(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807798
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造
(51)【国際特許分類】
H02G 9/10 20060101AFI20201221BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20201221BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
H02G9/10
H02G1/06
A01M1/20 A
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-86652(P2017-86652)
(22)【出願日】2017年4月25日
(65)【公開番号】特開2018-186638(P2018-186638A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591095823
【氏名又は名称】株式会社九電工
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】古野 純二
(72)【発明者】
【氏名】安田 真之
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3165904(JP,U)
【文献】
特開2000−324669(JP,A)
【文献】
特開2000−314126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/10
H02G 1/06
A01M 1/20
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造であって、
前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備え、
前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられており、かつ、
前記筒状体は、防蟻成分を含有する材料からなる、地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項2】
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造であって、
前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備え、
前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられており、
前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部と、その本体筒部における前記底壁の上方に突出する上部筒部から外方に突出するとともに前記底壁の上面に接するフランジ部とを備え、
前記上部筒部と、前記フランジ部とで、前記関壁が構成され、また、
前記本体筒部と前記フランジ部とは、別体に形成され、
前記フランジ部は、前記上部筒部の外周に嵌まるようにして前記本体筒部に取り付けられている、地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項3】
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造であって、
前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備え、
前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられており、
前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部を備え、その本体筒部における、前記底壁の上方に突出する上部筒部が、前記関壁を構成し、また、
前記本体筒部は、合成樹脂からなり、その合成樹脂により内面が平滑に形成されている、地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項4】
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造であって、
前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備え、
前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられており、
前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部を備え、その本体筒部における、前記底壁の上方に突出する上部筒部が、前記関壁を構成し、
前記水抜孔の内面と前記本体筒部の外面とが、粘着性を備えた粘着体によって貼り付けられており、かつ、
前記粘着体は、防蟻成分を含有する、地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項5】
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造であって、
前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備え、
前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられており、
前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部を備え、その本体筒部における、前記底壁の上方に突出する上部筒部が、前記関壁を構成し、また、
前記本体筒部は、縮径可能に形成されている、地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項6】
前記本体筒部は、前記底壁の下方に突出する長さを有する、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項7】
前記筒状体は、水抜孔に挿入される筒部材と、前記関壁を有して前記筒部材に着脱可能に螺合する関壁形成材とを備える、請求項1に記載の地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項8】
前記筒部材は、内面に雌ねじが設けられ、
前記関壁形成材は、前記関壁と、その関壁から下方に延びる延設筒部とを備え、その延設筒部の外面に、前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている、請求項7に記載の地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項9】
前記関壁は、前記底壁の上面に接するように外方に突出して形成されている、請求項7または8に記載の地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項10】
前記関壁の内側は、白蟻の通過を防止するとともに水の通過を許容する大きさの網目を有する網状体で覆われている、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【請求項11】
前記網状体は、前記関壁に、着脱可能に取り付けられている、請求項10に記載の地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中埋設箱の水抜孔からの白蟻の侵入を防ぐための防蟻構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設される地中埋設箱においては、その底面に、地中埋設箱内に浸入した水を排出するための水抜孔が形成されていた。例えば、特許文献1に示されるハンドホール(地中埋設箱)では、
図9に示すように、その底面22に、段付の筒状形状をしたソケット継手23が埋設され、そのソケット継手23の筒内が水抜孔24となって、ハンドホール21内に浸入した水を排出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−314126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のハンドホール21(地中埋設箱)においては、底面22に水抜孔24が設けられることから、その水抜孔24からハンドホール21内に白蟻が侵入する虞があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、水抜孔からの白蟻の侵入を防ぐことができる、地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造である。この防蟻構造は、前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備える。
前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられている。ここで、前記筒状体は、防蟻成分を含有する材料からなる。
【0007】
この防蟻構造によると、地中埋設箱内に浸入した水は、底壁まで降下するが、水抜孔の周縁部に関壁が設けられることで、水は、関壁を囲むようにして水抜孔の周囲に溜められる。このため、水抜孔から地中埋設箱内に侵入しようとする白蟻は、水抜孔の周囲の水に遮られて、それ以上先に進むことができない。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
また、請求項
2に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造である。この防蟻構造は、前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備える。前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられている。ここで、前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部と、その本体筒部における前記底壁の上方に突出する上部筒部から外方に突出するとともに前記底壁の上面に接するフランジ部とを備える。そこで、前記上部筒部と、前記フランジ部とで、前記関壁が構成される。前記本体筒部と前記フランジ部とは、別体に形成される。そして、前記フランジ部は、前記上部筒部の外周に嵌まるようにして前記本体筒部に取り付けられている。
この防蟻構造によると、地中埋設箱内に浸入した水は、底壁まで降下するが、水抜孔の周縁部に関壁が設けられることで、水は、関壁を囲むようにして水抜孔の周囲に溜められる。このため、水抜孔から地中埋設箱内に侵入しようとする白蟻は、水抜孔の周囲の水に遮られて、それ以上先に進むことができない。
【0014】
また、請求項
3に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造である。この防蟻構造は、前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備える。前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられている。ここで、前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部を備え、その本体筒部における、前記底壁の上方に突出する上部筒部が、前記関壁を構成する。そして、前記本体筒部は、合成樹脂からなり、その合成樹脂により内面が平滑に形成されている。
この防蟻構造によると、地中埋設箱内に浸入した水は、底壁まで降下するが、水抜孔の周縁部に関壁が設けられることで、水は、関壁を囲むようにして水抜孔の周囲に溜められる。このため、水抜孔から地中埋設箱内に侵入しようとする白蟻は、水抜孔の周囲の水に遮られて、それ以上先に進むことができない。そして、本体筒部の内面が平滑に形成されることで、本体筒部の内面をのぼろうとする白蟻の進行が困難となる。
【0015】
【0016】
また、請求項
4に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造である。この防蟻構造は、前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備える。前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられている。ここで、前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部を備え、その本体筒部における、前記底壁の上方に突出する上部筒部が、前記関壁を構成する。そして、前記水抜孔の内面と前記本体筒部の外面とが、粘着性を備えた粘着体によって貼り付けられている。そこで、前記粘着体は、防蟻成分を含有する。
この防蟻構造によると、地中埋設箱内に浸入した水は、底壁まで降下するが、水抜孔の周縁部に関壁が設けられることで、水は、関壁を囲むようにして水抜孔の周囲に溜められる。このため、水抜孔から地中埋設箱内に侵入しようとする白蟻は、水抜孔の周囲の水に遮られて、それ以上先に進むことができない。そして、水抜孔の内面と本体筒部の外面とが、粘着性を備えた粘着体によって貼り付けられているため、水抜孔の内面と本体筒部の外面との間からの水の漏れを的確に防ぐことができ、水抜孔の周囲に水を確実に溜めることができる。また、水抜孔の内面と本体筒部の外面との間の粘着体が防蟻成分を含有することで、その粘着体を食い破って白蟻が地中埋設箱内に侵入しようとするのを防ぐことができる。
【0017】
また、請求項
5に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、
地中に埋設される地中埋設箱の底壁に貫通形成された水抜孔の防蟻構造である。この防蟻構造は、前記水抜孔の周囲の前記底壁上に所定量の水を溜めることができるように、前記水抜孔の周縁部全周に、上方に突出する関壁を備える。前記関壁は、前記地中埋設箱とは別体の、両端が開口する筒状体により形成されて、その筒状体が、前記地中埋設箱に取り付けられている。ここで、前記筒状体は、前記水抜孔に挿入される本体筒部を備え、その本体筒部における、前記底壁の上方に突出する上部筒部が、前記関壁を構成する。そして、前記本体筒部は、縮径可能に形成されている。
この防蟻構造によると、地中埋設箱内に浸入した水は、底壁まで降下するが、水抜孔の周縁部に関壁が設けられることで、水は、関壁を囲むようにして水抜孔の周囲に溜められる。このため、水抜孔から地中埋設箱内に侵入しようとする白蟻は、水抜孔の周囲の水に遮られて、それ以上先に進むことができない。そして、本体筒部は、縮径可能に形成されているため、本体筒部を縮径した状態で水抜孔に挿入し、その後に所定の径となるよう拡径することで、この本体筒部を水抜孔に簡単に配置することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の防蟻構造において、前記本体筒部は、前記底壁の下方に突出する長さを有する。
また、請求項
7に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、請求項
1に記載
の防蟻構造において、前記筒状体は、水抜孔に挿入される筒部材と、前記関壁を有して前記筒部材に着脱可能に螺合する関壁形成材とを備える。こうして、関壁形成材が、筒部材に着脱可能に螺合することで、使用により関壁形成材が損傷したり劣化したりした場合に、この関壁形成材を容易に交換することができる。
【0019】
また、請求項
8に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、請求項
7に記載
の防蟻構造において、前記筒部材は、内面に雌ねじが設けられている。そして、前記関壁形成材は、前記関壁と、その関壁から下方に延びる延設筒部とを備え、その延設筒部の外面に、前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。
【0020】
また、請求項
9に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、請求項
7または
8に記載
の防蟻構造において、前記関壁は、前記底壁の上面に接するように外方に突出して形成されている。
【0021】
また、請求項
10に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、請求項1ないし
9のいずれか1項に記載の防蟻構造において、前記関壁の内側は、白蟻の通過を防止するとともに水の通過を許容する大きさの網目を有する網状体で覆われている。
【0022】
また、請求項
11に記載の発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造は、請求項
10に記載の防蟻構造において、前記網状体は、前記関壁に、着脱可能に取り付けられている。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造によれば、水抜孔の周縁部全周に関壁を設けることで、水抜孔の周囲に水を溜め、水抜孔からの白蟻の侵入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の第一の実施の形態の、防蟻構造であって底壁に水が溜められた状態を示す縦断面図である。
【
図3】同じく、水抜孔の内面に粘着体を付けた状態を示す縦断面図である。
【
図6】同じく、本体筒部の他の例を示す拡大斜視図である。
【
図7】この発明の第二の実施の形態の、防蟻構造であって底壁に水が溜められた状態を示す縦断面図である。
【
図8】この発明の第三の実施の形態の、防蟻構造であって底壁に水が溜められた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明に係る地中埋設箱の水抜孔の防蟻構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1〜
図6は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、地中に埋設される地中埋設箱を示す。1aは、前記地中埋設箱1の底壁を示す。1bは、前記底壁1aに貫通形成された水抜孔を示す。2は、前記地中埋設箱1の水抜孔1bの防蟻構造を示す。
【0027】
この防蟻構造2は、地中埋設箱1において、水抜孔1bの周囲の底壁1a上に所定量の水Wを溜めることができるように、水抜孔1bの周縁部全周に、上方に突出する関壁3を備える。つまり、関壁3は、底壁1a上に所定量の水Wを溜める高さを有し、その高さを超える水Wは、関壁3を越えて水抜孔1bの内側を通ることで下方に排出される。
【0028】
詳細には、関壁3は、地中埋設箱1とは別体の、両端が開口する筒状体4により形成されて、その筒状体4が、地中埋設箱1に取り付けられている。そして、この筒状体4は、防蟻成分を含有する材料からなる。
【0029】
また、筒状体4は、水抜孔1bに挿入される本体筒部5を備え、その本体筒部5における、地中埋設箱1の底壁1aの上方に突出する上部筒部5aが、前記関壁3を構成する。さらに、この本体筒部5は、地中埋設箱1の底壁1aの下方に突出する長さを有している。
【0030】
より詳細には、本体筒部5は、合成樹脂からなり、その合成樹脂により、本体筒部5は、内面が平滑に形成されている。
【0031】
具体的には、地中埋設箱1は、ハンドホールとかマンホール等からなり、有底箱状に形成される。この地中埋設箱1の底壁1aは、その上面側の中央部に、周囲よりも一段下がった窪み1cが設けられ、その窪み1cの中心に、前記水抜孔1bがあけられている。
【0032】
筒状体4は、本体筒部5からなる。この本体筒部5は、両端が開口する円筒形状をしている。そして、本体筒部5は、防蟻成分を含有する材料(図示実施の形態においては、合成樹脂)からなる。つまり、本体筒部5は、防蟻成分を含有し、その防蟻成分は、例えば、クロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物であったり、また、ピレスロイド系化合物、有機リン剤、カーバメート剤、ホウ素化合物、フッ素化合物であったりする。そこで、この防蟻成分が、例えば、マイクロカプセルに封入され、ベースとなる塩化ビニル樹脂とかポリエチレン樹脂等の合成樹脂材料に混練されて成形され、本体筒部5が形成される。そして、これら防蟻成分を適宜選択し、また、その含有率を調整することで、本体筒部5は、白蟻を忌避する忌避機能を備えたり、白蟻を殺虫する殺虫機能を備えたりする。
【0033】
また、水抜孔1bの内面と本体筒部5の外面とが、それら両者間に介在する粘着性を備えた粘着体6(例えば、ブチルテープ)によって貼り付けられている。そして、この粘着体6は、防蟻成分を含有する。この防蟻成分としては、例えば、本体筒部5における防蟻成分と同様のものが用いられる。ここで、
図2は、地中埋設箱1を示す。
図3は、地中埋設箱1における水抜孔1bの内面に、粘着体6を付けた状態を示す。
図4は、その粘着体6が付いた水抜孔1bに本体筒部5(筒状体4)を挿入して形成される、水抜孔1bの防蟻構造2を示す。そして、
図1は、水抜孔1bの防蟻構造2において、水抜孔1bの周囲の底壁1a上(図示実施の形態においては、窪み1c内)に水Wが溜められた状態を示す。
【0034】
また、本体筒部5は、縮径可能に形成される。図示実施の形態においては、本体筒部5は、その周面に、軸方向に沿ってその軸方向の両端に達する切割部5bが形成されている。そこで、本体筒部5は、切割部5bを挟んで向かい合う先端部5c、5cを、径方向にずらし周面を重ねるようにして縮径することができる。なお、本体筒部5を水抜孔1bに挿入した後には、その本体筒部5の前記上部筒部5aにある切割部5bを塞ぐように、ブチルテープ7が貼り付けられている(
図5参照)。なお、この
図5においては、本体筒部5の前記先端部5c、5cを、互いに突き合わせた状態で、前記ブチルテープ7を貼り付けているが、
図6に示すように、それら先端部5c、5cを、径方向にずらし周面を重ねた状態で、前記ブチルテープ7を貼り付けてもよい。
【0035】
次に、以上の構成からなる防蟻構造2の作用効果について説明する。この防蟻構造2によると、地中埋設箱1内に浸入した水Wは、底壁1aまで降下するが、水抜孔1bの周縁部に関壁3が設けられることで、水Wは、関壁3を囲むようにして水抜孔1bの周囲に溜められる。このため、水抜孔1bから地中埋設箱1内に侵入しようとする白蟻は、水抜孔1bの周囲の水Wに遮られて、それ以上先に進むことができない。すなわち、この防蟻構造2によれば、水抜孔1bの周縁部全周に関壁3を設けることで、水抜孔1bの周囲に水Wを溜め、水抜孔1bからの白蟻の侵入を防ぐことができる。ところで、白蟻の群飛時期は、ヤマトシロアリは、4月から5月、イエシロアリは、6月から7月であり、特にイエシロアリの群飛時期は、梅雨時期と重なる。このため、その群飛時期には、自ずと雨水(水W)は、地中埋設箱1内に浸入し水抜孔1bの周囲に溜められる。
【0036】
また、本体筒部5(筒状体4)は、防蟻成分を含有する材料からなる。このため、水抜孔1bからの白蟻の侵入をより一層防ぐことができる。しかも、本体筒部5(筒状体4)が、地中埋設箱1の底壁1aの下方に突出する長さを有しており、この下方への突出余長によって、本体筒部5(筒状体4)の内面をのぼろうとする白蟻がその本体筒部5(筒状体4)の上端に達することが困難となる。
【0037】
また、本体筒部5は、その内面が平滑に形成されている。これにより、本体筒部5の内面をのぼろうとする白蟻の進行が困難となる。
【0038】
また、水抜孔1bの内面と本体筒部5の外面とが、粘着性を備えた粘着体6によって貼り付けられている。これによって、水抜孔1bの内面と本体筒部5の外面との間からの水Wの漏れを的確に防ぐことができ、水抜孔1bの周囲に水Wを確実に溜めることができる。そして、この粘着体6、つまり水抜孔1bの内面と本体筒部5の外面との間の粘着体6が、防蟻成分を含有することで、その粘着体6を食い破って白蟻が地中埋設箱1内に侵入しようとするのを防ぐことができる。
【0039】
また、本体筒部5は、縮径可能に形成されている。このため、本体筒部5を縮径した状態で水抜孔1bに挿入し、その後に所定の径となるよう拡径することで、この本体筒部5を水抜孔1bに簡単に配置することができる。
【0040】
図7は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態の防蟻構造2は、第一の実施の形態とは筒状体4が本体筒部5の他にフランジ部8を備える点が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0041】
筒状体4は、本体筒部5と、フランジ部8とを備える。フランジ部8は、本体筒部5の上部筒部5aから外方に突出するとともに底壁1aの上面に接するものである。そこで、本体筒部5における上部筒部5aとこのフランジ部8とで、関壁3が構成される。
【0042】
詳細には、本体筒部5とフランジ部8とは、別体に形成される。そして、フランジ部8は、上部筒部5aの外周に嵌まるようにして本体筒部5に取り付けられている。より詳細には、本体筒部5は、円筒状に形成され、フランジ部8は、円環状に形成されている。そして、フランジ部8は、本体筒部5と同様に、防蟻成分を含有する材料からなる。図示実施の形態においては、フランジ部8は、防蟻成分を含有するゴムからなる。つまり、フランジ部8は、防蟻成分を含有し、その防蟻成分は、例えば、クロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物であったり、また、ピレスロイド系化合物、有機リン剤、カーバメート剤、ホウ素化合物、フッ素化合物であったりする。そこで、この防蟻成分が、例えば、マイクロカプセルに封入され、ベースとなるゴム材料に混練されて成形され、フランジ部8が形成される。そして、これら防蟻成分を適宜選択し、また、その含有率を調整することで、フランジ部8は、白蟻を忌避する忌避機能を備えたり、白蟻を殺虫する殺虫機能を備えたりする。
【0043】
また、防蟻構造2は、網状体9を備える。詳しくは、網状体9は、白蟻の通過を防止するとともに水の通過を許容する大きさの網目(例えば、0.67mm角の網目(目開き))を有し、関壁3の内側は、その網状体9で覆われている。そして、この網状体9は、関壁3(図示実施の形態においては、フランジ部8の上端部分)に、着脱可能に取り付けられている。
【0044】
この防蟻構造2の作用効果は、第一の実施の形態と同様であるが、筒状体4は、本体筒部5の他に、底壁1aの上面に接するフランジ部8を備えることから、白蟻が、底壁1aの下方から、水抜孔1bの内面と本体筒部5との間を通って底壁1aの上面までのぼったとしても、底壁1aの上面に接するフランジ部8により、白蟻がそれ以上地中埋設箱1内に侵入するのが困難となる。
【0045】
また、防蟻構造2は、筒状体4の他に網状体9を備えている。この網状体9が関壁3の内側を覆うことで、白蟻が、本体筒部5内に空中蟻道を作りその空中蟻道内をのぼって地中埋設箱1内に侵入しようとしても、この網状体9により、それ以上の侵入を防ぐことができる。また、この網状体9が関壁3に着脱可能に取り付けられていることから、網状体9が損傷したり劣化したりした場合には、網状体9を交換することができ、また、網状体9が汚れた場合には、網状体9を外して掃除することができる。
【0046】
図8は、本発明の第三の実施の形態を示す。この実施の形態の防蟻構造2は、第一の実施の形態とは筒状体4が筒部材10と関壁形成材11とで形成される点が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0047】
筒状体4は、水抜孔1bに挿入される筒部材10と、関壁3を有して筒部材10に着脱可能に螺合する関壁形成材11とを備える。詳細には、筒部材10は、内面に雌ねじ10aが設けられている。そして、関壁形成材11は、関壁3と、その関壁3から下方に延びて筒部材10の内側に嵌まる延設筒部11aとを備え、その延設筒部11aの外面に、筒部材10の雌ねじ10aと螺合する雄ねじ11bが設けられている。
【0048】
より詳細には、筒部材10は、地中埋設箱1の底壁1aの下方に突出する長さを有する。この筒部材10は、円筒状に形成され、その内面の全長に渡って前記雌ねじ10aが形成される。そして、筒部材10は、第一の実施の形態における本体筒部5と同様に、防蟻成分を含有する材料からなる。また、第一の実施の形態における本体筒部5と同様に、水抜孔1bの内面と筒部材10の外面とが、粘着性を備えた粘着体6(詳しくは、防蟻成分を含有する粘着体)によって貼り付けられる。
【0049】
関壁形成材11においては、関壁3は、底壁1aの上面に接するように外方に突出して形成されている。詳しくは、関壁3は、円環状に形成されている。延設筒部11aは、関壁3の内径3a側から下方に延びて、円筒状に形成されている。そして、この関壁形成材11を螺合により筒部材10に組み付けたとき、延設筒部11aは、筒部材10の下端に達することなく控えた位置にある。このため、筒部材10の雌ねじ10aは、下部側が露出している。なお、この関壁形成材11は、第二の実施の形態におけるフランジ部8と同様に、防蟻成分を含有する材料、詳しくは防蟻成分を含有するゴムからなる。
【0050】
また、防蟻構造2は、第二の実施の形態における防蟻構造2と同様に、網状体9を備える。詳細には、網状体9は、関壁形成材11(図示実施の形態においては、関壁3、詳しくは、関壁3の上端部分)に、着脱可能に取り付けられている。
【0051】
この防蟻構造2の作用効果は、第一の実施の形態と同様であるが、筒状体4は、筒部材10と関壁形成材11とを備えて、関壁形成材11が、筒部材10に着脱可能に螺合する。これにより、使用により関壁形成材11が損傷したり劣化したりした場合に、この関壁形成材11を容易に交換することができる。そして、網状体9がこの関壁形成材11に設けられていることから、網状体9が損傷したり劣化したりした場合には、網状体9を関壁形成材11ごと交換することができ、また、網状体9が汚れた場合には、網状体9を関壁形成材11ごと外して掃除することができる。さらには、網状体9が関壁形成材11(詳しくは、関壁3)に着脱可能に取り付けられていることから、網状体9が損傷したり劣化したりした場合には、網状体9を関壁形成材11から外すことで網状体9のみを交換することもでき、また、網状体9が汚れた場合には、網状体9のみを外して掃除することもできる。また、筒部材10の雌ねじ10aは、下部側が露出している。このため、筒部材10の内面をのぼろうとする白蟻の歩行距離が長くなり、筒状体4の内部を通っての白蟻の侵入が困難となる。
【0052】
また、水抜孔1bの内面と筒部材10の外面とが、粘着性を備えた粘着体6によって貼り付けられている。これによって、水抜孔1bの内面と筒部材10の外面との間からの水Wの漏れを的確に防ぐことができ、水抜孔1bの周囲に水Wを確実に溜めることができる。そして、この粘着体6、つまり水抜孔1bの内面と筒部材10の外面との間の粘着体6が、防蟻成分を含有することで、その粘着体6を食い破って白蟻が地中埋設箱1内に侵入しようとするのを防ぐことができる。
【0053】
そして、関壁3は、底壁1aの上面に接するように外方に突出して形成されている。これにより、白蟻が、底壁1aの下方から、水抜孔1bの内面と筒部材10との間を通って底壁1aの上面までのぼったとしても、底壁1aの上面に接する関壁3により、白蟻がそれ以上地中埋設箱1内に侵入するのが困難となる。
【0054】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第一の実施の形態において、本体筒部5(筒状体4)は、防蟻成分を含有するが、この防蟻成分を含有しなくてもよい。同様に、第二の実施の形態において、本体筒部5とフランジ部8とは、防蟻成分を含有するが、それら本体筒部5とフランジ部8との両方、あるいはいずれか一方は、防蟻成分を含有しなくてもよい。また、第三の実施の形態においても、筒部材10と関壁形成材11とは、防蟻成分を含有するが、それら筒部材10と関壁形成材11との両方、あるいはいずれか一方は、防蟻成分を含有しなくてもよい。また、第一および第二の実施の形態において、水抜孔1bの内面と本体筒部5の外面との間に設けられる粘着体6は、防蟻成分を含有するが、この防蟻成分を含有しなくてもよい。同様に、第三の実施の形態において、水抜孔1bの内面と筒部材10の外面との間に設けられる粘着体6は、防蟻成分を含有するが、この防蟻成分を含有しなくてもよい。
【0055】
また、第一および第二の実施の形態において、本体筒部5は、底壁1aの下方に突出する長さを有するが、底壁1aの下方に突出することなく水抜孔1bに挿入されてもよい。また、この本体筒部5は、縮径可能に形成されているが、縮径可能に形成されなくてもよい。つまり、本体筒部5に切割部5bが設けられなくてもよい。
【0056】
また、第三の実施の形態においても、筒部材10は、底壁1aの下方に突出する長さを有するが、底壁1aの下方に突出することなく水抜孔1bに挿入されてもよい。また、この筒部材10には、その周面に、軸方向に沿ってその軸方向の両端に達する切割部が形成されてもよい。
【0057】
また、第二の実施の形態において、本体筒部5とフランジ部8とは、別体に形成されているが、一体に形成されても構わない。
【0058】
また、第二の実施の形態において、網状体9は、フランジ部8に設けられているが、本体筒部5に設けられてもよい。また、第一の実施の形態にあっても、本体筒部5(詳しくは、関壁3となる上部筒部5a)に網状体9を設けても構わない。反対に、第二の実施の形態において、網状体9を設けなくてもよい。また、第三の実施の形態においても、網状体9が設けられているが、この網状体9を設けなくてもよい。
【0059】
また、第三の実施の形態において、関壁3は、底壁1aの上面に接するように外方に突出して形成されているが、外方に突出して形成されることなく、例えば、延設筒部11aと同様の筒状に形成されてもよい。
【0060】
また、第三の実施の形態において、筒部材10は、その内面の全長に渡って雌ねじ10aが形成されているが、この雌ねじ10aは、全長に渡ることなく形成(例えば、雄ねじ11bと螺合する部分にのみ形成)されてもよい。
【0061】
また、第三の実施の形態において、筒部材10には雌ねじ10aが設けられ、関壁形成材11には雄ねじ11bが設けられているが、例えば、筒部材10を底壁1aの上方に突出させるとともに、関壁形成材11の延設筒部11aをなくして、その関壁形成材11(関壁3)を筒部材10の外側に嵌めるようにし、筒部材10の外面に雄ねじを設け、関壁形成材11(関壁3)の内面に、筒部材10の雄ねじと螺合する雌ねじを設けるようにしてもよい。
【0062】
また、関壁3は、地中埋設箱1とは別体の筒状体4により形成されているが、地中埋設箱1と一体に形成(例えば、コンクリートにより地中埋設箱1と関壁3とが一体に形成)されてもよい。
【0063】
また、関壁3の内側あるいは筒状体4の内側に、弁(つまり、降下する水は通過し、上昇する水は止まる弁)を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 地中埋設箱
1a 底壁
1b 水抜孔
2 防蟻構造
3 関壁
4 筒状体
5 本体筒部
5a 上部筒部
6 粘着体
8 フランジ部
9 網状体
10 筒部材
10a 雌ねじ
11 関壁形成材
11a 延設筒部
11b 雄ねじ
W 水