(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この実施形態で用いられる通い箱1の斜視図である。通い箱1は、所定方向(
図1では左右方向)に長手のボックス状に形成されていて、例えば樹脂製である。通い箱1は、対向配置された一対の側壁2と、一対の側壁2間に架設された少なくとも2つ(
図1では6つ)の区画壁3と、通い箱1の底をなす1つの閉塞壁4とを一体的に含む。
【0022】
一対の側壁2は、通い箱1の長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されていて、それぞれの板厚方向に沿って対向するように平行に配置されている。一対の側壁2の対向方向は、通い箱1において長手方向Lに直交する短手方向Sである。また、通い箱1の深さ方向Dは、長手方向Lおよび短手方向Sの両方に直交している。
【0023】
各区画壁3は、長手方向Lに一致した板厚方向を有する略矩形の板状に形成されている。区画壁3は、一対の側壁2において長手方向Lにおける一端縁間と他端縁間とに1つずつ架設され、残りの区画壁3は、長手方向Lに等間隔で並んだ状態で一対の側壁2の途中部間に架設されている。そのため、通い箱1には、大きさの等しい略直方体状の5つの収容空間5が、長手方向Lに等間隔で並んで形成されている。
【0024】
閉塞壁4は、深さ方向Dに一致した板厚方向を有し、長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されている。閉塞壁4は、深さ方向Dにおける一方側(
図1では下側)から各側壁2および各区画壁3Aに対して接続されていて、各収容空間5を当該一方側から塞いでいる。各収容空間5において深さ方向Dにおける他方側(
図1では上側)の端部は、略矩形状の出入口6として、当該他方側へ開放されている。
【0025】
通い箱1は、出入口6とは別に設けられた開口部7を含む。開口部7は、長手方向Lにおいて各収容空間5と同じ位置に一対ずつ、この実施形態では5対設けられている。つまり、開口部7は、短手方向Sにおける通い箱1の両側において、5つずつ長手方向Lに等間隔で並んで設けられている。各対における2つの開口部7は、長手方向Lで同じ位置にあって、短手方向Sにおける通い箱1の中心を基準として対称になるように構成されている。各開口部7は、収容空間5を外部に露出させるスリット状であり、短手方向Sにおける閉塞壁4の端部を切り欠きつつ、短手方向Sにおいて当該端部と同じ側にある側壁2を切り欠いて、当該側壁2において深さ方向Dに沿って出入口6の手前まで直線状に延びている。なお、開口部7の形状は、任意に変更できる。
【0026】
通い箱1は、物品Pを収容することができる。物品Pの一例は、パチンコ店等の遊技施設において遊技客によって獲得されたパチンコ玉等の遊技媒体と交換されるカード状の賞品であって、例えば数mm程度の厚さを有する。この実施形態では、物品Pの表面の色が、物品Pの種類毎に異なっている。物品Pは、通い箱1に収容された状態で市場に流通する。賞品である場合の物品Pは、遊技施設と、遊技客によって獲得された物品Pを現金と交換する交換所と、物品Pを遊技施設に卸す問屋と、交換所から買い取られた物品Pをシャッフルしてから各問屋に分配する互換所とを経由するように、通い箱1に収容された状態で流通する。
【0027】
物品Pを収容して流通しているときの通い箱1の姿勢は、
図1に示すように各出入口6が上を向いた基本姿勢である。物品Pは、出入口6を介して各収容空間5に収容される。各収容空間5の大きさが等しいので、物品Pは、所定数ずつ(この実施形態では20枚ずつ)、各収容空間5に収容される。複数の物品Pは、それぞれの板厚方向が短手方向Sと一致して閉塞壁4から起立した姿勢で、各収容空間5に積層状態で収容され、各物品Pでは、出入口6側の部分が出入口6からはみ出ている。また、前述した所定数の物品Pが収容された収容空間5(
図1における右端の収容空間5を参照)では、短手方向Sの両端に位置する物品Pの一部が、短手方向Sにおける同じ側の開口部7から露出されている。
【0028】
次に、例えば遊技施設に設置されて物品Pを取り扱う物品取扱システム8について説明する。
図2は、物品取扱システム8の模式的な斜視図である。物品取扱システム8は、物品管理装置9と、物品収納装置10とを含む。物品管理装置9は、前述したカード状の賞品である物品Pや、菓子等の一般賞品の在庫等を管理するPOS端末であって、遊技施設における受付カウンタC上に設置される。
【0029】
物品収納装置10は、物品Pを収納する装置であり、受付カウンタCのフロアにおいて物品管理装置9に隣接して配置されている。物品収納装置10は、内部の物品Pを払い出す機能も有する物品払出装置であり、LAN(図示せず)等を介して物品管理装置9に対して通信可能に接続されている。そのため、遊技施設において受付カウンタCを担当する係員(以下では使用者という)が、物品管理装置9に設けられたキーボードやタッチパネル等の操作部9Aを操作することによって、物品収納装置10に対して物品Pの払い出しを指示すると、物品収納装置10は、指示に応じた種類および個数の物品Pを払い出す。また、物品収納装置10における種類毎の物品Pの在庫に関する情報が物品収納装置10から物品管理装置9に入力されるので、物品管理装置9は、物品Pの在庫を更新する。
【0030】
また、遊技客によって遊技媒体と一般賞品との交換が依頼された使用者は、指定された一般賞品を操作部9Aの操作によって選択してから、この一般賞品を遊技客に手渡す。物品管理装置9は、操作部9Aの操作に応じて、この一般賞品の在庫を更新する。なお、
図2では、1台の物品管理装置9と1台の物品収納装置10が接続されることによって物品取扱システム8を構成しているが、物品取扱システム8では、複数台の物品管理装置9が1台の物品収納装置10に接続されてもよいし、逆に、複数台の物品収納装置10が1台の物品管理装置9に接続されてもよい。
【0031】
以下では、物品収納装置10について詳しく説明する。なお、
図2では、受付カウンタCの使用者から見たときにおける物品管理装置9および物品収納装置10が図示されている。また、
図2の紙面の左右方向は、物品収納装置10の左右方向Xと一致し、
図2の紙面に略直交する方向は、物品収納装置10の前後方向Yと一致し、
図2の紙面の上下方向は、物品収納装置10の上下方向Zと一致している。左右方向Xおよび前後方向Yは、横方向に含まれる。左右方向Xは、左側X1と右側X2とを含み、前後方向Yは、
図2の紙面の手前側に一致した前側Y1と、
図2の紙面の奥側に一致した後側Y2とを含み、上下方向Zは、上側Z1と下側Z2とを含む。
【0032】
物品収納装置10は、その外殻をなすボックス状に形成された装置本体100と、装置本体100に収容される複数(ここでは3つ)の収納ユニット101とを含む。装置本体100には、その前面の全域に亘る開口100Aが形成されている。装置本体100の天面には、その略前半分を占める水平面である払出面100Bと、払出面100Bの後側Y2において左右方向Xに延び、払出面100Bよりも一段高い段部100Cとが設けられている。払出面100Bにおける後寄りの領域には、左右方向Xに長手の払出口100Dが形成されている。払出口100Dは、収納ユニット101と同数存在し、左右方向Xに並んで配置されている。
【0033】
物品収納装置10は、払出口100Dを開閉するシャッタ102と、警報部の一例としての表示操作部103とを含む。シャッタ102は、左右方向Xに長手の板状に形成され、払出口100Dと同数存在する。各シャッタ102は、対応する払出口100Dを閉じた閉位置(
図2参照)と、段部100C内に後退して払出口100Dを開いた開位置との間で前後方向Yにスライド可能である。各シャッタ102は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力によって開閉される。表示操作部103は、例えばタッチパネルによって構成され、段部100Cに固定される。表示操作部103には、使用者向けの情報が表示される。使用者は、表示操作部103を操作することによって、物品収納装置10に指示を与えることができる。
【0034】
収納ユニット101は、物品Pを通い箱1ごと収納するものである。複数の収納ユニット101は、左右方向Xに並んでいる。
図2に示すように装置本体100内に目一杯収容された状態における収納ユニット101は、前後方向Yにおける収容位置にある。収容位置にある収納ユニット101の前面101Aは、装置本体100の前面の開口100Aと前後方向Yにおいてほぼ同じ位置にある。
図2に示すように全ての収納ユニット101が収容位置にある場合には、これらの前面101Aが、面一となって開口100Aを塞いだ状態にて、装置本体100から前側Y1に露出されている。収容位置にある各収納ユニット101の真上には、装置本体100の払出面100Bにおけるいずれか1つの払出口100Dが位置している。
【0035】
図3は、1つの収納ユニット101を前側Y1から見た模式的な斜視図である。各収納ユニット101は、収納部11と繰出払出部12とを含む。収納部11は、単数でもよいが、この実施形態では、前後方向Yに並んで2つ存在し、これらの収納部11の間に繰出払出部12が配置されている。2つの収納部11のうち、前側Y1のものを前側収納部11Aといい、後側Y2のものを後側収納部11Bというがある。
図3では、各収納部11と繰出払出部12との境界が1点鎖線で図示されている。収納部11と繰出払出部12とは一体化されていてもよいし、別々に存在して組み合わされることによって収納ユニット101を構成してもよい。
【0036】
各収納部11は、その外殻をなすボックス状に形成された本体13を含む。本体13の上面には、略矩形状の装填口13Aと、装填口13Aを開閉する略矩形板状の蓋14とが設けられている。蓋14は、前後方向Yにおいて繰出払出部12に最も近い端部に設けられたヒンジ15を介して本体13に連結されていて、ヒンジ15を中心として上下に回動することによって開閉される。前側収納部11Aの本体13の前面が、収納ユニット101における前述した前面101Aである。
【0037】
繰出払出部12は、その外殻をなすボックス状に形成された本体16を含む。本体16の上面には、払出口16Aが1つ形成されている。払出口16Aは、装置本体100の天面における各払出口100D(
図2参照)とほぼ同じ大きさおよび形状を有し、本体16の内部空間16Bを上側Z1に露出させている。前述した収容位置にある収納ユニット101では、払出口16Aが、左右方向Xにおいて同じ位置ある1つの払出口100Dの真下に配置されている。
【0038】
図4を参照して収納部11について詳説する。収納部11の本体13において左右方向Xにおける少なくともいずれかの側面には、メンテナンスの際に本体13の内部にアクセスするための開口部13Bが形成されている。本体13において繰出払出部12に対向する側面(前側収納部11Aの場合は後面であり、後側収納部11Bの場合は前面)は、開放されている。本体13の内部には、左右一対の搬送体18と、複数(ここでは6つ)のセット部19とが設けられている。
【0039】
各搬送体18は、無端状のチェーンまたはベルト(ここではチェーン)によって構成されており、本体13の左右の側壁の近傍に1つずつ配置され、左右方向Xから見て例えば略矩形の環状をなしている。左右一対の搬送体18は、モータ(図示せず)等の駆動部の駆動力を受けることによって、左右方向Xから見て時計回りの方向および反時計回りの方向のそれぞれへ向けて、同期したタイミングで周回移動する。
【0040】
各セット部19は、左右方向Xに長手のトレイ状に形成されている。
図4において前側上端に位置する上向き姿勢のセット部19を参照して、セット部19は、前後一対の側壁19Aと、これらの側壁19Aの左端縁間および右端縁間に1つずつ架設された左右一対の側壁19Bと、これらの側壁19Aおよび側壁19Bに対して下側Z2から接続された底壁19Cとを含む。上向き姿勢のセット部19には、その上面を全域に亘って開放した出入口19Dと、各側壁19Aに形成されたスリット状の開口部19Eとが形成されている。各開口部19Eは、通い箱1の各側壁2における開口部7(
図1参照)と同数(ここでは5つ)ずつ各側壁19Bに形成され、左右方向Xに等間隔で並んで配置されている。上向き姿勢のセット部19において、各開口部19Eでは、上端部は、出入口19Dまで到達していないが、下端部は、底壁19Cの一部を切り取っている。
【0041】
各セット部19において一対の側壁19Aと一対の側壁19Bと底壁19Cとによって囲まれて出入口19Dから露出された内部空間は、左右方向Xに長手となった通い箱1をちょうど収容できる大きさを有する。上向き姿勢のセット部19の各側壁19Bにおいてセット部19の内部空間を臨む内面とは反対側の外面の上端部には、左右方向Xの外側へ突出した3つの被ガイド部20が前後方向Yに等間隔で並んで設けられている。各被ガイド部20は、例えば自転自在なベアリングで構成されている。
【0042】
これらのセット部19は、左右一対の搬送体18の周回方向Rに沿って環状に等間隔で並んで配置された状態で、これらの搬送体18の間に架設され、各側壁19Aおよび各側壁19Bの少なくともいずれかにおいて搬送体18に連結されている。そのため、左右の搬送体18が周回移動すると、これらのセット部19は、隣り合うセット部19の間隔を一定に維持した状態で、搬送体18とともに周回移動する。また、各セット部19は、搬送体18との連結部分において、左右方向Xに延びる回動軸線まわりに回動自在である。そのため、各セット部19は、原則として、上向き姿勢を維持するように回動しながら、ゴンドラのように周回移動する。
【0043】
図5を参照して繰出払出部12について詳説する。繰出払出部12の本体16は、左右一対の側板25と、これらの側板25の下端縁間に架設された底板26と、各側板25によって直接的または間接的に支持された繰出ユニット27および払出ユニット28とを含む。各側板25および底板26は、本体16の外壁を構成してもよい。一対の側板25の上端縁間に、本体16の上面における払出口16Aが区画されている。
【0044】
繰出ユニット27は、左右一対設けられている。左右2つの繰出ユニット27のうち、左側X1のものは、前側収納部11A用の繰出ユニット27Aであり、右側X2のものは、後側収納部11B用の繰出ユニット27Bである。これらの繰出ユニット27は、左右の側板25によって挟まれた本体16の内部空間16Bにおける略下半分の領域に配置されている。各繰出ユニット27は、本体16の例えば側板25側に連結された支持部29と、支持部29によって支持された繰出部30とを含む。支持部29は、
図5では板状に簡略化して図示されているが、支持部29の形状は、ボックス形状等のように任意に設定できる。
【0045】
繰出部30は、各繰出ユニット27において、単数または複数存在し、この実施形態では左右に並んで2つ存在する。各繰出部30は、左右方向Xから見て支持部29側へ突出した略三角形の環状をなす無端状の繰出ベルト31と、繰出ベルト31の内側において略三角形の各頂点部分に1つずつ配置されたローラ32と、例えばウレタンで構成された外周面を有する繰出ローラ33と、繰出ベルト31の外周面に設けられた繰出部材34とを含む。繰出ベルト31は、少なくもいずれかのローラ32がモータ等の駆動部(図示せず)により駆動回転されることによって、周回移動する。繰出部材34は、繰出ベルト31の外周面から突出した爪状に形成され、各繰出ベルト31において、複数の繰出部材34が繰出ベルト31の周回方向に沿って等間隔で設けられている。
【0046】
図5に示す待機位置にある各繰出ユニット27では、支持部29が上下方向Zに沿って配置され、各繰出部30において支持部29側のローラ32とは別の2つのローラ32が上下方向Zに並び、繰出ベルト31においてこれら2つのローラ32に掛かって平坦に延びる平坦部分31Aが上下方向Zに沿っている。待機位置にあるときの繰出ユニット27Aでは、平坦部分31Aが支持部29よりも前側Y1に位置し、待機位置にあるときの繰出ユニット27Bでは、平坦部分31Aが支持部29よりも後側Y2に位置している。繰出ローラ33は、平坦部分31Aの一端部(
図5では上端部)に対向していて、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて駆動回転される。なお、各繰出部30は、各ローラ32おとび繰出ローラ33を回転可能に支持したフレーム(図示せず)を含む。
【0047】
各繰出ユニット27は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、支持部29の上端部を回動中心として、前述した待機位置と繰出位置との間で前後方向Yに回動することができる。繰出位置にあるときの繰出ユニット27Aでは、各繰出部30が本体16の内部空間16Bから前側Y1へはみ出して、各繰出部30における繰出ベルト31の平坦部分31Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出位置にあるときの繰出ユニット27Bでは、各繰出部30が内部空間16Bから後側Y2へはみ出して、各繰出部30における繰出ベルト31の平坦部分31Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出位置にあるときの各繰出ユニット27では、繰出部30が、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、平坦部分31Aが水平になった姿勢を維持しながら、左右方向Xにスライドすることができる。
【0048】
払出ユニット28は、本体16の内部空間16Bにおける略上半分の領域に配置されていて、枠部40と、複数の払出部41とを含む。枠部40は、左右方向Xに延びて左右の側板25間に架設されたベース部40Aと、ベース部40Aから立ち上がった複数の板状の仕切部40Bとを含む。この実施形態では、仕切部40Bは、6つ存在し、左右方向Xに等間隔で並んでいる。隣り合う仕切部40Bの間には、ベース部40Aの上面によって下側Z2から塞がれた縦長の繰出空間40Cが区画されている。繰出空間40Cは、通い箱1の収容空間5と同数(ここでは5つ)存在し、左右方向Xに等間隔で並んでいる。つまり、仕切部40Bは、通い箱1において物品Pの払出位置として区分けされた5つの収容空間5に対応して設けられている。各繰出空間40Cは、本体16の上面の払出口16Aの真下に位置している。
【0049】
枠部40は、左右の側板25によって支持されていて、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、本体16の内部空間16Bにおいて、実線で示す待機位置と、破線で示す上限位置との間で昇降する。上限位置の枠部40は、待機位置にあるときよりも上側Z1に位置し、上限位置の枠部40では、各仕切部40Bの上端が、本体16の上面の払出口16Aよりも下側Z2に位置している。枠部40は、バネ等の弾性部材(図示せず)によって側板25につながれていて、この弾性部材を伸ばしながら待機位置から上限位置まで上昇する。枠部40が上限位置に到達すると、この弾性部材が伸びきっているので、枠部40は、上限位置よりも上側Z1へ移動できない。
【0050】
払出部41は、上下方向Zに一致した板厚方向を有する略矩形の板状であり、各繰出空間40Cに1つずつ配置されている。各払出部41における左右の両端縁には、左右方向Xにおける内側へ窪んだ窪み41Aが1つずつ形成されている(右端の払出部41を参照)。払出ユニット28は、全ての払出部41を一括して保持する保持部(図示せず)を含む。全ての払出部41は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、繰出空間40Cにおいて、実線で示す待機位置と、破線で示す払出位置との間で、保持部と一体となって昇降する。待機位置の払出部41は、繰出空間40Cの下端に位置してベース部40Aの上面に載っている。払出位置の払出部41は、繰出空間40Cの上端に位置している。点線で示すように、枠部40が上限位置にあり、かつ、払出部41が払出位置にあるときの払出部41の上面は、払出口16Aから上側Z1へ露出され、本体16の上面から数mm程度浮いている。
【0051】
各払出部41の上面には、板厚方向が上下方向Zに一致した水平の姿勢の物品Pを載せることができる。各払出部41には、各払出部41上の物品Pの残留を検知するための残留検知センサ42が設けられている(待機位置の各払出部41を参照)。残留検知センサ42として、払出部41の上面から露出されて上下に移動可能なプッシャ(図示せず)と、プッシャの上下の動きを検知するフォトインタラプタ(図示せず)とを含む構成を用いてもよい。この場合、物品Pが払出部41上に載せられると、物品Pの重さによってプッシャが下がるので、残留検知センサ42は、フォトインタラプタによりプッシャの下降を検知することによって、払出部41上の物品Pの残留を検知する。図示しないバネ等の付勢力によってプッシャが元の位置まで上昇すると、残留検知センサ42は、払出部41上に物品Pが残留していないことを検知する。
【0052】
図6Aを参照して、各収納部11の内部において前後方向Yにおける外側の端部(前側収納部11Aの場合は前端部であり、後側収納部11Bの場合は後端部)には、識別計数部51が配置されている。識別計数部51は、左右方向Xに延びるホルダ52と、ホルダ52において繰出払出部12を臨む側面(前側収納部11Aの場合は後面であり、後側収納部11Bの場合は前面)に設けられた識別部53および計数部54とを含む。左右方向Xに隣り合った識別部53および計数部54が1つの組を構成し、各識別計数部51では、この組が、左右方向Xに等間隔で5組並んでいる。識別計数部51は、収納部11の本体13によって支持されており、ステッピングモータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて昇降する。
【0053】
識別部53の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだカラーセンサである。この場合、発光部が、被検知物である物品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。識別部53は、この反射光をRGB値に変換して分析することによって物品Pの表面の色を検知し、この検知結果に基づいて物品Pの真偽や種類を識別する。なお、識別情報を記憶したICチップが物品Pに内蔵されていて、識別部53は、非接触でICチップから識別情報を読み取ることによって、物品Pの真偽や種類を識別してもよい。
【0054】
計数部54の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだ光学式の反射型センサである。この場合、発光部が、物品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。計数部54は、識別計数部51の昇降に伴い、上下方向Zに積層された物品Pの端部の凸形状を、発光部からの光によってなぞる。これによって、連続する複数の凸形状の輪郭にほぼ一致する波形データが得られるので、計数部54は、この波形データにおける凸形状の数を数えることによって、物品Pを計数することができる。
【0055】
図6Bを参照して、各収納部11の本体13の左右の側壁のそれぞれにおいて本体13の内部に臨む内面には、前後一対のガイド部材55が設けられている。これらのガイド部材55は、左右方向Xから見たときに環状の搬送体18の内側に収まるように配置されている。前後一対のガイド部材55のうち、繰出払出部12から遠いものを第1ガイド部材55Aといい、繰出払出部12に近いものを第2ガイド部材55Bということがある。各ガイド部材55は、上下方向Zに沿って平行に延びる一対のレール56を含む。
【0056】
第1ガイド部材55Aの一対のレール56のうち、第2ガイド部材55Bに近いレール56Aの真上には、レバー状の第1変更部材57が設けられている。第1変更部材57は、本体13によって支持されており、ソレノイド等の駆動部(図示せず)の動作に応じて、第1変更部材57の下端部を回動中心として、実線で示す待機位置と、破線で示す傾斜位置との間で前後に回動できる。待機位置にある第1変更部材57は、上下方向Zに沿ってレール56Aと同一直線上に配置され、傾斜位置にある第1変更部材57は、第2ガイド部材55B側へ傾斜している。
【0057】
第2ガイド部材55Bの一対のレール56のうち、第1ガイド部材55Aに近いレール56Bの真上には、レバー状の第2変更部材58が設けられている。第2変更部材58は、本体13によって支持されており、ソレノイド等の駆動部(図示せず)の動作に応じて、第2変更部材58の下端部を回動中心として、実線で示す待機位置と、破線で示す傾斜位置との間で前後に回動できる。待機位置にある第2変更部材58は、上下方向Zに沿ってレール56Bと同一直線上に配置され、傾斜位置にある第2変更部材58は、第1ガイド部材55A側へ傾斜している。
【0058】
通常の第1変更部材57および第2変更部材58のそれぞれは、待機位置にある。この場合において、各収納部11において周回移動するセット部19が、搬送体18において垂直に延びる垂直部分18Aに沿って昇降すると、当該セット部19の左右両側にそれぞれ設けられた3つの被ガイド部20のうちの真ん中の被ガイド部20だけが、第1ガイド部材55Aまたは第2ガイド部材55Bにおける一対のレール56の間を通過する。この場合、昇降しているセット部19は、搬送体18の水平部分18Bに沿って前後に移動している他のセット部19と同様に、上向き姿勢を維持している。後述するように、各セット部19には、物品Pを収容した通い箱1がセットされる。なお、第1変更部材57および第2変更部材58のそれぞれは、前述したソレノイド等の駆動部によって回動するのでなく、搬送体18の周回移動に連動して回動してもよい。例えば、
図6Bでの右側面視を基準として、搬送体18が第1方向(前側収納部11Aでは反時計回りであり、後側収納部11Bでは時計回り)に周回移動するときには、第1変更部材57は、搬送体18からの力を受けることによって待機位置から傾斜位置まで自動で回動するものの、第2変更部材58は、搬送体18からの力が伝わらないことにより、待機位置のままである。一方、搬送体18が第1方向とは逆の第2方向(前側収納部11Aでは時計回りであり、後側収納部11Bでは反時計回り)に周回移動するときには、第2変更部材58は、搬送体18からの力を受けることによって待機位置から傾斜位置まで自動で回動するものの、第1変更部材57は、搬送体18からの力が伝わらないことにより、待機位置のままである。
【0059】
図7は、物品収納装置10の電気的構成を示すブロック図である。物品収納装置10は、許可部、制限部および警報部の一例としての制御部75を含む。制御部75は、CPUやROMやRAM等で構成され、タイマ等を内蔵し、装置本体100に設けられている。制御部75には、装置本体100のシャッタ102および表示操作部103のそれぞれに関連した電気部品(例えば、前述した駆動部やセンサ等)が電気的に接続されている。また、制御部75には、各収納ユニット101の各収納部11における搬送体18、識別計数部51、第1変更部材57および第2変更部材58、ならびに、各収納ユニット101の繰出払出部12における繰出ユニット27および払出ユニット28のそれぞれに関連した電気部品が電気的に接続されている。制御部75は、これらの電気部品の動作を制御することによって、物品Pを補充する補充処理と、内部の物品Pを識別および計数する識別計数処理と、内部の物品Pを繰り出して機外に払い出す繰出払出処理とを実行する。これらの処理に関連して、制御部75は、表示操作部103に必要な情報を表示したり、使用者による表示操作部103の操作に応じて使用者からの指示を受け付けたりする。
【0060】
物品収納装置10は、記憶部77と、ロック機構78と、移動機構79と、検知部80とをさらに含む。記憶部77は、制御部75に対して電気的に接続されている。記憶部77は、各セット部19にセットされて識別計数処理を受けた通い箱1内の物品Pの種類および収容数等を記憶している。
【0061】
ロック機構78、移動機構79および検知部80に関連して、
図8を参照して、各収納ユニット101は、前述した収容位置(実線で示した収納ユニット101を参照)から、前側Y1の引出位置へ前後方向Yに沿って引き出し可能である。各収納ユニット101の前面101Aには、収納ユニット101を引き出したい使用者によって把持される取っ手81が設けられている。取っ手81は、その上端部における回動軸82まわりに前後に回動可能なレバーであり、通常の待機位置では、
図8に示すように上下方向Zに沿っている。各収納ユニット101には、取っ手81が待機位置から前後のどちらに回動されたのかを検知するセンサ83が内蔵され、このセンサ83は、制御部75に対して電気的に接続されている(
図7参照)。引出位置にある収納ユニット101では、少なくとも一部が装置本体100外(詳しくは装置本体100よりも前側Y1)に引き出される。引出位置は、1点鎖線で示す第1引出位置と、2点鎖線および破線で示す第2引出位置とを含む。なお、収容位置から引出位置に引き出された収納ユニット101は、遊技施設において物品収納装置10が設置される設置面であるフロアから浮いた状態にある。
【0062】
第1引出位置は、1点鎖線で指し示すように収納ユニット101の重心Gが装置本体100外に位置するときにおける前後方向Yの収納ユニット101の位置である。
図8に示すように前側Y1へ目一杯引き出されたときの収納ユニット101の位置(最大引出位置という)は、第1引出位置に含まれる。第2引出位置は、2点鎖線や破線で指し示すように重心Gが装置本体100内に位置するときにおける前後方向Yの収納ユニット101の位置であって、第1引出位置よりも収容位置側にある。
【0063】
第2引出位置は、破線で示す引出開始位置と、2点鎖線で示す引出途中位置とを含む。引出開始位置は、収容位置から数cm程度僅かに引き出されたときにおける収納ユニット101の位置である。引出途中位置は、2点鎖線で指し示すように重心Gが装置本体100内にぎりぎり残る程度まで引出開始位置からさらに引き出されたときにおける収納ユニット101の位置であり、収容位置および最大引出位置のそれぞれからほぼ等しい距離を隔てた位置である。
【0064】
ロック機構78は、例えば電磁ロック機構によって構成されている。ロック機構78は、装置本体100の後壁100Eの前面において装置本体100内に臨んで取り付けられた鉤状のロック部材85と、ロック部材85を、その後端部において左右方向Xに延びる回動軸86まわりに回動させるソレノイド等の駆動部(図示せず)とを含む。ロック部材85および駆動部は、装置本体100内において各収納ユニット101よりも後側Y2に1組ずつ配置されている。ロック部材85は、駆動部の駆動により、実線で示すロック位置と、破線で示す解除位置との間で上下に回動する。各収納ユニット101の後面101Bには、左右方向Xに延びる柱状の位置決め部97が固定されている。
【0065】
収納ユニット101が収容位置にある状態において、この収納ユニット101の後側Y2のロック部材85がロック位置まで回動すると、ロック部材85が、この収納ユニット101の位置決め部97に例えば上側Z1から引っかかることによって係合する。これにより、この収納ユニット101は、収容位置においてロックされる。一方、位置決め部97に係合したロック部材85は、解除位置まで上下に回動することによって位置決め部97から外れるので、この位置決め部97を有する収納ユニット101のロックが解除される。ロック機構78は、各収納ユニット101に対応するロック部材85を別々に回動させることによって、複数の収納ユニット101のそれぞれを別々に収容位置においてロックしたり、各収納ユニット101のロックを別々に解除したりすることができる。
【0066】
移動機構79は、収納ユニット101が載せられるスライド部87と、駆動部88とを含む。スライド部87および駆動部88の組は、収納ユニット101と同数存在する。各スライド部87は、例えば左右方向Xの両端部が下側Z2に折り曲げられた板状に形成され、対応する収納ユニット101の下部に固定される(
図2参照)。各スライド部87には、その前後方向Yにおけるほぼ全域に亘ってラックギア89が形成されている。また、各スライド部87において左右方向Xでラックギア89から外れた位置には、下側Z2へ突出した例えば棒状の被検知部90が1つ設けられている。
【0067】
駆動部88は、例えばトルクリミッタ(図示せず)が組み合わされたDCモータ等によって構成され、装置本体100の底壁100Fの上面において開口100A側の領域に固定されている。駆動部88は、左右方向Xに延びる出力軸(図示せず)と、この出力軸(図示せず)に固定されてラックギア89に下側Z2から噛み合ったピニオンギア91とを含む。駆動部88が駆動されると、ピニオンギア91が、出力軸(図示せず)まわりに回転する。これにより、このピニオンギア91に噛み合ったラックギア89を有するスライド部87が、その上の収納ユニット101を伴って収容位置と引出位置との間で前後方向Yにスライドする。移動機構79は、各駆動部88を別々に駆動させることによって、それぞれの収納ユニット101を別々に収容位置と引出位置との間で移動させることができる。
【0068】
制御部75は、移動機構79の動作を制御する。具体的には、制御部75は、移動機構79の各駆動部88に流れる電流をチョッパ制御することによって、各スライド部87を移動させるとともに、各スライド部87の加減速を調整する。つまり、制御部75は、移動機構79の動作を制御することによって、各スライド部87に載った収納ユニット101を、収容位置と最大引出位置との間において任意の速度で移動させることができる。
【0069】
検知部80は、例えば遮光センサによって構成されたセンサ92を含む。センサ92は、収容位置にあるときの収納ユニット101の被検知部90(実線で示した被検知部90を参照)を検知するセンサ92Aと、引出開始位置にあるときの収納ユニット101の被検知部90(破線で示した被検知部90を参照)を検知するセンサ92Bとを含む。また、センサ92は、引出途中位置にあるときの収納ユニット101の被検知部90(2点鎖線で示した被検知部90を参照)を検知するセンサ92Cと、最大引出位置にあるときの収納ユニット101の被検知部90(1点鎖線で示した被検知部90を参照)を検知するセンサ92Dとをさらに含む。センサ92A、92B、92Cおよび92Dの組は、収納ユニット101毎に1組ずつ設けられている。各組におけるセンサ92A、92B、92Cおよび92Dは、対応する収納ユニット101の真下において後側Y2からこの順で前後方向Yに沿って一列に並んだ状態で、装置本体100の底壁100Fに固定されている。検知部80は、被検知部90によって遮光されているセンサ92の位置に応じて、それぞれの収納ユニット101の前後方向Yの位置を検知する。検知部80による検知結果は、制御部75に入力される。
【0070】
制御部75は、検知部80による検知結果に基づいてロック機構78および移動機構79の動作を制御することによって、全ての収納ユニット101のそれぞれの引き出しを許可したり制限したりすることができる。特に、制御部75は、いずれかの収納ユニット101の引き出しを許可した場合に、他の収納ユニット101の引き出しを制限する。具体的には、全ての収納ユニット101が収容位置にある場合において(
図2参照)、制御部75は、引き出しを許可した収納ユニット101についてのロック機構78によるロックを解除するとともに、この収納ユニット101を移動機構79によって前側Y1へ移動させる。一方、制御部75は、他の収納ユニット101についてのロック機構78によるロックを継続する。この状態では、許可された1つの収納ユニット101だけが、収容位置から引出位置まで引き出すことができるが、当該他の収納ユニット101は、収容位置から引き出すことができない。そのため、物品収納装置10のバランスが崩れるまで複数(2レーン以上)の収納ユニット101が一度に引き出されることを自動で防止できる。これにより、物品収納装置10では、複数の収納ユニット101を一度に引き出してバランスが崩れることによる転倒を防止できる。
【0071】
例えば、遊技施設によっては、受付カウンタCの天面と物品収納装置10の天面の払出面100Bとで高さを合わせるために、物品収納装置10が嵩上げして設置される場合がある(
図2参照)。この場合の物品収納装置10でも、そのバランスが崩れるまで複数の収納ユニット101が一度に引き出されることが防止されるので、物品収納装置10の転倒を防止できる。
【0072】
物品収納装置10のバランスが崩れない範囲において、制御部75は、許可した収納ユニット101だけでなく、他の収納ユニット101(単数でも複数でも構わない)についてもロック機構78によるロックを解除してもよい。ただし、制御部75は、当該他の収納ユニット101が第2引出位置よりも第1引出位置側へ引き出されないように、当該他の収納ユニット101についての移動機構79による移動を制限してもよい。つまり、制御部75は、当該他の収納ユニット101についての第2引出位置よりも第1引出位置側への引き出しを禁止する。そのため、当該他の収納ユニット101は、その重心Gが物品収納装置10の装置本体100外に位置することによって物品収納装置10のバランスが崩れる第1引出位置まで引き出されない。これにより、物品収納装置10では、複数の収納ユニット101を一度に第1引出位置まで引き出してバランスが崩れることによる転倒を防止できる。
【0073】
また、制御部75は、いずれかの収納ユニット101の引き出しを許可した状態において、他の収納ユニット101が制限を超えて引き出された場合には、例えば表示操作部103による表示やブザー等によって警報を発する。他の収納ユニット101が制限を超えて引き出された場合とは、1つの収納ユニット101だけが収容位置から最大引出位置までの引き出しが許可された状態において当該他の収納ユニット101が使用者によって収容位置から手動で引き出された場合のことである。または、収容位置からの引き出しが許可された当該他の収納ユニット101が手動で第2引出位置(詳しくは引出途中位置)からさらに引き出された場合も、他の収納ユニット101が制限を超えて引き出された場合に相当する。いずれにせよ、このように警報が発せられることにより、当該他の収納ユニット101が第1引出位置までさらに引き出されて物品収納装置10のバランスが崩れることによる転倒を事前に防止できる。
【0074】
次に、補充処理、識別計数処理および繰出払出処理について、この順番で詳しく説明する。補充処理の場合には、使用者が、表示操作部103(
図2参照)を操作することによって、補充処理の対象となる収納ユニット101を1つ選択する。すると、制御部75は、選択された収納ユニット101についてのロック機構78によるロックを解除することによって、この収納ユニット101の最大引出位置までの引き出しを許可する。他の収納ユニット101についての扱いは、前述した通りである。なお、制御部75は、補充処理の対象となる収納ユニット101のロックが解除された旨を、表示操作部103等において報知してもよい。
【0075】
次に、使用者が、ロックが解除された収納ユニット101の取っ手81を掴んで前側Y1に引くと、制御部75は、使用者による引出操作をセンサ83(
図7参照)によって検知する。これに応じて、制御部75は、移動機構79によって、この収納ユニット101を引出開始位置までゆっくりと移動させ、引出開始位置において停止させる。使用者が、引出開始位置まで移動した収納ユニット101の取っ手81を後側Y2に押すと、制御部75は、使用者による戻し操作をセンサ83によって検知し、移動機構79によって、この収納ユニット101を収容位置まで戻す。
【0076】
一方、使用者が、引出開始位置の収納ユニット101の取っ手81を再び前側Y1に引くと、制御部75は、使用者によるさらなる引出操作をセンサ83によって検知し、移動機構79によって、この収納ユニット101を引出開始位置から最大引出位置まで自動で移動させる。引出開始位置から最大引出位置まで移動する収納ユニット101に使用者が不意にぶつかっても、その間は、移動機構79の駆動部88におけるトルクリミッタ(図示せず)が作動することによって駆動部88のモータが空転するので、収納ユニット101の移動が中断される。使用者が収納ユニット101から離れると、収納ユニット101の移動が再開される。最大引出位置まで移動した収納ユニット101では、
図6Bに示すように、前側収納部11Aおよび後側収納部11Bの両方が装置本体100(1点鎖線で示した装置本体100)よりも前側Y1に位置している。
【0077】
最大引出位置まで引き出された収納ユニット101では、使用者が各収納部11(
図6Bでは後側収納部11Bを参照)の蓋14を開いて装填口13Aを上側Z1に開放する。蓋14が開くのに先立って制御部75が搬送体18を周回移動させ、これにより、通い箱1がセットされていない空のセット部19が、搬送体18における上側Z1の水平部分18Bにおいて装填口13Aの真下に配置される。装填口13Aの真下に配置されたときのセット部19の位置をセット位置という。セット位置にあるセット部19は、収納部11の本体13の外に露出される。また、前述したように収納部11が装置本体100よりも前側Y1に位置しているので、セット位置にあるセット部19は、装置本体100の外に露出されている。
【0078】
搬送体18とともに周回移動するセット部19は、セット位置と、繰出部30と、識別計数部51の識別部43および計数部54との間で巡回する。ただし、蓋14が開いて使用者が装填口13Aから収納部11内にアクセス可能な状態では搬送体18が周回移動しないようにするために、各収納部11には、制御部75に対して電気的に接続されたセンサ84(
図7参照)が設けられている。
【0079】
センサ84の一例は、蓋14の開閉を検知するセンサである。この場合、蓋14が開いていることをセンサ84が検知している間は、制御部75は、この蓋14が設けられた収納部11内の搬送体18を停止させる。制御部75は、この蓋14が閉じられたことをセンサ84によって把握すると、搬送体18の動作を許可して周回移動させ、空のセット部19をセット位置まで移動させる。センサ84の別の例は、蓋14の開閉を検知するのではなく、装填口13Aへの使用者のアクセスを検知する非接触式のエリアセンサであってもよい。この場合には、蓋14が開いた状態において装填口13Aへの使用者のアクセスがある間は、制御部75は、この装填口13Aが設けられた収納部11内の搬送体18を停止させる。制御部75は、この装填口13Aへの使用者のアクセスがなくなったことをセンサ84によって把握すると、搬送体18の動作を許可して周回移動させ、空のセット部19をセット位置まで移動させる。なお、センサ84は、蓋14の開閉を検知する構成と、装填口13Aへの使用者のアクセスを検知する構成との両方を備えてもよい。
【0080】
使用者は、物品Pを収容した状態の通い箱1を、白抜き矢印で示すように基本姿勢の状態で下降させて装填口13Aを通過させ、セット位置にある上向き姿勢のセット部19の出入口19Dに上側Z1から挿入する。これにより、通い箱1が、セット位置のセット部19にセットする。そのため、通い箱1内の物品Pは、収納ユニット101内にセットされる。通い箱1がセットされたセット部19では、開口部19E(
図4参照)と通い箱1の開口部7(
図1参照)とが1つずつ整合した状態にある。なお、通い箱1およびセット部19の一方に設けられた位置決めリブ(図示せず)が、他方に設けられた位置決め溝(図示せず)に嵌まり込むことによって、通い箱1と、この通い箱1がセットされたセット部19とが互いに位置決めされている。セット位置のセット部19に通い箱1がセットされてから蓋14が閉じられると、他の空のセット部19がセット位置に配置されるように、制御部75が搬送体18を周回移動させる。
【0081】
そして、他の空のセット部19にも通い箱1がセットされて、使用者が、蓋14を閉じて、
図8に示すように最大引出位置の収納ユニット101の取っ手81(1点鎖線で示した取っ手81を参照)を掴んで前側Y1および後側Y2のどちらかに動かす。すると、制御部75は、使用者による戻し操作をセンサ83(
図7参照)によって検知し、この収納ユニット101を移動機構79によって収容位置まで戻してから、ロック機構78によって収容位置にてロックする。これにより、この収納ユニット101についての補充処理が終了する。このように特定のセット位置でのみセット部19に通い箱1がセットでき、このセット位置において、異なるセット部19にアクセスできる収納部11では、その内部空間の省スペース化を図れるとともに、物品Pの収納量を向上できる。
【0082】
以上では、収納ユニット101が最大引出位置まで引き出されたときにおける補充処理について説明したが、収納ユニット101が第2引出位置における途中引出位置(2点鎖線参照)まで引き出されたときにも補充処理が可能である。途中引出位置の収納ユニット101では、少なくとも前側収納部11Aが装置本体100(
図6Bにおいて2点鎖線で示した装置本体100)よりも前側Y1に位置している。使用者が前側収納部11Aの蓋14を開いて装填口13Aを上側Z1に開放すると、前側収納部11A内においてセット位置にあるセット部19が、前側収納部11Aの本体13の外に露出されるとともに、装置本体100の外に露出される(
図6Bも参照)。そのため、使用者は、このセット部19に通い箱1をセットすることができる。
【0083】
つまり、収納ユニット101では、その重心Gが装置本体100内に位置する途中引出位置まで引き出されれば前側収納部11Aのセット部19が装置本体100外に露出されてアクセス可能になる。そのため、物品収納装置10のバランスが崩れない状態において、このセット部19から収納ユニット101内に物品Pをセットできる。これにより、複数の収納ユニット101を途中引出位置まで引き出せば、これらの収納ユニット101に一度に物品Pを補充することができるので、遊技施設では運用上のメリットがある。
【0084】
識別計数処理の場合には、
図9Aを参照して、制御部75が、前側収納部11Aでは搬送体18を右側面視において反時計回りに周回移動させ、後側収納部11Bでは搬送体18を右側面視において時計回りに周回移動させる。各収納部11では、識別計数処理の対象となるセット部19が第1変更部材57に上側Z1から接近すると、制御部75が、第1変更部材57を一時的に待機位置から傾斜位置まで傾ける。これにより、識別計数処理の対象となるセット部19の左右両側にそれぞれ設けられた3つの被ガイド部20は、傾斜位置の第1変更部材57に沿って傾いた状態で並び、下側Z2の被ガイド部20から順に、第1ガイド部材55Aの一対のレール56の間に進入する。その結果、当該セット部19は、3つの被ガイド部20が全て一対のレール56の間に入り込むことによって、出入口19Dが横を向いた横向き姿勢になる。
【0085】
前側収納部11Aでは、前側下端にあるセット部19が横向き姿勢にあって、このセット部19の出入口19Dが前側Y1を向いている。また、このセット部19にセットされた通い箱1も、出入口6が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱1内の物品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口6から前側Y1へはみ出しており、当該物品Pのはみ出し側端面(前側収納部11Aの場合には、当該物品Pの前端面)が識別計数部51側を向いている。後側収納部11Bでは、後側下端にあるセット部19が横向き姿勢にあって、このセット部19の出入口19Dが後側Y2を向いている。また、このセット部19にセットされた通い箱1も、出入口6が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱1内の物品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口6から後側Y2へはみ出しており、当該物品Pのはみ出し側端面(後側収納部11Bの場合には、当該物品Pの後端面)が識別計数部51側を向いている。なお、横向き姿勢のセット部19では、セットされた通い箱1の出入口6からの物品Pの脱落を防止するために、出入口19Dが真横でなく、僅かに斜め上側へ向いていることが好ましい。
【0086】
図9Aに示すようにセット部19が上向き姿勢から横向き姿勢に変わって識別計数部51に上側Z1から接近すると、制御部75は、搬送体18の周回移動を停止する。このとき、各収納部11では、識別計数部51における識別部53および計数部54の組が、横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1の各収容空間5に対して1組ずつ左右方向Xにおいて同じ位置にある(
図9B参照)。この状態で、制御部75は、識別計数部51を、例えば下端の待機位置から上昇させる。その際、各組における識別部53および計数部54が、当該通い箱1において左右方向Xで同じ位置にある収容空間5に前後方向Yから対向しながら上昇する。識別部53は、左右方向Xで同じ位置にある収容空間5に収容されて上下方向Zに積層された状態にある物品Pを下側Z2から順に1つずつ非接触で識別し、計数部54は、当該収容空間5に収容されて上下方向Zに積層された状態にある物品Pを下側Z2から順に1つずつ非接触で計数する。横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1の各収容空間5における全ての物品Pについての識別および計数が完了して識別計数部51が待機位置まで下降すると、識別計数処理が終了する。
【0087】
識別計数処理により、制御部75は、通い箱1における5つの収容空間5のそれぞれに収容された各物品Pについての種類や真偽を把握したり、各収容空間5に収容された物品Pの数を把握したりすることができる。特に、1つの通い箱1について、その最大収容枚数(ここでは100枚)という大きい単位を基準とするのではなく、通い箱1における各収容空間5の最大収容枚数(ここでは20枚)という小さい単位を基準として、識別計数処理が行われる。そのため、制御部75は、各通い箱1について、収容空間5毎に、物品Pが0枚のエンプティまたは物品Pが所定枚数未満のニアエンプティといった収容状況を検知して在庫情報として記憶部77に記憶し、必要に応じて表示操作部103において使用者に報知できる。報知を受けた使用者は、その後の補充処理によりエンプティまたはニアエンプティの収容空間5に物品Pを早めに追加することによって、通い箱1において物品Pをきめ細かく且つスピーディに補充できる。これにより、各通い箱1において全ての収容空間5に十分な枚数の物品Pが常に存在する状況を継続することができる。そのため、遊技客を待たせることなく、必要な種類および枚数の物品Pを払い出すことができる。
【0088】
以上のように、セット部19の被ガイド部20と、傾斜位置まで傾く第1変更部材57と、一対のレール56の間に3つの被ガイド部20を受け入れる第1ガイド部材55Aとは、識別計数部51に接近してきたセット部19にセットされた通い箱1内の物品Pが識別計数部51側に露出されるように、当該セット部19の姿勢を横向き姿勢に変更する計数姿勢変更機構59を構成する。この場合、識別計数部51の計数部54は、この通い箱1に収容されて計数姿勢変更機構59によって識別計数部51側に露出された物品Pを確実に計数することができる。
【0089】
なお、識別計数部51では、識別部53および計数部54というように、物品Pを識別するための構成と、物品Pを計数するための構成とが別々に設けられているが、例えば、識別部53が計数部54の機能を兼ねてもよい。その場合の識別部53の一例は、
図10において模式的に示すように、赤色光の光源(図示せず)を有して赤色の反射光を検知する第1反射センサ53Aと、緑色光の光源(図示せず)を有して緑色の反射光を検知する第2反射センサ53Bと、青色光の光源(図示せず)を有して青色の反射光を検知する第3反射センサ53Cとを含む。第1反射センサ53A、第2反射センサ53Bおよび第3反射センサ53Cは、上下方向Zに並んで配置されている。
【0090】
ステッピングモータで構成された駆動部(図示せず)の動作に応じて識別計数部51が待機位置から上昇すると、識別部53が、横向き姿勢の通い箱1の収容空間5に前後方向Yから対向しながら上昇し、当該収容空間5に収容されて上下方向Zに積層された状態にある物品Pの色を下側Z2から順に1つずつ識別する。識別部53を構成する各反射センサの出力波形は、
図11に示される。
図11において、横軸は、ステッピングモータに与えられるステッピングパルスの数(換言すれば識別部53の上昇量)であり、縦軸は、識別部53の出力結果となるRGB値である。ステッピングパルス数とRGB値とは同期して出力される。上下に隣り合う物品Pの境界では、反射光が少ない(つまり反射率が小さい)ことによってRGB値が極端に大きくなる(
図11において破線円で囲った部分を参照)。そこで、識別部53は、RGB値が急上昇する度に物品Pの境界を検知し、隣り合う境界間のRGB値から1つの物品Pの色(つまり物品Pの種類)を検知するとともに、物品Pの境界をカウントすることによって物品Pを計数することもできる。なお、識別計数部51の待機位置は任意に変更でき、識別計数部51は、待機位置から下降することによって物品Pの色を識別したり物品Pを計数したりしてもよい。
【0091】
また、識別計数部51が、複数の物品Pの積層体(
図10では5枚の物品Pによる束)を通過すると、通過開始時および通過終了時のそれぞれにおいてRGB値が大幅に変化する。そこで、制御部75は、通過開始時と通過終了時との間におけるステッピングパルス数の差(積層体の積層高さWに相当する)を、1枚の物品Pの厚さに相当するステッピングパルス数で割り、これによって得られる値を積層体における物品Pの枚数として算出してもよい。この場合、制御部75は、識別計数部51が一回上昇する間に、物品Pの境界のカウントに基づく計数と、積層体の積層高さWに基づく計数とを実行する。なお、積層体の積層高さWに基づく計数は、識別部53が計数部54の機能を兼ねない場合、つまり、計数部54が単体で存在する場合にも適用できる。
【0092】
図12に示すように、物品Pには、その端面に印刷等によるマーキングMが施されたり、角に面取りNが施されたりすることがある(
図1も参照)。マーキングMには、汚れも含まれる。識別計数部51からの光がマーキングMや面取りNに照射されると、その反射光が安定しないので、識別計数部51が物品Pの色を正確に識別したり物品Pを正確に計数したりすることが困難である。そこで、各収納部11には、制御部75に対して電気的に接続されて識別計数部51を左右方向Xにスライドさせる駆動機構62(
図10参照)が設けられる。駆動機構62は、例えば、識別部53および計数部54が固定されて左右方向Xに延びるラックギア(図示せず)と、このラックギアに噛み合ったピニオンギア(図示せず)と、ピニオンギアを回転させるモータ等の駆動部(図示せず)とを含む。ピニオンギアおよび駆動部は、例えばホルダ52(
図9B参照)に設けられる。
【0093】
制御部75は、識別計数処理において物品Pの識別および計数のために識別計数部51を上下方向Zのどちらかに移動させる本処理を例えば2回実施する。この場合、制御部75は、先の本処理の最後に、次の本処理の開始に先立って駆動機構62の駆動部(図示せず)を駆動させて識別計数部51を左右方向Xにおける別の位置に移動させる。つまり、制御部75は、同一の物品Pについて、左右方向Xで異なる2個所で本処理を繰り返す。2回の本処理のいずれにおいても、識別計数部51からの光が物品PにおいてマーキングMや面取りNを避けた部分に照射されたのであれば、2回の本処理において、物品Pの色についての識別結果同士が一致し、且つ、物品Pについての計数結果同士も一致する。この場合は、正確な識別結果および計数結果が得られる。
【0094】
2回の本処理のうち、一方では識別計数部51からの光が物品PにおいてマーキングMや面取りNを避けた部分に照射されたものの、他方では識別計数部51からの光がマーキングMや面取りNに照射された場合には、2回の本処理において、識別結果同士が不一致となり、且つ、計数結果同士も不一致となる。この場合には、制御部75は、識別結果および計数結果が異常であったと判断し、その旨を表示操作部103等において使用者に報知してもよい。または、制御部75は、2回分の本処理による出力波形(
図11参照)のうち、マーキングMや面取りNの影響により明らかに不自然となった一方の出力波形を不採用とし、残りの出力波形による識別結果および計数結果を正常な結果として採用してもよい。これにより、マーキングMや面取りNの有無に問わず、正確な識別計数処理を実施できる。
【0095】
繰出払出処理に関連して、使用者が、遊技客からの依頼に応じて物品管理装置9の操作部9Aを操作すると、物品Pの払い出しの指示が物品管理装置9から物品収納装置10に入力される。すると、制御部75は、入力された指示に応じた種類および数の物品Pが物品収納装置10から払い出されるように繰出払出処理を開始する。繰出払出処理は、通い箱1から物品Pを1枚ずつ繰り出す繰出処理と、繰り出された物品Pを機外へ払い出す払出処理とを含む。
【0096】
図13Aを参照して、まず、繰出処理として、制御部75は、前側収納部11Aでは搬送体18を右側面視において時計回りに周回移動させ、後側収納部11Bでは搬送体18を右側面視において反時計回りに周回移動させる。各収納部11では、繰出処理の対象となるセット部19が第2変更部材58に上側Z1から接近すると、制御部75が、第2変更部材58を一時的に待機位置から傾斜位置まで傾ける。これにより、繰出処理の対象となるセット部19の左右両側にそれぞれ設けられた3つの被ガイド部20は、傾斜位置の第2変更部材58に沿って傾いた状態で並び、下側Z2の被ガイド部20から順に、第2ガイド部材55Bの一対のレール56の間に進入する。その結果、当該セット部19は、3つの被ガイド部20が全て一対のレール56の間に入り込むことによって、出入口19Dが横を向いた横向き姿勢になる。
【0097】
前側収納部11Aでは、後側上端にあるセット部19が横向き姿勢にあって、このセット部19の出入口19Dが後側Y2を向いている。また、このセット部19にセットされた通い箱1も、出入口6が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱1内の物品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口6から後側Y2へはみ出していて、当該物品Pのはみ出し側端面(前側収納部11Aの場合には、当該物品Pの後端面)が繰出払出部12側を向いている。後側収納部11Bでは、前側上端にあるセット部19が横向き姿勢にあって、このセット部19の出入口19Dが前側Y1を向いている。また、このセット部19にセットされた通い箱1も、出入口6が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱1内の物品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口6から前側Y1へはみ出していて、当該物品Pのはみ出し側端面(後側収納部11Bの場合には、当該物品Pの前端面)が繰出払出部12側を向いている。なお、横向き姿勢のセット部19では、セットされた通い箱1の出入口6からの物品Pの脱落を防止するために、出入口19Dが真横でなく、僅かに斜め上側へ向いていることが好ましい。
【0098】
図13Aに示すように、横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1内における最下位の物品Pが払出ユニット28の払出部41の上面と上下方向Zにおいてほぼ同じ位置になると、制御部75は、搬送体18の周回移動を停止させる。このとき、払出ユニット28では、枠部40および払出部41の両方が待機位置にあるが、制御部75は、必要に応じて払出部41が昇降させることによって、払出部41と通い箱1との上下の相対位置を調整してもよい。各払出部41は、横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1の各収容空間5と、左右方向Xにおいて1つずつ同じ位置にある(
図13B参照)。
【0099】
制御部75は、搬送体18の周回移動を停止した後に、繰出払出部12における各繰出ユニット27を、今までの待機位置から、
図13Aに示す繰出位置まで回動させる。なお、搬送体18の周回移動が停止する直前に、繰出ユニット27が繰出位置まで回動してもよい。繰出位置の繰出ユニット27Aでは、各繰出部30が、前側収納部11Aの本体13の内部空間に後側Y2から進入し、横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1における左寄りの2つの収容空間5の真下に1つずつ配置されている(
図13B参照)。繰出位置の繰出ユニット27Bでは、各繰出部30が、後側収納部11Bの本体13の内部空間に前側Y1から進入し、横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1における右寄りの2つの収容空間5の真下に1つずつ配置されている(
図13B参照)。
【0100】
繰出位置の各繰出ユニット27では、支持部29(
図5参照)が、横向き姿勢のセット部19に下側Z2から接触して、このセット部19を下側Z2から支えている。なお、セット部19および支持部29の一方に設けられた位置決め突起(図示せず)が、他方に設けられた位置決め穴(図示せず)に嵌まり込むことによって、セット部19と支持部29とが互いに位置決めされている。また、各繰出部30では、繰出ベルト31の平坦部分31Aが、横向き姿勢のセット部19における下側Z2の側壁19Aに沿っている。なお、
図13Aでは、図示の都合上、繰出ベルト31を破線で示している。
【0101】
次に、制御部75は、繰出位置の繰出ユニット27の各繰出部30において、繰出ベルト31を周回移動させ、繰出ローラ33を駆動回転させる。このとき、繰出ユニット27Aでは、右側面視において繰出ベルト31が時計回りに方向に周回移動して繰出ローラ33が反時計回りに回転し、繰出ユニット27Bでは、右側面視において繰出ベルト31が反時計回りに方向に周回移動して繰出ローラ33が時計回りに回転する。
【0102】
繰出ベルト31の周回移動によって、繰出ベルト31に設けられた繰出部材34が、繰出ベルト31の平坦部分31Aにおいて払出部41側へ水平移動する。その際、繰出部材34は、横向き姿勢のセット部19における下側Z2の側壁19Aの開口部19E(
図4参照)と、このセット部19にセットされた通い箱1において当該開口部19Eに整合した開口部7(
図1参照)とに進入して、当該通い箱1の収容空間5内の最下位の物品Pを引っ掛けて払出部41側へ繰り出す。払出部41側へ繰り出された物品Pは、駆動回転される繰出ローラ33に接触することによって払出部41側へ押し出され、左右方向Xで同じ位置にある1つの払出部41上に載る。そして、繰出ベルト31の周回移動と繰出ローラ33の回転が繰り返されることによって、横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1において各繰出部30の真上に位置する収容空間5内の物品Pが、下側Z2の物品Pから順に1つずつ繰り出されて、払出部41上に集積される。なお、制御部75は、繰り出された物品Pが払出部41において上側Z1に集積されるように、物品Pの繰り出しの度に、払出部41を待機位置から徐々に下降させる。
【0103】
各繰出ユニット27には、繰出部30が2つ存在するので、横向き姿勢のセット部19にセットされた通い箱1において左右に隣り合う2つの収容空間5から一度に物品Pを繰り出すことができる。制御部75は、これらの収容空間5からの物品Pの繰り出しが終了すると、次の繰出処理として、各繰出部30を、左右方向Xにスライドさせることによって、別の収容空間5の真下まで移動させ、当該別の収容空間5から物品Pを繰り出すことができる。
【0104】
また、通い箱1における全ての収容空間5が空になると、制御部75は、次の繰出処理として、繰出ユニット27を一旦待機位置に戻し、必要に応じて払出部41を待機位置まで戻した後に搬送体18を周回移動させ、別の通い箱1がセットされたセット部19を横向き姿勢にする。その後、制御部75は、繰出ユニット27を繰出位置まで回動させて、当該別の通い箱1から物品Pを繰り出す。さらに、制御部75は、各収納ユニット101において、前側収納部11Aおよび後側収納部11Bのうちの一方のセット部19の物品Pを繰出ユニット27によって繰り出すだけでなく、同時の繰出処理として両方の繰出ユニット27によって両方の収納部11のセット部19の物品Pを一度に繰り出してもよい。以上のように、制御部75は、複数の繰出処理を実行して物品Pを複数の通い箱1からかき集めることにより、必要な種類および数の物品Pを繰り出すことができる。
【0105】
5つの繰出空間40Cにおける各払出部41において、ある通い箱1から複数の物品Pが繰り出されて集積された後に払出部41を待機位置に戻して、次の繰出処理において、同じ種類の物品Pが繰り出されて当該払出部41上にさらに集積される場合が想定される。この場合には、次の繰出処理での物品Pが払出部41上の物品Pにスムーズに積み重なるように、制御部75は、この払出部41を、払出部41上の物品Pの積層高さに応じて待機位置から下降させる必要がある。これでは、繰出処理後の払出処理が始まるまでの時間が長くなる。そこで、先の繰出処理において、制御部75は、ある払出部41に物品Pを上限数(例えば10枚)まで繰り出して集積した場合には、次の繰出処理において物品Pを別の空の払出部41に繰り出してもよい。これにより、既に物品Pが集積された払出部41を一旦下降させる処理を省略できるので、繰出処理の短縮化を図れる。上限数未満の物品Pが集積された払出部41には、払出部41上の物品Pが上限数に達するまで、次の繰出処理において物品Pをさらに積層してもよい。なお、前述した識別計数処理において対象外と識別された物品Pは、繰り出されずに通い箱1に残されて、その後に使用者によって回収されてもよい。
【0106】
制御部75は、以上の繰出処理を完了すると、払出処理を開始する。具体的には、制御部75は、払出処理の対象となる収納ユニット101の真上のシャッタ102を、
図13Aに示すように開位置までスライドさせて、装置本体100の払出口100Dを開放する。そして、制御部75は、払出ユニット28の枠部40を、全ての払出部41を伴って上限位置まで上昇させ、その後、全ての払出部41を、破線で示す払出位置まで上昇させる。これにより、各払出部41上に繰り出された物品Pが、払出口100Dから上側Z1に露出されることによって機外へ払い出されるので、使用者は、払出部41上の物品Pを受け取ることができる。
【0107】
使用者は、各払出部41における左右の両端縁の窪み41A(
図13B参照)に指を掛けることによって、払出部41上の物品Pを容易に掴むことができる。また、全ての払出部41が払出位置まで上昇することにより、各払出部41上の物品Pを一度に払い出すことができるので、払い出しのスピードアップを図れる。また、各払出部41の左右の両隣には、枠部40の仕切部40Bが存在し、払出部41によって払い出される物品Pの間(隣り合う払出部41の間)を仕切るので(
図5参照)、払出部41が払出位置まで上昇するまでの間に払出部41上の物品Pが崩れて、隣り合う払出部41上の物品P同士が衝突することを防止できる。つまり、仕切部40Bによって、物品Pを、隣り合う払出部41上の物品P同士が重ならないように、各払出部41上において別々に積層された状態で払い出すことができる。また、枠部40が上限位置まで移動した後は、払出部41だけが枠部40からずれて単独で払出位置まで上昇し、払出部41が払出位置に到達したときには、各仕切部40Bは払出口100Dから上側Z1へはみ出していない。そのため、使用者は、払出位置の払出部41上にある物品Pを、仕切部40Bに邪魔されずに容易に受け取ることができる。
【0108】
払出部41上の物品Pが取り出された後に、制御部75は、枠部40および払出部41を、それぞれの待機位置まで下降させ、今まで開位置にあったシャッタ102を閉位置までスライドさせる。そして、制御部75が各繰出ユニット27を繰出位置から待機位置(
図9A参照)まで戻すと、払出処理が終了し、一連の繰出払出処理が完了する。なお、制御部75は、開位置のシャッタ102を前側Y1の閉位置までスライドさせることにより、払出部41上の物品Pをシャッタ102によって装置本体100の払出面100B上に押し出してもよい。この場合、使用者は、払出面100B上に押し出された物品Pを受け取って遊技客に手渡す。また、各繰出ユニット27の繰出位置から待機位置までの移動は、払出処理の終了時でなく、払出処理の開始時に行われてもよい。
【0109】
以上のように、セット部19の被ガイド部20と、傾斜位置まで傾く第2変更部材58と、一対のレール56の間に3つの被ガイド部20を受け入れる第2ガイド部材55Bとは、繰出部30に接近してきたセット部19にセットされた通い箱1内の物品Pが繰出部30側に露出されるように、当該セット部19の姿勢を横向き姿勢に変更する繰出姿勢変更機構60を構成する。この場合、繰出部30は、この通い箱1から繰出姿勢変更機構60によって繰出部30側に露出された物品Pを確実に繰り出すことができる。
【0110】
前述したように、繰出処理が繰り出されることによって、必要な種類および数の物品Pが揃ってから払出処理が1回だけ実行されるので、繰出処理が1回実行される度に払出処理が毎回実行される場合に比べて繰出払出処理の全体の時間短縮を図れる。また、必要な種類および数の物品Pがまとめて払い出されるので、遊技客に対して物品Pをスムーズに払い出すことができる。
【0111】
また、制御部75は、前述したように、各セット部19の通い箱1における収容空間5毎の物品Pの収容状況を、記憶部77における在庫情報に基づいて把握している。そのため、制御部75は、必要な種類および枚数の物品Pが短時間(好ましくは最短時間)で払い出すのに最適な通い箱1およびその収容空間5を、繰出払出処理の開始に先立って決定する。特に、最適な通い箱1および収容空間5が複数存在する場合には、制御部75は、どの通い箱1の収容空間5から物品Pを払い出すかという順番も決定してから、繰出払出処理を開始する。よって、繰出払出処理の効率化を図れる。
【0112】
また、以上のように、物品収納装置10では、物品Pを収容する通い箱1をセット部19にセットすれば、制御部75が、繰出部30によって、この通い箱1から物品Pを繰り出し、繰り出された物品Pを払出部41によって機外へ払い出す。つまり、通い箱1に収容された物品Pを、手作業によって通い箱1から取り出して物品収納装置10内に移し替えなくても、物品Pを収容した通い箱1をセット部19にセットすれば、物品収納装置10は、物品Pの繰り出しおよび払い出しが可能な状態になる。また、遊技施設の営業終了後には、払い出されなかった物品Pを収容した通い箱1をセット部19から取り出せば、この物品Pを通い箱1に収容された状態で速やかに回収できる。そのため、通い箱1に収容された状態で流通する物品Pの取り扱いについての使い勝手の向上を図れる。
【0113】
繰出払出処理に関連して、物品管理装置9は、遊技客からの物品Pの払い出しや一般賞品の交換等の依頼を、先の依頼による取引が完了する度に1件ずつ受け付けるのでなく、先の取引が完了してなくても、複数の次の依頼を順番に受け付けることができてもよい。この場合、使用者は、受付カウンタCにおいて、ある遊技客からの依頼を受け付けて物品管理装置9によって物品Pの払い出しの指示を物品収納装置10に入力した後に、この依頼についての取引である繰出払出処理が完了前であっても、次の遊技客からの依頼を受け付けるために物品管理装置9の操作部9A(
図2参照)を操作して、次の依頼についての物品Pの払い出しの指示を物品収納装置10に入力することができる。複数の依頼の内容は、操作部9Aにおけるタッチパネル等(
図2参照)と物品収納装置10の表示操作部103とにおいて、受け付けられた順にリスト化されて表示される。
【0114】
先の取引についての繰出払出処理を実施中の物品収納装置10では、準備手段の一例である制御部75が、次の依頼での取引に必要な物品Pを準備できる収納部11を、記憶部77における各通い箱1の在庫情報に基いて検索する。現在進行中の繰出払出処理において物品Pが繰り出されている収納部11や、この収納部11以外の収納部11(他の収納ユニット101の収納部11も含む)は、次の取引に必要な物品Pを準備できる収納部11として挙げられる。そして、制御部75は、検索の結果として見つかった収納部11において、次の依頼の繰出払出処理のための準備処理として、現在進行中の繰出払出処理の完了後に物品Pの繰り出しが速やかに開始できるように、必要に応じて搬送体18を周回移動させて、当該物品Pが存在するセット部19を、例えば払出部41の近傍等の最適位置に配置する。なお、制御部75は、現在進行中の繰出払出処理に支障がなければ、次の繰出払出処理で払い出す物品Pが存在するセット部19を横向き姿勢にしたり、さらには、当該物品Pを他の収納ユニット101の払出部41に繰り出したりすることによって、次の繰出払出処理の一部(つまり繰出処理)を前倒ししてもよい。これにより、現在の繰出払出処理の完了後に次の繰出払出処理が速やかに開始される。
【0115】
このように複数の依頼を次々と受け付けて繰出払出処理を連続して実行する場合には、依頼をした複数の遊技客に対して次々に物品Pを払い出せるので、スムーズな物品Pの提供が可能になる。よって、受付カウンタCに赴いた遊技客は、先の遊技客についての繰出払出処理が完了するまでの間において、依頼もできずに待つことはないので、各遊技客が受付カウンタCに赴いてから物品Pまたは一般賞品を受け取るまでの時間を短縮できる。そのため、遊技施設では、賞品交換に係る運用効率の向上を図れる。なお、例えば左右に並んだ2台の物品管理装置9の間に1台の物品収納装置10が配置させて、各物品管理装置9からこの物品収納装置10に物品Pの払い出しの指示が入力される場合がある。この場合には、現在進行中の繰出払出処理についての指示を入力した物品管理装置9がどれであるかを指し示す矢印等が、物品収納装置10の表示操作部103に表示されるとよい。これにより、現在進行中の繰出払出処理の対象となる物品管理装置9が明確になることによって、使用者の混乱を避けられるので、物品Pの受け渡し先となる遊技客を間違えることを防止できる。
【0116】
繰出払出処理に関連して、各繰出部30について詳しく説明する。
図14A〜
図14Cは、待機位置にある繰出ユニット27における各繰出部30の内部構造の右側面図である。
図14Aを参照して、各繰出部30は、繰出ローラ33よりも繰出空間40C側に配置されて上下に並んだ上板65および下板66を含む。上板65の下端と下板66の上端との間には、左右に細長いスリット状の出口67が区画されている。出口67は、物品Pを1つだけ通せる大きさを有し、繰出ローラ33と、繰出ベルト31を挟んで繰出ローラ33に対向したローラ32との間に繰出空間40C側から臨んでいる。各繰出部30は、繰出ローラ33の周辺において、カウントレバー68、フラッパー69、付勢部材70およびカウントセンサ71を含む。カウントレバー68、フラッパー69、付勢部材70およびカウントセンサ71は、出口67に対して繰出空間40C側とは反対側に位置しており、上板65および下板66とともに繰出部30のフレーム(図示せず)によって支持されている。
【0117】
カウントレバー68は、左右方向Xに延びた回動軸68Aと、回動軸68Aから出口67へ向けて斜め上側に延びた第1レバー部68Bと、回動軸68Aから下側Z2へ延びた第2レバー部68Cとを含み、回動軸68Aまわりに回動可能である。フラッパー69は、第1レバー部68Bに連結されていて、第1レバー部68Bから出口67へ延びた後に上側Z1へ屈曲している。フラッパー69は、カウントレバー68とともに回動する。フラッパー69は、出口67を塞いだ閉位置(
図14A参照)と、出口67から下側Z2へずれて出口67を開放した開位置(
図14B参照)との間で回動する。付勢部材70は、下板66と第2レバー部68Cとの間に架設されていて、フラッパー69が閉位置に配置されるように、第2レバー部68Cを繰出空間40C側へ引っ張っている。
【0118】
カウントセンサ71は、例えばフォトインタラプタであって、制御部75に対して電気的に接続されている。フラッパー69が閉位置にあるときには、第2レバー部68Cの下端部がカウントセンサ71の検知領域から外れていることによって、カウントセンサ71は、フラッパー69が閉位置にあることを検知する(
図14A参照)。このときのカウントセンサ71は、OFFになっている。一方、フラッパー69が開位置にあるときには、第2レバー部68Cの下端部がカウントセンサ71の検知領域内に位置することによって、カウントセンサ71は、ONになり、フラッパー69が開位置にあることを検知する(
図14B参照)。
【0119】
図14Aには、繰出処理の開始直前における繰出部30が図示されている。繰出処理が開始されると、繰出ベルト31が周回移動することによって、繰出部材34が、繰出ベルト31の平坦部分31A上における最下位の物品Pを引っ掛けて繰出空間40C側へスライドする。この物品Pは、
図14Bに示すように、繰出ローラ33と、繰出ローラ33に下側Z2から対向したローラ32との間を通過して、カウントレバー68の第1レバー部68Bを押し下げる。これにより、カウントレバー68が回動してフラッパー69が開位置に到達し、カウントセンサ71がOFFからONになる。そのため、第1レバー部68Bを押し下げた物品Pは、開放された出口67を通って繰出空間40Cに進入する。
図14Cに示すように物品Pが完全に出口67を通過すると、フラッパー69が閉位置に戻り、カウントセンサ71がONからOFFになる。これにより、出口67を通過した物品Pが出口67に戻って後続の物品Pに衝突することが防止される。必要な繰出枚数における最後の物品Pを引っ掛けて繰出空間40Cに繰り出した繰出部材34が定位置(
図13Aの繰出ユニット27Aにおける黒塗りの繰出部材34を参照)に戻るまで繰出ベルト31が周回移動すると、繰出処理が終了する。
【0120】
図15を参照して、制御部75が以上のように繰出処理を開始すると(ステップS1)、物品Pが繰出空間40C側へ繰り出される度にカウントセンサ71のON→OFFが繰り返される。そして、カウントセンサ71のON→OFFが操出枚数分だけ繰り返されると(ステップS2でYES)、つまり、最後の物品Pが繰出空間40Cに繰り出されることによってカウントセンサ71がONからOFFになると、制御部75は、速やかに払出処理を開始する。つまり、制御部75は、最後の物品Pを繰り出した繰出部材34が前記定位置に戻るのを待たずに、シャッタ102を開いて(ステップS3)、枠部40を上限位置まで上昇させて払出部41を払出位置まで上昇させる(ステップS4)。これにより、繰出払出処理の全体における時間短縮を図れる。なお、ステップS3とステップS4とは同時であってもよいし、ステップS4がステップS3よりも先に実行されてもよい。
【0121】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0122】
例えば、ロック機構78および移動機構79の両方を備える構成について説明されたが、コスト低減等のために、ロック機構78および移動機構79の一方が省略されてもよい。ロック機構78が省略される場合には、制御部75は、引き出しを許可した収納ユニット101に対応する移動機構79を駆動させて、この収納ユニット101を収容位置から引出位置側へ移動させ、他の収納ユニット101に対応する移動機構79の駆動を停止して他の収納ユニット101を収容位置から動かないようにする。または、制御部75は、移動機構79を駆動させて当該他の収納ユニット101を引出途中位置まで移動させてもよく、その場合には、当該移動機構79の駆動を停止して、当該他の収納ユニット101を引出途中位置で停止させる。これにより、当該他の収納ユニット101が引出途中位置からさらに引き出されることが防止される。
【0123】
移動機構79が省略される場合には、各収納ユニット101は、使用者の手動によって前後方向Yに移動する。この場合において、引き出しを許可した収納ユニット101についてのロック機構78によるロックを解除して、他の収納ユニット101についてのロック機構78によるロックを継続する。これにより、使用者は、ロックが解除された収納ユニット101の取っ手81を掴んで手動によって引き出すことができるが、ロックされた当該他の収納ユニット101を収容位置から引き出すことはできない。なお、使用者が引き出した収納ユニット101を収容位置まで戻すと、制御部75は、この収納ユニット101をロック機構78によってロックする。
【0124】
また、比較的重量のある各収納ユニット101には、比較的大きな慣性負荷が存在する。そのため、制御部75は、移動中の収納ユニット101が途中の規定位置から目的位置に到達するまでの間において、当該収納ユニット101についての駆動部88を減速制御することによって、当該収納ユニット101を目的位置で正確に停止させる必要がある。具体的には、
図8を参照して、制御部75は、引出時における収容位置から引出開始位置までの第1区間と、引出時における引出途中位置から最大引出位置までの第2区間と、収容位置への戻し時における引出開始位置から収容位置までの第3区間とにおいて、駆動部88に流す電流のデューティ比を調整することによって減速制御を実行する。なお、引出時および戻し時のそれぞれにおいて、第1〜第3区間以外におけるデューティ比は、例えば100%である。
【0125】
設置された物品収納装置10には、水平方向に対する傾きが僅かに存在し得るので、各駆動部88の駆動にばらつきが存在し得る。これらの傾きやばらつきが各区間における減速制御に影響を与えることにより、各区間における収納ユニット101の減速開始から停止までの移動時間が各区間における所定の基準時間に対してばらつく虞がある。そこで、物品収納装置10の設置時には、以下の初期設定が行われる。
【0126】
例えばサービスマン等の作業者が、設置後の物品収納装置10の表示操作部103を操作することによって初期設定の開始を指示する。すると、制御部75は、移動機構79の各駆動部88を駆動させて、収納ユニット101を収容位置と最大引出位置との間で往復させる。この際、制御部75は、第1〜第3区間のそれぞれにおいて、デューティ比を基準デューティ比(例えば30%)とした減速制御を実行するとともに、各区間における収納ユニット101の移動時間を測定する。その結果、各区間における移動時間が、各区間における基準時間よりも短ければ、減速制御中における収納ユニット101の移動速度が高いので、制御部75は、該当する区間におけるデューティ比を基準デューティ比よりも例えば20%減らすことよって変更する。逆に、各区間における搬送時間が、各区間における基準時間よりも長ければ、減速制御中における収納ユニット101の移動速度が低いので、制御部75は、該当する区間におけるデューティ比を基準デューティ比よりも例えば20%増やすことよって変更する。
【0127】
その後、制御部75は、収納ユニット101を再度往復させ、その際に、第1〜第3区間のそれぞれにおいて変更後のデューティ比での減速制御を実行するとともに、各区間における移動時間を再測定する。制御部75は、再計測後の各区間における移動時間と基準時間とを比較し、必要に応じて再度デューティ比を変更する。そして、各区間について、制御部75がデューティ比の変更と変更後の再計測を必要に応じて繰り返す。その結果、最終的に測定された搬送時間が、その誤差が所定以内になる程度に基準時間に近づくと、制御部75は、このときのデューティ比をデューティ比の設定値として採用し、対応する区間と対応付けて記憶部77に記憶する。制御部75は、このような各区間での減速制御におけるデューティ比の初期設定を各収納ユニット101について実施する。これにより、初期設定が完了する。
【0128】
初期設定の完了後の実際の運用時には、制御部75は、各収納ユニット101を各区間で減速制御する際に、デューティ比の設定値に応じて減速制御する。そのため、物品収納装置10に傾きが存在したり、各駆動部88の駆動にばらつきが存在したりしても、各収納ユニット101は、各区間での移動時間が基準時間にほぼ一致するように正確に移動できる。なお、以上では、減速制御に着目して説明したが、収納ユニット101を減速させる場合以外の速度制御においても、デューティ比を適宜初期設定してもよい。
【0129】
なお、運用中において、各収納ユニット101の移動に異常が生じることが想定される。例えば、経年変化等によって収納ユニット101の動きが渋くなることによって、収納ユニット101が収容位置や引出途中位置や引出開始位置や最大引出位置に辿り着けない(各位置に到達したことがセンサ92によって検知されない)ことが想定される。また、何らかの理由により収納ユニット101が速すぎることによって、収納ユニット101が収容位置や最大引出位置に到達したときに跳ね返り、これにより、センサ92に誤検知が生じることも想定される。このように異常が生じた場合には、制御部75は、暫定的にデューティ比を変更して、収納ユニット101の移動についてのリトライ処理を実行してもよい。また、制御部75は、リトライ処理の回数を記憶部77に記憶しておいて、この回数が所定回数に到達した場合には、デューティ比を最適値に更新してもよい。これにより、物品収納装置10に経年変化が生じても、各収納ユニット101は、新品時とほぼ同じように正確に移動できる。
【0130】
また、物品収納装置10は、遊技施設のフロアに据え付けられるのではなく、受付カウンタC上に設置される卓上タイプであってもよい。