特許第6807763号(P6807763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807763
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20201221BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   A01D41/12 E
   F01N3/28 301V
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-16314(P2017-16314)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-121571(P2018-121571A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年6月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 大韓民国国際農業機械資材博覧会 開催場所 天安サムゴリ公園(住所:チュンチョンナンド チョナンシ トンナムグ サン リョンドン 306) 開催日 平成28年11月2日〜5日 [刊行物等] 配布日 平成28年11月 配布資料名 クボタ総合製品案内
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】米田 豊
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】平田 基徳
(72)【発明者】
【氏名】冨永 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】栗林 巧
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−066216(JP,A)
【文献】 特開2014−177913(JP,A)
【文献】 特開2016−043866(JP,A)
【文献】 特開2016−145472(JP,A)
【文献】 特開2016−168975(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0231963(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/00−41/16
F01N 3/00− 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームに支持されたエンジンと、
ディーゼル微粒子を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルタを有し、前記エンジンからの排ガスに含まれるディーゼル微粒子を減少させる第1排ガス処理装置と、
選択触媒還元を利用して、前記第1排ガス処理装置にて処理された後の排ガスに含まれる窒素酸化物を低減させる第2排ガス処理装置とが備えられ、
前記第2排ガス処理装置は、連通接続管を介して前記第1排ガス処理装置に接続され、
前記エンジンは、弾性支持体を介して前記機体フレームに支持され、
前記第1排ガス処理装置は、前記エンジンに支持され、
前記第2排ガス処理装置は、前記機体フレームに支持され、
前記第2排ガス処理装置の前記機体フレームに対する支持位置を変更調整可能な位置調整機構が備えられているコンバイン。
【請求項2】
前記位置調整機構は、前記支持位置を水平方向に変更調整可能である請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記機体フレームに、上下方向に延びる縦向きフレーム体が備えられ、
前記縦向きフレーム体に、上部側に位置する上支持部と、下部側に位置する下支持部とが備えられ、
前記第2排ガス処理装置は、前記上支持部及び前記下支持部の夫々において、前記位置調整機構を介して前記縦向きフレーム体に支持されている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記第2排ガス処理装置に、前記上支持部に載置支持される上部側被支持部と、前記下支持部を横外側両側から挟み込んで当て付けた状態で支持される下部側被支持部とが備えられている請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記上部側被支持部に、前記上支持部の載置部に載置支持される載置支持部と、前記上支持部の横側案内面に横外側から当て付けた状態で支持される横側支持部とが備えられている請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記位置調整機構に、位置変更方向と交差する方向に延びる軸部材と、前記軸部材が挿通するとともに前記位置変更方向に沿って延びる長孔とが備えられている請求項1から5のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記第1排ガス処理装置が、前記エンジンの上方を覆うエンジンボンネットの内部に設けられている請求項1から6のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記第2排ガス処理装置が、前記エンジンの上方を覆うエンジンボンネットの外部に設けられている請求項1から7のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項9】
穀粒を貯留する穀粒タンクが、正面視で下窄まり状に形成され、且つ、その下窄まり状の底部傾斜面にタンク内方に向けて凹入する凹入部が形成され、
前記第2排ガス処理装置が、前記穀粒タンクの前部下方に位置する請求項1から8のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記第2排ガス処理装置が、前記凹入部に入り込む状態で、前記機体フレームに支持されている請求項9に記載のコンバイン。
【請求項11】
前記連通接続管が、前記第1排ガス処理装置の排ガス出口部に連結されるとともに、前記第2排ガス処理装置の排ガス供給部に連結される請求項1から10のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと、エンジンからの排ガスを浄化処理する排ガス処理装置とを備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、前記排ガス処理装置として、選択触媒還元(SCR)を利用した排ガス処理装置が備えられ、この排ガス処理装置は、例えば、ベローズ型排気管等の蛇腹状の構造を有し伸縮可能に構成された連通接続管を介して、エンジンの排ガス排出部に接続されている。そして、エンジンは、弾性支持体であるゴム式マウント機構を介して機体フレームに支持され、排ガス処理装置は、機体フレームに固定された縦向きフレーム体としての支柱に対してボルト連結にて位置固定状態で支持されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−168975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインでは、エンジンの運転に伴う振動が運転座席や他の装置に伝わらないように、上記したように、エンジンがゴム等の弾性支持体を介して機体フレームに支持されている。
そして、又、エンジンと排ガス処理装置とは蛇腹状であって伸縮可能に構成された連通接続管を介して接続され、運転作動に伴ってエンジンが振動しても、連通接続管の軸芯方向に沿う伸縮動作により振動を吸収することができ、その振動が排ガス処理装置に直接伝わることがないようにしている。
【0005】
しかし、エンジンや排ガス処理装置等が組付けられた状態で、上記したような蛇腹状の構造を有する連通接続管に歪が発生している状態で、エンジンの振動に伴う伸縮動作が繰り返されると、そのことが原因で早期に損傷するおそれがある。このような組み付け歪は、エンジンと排ガス処理装置との間での相対的な組み付け時の誤差が要因で発生する。
【0006】
上記従来構成では、エンジン及び排ガス処理装置は機体フレームに対して位置が定まった状態で支持されるので、組付け時の位置精度の影響で上記したような組付け歪みが発生するおそれがあり、上記したような連通接続管等の接続用の部材の耐久性が低下する不利があった。ところで、エンジンは、弾性支持体を介して機体フレームに支持されるが、組付け作業が終了したのちには支持位置が定まることになるが、このようなエンジンの支持構造では、最終的に定まる支持位置の位置ズレが生じ易い。
【0007】
そこで、エンジンと排ガス処理装置との間での接続用の部材の耐久性を向上させることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンバインの特徴構成は、
機体フレームに支持されたエンジンと、
ディーゼル微粒子を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルタを有し、前記エンジンからの排ガスに含まれるディーゼル微粒子を減少させる第1排ガス処理装置と、
選択触媒還元を利用して、前記第1排ガス処理装置にて処理された後の排ガスに含まれる窒素酸化物を低減させる第2排ガス処理装置とが備えられ、
前記第2排ガス処理装置は、連通接続管を介して前記第1排ガス処理装置に接続され、
前記エンジンは、弾性支持体を介して前記機体フレームに支持され、
前記第1排ガス処理装置は、前記エンジンに支持され、
前記第2排ガス処理装置は、前記機体フレームに支持され、
前記第2排ガス処理装置の前記機体フレームに対する支持位置を変更調整可能な位置調整機構が備えられている点にある。
【0009】
本発明によれば、組付け作業が終了したのに、排ガス処理装置の機体フレームに対する支持位置を変更調整することにより、連通接続管やその他の部材に対して組付け歪が生じないように、エンジンと排ガス処理装置との相対位置を変更させることができる。
【0010】
従って、連通接続管等の接続用の部材について、組付け時の位置精度の影響で組付け歪みが発生することを回避することが可能であり、短期間の使用で早期に破損する等のおそれを少なくして、エンジンと排ガス処理装置との間での接続用の部材の耐久性を向上させることが可能となった。
また、本構成によれば、エンジンからの排ガスが、第1排ガス処理装置にて浄化処理されたのち、さらに、第2排ガス処理装置にて浄化処理される。このように2段階の浄化処理によって排ガス中に含まれる有害な物質、例えば、窒素酸化物(NOx)や微小粒状物質(PM)等を除去することができる。
そして、例えば、エンジンと第1排ガス処理装置との間で相対移動する構成であれば、第1排ガス処理装置の機体フレームに対する支持位置を変更調整可能にすることで、エンジンと第1排ガス処理装置との間を接続する接続用の部材の早期の損傷を防止できる。又、エンジンと第2排ガス処理装置との間で相対移動する構成であれば、第2排ガス処理装置の機体フレームに対する支持位置を変更調整可能にすることで、第1排ガス処理装置を介してエンジンと第2排ガス処理装置とを接続する接続用の部材の早期の損傷を防止できる。さらに、エンジンに対して、第1排ガス処理装置及び第2排ガス処理装置の夫々が、相対移動する構成であれば、第1排ガス処理装置及び第2排ガス処理装置夫々の機体フレームに対する支持位置を変更調整可能にすることで、エンジンと第1排ガス処理装置との間、及び、第1排ガス処理装置と第2排ガス処理装置との間を接続する接続用の部材の早期の損傷を防止できる。
【0011】
本発明においては、前記位置調整機構は、前記支持位置を水平方向に変更調整可能であると好適である。
【0012】
本構成によれば、排ガス処理装置を水平方向に移動させて支持位置を変更させる構成であるから、荷重を支持させた状態で水平方向に移動させることが可能であり、例えば、上下方向に位置調整する構成等に比べて位置調整作業を楽に行える。
【0013】
本発明においては、前記機体フレームに、上下方向に延びる縦向きフレーム体が備えられ、前記縦向きフレーム体に、上部側に位置する上支持部と、下部側に位置する下支持部とが備えられ、前記第2排ガス処理装置は、前記上支持部及び前記下支持部の夫々において、前記位置調整機構を介して前記縦向きフレーム体に支持されていると好適である。
【0014】
本構成によれば、排ガス処理装置を上下両側箇所において安定的に支持することができ、しかも、上下両側の支持部の夫々において排ガス処理装置の支持位置を変更することができるので、排ガス処理装置の上下向き姿勢を変化させることなく、機体フレームに対する支持位置の調整を行える。
【0015】
本発明においては、前記第2排ガス処理装置に、前記上支持部に載置支持される上部側被支持部と、前記下支持部を横外側両側から挟み込んで当て付けた状態で支持される下部側被支持部とが備えられていると好適である。
【0016】
本構成によれば、上部側被支持部が上支持部に載置支持されるので、排ガス処理装置の荷重を受止め支持することができる。下部側被支持部が下支持部を横外側両側から挟み込んで当て付けた状態で支持されるので、排ガス処理装置の横方向での位置ずれを防止することができる。
【0017】
その結果、荷重を良好に受止め支持しながら、位置変更調整可能な構成とすることに起因したガタツキの発生を抑制して、安定した状態で排ガス処理装置を支持することができる。
【0018】
本発明においては、前記上部側被支持部に、前記上支持部の載置面に載置支持される載置支持部と、前記上支持部の横側案内面に横外側から当て付けた状態で支持される横側支持部とが備えられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、上部側被支持部は、載置支持部が上支持部の載置面に載置支持されることにより、排ガス処理装置の荷重を受止め支持するとともに、横側支持部が上支持部の横側案内面に横外側から当て付けられた状態となるので横方向での位置ずれを防止することができる。
【0020】
従って、下部側被支持部だけでなく、上部側被支持部においても、横方向での位置ずれを防止するので、全体としてガタツキの少ない安定した状態で、排ガス処理装置を支持することができる。
【0021】
本発明においては、前記位置調整機構に、位置変更方向と交差する方向に延びる軸部材と、前記軸部材が挿通するとともに前記位置変更方向に沿って延びる長孔とが備えられていると好適である。
【0022】
本構成によれば、軸部材とそれが挿通する長孔という簡単な構成の位置調整機構によって、排ガス処理装置の支持位置を変更調整することができる。
【0023】
本発明においては、前記第1排ガス処理装置が、前記エンジンの上方を覆うエンジンボンネットの内部に設けられていると好適である。
【0024】
本発明においては、前記第2排ガス処理装置が、前記エンジンの上方を覆うエンジンボンネットの外部に設けられていると好適である。
【0025】
本発明においては、穀粒を貯留する穀粒タンクが、正面視で下窄まり状に形成され、且つ、その下窄まり状の底部傾斜面にタンク内方に向けて凹入する凹入部が形成され、前記第2排ガス処理装置が、前記穀粒タンクの前部下方に位置すると好適である。
本発明においては、前記第2排ガス処理装置が、前記凹入部に入り込む状態で、前記機体フレームに支持されていると好適である。
本発明においては、前記連通接続管が、前記第1排ガス処理装置の排ガス出口部に連結されるとともに、前記第2排ガス処理装置の排ガス供給部に連結されると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】コンバインの全体側面図である。
図2】コンバインの全体平面図である。
図3】コンバイン前部の横断平面図である。
図4】エンジン回りの構成を示す斜視図である。
図5】エンジン回りの構成を示す縦断側面図である。
図6】第2排ガス処理装置の支持構造を示す分解斜視図である。
図7】第2排ガス処理装置の支持構造を示す分解斜視図である。
図8】遮熱カバーの分解斜視図である。
図9】遮熱カバーとカバー部材との接続部の縦断側面図である。
図10】遮熱カバーとカバー部材との接続部の縦断背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を自脱型のコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0028】
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、本発明に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1によって自走する走行機体の前部に植立穀稈を刈り取る刈取部2が備えられている。走行機体の前部右側にキャビン3にて周囲が覆われた運転部4が備えられ、走行機体の後部には、刈取部2にて刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀装置5と、脱穀処理にて得られた穀粒を貯留する穀粒タンク6とが、横方向に並ぶ状態で備えられている。走行機体の運転部4における運転座席7の下方に位置する状態で原動部8が備えられ、穀粒タンク6に貯留された穀粒を機外に排出するアンローダ9が備えられている。
【0029】
この実施形態では、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、図1及び図2に符号(F)で示す方向が機体前側、図1及び図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。図2に符号(L)で示す方向が機体左側、図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
【0030】
刈取部2は、刈取対象となる植立穀稈の株元を分草案内する分草具10と、分草された植立穀稈を縦姿勢に引き起こす複数の引き起こし装置11、引き起された植立穀稈の株元を切断するバリカン型の刈取装置12、刈取穀稈を縦姿勢から徐々に横倒れ姿勢になるように姿勢変更しながら後方に搬送して脱穀装置5に供給する縦搬送装置13等を備えている。
【0031】
脱穀装置5は、供給された刈取穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン5aと挟持レール5bとによって挟持して機体後方向きに搬送しながら、穂先側を扱室14に供給して脱穀処理する。図2に示すように、扱室14の内部に、前後軸芯まわりで回転駆動される扱胴15、その下方側の外周に沿う前後方向視で円弧状の受網(図示せず)等を備え、扱胴15と受網とによって刈取穀稈の穂先側を扱き処理して脱穀処理を行う。
【0032】
脱穀処理された後の処理物が下方の選別部(図示せず)にて穀粒とワラ屑等に選別される。穀粒は、図示しない一番物搬送スクリューにより脱穀装置5の右横側外方に搬出されたのち、揚穀コンベア16により揚送されて穀粒タンク6の内部に搬送される。穀粒タンク6は、脱穀装置5から送り込まれる穀粒を貯留する。その後、穀粒タンク6に貯留された穀粒は、アンローダ9により外部に搬出される。
【0033】
図1,2に示すように、アンローダ9は、穀粒タンク6の底部に前後向き姿勢で設けられた底スクリューにて搬送された穀粒を上方に向けて縦送り搬送する縦送りスクリューコンベア9Aと、その縦送りスクリューコンベア9Aの上部に接続されるとともに、穀粒を先端の排出口17まで横送り搬送する横送りスクリューコンベア9Bとを備えている。
【0034】
〔運転部周りの開閉構造〕
図2に示すように、運転部4は、運転座席7、運転座席7の前方に位置するフロントパネル18、このフロントパネル18と運転座席7との間に位置する床部19、運転座席7に対して機体左右方向内側(左側)に位置するサイドパネル20等を備えている。運転部4は、上方側がキャビン3にて覆われている。運転座席7は、原動部8に備えられたディーゼル型式のエンジン21の上方を覆うエンジンボンネット22の上部に支持されている。
【0035】
図3に示すように、エンジンボンネット22は、エンジン21の機体前方側に位置する前板部22a、エンジン21の機体上方側に位置する上面部22b、上面部22bの後方に連なる状態で運転座席7の後方に形成された給気室構成部22c等を備えてエンジンルームを形成している。
【0036】
図2,3に示すように、エンジンボンネット22、フロントパネル18、サイドパネル20、床部19、運転座席7、キャビン3等が一体的に連結されて運転部構造体23が形成されている。この運転部構造体23は、運転座席7の左後部側の上下軸芯Y1まわりで回動自在に機体フレーム24に支持されている。
【0037】
次に、運転部構造体23の回動支持構造について説明する。
図4,5に示すように、運転部4の左後部側箇所において、機体フレーム24に上下方向に延びる円筒状の縦向きフレーム体25が備えられている。一方、運転部構造体23の背部の左側箇所に、アーム部26を介して、上下方向に長く延びる回動支点部材27が一体的に連結されている。回動支点部材27が縦向きフレーム体25の上端部に設けられた支軸部28に上方から外嵌する状態で装着され、上下軸芯Y1まわりで回動自在に支持される。回動支点部材27の上端部は、脱穀装置5の横側壁に連結されたブラケット29によって回動自在に支持されている。
【0038】
運転部構造体23は、上下軸芯Y1周りで回動することにより、図2の実線に示すように、原動部8の上方を覆うように機体内方側に位置する引退姿勢と、図2の二点鎖線で示すように、原動部8の上方を開放するように機体外方側に張り出す張り出し姿勢とにわたり姿勢切り換え可能である。運転部構造体23を張り出し姿勢に切り換えることにより、原動部8の上方が大きく開放されるので、原動部8のメンテナンス作業が行い易いものとなる。
【0039】
穀粒タンク6は、縦送りスクリューコンベア9Aの回転軸芯である上下軸芯Y2周りで揺動自在に機体フレーム24に支持されている。穀粒タンク6は、上下軸芯Y2周りで揺動することにより、機体内方側に引退する通常作業位置(図2の実線で示す状態)と、機体横外側方に張り出す姿勢であるメンテナンス位置(図2の仮想線で示す状態)とにわたって位置変更可能である。運転部構造体23を張り出し姿勢に切り換えるときは、穀粒タンク6をメンテナンス位置に位置変更しておく必要がある。
【0040】
〔エンジン周りの構成〕
図2〜5に示すように、原動部8にはエンジン21が備えられ、このエンジン21は、クランク軸方向が機体横方向となる搭載姿勢で、弾性支持体としてのゴム式マウント機構30を介して機体フレーム24に支持されている。
【0041】
エンジン21の排気ガスを浄化処理する排ガス処理装置として、エンジン21の排ガス中に含まれる粒子状物質を低減する第1排ガス処理装置31と、その第1排ガス処理装置31にて処理された後の排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減する第2排ガス処理装置32とが備えられている。
【0042】
第1排ガス処理装置31は、排ガスに含まれるディーゼル微粒子を捕集する公知技術であるディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)(図示せず)を備え、排ガスが通過することによってディーゼル微粒子を減少させる。
【0043】
第2排ガス処理装置32は、公知技術である選択触媒還元(SCR)を利用して排ガスの浄化処理を行う。具体的には、還元剤の一例である尿素水を排ガス中に噴射して加水分解させてアンモニアを生成し、そのアンモニア(NH)と排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)とを化学反応させて、窒素(N)と水(HO)とに還元させることで排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減させる。
【0044】
エンジン21から排出された排ガスは、第1排ガス処理装置31にてディーゼル微粒子を減少させる浄化処理が行われたのち、第2排ガス処理装置32にて排ガス中に含まれる窒素酸化物を低減させる浄化処理が行われ、浄化処理を終えた排ガスが排気管33を通して機体外部に排出される。
【0045】
第2排ガス処理装置32における本体処理部32Bの上部側の排ガス出口部から排出される排ガスを、外部に排出する排気管33が備えられている。
【0046】
排気管33は、脱穀装置5と穀粒タンク6との間において、排出口としての排気口42が脱穀装置5の上端よりも上方に位置するように、第2排ガス処理装置32の排ガス出口部から後上がり傾斜姿勢で脱穀装置5の上端側箇所まで延ばれている。排気管33の上端部に排気口42が形成され、その排気管33の上端部が脱穀装置5側に向けて曲がる状態で延設されている。
【0047】
排気管33は、排ガス出口部35から延設される排ガス流出管36と、排ガス流出管36に連なる中間排気管37と、中間排気管37に連なる終端側排気管38とからなる。中間排気管37は後上り傾斜姿勢で排ガス流出管36の出口部から脱穀装置5の上端部に相当する位置まで延びている。終端側排気管38は、中間排気管37に対して湾曲する状態で脱穀装置5側に向けて延設されている。
【0048】
中間排気管37は、断面略U字形のカバー部材39にて覆われている。カバー部材39は、中間排気管37の外周面にブラケットを介してボルト連結されている。カバー部材39の下方側端部は後述する遮熱カバー41に上下に重なる状態で近接するように設けられている。
【0049】
終端側排気管38は、断面が略円形となる円筒状体にて構成され、機体前後方向視で上方に向かうほど脱穀装置5側に向けて湾曲状に曲がるように延設されている。そして、終端側排気管38の先端部の端面に、排ガスを空気中に排出する排気口42が形成されている。
【0050】
〔排ガス処理装置の支持構造〕
図3,5に示すように、第1排ガス処理装置31は、エンジンボンネット22の内部に配備されている。すなわち、運転座席7よりも機体左側に偏倚する状態で、サイドパネル20の下方で且つエンジン21の上部における機体横幅方向内方側箇所に、長手方向が機体前後方向に沿う状態で配備されている。そして、第1排ガス処理装置31は、機体前後両側の一対の支持部43,44によってエンジン21に一体的に連結されて支持されている。
【0051】
第1排ガス処理装置31における機体前部側の下側箇所に排ガス導入口45が備えられ、排ガス導入口45がエンジン21に接続されている。図5に示すように、第1排ガス処理装置31における機体後部側の右側箇所に排ガス出口部47が備えられている。
【0052】
図5に示すように、第2排ガス処理装置32は、エンジンボンネット22の外部であって、平面視で運転部4の機体後方側に位置する状態で備えられている。第2排ガス処理装置32は、穀粒タンク6の前部下方に位置するとともに、平面視で穀粒タンク6と重複する状態で配備されている。穀粒タンク6は、図示はしていないが、正面視で下窄まり状に形成され、且つ、その下窄まり状の底部傾斜面にタンク内方に向けて凹入する凹入部48(図3参照)が形成されている。第2排ガス処理装置32がこの凹入部48に入り込む状態で配備されている。
【0053】
図3,5に示すように、第2排ガス処理装置32は、第1排ガス処理装置31から供給される排ガスに対して尿素水が噴射供給されるドージング部32Aと、ドージング部32Aから供給される排ガスの還元処理を行う本体処理部32Bとを備えている。
【0054】
ドージング部32Aは円筒形状であり、本体処理部32Bはドージング部32Aよりも大径の円筒形状に形成されている。ドージング部32Aと本体処理部32Bとは、各々の下部において一体的に連結され、ドージング部32Aにて尿素水が噴射供給された排ガスが本体処理部32Bに供給されるように連通している。本体処理部32Bは円筒形状の中心軸に沿う方向が機体上下方向に沿う姿勢で配備されている。円筒形状のドージング部32Aは、本体処理部32Bに対して機体右側に位置して、本体処理部32Bに平行に並ぶ状態で、円筒形状の中心軸に沿う方向が機体上下方向に沿う姿勢で配備されている。
【0055】
図4に示すように、第1排ガス処理装置31の排ガス出口部と、第2排ガス処理装置32の排ガス供給部とが接続部材としての連通接続管53を介して連通接続されている。連通接続管53は、第1排ガス処理装置31の排ガス出口部にフランジ連結されるとともに、第2排ガス処理装置32の排ガス供給部にフランジ連結される。
【0056】
連通接続管53は可撓性を有する蛇腹形状のベローズ管53Aを備えており、長手方向に伸縮可能な構成となっている。ベローズ管53Aが伸縮することにより、ゴムマウントを介して機体フレーム24に支持されるエンジン21の振動を吸収することができ、エンジン21の振動が第2排ガス処理装置32に伝わるのを防止して、第2排ガス処理装置32を安定した状態で支持することができる。
【0057】
図4に示すように、第2排ガス処理装置32に供給する還元剤としての尿素水を貯留する尿素水タンク54が、運転部4の床部19の下方側に備えられている。尿素水タンク54は機体フレーム24に支持されている。尿素水タンク54の尿素水をポンプ55により配管56を通して第2排ガス処理装置32に送給するように構成されている。尚、噴射されずに余った尿素水は尿素水タンク54に戻される。
【0058】
次に、第2排ガス処理装置32の支持構造について説明する。
第2排ガス処理装置32は、運転部構造体23を回動自在に支持する縦向きフレーム体25に支持されている。図7に示すように、縦向きフレーム体25は、上部側に位置する上支持部57と、下部側に位置する下支持部58とを備えている。第2排ガス処理装置32は、上支持部57に載置支持される上部側被支持部59と、下支持部58を横外側両側から挟み込んで当て付けた状態で支持される下部側被支持部60とを備えている。
【0059】
上支持部57は、縦向きフレーム体25の上部側に一体的に連結された連結ブラケット61と、連結ブラケット61の上部に一体的に連結された縦向き板部62とを備えている。連結ブラケット61は、側面視で断面略L字形に形成され、横方向に延びている。
【0060】
図7に示すように、縦向き板部62は、平面視で略U字形の板部本体63、板部本体63の前部側に連結される平面視略U字形の枠部形成体64と、板部本体63の後部側に連結される一対の補強板65と、板部本体63と枠部形成体64との連結箇所に一体的に連結された2本の溶接ボルト66と、板部本体63の横一側部の裏面側に連結された溶接ナット67とを備えている。2本の溶接ボルト66は、板部本体63の上端縁よりも上方に突出する状態で設けられている。溶接ナット67が備えられる板部本体63の横側部にはボルト挿通孔68が形成されている。
【0061】
図6,7に示すように、上部側被支持部59は、本体処理部32Bの上部側の外周部に設けられた上側フランジ部50と、上側フランジ部50の下側に位置固定状態でボルト連結された上側連結部材69とを備えている。上側フランジ部50は本体処理部32Bの外周部に、径方向外方に突出する状態で一体的に設けられている。上側連結部材69は、上側フランジ部50に下側から当て付けた状態でボルト連結される水平姿勢の載置支持部70と、載置支持部70の横一側端部の下面に設けられた縦向き姿勢の横側支持部71とを備えている。
【0062】
載置支持部70には、上側フランジ部50に対する連結用のボルトBoが挿通するボルト孔73、2本の溶接ボルト66が挿通する2つの挿通孔74等が形成されている。横側支持部71には、連結用のボルトBoが挿通する1つの挿通孔75が形成されている。
【0063】
下支持部58は、縦向きフレーム体25の下部側に一体的に連結された連結ブラケット76と、連結ブラケット76の両側端部に一体的に連結された側板77とを備えている。
連結ブラケット76は、側面視で断面略U字形に形成され、横方向に延びている。側板77は、連結ブラケット76の両側端部において、略U字形に囲われた箇所を塞ぐように内側に連結されている。一対の側板77には、夫々、横向きにボルトBoが挿通するボルト孔78が形成されている。
【0064】
図6,7に示すように、下部側被支持部60は、本体処理部32Bの下部側の外周部に設けられた下側フランジ部80と、下側フランジ部80の下側に位置固定状態でボルト連結された下側連結部材81とを備えている。下側フランジ部80は、本体処理部32Bの外周部に、径方向外方に突出する状態で一体的に設けられている。
【0065】
下側連結部材81は、横方向に延びる帯板状の本体部82と、本体部82の長手方向両側部に前方に突出する状態で一体的に設けられた一対の縦向き連結部83と、本体部82の長手方向両側部から上後方に延びる状態で一体的に設けられた一対の横向き連結部84とを備えている。下側連結部材81は、下側フランジ部80に下側から当て付けた状態で一対の横向き連結部84がボルト連結される。一対の縦向き連結部83には、夫々、連結用のボルトBoが挿通する1つの挿通孔85が形成されている。
【0066】
上部側被支持部59は、上側フランジ部50の下側に上側連結部材69が位置固定状態で連結された状態で、縦向きフレーム体25の上支持部57に支持される。上部側被支持部59における載置支持部70が縦向き板部62の上端部に載置支持されるとともに、横側支持部71が縦向き板部62の横側案内面に横外方から当て付けた状態で連結される。
縦向き板部62の上端部により、載置支持部70を水平姿勢で受止め支持する載置部が形成されている。
【0067】
つまり、載置支持部70に形成された2つの挿通孔74を2本の溶接ボルト66が夫々挿通して、その溶接ボルト66と装着されるナット86とを締結して連結される。又、横外方から装着されるボルトBoが横側支持部71に形成された挿通孔75と板部本体63の横側部に形成されたボルト挿通孔68を挿通して溶接ナット67により締結して連結される。載置支持部70は、支持ブラケット87を介して脱穀装置5の側壁部に連結されている。
【0068】
下部側被支持部60は、下側フランジ部80に下側連結部材81が位置固定連結された状態で、一対の縦向き連結部83によって下支持部58の一対の側板77を横外側両側から挟み込んで当て付けた状態で、それらをボルト連結することにより下支持部58に連結される。つまり、縦向き連結部83の横外側方から装着されるボルトBoを、縦向き連結部83に形成された挿通孔85と側板77に形成されたボルト孔78とを挿通させて、ボルトBoと図示しないナットとを締結する。
【0069】
そして、図7に示すように、載置支持部70に形成された2つの挿通孔74、横側支持部71に形成された挿通孔75、及び、一対の縦向き連結部83に夫々形成された2つの挿通孔85の夫々が、前後方向に沿って水平向きに延びる長尺の長孔Nに形成されている。これら長孔Nである5つの挿通孔74,75,85は、それを挿通する軸部材J(ボルト66、Bo)により、第2排ガス処理装置32と縦向きフレーム体25とが連結される箇所である。これら5箇所において、長孔Nの範囲内で軸部材Jの位置を変更することで、縦向きフレーム体25に対する第2排ガス処理装置32の機体前後方向に沿う相対位置を変更調整することが可能である。
【0070】
従って、上記したような長孔と、それを挿通する軸部材Jとしてのボルト66,Boとを有する位置変更可能な連結構造によって、第2排ガス処理装置32の機体フレーム24に対する支持位置を変更調整可能な位置調整機構Tが構成されている。そして、第2排ガス処理装置32は、縦向きフレーム体25に備えられた上支持部57及び下支持部58の夫々において、位置調整機構Tを介して縦向きフレーム体25すなわち機体フレーム24に支持されている。
【0071】
〔遮熱カバー〕
図3,8に示すように、穀粒タンク6と第2排ガス処理装置32との間に位置して第2排ガス処理装置32の熱を遮る遮熱カバー41が備えられている。この遮熱カバー41は、第2排ガス処理装置32の周囲のうち、上部側箇所、脱穀装置5とは反対側に対応する箇所、及び、後部側箇所の夫々に対応する箇所を覆う状態で設けられている。
【0072】
図8に示すように、遮熱カバー41における穀粒タンク6に対向する箇所を覆う上部面90は、穀粒タンク6における凹入部48の傾斜姿勢の側面に沿うように、脱穀装置5側に向かうほど高い位置になる傾斜姿勢に設けられている。このように上部面90を傾斜姿勢にすることで、第2排ガス処理装置32の上方側の空間を広くすることができ、第2排ガス処理装置32にて発生する熱が狭い空間内に籠るのを防止して熱を発散し易くなる。
【0073】
傾斜姿勢の遮熱カバー41の上部面90には、大きく開放された点検用の開口91が形成されている。この開口91は開閉可能な蓋体92によって覆われている。蓋体92は、上部面90の下方側箇所に形成された受止め部93によって下側端部が受け止め係止され、且つ、上側箇所が蝶ボルト94の締結により上部面90の上方側箇所に連結されている。点検時には、蝶ボルト94を緩めることで蓋体92を取り外すことができる。蓋体92の左右両側部には作業者が手で持つための係止部95が形成されている。
【0074】
図8,10に示すように、遮熱カバー41の後側縦面96の上部側箇所には、排気管33が通過するための切欠き97が形成されている。穀粒タンク6に対向する箇所を覆う遮熱カバー41の内奥面98(脱穀装置5側と反対側の側面に相当)には、通気部としての多孔状部材99が備えられている。多孔状部材99は網体にて形成されている。多孔状部材99は網体に限らず、多数の孔を穿設した多孔状板体等でもよい。
【0075】
内奥面98の機体前部下方側には脱穀装置5側に向けて凹入する凹入部100が形成されている。凹入部100を形成することで、穀粒タンク6を張り出し姿勢に切り換えた状態で、原動部8に作業者が手を差し入れるための作業スペースを確保している。
【0076】
排気管の中間排気管37を覆うカバー部材39と、遮熱カバー41とが近接する箇所は、熱の伝達を遮断するために分離されているが、それらの間の隙間から内部に塵埃が侵入するのを防止する構造になっている。
【0077】
説明を加えると、遮熱カバー41の後側縦面96に形成される切欠き97は、略台形状に大きく開放される状態となっている。一方、排気管33を覆うカバー部材39の下端部は、切欠き97の内側縁部に沿うように略台形状に形成されている。切欠き97の内側縁部97aとカバー部材39の基端側端縁39aとが近接する状態で配備されている。
【0078】
図9,10に示すように、切欠き97の内側縁部97aには、横外方側に突出するように断面略L字形の横向き鍔部101が形成されている。横向き鍔部101は、台形状の切欠き97の内側縁部97aのうち、傾斜姿勢の上側縁部97a1と、上側縁部97a1に連なる上下向きの中間縁部97a2との夫々に形成されている。
【0079】
カバー部材39の基端側端縁39aにおける横向き鍔部101に対応する位置に、断面略L字形に形成された縦向き鍔部102が形成されている。縦向き鍔部102は、カバー部材39の基端側端縁39aのうち、切欠き97の上側縁部97a1に対応する位置に形成された上側端縁部39a1と、切欠き97の中間縁部97a2に対応する位置に形成された中間側端縁39a2との夫々に形成されている。
【0080】
横向き鍔部101によって上方側から遮熱カバー41とカバー部材39との間の隙間に塵埃が侵入するのを防止することができ、上側縁部97a1に対応する傾斜姿勢の縦向き鍔部102により案内されて下方に排出される。カバー部材39の上方側に降りかかり、遮熱カバー41側に案内される塵埃があっても、縦向き鍔部102によって受止められて下方に排出される。
【0081】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1排ガス処理装置31がエンジン21に一体的に連結される状態で備えられ、第2排ガス処理装置32が機体フレーム24に対して位置調整可能に構成したが、このような構成に代えて、エンジン21と第1排ガス処理装置31との間で相対移動する構成とし、第1排ガス処理装置31と第2排ガス処理装置32とが一体的に連結される構成としてもよい。この構成では、第1排ガス処理装置31が機体フレーム24に対して位置変更可能に設けられる構成としてもよい。又、エンジン21に対して、第1排ガス処理装置31及び第2排ガス処理装置32の夫々が、相対移動する構成としてもよい。この構成では、第1排ガス処理装置31及び第2排ガス処理装置32が夫々各別に機体フレーム24に対して位置変更可能に設けられる構成としてもよい。
【0082】
(2)上記実施形態では、位置調整機構Tが、支持位置を水平方向に変更調整可能に構成したが、縦方向あるいは斜め方向等の異なる方向に変更調整可能に構成してもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、排ガス処理装置が、上支持部57及び下支持部58の夫々において、位置調整機構Tを介して縦向きフレーム体25に支持される構成としたが、この構成に代えて、上下方向で一か所で支持される構成でもよく、3箇所以上で支持される構成でもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、排ガス処理装置が、上支持部57に載置支持される上部側被支持部59と、下支持部58を横外側両側から挟み込んで当て付けた状態で支持される下部側被支持部60とを備える構成としたが、この構成に代えて、上支持部57を横外側両側から挟み込んで当て付けた状態で支持される上部側被支持部と、下支持部58に載置支持される下部側被支持部とを備える構成としてもよい。
【0085】
(5)上記実施形態では、位置調整機構Tとして、軸部材Jと長孔Nとを備える構成としたが、この構成に代えて、例えば、ネジ送り式の移動機構や、アクチュエータにより移動させる構成等、種々の構成を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、自脱型コンバインだけでなく普通型コンバインにも適用できる。
【符号の説明】
【0087】
6 穀粒タンク
21 エンジン
22 エンジンボンネット
24 機体フレーム
25 縦向きフレーム体
31 第1排ガス処理装置(排ガス処理装置)
32 第2排ガス処理装置(排ガス処理装置)
48 凹入部
53 連通接続管
57 上支持部
58 下支持部
59 上部側被支持部
60 下部側被支持部
70 載置支持部
71 横側支持部
J 軸部材
N 長孔
T 位置調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10