特許第6807777号(P6807777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807777
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20201221BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H05H1/46 L
   C23C16/505
【請求項の数】31
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-38127(P2017-38127)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-157560(P2017-157560A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2020年3月2日
(31)【優先権主張番号】1603581.8
(32)【優先日】2016年3月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール ベネット
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5-171470(JP,A)
【文献】 特開平9-120957(JP,A)
【文献】 特表2003-502822(JP,A)
【文献】 特表2006-524422(JP,A)
【文献】 特開2010-98174(JP,A)
【文献】 特開2013-191593(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/142016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
C23C 16/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の壁部を具備しているチャンバーであって、前記チャンバーの前記壁部の一部が電極構造体であり、前記電極構造体が、金属材料から形成されておりそして誘導結合プラズマ源の一次巻線として作用するように構成されている、チャンバー;及び
誘導結合プラズマ源の一次巻線として前記電極構造体を作動させる電気信号を供給して、誘導結合プラズマを前記チャンバーの内部で保持する、電気信号供給デバイス
を具備している、基材をプラズマ処理するためのプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記電極構造体が、一巻き構造である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電極構造体が、前記チャンバーの周囲に一巻きを形成している単一の非連続的なバンドである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電極構造体が、前記チャンバーの周囲に一巻きを形成している、複数の離間しているバンドセグメントを具備している、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記バンドセグメントが、誘電体から形成されているチャンバー壁部の部分によって離間している、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記バンドセグメントが、前記電気信号供給デバイスと並列に接続されている、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記バンドセグメントが、それらの中央部でアースしている、請求項4〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記基材支持体に近接している前記電極構造体の下部領域が、前記下部領域中に一次電流の流路が形成されることを防止する1つ又は複数の不連続部を具備している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記不連続部が、前記電極構造体に形成されているスロットである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電極構造体における各々のバンドセグメントの前記下部領域が、不連続部を具備している、請求項4〜7のいずれか一項に従属するときの請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記金属材料が金属である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記電極構造体が、前記チャンバーの内側に直接連通している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記電極構造体が、少なくとも1つのチャンバー壁部を通じて、前記チャンバー壁部の外表面から内表面まで延在している、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記チャンバーの内部に位置している基材支持体を更に具備している、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記基材支持体上に前記基材を装填するための装填機構を更に具備している、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記電極構造体により構成されていない1つ又は複数の前記チャンバー壁部の残りの部分が、1つ又は複数の誘電体から形成されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記電極構造体を冷却するための冷却システムを具備している、請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記冷却システムが、前記電極構造体中に形成されている流路を具備し、冷却流体が前記流路を通って流れることを可能としている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記電極構造体を有する単一のチャンバーを具備している、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
プラズマ源として作用する前記電極構造体を有する第一のチャンバー、及び内部でプラズマ処理を行う1つ又は複数の更なるチャンバーを具備している、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記第一のチャンバーが、ラジカルの源として作用し、そして前記プラズマ処理が、ラジカルに基づくプラズマ処理である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記電気信号供給デバイスが、前記電極構造体を作動させるRF電気信号を供給する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置を提供する工程;及び
電気信号を前記電極構造体に供給して、前記電極構造体を誘導結合プラズマ源の一次巻線として作動させ、それによって、チャンバーの内部で誘導結合プラズマを保持して、前記プラズマ処理を行うために用いる工程
を含む、基材をプラズマ処理する方法。
【請求項24】
前記プラズマ処理を行って、前記装置の内部に配置されている基材を処理する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記基材が、半導体基材又はフラットパネルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プラズマ処理が、半導体処理技術である、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記プラズマ処理が、チャンバー洗浄処理である、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記装置が、プラズマ源として作用する前記電極構造体を有する第一のチャンバー、及び内部でプラズマ処理を行う1つ又は複数の更なるチャンバーを具備している、請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第一のチャンバーが、前記プラズマ処理のために用いるラジカルの源である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記プラズマ処理が、CVD処理である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記CVD処理が、CVDエピタキシーである、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置に関する。本発明は、関連するプラズマ処理の方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業用途は、プラズマを用いて活性種、例えばイオン、電子、原子、分子及びラジカルを生み出し、処理要求を満足することに関与している。頻繁に、反応速度を上昇させるため、より高い電流密度で操作する必要性が存在する。半導体又はフラットパネル処理におけるプラズマ源の広く用いられているタイプの1つは、誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma:ICP)反応器である。典型的には、RF電力は、外部から配置されているアンテナ、コイル又はバンドに印加され、誘電性のコンテナ又はウィンドウを通した処理チャンバーへのエネルギーの誘導結合をもたらす。適切なガス又はガス混合物は、比較的低い圧力で処理チャンバーに導入され、そしてガス放電が生み出される。図1a及びbは、先行技術のICP設計の例を示している。図1a及びbはいずれも、誘電体の円筒状の本体部、RF供給点12、14及び同調キャパシタ20を有する処理チャンバー10を示している。図1aは、チャンバー10の誘電体部の周囲に外部から配置されている二巻きのICPコイル16を示している。図1bは、チャンバー10の誘電領域の周囲に外部から配置されている一巻きのICPコイルを示している。従来の誘電体の比較的乏しい熱伝導性のため、このタイプのシステムの熱の除去が問題となり得る。向上した熱特性を有するより進歩した誘電体を用いることが可能である。進歩した誘電体の一例は、AlNである。しかしながら、これらの進歩した材料は、高価であり、更には設計の制限をもたらし、それによって多くの用途におけるそれらの使用が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、少なくとも幾つかのその実施態様において、上述の問題及び必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一の側面に従い、
1つ又は複数の壁部を具備しているチャンバーであって、チャンバーの壁部の一部が電極構造体であり、電極構造体が、金属材料から形成されておりそして誘導結合プラズマ源の一次巻線として作用するように構成されている、チャンバー;及び
誘導結合プラズマ源の一次巻線として電極構造体を作動させる電気信号を供給して、誘導結合プラズマをチャンバーの内部で保持する、電気信号供給デバイス
を具備している、基材をプラズマ処理するためのプラズマ処理装置を提供する。
【0005】
金属の電極構造体は、比較的冷却することが容易であるという利点を有している。このことは、高電力操作、高圧操作、及び高熱荷重のうちの少なくとも1つを、新種の材料、例えばAlNから形成された熱的に堅固な誘電性チャンバー壁部の使用を必要とすることなく得ることを可能とすることができる。
【0006】
電極構造体は、一巻き構造であることができる。
【0007】
電極構造体は、チャンバーの周囲に一巻きを形成している単一の非連続的なバンドであることができる。
【0008】
代替的には、電極構造体は、複数の離間しているバンドセグメントを具備していてよい。バンドセグメントは、チャンバーの周囲に一巻きを形成していてよい。バンドセグメントは、誘電体から形成されているチャンバー壁部の部分によって離間していてよい。
【0009】
バンドセグメントは、電気信号供給デバイスと並列に接続されていてよい。これは、装置の操作のために各々のセグメントに印加しなければならない電圧の高さを低減させる。これは、電極構造体の供給点の周囲の電気的結合の抑制を支援する。
【0010】
任意の適切な数のバンドセグメントを用いることができる。幾つかの実施態様においては、電極構造体は、2〜6個のバンドセグメントを具備している。
【0011】
バンドセグメントは、それらの中央部でアースしていてよい。これは、印加した電圧に関連するスパッタリング又は他の望ましくない影響を最小限にすることを支援することができる。
【0012】
電極構造体の下部領域は、上記下部領域中に一次電流が生成することを防止する1つ又は複数の不連続部を具備していてよい。不連続部は、電極構造体に形成されているスロットであることができる。不連続部は、誘電体で充たされていてよい。
【0013】
電極構造体が複数の離間しているバンドセグメントを具備している実施態様においては、電極アレイにおける各々のバンドセグメントの下部領域は、不連続部を具備していてよい。
【0014】
不連続部は、一次電流の経路を分断する作用をすることができる。これは、電流を電極構造体の上部領域でのみ循環させる。結果として、プラズマを電極構造体の上部領域に閉じ込めることができる。金属の電極構造体は、比較的冷却することが容易である。これは、プラズマが万一電極構造体を越えて広がった場合に起こり得る、装置の他の領域の望ましくない加熱を回避する。
【0015】
電極構造体は、コイルであることができる。コイルは、一巻き構造であることができる。
【0016】
金属材料は、アルミニウム等の金属であることができる。
【0017】
典型的には、電極構造体は、チャンバーの内側に直接連通している。これは、一次巻線(電極構造体)が二次巻線(誘導結合プラズマ)に近接しているため、あらゆる変圧器作用漏れインダクタンス(transformer action leakage inductance)を低減させる。これは、より効率的な結合をもたらす。更なる利点は、より広範囲の電力及び圧力条件にわたってプラズマで動作することが可能である点である。典型的には、電極構造体は、少なくとも1つのチャンバー壁部を通じて、チャンバー壁部の外表面から内表面まで延在している。
【0018】
チャンバーは、上部、本体部及び下部を具備していてよい。電極構造体は、本体部に配置されていてよい。本体部は、概して円筒状であることができる。本体部は、上部セクション、中央セクション及び下部セクションを具備していてよい。電極構造体は、中央セクションに配置されていてよい。上部及び下部セクションは、誘電体から形成されていてよい。
【0019】
装置は、基材支持体を具備していてよい。基材支持体は、装置によりプラズマ処理される基材を支持する。基材支持体は、チャンバーの内部に位置していてよい。代替的には、基材支持体は、更なるチャンバーの内部に位置していてよい。装置は、基材支持体上に基材を装填するための装填機構を更に具備していてよい。
【0020】
基材支持体は、平坦な基材、例えば半導体ウェハー又はフラットパネル基材を支えるように構成されていてよい。
【0021】
典型的には、電極構造体により構成されていない1つ又は複数のチャンバー壁部の残りの部分は、1つ又は複数の誘電体から形成される。任意の適切な誘電体、例えばセラミック、アルミナ、又は石英を用いることができる。
【0022】
装置は、電極構造体を冷却するための冷却システムを更に具備していてよい。冷却システムは、電極構造体中に形成されている流路を具備し、冷却流体が流路を通って流れることを可能とすることができる。これは、非常に直接的な手法で電極構造体の有意な冷却を得る非常に便利な方法である。
【0023】
装置は、電極構造体を有する単一のチャンバーを具備していてよく、又は、装置は、多数のチャンバーを具備していてもよい。
【0024】
多数のチャンバーの場合、装置は、プラズマ源として作用する電極構造体を有する第一のチャンバー、及び内部でプラズマ処理を行う1つ又は複数の更なるチャンバーを具備していてよい。
【0025】
装置は、プラズマ処理のために用いるイオン及びラジカルの一方又は両方の源として構成することができる。
【0026】
電気信号供給デバイスは、電極構造体を作動させるRF電気信号を供給することができる。
【0027】
最初にプラズマを衝突させるため、追加の電気信号を電極構造体に印加してもよい。追加の電気信号は、RF電気信号、AC電気信号又はDC電気信号であることができる。追加の電気信号は、補助的な電気信号供給デバイスを用いて印加することができる。追加の電気信号は、電源とアースとの間で印加することができる。電極構造体が複数の離間しているバンドセグメントを具備している実施態様においては、隣接するバンドセグメントは、追加の電気信号の交互の極性を用いて給電することができる。
【0028】
RF電気信号は、広域フィルタリングにより結合することができる。
【0029】
本発明の第二の側面に従い、
本発明の第一の側面に係る装置を提供する工程;及び
電気信号を電極構造体に供給して、電極構造体を誘導結合プラズマ源の一次巻線として作動させ、それによって、チャンバーの内部で誘導結合プラズマを保持して、プラズマ処理を行うために用いる工程
を含む、基材をプラズマ処理するための方法を提供する。
【0030】
プラズマ処理を行って、装置の内部に配置されている基材を処理することができる。装置は、基材支持体を具備していてもよい。これらの実施態様においては、方法は、基材支持体上に基材を装填する工程を含むことができる。しかしながら、基材支持体が存在している必要はなく、そして基材は、異なる方法でチャンバー内に配置することができる。プラズマ処理は、基材上にフィーチャ又はコーティングを形成することができる。
【0031】
基材は、半導体基材であることができる。半導体基材は、半導体ウェハー、例えばケイ素ウェハーであることができる。
【0032】
プラズマ処理は、半導体処理技術であることができる。基材は、このように処理することに適した任意の基材であることができる。半導体処理技術は、基材上に既に存在している半導体フィーチャを処理することができ、又は、半導体処理技術は、基材に新たなフィーチャを堆積させることができる。半導体処理技術は、エッチング技術、又は堆積技術、例えばプラズマ強化化学気相成長(PE−CVD)であることができる。堆積技術は、ミクロン厚及びサブミクロン厚の膜を堆積させるために用いることができる。
【0033】
基材は、フラットパネル、例えばLCDフラットパネルであることができる。
【0034】
基材は、金属から形成されていてもよく、又は金属から形成されている処理すべき表面を有していてもよい。プラズマ処理は、基材上にコーティングを形成することができる。コーティングは、窒化物コーティングであることができる。
【0035】
基材は、工具部品であることができる。
【0036】
プラズマ処理は、チャンバー洗浄処理であってよい。
【0037】
プラズマ処理は、プラズマ中で生成するイオン及びラジカルの一方又は両方を用いてよい。
【0038】
装置は、多数のチャンバーを具備していてよい。装置は、プラズマ源として作用する電極構造体を有する第一のチャンバー、及び内部でプラズマ処理を行う1つ又は複数の更なるチャンバーを具備していてよい。第一のチャンバーは、ラジカルの源を提供することができる。プラズマ処理は、ラジカルに基づく(radical based)プラズマ処理であることができる。ラジカルは、F、N、O又は任意の他の適切なラジカル種であることができる。プラズマ処理は、更なるチャンバーの洗浄、又は更なるチャンバー中に配置された基材の処理であることができる。更なるチャンバー中に配置された基材の処理は、CVD処理を含むことができる。CVD処理は、CVDエピタキシーであることができる。
【0039】
上記に本発明を説明しているが、本発明は、上に明示した又は以下の説明、図面若しくは特許請求の範囲に記載の特徴の任意の発明の組合せに及ぶものである。例えば、本発明の第一の側面に関して記載した任意の特徴は、本発明の第二の側面と組み合わせて開示されてもいるものであり、逆もまた同様である。
【0040】
本発明に従い、装置及び方法の幾つかの実施態様を、添付図面を参照しながらこれから説明しよう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、(a)二巻き及び(b)一巻きの先行技術のICP処理装置を示している。
図2図2は、本発明の装置の第一の実施態様の断面図である。
図3図3は、RF源と接続されている、図1のチャンバーの一部の斜視図である。
図4図4は、(a)バンドセグメント設備の上方斜視図及び(b)本発明の装置の第二の実施態様の上方斜視図を示している。
図5図5は、図4(a)のバンドセグメント設備への電気的接続を示している。
図6図6は、電極構造体の更なる実施態様を示している。
図7図7は、本発明の装置の第三の実施態様を示している。
図8図8は、本発明の装置の第四の実施態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図2は、本発明のプラズマ処理装置の第一の実施態様を示しており、概して100で表している。装置100は、チャンバー102を具備しており、チャンバー102は、チャンバーの上部102aに配置されている適切なガス注入口104を有する。チャンバー102は、概して円筒状の本体部102bを更に具備している。本体部102bは、上部誘電体部102c、下部誘電体部102d及び電極構造体102eを具備しており、電極構造体102eは、上部及び下部の誘電体セクション102c、dの間に配置されている。本体部102bは、ウェハーを装填するスロット106を有する基部セクション102fと、適切なポンプ設備、例えばターボ分子ポンプにつながっている真空ラインに接続することができるポンピングポート108とを更に具備している。チャンバーの内側102は、プラテン110を収納しており、プラテンの上に基材、例えばウェハーを装填する。プラテン110は、図1に示すように、基材を支えるためにより低い位置にある。プラテン110は、次いでその後、プラズマ処理の開始の前に高い位置に上昇させられよう。プラテン110は、静電チャック等の任意の適切な形態であってよい。基材の締結の他の形態、例えば機械的締結を、所望により利用できよう。本技術分野において周知であるように、幾つかのプラズマ処理操作とともに、プラテン110に電気バイアス信号、例えばRFバイアス信号を印加することが望ましいことがある。プラテンは、公知の手段を用いて加熱することができる。
【0043】
チャンバーの本体部102b、並びに上部誘電体セクション102c、下部誘電体セクション102d及び電極構造体102eのそれぞれは、概して円筒状である。上部及び下部の誘電体セクション102c、dは、適切な誘電体、例えばセラミック又は石英から形成されている。電極構造体102eは、適切な金属材料、例えばアルミニウムから形成されている。
【0044】
図3は、上部及び下部の誘電体セクション102c、d並びに電極構造体102eを具備している積重体の斜視図である。表現を簡単にするため、装置100の他の要素は、図3に示していない。図3は、電極構造体102eへの電気的接続も示している。より具体的には、電極構造体102eは、供給点132、134を通してRF電源130と電気的接続している。キャパシタ136は、供給点132、134を横断して接続されている。キャパシタ136は、RF電源130により与えられる作動周波数に電極構造体102eを整調させる。RF電源130により提供されるRF電気信号の周波数は、13.56MHz、2MHz又は任意の他の好都合な周波数であることができる。周波数の整調を用いて、電力及び圧力条件の範囲にわたる整合を与えることができる。整合は、PI若しくはLのネットワーク又は変圧器を用いて達せられる。電極構造体102eは、チャンバー自体の部品を構成しており、かつチャンバーの内側102の内部で誘導結合プラズマを生み出すための一巻き構造のICPプラズマ源をも構成している、非連続的なバンドの形態であることがわかる。一巻きの電極構造体102eは、チャンバーの本体部の外周に完全には延在することができないことを、当業者は認識する筈である。
【0045】
代わりに、電極構造体の一方の周方向端部を、他の周方向端部から隔てている、誘電分断部(dielectric break)138を提供する。誘電分断部は、任意の便利な誘電体で作られていてよい。典型的には、誘電分断部は、上部及び下部の誘電体セクション102c、dを形成している誘電体と同一の誘電体で作られている。典型的には、電極構造体は、チャンバー102の外周の過半の周囲に延在している。例えば、電極構造体は、チャンバーの周囲部の約320°以上で延在していてよく、そして誘電分断部は、チャンバーの周囲部の約40°以下で延在していてよい。
【0046】
図2及び3に記載した装置は、図1に関して上記で説明したタイプの先行技術のICP源とは根本的に異なるICP源を利用していることが認識されよう。特に、本発明のICP源は、チャンバー壁部自体をICP源の一次巻線として利用している。したがって、一次巻線は、チャンバーの内部の誘導結合プラズマ自体に近接している。これは、より効率的な結合及び広範囲の電力/圧力操作形態をもたらす。高電力、高圧、及び/又は高熱荷重での操作も可能である。
【0047】
プラズマの最初の衝突は、電源とアースとの間で簡単に印加できる追加のRF、AC、又はDCポテンシャルを用いて促進することができる。チャンバー内のより低いガス圧を用いて、プラズマの点火を促進することも可能である。プラズマが衝突した後には、より高い操作圧力を基材の処理のために用いることができよう。図4a及び4bは、本発明の第二の実施態様を示している。図4aは、ICP源の部品として用いることができる別の一巻き構造である、円筒状の電極構造体140を示している。一巻きの電極構造体140は、複数の離間しているバンドセグメント140a、b、c、dを具備している。隣接するバンドセグメントは、比較的薄い誘電分断部142により隔てられている。誘電分断部は、誘電体、例えばセラミック又は石英から形成されていてよい。しかしながら、比較的厚い接着剤の層を用いて、有意な絶縁を提供し、そして電極構造体の構造的な完全性を維持することができる。各々のバンドセグメントは、RF源への施すべき電気的接続を与える、バンドセグメント内に形成されている開口部144を有する。追加的に、各々のバンドセグメントは、冷却液を供給する冷却システムへの接続を可能とする、開口146を具備している。バンドセグメントは、バンドセグメントの内部での冷却液の循環を可能とする、内部流路(図示せず)を更に具備している。図4bは、上部誘電体セクション148と下部誘電体セクション150との間に挿入されている、図4aのバンド電極構造体140を示している。図4bに示した3部の円筒状構造体は、図3に示した設備と類似していることが認識される筈である。図4bに示した構造体は、図2に示したタイプのチャンバーの部品として用いることができる。図4bで示しているものはまた、RF供給ライン152、及び隣接するバンドセグメントと関連しているRF供給ラインを横断して接続されている同調キャパシタ154である。水冷接続部156も、図4bに示している。水冷接続部は、図4aに示した開口146と動作接続している。
【0048】
図5は、RF電源(図示せず)からの供給点158、159を経由したRF電力によって、図4に示したバンドセグメントを作動させるために用いることができる電気回路を示している。バンドセグメント140a〜dは、隣接するバンドセグメントを横断して接続されている同調キャパシタ154と並列に接続されている。並列に接続されているN個のセクションを用いることは、印加した電圧をファクターNによって低減させる。これは、誘電分断部及び供給点の周囲での電気的結合を抑制する点で有利であることができる。しかしながら、バンドセグメントを直列に作動させることも可能である。1つの誘電抑制部を有する一巻きをキャパシタンスで整調した場合、N個のバンドセグメントを具備している構造体については、各誘電体は、CNによって整調される。図4及び5に示した設備においては、Nは4である。Nの他の値が可能である。高いN値によれば、インピーダンスは、50オーム未満であることができる。この場合、典型的なジェネレーターからのステップダウンが必要となる可能性がある。4つのセグメント設備において、印加される電圧は、一巻きのチャンバー壁部に給電するために用いられる電圧と同等である。これらの実施態様においては、インピーダンスは、より効率的な整合を可能とする50オームに適度に近いことができる。高度に循環している電流は、壁部及び同調キャパシタを通してのみ流れる。
【0049】
上記のとおり、プラズマの衝突は、電源とアースとの間で簡単に印加される追加のRF、AC又はDC電位を用いることにより促進することができる。複数のセグメントを有する電極構造体の場合、プラズマを衝突させるために用いる追加の電源の交互の極性を用いて隣接するセグメントに給電することが可能である。印加した電圧に関連するスパッタリング及び他の望ましくない作用を最小限にするため、バンドセグメントは、それらの中央部でアースしていてよい。セグメントの選択的なアースは、プラズマの衝突を促進するためにも用いることができる。
【0050】
プラズマは、図4及び5に示した装置を用いて生み出される。電極構造体のおおよその寸法は、直径約70mm、高さ30mmであり、6.35mm厚さのアルミニウムのバンドセグメント壁部(内径約57mm)を有していた。誘電体セクション148、150は、石英から形成されており、外径70mm及び高さ約50mmを有していた。エポキシを用いて、構成部分を結合させて、真空シール及び絶縁を与えた。典型的な処理条件は、約3slpmのN、圧力10Torrであり、1.3kWRFを(13.65MHzで)用いた。これらの条件及び構成は、単純に典型例であり、多くの他の変形態様が可能であることが理解される筈である。多くの典型的な操作条件の下では、チャンバー中で形成されたプラズマは、下流に(すなわち基材支持体及びポンピングポートに向かって)飛んでいくことが理解されている。これは、プラズマが電極構造体の下流端で形成されることをもたらす。これは次いで、上部誘電体セクションよりも下部誘電体セクションを熱的に圧迫する可能性がある。図6は、電極構造体の更なる実施態様を示しており、概して160で表している。電極構造体160は、下部誘電体セクションのこの望ましくない熱負荷を低減させることができる。電極構造体160は、誘電分断部162により隔てられている4個のバンドセグメント160a−dを具備している。各々のバンドセグメントは、その下部、すなわちポンピングポートに最も近い各々のバンドセグメントの領域において形成されている、不連続部を有する。図6に示すように、不連続部164は、長手方向により長く延在しているスロットであることができるが、他の設備が可能である。不連続部は、誘電体で充たされていてもよいが、代わりに不連続部中に物質が配置されていなくてもよい。不連続部は、バンドセグメントを通した一次電流の流路を分断するために作用する。これは、一次電流がバンドセグメントの上部においてのみ循環することをもたらす。これは、プラズマをバンドセグメントの上部領域にのみ閉じ込めて、使用時に、プラズマに関連する熱負荷が高い領域が主に金属の電極構造体の内部に残存するようにすることをもたらすことができる。これは、例えば冷却液に基づくシステムを用いて、金属の電極構造体を冷やすことが容易であるために有利である。
【0051】
電極構造体は、任意の便利な手段により、例えば接着剤、フランジ、Oリング、又は他の手段により、上部及び下部の誘電体セクションに接続されていてよい。原理上は、進歩した堆積技術を用いて形成された単一構造を提供することが可能である。
【0052】
多数のチャンバーを具備している本発明の装置を提供することも可能である。図7は、本発明のプラズマ処理装置の第三の実施態様を示しており、概して170で表している。装置は、第一のチャンバー172及び第二のチャンバー174を具備している。上記に明示した原理に従い、第一のチャンバー172は、誘導結合プラズマ源の一次巻線として作用するように構成されている、電極構造体を具備している。第一のチャンバー172は、第二のチャンバー174にラジカルを供給するためのプラズマ源として作用する。第一のチャンバー172は、遮断弁176を経由して第二のチャンバー174と連結している。第二のチャンバー174は、ポンピングポート178、プラテン180及びシャワーヘッド設備182を具備している。プラテン180は、ウェハー184を支持している。シャワーヘッド182は、適切な処理ガスを第二のチャンバー174中に導入する。処理ガスは、遮断弁188を具備しているガス供給システム186により供給される。装置170は、PE−CVDツールとして機能することができる。図7に示されている設備は、第二のチャンバー174の洗浄のために特に有用である。チャンバー174自体にプラズマが供給された場合、シャワーヘッド182又はプラテン180を電気的に作動させることにより、イオン衝撃が生じ、それによって典型的にはチャンバーの部品を一定時間すり減らす。図7に示した2つのチャンバー設備を提供することにより、第一のチャンバー172が、第二のチャンバー174に有意な濃度のイオンを到達させることなく、第二のチャンバー174にラジカル種を供給することが可能である。この方法においては、急速で低損傷な洗浄を提供することができる。洗浄処理の間、ウェハー184は、チャンバー中に存在していなくてもよい。二酸化ケイ素又は窒化ケイ素を洗浄する場合には、フッ素ラジカルを用いることができるだろうが、他のラジカルの供給も可能である。
【0053】
図8は、本発明のプラズマ処理装置の第四の実施態様を示しており、概して190で表している。装置190は、第一のチャンバー192及び第二のチャンバー194を具備している別の多数のチャンバー設備である。図7に示している設備と同様に、第一のチャンバー192は、誘導結合プラズマ源の一次巻線として作用するように構成されている、電極構造体を具備している。第一のチャンバーは、遮断弁196を経由して第二のチャンバー194へとラジカルを供給するプラズマ源として作用する。第二のチャンバー194は、ポンピングポート198を具備している。図8に示している実施態様においては、部品200、例えば工具部品を、第二のチャンバー194中に適切に配置する。第一のチャンバー192により供給されるラジカルは、所望の方法で部品200の表面を改質するために用いる。例えば、部品200は、プラズマで処理して窒化物コーティングを提供した金属ドリルビットであることができる。また、第一のチャンバー192が、ラジカルの源を提供して、任意の有意なイオン衝撃なしにプラズマ処理が生じるようにすることができる点が有利である。任意の適切なラジカル種、例えば窒素又は酸素ラジカルを用いることができよう。図8に示した装置190は、イオン衝撃が望まれないラジカルに基づくプラズマ処理の他の形態を提供するために用いることができよう。例えば、このタイプの装置を、エピタキシャルCVDにおいて用いることができる。(非常に配向性である傾向がある)イオンは、結晶の成長における転移及び欠陥を引き起こす可能性があるために望まれない。更なる利点は、エピタキシャルCVD処理の温度を低減させることができる点である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8