置する。
図4bを参照する。
【0114】
5.4.1.3 圧力デバイス4140
本技術の一つの形態では、陽圧の空気の流れを生成するための圧力デバイス4140は、制御可能な送風機4142である。例えば、送風機4142は、ボリュート(volute:渦巻き形室)内に受容される一つまたは複数のインペラを有するブラシレスDCモータ4144を含むこともできる。送風機は、好ましくは、約4cmH
2O〜約20cmH
2Oの範囲、または他の形態では約30cmH
2Oまでの陽圧の空気の供給を、例えば、約120リットル/分で送達することが可能である。送風機は、その全体の内容が本願に組み込まれる次の特許などまたは特許出願などのうちのいずれか一つに記載された送風機を含むことができる:米国特許第7,866,944号;米国特許第8,638,014号;米国特許第8,636,479号;およびPCT特許出願公開番号WO 2013/020167号。
【0115】
圧力デバイス4140は、治療デバイスコントローラ4240の制御を受けることができる。
【0116】
他の形態において、圧力デバイス4140は、ピストン駆動ポンプ、高圧供給源(例えば、圧縮空気リザーバ)またはベローズに接続された圧力調整器であり得る。
【0117】
5.4.1.4 トランスデューサ(複数)4270
トランスデューサは、前記デバイスの内部に存在することもでき、PAPデバイスの外部に存在することもできる。外部のトランスデューサは、空気送達回路、例えば、患者インタフェースに位置することもでき、その一部を形成することもできる。外部のトランスデューサは、PAPデバイスにデータを送信または転送するドップラレーダ移動センサなどの非接触センサの形態であり得る。
【0118】
本技術の一つの形態において、一つまたは複数のトランスデューサ4270が、圧力デバイス4140の上流および/または下流に位置する。一つまたは複数のトランスデューサ4270は、空気経路内のその地点における空気の性質を測定するように構成および配置される。
【0119】
本技術の一つの形態において、一つまたは複数のトランスデューサ4270は、患者インタフェース3000に近接して位置する。
【0120】
一つの形態において、トランスデューサ4270からの信号は、ローパス、ハイパスまたはバンドパスフィルタリングによってフィルタリングされ得る。
【0121】
5.4.1.4.1 流量トランスデューサ4274
本技術による流量トランスデューサ4274は、差圧トランスデューサ、例えば、SENSIRION社が提供しているSDP600シリーズの差圧トランスデューサに基づくことができる。
【0122】
使用中に、流量トランスデューサ4274からの総流量Qt信号などの流量を表す信号が、中央コントローラ4230によって受信される。
【0123】
5.4.1.4.2 圧力トランスデューサ4272
本技術による圧力トランスデューサ4272は、空気圧回路と流体連通して位置する。好適な圧力トランスデューサの一例は、HONEYWELL社のASDXシリーズからのセンサである。代替の好適な圧力トランスデューサは、GENERAL ELECTRIC社が提供しているNPAシリーズからのセンサである。
【0124】
使用中に、圧力トランスデューサ4272からの信号は、中央コントローラ4230によって受信される。
【0125】
5.4.1.4.3 モータ速度トランスデューサ4276
本技術の一つの形態において、モータ速度トランスデューサ4276は、モータ4144および/または送風機4142の回転速度を決定するのに使用される。モータ速度トランスデューサ4276からのモータ速度信号は、好ましくは、治療デバイスコントローラ4240に提供される。モータ速度トランスデューサ4276は、例えば、ホール効果センサのような速度センサであり得る。
【0126】
5.4.1.5 アンチスピルバックバルブ4160
本技術の一つの形態において、アンチスピルバックバルブは、加湿器5000と空気圧ブロック4020との間に位置する。アンチスピルバックバルブは、水分が加湿器5000から例えば、モータ4144の上流に流れる危険性を低減させるように構成され配置される。
【0127】
5.4.1.6 空気回路4170
本技術の一態様による空気回路4170は、空気圧ブロック4020と患者インタフェース3000との間での空気または呼吸可能なガスの流れを可能にするように構成され配置される。
【0128】
特に、空気回路は、空気圧ブロックおよび患者インタフェースの出口と流体接続され得る。空気回路は、空気供給管と呼ぶことができる。ある場合には、吸入および呼気のための回路および/または複数の患者インタフェースのための回路の個々の四肢が存在することができる。他の場合には、単一の四肢が使用される。
【0129】
5.4.1.7 酸素送達4180
本技術の一つの形態において、補助酸素4180は、空気経路における一つ/または複数の地点に、たとえば、空気圧ブロック4020の上流に、空気回路4170および/または患者インタフェース3000に、例えば、鼻突出部またはカニューレの 突出部を介して送達される。
【0130】
5.4.2 PAPデバイスの電気部品4200
5.4.2.1 電源装置4210
電源装置4210は、PAPデバイス4000の外部ハウジング4010の内部または外部に位置され得る。
【0131】
本技術の一つの形態において、電源装置4210は、電力をPAPデバイス4000のみに送達する。本技術の別の形態において、電源装置4210は、電力をPAPデバイス4000および加湿器5000の両方に提供する。
【0132】
5.4.2.2 入力デバイス4220
本技術の一つの形態において、PAPデバイス4000は、人がPAPデバイスと相互作用することを可能にするボタン、スイッチまたはダイアル形態の一つまたは複数の入力デバイス4220を含む。ボタン、スイッチまたはダイアルは、物理デバイス、またはタッチスクリーンを介してアクセス可能なソフトウェアデバイスとすることができる。ボタン、スイッチまたはダイアルは、一つの形態では、外部ハウジング4010に物理的に接続することができ、または別の形態では、中央コントローラ4230に電気的に接続される受信機と無線通信することもできる。
【0133】
一つの形態において、入力デバイス4220は、人が値および/またはメニューオプションを選択することを可能にするように構成および配置され得る
【0134】
5.4.2.3 中央コントローラ4230
本技術の一つの形態において、中央コントローラ4230は、PAPデバイス4000を制御するのに適した一つまたは複数のプロセッサである。
【0135】
適したプロセッサには、ST MICROELECTRONIC社のSTM32シリーズマイクロコントローラのような ARM Holdings社のARM Cortex−Mプロセッサに基づくプロセッサであるx86 INTELプロセッサが含まれることができる。本技術の特定の代替の形態では、ST MICROELECTRONICS社が提供しているSTR9シリーズマイクロコントローラのような32ビットRISC CPU、または、TEXAS INSTRUMENTS社が提供している MSP430マイクロコントローラ製品群のプロセッサのような16ビットRISC CPUがまた適することもできる。
【0136】
本技術の一つの形態において、中央コントローラ4230は、専用電子回路である。
【0137】
一つの形態において、中央コントローラ4230は、特定用途向け集積回路である。他の形態において、中央コントローラ4230は、別個の電子部品を含む。
【0138】
中央コントローラ4230は、一つまたは複数のトランスデューサ4270および一つまたは複数の入力デバイス4220から入力信号(複数)を受けるように構成され得る。
【0139】
中央コントローラ4230は、出力信号(複数)を出力装置4290、治療装置コントローラ4240、データ通信インタフェース4280、および加湿器コントローラ5250のうちの一つまたは複数に提供するように構成され得る。
【0140】
本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、一つまたは複数のアルゴリズムなどの本明細書において説明されている一つまたは複数の方法論を実施するように構成される。一部の場合には、中央コントローラ4230は、PAPデバイス4000に統合することができる。しかし、本技術のいくつかの形態において、中央コントローラ4230は、呼吸器処置の実施を直接制御せずに、本明細書において説明されている方法論のうちの任意のものを実行することなどを目的で、PAPデバイス4000の流れ発生器とは個別的に実行され得る。例えば、中央コントローラ4230は、本明細書において説明されているセンサのうちのいずれかなどに格納されているデータの解析によって、換気デバイスに対する制御設定や他の呼吸器関連事件を決定することを目的で、本明細書において説明されている方法論のうちの任意のものを実行することができる。
【0141】
5.4.2.3.1 クロック4232
好ましくは、PAPデバイス4000は、中央コントローラ4230に接続されたクロック4232を含む。
【0142】
5.4.2.3.2 治療デバイスコントローラ4240
本技術の一つの形態において、治療デバイスコントローラ4240は、中央コントローラ4230によって実行されるアルゴリズムの一部を形成する圧力制御モジュール4330であり得る。治療デバイスコントローラ4240は、一部例において、これは、圧力制御および流れ制御モジュールであり得る。
【0143】
本技術の一つの形態において、治療デバイスコントローラ4240は、一つまたは複数の専用モータ制御集積回路である。例えば、一つの形態において、ONSEMI社によって製造されたMC33035ブラシレスDCモータコントローラが使用される。
【0144】
5.4.2.3.3 保護回路4250
好ましくは、本技術によるPAPデバイス4000は、一つまたは複数の保護回路4250を含む。
【0145】
本技術による一つまたは複数の保護回路4250は、電気的保護回路、温度または圧力安全性回路である。
【0146】
5.4.2.3.4 メモリ4260
本技術の一つの形態によれば、PAPデバイス4000は、メモリ4260、好ましくは不揮発性メモリを含む。いくつかの形態において、メモリ4260は、バッテリ駆動スタティックRAMを含むことができる。いくつかの形態において、メモリ4260は、揮発性RAMを含むこともできる。
【0147】
好ましくは、メモリ4260は、PCBA4202上に位置する。メモリ4260は、EEPROMまたはNANDフラッシュの形態とすることができる。
【0148】
追加的にまたは代替的に、PAPデバイス4000は、メモリ4260の着脱可能な形態のもの、例えば、セキュアデジタル(SD)標準規格に従って作製されたメモリカードを含む。
【0149】
本技術の一つの形態において、メモリ4260は、一つまたは複数のアルゴリズム4300など、本明細書において記載される一つまたは複数の方法を表すコンピュータプログラム命令などが格納されるコンピュータ可読格納媒体として作用する。
【0150】
5.4.2.4 データ通信システム4280
本技術の一つの好ましい形態において、データ通信インタフェース4280が設けられ、中央コントローラ4230によって接続される。データ通信インタフェース4280は、好ましくは、遠隔外部通信ネットワーク4282および/またはローカル外部通信ネットワーク4284に接続可能である。好ましくは、遠隔外部通信ネットワーク4282は、遠隔外部デバイス4286に接続可能である。好ましくは、ローカル外部通信ネットワーク4284は、ローカル外部デバイス4288に接続可能である。
【0151】
一つの形態において、データ通信インタフェース4280は、中央コントローラ4230の一部分である。別の形態において、データ通信インタフェース4280は、中央コントローラ4230とは別個であり、集積回路またはプロセッサを含むことができる。
【0152】
一つの形態において、遠隔外部通信ネットワーク4282はインターネットである。データ通信インタフェース4280は、(例えば、イーサネット(登録商標)または光ファイバを介した)有線通信、または無線プロトコル(例えば、CDMA、GSM(登録商標)、LTE)を使用してインターネットに接続することもできる。
【0153】
一つの形態において、ローカル外部通信ネットワーク4284は、一つまたは複数の通信標準、例えば、Bluetooth(登録商標)、または消費者赤外線プロトコルを利用する。
【0154】
一つの形態において、遠隔外部デバイス4286は、一つまたは複数のコンピュータ、例えば、ネットワークコンピュータのクラスタである。一つの形態において、遠隔外部デバイス4286は、物理コンピュータではなく、仮想コンピュータであることもできる。いずれの場合も、このような遠隔外部デバイス4286は、臨床医などの適切に認可された人にアクセス可能であることもできる。
【0155】
好ましくは、ローカル外部デバイス4288は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレット、またはリモートコントロールである。
【0156】
5.4.2.5 オプションのディスプレイ、アラームを含む出力デバイス
本技術による出力デバイス4290は、視覚的、聴覚的、および触覚的ユニットのうちの一つまたは複数の形態を取ることもできる。視覚的ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイであることもできる。
【0157】
5.4.2.5.1 ディスプレイドライバ4292
ディスプレイドライバ4292は、ディスプレイ4294上に表示を目的とした文字、シンボル、または画像を入力として受け取り、ディスプレイ4294にそれらの文字、シンボル、または画像を表示させるコマンドにそれらを変換する。
【0158】
5.4.2.5.2 ディスプレイ4294
ディスプレイ4294は、ディスプレイドライバ4292から受信されたコマンドに応答して文字、シンボル、または画像を視覚的に表示するように構成される。例えば、ディスプレイ4294は、8セグメントディスプレイとすることができる。この場合、ディスプレイドライバ4292は、たとえば、数字“0”などの各文字または各シンボルを、8つのそれぞれのセグメントが特定の文字またはシンボルを表示するように活性化されるか否かを示す8つの論理信号に変換する。
【0159】
5.5 加湿器5000
本技術の一形態では,周辺空気に対して患者に送達するための空気またはガスの絶対湿度を変更する
図5aに示したような加湿器5000が提供される。典型的に、加湿器5000は、絶対湿度を増加させ、患者の気道へ送達される前に周辺空気に対して呼吸可能なガス流れの温度を増加させるのに使用される。
【0160】
5.6 追加治療のための追加の患者インタフェース
一部の患者は、複数の療法を必要とする。例えば、一部の患者の場合、補助ガス療法が必要であり得る。例えば、酸素療法は、カニューレのプロングが患者の鼻孔に酸素を供給する鼻腔カニューレを使用して患者に送達され得る。鼻CPAPとは異なり、このような療法は、典型的に、閉塞性無呼吸または閉塞性低呼吸のような睡眠障害呼吸事件を治療するために、治療圧力(複数)でガスまたは空気を供給しない。このような酸素処置は、
図6に示した図面を参照して考慮され得る。伝統的な鼻腔カニューレ7002は、患者の鼻孔に酸素を供給することができる鼻腔プロング7004a、7004bを含む。このような鼻腔プロングは、一般に、鼻孔の内側または外側の皮膚表面とのシールを形成しない。鼻腔プロングへのガスは、典型的には、鼻腔カニューレと連結される一つまたは複数のガス供給ルーメン7006a、7006bによって供給され得る。このようなチューブは、酸素源につながる可能性がある。代替的に、いくつかの場合には、このような鼻腔カニューレが鼻孔へ高い空気流量治療を提供することができる。このような高流量療法(high−flow therapy、 HFT)は、2009年5月28日に国際出願PCT/AU09/00671号として出願された米国特許出願公開第2011−0253136号に記載されたものであることができ、その全体内容は、相互参照としてここに含まれる。このような場合、鼻腔カニューレのルーメンは、高流量療法のための空気流れを生成する流れ発生器につながる。
【0161】
伝統的な鼻腔カニューレで補助ガス療法を送達する間に、加圧ガス療法または陽性気道内圧療法(PAP)のような更なる療法を周期的に提供することが好ましいことができる。このような療法は、補助ガス療法に対して達成される圧力よりも高い圧力(例えば、20cmH
2Oまたは30cmH
2O)を必要とすることができるので、高い圧力を維持且つ持続するために、患者の呼吸器システムと共に圧力シールを形成するために、患者インタフェースを必要とすることができる。
【0162】
例えば、伝統的な鼻腔カニューレで酸素療法の間に、患者が睡眠または伝統的な圧力支援療法に移行するときに、伝統的なCPAP療法を患者に提供することが好ましいことができる。これらの追加の療法は、シール患者インタフェース、例えば、鼻マスクまたは口および鼻マスクなどのマスクを必要とすることができる。このような例は、
図7を参照して考慮することができる。マスク8008が伝統的な鼻腔カニューレを介して患者に適用されるとき、鼻腔カニューレの一つまたは複数の構成要素は、患者と良好なシールを形成するように、マスクのシール形成構造(例えば、クッション8010)を干渉することができる。例えば、
図7に示したように、ルーメン7006a、7006bは、マスクのクッション8010を干渉し得る。これは、所望の治療圧力レベルがマスク内で達成されることを妨害できるルーメンまたはルーメン付近で実質的なカニューレ誘導漏れCILをもたらすことができる。このような問題に対処するために、本願に記載された装置および療法を実施することができる。
【0163】
5.6.1 変更された鼻腔カニューレの実施形態
本技術の一部の実施例において、変更された鼻腔カニューレは、治療の変化に伴ってその使用を可能にするために実施され得る。例えば、
図8に示したように、鼻腔カニューレ9002は、一セットの突出部(例えば、一つまたは複数のプロング9004a、9004b)を含む。各突出部またはプロングは、ユーザーの鼻孔内に延びることができる。前記突出部は、ガスの流れをユーザーの鼻孔内に送達または導くための導管としての役割を果たす。鼻腔カニューレ9002は、また、典型的に、一つまたは複数のカプラ延長部9020a、9020bを含むだろう。カプラ延長部は、ルーメン9012a、9012bのようなガス供給ラインからガス流れを導くための導管としての役割を果たすことができる。カプラ延長部は、鼻腔カニューレ9002のベース部分9022および/またはカニューレの供給ライン(複数)と除去可能に連結され得る。代替的に、カプラ延長部は、そのいずれかまたは両方と一体化され得る。
【0164】
典型的に,各々のカプラ延長部(複数)は、シート部分(例えば、9024a、9024b)で構成され得る。シート部分は、他の患者インタフェースのための接触面を含むことができる。例えば、シート部分は、その間のシールを可能にするようマスクの典型的なシール形成構造(例えば、典型的な面接触クッション)に対する接触面としての役割を果たすことができる。従って、シート部分の接触面は、マスクのクッションと共にシール部を形成することができる。カプラ延長部は、また、典型的に、患者との皮膚/顔面接触のための接触面を含み、その間にシール部を形成するだろう。シート部分は、カニュール誘導漏れ(CIL)を最小化するか、除去するように構成された表面を含むことができる。そのようないくつかの場合に、シールベベル9090を有する表面を含むことができる。シールベベル9090は、マスクのクッションと顔面接触面との間のシールを促進することができる。このようにして、これは、別個に伝統的な鼻腔カニューレ構造によって引き起こされ得るギャップを埋めることができる。
【0165】
シート部のシールベベルは、シールを促進するために、様々な断面プロフィールで形成され得る。例えば、
図9aに示したように、カプラ延長部のシート部9024は、一般に、三角形の断面プロフィールを有することができる。それは、ベース部と反対側の面にマスクシール面を有する三角形、例えば、二等辺三角形であり得る。従って、ベース部と反対側の面は、等しいかまたは異なる長さを有することができる。ベース部9026は、典型的に、患者シール面として構成され得る。他の断面プロフィールも実施され得る。例えば、
図9b、
図9cおよび
図9dは、レンティル断面プロフィールを示す。従って、示したように、プロフィールは、中央でより大きいことができ、上面および底面は、プロフィールの対向する端部に向かって同様の傾斜によって徐々に収束することができる。
【0166】
いくつかの場合において、カプラ延長部は、鼻腔カニューレのプロングとルーメンとの間で呼吸可能なガスを導くための導管としての役割を果たすことができる。例えば、
図9a、
図9b、
図9cおよび
図9dを参照すると、シート部は、一つまたは複数のチャンネル導管10030を含むことができる。チャンネル導管は、鼻腔カニューレに対して異なるガス流れ方向にガスを導き、異なるプロングにガスを提供し、および/または異なるガスなどを提供するために使用され得る。例えば、一つのチャンネル導管は、鼻腔カニューレの一つのプロングにつながることができ、他ののチャンネル導管は、含まれる場合、鼻腔カニューレの他のプロングにつながることができる。
図9aおよび
図9cに示したように、単一チャンネル導管が提供される。単一チャンネル導管は、円形であり、チューブ状のルーメンと結合することができる。しかし、他の形状、例えば、矩形であり得る。このチャンネル導管は、鼻腔カニューレと連結されたときに、2つのプロングまたは一つのプロングにつながることができる。
図9bおよび
図9dに示したように、二重チャンネル導管が提供される。二重チャンネル導管の各チャンネルは、円形、楕円形または他の同様のプロフィールを有することができ、チューブ状のルーメンと結合することができる。
図9bに示した各チャンネル二重管路は、矩形であり、カプラ延長部内の中央に位置するリブデバイダー構造10032によって分割され得る。各チャンネルは、2つのプロングにつながることができるか、または各チャンネルは、鼻腔カニューレと結合したときに、異なるプロングにつながることができる。追加的なチャンネル導管は、例えば、追加のリブデバイダーを提供することによって、提供され得る。一部の形態において、カプラ延長部は、シールベベルを含むなど、その断面全体にわたって延びるチャンネル導管を含むことができる。
【0167】
図10aおよび
図10bに示したように、鼻腔カニューレがプレナムチャンバ内に含まれるように、マスクが鼻腔カニューレの上に配置される場合、マスクは、患者の顔面接触領域だけでなく、鼻腔カニューレのシート部分にも置かれる。
図10bに更に示したように、シート部のプロフィールは、マスクのシール形成構造とのシールを可能にして、それらの間のギャップを減少させてシールを向上させる。従って、シート部分は、典型的に、一般なマスククッションを受容するように適合された長さLおよび幅W(例えば、
図8または
図14aを参照)を有するだろう。長さは一般なクッション幅よりも長いことができる。長さは、マスクの横方向の移動中のシールを保障するように選択され得る。0.5〜3.0インチまでの測定が適切な長さの範囲であり得る。例えば、約2インチの長さが適切であり得る。幅は、ギャップを回避する漸進的なシールベベルを保障するために、チャンネル導管の高さおよびマスククッション材料の典型的な可撓性特性に応じて変化することができる。
【0168】
カプラ延長部は、例えば、可撓性材料で成形することによって形成され得る。例えば、これは、シリコーンで形成され得る。前記カプラ延長部は、前記カニューレの別の部分と同じ材料および/または異なる材料を含むことができる。選択的に、外部または端部は、例えば、堅固な断面を有するか、またはより高いヤング率を有する材料を含むなど、中央部よりも剛性であり得る。断面の端部でより大きな剛性は、その形状を維持し、使用中にマスククッションと顔面接触領域との間にギャップが生じることを避けるように、変形を制限することを助けることができる。カプラ延長部の一部のバージョンでは、例えば、コンプライアンスを改善するために、追加の材料が適用され得る。例えば、皮膚接触面は、改善された快適性のために、発泡層または軟質材料を含むことができる。
【0169】
図10aの変更された鼻腔カニューレのバージョンは、前記カニューレの各側面上の単一供給ライン(例えば、左側および右側の供給ライン)を含むが、追加的な供給ラインを実施することができる。例えば、
図11および
図12に示したように、2つのルーメンが、各カプラ延長部から適用されるかまたは突出する。いくつかのこのような場合において、各ルーメンは、カプラ延長部の異なるチャンネル導管と結合され得る。このようなデバイスにおいて、ルーメンは、患者に対してより安全なフィット性(fitment)を提供するために、耳の上および/または下に分割され得る。
【0170】
選択的に、本明細書に記載された任意のカニューレのシート部は、シートリッジなどのマスク装着構造を含むことができる。前記リッジは、シート部に対するマスクの相対位置を示すか、または制御するための位置決め機能として作用することができる。このようなシートリッジ12040の特徴は、
図11および12を参照する。シートリッジは、シート部の外側領域またはエッジ部上に(例えば、矢状面に垂直な方向)シート部の表面から上昇することができる。
【0171】
図13は、本技術のカプラ延長部の別のバージョンを示す。このバージョンにおいて、シート部の幅は、シート部をその長さに沿って中心に膨張する膨張領域EAを含む。シート部の接触面におけるこのような変化は、シート部とマスククッションとの間のシールおよび/またはカプラ延長部と患者の顔面接触領域との間のシールの快適性を改善するのに役に立つことができる。
【0172】
本技術の一部のバージョンにおいて、カプラ延長部15020は、伝統的な鼻腔カニューレ用のアドオン(add−on)構成要素として形成され得る。このようなアドオン・カプラ延長部は、
図14aおよび
図14cを参照して考慮され得る。アドオン・カプラ延長部15020は、カニューレのルーメンのような供給ラインの挿入のための一つまたは複数の溝(複数)15052を含むことができる。従って、シート部およびシールベベルを有するカプラ延長部は、マスクが伝統的なカニューレのルーメン上に適用されるときにギャップ減少させるために、鼻腔カニューレのルーメンにまたはその下に容易に適用され得る。カプラ延長部15020は、また、前述したカプラ延長部の特徴のうちの任意のものを含むことができる。例えば、
図14a、
図14b、および
図14cに示したように、これは、三角形プロフィールおよびレンティルプロフィールのような様々な断面プロフィールを有することができる。
図14cのバージョンにおいて、従来のカニューレがカニューレの一側または両側から延びる2つのルーメンを含む場合など、2つのルーメンの挿入のために、2つの溝1502が提供される。図面は、2つのプロングを有する鼻腔カニューレを示しているが、本技術の鼻腔カニューレが、一つまたは複数の鼻腔プロング(例えば、2つ)で実施することができるということを理解するだろう。
【0173】
5.6.2 変更された鼻枕の実施形態
本技術の一部のバージョンにおいて、共通の患者インタフェースは、様々な療法の適用を可能にする単一の構造を提供することができる。従って、以前の実施例などとは異なり、様々な治療のための追加の患者インタフェースの使用および周期的な適用は必要ではないかもしれない。さらに、このような患者インタフェースの特徴は、デッドスペースを最小限にするように設計され得る。
【0174】
例えば、酸素療法およびPAP療法のような、様々な療法の周期的な適用のために実施することができるこのような患者インタフェースの一例、
図15aおよび
図15bを参照して考慮され得る。患者インタフェース16002は、鼻インタフェースとして機能することができる。従って、これは、1セットの鼻枕(例えば、一つまたは複数の鼻枕16010)を含むことができる。各鼻枕は、可撓性であることができ、着用時に患者の鼻孔とのシールを形成するように構成され得る。鼻枕は、鼻孔の内側および/または外側の患者の鼻孔皮膚周辺に係合することができる外側円錐面16012を有することができる。選択的に、鼻枕は、また、外側円錐部分(
図17bに最もよく示されている)とネスト形関係にある内側円錐部分16014を有することもできる。内側円錐部分16014と外側円錐面16012との間にギャップが存在することができる。各鼻枕は、ネック16015部分によって共通のベース部分16016に結合することができる。外側円錐部分(および/または内側円錐部分)、ネックおよびベース部の中央領域を通過する通路は、空気回路4170を介してPAPデバイス4000の流れ発生器からおよび/またはこれに対する流路として作用することができる。空気回路4170は、フランジ16018(
図18bに最もよく示されている)で患者インタフェースのベース部16016に結合され得る。選択的なベース延長部16020−1、16020−2は、安定化および位置決め構造(例えば、ストラップまたは他のヘッドギア)と患者インタフェースとを接続するためのコネクタ16022−1,16022−2を含むことができる。
【0175】
鼻枕のうちの一方または両方は、一つまたは複数の鼻突出部を含むことができる。各々の鼻突出部16100は、鼻突出部を通るガスの流れを導くための導管であり得る。鼻突出部は、一般に、鼻枕から突出する。
図15aおよび
図15bに示したように、鼻突出部は、鼻枕のシールを越えて(例えば、外側円錐部分のエッジを越えて)延びるように構成されることができ、このようにして、近位端PEに鼻枕よりももっと使用したときに、患者の鼻腔内に突出するか延びることができる。鼻突出部16100は、鼻枕の流路内から放出され得る(例えば、円錐形から延びる)。鼻突出部は、選択的に、鼻枕の内壁または患者インタフェースの他の内部通路に付着されるか、またはその一部として形成され得る。いくつかの場合において、鼻突出部は、鼻枕の内壁または患者インタフェースの他の内部通路と一体化されるか形成され得る。それにもかかわらず、鼻突出部の流路は、鼻枕の流路と分離されるだろう。典型的に、鼻突出部による鼻腔内への延長部の長さは、約5mm〜15mmの範囲内であり得る。
【0176】
選択的に、
図15aおよび
図15bのバージョンに示したように、各々の鼻突出部は、鼻枕の通路およびベース部の通路を通って延びることができる。鼻突出部の遠位端DEにおいて、鼻突出部は、流れ発生器または補助ガス供給源(例えば、酸素供給源)のようなガス供給源に対する追加の導管に除去可能に結合(または、これと一体化)され得る。代替的に、鼻突出部の遠位端DEにおいて、鼻突出部は、例えば、通気口として役割を果たすように、大気に開放され得る。いくつかの場合に、鼻突出部の遠位端DEは、遠位端を閉鎖して鼻突出部を通る流れを防止するように除去可能なキャップを有することができる。例えば、
図16に示したように、突出導管17170−1、17170−2は、鼻突出部のそれぞれに選択的に結合され得る。選択的に、突出導管17170は、前記空気回路4170に沿って延び、前記空気回路4170の外部に存在する。しかし、これらの突出導管は、
図17bに示したように、ベース部16016からおよびフランジ16018を通って延びるときなど、空気回路4170に沿って延びることができ、空気回路4170の内部に存在することができる。
【0177】
患者インタフェース16002の一部のバージョンにおいて、一つまたは複数の通気口が患者インタフェースの表面にまたは表面から形成され得る。他のバージョンにおいて、一つまたは複数の通気口を含む別の構成要素(例えば、アダプタまたは空気回路4170)が、患者インタフェースに流体接続され得る。通気口は、デバイスから呼気を排出するための流路として作用することができる。選択的に、このようなベース通気口16220は、ベース部の内部のチャンバから通気されるように、
図15aに示したようにベース部16016の上に形成され得る。いくつかの場合に、一つまたは複数の通気口は、鼻枕上に、例えば、首16015の上に形成され得る。いくつかの場合には、一つまたは複数の通気口は、患者インタフェースの鼻枕部分内のチャンバから通気されるように、外側円錐面16012の一部に形成され得る。いくつかの場合には、このような通気口は、既知のインピーダンスを有する固定された開口であり得る。このような場合に、通気口は、既知の漏れを提供することができる。選択的に、このような通気口は、通気口の開口サイズを増加または減少させるように、例えば、手動操作によって調整することができる。例えば、通気口は、完全開放、部分開放、閉鎖位置などから調整することができる。いくつかの場合に、通気口は、様々な開閉位置の間で通気口のサイズを増加または減少させるように、流れ発生器によって制御され得る電気機械的通気口であり得る。例示的な通気口およびその制御は、2012年9月13日に出願された国際特許出願PCT/US2012/055148号および2014年3月14日に出願された国際特許出願PCT/AU2014/000263号を参照して考慮されることができ、これらの出願の全文は、本明細書において参考として含まれる。
【0178】
一例として、
図17aおよび
図17bの患者インタフェース16002において、 鼻インタフェースは、各々の鼻枕から延びる複数の鼻突出部16100を含む。少なくとも一つのこのような鼻突出部は、例えば、鼻枕の外側円錐面の底部で枕通気口18220として作用することができる。この例において、鼻突出部16100−1は、それぞれ、患者の鼻腔からの鼻枕を通って大気に導く導管を形成する。鼻腔内に延びる鼻突出部の場合、患者の気道から除去された呼気(二酸化炭素)に対する短縮経路を通って患者のデッドスペースを減少させることができる。一部のこのような例において、追加の鼻突出部16100−2は、本明細書でより詳細に議論されるように、酸素の流れまたは制御された空気の流れのような補助ガス供給源と結合され得る。選択的に、各々の鼻枕の鼻突出部は、偏向突出部(矢印DBで
図17aに示される)で形成され得る。下部と比較するとき、近位端でさらに離れるように、これらの偏差は、使用中に鼻腔内で延長部を保持することを助けることができる。従って、それらは、鼻腔の反対側にある鼻腔内でスムーズに重なることができる。
【0179】
5.6.3 調節バルブ
本技術の一部のバージョンは、圧力を調節するために、一つまたは複数の調節バルブを有する患者インタフェース(またはその導管)を含むことができる。例えば、このようなバルブは、僅かの圧力の大きさ(正または負でも関係なく、例えば、正でも負でも同一の大きさ)開放され得る。しかし、一部の形態において、バルブが正でも負でも異なる圧力の大きさで開放されるように構成され得る。すなわち、バルブは、陽圧Xおよび/または陰圧Yで(ここで、XはYと等しくない)開放され得る。このようなバルブの作動は、バルブの材料および/または構造に依存することができる。
【0180】
このようなバルブの特性を陽圧と陰圧との間で変化させると、患者インタフェースが吸気および呼気中に異なる流れ特性を有するなど、吸気と呼気との間で非対称で作用することができるようになる。
【0181】
このようなバルブの一つは、例えば、カニューレに対する送達導管内の一つまたは複数のスリットで形成されたバルブのようなスリットバルブであり得る。例えば、シリコーン構成要素または他の適切なエラストマー材料(例えば、ブロック/ピース)内のスリットは、閾値の陽圧および/または陰圧で開放されるように構成され得る。スリット(複数)によって限定されたバルブは、開口サイズが圧力(負および/または正)の予め決定された関数となるように“ばね率”を有するように構成され得る。このようなバルブの例は、
図26〜
図29を参照して考慮され得る。
【0182】
例えば、クロスタイプのスリットバルブは、
図26に示されている。この例において、スリットバルブ26002は、ガス供給ライン、ルーメン、鼻腔カニューレなどのような呼吸導管26000内に形成される。それは、導管の外面ECから導管の内面ICまでの壁材料を介して形成され得る。この例において、2つのスリット26004A、26004Bは、導管内に切断される。しかし、一つまたは複数のスリット26004を実施して、導管内に一つまたは複数のこのようなスリットバルブを形成することができる。このようなスリットは、導管の壁材料のセクションであり得る一つまたは複数の可動部26008A、26008B、26008C、26008Dを形成する。クロスタイプのバージョンにおいて、可動部は、三角形の形状を形成する。しかし、他の切断および形状が実施され得る。一般に、可動部は、導管の長さにほぼ平行な屈曲領域26010Pまたは円形のプロフィールに沿って形成された屈曲領域26010Aのような一つまたは複数の屈曲領域における壁導管の変形の結果として移動することができる。壁部分または可動部の移動によるスリットバルブの作動は、
図27A、
図27Bおよび
図27Cを参照して考慮され得る。このようなスリットバルブは、例えば、過大圧力調節器および/または過小圧力調節器として作動することができる。
【0183】
例えば、
図27Aに示したように、スリットバルブは、バルブのスリット(複数)をガス流れがほとんどまたは全く横断しないように閉鎖位置にある。従って、加圧ガス流れは、所望の圧力および/または流量で導管(図面において矢印で示される)に存在することができる。
図27Bに示したように、例えば、導管外部の大気圧に対する導管内のガス圧力が第1の閾値圧力を超える過圧状態が存在することがある。スリット配向および/または可動部の材料特性(例えば、材料の弾性モジュラス、厚さなど)に応じて、可動部は(例えば、圧力差によって)導管のガスチャンネルに対して外側に変形され、スリットを介して導管からのガス/圧力の流出を可能にする。従って、スリットに隣接した一つまたは複数の可動部は、一つまたは複数の屈曲領域27010において屈曲され得る。選択的に、可動部は、過小圧力状態の減少時に、(導管または可動部の弾性材料の弾性によって)スリットを閉鎖して
図27Aの構成に戻ることができる。
【0184】
図27Cに示したように、例えば、導管外部の大気ガス圧力に対する導管内のガス圧力が第2の閾値圧力未満である過小圧力状態(例えば、負圧)が存在することができる。スリット配向および/または可動部材料特性(例えば、材料弾性モジュラス、厚さなど)に応じて、可動部26008は(例えば、圧力差によって)導管のガスチャンネルに対して内側に変形され、スリットを介して導管へのガス/圧力の流入を可能にする。従って、スリット(複数)に隣接した一つまたは複数の可動部26008は、一つまたは複数の屈曲領域27010内で屈曲され得る。選択的に、可動部は、過小圧力状態の減少時に、(導管または可動部の弾性材料の弾性によって)スリットを閉鎖して
図27Aの構成に戻ることができる。
【0185】
一セットのバルブは、バルブが開放され得る等しいか、または不等な閾値を含むことができる。例えば、双方向スリットバルブは、15cmH
2Oの第1の圧力閾値の第1の圧力閾値でのみならず、−10cmH
2Oの第2の圧力閾値で開放されるように構成され得る。別の例において、一セットのバルブは、20cmH
2Oの第1の圧力閾値で開放されるように構成された第1のバルブと、−20cmH
2Oの第2の圧力閾値で開放されるように構成された第2のバルブとを含むことができる。
【0186】
スリットの方向に起因する屈曲領域の性質は、異なる圧力閾値に影響を及ぼすことができる。例えば、
図26に示したように、導管の長さに沿ってまたはそれに平行に形成された屈曲領域26010Pは、円形/チューブタイプ導管のような導管の外面の円形プロフィールに沿って形成された屈曲領域26010Aよりも可撓性であり得る。
【0187】
一部の場合に、スリットバルブは、例えば、前述した過小圧力および過大圧力状態に対する移動を可能にするように、双方向に形成され得る。しかし、一部の場合に、スリットバルブは、例えば、過小圧力状態または過大圧力状態のみに作動を可能にするように、一方向に構成され得る。一部の場合に、スリットの形状は、スリットバルブの一方向および/または双方向特性を実施する役割を果たすことができる。例えば、導管の壁の材料を通過するスリット(複数)の角度は、双方向または一方向動作に影響を及ぼすように実施され得る。このようなスリット角度の例は、
図28A、
図28Bおよび
図28Cを参照して考慮され得る。
【0188】
例えば、導管(例えば、丸いチューブ)の2つのスリットは、
図28Aに示したすように、双方向作動のためのスリットバルブの可動部を形成することができる。示されたように、スリットの切断部は、導管の中心に向かう。この例におけるスリット26004の中心軸CA1、CA2は、導管の断面プロフィールのほぼ中央に頂点を有する仮想角の一部を形成することができる。従って、可動部は、可動部のスリットエッジ28020A、28020Bと、導管部分のスリットエッジ28020C、28020Dとの間の著しい干渉なく、チャンネルの内側へおよびチャンネルの外側へ移動することができる。このような可動部は、過大圧力または過小圧力状態が緩和されるときに(例えば、導管または可動部の弾性材料の弾性によって)、スリットを閉鎖するように戻ることができる。
【0189】
更なる例として、導管の2つのスリット(例えば、丸いチューブ)は、 例えば、過大圧力状態の場合、
図28Bに示したように、一方向作動のためのスリットバルブの可動部を形成することができる。示されたように、スリットの切断部は、スリットによって形成された導管の可動部分または部分のエッジが内向きに斜めになるように、導管内で互いに向かって導かれる。これに関連して、この例におけるスリット26004の中心軸CA1、CA2は、導管内の頂点を有した仮想角の一部分を形成するが、導管の断面プロフィールの中心(非中心)では形成しない。従って、可動部分は、(導管の過大圧力状態の場合に)チャンネルから外向きに移動することができる。このような可動部分は、過大圧力状態が緩和されるときに(例えば、導管または可動部分の弾性材料の弾性によって)、スリットを閉鎖するように戻ることができる。しかし、可動部分は、チャンネルの内側には移動しない。外側には、可動部のスリットエッジ28020A、28020Bと、導管部のスリットエッジ28020C、28020Dとの間に、著しい干渉がほとんどないかまたは全くないことがある。しかし、内側には、導管のスリットエッジの角度が可動部の内向きの移動に対する停止部を形成するように、可動部のスリットエッジ28020A、28020Bと導管部のスリットエッジ28020C、28020Dとの間に著しい干渉がある。
【0190】
同様に、導管の2つのスリット(例えば、丸いチューブ)は、例えば、過小圧力状態の場合、
図28Cに示したように、一方向作動のためのスリットバルブの可動部分を形成することができる。示されたように、スリットの切断部は、スリットによって形成された導管の可動部分またはセクションのエッジが外側に斜めになるように、導管内で互いに遠く向かうことになる。これに関連して、この例におけるスリット26004の中心軸CA1、CA2は、導管の断面プロフィールの導管の外側の頂点と角度を形成することができる。従って、可動部分は(導管内の過小圧力状態の場合に)、チャンネルの内側に移動することができる。このような可動部分は、過小圧力状態が緩和されたときに(例えば、導管または可動部分の弾性材料の弾性によって)、スリットを閉鎖するように戻ることができる。しかし、可動部分は、チャンネルから外向きに移動しない。内側には、可動部のスリットエッジ28020A、28020Bと、導管部のスリットエッジ28020C、28020Dとの間に、著しい干渉がほとんどない場合もある。しかし、 外側には、導管のスリットエッジの角度が可動部分の外側移動に対して停止部を形成するように、可動部のスリットエッジ28020A、28020Bと導管部のスリットエッジ28020C、28020Dとの間に、大きな干渉がある。
【0191】
スリットに関連して前述した角度は、材料特性に応じて、可動部のエッジと導管との間の干渉を生じさせて停止部として作用することができるが、このような干渉は、導管の異なる圧力状態に対するバルブの応答の閾値を増加させる役割を果たすことができる。従って、いくつかの場合に、傾斜タイプ内側スリットは、過小圧力状態に応答するように、スリットバルブ内で作用することができ、傾斜タイプ外側スリットは、過大圧力状態に応答するように、スリットバルブ内で作用することができる。いずれの場合も、導管の圧力状態(大気圧に比べて過小圧力または過大圧力のうちのいずれか)が、スリットエッジなどの間の干渉の摩擦力を克服するとき(すなわち、屈曲領域における導管の材料の特性(すなわち、変形に対する抵抗))、スリットバルブを開放するように移動することができる。従って、スリットエッジ干渉の付加された摩擦力は、圧力応答閾値を増加させることができる。これに関連して、スリット角度の調整は、スリットバルブの圧力応答閾値を調整するための基礎としての役割を果たすことができる。一部の例において、導管の材料および厚さに応じて、スリットの深さは、例えば、5〜10ミリメートルの所望の範囲であり得る。しかし、スリットの深さは、材料の特性および所望の性能に応じて、この範囲を逸脱することができる。
【0192】
一部のバージョンにおいて、導管は、例えば、異なる調節特性を有する複数の異なるスリットバルブで形成され得る。次に、一つまたは複数の選択的なカプラシース29303は、ユーザーまたは患者によって適用され、動作のための好ましい調節通気口(複数)の選択を可能にする。その例は、
図29A、
図29Bおよび
図29Cを参照して説明される。導管は、異なる調節特性を有するいくつかの異なる過大圧力スリットバルブで実施され得る。例えば、一つまたは複数のスリットバルブは、特定の治療(例えば、CPAP治療または他の高圧治療)および異なる治療(例えば、高流れ療法治療)に使用するのに適することができる。同様に、一つまたは複数のバルブは、特定の患者(例えば、睡眠無呼吸症を有した成人)および異なる患者(例えば、新生児治療)に適することができる。これに関連して、異なるバルブは、異なる過大圧力状態(すなわち、異なる圧力応答閾値)に応答するように構成され得る。
【0193】
例えば、新生児/新生児にCPAPを提供するための導管内のバルブは、8cmH
2Oの圧力閾値で開くように構成され得る。別の例において、CPAPを成人に提供するための導管内のバルブは、15cmH
2Oの圧力閾値で開くように構成され得る。成人にHFTを提供するための導管内のバルブは、5cmH
2Oの圧力閾値で開くように構成され得る。従って、導管は、例えば、5cmH
2O、8cmH
2Oおよび15cmH
2Oの圧力閾値で開くように構成された一セットのバルブを含むことができる。圧力閾値は、他の圧力閾値も適切であり得るが、ここで、前記圧力閾値は、適用対象患者および/または療法(複数)に従って変化され得るものとして理解されるだろう。次に、導管が異なる使用シナリオのために使用され得るように一つまたは複数のカプラシース29303が適用され得る。すなわち、他のバルブをシース化することによって適切のバルブが選択/採択され得る。
【0194】
前述の議論は、スリットバルブに言及しているが、一部のバージョンでは、他の通気口形状/通気口装置が、また適切であり得る。
【0195】
一般に、本技術のバルブは、例えば、患者に対する気圧外傷(圧力関連外傷)に対する危険を緩和させ、および/または場合によっては抗窒息バルブとして作用することができる。例えば、他の治療法(例えば、CPAP)下で他の患者インタフェースを使用して他の患者が気圧外傷を被る可能性もあるが、高流動治療で治療される乳児には気圧外傷の危険が発生することができる。このようなバルブをカニューレ導管で実施することによって、治療器具(すなわち、様々な治療のための患者インタフェース)のサイズを最小化することができ、安全機能を可能にしながら患者により快適な療法を提供することができる。これに関連して、このようなスリットバルブは、患者が経験する圧力条状態に対してより反応するように、カニューレのプロングに近接して配置されることが有益である。例えば、スリットは、鼻プロングが突出する鼻腔カニューレ導管の反対側に(例えば、カニューレの後ろに)配置され得る。
【0196】
バルブは、同様に、一次通気口として実施して、通気量を変化させることができる。
【0197】
バルブは、また、患者の一回呼吸量が大幅に増加する運動タイプの用途で機能するように実施され得る。これらの用途では、通気の高い状況中(例えば、運動期間中)に、流れ洗浄のために、さらなる通気口が必要である。しかし、運動インタフェースに必要な通気口流量を患者インタフェースから常に流れるようにすると、“正常的な”使用には適していない可能性がある。このような配置は、洗浄要求条件に比べて、過大に高い排気流量をもたらし、従って、騒音出力の増加およびベッドパートナーに排気ガスの噴射はもちろん、送風機からの無駄な出力、無駄な電力および/または酸素を引き起こす。本明細書に記載されたバージョンのような調節バルブは、増加された一回呼吸量に応じて開放して、洗浄を調節するように構成され得る。
【0198】
5.6.4 更なる鼻腔カニューレの実施形態
本明細書で説明される他の患者インタフェースのバージョンと同様に、
図30A、
図30Bおよび
図30Cを参照して説明された例に示された患者インタフェースは、陽圧気道(PAP)療法および/または高流量療法(HFT)のための流れ発生器と共に使用され得る。これに関連して、カニューレを通る流れは、流量センサおよび/または圧力センサ(F/P)によって測定され得る。
【0199】
HFTの利点は、PAP治療デバイスに要求される送風機ハードウェアの複雑性を必ずしも必要としないことがあるということである。これは、HFTによって提供される典型的な圧力が4〜8cmの範囲(典型的にはPAPより低い)であり、HFTがPAP療法(例えば、バイレベルPAP)の圧力変化を必ずしも必要とせずに、ほぼ一定の圧力で高い流量を提供するという事実に起因する。従って、HFTは、必ず低い送風機慣性を必要とせず、これは、デバイスが送風機の速度を変更して圧力変化を達成するように設計されている場合に、典型的にPAPからの圧力を迅速に変化させるのに必要である。
【0200】
カニューレ(または他の“開放型”システム)が患者に損傷を与えることができる過大圧力の危険を軽減させるので、典型的な開放型カニューレ(すなわち、鼻孔とシールを形成しない各鼻孔のプロングを使用する患者インタフェースのみ)を使用したHFTが小児科に好ましい。また、ヘッドギアが圧力シールを維持する必要がないので、カニューレは、典型的に患者の顔に付着することが容易である。
【0201】
HFTは、患者の呼吸器デッドスペースの良好なウォッシュアウトを達成する。
【0202】
カニューレタイプの患者インターフェイスの提案されたバージョンにおいて、空気の流れ(高流量治療用であろうと陽圧タイプの治療用であろうと)は、典型的に(例えば、以下に示したような鼻孔を通って)、(入口となる)患者の気道に直接送達され、排気流れのための通気口は、空気の供給の下流にあるように配置される。これも
図30Cに示されている。排気流れがプロングと個々の鼻孔との間で生じる典型的な鼻腔カニューレとは異なり、本技術の一部のバージョンは、空気の流れが既知のインピーダンスの流路を通って出るように構成された排気口で実施され得る。
【0203】
例えば、一つの形態において、排気流れは、患者インタフェースにおいて連続通気口を通って通気され得る(例えば、
図15A参照)。しかし、別のバージョンにおいて、通気口30100は、通気口が各鼻孔に直接的に適用され得るように実施されることができ、その一例は、
図30Aに示されている。次いで、カニューレプロングは、例えば、鼻孔通気口を通って、鼻の内側/周りに係合可能であり得る。これに関連して、鼻孔通気口30100は、鼻孔の内側周縁とのシールとして作用し、
図30Bおよび
図30Cに示されたような特定の排気領域を形成する。排気流れは、カニューレプロングの周囲を通って鼻孔通気口を通過し、ここで、流動インピーダンスが定義される。鼻孔の周辺に鼻孔通気口の近接さ(すなわち、鼻孔の周囲に排気位置がある)を勘案するとき、鼻孔通気口によってデッドスペースがほとんどまたは全くない。
【0204】
既知の通気特性は、次によって具現され得る:
a.患者の鼻孔を既知の大きさで開放するか、縮小させる鼻孔通気口の内側シール;および/または
b.所定の通気構成を含む鼻孔通気口の内側シール。
【0205】
例えば、
図30Aの平面図は、例示的な鼻孔通気口30100を示す。鼻孔通気口は、患者の呼吸システムから、および特に鼻腔NCから呼気性ガスの排気流れを可能にするように適合化することができる。鼻孔通気口(例えば、その外周)は、(
図30Bおよび
図30Cに示されたように)患者の鼻孔の内部周縁IPをシールして排気流れの既知のガス流れ特性を提供するように構成され得る。鼻孔通気口は、鼻腔を介して患者の呼吸システムに呼吸可能なガスを提供するための鼻腔カニューレのプロングを受容するように構成され得る。
【0206】
図30Aに示したように、構造体のリング状外部周縁は、鼻孔のシールとして作用する。一つまたは複数の開口(複数)30102は、既知の通気領域としての役割を果たし、これらのそれぞれは、既知の空気力学的インピーダンスを含むだろう。選択的に、プロングカプラ30104またはホルダーは(例えば、その内部に)鼻腔カニューレのプロング30108が鼻腔通気口によって係合できるように鼻孔通気口で実施され得る。しかし、このようなカプラは、省略され得るので、カニューレが鼻孔通気口の領域内の任意の位置に存在(浮遊)するか、挿入され得る。リング構造が示されているが、他の形状が鼻孔周辺の典型的な形状で構成された形状のように実施され得る。選択的に、一部のバージョンにおいて、鼻孔通気口は、カニューレのプロングと一体化され、プロングタイプ鼻孔通気口が使用のためにカニューレ送達導管(供給ライン)と結合されるカプラ端部を有することができる。示されたように、一部の場合に、各々の鼻孔通気口は、独立した構成要素であり得る。しかし、一部のバージョンでは、コネクタまたは他の連結構造が使用のために、2つの鼻孔通気口を連結するように実施され得る。
【0207】
既知の通気口を患者の下流に配置するとか、プロングを配置すると、役に立つことができる。例えば、このような構成において、流れ発生器FGの流れは、患者の鼻腔に(すなわち、患者の流れ)受容される流れと実質的に(任意の非意図的な流出を除いて)等しいことができる。これに関連して、流れは、患者に送達される前に通気口を通過しない。従って、廃ガスが減少するだけでなく、吐き出されたガスを再呼吸する危険が減少され得る。
【0208】
典型的な鼻腔カニューレにおいて、患者の鼻腔プロングと鼻孔との間のギャップは、通気口としての役割を果たすことができ、それによって流れに対するインピーダンスが患者の解剖学の関数となり得る。従って、典型的な鼻腔カニューレを含むシステムにおいて、対象患者流れのシステム制御を達成するために、空気流れの圧力の測定に加えて流速の測定が要求される。
【0209】
しかし、鼻孔通気口を含む本明細書に記載されているようなシステムにおいて、流れ発生器FGにおける圧力は、患者に流れるための直接的な相関性を有する。すなわち、通気口特性は既知であるため、FlowVent=f(PressureFG)(ここて、fは既知の関数)であり、この場合に、FlowVent=FlowPatientである。従って、FGで圧力センサを使用して、患者の流量が決定され得る。換言すれば、対象患者の流れのシステム制御は、圧力センサからの圧力の測定によって達成され得る。
【0210】
さらに、このようなシステムは、別個の吸気および呼気肢部を含むコンパクト二重肢部呼吸回路を生成する。システムのコンパクトな性質は、患者にとってより快適であり、それによって治療コンプライアンスを増加させ得る。
【0211】
患者の鼻孔内で所定の通気口を形成することの別の利点は、より大きな圧力差が鼻の内側に形成され得るので、必要な場合(すなわち、より小さい通気口配置を有する)、鼻内の気道の副木装着を可能にするということである。このような鼻孔通気口は、先に説明した導管スリット通気口で選択的に実施して、異なる治療法が可能なコンパクトで快適なシステムを可能にすることができる。
【0212】
5.7 デュアル治療適用
前述したように、患者インタフェースの実施例は、補助ガス(例えば、酸素療法)および/または陽圧気道(PAP)療法、例えば、CPAPまたはバイレベルPAP療法または人工呼吸のような様々な療法、または本明細書で言及された任意の他の処置または治療法の適用を可能にすることができる。このような流れまたは圧力療法は、共通のデバイスまたは別個のデバイスによって供給され得る。このような治療の変化は、患者の患者インタフェースの構成に変化がないか、または最小限に適用され得る。
【0213】
例えば、前述したPAPデバイス4000のような典型的な流れ発生器は、マスク8008(
図7参照)に対する送達導管(空気回路4170)と連結されるか、または前記送達導管(空気回路4170)が患者インターフェイス16002のベース部16016と連結され、各鼻枕のマスクまたはチャンバに供給される圧力を制御することができる。このようにして、圧力処置または治療は、PAPデバイスの圧力制御ループによって制御されて、目標圧力を満たすように圧力測定を制御することができる。圧力測定は、例えば、圧力センサによって測定することができる。マスクまたは鼻枕のシールは、前記圧力によって患者呼吸システムの入口で圧力を制御することができる。
【0214】
このような場合には、鼻突出部にガスまたは空気の制御された流れを提供するか、代替的に提供することが有益であり得る。例えば、酸素は、
図6および
図7の鼻腔カニューレの一つまたは複数のプロング9004a、9004bに供給されか、または
図15または
図17の鼻突出部の一つまたは複数によって供給され得る。さらなる例として、高流量療法(HFT)は、例えば、
図6、
図7または
図8の鼻腔カニューレの一つまたは複数のプロング9004a、9004bに供給されるか、または、例えば、HFTを提供するように構成された流れ発生器によって、
図15または
図17の患者インタフェースの鼻突出部に供給され得る。このような場合に、追加の流れ発生器または酸素流れ供給源は、突出導管17170によって鼻突出部に結合されるか、または一つまたは複数のルーメン7006によってプロング9004に結合され得る。選択的に、プロングまたは鼻突出部へのガスの流れは、流れ制御ループによって制御され得る。例えば、流れは、流れ発生器または補助ガス供給源の流れ制御ループによって制御され、目標流量を満たすように空気または酸素の流れの測定を制御することができる。流量の測定は、例えば、流量センサによって測定され得る。カニューレのプロングおよび/または鼻突出部は、患者の鼻腔内で、例えば、高い流量で補助ガスの供給を可能にすることができる。
【0215】
従って、一部の実施形態において、共通の流れ発生器は、一つまたは複数の鼻突出部を介してガスの流量を制御し、また、マスクまたは一つまたは複数の鼻枕内の空気圧を制御するように構成されたコントローラを有することができる。一部の場合には、このような制御が同時に行うことができる。
【0216】
一部の場合に、治療の変更は、患者インタフェースに関連する通気特性の変更を必要とすることがある。例えば、一部の場合には、鼻枕およびPAPデバイスを使用して圧力治療を施すことができる。その後、補充酸素の流れを提供するなど、鼻突出部による流れ治療を開始することが好ましいのである。共通のデバイスの場合に、プロセッサが活性化され得るか、または多重供給デバイスの場合のように開始できるこのような治療の変更は、患者インターフェイスの通気特性の調整を必要とすることができる。例えば、手動通気口は、患者の鼻孔へのガスの増加した流れを補充するために、開かれるとか、より多く開かれることができる。代替的に、自動化通気口の場合に、プロセッサは、通気口の開放を制御するか、または鼻突出部に対する追加の流れの活性化時に、通気口のより多く開かれることを制御することができる。同様の通気制御は、
図7a、
図10a、
図12および
図13に示されたように、カニューレの上にマスクを適用するときに開始され得る。このような追加治療が終了した場合に、通気特性は、例えば、通気口のサイズを手動で閉鎖または減少させるか、またはプロセッサで自動/電気機械的通気口のサイズを閉鎖または減少することによって、再び変更することができる。
【0217】
このような様々な治療法および鼻インタフェースの異なる構成の場合に、呼気二酸化炭素を洗い流すために、様々な流路戦略を実施することができる。これらは、図の流れ矢印Fを参照して考慮することができる。
図15aの例において、吸気中に患者によって吸入され得る鼻突出部16100の両方を介して、患者の鼻腔に向かって吸入流れ(すなわち、周期的供給活性化)または連続流れを供給することができる。鼻突出部の遠位端は、
図16に示されたようなさらなる供給導管と連結され得る。呼気性ガスは、患者の鼻腔から鼻枕の通路に排出され、任意の一つまたは複数の選択的なベース通気口16220および/または枕通気口18220を通って排出され得る。吸息と呼気中に、このような通気口を通る連続的な排気流れの制御は、鼻腔からの呼気ガスのウォッシュアウトを確実にするのに役に立つことができる。
【0218】
図15bの例において、吸気流れ(すなわち、周期的供給活性化)または連続流れは、吸息中に患者によって吸入され得る鼻突出部16100のうち、いずれかを介して、患者の鼻腔に向かって供給される。この例において、
図15bには示されていないが、図の左側にある鼻突出部の遠位端は、さらなる供給導管およびガス供給源に連結され得る。この流れ供給鼻突出部は、
図15bの左側に示されているが、代替的に、右側にあり得る。次に、呼気ガスは、他の鼻突出部16100(例えば、図の右側に示される)を介して患者の鼻腔から排出され得る。 この場合に、一つの鼻突出部の遠位端は、さらなる導管を省略し、鼻枕16010の近傍で枕通気口として作用することができる。吸息および呼息中に、このような通気口を通る連続的な排気流れの制御は、鼻腔からの呼気ガスのウォッシュアウトを確実にするのに役に立つことができる。
【0219】
図17aおよび
図17bの例において、二重の鼻突出部の存在は、各々の鼻孔での鼻突出部を介して通気および供給を可能にする。従って、吸気中に患者によって吸入され得る各々の鼻枕の鼻突出部16100のうちのいずれかを介して、吸気流れ(すなわち、周期的供給活性化)または連続流れが患者の鼻腔に向かって供給される。この例では、
図17bには示されていないが、各々の鼻枕の一つの鼻突出部の遠位端は、さらなる供給導管およびガス供給源に結合され得る。次いで、呼気ガスは、各鼻孔の他の鼻突出部16100を介して患者の鼻腔から排出され得る。この場合、各鼻孔の一つの鼻孔突出部の遠位端は、さらなる導管を省略し、鼻枕16010の近傍で枕通気口18220として作用することができる。吸息および呼息中に、このような通気口を通る連続的な排気流れを制御すると、鼻腔からの呼気ガス(例えば、二酸化炭素)のウォッシュアウトを改善するのに役に立つことができる。
【0220】
一部の場合に、ウォッシュアウト経路は、各鼻枕において単一の鼻突出部で実施され得る。このような例は、
図18に関連して考慮され得る。この例では、ガス供給鼻突出部が省略される。各鼻枕の単一の鼻突出部は、枕通気口として排気するなど鼻突出部として作用することができる。従って、吸入流れ(すなわち、周期的供給活性化)または連続流れのうちのいずれかが、各々の鼻枕を介して患者の鼻腔に向かって供給され、吸息中に患者によって吸入され得る。この例において、単一の鼻突出部の遠位端は、さらなる導管を省略し、鼻枕16010の近傍で枕通気口18220として作用することができる。吸息および呼息中に、このような通気口を通る連続排気流れの制御は、鼻腔からの呼気ガスのウォッシュアウトを確実にするのに役に立つことができる。
【0221】
一部の場合に、ウォッシュアウト流路は、鼻突出部なしに実施され得る。このような例は、
図19aおよび
図19bの鼻枕に関連して考慮され得る。この例において、各鼻枕は、呼息中に呼気ガスを排出するための枕通気口を有することができる(
図19b参照)。枕の通気口は、吸息および呼息中に開かれることができ、呼息中にのみ開かれることができる。吸入空気(すなわち、周期的供給活性化)または連続流れのうちのいずれかが、各々の鼻枕を介して患者の鼻腔に向かって供給され、それが吸息中に患者によって吸入され得る(
図19a参照)。吸息および呼息中に、このような通気口を通る連続的な排気流れの制御は、鼻腔からの呼気ガスのウォッシュアウトを確実にするのに役に立つことができる。しかし、鼻突出部がない場合には、デッドスペースがわずかに増加する。
【0222】
図20aおよび
図20bの例において、各々の鼻枕の首またはベース部での通気口は、選択的通気バルブ21410によって活性化され得る。これらの鼻枕は、場合によって、前述した鼻突出部のうちのいずれかを含むことができる。このバージョンにおいて、通気バルブは、患者の鼻枕における周期的排出を可能にするために、患者の呼気サイクルに関連した上昇圧力によって活性化され得る。従って、
図20aに示されたように、呼息中に、呼気ガスは、呼気性空気を大気に放出するために通気バルブを開く。このとき、空気回路4170から鼻枕までの流路が遮断され得る。
図20bに示されたように、吸息中に、流れ発生器またはPAPデバイスからの供給ガスは、通気バルブを閉じることができる。このとき、空気回路4170から鼻枕までの流路が開放され得る。
【0223】
図20cおよび20dの別の例において、このようなバルブ21410は、任意の一度に一部の枕通気口18220のみ閉鎖されるように構成され得る。この配置において、バルブ21410は、一方の枕通気口が開放され、他方の枕通気口が閉鎖されるように構成され得る。
図20cを参照すると、図の左側の枕通気口は、開放されており、一方、右側の枕通気口は、閉鎖されており、従って、患者からの呼気流れは、開放された枕通気口を介して出る。吸息中、
図20dに示したように、流れ発生器またはPAPデバイスは、供給ガスの流れを送達し、これは、左側に枕通気口が開放されたまま患者に送達され、これにより、デッドスペースを減少させる効果を有するガスを連続的に洗い流す。別の配置は、
図20eおよび
図20fに示されており、左側の枕通気口は、閉鎖され、右側の枕通気口は、開放される。一つの形態において、バルブ21410は、例えば、
図20cおよび
図20dに示された第1の配置から、例えば、
図20eおよび
図20fに示された第2の配置に切り換え可能であるように配置され得る。例えば、バルブの電磁作動の場合に、これらは、コントローラによって所望の作動に設定され得る。例えば、これらは、予め設定されるかまたは予め設定された時間サイクルで交互に変化させることができる。選択的に、バルブは、手動で操作されることができ、所望の時間に手動で切り替えられることができる。
【0224】
第1の配置から第2の配置に切り替えて、前述したように左側および右側鼻腔通路の間に交互に切り替える利点の一つは、患者の快適レベルを向上させることができるということである。例えば、
図20c〜
図20dに示された患者インタフェースを使用する患者は、患者インタフェースの構成を
図20e〜
図20fに示されたものに変更することによって緩和され得る、患者の右側(図の左側)の乾燥からの不快感を経験することができる。
【0225】
選択的に、このようなバルブは、鼻突出部が供給導管および排出導管として役割を果たすことができるように、鼻突出部(例えば、
図21に示される)内に延びることができる。このような場合、鼻突出部は、導管を分割するバルブ膜22550を含むことができる。バルブ膜22550は、可撓性であることができ、鼻突出部16100に沿って、近位端からまたは近位端付近で、鼻突出部の通気口部分22510に向かって延びることができる。通気口部分は、枕通気口18220に近くか、または枕通気口18220として作用することができる。鼻突出部のバルブ膜22550は、吸気および呼気流れに反応して、
図22,
図23aおよび
図23bに示されたように、鼻突出部のチャンネルを横切って動的に移動することができる(
図22の矢印Mを参照)。次いで、バルブ膜は、膜のいずれかの側の吸気導管および呼気導管として鼻突出部を動的に再構成することができる。例えば、
図23aに示されたように、患者の呼息に反応して、鼻突出部の近位端を横切るバルブ膜22550の移動は、通気口部22510に至る突出部の呼気チャンネル部ECPを拡大させる。従って、このような運動は、供給ガス供給源または流れ発生器につながる鼻突出部の吸気チャンネル部分ICPを減少させる。同様に、
図23bに示されたように、患者の吸息に反応して、鼻突出部の近位端を横切るバルブ膜22550の戻り運動は、通気口部22510に至る突出部の呼気チャンネル部ECPを減少させる。従って、この運動は、供給ガス供給源または流れ発生器につながる鼻突出部の吸気チャンネル部分ICPが拡張させる。
【0226】
別の形態において、口および鼻マスクのような患者インタフェースは、ユーザーの鼻孔に向かってガスの流れを送達するように構成された一つまたは複数の流れディレクタを含むことができる。流れディレクタは、酸素供給源またはHFTに適した流れ発生器のような補助ガス供給源に連結され、ガス流れを受け取ることができる。例えば、患者インタフェースは、供給導管などの補助ガス供給源に連結可能な
図24に示したような一つまたは複数の第2のポート19100を含むことができる。
【0227】
流れディレクタの一例は、一つまたは複数の第2のポート19100に結合され、
図25aに示されたようなガスの流れを導くために、患者の鼻孔の外側に配置された一つまたは複数のチューブ19200であり得る。前記一つまたは複数のチューブ19200は、
図25aに示したような患者インタフェース(例えば、マスク)のフレームと係合され得る分離可能な構成要素であることができ、ここで、チューブ19200は、プレナムチャンバ3200内に係合される。一部の形態において、一つまたは複数のチューブ19200は、プレナムチャンバ3200などの患者インタフェースの別の部分と一体に形成され得る。一つまたは複数のチューブ19200は、
図25aに示したように、マスクにピボット式に結合されるなど、患者インタフェースの残りの部分に対して移動可能に構成され、ガスの流れの方向を調節することができる。従って、マスクと共に使用されたときに、典型的な鼻腔カニューレのルーズプロング(loose prongs)とは異なり、 患者インターフェースに対して移動可能に構成された流れ発生器は、患者インタフェース内の流れの制御を可能にする。これは、マスクが鼻腔カニューレと同時に使用されるときなど、マスクを配置する前に、患者に鼻腔カニューレを位置させるべきの難点を回避することができる。また、これは、鼻腔カニューレがマスクの下の患者の鼻孔から外れる問題を回避することができる。
【0228】
流れディレクタは、例えば、プレナムチャンバ3200との摩擦係合によって一旦、流れディレクタが調節されると、流れディレクタを定位置に維持されるようにする位置決め機構をさらに含むことができる。
図25aに示した構成は、第2のポート19100だけでなく、互いに流体的に連結された2つのチューブを示すが、任意の数のポートおよびチューブが使用され得るだけでなく、鼻突出部の説明と同様に、その間の接続の任意の組み合わせが使用され得るというものとして理解されるだろう。別の例において、各々のチューブ19200は、ガスの流れを貫通するようにする球状ジョイント(図示せず)を使用してプレナムチャンバ3200に独立して接続され得るが、患者インタフェースの残りの部分に対してチューブの移動を可能にする。従って、このような接続は、第2の次ポート19100とチューブ19200との間を移動するようにガスの流れを可能にすることができる。
【0229】
一部の場合に、流れディレクタは、第2のポート19100に結合された流れ指示面19300の形態であり得る。例えば、
図25bに示した各流れ指示面は、コアンダ効果(Coanda effect)を用いて補助ガス供給源からガスの流れを導くように形状化された屈曲面を含むことができ、これにより、前記流れは、屈曲面に“付着”されるか、一致し、そのプロフィールに従う。一部の形態において、流れ指示面19300は、例えば、プレナムチャンバ3200またはフレームに回転可能に結合されることによって移動可能に構成され得る。
【0230】
別の態様によれば、流れディレクタまたは鼻突出部は、流れの乱流を減少させるために、ハニカムグリッド(図示せず)のような流れ要素を含むことができ、これにより、流れディレクタは、そうではない流れよりも多い層流を生成する。層流は、オリフィスから出るとき、乱流と比較してより集中し得るので、このような構成は、流れディレクタと関連して使用されるとき、特に有利であり得る。従って、流れ要素の使用は、患者の鼻孔ガスの流れのより大きな部分を送達するのを助けることができ、一方、流れ要素がなければ、より多くのガス流れがマスクの内部に失われ、通気口を介して洗い流される可能性がある。
【0231】
さらなる例において、流れディレクタ(複数)(例えば、右側鼻孔の右側の流れディレクタおよび/または左側の鼻腔流れディレクタ)は、流れを患者の鼻孔内に最適に向かうように調節可能に動的に移動可能であり得る。前記動的移動は、ユーザー/患者の呼吸流れに応答することができる。実施例は、
図31A、
図31B、
図31C、および
図31Dを参照して考慮することができる。示されたように、流れディレクタは、患者の吸気流れのような患者の呼吸流れに従って動的に整列されるように構成された自己整列ノズル31002を含むことができる。選択的に、流れディレクタは、呼気流れに応答していかなる動きも生じないように構成され得る。
【0232】
図に示されたように、流れディレクタ31000は、一つまたは複数のベーン(複数)31004または他の流れ応答要素(例えば、傘状またはパラシュート様流れ応答構造)を含むことができる。ベーンは、吸入流れ中に流れディレクタ(例えば、ノズル)の移動のために、十分な流動力を加えるが、呼息中にノズルの移動のための流動力がないかまたは不十分であり得る(またはその逆である)。従って、
図31Aに示したように、吸息中に、ベーン上の吸気流れは、ベーンを開放することができ、ボールジョイント31008のように流れディレクタを旋回させる力を加えて、ノズルから患者の鼻内へ直接流れを導くように前記ディレクタを調節する。
図31の例において、前記ベーンは、ベーン延長部31006を含む。ベーン延長部は、ベーンがノズルから遠位に位置するようにし、例えば、ノズルが鼻腔の外側に位置する間および/または流れノズルから生じる流れの衝撃を減少させるために、鼻腔NC内で突出できるようにする。従って、延長部は、ベーンが鼻腔内に延びるながらマスクフレームの選択的なプレナムチャンバ(
図31Aには図示せず)にノズルが位置されるように許容することができる。しかし、一部のバージョンにおいて、ベーンまたは流れ応答構造は、鼻腔カニューレのプロングまたはノズルの表面に適用され得る。
図31Bに示したように、呼息中に、呼気流れは、呼気流れに応答してベーンを収縮または崩壊させて、流れディレクタのノズルに加えられる力を最小限にし、呼息中に、流れディレクタの移動を最小化する。
図31Cに示したように、ベーン(ベーン延長部があるか、またはない)は、使用中に鼻腔の外側に位置され得る。選択的に、
図31Dに示したように、ベーンおよびノズルは、鼻腔NA内に延びるように位置され得る。
【0233】
5.8 用語解説
本技術の開示目的のために、本技術の特定の形態では、以下の定義のうちの一つまたは複数が適用され得る。本技術の他の形態では、代替的定義が適用され得る。
【0234】
5.8.1 一般的な事項
空気:本技術の特定の形態では、空気は、大気はもちろん呼吸可能なガスを指すことができる。患者に供給される空気は、大気であることもでき、また、本技術の他の形態では、大気に酸素が補給され得る。
【0235】
周囲:本技術の特定の形態において、周囲という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者の直ぐ周辺を意味するものとして解釈されるだろう。
【0236】
例えば、加湿器に対する周囲湿度は、加湿器の直ぐ周辺の空気の湿度、例えば、 患者が寝ている部屋の湿度であり得る。このような周囲湿度は、患者が寝ている部屋の外側湿度とは異なる場合がある。
【0237】
別の例において、周囲圧力は、身体のすぐ周辺または外部の圧力であり得る。
【0238】
特定の形態において、周囲(例えば、音響)ノイズは、例えば、PAPデバイスによって発生されるか、マスクまたは患者インタフェースから発散するノイズ以外に、患者が位置する部屋の背景ノイズレベルであると考えられる。周囲のノイズは、室内外部の原因によって発生され得る。
【0239】
5.8.2 顔の解剖学的構造
鼻翼(Ala):各鼻孔の外側の壁または“翼(wing)”(複数形alar)。
【0241】
鼻翼(または鼻翼頂)点:各鼻翼の屈曲された基線内の最も後方の点で、鼻翼が頬と合わせられたところに形成されるしわに見られる。
【0242】
耳介または耳殻:耳の外に見えている部分の全体。
【0243】
(鼻の)骨格:鼻の骨格は、例えば、鼻骨、上顎の前頭突起、および前頭骨の鼻部分を含む。
【0244】
(鼻の)軟骨質の骨組み:鼻の軟骨質の骨組みは、例えば、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0245】
鼻柱:鼻孔を分離し、鼻尖から上唇まで延在する肌片。
【0246】
鼻柱角:鼻孔開口の中点を通って引かれた線と、鼻翼下と交差しながらフランクフルト水平方向に垂直に引かれた線との間の角度。
【0247】
フランクフルト水平面:眼窩縁の最下点から左耳点まで延在する線。眼裂は、耳介の耳珠よりも優れたノッチの最も深い点である。
【0248】
眉間:軟組織上に位置する、前額部の正中矢状面内の最も突出した点。
【0249】
側鼻軟骨:全体的に三角形の軟骨板。その上位周縁部は、鼻骨および上顎の前頭突起に付着されており、その下位周縁部は、大鼻翼軟骨に接続されている。
【0250】
大鼻軟骨:側鼻軟骨の下にある軟骨板。鼻孔前部の周囲で湾曲している。その後端は、3つまたは4つの小鼻翼軟骨を含む強靭な繊維膜によって上顎の前頭突起に接続されている。
【0251】
鼻孔(Nares(Nostrils)):鼻腔の入口を形成する略楕円形の開口。naresの単数形はnaris(nostril)である。鼻孔は、鼻中隔によって分離されている。
【0252】
鼻唇溝または法令線:鼻の各側から口の隅まで延在する、頬を上唇から分離している肌のしわまたは溝。
【0253】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角、一方で鼻翼下と交差している。
【0254】
下耳底:耳介が顔の肌に付いている最低点。
【0255】
上耳底:耳介が顔の肌に付いている最高点。
【0256】
鼻尖:鼻の最も突出した点または頂点であり、顔の残りの部分の側面図に認めることができる。
【0257】
人中:鼻中隔の下界から上唇領域内の唇の上まで延在する正中溝。
【0258】
オトガイ点:軟組織上に位置する、顎の最も前方にある中間点。
【0259】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻根から鼻尖まで延在する、鼻の正中線上の隆起である。
【0260】
矢状面:身体を右半分と左半分とに分割する、前方(正面)から後方(背面)まで通る垂直面。
【0261】
鼻根:軟組織上に位置する、鼻前頭構造の上にある最も窪んだ点。
【0262】
(鼻)中隔軟骨:鼻中隔軟骨は中隔の一部分を形成し、鼻腔の正面部分を分割する。
【0263】
鼻翼下:鼻翼底が上(上側)唇の肌と接合する、鼻翼底の下側周縁部にある点。
【0264】
鼻棘点:軟組織上に位置する、正中矢状面内で鼻柱が上唇と合わせられる点。
【0265】
オトガイ部:下唇点と軟組織オトガイ点との間の、下唇の正中線内で最も窪んだ点。
【0266】
5.8.3 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として既知である領域に対応する、大きい垂直部分、前頭鱗を含む。
【0267】
下顎骨:下顎骨は下顎を形成する。オトガイ隆起は、顎を形成する顎の骨ばった隆起である。
【0268】
上顎骨:上顎骨は上顎を形成し、下顎骨の上および眼窩の下に位置する。上顎骨の前頭突起が鼻の側面のそばで上向きに突出し、その側方境界の一部分を形成する。
【0269】
鼻骨:鼻骨は、サイズおよび形状が個人によって異なる2つの小さい矩形の骨であり、それらは顔の中央上側で隣り合って位置しており、それらが接合することによって、鼻の“橋”を形成する。
【0270】
鼻根点:前頭骨と2つの鼻骨とが交差するところであり、両眼の直間で鼻梁よりも上位にある窪んだ領域。
【0271】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の後ろの下側部分に位置する。後頭骨は、楕円形の開口である大後頭孔を含み、これを通じて頭蓋腔が脊柱管と連通する。大後頭孔の後ろにある湾曲した板が、後頭鱗である。
【0272】
眼窩:眼球を含む、頭蓋骨の中の骨ばった空洞。
【0273】
頭頂骨:頭頂骨は、ともに接合されると、頭蓋の屋根および側面を形成する骨である。
【0274】
側頭骨:側頭骨は頭蓋骨の基底部および側面に位置し、こめかみとして既知である顔のその部分を支持する。
【0275】
頬骨:顔は、顔の上側方部分に位置し、頬の隆起を形成する2つの頬骨を含む。
【0276】
5.8.4 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:胸郭の底部にわたって延在する筋層。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を、腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると胸腔の容積が増大し、空気が肺の中に引き込まれる。
【0277】
喉頭:喉頭、または発生器は声帯を受容しており、咽頭の下位部分(下咽頭)を気管と接続している。
【0278】
肺:人間における呼吸器官。肺の導入部分は、器官、気管支、細気管支、および終末細気管支を含む。呼吸部分は、呼吸細気管支、肺胞管、および肺胞を含む。
【0279】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は顔の中央における鼻の上および後ろにある空気が充填された大きい空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直なウイングによって2つに分割されている。鼻腔の側面上には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形“concha”)または鼻甲骨と呼ばれる、3つの水平に伸び出した部分がある。鼻腔の正面には鼻があり、一方で背面は鼻甲介を介して鼻咽頭につながっている。
【0280】
咽頭:喉の、鼻腔の直下位(下)に位置し、食道および喉頭よりも上位にある部分。咽頭は、従来より3つの区画、すなわち、鼻咽頭(咽頭の鼻の部分)、中咽頭(oropharynx(mesopharynx))(咽頭の口の部分)、および咽喉頭(下咽頭)に分割されている。
【0281】
5.8.5 PAPデバイスの態様
APAP:自動気道陽圧である。SDB事象の指標の存否に応じて最小限度と最大限度との間で絶えず調整可能な気道陽圧である。
【0282】
コントローラ:入力に基づいて出力を調整するデバイス、又はデバイスの一部分である。例えば、コントローラの1つの形態は、デバイスへの入力を構成する、制御を受ける変数、すなわち制御変数を有する。デバイスの出力は、制御変数の現在の値とその変数の設定点との関数である。サーボ人工呼吸器は、入力として換気量を有し、設定点として目標換気量を有し、出力として圧補助のレベルを有するコントローラを備えることができる。入力の他の形態は、酸素飽和度(SaO
2)、二酸化炭素の分圧(PCO
2)、運動、光プレチスモグラムからの信号、およびピーク流量のうちの1つ又は複数とすることができる。コントローラの設定点は、固定されたもの、可変のもの、又は学習されたもののうちの1つ又は複数とすることができる。例えば、人工呼吸器における設定点は、患者の測定された換気量の長期平均とすることができる。別の人工呼吸器は、時間とともに変化する換気設定点を有することができる。圧力コントローラは、特定の圧力で空気を送達するように送風機又はポンプを制御するように構成することができる。流れコントローラは、 特定の流量で空気またはガスを送達するように送風機または他のガス供給源を制御するように構成することができる。
【0283】
療法:本文脈における療法は、陽圧療法、酸素療法、二酸化炭素療法、死腔の制御、および薬の投与うちの1つ又は複数とすることができる。
【0284】
5.8.6 人工呼吸器の用語
適応サーボ人工呼吸器:固定された目標換気量ではなく変更可能な目標換気量を有する人工呼吸器である。変更可能な目標換気量は、患者の或る特性、例えば、患者の呼吸特性から学習することができる。
【0285】
バックアップレート:特にトリガされない限り、人工呼吸器が患者に送達する最小呼吸数(通常は、毎分の呼吸の数)を設定する人工呼吸器のパラメータである。
【0286】
循環(cycled):人工呼吸器の吸気位相の終了である。人工呼吸器が、自発呼吸する患者に呼吸を送達するとき、呼吸サイクルの吸気部分の終わりに、人工呼吸器は、呼吸の送達を停止するように循環されると言われる。
【0287】
圧補助:人工呼吸器の呼気中の圧力を超える人工呼吸器の吸気中の圧力の増加を示し、一般に、吸気中の圧力の最大値と呼気中の圧力の最小値との差分(例えば、PS=IPAP−EPAP)を意味する数値である。幾つかの文脈では、圧補助は、人工呼吸器が実際に達成する差分ではなく、達成しようと目標としている差分を意味する。
【0288】
サーボ人工呼吸器:患者の換気量を測定する人工呼吸器は目標換気量を有し、この患者の換気量を目標換気量に持って行くように圧補助のレベルを調整する人工呼吸器である。
【0289】
自発/時限(S/T):自発呼吸する患者の呼吸の開始を検出しようと試みる人工呼吸器又は他のデバイスのモードである。しかしながら、デバイスは、所定の時間期間内に呼吸を検出することができない場合、呼吸の送達を自動的に開始する。
【0290】
トリガ:人工呼吸器が、自発呼吸する患者に空気の呼吸を送達するとき、患者の努力による呼吸サイクルの呼吸部分の開始時に送達するようにトリガされると言われる。
【0291】
人工呼吸器:呼吸の作用の一部又は全てを実行する、患者に圧補助を提供する機械式デバイスである。
【0292】
5.8.7 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマ:合成ゴム。本明細書において、シリコーンが参照されている場合、これは、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一例が、ダウコーニングによって製造されているSILASTIC(この商標で販売されている製品の範囲内に含まれている)である。LSRのもう1つの製造元がワッカーである。別途逆に指定されていない限り、LSRの例示的な形態は、ASTM D2240を使用して測定される約35〜約45の範囲内のショアA(またはタイプA)圧入硬度を有する。
【0293】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの一般的に透明な熱可塑性重合体。
【0294】
5.9 その他の備考
本特許明細書の開示の一部分は、著作権保護の対象である資料を含む。特許商標庁の特許包袋または記録において明らかであるため、著作権所有者は、本特許明細書または本特許の開示のいずれによるファクシミリ複製に対しても異論を有していないが、その他の面では、どんなものであれ、すべての著作権を保有している。
【0295】
別途、文脈が明らかに示していない限り、値の範囲が与えられている場合、下限の単位の10分の1までの、その範囲の上限と下限との間にある介在する各値、および、その記載されている範囲内の任意の他の記載されているまたは介在する値が、本発明の技術内に包含されることは理解されたい。独立して介在する範囲内に含まれてもよい、これらの介在する範囲の上限および下限も、記載されている範囲内の任意の具体的に除外されている限度の対象となって、同じく本発明の技術内に包含される。記載されている範囲が、一方または両方の限界値を含む場合、それらの含まれている限界値の一方または両方を除外した範囲も、本発明の技術に含まれる。
【0296】
さらに、一つまたは複数の値が本明細書において本発明の技術の一部分として実施されているものとして記載されている場合、そのような値は別途記載がない限り近似であってもよく、そのような値は、実際の技術的な実施がそれを許容または必要とし得る限りにおいて、任意の適切な有効数字に利用されてもよいことは理解されたい。
【0297】
別途、規定しない限り、本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明の技術が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または均等な任意の方法および材料を、本発明の技術の実施または実験において同じく使用することができるが、本明細書には、限られた数の例示的な方法および材料しか記載していない。
【0298】
特定の材料が使用するのに好ましい、または、構成要素を構成するための一実施例であると認められる場合、同様の特性を有する自明の代替的な材料が代用として使用されてもよい。
【0299】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されているものとしての、単数形“a”、“an”および“the”は、別途文脈が明確に示していない限り、それらの複数の均等物を含むことに留意しなければならない。
【0300】
本明細書において言及されているすべての刊行物は、それらの刊行物が対象とする方法および/または材料を開示および記載するために、参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書において述べられた刊行物は、本出願の提出日よりも前に、それらの開示のために単独で提供されている。本明細書におけるいかなる記載も、本発明の技術が、先行する発明によってそのような刊行物に先行する資格(admission)がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、記載されている刊行日は実際の刊行日とは異なる場合があり、これは個別に確認する必要がある場合がある。
【0301】
その上、本開示を解釈する上で、すべての用語は、文脈と一致する合理的な最も広い様態で解釈されるべきである。特に、“備える”(“comprises”および“comprising”)という用語は、要素、構成要素、またはステップを非排他的に指しているものとして解釈されるべきであり、参照される要素、構成要素、またはステップが、明示的には参照されていない他の要素、構成要素、またはステップとともに存在し、またはともに利用され、またはそれらと組み合わされてもよいことを示している。
【0302】
詳細な説明において使用されている主題の見出しは、読者が参照するのを容易にするためにのみ含まれており、特許請求の範囲の開示全体を通じて見出される主題を限定するように使用されるべきではない。主題の見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の限定事項を解釈するのに使用されるべきではない。
【0303】
本発明における技術を、特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は本発明の技術の原理および応用の例示に過ぎないことは理解されたい。いくつかの事例において、用語および記号は、本発明の技術を実施するのに必要ではない特定の詳細を暗示している場合がある。例えば、“第1の”および“第2の”という用語が使用されている場合があるが、別途明記されていない限り、それらは、任意の順序を示すようには意図されておらず、別個の要素の間で区別するために利用され得る。さらに、方法における工程が、ある順序で記載または図示されている場合があるが、そのような順序は必須ではない。そのような順序は変更されてもよく、および/またはそれらの態様は同時に、またはさらには同期して実行されてもよいことを、当業者は認識しよう。
【0304】
従って、本発明の技術の精神および範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に対して多数の変更をなすことができること、および、他の構成を考え出すことができることを理解されたい。
[実施形態1]
呼吸可能なガスの流れを患者の気道に送達するための装置であって、
一セットの突出部を含む鼻腔カニューレであって、それぞれの突出部が患者の鼻腔内にガスの流れを導くように構成される鼻腔カニューレと、
前記セットの突出部にガスの流れを導くように構成されたカプラ延長部であって、前記カプラ延長部が呼吸可能なガス供給源の一つまたは複数のガス供給ラインと結合するように構成されるカプラ延長部と、を含み、
ここで、前記カプラ延長部は、呼吸マスクのクッションを受けてシールするように構成されたシート部分を含み、前記シート部分は、呼吸マスクのクッションとユーザーの顔接触面との間のシールを促進させるシールベベルを備えるものである、装置。
[実施形態2]
前記カプラ延長部が、複数のシート部分を含む、実施形態1に記載の装置。
[実施形態3]
それぞれのシート部分が、三角形のプロフィールを含む、実施形態1または2に記載の装置。
[実施形態4]
それぞれのシート部分が、レンティルプロフィールを含む、実施形態1または2に記載の装置。
[実施形態5]
それぞれのシート部分が、第1の流路を含む、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態6]
それぞれのシート部分が、第2の流路を含む、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態7]
シート部分の各流路が、円形ガス流路を含む、実施形態5または6に記載の装置。
[実施形態8]
シート部分の各流路が、矩形ガス流路を含む、実施形態5または6に記載の装置。
[実施形態9]
前記セットの突出部が、第1および第2の鼻腔プロングを含む、実施形態1〜8のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態10]
シートリッジを更に含む、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態11]
一セットの突出部を有する鼻腔カニューレで呼吸可能なガスの流れを患者の気道に送達するための装置であって、それぞれの突出部は、ユーザーの鼻腔内にガスの流れを導くように構成され、前記装置が、
呼吸可能なガス供給源の一つまたは複数のガス供給ラインと結合するように構成されたカプラ延長部であって、前記カプラ延長部がシート部分を含み、前記シート部分が呼吸マスクのクッションを受けてシールするように構成され、前記シート部分が呼吸マスクのクッションとユーザーの顔接触面との間のシールを促進させるシールベベルを備えるものである、装置。
[実施形態12]
前記シート部分が、呼吸可能なガス供給源のガス供給ラインを除去可能に受容するのに適合したルーメン溝を含む、実施形態11に記載の装置。
[実施形態13]
前記シート部分が、三角形のプロフィールを含む、実施形態11または12に記載の装置。
[実施形態14]
前記シート部分が、レンティルプロフィールを含む、実施形態11または12に記載の装置。
[実施形態15]
シートリッジを更に含む、実施形態11〜14のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態16]
呼吸可能なガスの流れを患者の気道に送達するための装置であって、
一セットの鼻枕を含む鼻インタフェースであって、それぞれの鼻枕がユーザーの鼻孔内に呼吸可能なガスの流れを導き、鼻孔とシールを形成するように構成される鼻インタフェースとを含み、
それぞれの鼻枕は、鼻突出部を介してガスの更なる流れを導くように構成され、前記鼻突出部は、鼻枕のシールよりも鼻突出部内に延びるように構成される、装置。
[実施形態17]
前記鼻突出部が、鼻孔枕の通気口を含む、実施形態16に記載の装置。
[実施形態18]
前記鼻突出部が、鼻孔枕の表面に枕通気口を含む、実施形態17に記載の装置。
[実施形態19]
前記鼻突出部が、補助ガス供給源を含む、実施形態16〜18のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態20]
それぞれの鼻孔枕が、更なる鼻突出部で更に構成され、前記更なる鼻突出部が、鼻孔枕のシールよりも鼻孔内に延びるように構成される、請求項16〜19のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態21]
前記更なる鼻突出部が、鼻腔枕からもたらす大気に対する通気口を更に含む、実施形態20に記載の装置。
[実施形態22]
前記セットの鼻孔枕が第1および第2の鼻孔枕を含む、実施形態16〜21のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態23]
前記第1および第2の鼻孔枕が、それぞれ鼻突出部が延びる円錐台形を含む、実施形態22に記載の装置。
[実施形態24]
前記鼻孔枕と結合された流れ発生器を更に含み、前記流れ発生器がコントローラを含み、前記コントローラが鼻孔枕に呼吸可能なガスの流れの圧力を制御するように構成される、実施形態16〜23のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態25]
前記鼻突出部と結合された流れ発生器を更に含み、前記流れ発生器がコントローラを含み、前記コントローラが鼻孔枕に呼吸可能なガスの流れの圧力を制御するように構成される、実施形態16〜24のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態26]
前記鼻孔枕と結合された流れ発生器を更に含み、前記流れ発生器が鼻突出部と更に結合され、前記流れ発生器がコントローラを含み、前記コントローラが鼻突出部に呼吸可能なガスの更なる流れの流量と鼻孔枕に呼吸可能なガスの流れの圧力の両方を同時に制御するように構成される、実施形態16〜23のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態27]
呼吸可能なガスの流れを患者の気道に送達するための装置であって、
プレナムチャンバを含むフレームを含み、前記プレナムチャンバが供給導管と結合するための接続ポートと適合化され、前記フレームがプレナムチャンバ内に少なくとも一つの流れディレクタを含み、前記流れディレクタがユーザーの鼻孔で直接流れるようにプレナムチャンバ内に構成され、前記流れディレクタがプレナムチャンバの外側でガス供給ポートと流体連通するものである、装置。
[実施形態28]
プレナムチャンバ内にまた一つの流れディレクタを更に含み、前記また一つの流れディレクタがユーザーのまた一つの鼻孔でガス流れを導くように前記プレナムチャンバ内に構成される、実施形態27に記載の装置。
[実施形態29]
それぞれの流れディレクタが、流れディレクタからガス流れの方向を調節するために中心軸に適合化された、実施形態27または28に記載の装置。
[実施形態30]
それぞれの流れディレクタが、チューブ状導管を含む、実施形態27または28に記載の装置。
[実施形態31]
それぞれの流れディレクタが、指向面を含む、実施形態27または28に記載の装置。
[実施形態32]
前記指向面が、前記指向面に起因する流れ方向を変化させるためのスイベルとして適合される、実施形態31に記載の装置。
[実施形態33]
前記流れディレクタが、吸気流れに従って動的に整列するように構成された自己整列ノズルを含む、請求項29に記載の装置。
[実施形態34]
前記流れディレクタが、ベーンを含む、実施形態33に記載の装置。
[実施形態35]
前記流れディレクタが、ベーンに印加される吸気流動力に応答してノズルを回転させるためのボールジョイントを含む、実施形態34に記載の装置。
[実施形態36]
前記流れディレクタが、ベーン延長部を含む、実施形態33〜35のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態37]
呼吸可能なガスの流れを患者の気道に送達するための装置であって、
患者呼吸系にガスの流れを連通するように適合化された導管であって、前記導管が外部面および内部面を有する壁材料によって形成され、前記内部面は、ガスの流れのためのチャンネルを含む導管と、
前記導管の壁材料の一部分によって形成されたスリットバルブであって、前記壁材料の一部分が前記外部面の一部および前記内部面の一部分を含み、前記部分がチャンネルの圧力状態に応答して大気に対するチャンネルを開放するように移動可能なものであるスリットバルブと、を含む、装置。
[実施形態38]
前記スリットバルブが、チャンネル内の過圧状態に応答してチャンネルから大気へのガス流れを可能にするようにチャンネルに対して外側に変形するように構成される、実施形態37に記載の装置。
[実施形態39]
前記スリットバルブが、チャンネル内の過圧状態に応答して大気からチャンネルへガスが流れるようにチャンネルに対して内側に変形されるように構成される、実施形態37または38に記載の装置。
[実施形態40]
前記スリットバルブが、双方向バルブを含む、実施形態37〜39のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態41]
前記スリットバルブが一方向バルブを含む、実施形態37項に記載の装置。
[実施形態42]
前記壁材料の可動部が第1のスリットおよび第2のスリットを含み、導管の断面平面において、第1のスリットの仮想軸および第2のスリットの仮想軸は、チャンネルの内側角の非中心頂点によって角度を形成する、実施形態41に記載の装置。
[実施形態43]
前記スリットバルブが、チャンネル内の過圧状態に応答してチャンネルから大気へのガス流れを可能にするようにチャンネルに対して外側に変形するように構成される、実施形態42に記載の装置。
[実施形態44]
前記壁材料の可動部が、第1のスリットおよび第2のスリットを含み、導管の断面平面において、第1のスリットの仮想軸および第2のスリットの仮想軸は、チャンネル外側の頂点によって角度を形成する、実施形態41に記載の装置。
[実施形態45]
前記スリットバルブが、チャンネル内の過圧状態に応答して大気からチャンネル内へガス流れが可能になるようにチャンネルに対して内側に変形するように構成される、実施形態37または38に記載の装置。
[実施形態46]
前記可動部が、前記導管の長さに平行な軸に沿って屈曲領域を含む、実施形態37〜45のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態47]
前記稼動部が、前記導管の外部面の円弧に沿って屈曲領域を含む、実施形態37〜46のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態48]
前記導管が、チューブを含む、実施形態37〜47のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態49]
前記導管が、カニューレを更に含む、実施形態37〜48のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態50]
前記導管が、カプラシースを含み、前記カプラシースが導管の一つまたは複数のスリットバルブを選択的に覆うために、導管の外部面の一部分と除去可能に係合するように構成される、実施形態37〜49のいずれか一項に記載の装置。
[実施形態51]
呼吸可能なガスの流れを患者の気道に送達するための装置であって、
患者の呼吸システムから吸入された呼吸可能なガスの排出流れを可能にするように適合化された鼻孔通気口を含み、前記鼻孔通気口が、排気流れの既知のガス流れ特性を提供するように患者の鼻孔の内周をシールするように構成され、前記鼻孔通気口が、患者の呼吸システムに呼吸可能なガスを提供するための鼻腔カニューレのプロング(prong)を受容するように適合化される、装置。
[実施形態52]
前記既知のガス流れ特性が既知のインピーダンスである、実施形態51に記載の装置。
[実施形態53]
前記鼻孔通気口が、前記鼻腔カニューレのプロングを除去可能に係合させるためのホルダーを含む、実施形態51または52に記載の装置。
[実施形態54]
前記鼻孔通気口が、鼻腔カニューレの一体型プロングを含む、実施形態51または52に記載の装置デバイス。
[実施形態55]
前記鼻孔通気口が、環型である、実施形態51〜54のいずれか一項に記載の装置。