(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主鎖に環構造とともに、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体(b)由来の構成単位を含み、かつ側鎖に酸基、二重結合及び水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂であって、
該アルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量が8000以上であり、かつ、
ガラス転移温度が20℃以下である形態、又は、炭素数5以上の鎖状アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体(c)由来の構成単位を更に含む形態のいずれか1以上を満たし、
該アルカリ可溶性樹脂は、N置換マレイミド系単量体単位、アクリル系エーテルダイマー単位、及び/又は、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位を有する
ことを特徴とするアルカリ可溶性樹脂。
前記アルカリ可溶性樹脂は、主鎖に環構造を形成しうる単量体(a)、単量体(b)及び酸基含有単量体(d)を含む単量体成分を重合してなる重合体と、エポキシ基含有単量体(X)との反応物である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ可溶性樹脂。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を詳述する。以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も本発明の好ましい形態である。
【0014】
1、アルカリ可溶性樹脂
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、(I)主鎖に環構造とともに、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体(b)由来の構成単位(B)を含み、かつ側鎖に酸基、二重結合及び水酸基を有し、重量平均分子量が7000以上であり、かつガラス転移温度が20℃以下である形態、又は、(II)主鎖に環構造とともに、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体(b)由来の構成単位(B)と、炭素数5以上の鎖状アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体(c)由来の構成単位(C)とを含み、かつ側鎖に酸基、二重結合及び水酸基を有し、重量平均分子量が7000以上である形態のうち、いずれか1以上を満たす。中でも、両者を満たすことが好ましい。
【0015】
上記のいずれの形態であっても、各構成単位や基は、それぞれ1種であってもよいし2種以上であってもよい。また、必要に応じ、更に他の構成単位や基を1種又は2種以上含んでいてもよい。以下では、上記(I)等を満たすアルカリ可溶性樹脂を「アルカリ可溶性樹脂(I)」等とも称す。
【0016】
1)アルカリ可溶性樹脂(I)
まず、アルカリ可溶性樹脂(I)について説明する。
アルカリ可溶性樹脂(I)は、主鎖に環構造を有する。これにより、耐熱性や表面硬度、密着性に優れるうえ、高温暴露後の経時変化が抑制されて各種物性を安定して発現できる硬化物を与えることができる。なお、最近の表示装置では、各種部材に外部からの衝撃に耐えうる強度をもたせるために基板に強化ガラスを使用することがあるが、主鎖に環構造を有する本発明のアルカリ可溶性樹脂を用いると、高温暴露後においても強化ガラスに対して優れた密着性を発揮できる硬化物が得られるため、好適である。
【0017】
上記環構造は特に限定されないが、例えば、イミド環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ラクトン環等が好適である。なお、1又は2以上の環構造を主鎖に有してもよい。
【0018】
上記環構造は、例えば、主鎖に環構造を形成しうる単量体(a)を重合反応に用いることで、アルカリ可溶性樹脂の主鎖骨格に導入することができる。単量体(a)については後述する。
【0019】
アルカリ可溶性樹脂(I)はまた、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体(b)由来の構成単位(B)を含む。これにより、上述の通り加熱処理時に酸が生じ、これと側鎖の水酸基との間で脱水架橋反応が生じるため、高い耐溶剤性が発現される。
【0020】
上記構成単位(B)は、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体(b)が有する重合性炭素−炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)となった構造を意味する。構成単位(B)は、例えば、単量体(b)を重合反応に用いることで、アルカリ可溶性樹脂の主鎖骨格に導入することができる。単量体(b)については後述する。
【0021】
アルカリ可溶性樹脂(I)は、側鎖に酸基を有する。これにより、アルカリ可溶性が発揮され、現像性に優れる硬化物を与えることができる。
【0022】
上記酸基は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられる。中でも、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好ましく、より好ましくはカルボキシル基であり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸基である。(メタ)アクリル酸基とは、アクリル酸基及び/又はメタクリル酸基を意味するが、耐溶剤性をより高める観点から、メタクリル酸基よりもアクリル酸基の方が好ましい。
【0023】
上記アルカリ可溶性樹脂の酸価は、20〜300mgKOH/gであることが好ましい。これにより、アルカリ可溶性がより発現されるのみならず、耐溶剤性がより向上し、また現像速度が適度なものとなって密着性がより向上したり、現像時に表面荒れが生じるおそれをより抑制したりすることもできる。酸価は、より好ましくは25〜160mgKOH/g、更に好ましくは30〜120mgKOH/gである。
本明細書中、酸価は、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
【0024】
上記酸基は、例えば、酸基含有単量体(単量体(d)とも称す)をアルカリ可溶性樹脂の製造時の原料として用いることで、アルカリ可溶性樹脂に導入することができる。単量体(d)については後述する。
【0025】
アルカリ可溶性樹脂(I)はまた、側鎖に水酸基を有する。これにより、上述の通り加熱処理時に、構成単位(B)に由来する酸との間で脱水架橋反応が生じ、高い耐溶剤性が発現される。
【0026】
上記アルカリ可溶性樹脂の水酸基価は、200mgKOH/g以下であることが好ましい。これにより、疎水性が向上するため、密着性が更に向上される。水酸基価は、より好ましくは180mgKOH/g以下、更に好ましくは165mgKOH/g以下である。下限値は特に限定されないが、耐溶剤性向上の観点から、例えば、10mgKOH/g以上であることが好ましい。より好ましくは50mgKOH/g以上、更に好ましくは100mgKOH/g以上である。
本明細書中、水酸基価は、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
【0027】
上記水酸基は、例えば、エポキシ基含有単量体(X)をアルカリ可溶性樹脂の製造時の原料として用いることで、アルカリ可溶性樹脂に導入することができる。エポキシ基含有単量体(X)については後述する。
【0028】
アルカリ可溶性樹脂(I)は更に、側鎖に二重結合(重合性二重結合とも称す)を有する。二重結合を有すると、上述の通り、構成単位(B)と水酸基との間の脱水架橋反応だけでなく、光架橋反応も可能になるため、現像密着性や耐溶剤性、硬化性が向上する。
【0029】
上記アルカリ可溶性樹脂の二重結合当量は、200〜2000g/当量であることが好ましい。これにより、硬化物の耐溶剤性がより向上するとともに、保存安定性や現像性、光に対する感度等も向上する。二重結合当量は、より好ましくは300〜1900g/当量、更に好ましくは400〜1800g/当量である。
【0030】
本明細書中、二重結合当量は、分子中に含まれる二重結合量の尺度となるものであり、重合体の二重結合1個あたりの分子量を意味する。同じ分子量の化合物であれば、二重結合当量の数値が大きいほど二重結合の導入量が少なくなる。
二重結合当量は、原料の仕込み量から計算することができ、重合体固形分の質量(g)を、重合体の二重結合量(mol)で除することにより求めることができる。また、滴定及び元素分析、NMR、IR等の各種分析や示差走査熱量計法を用いて測定することもできる。
【0031】
上記二重結合は、例えば、エポキシ基含有単量体(X)をアルカリ可溶性樹脂の製造時に用いることで、アルカリ可溶性樹脂に導入することができる。
【0032】
アルカリ可溶性樹脂(I)の重量平均分子量(Mw)は、7000以上である。重量平均分子量がこの範囲内にあって、かつガラス転移温度(Tg)が後述する範囲内にあることで、優れた耐溶剤性が発現し、かつ密着性を向上することができる。Mwは、好ましくは7500以上、更に好ましくは8000以上である。上限値は特に限定されないが、取扱い性や現像性を考慮すると、10万以下であることが好ましい。より好ましくは5万以下、更に好ましくは3万以下、特に好ましくは2万以下である。
本明細書中、Mwは、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
【0033】
アルカリ可溶性樹脂(I)のガラス転移温度(Tg)は、20℃以下である。好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下、更に好ましくは0℃以下、特に好ましくは−5℃以下である。下限値は特に限定されないが、−30℃以上であることが好ましい。より好ましくは−20℃以上である。
本明細書中、Tgは、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
【0034】
2)アルカリ可溶性樹脂(II)
次に、アルカリ可溶性樹脂(II)について説明する。
アルカリ可溶性樹脂(II)は、主鎖に環構造とともに、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体(b)由来の構成単位(B)と、炭素数5以上の鎖状アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体(c)由来の構成単位(C)とを含み、側鎖に酸基、二重結合及び水酸基を有する。主鎖の環構造及び構成単位(B)と、側鎖の酸基、二重結合及び水酸基については、上記アルカリ可溶性樹脂(I)において上述した各構造等とそれぞれ同様である。酸価、水酸基価及び二重結合当量も、アルカリ可溶性樹脂(I)と同様の範囲であることが好適である。
【0035】
上記構成単位(C)は、炭素数5以上の鎖状アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体(c)が有する重合性炭素−炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)となった構造を意味する。構成単位(C)は、例えば、単量体(c)を重合反応に用いることで、アルカリ可溶性樹脂の主鎖骨格に導入することができる。単量体(c)については後述する。
【0036】
アルカリ可溶性樹脂(II)の重量平均分子量(Mw)は、7000以上である。重量平均分子量がこの範囲にあって、上記構成単位(C)を含むことで、耐溶剤性の発揮と同時に、密着性を向上することができる。アルカリ可溶性樹脂(II)の重量平均分子量は、アルカリ可溶性樹脂(I)と同様の範囲であることが好適である。
【0037】
アルカリ可溶性樹脂(II)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、密着性向上の観点から、例えば、Tgは50℃以下であることが好ましい。中でも、アルカリ可溶性樹脂(I)に関して上述した範囲とすることがより好ましい。
【0038】
3)アルカリ可溶性樹脂の製造方法
次に、本発明のアルカリ可溶性樹脂の製造方法について説明する。
アルカリ可溶性樹脂(I)及び(II)を得る方法は特に限定されないが、例えば、(1)単量体(a)、(b)及び(d)を少なくとも含む単量体成分を重合してなる重合体(ベースポリマー1とも称す)に、エポキシ基含有単量体(X)を反応させる方法や、(2)単量体(a)、(b)及びエポキシ基含有単量体(X)を少なくとも含む単量体成分を重合してなる重合体(ベースポリマー2とも称す)に、単量体(d)を反応させる方法等が挙げられる。すなわち上記アルカリ可溶性樹脂は、ベースポリマー1とエポキシ基含有単量体(X)との反応物、又は、ベースポリマー2と単量体(d)との反応物であることが好適である。中でも、製造効率の観点から、ベースポリマー1とエポキシ基含有単量体(X)との反応物であることが好適である。以下、合成方法や各単量体等について説明する。
【0039】
3−1)方法(1)
上記方法(1)によりアルカリ可溶性樹脂(I)を得る場合、ベースポリマー1を与える単量体成分は、単量体(a)、(b)及び(d)を少なくとも含む。
【0040】
上記単量体成分に占める各単量体の割合は特に限定されないが、例えば、単量体(a)の含有割合は、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、1〜30質量%であることが好ましい。これにより、現像密着性や耐光密着性、硬度等がより向上する。より好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
単量体(b)の含有割合は、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、10〜60質量%であることが好ましい。これにより、耐溶剤性が更に向上する。より好ましくは12〜55質量%、更に好ましくは15〜50質量%である。
単量体(d)の含有割合は、アルカリ可溶性樹脂の酸価が上述した範囲となるように設定することが好適である。例えば、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、2〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは5〜65質量%、更に好ましくは10〜60質量%である。
【0041】
上記単量体成分はまた、必要に応じ、単量体(a)、(b)及び(d)以外の共重合可能な他の単量体を含んでもよい。例えば、後述する単量体(c)及び共重合可能な単量体(e)の他、その他の単量体が挙げられる。単量体(c)を用いる場合、その含有割合は、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、0〜40質量%であることが好ましい。これにより、密着性がより向上する。より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは2〜35質量%、特に好ましくは3〜30質量%である。共重合可能な単量体(e)を用いる場合、その含有割合は、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
【0042】
また上記方法(1)によりアルカリ可溶性樹脂(II)を得る場合、ベースポリマー1を与える単量体成分は、単量体(a)、(b)、(c)及び(d)を少なくとも含む。
【0043】
上記単量体成分に占める各単量体の割合は特に限定されないが、例えば、単量体(a)の含有割合は、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、1〜30質量%であることが好ましい。これにより、現像密着性や耐光密着性、硬度等がより向上する。より好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
単量体(b)の含有割合は、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、10〜60質量%であることが好ましい。これにより、耐溶剤性が更に向上する。より好ましくは12〜55質量%、更に好ましくは15〜50質量%である。
単量体(c)の含有割合は、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、1〜40質量%であることが好ましい。これにより、密着性が更に向上する。より好ましくは2〜35質量%、更に好ましくは3〜30質量%である。
単量体(d)の含有割合は、アルカリ可溶性樹脂の酸価が上述した範囲となるように設定することが好適である。例えば、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量%に対し、2〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは5〜65質量%、更に好ましくは10〜60質量%である。
【0044】
上記単量体成分はまた、必要に応じ、単量体(a)〜(d)以外の共重合可能な単量体(e)を更に含んでもよい。上記共重合可能な単量体(e)は特に限定されるものではない。上記共重合可能な単量体(e)を含む場合、その含有割合は、アルカリ可溶性樹脂(I)と同様の範囲であることが好適である。
【0045】
ここで、アルカリ可溶性樹脂(I)及び(II)のいずれを得る場合にも、密着性を更に向上する観点から、ベースポリマー1を与える単量体成分は、水酸基を含む単量体(水酸基含有単量体とも称す)をできるだけ含まないことが好適である。具体的には、上記単量体成分100質量%中、水酸基含有単量体の含有割合が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0046】
上記方法(1)において、単量体成分を重合する方法は特に限定されず、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の通常用いられる手法を用いることができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。中でも、溶液重合が、工業的に有利で、分子量等の構造調整も容易であるため好適である。また、上記単量体成分の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、ラジカル重合機構に基づく重合方法が、工業的にも有利であるため好ましい。重合反応の好ましい形態は、特開2016−29151号公報〔0062〕〜〔0072〕に記載のとおりである。
【0047】
上記重合反応における重合開始方法は、熱や電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー源から重合開始に必要なエネルギーを単量体成分に供給すればよく、更に重合開始剤を併用すれば、重合開始に必要なエネルギーを大きく下げることができ、また、反応制御が容易となるため好適である。また上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整等により制御することができる。
【0048】
上記方法(1)では、ベースポリマー1が含む酸基の一部に、エポキシ基含有単量体(X)を付加反応させることになる。この反応方法は特に限定されないが、例えば、反応温度を60〜140℃とすることが好ましい。また、トリエチルアミンやジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;塩化テトラエチルアンモニウム等のアンモニウム塩;臭化テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム塩、ジメチルホルムアミド等のアミド化合物;等の公知の触媒を使用することが好ましい。
【0049】
上記エポキシ基含有単量体(X)の使用量は、酸価、二重結合当量及び水酸基価が上述した範囲となるように適宜設定することが好ましいが、例えば、ベースポリマー1を与える単量体成分の総量100質量部に対し、10〜120重量部とすることが好ましい。これにより、耐溶剤性が更に向上するとともに、硬化性がより高まり硬化物の強度も更に充分なものとなる。より好ましくは20〜100重量部、更に好ましくは30〜80重量部である。
【0050】
3−2)方法(2)
上記方法(2)によりアルカリ可溶性樹脂(I)を得る場合、ベースポリマー2を与える単量体成分は、単量体(a)、(b)及びエポキシ基含有単量体(X)を少なくとも含む。
【0051】
上記単量体成分に占める各単量体の割合は特に限定されないが、例えば、単量体(a)の含有割合は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、1〜30質量%であることが好ましい。これにより、現像密着性や耐光密着性、硬度等がより向上する。より好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
単量体(b)の含有割合は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、10〜60質量%であることが好ましい。これにより、耐溶剤性が更に向上する。より好ましくは12〜55質量%、更に好ましくは15〜50質量%である。
エポキシ基含有単量体(X)の含有割合は、酸価、二重結合当量及び水酸基価が上述した範囲となるように適宜設定することが好ましいが、例えば、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、5〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは20〜65質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。
【0052】
上記単量体成分はまた、必要に応じ、単量体(a)、(b)及びエポキシ基含有単量体(X)以外の共重合可能な他の単量体を含んでもよい。例えば、後述する単量体(c)及び共重合可能な単量体(e)の他、その他の単量体が挙げられる。単量体(c)を用いる場合、その含有割合は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、0〜40質量%であることが好ましい。これにより、密着性がより向上する。より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは2〜35質量%、特に好ましくは3〜30質量%である。共重合可能な単量体(e)を用いる場合、その含有割合は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、0〜40質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
【0053】
また上記方法(2)によりアルカリ可溶性樹脂(II)を得る場合、ベースポリマー2を与える単量体成分は、単量体(a)、(b)、(c)及びエポキシ基含有単量体(X)を少なくとも含む。
【0054】
上記単量体成分に占める各単量体の割合は特に限定されないが、例えば、単量体(a)の含有割合は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、1〜30質量%であることが好ましい。これにより、現像密着性や耐光密着性、硬度等がより向上する。より好ましくは2〜25質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
単量体(b)の含有割合は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、10〜60質量%であることが好ましい。これにより、耐溶剤性が更に向上する。より好ましくは12〜55質量%、更に好ましくは15〜50質量%である。
単量体(c)の含有割合は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、1〜40質量%であることが好ましい。これにより、密着性が更に向上する。より好ましくは2〜35質量%、更に好ましくは3〜30質量%である。
エポキシ基含有単量体(X)の含有割合は、酸価、二重結合当量及び水酸基価が上述した範囲となるように適宜設定することが好ましいが、例えば、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量%に対し、5〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは20〜65質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。
【0055】
上記単量体成分はまた、必要に応じ、単量体(a)〜(c)及びエポキシ基含有単量体(X)以外の共重合可能な単量体(e)を含んでもよい。上記共重合可能な単量体(e)は特に限定されるものではない。上記共重合可能な単量体(e)を含む場合、その含有割合は、アルカリ可溶性樹脂(I)と同様の範囲であることが好適である。
【0056】
ここで、アルカリ可溶性樹脂(I)及び(II)のいずれを得る場合にも、密着性を更に向上する観点から、ベースポリマー2を与える単量体成分は、水酸基を含む単量体(水酸基含有単量体とも称す)をできるだけ含まないことが好適である。具体的には、上記単量体成分100質量%中、水酸基含有単量体の含有割合が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0057】
上記方法(2)において、単量体成分を重合する方法は特に限定されず、方法(1)において上述した重合方法等と同様である。
【0058】
上記方法(2)では、ベースポリマー2が含むエポキシ基の一部に、単量体(d)を付加反応させることになる。この反応方法は特に限定されないが、例えば、反応温度を60℃〜140℃とすることが好ましい。また、トリエチルアミンやジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;塩化テトラエチルアンモニウム等のアンモニウム塩;臭化テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム塩、ジメチルホルムアミド等のアミド化合物;等の公知の触媒を使用することが好ましい。
【0059】
上記単量体(d)の使用量は、ベースポリマー2を与える単量体成分の総量100質量部に対し、10〜100重量部とすることが好ましい。これにより、耐溶剤性が更に向上するとともに、硬化性がより高まり硬化物の強度もより充分なものとなる。より好ましくは15〜70重量部、更に好ましくは20〜40重量部である。
【0060】
上記単量体(d)の付加反応の後、多塩基酸無水物を反応させることも好適である。この反応は、ベースポリマー2が含むエポキシ基と単量体(d)との反応により生じる水酸基に、多塩基酸無水物を反応させることで、カルボキシル基を生じさせるものである。この反応を行うことで、酸価をより適切な量に調整することができる。
【0061】
上記多塩基酸無水物としては特に限定されないが、例えば、無水コハク酸(別名:コハク酸無水物)、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等の二塩基酸無水物;トリメリット酸無水物;等が挙げられる。
【0062】
上記多塩基酸無水物の使用量は特に限定されず、得られるアルカリ可溶性樹脂の酸価及び水酸基価が上述した範囲となるように設定することが好ましい。
【0063】
3−3)単量体
以下に、各単量体について更に説明する。
<単量体(a)>
単量体(a)は、主鎖に環構造を形成しうる単量体(主鎖に環構造を導入し得る単量体とも称す)である。例えば、分子内に二重結合含有環構造を有する単量体や、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する単量体等が挙げられ、中でも、N置換マレイミド系単量体、アクリル系エーテルダイマー、及び、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。単量体(a)としてこのような化合物を用いた場合、上記アルカリ可溶性樹脂は、N置換マレイミド系単量体単位、アクリル系エーテルダイマー単位、及び/又は、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位を有する重合体となる。
なお、単量体単位とは、単量体に由来する構成単位を意味し、具体的には、例えば単量体の重合反応や架橋反応によって、当該単量体中の重合性炭素−炭素二重結合(C=C)が単結合(C−C)となった構造を意味する。
【0064】
ここで、N置換マレイミド系単量体単位及び/又はアクリル系エーテルダイマー単位を有すると、硬化物において耐熱性、硬度及び分散性(例えば色材分散性等)等がより向上され、アクリル系エーテルダイマー単位を有すると、耐熱着色性も向上する。また、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位を有すると、硬化物において、密着性、硬化性、乾燥再溶解性等の製版性に寄与する性能や、色材分散性、耐熱性、透明性等がより向上される。
【0065】
上記N置換マレイミド系単量体としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ナフチルマレイミド、p−メチルベンジルマレイミド、p−ブチルベンジルマレイミド、p−ヒドロキシベンジルマレイミド、o−クロロベンジルマレイミド、o−ジクロロベンジルマレイミド、p−ジクロロベンジルマレイミド等が挙げられ、中でも、透明性の観点から、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドが好ましく、特にN−ベンジルマレイミドが好適である。
【0066】
上記N−ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p−メチルベンジルマレイミド、p−ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p−ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o−クロロベンジルマレイミド、o−ジクロロベンジルマレイミド、p−ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド;等が挙げられる。
【0067】
アクリル系エーテルダイマーとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0069】
上記式中、R
1及びR
2は、同一又は異なって、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の有機基を表す。炭素数1〜25の有機基としては、置換基を有していてもよい、炭素数1〜25の炭化水素基であることが好適である。例えば、特開2013−61599号公報〔0037〕に例示された、直鎖状又は分岐状のアルキル基;アリール基;脂環式基;アルコキシで置換されたアルキル基;アリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。中でも、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような、酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素の炭化水素基が耐熱性の点で好ましい。
なお、R
1及びR
2は、同種の有機基であってもよいし、異なる有機基であってもよい。
【0070】
上記アクリル系エーテルダイマーの中でも、ジアルキル−2,2’−(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体が好適である。具体的には、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
【0071】
これらの中でも、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。着色の少なさや分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、より好ましくは、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートである。
【0072】
α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体としては、例えば、アルキル−(α−メタリルオキシメチル)アクリレートや、α−(アリルオキシメチル)アクリレートが好適である。中でも、α−(アリルオキシメチル)アクリレートがより好ましい。
【0073】
上記α−(アリルオキシメチル)アクリレートとしては、例えば、下記式(2)で表される化合物が好適である。
【0075】
上記式中、R
3は、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の有機基を表す。なお、本明細書では、「α−(アリルオキシメチル)アクリレート」に、R
3が水素原子を表す化合物(すなわちα−アリルオキシメチルアクリル酸)も包含する。
【0076】
上記R
3は、目的や用途に合わせて適宜選択すればよいが、R
3が表し得る炭素数1〜30の有機基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であることが好適である。具体的には、例えば、特開2013−061599号公報〔0037〕に例示された、鎖状飽和炭化水素基;鎖状飽和炭化水素基の水素原子の一部をアルコキシ基で置き換えたアルコキシ置換鎖状飽和炭化水素基;鎖状飽和炭化水素基の水素原子の一部をヒドロキシ基で置き換えたヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基;鎖状飽和炭化水素基の水素原子の一部をハロゲンで置き換えたハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基;鎖状不飽和炭化水素基、及び、その水素原子の一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲンで置き換えた鎖状不飽和炭化水素基;脂環式炭化水素基、及び、その水素原子の一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲンで置き換えた脂環式炭化水素基;芳香族炭化水素基及びその水素原子の一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲンで置き換えた芳香族炭化水素基;等が挙げられる。また、これら有機基に更に任意の置換基が結合していてもよい。
【0077】
上記α−(アリルオキシメチル)アクリレートの具体例としては、例えば、α−アリルオキシメチルアクリル酸、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−プロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸i−プロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘプチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等の鎖状飽和炭化水素基含有α−(アリルオキシメチル)アクリレートが好ましい。その他、特開2013−061599号公報〔0037〕に例示された化合物(例えば、アルコキシアルキル−α−(アリルオキシメチル)アクリレート等)も好適である。これらの中でも、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(α−(アリルオキシメチル)メチルアクリレートとも称す)が特に好適である。
【0078】
上記α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体は、例えば、国際公開第2010/114077号パンフレットに記載の製造方法により製造することができる。
【0079】
<単量体(b)>
単量体(b)は、3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体である。
3級炭素含有(メタ)アクリレート系単量体とは、分子中に、(メタ)アクリロイル基と、第3級炭素原子とを、それぞれ1又は2以上有する化合物である。第3級炭素原子とは、該炭素原子に結合している他の炭素原子が3個である、炭素原子を意味する。
【0080】
上記単量体(b)は、(メタ)アクリロイル基に隣接する酸素原子が第3級炭素原子と結合した構造を有することが好ましい。これにより、加熱処理時に単量体(b)由来の構成単位(B)がより分解されやすくなるため、硬化性や硬化後の耐溶剤性が更に向上する。
【0081】
上記単量体(b)としては、1分子中に重合性炭素−炭素二重結合を1個有する化合物、すなわち1分子中に(メタ)アクリロイル基(CH
2=C(R
4)−C(=O)−)を1個有する化合物であることが好ましい。中でも、下記式(3)で表される化合物がより好適である。
CH
2=C(R
4)−C(=O)−O−A (3)
式中、R
4は、水素原子又はメチル基を表す。Aは、酸素原子側に第3級炭素原子を有する構造を含む、一価の有機基を表す。
【0082】
上記式(3)において、Aで表される有機基は、例えば、−C(R
5)(R
6)(R
7)で表すことができる。この場合、R
5、R
6及びR
7は、同一又は異なって、炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよいし、不飽和炭化水素基であってもよく、環状構造を有するものであってもよいし、更に置換基を有していてもよい。また、R
5、R
6及びR
7は、互いに末端部位で連結して環状構造を形成していてもよい。Aで表される有機基は、分岐構造を有していてもよい。
【0083】
上記R
5、R
6及びR
7は、熱分解により3級炭素原子部分(上記式(3)でいえばAで表される部位)が脱離しやすくなる観点から、同一又は異なって、炭素数1〜20の飽和炭化水素基であることが好適である。より好ましくは1〜10の飽和炭化水素基、更に好ましくは1〜5の飽和炭化水素基、特に好ましくは2〜4の飽和炭化水素基である。
【0084】
上記単量体(b)として特に好ましくは、tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−アミル(メタ)アクリレート等である。中でも、tert−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。また、(メタ)アクリレートの中でも、耐溶剤性をより発揮できる観点から、アクリレートが好適である。従って、上記単量体(b)として最も好ましくは、tert−ブチルアクリレートである。
【0085】
<単量体(c)>
上記ベースポリマー1及び2を得るための単量体成分は、更に単量体(c)を含むことが好適である。これによりアルカリ可溶性樹脂(II)を得ることができる。
【0086】
上記単量体(c)は、炭素数5以上の鎖状アルキル鎖を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体である。鎖状アルキル鎖の炭素数は5以上であればよいが、耐溶剤性の観点から、6以上であることが好ましい。より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上である。また、上限は特に限定されないが、架橋の阻害や耐溶剤性の観点から、30以下が好ましい。より好ましくは20以下である。
【0087】
上記鎖状アルキル鎖は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。
【0088】
上記単量体(c)はまた、そのホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満であることが好適である。これにより、密着性向上効果をより発揮することができる。ホモポリマーのガラス転移温度は、より好ましくは−5℃以下、更に好ましくは−10℃以下である。
【0089】
<単量体(d)>
単量体(d)は、酸基含有単量体である。すなわち1分子内に1又は2以上の酸基を有する単量体である。酸基については上述した通りである。
【0090】
上記単量体(d)として特に好ましくは(メタ)アクリル酸である。(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味するが、中でも、耐溶剤性の点で、メタクリル酸よりもアクリル酸の方が好ましい。
【0091】
<エポキシ基含有単量体(X)>
エポキシ基含有単量体(X)は、エポキシ基と、重合性二重結合とを含む化合物である。重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、反応性の点で(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0092】
本明細書中、エポキシ基には、狭義のエポキシ基の他、グリシジル基のようにオキシラン環が炭素に結合している基や、グリシジルエーテル基及びグリシジルエステル基のようにエーテル結合又はエステル結合を含む基、エポキシシクロヘキサン環等が含まれるものとする。
【0093】
上記エポキシ基含有単量体(X)としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられる。中でも、反応性が高く、かつ反応のコントロールがしやすいうえ、入手が容易で、ラジカル重合性二重結合だけでなく同時に水酸基も導入できる点から、(メタ)アクリル酸グリシジル、及び/又は、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルがより好ましい。更に好ましくは(メタ)アクリル酸グリシジル(別名:グリシジル(メタ)アクリレート)であり、特に好ましくはメタクリル酸グリシジルである。
【0094】
<単量体(e)>
本発明のアルカリ可溶性樹脂はまた、現像性、溶媒溶解性等を調整するために、共重合可能な単量体(e)由来の構成単位を更に含んでいてもよい。上記共重合可能な単量体(e)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、又はその他共重合可能な単量体が挙げられる。
【0095】
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、硬化物の表面硬度等を考慮すると、脂環骨格を有する単量体が好ましく、具体的には、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートを用いることが好適である。
【0096】
上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはまた、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸s−アミル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸t−ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸t−アミル等の他、1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカ−2−イルメタアクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン等も挙げられる。中でも、耐熱性や色材分散性、溶剤再溶解性のバランスを取り易い点で、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アルキルが好適である。
【0097】
上記芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。中でも、樹脂の耐熱着色性や耐熱分解性の点で、スチレン及び/又はビニルトルエンが好適である。
【0098】
上記その他共重合可能な単量体としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類;等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0099】
本発明のアルカリ可溶性樹脂は、耐溶剤性や耐熱性に優れる他、硬化性や透明性にも優れる硬化物を与えることができるため、例えば、レジスト材料、各種コーティング剤、塗料等の各種用途に好適に用いることができる。良好な現像性も有するため、カラーフィルタの着色画素、ブラックマトリックス、オーバーコート、フォトスペーサーや光導波路等を作製するためのアルカリ現像型のネガ型レジスト材料等に有用である。また、良好な色材分散性も有するため、カラーフィルタ用着色硬化性樹脂組成物にも有用である。上記アルカリ可溶性樹脂は、特にカラーレジスト用バインダー樹脂やソルダーレジスト用樹脂等として使用することが好ましく、上記アルカリ可溶性樹脂は、感光性樹脂組成物の主成分として極めて有用である。
【0100】
2、感光性樹脂組成物
本発明の感光性樹脂組成物(単に「樹脂組成物」とも称す)は、上述した本発明のアルカリ可溶性樹脂を含む。必要に応じ、更に他の成分を含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
【0101】
本明細書中、「感光性樹脂組成物(樹脂組成物)の固形分総量」とは、樹脂組成物の含有成分のうち、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等を除く)の総量を意味する。
【0102】
1)アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂については上述したとおりである。上述した本発明のアルカリ可溶性樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂を併用してもよい。これらアルカリ可溶性樹脂は、感光性樹脂組成物中でバインダー樹脂として作用し得る。
【0103】
アルカリ可溶性樹脂の含有割合(2種以上含む場合はその合計量)は特に限定されないが、例えば樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、5〜70質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜65質量%、更に好ましくは15〜60質量%である。
【0104】
2)着色剤(色材)
上記樹脂組成物は、着色剤を含むことが好ましい。これにより、カラーフィルター用途により有用なものとなる。なお、上記樹脂組成物は、色材を含む場合に特に優れた耐溶剤性を発揮でき、色材の染みだしを充分に抑制することができる。
【0105】
着色剤(色材)としては、例えば、顔料や染料が好適に使用される。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、顔料と染料とを組み合わせてもよい。このように着色剤が顔料及び/又は染料である形態は、本発明の好適な形態の1つである。なお例えば、カラーフィルターの赤色、青色、緑色画素を形成する場合、青と紫、緑と黄等、色材を組み合わせて求める色特性を発揮させる手法が好適に使用され、ブラックマトリックスを形成する場合には黒の色材を用いて形成することができる。
【0106】
顔料及び染料の中でも、例えば耐久性の点では、顔料(例えば有機顔料又は無機顔料)が優れ、また、例えばパネル等の輝度向上の点では染料が優れることから、求められる特性に応じて適宜これらを選択又は併用すればよい。顔料の中でもより好ましくは有機顔料である。
【0107】
上記顔料としては、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、多環式顔料(例えばキナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、アントラキノン系、キノフタロン系、金属錯体系、ジケトピロロピロール系等)、染料レーキ系顔料等の有機顔料;白色・体質顔料(例えば酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、クレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、有彩顔料(例えば黄鉛、カドミニウム系、クロムバーミリオン、ニッケルチタン、クロムチタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、ジンククロメート、鉛丹、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム、バナジン酸ビスマス等)、黒色顔料(例えばカーボンブラック、ボーンブラック、グラファイト、鉄黒、チタンブラック等)、光輝材顔料(例えばパール顔料、アルミ顔料、ブロンズ顔料等)、蛍光顔料(例えば硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム等)等の無機顔料が挙げられる。また、使用できる顔料の色としては、黄色、赤色、紫色、青色、緑色、褐色、黒色、白色等が挙げられる。
【0108】
上記顔料はまた、目的や用途に応じて、ロジン処理、界面活性剤処理、樹脂系分散剤処理、顔料誘導体処理、酸化皮膜処理、シリカコーティング、ワックスコーティング等の表面処理がなされていてもよい。
【0109】
上記顔料の具体例としては、例えば、特開2015−42697号公報の段落番号0103〜0107に記載された、C.I.ピグメントイエロー1、138等の黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ1等の橙色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1等の紫色顔料;C.I.ピグメントレッド1等の赤色顔料;C.I.ピグメントブルー1等の青色顔料;C.I.ピグメントグリーン1、58等の緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン5等の褐色顔料;アニリンブラック、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉄、チタンブラック、C.I.ピグメントブラック1等の黒色顔料;C.I.ピグメントホワイト1等の白色顔料;等が挙げられる。「C.I.」はカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists発行)を意味し、数字はカラーインデックスナンバーを意味する。
【0110】
上記染料としては、例えば、特開2010−9033号公報、特開2010−211198号公報、特開2009−51896号公報、特開2008−50599号公報に記載されている有機染料を使用することができる。中でも、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が好ましい。
【0111】
上記着色剤の含有割合(好ましくは顔料及び染料の合計割合)は、目的、用途に応じて、適宜設定することができるが、例えば、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、3〜70質量%とすることが好ましい。より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。
【0112】
3)分散剤
上記樹脂組成物が色材(着色剤)を含む場合、分散剤を更に含むことが好適である。分散剤とは、色材への相互作用部位と分散媒(例えば溶剤やバインダー樹脂)への相互作用部位とを有し、色材の分散媒への分散を安定化する働きを持つものであり、一般的には、樹脂型分散剤(例えば高分子分散剤)、界面活性剤(例えば低分子分散剤)、色素誘導体に分類される。上記樹脂組成物は、色材とともに分散剤を含むことが好適である。
【0113】
上記樹脂型分散剤としては特に限定されないが、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水素基含有ポリカルボン酸エステル、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/ポリプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0114】
上記樹脂型分散剤の構造は、主鎖が色材への相互作用部位を有するアンカー鎖で、グラフト鎖が分散媒への相互作用性を有する相溶性鎖であるようなグラフト構造の樹脂や、アンカー鎖と相溶性鎖がブロック構造になっている樹脂が、特に好ましく用いられる。
【0115】
上記樹脂型分散剤として具体的には、例えば、特開2015−42697号公報の段落番号0112に記載の商品等が挙げられる。
【0116】
上記界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤;等が挙げられる。
【0117】
上記色素誘導体とは、官能基を色素に導入した構造の化合物であり、官能基としては、例えば、スルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、ジアルキルアミノ基、水酸基、カルボキシル基、アミド基、フタルイミド基等が挙げられる。母体となる色素の構造としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系等が挙げられる。
【0118】
上記分散剤(すなわち、樹脂型分散剤、界面活性剤及び/又は色素誘導体)の含有割合は、目的や用途に応じて適宜設定すればよいが、分散安定性、耐久性(耐熱性、耐光性、耐候性等)及び透明性のバランスの観点から、例えば、樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.01〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜40質量%である。
【0119】
4)重合性化合物
上記樹脂組成物はまた、重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物とは、重合性単量体とも称し、フリーラジカル、電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー線の照射等により重合し得る、重合性不飽和結合(重合性不飽和基とも称す)を有する低分子化合物である。例えば、重合性不飽和基を分子中に1つ有する単官能の化合物と、2個以上有する多官能の化合物が挙げられる。
【0120】
上記単官能の重合性単量体としては、例えば、N置換マレイミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド類;不飽和モノカルボン酸類;不飽和多価カルボン酸類;不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;不飽和酸無水物類;芳香族ビニル類;共役ジエン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;N−ビニル化合物類;不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。また、活性メチレン基や活性メチン基を有する単量体等を用いることもできる。
【0121】
上記多官能の重合性単量体としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
【0122】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;
【0123】
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;
【0124】
(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
【0125】
エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル等の多官能アリルエーテル類;
【0126】
(メタ)アクリル酸アリル等のアリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類;トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル基含有イソシアヌレート類;トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類との反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル類;等。
【0127】
上記重合性化合物の中でも、樹脂組成物の硬化性をより高める観点から、多官能の重合性化合物を用いることが好適である。重合性化合物として多官能の重合性化合物を用いる場合、その官能数として好ましくは3以上であり、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上である。また、硬化収縮をより抑制する観点から、官能数は10以下が好ましく、より好ましくは8以下である。
また上記重合性化合物の分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、2000以下が好適である。
【0128】
上記重合性化合物として多官能の重合性化合物を用いる場合、当該重合性化合物の中でも、反応性、経済性、入手性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート化合物等の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好適である。より好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物であり、これによって樹脂組成物が感光性及び硬化性により優れたものとなり、より一層高硬度で高透明性の硬化物を得ることが可能になる。更に好ましくは、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることである。
【0129】
上記樹脂組成物において、重合性化合物の含有割合は、用いる重合性化合物やアルカリ可溶性樹脂の種類の他、目的や用途等に応じて適宜設定すればよいが、現像性や製版性により優れる観点から、樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、2〜80質量%とすることが好ましい。より好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは8〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%、最も好ましくは10〜40質量%である。
【0130】
5)光重合開始剤
上記樹脂組成物はまた、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤として好ましくは、ラジカル重合性の光重合開始剤である。
【0131】
上記ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものであり、通常使用されるものを1種又は2種以上使用することができる。また、必要に応じて、光増感剤や光ラジカル重合促進剤等を1種又は2種以上併用してもよい。光重合開始剤とともに、光増感剤及び/又は光ラジカル重合促進剤を使用してもよいし、使用しなくてもよい。光増感剤及び/又は光ラジカル重合促進剤を併用しなくても本願発明の効果は充分に発揮されるが、併用した場合は感度や硬化性がより向上される。
【0132】
上記光重合開始剤として具体的には、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
【0133】
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボキニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;オキシムエーテル系化合物;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9−フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;等。
【0134】
上記光重合開始剤の中でも、アルキルフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物、及び/又は、オキシムエーテル系化合物を用いることが好適である。オキシムエステル系化合物及びオキシムエーテル系化合物を「オキシム系化合物」と総称するが、オキシム系化合物を用いた場合には、樹脂組成物の硬化性が著しく向上し、得られる硬化物の耐溶剤性が飛躍的に向上する。
【0135】
上記樹脂組成物において、光重合開始剤の含有量は、目的、用途等に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、光重合開始剤を除く樹脂組成物の固形分総量100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好適である。これにより、密着性により優れた硬化物を得ることができる。より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、特に好ましくは2質量部以上、最も好ましくは5質量部以上である。また、光重合開始剤の分解物が与える影響や経済性等とのバランスを考慮すると、30質量部以下であることが好ましい。より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
【0136】
上記光重合開始剤と併用してもよい光増感剤や光ラジカル重合促進剤としては、例えば、キサンテン色素、クマリン色素、3−ケトクマリン系化合物、ピロメテン色素等の色素系化合物;4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のジアルキルアミノベンゼン系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプタン系水素供与体;等が挙げられる。
【0137】
上記光増感剤及び光ラジカル重合促進剤は、上述したように使用しなくてもよいが、使用する場合は、硬化性、分解物が与える影響及び経済性のバランスの観点から、樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.001〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01〜15質量%、更に好ましくは0.05〜10質量%である。
【0138】
6)溶剤
上記樹脂組成物はまた、溶剤を含むことが好ましい。溶剤は、希釈剤等として好ましく使用される。すなわち具体的には、粘度を下げ取扱い性を向上する;乾燥により塗膜を形成する;色材の分散媒とする;等のために好適に使用され、樹脂組成物中の各含有成分を溶解又は分散することができる、低粘度の有機溶媒又は水である。
【0139】
溶剤としては、通常使用するものを1種又は2種使用することができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されない。例えば、モノアルコール類;グリコール類;環状エーテル類;グリコールモノエーテル類;グリコールエーテル類;グリコールモノエーテルのエステル類;アルキルエステル類;ケトン類;芳香族炭化水素類;脂肪族炭化水素類;アミド類;水;等が好ましい。これらの溶媒の具体例として、特開2015−42697号公報〔0042〕に記載の化合物等が挙げられる。例えば、グリコールモノエーテルのエステル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。
【0140】
上記溶剤の使用量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、樹脂組成物の総量100質量%中に、10〜90質量%含まれるようにすることが好ましい。より好ましくは20〜80質量%である。
【0141】
7)その他の成分
上記樹脂組成物は更に、それが適用される各用途の要求特性に応じて、例えば、耐熱向上剤;レベリング剤;現像助剤;シリカ微粒子等の無機微粒子;シラン系、アルミニウム系、チタン系等のカップリング剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;多官能チオール化合物等の硬化助剤;可塑剤;重合禁止剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;等を更に含んでいてもよい。
【0142】
本発明の感光性樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した含有成分を、各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。混合・分散工程は特に限定されず、通常の手法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。なお、上記樹脂組成物が色材を含む場合は、色材の分散処理工程を経て製造することが好適である。
【0143】
上記色材の分散処理工程としては例えば、まず色材(好ましくは有機顔料)、分散剤及び溶剤を各所定量秤量し、ペイントコンディショナー、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ニーダー、ブレンダー等の分散機を用い、色材を微粒子分散させて液状の色材分散液(ミルベースとも称す)とする手法が挙げられる。好ましくは、ロールミル、ニーダー、ブレンダー等で混練分散処理をしてから、0.01〜1mmのビーズを充填したビーズミル等のメディアミルで微分散処理をする。得られたミルベースに、別途攪拌混合しておいたアルカリ可溶性樹脂等を含む組成物(好ましくは透明液)を加えて混合、均一な分散溶液とし、樹脂組成物を得ることができる。
なお、得られた樹脂組成物は、フィルター等によって濾過処理をして微細なゴミを除去することが好ましい。
【0144】
3、硬化物
本発明の感光性樹脂組成物は、耐溶剤性や耐熱性、感光性に優れる硬化物を与えるものである。この硬化物はまた、硬化性、現像性、基板との密着性、透明性、画像形成性及び表面平滑性等にも優れ、例えば、現像後に未露光部の残渣や地汚れ等がないものである。このような上記樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、本発明の1つである。
【0145】
上記硬化物(硬化膜)は、その膜厚(厚み)が0.1〜20μmであることが好適である。これにより、上記硬化物を用いた部材や表示装置等の低背化要求に充分に応えることができる。より好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは0.5〜8μmである。
【0146】
上記硬化物は、例えば、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルター、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト等の、各種の光学部材や電機・電子機器等の用途に好ましく使用される。中でも、カラーフィルターに用いることが好ましい。このように上記樹脂組成物を用いてなるカラーフィルター、すなわち具体的には、基板上に上記硬化物を有するカラーフィルターもまた、本発明の1つである。
以下では、カラーフィルターについて更に説明する。
【0147】
4、カラーフィルター
本発明のカラーフィルターは、基板上に、上記硬化物を有する形態からなる。
上記カラーフィルターにおいて、本発明の感光性樹脂組成物により形成される硬化物は、例えば、ブラックマトリクスや、赤色、緑色、青色、黄色等の各画素のような着色が必要なセグメントとして特に好適であるが、フォトスペーサー、保護層、配向制御用リブ等の着色が必ずしも必要としないセグメントとしても好適である。
【0148】
上記カラーフィルターに使用される基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、アルカリ強化ガラス、シリカコート青板ガラス等のガラス基板;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等の熱可塑性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;セラミック基板;光電変換素子を有する半導体基板;表面に色材層を備えるガラス基板(例えばLCD用カラーフィルタ)等の各種材料から構成される部材;等が挙げられる。中でも、耐熱性の点から、ガラス基板や、耐熱性樹脂からなるシート、フィルム又は基板が好ましい。また、上記基板は透明基板であることが好適である。上記基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
【0149】
上記カラーフィルターを得るには、例えば、画素一色につき(すなわち、一色の画素ごとに)、基板上に、上記樹脂組成物を配置する工程(配置工程とも称す)と、該基板上に配置された樹脂組成物に光を照射する工程(光照射工程とも称す)と、現像液により現像処理する工程(現像工程とも称す)と、加熱処理する工程(加熱工程とも称す)とを含む手法を採用し、これと同じ手法を各色で繰り返す製造方法を採用することが好適である。なお、各色の画素の形成順序は、特に限定されるものではない。
【0150】
上記各工程の好ましい形態は、特開2016−29151号公報〔0125〕〜〔0137〕に記載のとおりである。なお、上記現像工程では、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒又はアルカリ性水溶液を現像液として用いることが好ましく、アルカリ性水溶液は、アルカリ剤として無機のアルカリ剤やアミン類を含むことが好ましい。アルカリ性水溶液を用いる場合は、現像後、水で洗浄することが好適である。
【0151】
5、表示装置用部材又は表示装置
本発明はまた、上記カラーフィルターを備える表示装置用部材又は表示装置でもある。
上記樹脂組成物により形成される硬化物(硬化膜)は、耐溶剤性や耐熱性に優れるうえ、高い透過率を有するものであるから、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜としても有用である。
【0152】
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適である。
なお、上記硬化物(硬化膜)を表示装置用部材として用いる場合、当該部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材であってもよい。
【実施例】
【0153】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。なお、各種物性等は以下のようにして測定した。
【0154】
1、重合体物性
1)重量平均分子量(Mw)
GPC(HLC−8220GPC、東ソー社製)にてTHFを溶離液とし、カラムにTSKgel SuperHZM−N(東ソー社製)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算にて算出した。
【0155】
2)固形分
共重合体溶液をアルミカップに約0.3gはかり取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。その後、熱風乾燥機(商品名:PHH−101、エスペック社製)を用い、140℃で3時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、重量を測定した。その重量減少量から、ポリマー溶液の固形分(樹脂)の重量を計算した。
【0156】
3)酸価
共重合体溶液を1.5g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液で滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM−555、平沼産業社製)を用いて行い、固形分濃度から、ポリマー1g当たりの酸価(mgKOH/g)を求めた。
【0157】
4)水酸基価
JIS K0070(1992年)に従い、共重合体1gをアセチル化させたときに、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を求め、これを水酸基価(mgKOH/g)とした。
【0158】
5)ガラス転移温度(Tg)
共重合体溶液をガラス基板に塗布し、ガラス基板上にスピンコートし、減圧下にて室温、4時間乾燥し、膜重量30mg以下の薄膜を形成することにより揮発成分を除去された得られた固形分を得た。得られた固形分をDSC(示差走査熱量計法、測定機器:ネッチDSC3500)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/minでJIS K7121(2012年)に準拠し測定した。
【0159】
2、硬化膜物性
1)耐溶剤性
樹脂組成物を5cm角のガラス基板上にスピンコートし、100℃で3分間乾燥後、高圧水銀灯にて100mJで露光を行い、230℃で30分時間熱処理を行い、膜厚5μmの薄膜を得た。その後、1−メチル−2−ピロリドン20gに95℃で10分間浸漬し、塗膜から溶出した1−メチル−2−ピロリドンの色相を分光光度計UV3100(島津製作所社製)で測定して、450nmの吸光度を求めた。
【0160】
2)パターン密着性
10cm角のガラス基板上に、樹脂組成物をスピンコーターにより塗布し、オーブンで90℃3分間乾燥した。乾燥後、塗膜から100μmの距離に15μmのラインアンドスペースを有するフォトマスクを配置して2.0kWの超高圧水銀ランプを装着したUVアライナ(商品名「TME−150RNS」、TOPCON社製)によって100mJ/cm
2の強度(365nm照度換算)で紫外線を照射した。紫外線照射後、塗膜に0.05%の水酸化カリウム水溶液をスピン現像機にて散布し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で10秒間水洗することにより現像して、ラインアンドスペースのパターンを形成し、パターン欠損の有無を観察した。その時、パターンに剥がれの生じる時間を記録した。
【0161】
製造例1
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、ベンジルマレイミド(BzMI)5.0g、アクリル酸(AA)25.0g、アクリル酸t−ブチル(TBA)45.0g、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)25.0g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーブチル(登録商標)O」、日本油脂社製、以下PBOともいう)2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)17.0g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、ドデシルメルカプタン(nDM)3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA113.0gとPGME48.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBOを0.5g加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル(GMA)40.0g、重合禁止剤として6−tert−ブチル−2,4−キシレノール(商品名「トパノール」、東京化成工業社製)0.3g、触媒としてジメチルベンジルアミン(DMBA)0.5g、PGMEA6.0g、PGME3.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−1)を得た。各種物性を表1に示す。
【0162】
製造例2
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA60.0g、TBA25.0g、メタクリル酸ドデシル(LMA)10.0g、PBO2.0g、PGMEA12.0g及びPGME12.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA9.0g及びPGME9.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA91.0gとPGME91.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA70.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA17.0g、PGME17.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−2)を得た。各種物性を表1に示す。
【0163】
製造例3
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA46.0g、メタクリル酸−t−ブチル(TBMA)29.0g、2−EHA20.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0g及びPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM7.0g、PGMEA9.0g及びPGME4.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA130.0gとPGME56.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA80.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA38.0g、PGME16.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−3)を得た。各種物性を表1に示す。
【0164】
製造例4
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA45.0g、TBA47.0g、2−EHA3.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0g及びPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA127.0gとPGME54.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA70.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA24.0g、PGME10.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−4)を得た。各種物性を表1に示す。
【0165】
製造例5
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、GMA53.0g、TBA15.0g、2−EHA27.0g、PBO2.0g、PGMEA24.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM5.0g、PGMEA15.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA124.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、AA27.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA36.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。次いで、反応槽に、コハク酸無水物(SAH)9.0gを投入し、115℃で5時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−5)を得た。各種物性を表1に示す。
【0166】
製造例6
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート(MD)5.0g、AA25.0g、TBA45.0g、2−EHA25.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0g及びPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA113.0gとPGME48.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA40.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA6.0g、PGME3.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−6)を得た。各種物性を表1に示す。
【0167】
製造例7
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、(α−アリルオキシメチル)アクリル酸メチル(AMA)5.0g、AA25.0g、TBA45.0g、2−EHA25.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0g及びPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA113.0gとPGME48.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA40.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA6.0g、PGME3.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−7)を得た。各種物性を表1に示す。
【0168】
製造例8
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA50.0g、TBA45.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0g及びPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA113.0gとPGME48.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA80.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA48.0g、PGME21.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−8)を得た。各種物性を表1に示す。
【0169】
製造例9
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI30.0g、AA30.0g、TBA30.0g、2−EHA10.0g、PBO2.0g、PGMEA102.0g及びPGME44.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA28.0gとPGME12.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA40.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA6.0g、PGME3.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−9)を得た。各種物性を表1に示す。
【0170】
製造例10
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA30.0g、2−EHA65.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0g及びPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA127.0gとPGME54.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA50.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5gを仕込み、PGMEA3.0g、PGME1.0g、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−10)を得た。各種物性を表1に示す。
【0171】
製造例11
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI5.0g、AA5.0g、TBA50.0g、2−EHA40.0g、PBO2.0g、PGMEA17.0g及びPGME7.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM1.0g、PGMEA13.0g及びPGME6.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA75.0gとPGME32.0g、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温し1.5時間、115℃を維持した。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−11)を得た。各種物性を表1に示す。
【0172】
製造例12
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備した。
他方、モノマー滴下槽中に、モノマー組成物として、BzMI35.0g、AA35.0g、TBA30.0g、PBO2.0g、PGMEA74.0g及びPGME32.0gを投入し、撹拌混合した。
また、連鎖移動剤滴下槽中に、連鎖移動剤溶液として、nDM3.0g、PGMEA12.0g及びPGME5.0gを投入し、撹拌混合した。
反応槽にPGMEA57.0gとPGME24.0gを仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液を滴下した。モノマー組成物及び連鎖移動剤溶液は、それぞれ温度を90℃に保ちながら、180分間かけて滴下した。滴下が終了してから30分後にPBO0.5gを加えた。更に30分後、反応槽を115℃に昇温した。1.5時間、115℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=7/93(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
次いで、反応槽に、GMA40.0g、重合禁止剤としてトパノール0.3g、DMBA0.5g、PGMEA6.0g、PGME3.0gを仕込み、110℃で1時間、115℃で10時間反応させた。その後、室温まで冷却し、共重合体溶液(A−12)を得た。各種物性を表1に示す。
【0173】
【表1】
【0174】
表1中の記号は、下記のとおりである。
nDM:ドデシルメルカプタン
BzMI:ベンジルマレイミド
MD:ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート
AMA:α−(アリルオキシメチル)メチルアクリレート
AA:アクリル酸
GMA:メタクリル酸グリシジル
2−EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
LMA:メタクリル酸ラウリル
BA:アクリル酸ブチル
TBA:アクリル酸t−ブチル
TBMA:メタクリル酸t−ブチル
SAH:コハク酸無水物
【0175】
試験例1
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を12.9部、分散剤としてディスパロンDA−7301(楠本化成社製)を0.4部、色材としてC.I.ピグメントグリーン58を2.25部、及び、C.I.ピグメントイエロー138を1.5部混合し、ペイントシェーカーにて3時間分散することで顔料分散体を得た。
共重合体溶液(A−1)を2.0部、ラジカル重合性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を0.8部、ラジカル重合性光重合開始剤としてイルガキュア369(BASFジャパン社製)を0.4部、顔料分散体を8.7部、溶媒としてPGMEA7.4部を混合し、樹脂組成物1を得た。この樹脂組成物1を用い、上記方法に従って硬化膜の耐溶剤性を評価した。結果を表2に示す。
【0176】
試験例2〜12
表2に示す配合にしたこと以外は試験例1と同様にして、樹脂組成物2〜12を各々得た後、硬化膜の耐溶剤性を評価した。結果を表2に示す。
【0177】
【表2】
【0178】
上記結果より、以下の事項を確認した。
製造例1〜9で得たアルカリ可溶性樹脂は、いずれも本発明のアルカリ可溶性樹脂に該当するが、これらを用いた硬化膜物性は、いずれも吸光度が低く、基板への密着性にも優れることが分かった。従って、本発明のアルカリ可溶性樹脂は、耐溶剤性が高く、基板への密着性にも優れることが分かった。
なお、上記には示していないが、製造例1〜9で得たアルカリ可溶性樹脂はいずれも、硬化性や現像性(アルカリ現像性)にも優れることを確認した。