(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、多層フィルム及び超音波接合した積層体の実施形態に対する参照を詳細に行い、その実施例は、添付図面において更に説明される。多層フィルムは、布様のバックシートを生成するために使用することができる。しかしながら、これは、単に、本明細書で開示される実施形態の実例となる実現形態に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上で論じられる問題に類似する問題の影響を受け易い、他の技術に適用することができる。例えば、布様のワイプ、フェースマスク、外科用ガウン、ティッシュ、包帯、及び創傷被覆材を生成するために使用される多層フィルムは、明確に本実施形態の範囲内にある。本明細書で使用するときに、「多層フィルム」は、少なくとも部分的に連続していて、好ましくは、しかし随意に、同一の領域を占める、2つ以上の層を有するフィルムを指す。
【0014】
本明細書の実施形態において、多層フィルムは、コア層及び2つのスキン層を備える。スキン層は、いかなる不織布材料をも含有しない。コア層は、2つのスキン層の間に位置付けられる。一実施形態において、コア層は、2つを超える層、または3つを超える層、または5つを超える層を備えることができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、多層フィルムは、コア層と各スキン層との間に位置付けられる、構造層、バリア層、またはタイ層などの、1つ以上の追加的な層を備えることができる。これらの材料には様々な材料を使用することができ、該材料としては、ポリプロピレン系プラストマー若しくはエラストマー、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、配向ポリプロピレン(OPP)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)コポリマー、ポリアクリル酸イミド、アクリル酸ブチル、ペルオキシド(ペルオキシポリマーなど、例えばペルオキシオレフィン)、シラン(例えば、エポキシシラン)、反応性ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、オレフィンブロックコポリマー、プロピレンコポリマー、プロピレンエチレンコポリマー、ULDPE、LLDPE、HDPE、MDPE、LMDPE、LDPE、アイオノマー、及びグラフト変性ポリマー(例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン)が挙げられる。
【0016】
コア層は、ポリエチレンポリマーブレンドを含み、ポリエチレンポリマーブレンドは、エチレン系ポリマーを含む。各スキン層は独立して、プロピレン系ポリマーを含む。プロピレン系ポリマーは、プロピレンホモポリマー、ポリプロピレンポリマーブレンド、またはプロピレンコポリマーとすることができる。
【0017】
本明細書の実施形態において、多層フィルムは、ポリエチレン系とすることができる。多層フィルムに関して本明細書で使用するときに、「ポリエチレン系」は、多層フィルムが、主として(すなわち、多層フィルムの総重量の50%を超える)ポリエチレン樹脂で構成されることを意味する。「ポリエチレン」は、エチレンのホモポリマー、またはエチレンと、そのポリマー単位の大部分がエチレンに由来する1つ以上のコモノマーとのコポリマーを指す。また、本明細書では、多層フィルムを備える超音波接合した積層体も開示される。
【0018】
両方のスキン層とコア層との厚さ比は、良好な超音波接合特性をフィルムに与えるのに適した比率とすることができる。いくつかの実施形態において、両方のスキン層とコア層との厚さ比は、1:10〜1:1とすることができる。他の実施形態において、両方のスキン層とコア層との厚さ比は、1:5〜1:1とすることができる。更なる実施形態において、両方のスキン層とコア層との厚さ比は、1:4〜1:2とすることができる。両方のスキン層とコア層との厚さ比はまた、パーセンテージによって表現することもできる。例えば、いくつかの実施形態において、コア層は、全フィルム厚さの50%超〜90%を構成する。他の実施形態において、コア層は、全フィルム厚さの60%〜85%を構成する。更なる実施形態において、コア層は、全フィルム厚さの65%〜80%を構成する。本明細書の実施形態において、2つのスキン層は、等しい厚さを有することができ、または代替的に、等しくない厚さを有することができる。
【0019】
コア層
コア層は、ポリエチレンポリマーブレンドを含む。本明細書で使用するときに、「ポリエチレンポリマーブレンド」は、2つ以上のポリエチレンポリマーの混合物を指す。ポリエチレンポリマーブレンドは、不混和性、混和性、または相溶性とすることができる。2つ以上のポリエチレンポリマーの各々は、エチレンモノマーに由来するその構成単位の重量で50%を超えて構成する。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマーを含むことができる(2つ以上のコモノマーに由来する構成単位を意味する)。本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、コア層の少なくとも70重量%を含む。いくつかの実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、コア層の少なくとも75重量%、コア層の少なくとも85重量%、コア層の少なくとも95重量%、コア層の少なくとも99重量%、またはコア層の100重量%を含むことができる。
【0020】
本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、0.910〜0.945g/ccの総合密度を有することができる。0.910〜0.945g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、0.915〜0.930g/ccの総合密度を有する。他の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、0.920〜0.930g/ccの総合密度を有する。更なる実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、0.920〜0.925g/ccの総合密度を有する。エチレン系ポリマーの本明細書で開示される密度は、ASTM D−792に従って決定される。
【0021】
ポリエチレンポリマーブレンドは、約0.7〜6g/10分の全メルトインデックスを有することができる。0.7〜6g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、2〜6g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、3〜6g/10分のメルトインデックスを有する。更なる実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、4〜6g/10分のメルトインデックスを有する。エチレン系ポリマーのメルトインデックスまたはI
2は、190℃、2.16kgで、ASTM D1238に従って決定される。
【0022】
ポリエチレンポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で少なくとも40%のエチレン系ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%のエチレン系ポリマーを含む。エチレン系ポリマーは、測定可能または実証可能な長鎖分岐を欠く、ポリマー主鎖を有する。本明細書で使用するときに、「長鎖分岐」は、任意の短鎖分岐の鎖長よりも長い鎖長を有する分岐を意味し、これは、コモノマーを組み込んだ結果である。鎖分岐は、ポリマー主鎖とほぼ同じ長さ、またはその長さとすることができる。いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、平均して、炭素1000個あたり0.01の長鎖分岐〜炭素1000個あたり3つの長鎖分岐で、炭素1000個あたり0.01の長鎖分岐〜炭素1000個あたり1つの長鎖分岐で、炭素1000個あたり0.05の長鎖分岐〜炭素1000個あたり1つの長鎖分岐で置換される。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、平均して、炭素1000個あたり1つ未満の長鎖分岐で、炭素1000個あたり0.5未満の長鎖分岐で、または炭素1000個あたり0.05未満の長鎖分岐で、または炭素1000個あたり0.01未満の長鎖分岐で置換される。長鎖分岐(LCB)は、
13C核磁気共鳴(
13C NMR)分光法などの、業界で知られている従来の技法によって決定することができ、また、例えばRandallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3),p.285〜297)を使用して定量化することができる。使用することができる他の2つの方法としては、低角レーザー光散乱検出器と併用されるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC−LALLS)、及び示差粘度計検出器と併用されるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC−DV)が挙げられる。長鎖分岐検出のためのこれらの技術の使用、及び基礎となる理論は、文献において十分に立証されている。例えば、Zimm,B.H.及びStockmayer,W.H.のJ.Chem.Phys.,17,1301(1949)、ならびにRudin,A.のModern Methods of Polymer Characterization,John Wiley & Sons,New York(1991)pp.103〜112を参照されたい。
【0023】
いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、均一に分岐した、若しくは不均一に分岐した、及び/または単峰性若しくは多峰性の(例えば、二峰性の)ポリエチレンとすることができる。エチレン系ポリマーは、エチレン由来の構成単位(エチレン)のエチレンホモポリマー、コポリマー、及び少なくとも1つのタイプのコモノマー、ならびにそれらのブレンドを含む。適切なコモノマーの例としては、α−オレフィンが挙げられる。適切なα−オレフィンとしては、3〜20個の炭素原子(C3−C20)を含有するものが挙げられる。例えば、α−オレフィンは、C4−C20α−オレフィン、C4−C12α−オレフィン、C3−C10α−オレフィン、C3−C8α−オレフィン、C4−C8α−オレフィン、またはC6−C8α−オレフィンとすることができる。いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーであり、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、及び1−デセンから成る群から選択される。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーであり、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから成る群から選択される。更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーであり、α−オレフィンは、1−ヘキセン及び1−オクテンから成る群から選択される。なお更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーであり、α−オレフィンは、1−オクテンである。なお更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンコポリマーであり、α−オレフィンは、1−オクテンである。いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーであり、α−オレフィンは、1−ブテンである。
【0024】
エチレン/α−オレフィンコポリマーは、重量で、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%のエチレン由来の構成単位、及び重量で、30%未満、例えば、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満の1つ以上のα−オレフィンコモノマー由来の構成単位を含むことができる。
【0025】
適切なエチレン系ポリマーの他の例は、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、及び米国特許第5,733,155号で更に定義される、実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号にあるような均一に分岐した直鎖状のエチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号において開示される過程に従って調製される不均一に分岐したエチレンポリマー、ならびに/または(米国特許第3,914,342号または米国特許第5,854,045号に開示されるような)これらのブレンドが挙げられる。いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、直鎖状低密度(LLDPE)ポリマーまたは実質的にLLDPEポリマーとすることができ、また、ELITE(商標)5230G樹脂、ATTANE(商標)4404樹脂、ATTANE(商標)4202樹脂、またはAFFINITY(商標)1840樹脂を含む、The Dow Chemical Companyによって販売される、AFFINITY(商標)樹脂、ELITE(商標)、またはATTANE(商標)樹脂、DOWLEX(商標)2247樹脂、またはEXCEED(商標)3518樹脂またはEXCEED(商標)4518樹脂を含む、Exxon Mobil Corporationによって販売される、EXCEED(商標)樹脂、及びEXACT(商標)3024を含む、Exxon Mobil Corporationによって販売される、EXACT(商標)が挙げられる。
【0026】
エチレン系ポリマーは、気相、溶液相、またはスラリー重合過程、またはこれらの任意の組み合わせを介して、当技術分野で知られている任意のタイプの反応器または反応器構成、例えば、並列、直列の流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌タンク反応器、バッチ反応器、及び/またはこれらの任意の組み合わせを使用して作製することができる。いくつかの実施形態では、気相またはスラリー相反応器が使用される。適切なエチレン系ポリマーは、参照により本明細書に組み込まれるWO2005/111291A1の15〜17及び20〜22ページで説明される過程に従って生成することができる。本明細書で説明されるエチレン系ポリマーを作製するために使用される触媒としては、Ziegler−Natta、メタロセン、拘束幾何、またはシングルサイト触媒が挙げられる。いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、Ziegler−Natta触媒を使用して作製される直鎖状ポリエチレンを指すznLLDPE、Ziegler−Natta触媒を使用して作製される直鎖状ポリエチレンが挙げられるuLLDPEまたは「超直鎖状低密度ポリエチレン」、またはメタロセンまたは拘束幾何触媒によるポリエチレンを使用して作製されるLLDPEを指すmLLDPE、などのLLDPEとすることができる。
【0027】
本明細書の実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.900〜0.935g/ccの密度を有する。0.900〜0.935g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.925g/ccの密度を有する。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.900〜0.920g/ccの密度を有する。更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.910〜0.920g/ccの密度を有する。本明細書で開示される密度は、ASTM D−792に従って決定される。
【0028】
本明細書の実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.7〜6g/10分のメルトインデックスまたはI
2を有する。0.7〜6g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、2〜5g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、2.5〜4.5g/10分のメルトインデックスを有する。エチレン系ポリマーのメルトインデックスまたはI
2は、190℃、2.16kgで、ASTM D1238に従って決定される。
【0029】
本明細書で開示されるエチレン系ポリマーは、100ft・lb
f/in
3を超える耐穿刺性を有することができる。100ft・lb
f/in
3を超える全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、125ft・lb
f/in
3を超える耐穿刺性を有する。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、150ft・lb
f/in
3を超える耐穿刺性を有する。更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、175ft・lb
f/in
3を超える耐穿刺性を有する。なお更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、200ft・lb
f/in
3を超える耐穿刺性を有する。耐穿刺性は、下で説明されるような試験方法で測定することができる。
【0030】
本明細書で開示されるエチレン系ポリマーは、100gを超えるスペンサーダーツ衝撃を有することができる。100gを超える全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、エチレン系ポリマーは、115gを超えるスペンサーダーツ衝撃を有する。他の実施形態において、エチレン系ポリマーは、125gを超えるスペンサーダーツ衝撃を有する。更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、135gを超えるスペンサーダーツ衝撃を有する。なお更なる実施形態において、エチレン系ポリマーは、150gを超えるスペンサーダーツ衝撃を有する。スペンサーダーツ衝撃は、下で説明されるような試験方法で測定することができる。
【0031】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、Ziegler−Natta触媒によるエチレン及びオクテンコポリマーであり、約0.900g/cc〜約0.935g/ccの密度を有する。別の実施形態において、エチレン系ポリマーは、多峰性であるシングルサイト触媒によるLLDPEである。
【0032】
本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で0〜30%の低密度ポリエチレン(LDPE)を更に含むことができる。0〜30%の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で5〜20%の低密度ポリエチレンを更に含むことができる。他の実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で5〜15%の低密度ポリエチレンを更に含むことができる。更なる実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で10〜15%の低密度ポリエチレンを更に含むことができる。
【0033】
本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンド中に存在するLDPEは、約0.915〜0.930g/ccの密度を有することができる。0.915〜0.930g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、0.915〜0.925g/ccの密度を有する。他の実施形態において、LDPEは、0.915〜0.920g/ccの密度を有する。本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンド中に存在するLDPEは、0.2〜15g/10分のメルトインデックスを有する。0.2〜15g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、1〜12g/10分、好ましくは2〜12g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、LDPEは、5〜10g/10分のメルトインデックスを有する。
【0034】
ポリエチレンポリマーブレンド中に存在するLDPEは、5cNを超える溶融強度を有することができる。5cNを超える全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、6〜15cNの溶融強度を有する。他の実施形態において、LDPEは、6〜14cNの溶融強度を有する。更なる実施形態において、LDPEは、6〜12cNの溶融強度を有する。更なる実施形態において、LDPEは、6〜10cNの溶融強度を有する。なお更なる実施形態において、LDPEは、6〜18cNの溶融強度を有する。
【0035】
LDPEは、分岐インターポリマーを含むことができ、該分岐インターポリマーは、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を超える圧力で、オートクレーブまたは管状反応器の中で部分的または全体的に単独重合または共重合される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照されたい)。適切なLDPEの例としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、一酸化炭素、またはこれらの組み合わせと相互重合したエチレンを含む、エチレンホモポリマー、及び高圧コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なLDPE樹脂としては、The Dow Chemical Companyによって販売されている、LDPE 722、LDPE 5004、及びLDPE 621iなどの樹脂が挙げられる。他の例示的なLDPE樹脂は、参照により本明細書に組み込まれるWO2005/023912において説明されている。
【0036】
本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で0〜30%の中密度ポリエチレン(MDPE)または高密度ポリエチレン(HDPE)を更に含むことができる。0〜30%の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で5〜25%の中密度または高密度ポリエチレンを更に含むことができる。他の実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で15〜25%の中密度または高密度ポリエチレンを更に含むことができる。更なる実施形態において、ポリマーブレンドは、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で20〜25%の中密度または高密度ポリエチレンを更に含むことができる。
【0037】
本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンド中に存在することができるMDPEまたはHDPEは、約0.930〜0.965g/ccの密度を有することができる。0.930〜0.965g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、MDPEまたはHDPEは、0.940〜0.965g/ccの密度を有する。他の実施形態において、MDPEまたはHDPEは、0.940〜0.960g/ccの密度を有する。更なる実施形態において、MDPEまたはHDPEは、0.945〜0.955g/ccの密度を有する。本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンド中に存在し得るMDPEまたはHDPEは、0.7〜10g/10分のメルトインデックスを有する。0.7〜10g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、MDPEまたはHDPEは、1〜10g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、MDPEまたはHDPEは、3〜8g/10分のメルトインデックスを有する。更なる実施形態において、MDPEまたはHDPEは、5〜7g/10分のメルトインデックスを有する。
【0038】
MDPEまたはHDPEは、特にスラリー、溶液相、または気相過程技術またはハイブリッド反応システム(例えば、スラリーと気相反応器との組み合わせ)を使用して、2つ以上の個々の反応器を直列または並列に備えるような、様々な市販の連続反応過程で生成することができる。例示的な過程は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,076,698号に見出すことができる。代替的に、MDPEまたはHDPEポリマーはまた、2つ以上の異なるポリエチレン樹脂をオフラインでブレンドすることによっても生成することもがきる。例えば、いくつかの実施形態において、従来の単峰性Ziegler−Natta MDPEまたはHDPEは、多峰性Ziegler−NattaMDPEまたはHDPEとブレンドすることができる。しかしながら、様々なHDPEポリマーを、メタロセン、ポストメタロセン、またはクロミウム系触媒などの代替の触媒システムによって生成することができることが想定される。例示的なMDPEまたはHDPE樹脂としては、HDPE 5962B、DMDA 8007 NT 7、AGILITY(商標)6047G、及びDOWLEX(商標)2027Gの商標名で、The Dow Chemical Companyによって販売されている樹脂が挙げられる。
【0039】
いくつかの実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、0.900〜0.925g/ccの密度及び0.7〜6g/10分のメルトインデックスを有する、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で少なくとも70%のエチレン系ポリマーを含み、また、約0.915〜0.930g/ccの密度及び約1〜15g/10分のメルトインデックスを有する、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で5%〜15%のLDPEを更に含む。他の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、0.900〜0.925g/ccの密度及び0.7〜6g/10分、好ましくは1〜6g/10分のメルトインデックスを有する、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で少なくとも70%のエチレン系ポリマーを含み、また、約0.930〜0.965g/ccの密度及び約1〜10g/10分のメルトインデックスを有する、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で15%〜25%の中密度または高密度ポリエチレンを更に含む。更なる実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、0.900〜0.935g/ccの密度及び0.7〜6g/10分のメルトインデックスを有する、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で少なくとも70%のエチレン系ポリマーを含み、また、約0.915〜0.930g/ccの密度及び約1〜15g/10分のメルトインデックスを有する、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で5%〜15%のLDPE、ならびに、また、約0.930〜0.965g/ccの密度及び約1〜10g/10分のメルトインデックスを有する、ポリエチレンポリマーブレンドの重量で15%〜25%の中密度または高密度ポリエチレンを更に含む。当然、前述の量、密度の範囲、及びメルトインデックスの範囲は、例示的なものであり、本明細書において上で説明されるような他の量、密度の範囲、及びメルトインデックスの範囲を様々な実施形態に組み込むことができることを理解されたい。
【0040】
本明細書の実施形態において、ポリエチレンポリマーブレンドは、様々な方法によって形成することができる。例えば、ポリエチレンポリマーブレンドは、ポリマー成分をともにブレンドまたは混合することによって作製することができる。ブレンドまたは混合は、個々の成分の溶融または乾燥/物理的ブレンドを含む、当技術分野で知られている任意の適切な混合手段によって達成することができる。代替的に、ポリエチレンポリマーブレンドは、単一の反応器または複数の反応器構成で作製することができ、該構成では、複数の反応器を直列または並列に配設することができ、また、各重合は、溶液中で、スラリー中で、または気相中で行う。ポリマー成分をともにブレンドまたは混合するための他の適切な方法を利用することができることを理解されたい。
【0041】
コア層は、随意に、1つ以上の添加剤を含むことができる。そのような添加剤としては、酸化防止剤(例えば、Ciba Geigyによって供給されるIRGANOX(登録商標)1010またはIRGANOX(登録商標)1076などの、ヒンダードフェノール系)、亜リン酸塩(例えば、同じくCiba Geigyによって供給されるIRGAFOS(登録商標)168)、粘着添加剤(例えば、PIB(ポリイソブチレン))、Standostab PEPQ(商標)(Sandozによって供給される)、色素、着色剤、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、パーライト、珪藻土、ドロマイト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリマービーズ、セラミックビーズ、天然及び合成の二酸化ケイ素、三水酸化アルミニウム、三水酸化マグネシウム、ウォラストナイト、ウィスカー、木粉、リグニン、スターチ)、TiO
2、静電気防止添加剤、難燃剤、殺生物剤、抗菌剤、及び清澄剤/核形成促進剤(例えば、Milliken Chemicalから入手できるHYPERFORM(商標)HPN−20E、MILLAD(商標)3988、MILLAD(商標)NX 8000)が挙げられるが、これらに限定されない。それらの所望の目的を達成するために、当技術分野で典型的に使用されるレベルで、1つ以上の添加剤をポリエチレンポリマーブレンドに含むことができる。いくつかの実施例では、ポリエチレンポリマーブレンドの0〜10重量%、ポリエチレンポリマーブレンドの0〜5重量%、ポリエチレンポリマーブレンドの0.001〜5重量%、ポリエチレンポリマーブレンドの0.001〜3重量%、ポリエチレンポリマーブレンドの0.05〜3重量%、またはポリエチレンポリマーブレンドの0.05〜2重量%の範囲の量で、1つ以上の添加剤が含まれる。
【0042】
スキン層
スキン層は、不織布材料を含有しない。各スキン層は独立して、プロピレン系ポリマーを含む。プロピレン系ポリマーは、プロピレンホモポリマー、ポリプロピレンポリマーブレンド、またはプロピレンコポリマーとすることができる。プロピレン系ポリマーは、(重合性モノマーの総量に基づいて)過半重量パーセントの重合させたプロピレンモノマー、及び随意に1つ以上のコモノマーを含む。
【0043】
プロピレンホモポリマーは、アイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックとすることができる。いくつかの実施形態において、プロピレンホモポリマーは、アイソタクチックである。更に下で論じられるように、各スキン層は独立して、添加剤を除いて100重量%のプロピレンホモポリマーを含むことができる。
【0044】
本明細書で使用するときに、「ポリプロピレンポリマーブレンド」は、50重量%を超えるプロピレン系ポリマーを含有する混合物を指す。ポリプロピレンポリマーブレンドの成分は、互いに不混和性、混和性、または相溶性とすることができる。いくつかの実施形態において、各スキン層は独立して、少なくとも55重量%のポリプロピレンポリマーブレンド、少なくとも60重量%のポリプロピレンポリマーブレンド、少なくとも65重量%のポリプロピレンポリマーブレンド、少なくとも75重量%のポリプロピレンポリマーブレンド、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、または100重量%のポリプロピレンポリマーブレンドを含むことができる。
【0045】
上で述ベられるように、ポリプロピレンポリマーブレンドは、ポリプロピレンポリマーブレンドの重量で50重量%を超えるプロピレン系ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリプロピレンポリマーブレンドは、ポリプロピレンポリマーブレンドの重量で、55重量%を超える、60重量%を超える、65重量%を超える、70重量%を超える、75重量%を超える、80重量%を超える、85重量%を超える、90重量%を超える、95重量%を超える、99重量%を超える、または100重量%のプロピレン系ポリマーを含む。
【0046】
プロピレンコポリマーは、プロピレン/オレフィンコポリマー(ランダムまたはブロック)またはプロピレンインパクトコポリマーとすることができる。インパクトプロピレンコポリマーはまた、ヘテロ相プロピレンコポリマーも含むことができ、ポリプロピレンは、連続相であり、エラストマー相がその中に均一に分散される。ポリプロピレン/オレフィンコポリマーの場合、適切なオレフィンコモノマーの限定的でない例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、または1−ドデセンなどのC
4−C
20αオレフィン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、ノルボルナジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、及びジシクロペンタジエンなどのC
4−C
20ジオレフィン、スチレン、o−、m−、及びp−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレンなどのC
8−C
40ビニル芳香族化合物、ならびにクロロスチレン及びフルオロスチレンなどのハロゲン置換C
8−C
40ビニル芳香族化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、プロピレンコポリマーは、プロピレン/エチレン、プロピレン/1−ブテン、プロピレン/1−ヘキセン、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン、プロピレン/1−オクテン、またはプロピレン/エチレン/1−ブテンを含む。更に下で論じられるように、各スキン層は独立して、添加材を除いて100重量%のプロピレンコポリマーを含むことができる。
【0047】
適切なポリプロピレンは、当技術分野の範囲内の手段によって、例えば、Ziegler−Natta触媒、シングルサイト触媒(メタロセンまたは拘束幾何)、または非メタロセン、金属中心、ヘテロアリールリガンド触媒を使用して形成される。例示的なプロピレン系ポリマー樹脂としては、Exxon Mobil Corporation(米国)から市販されているPP 3155、LyondellBasell Industries(米国)から市販されているポリプロピレン6231、またはThe Dow Chemical Company(米国)から市販されているVERSIFY(商標)の商標名で販売される樹脂、VISTAMAXX(商標)(ExxonMobil Chemical Companyから市販されている)、様々な商標名及び/または商標でBraskemから市販されているプロピレンポリマー、PROFAX(登録商標)(Lyondell Basellから市販されている)、またはBorealis BORSOFT(商標)(デンマークのBorealisから市販されている)が挙げられる。
【0048】
本明細書の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、0.1g/10分〜100g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。0.1g/10分〜100g/10分の全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、ASTM D1238(230℃、2.16kg)に従って測定したときに、1g/10分〜75g/10分、2g/10分〜50g/10分、10g/10分〜45g/10分、または15g/10分〜40g/10分のメルトフローレートを有する。本明細書の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、0.890〜0.920g/ccの密度を有する。0.890〜0.920g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、0.900〜0.920g/ccまたは0.89〜0.915g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D−792に従って決定することができる。
【0049】
プロピレン系ポリマーは、15,000psiを超える2%セカント係数を有することができる。2%セカント係数は、長さ方向(MD)及び幅方向(CD)のセカント係数の平均であり、以下のように算出することができる。
【0051】
15,000psiを超える全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、プロピレン系ポリマーは、17,500psiを超える2%セカント係数を有する。他の実施形態において、プロピレン系ポリマーは、20,000psiを超える2%セカント係数を有する。更なる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、27,500psiを超える2%セカント係数を有する。なお更なる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、35,000psiを超える2%セカント係数を有する。なお更なる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、15,000psi〜50,000psiの2%セカント係数を有する。なお更なる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、25,000psi〜45,000psiの2%セカント係数を有する。なお更なる実施形態において、プロピレン系ポリマーは、30,000psi〜45,000psiの2%セカント係数を有する。2%のセカント係数は、ASTM 882に従って決定することができる。
【0052】
本明細書のいくつかの実施形態において、ポリプロピレンポリマーブレンドは、低密度ポリエチレン(LDPE)を更に含むことができる。ポリプロピレンポリマーブレンドは独立して、5重量%〜30重量%、10重量%〜30重量%、または15重量%〜25重量%のLDPEを含むことができる。ポリプロピレンポリマーブレンド中に存在するLDPEは、約0.915〜0.930g/ccの密度を有する。0.915〜0.930g/ccの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、0.915〜0.925g/ccの密度を有する。他の実施形態において、LDPEは、0.915〜0.920g/ccの密度を有する。本明細書の実施形態において、スキン層中に存在するLDPEは、1〜15g/10分のメルトインデックスを有する。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、2〜12g/10分のメルトインデックスを有する。他の実施形態において、LDPEは、5〜10g/10分のメルトインデックスを有する。
【0053】
ポリプロピレンポリマーブレンド中に存在するLDPEは、5cNを超える溶融強度を有することができる。5cNを超える全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、LDPEは、6〜15cNの溶融強度を有する。他の実施形態において、LDPEは、6〜14cNの溶融強度を有する。更なる実施形態において、LDPEは、6〜12cNの溶融強度を有する。更なる実施形態において、LDPEは、6〜10cNの溶融強度を有する。なお更なる実施形態において、LDPEは、6〜18cNの溶融強度を有する。
【0054】
ポリプロピレンポリマーブレンド中に存在するLDPEは、分岐ポリマーを含むことができ、該分岐ポリマーは、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を超える圧力で、オートクレーブまたは管状反応器の中で部分的または全体的に単独重合または共重合される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照されたい)。ポリプロピレンポリマーブレンド中に存在する適切なLDPEの例としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、一酸化炭素、またはこれらの組み合わせと相互重合したエチレンを含む、エチレンホモポリマー、及び高圧コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なLDPE樹脂としては、The Dow Chemical Companyによって販売されている、LDPE 722、LDPE 5004、及びLDPE 621iなどの樹脂が挙げられる。他の例示的なLDPE樹脂は、参照により本明細書に組み込まれるWO2005/023912において説明されている。
【0055】
ポリプロピレンポリマーブレンドは、ポリエチレン及びポリプロピレンポリマーのブレンドを相溶化することができる、相溶化剤を更に含むことができる。適切な相容化剤としては、VERSIFY(商標)(The Dow Chemical Companyから)、SURPASS(商標)(Nova Chemicalsから)、及びVISTAMAXX(商標)(Exxon Mobil Corporationから)の商標名で入手できるエチレン系コポリマー及びプロピレン系コポリマーなどの、オレフィンプラストマー及びエラストマーが挙げられる。例示的な相容化剤としては、VERSIFY(商標)3401相容化剤(The Dow Chemical Companyから)、またはVISTAMAXX(商標)6202相容化剤(Exxon Mobil Corporationから)、またはBorealis BORSOFT(商標)(DenmarkのBorealisから市販されている)が挙げられる。
【0056】
各スキン層は独立して、1つ以上の添加剤を含むことができる。そのような添加剤としては、酸化防止剤(例えば、Ciba Geigyによって供給されるIRGANOX(登録商標)1010またはIRGANOX(登録商標)1076などの、ヒンダードフェノール系)、亜リン酸塩(例えば、同じくCiba Geigyによって供給されるIRGAFOS(登録商標)168)、粘着添加剤(例えば、PIB(ポリイソブチレン))、Standostab PEPQ(商標)(Sandozによって供給される)、色素、着色剤、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、カオリン、パーライト、珪藻土、ドロマイト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリマービーズ、セラミックビーズ、天然及び合成の二酸化ケイ素、三水酸化アルミニウム、三水酸化マグネシウム、ウォラストナイト、ウィスカー、木粉、リグニン、スターチ)、TiO
2、静電気防止添加剤、難燃剤、スリップ剤、粘着防止添加剤、殺生物剤、抗菌剤、及び清澄剤/核形成促進剤(例えば、Milliken Chemicalから入手できるHYPERFORM(商標)HPN−20E、MILLAD(商標)3988、MILLAD(商標)NX 8000)が挙げられるが、これらに限定されない。それらの所望の目的を達成するために、当技術分野で典型的に使用されるレベルで、1つ以上の添加剤をポリプロピレンポリマーブレンドに含むことができる。いくつかの実施例では、ポリプロピレンポリマーブレンドの0〜10重量%、ポリプロピレンポリマーブレンドの0〜5重量%、ポリプロピレンポリマーブレンドの0.001〜5重量%、ポリプロピレンポリマーブレンドの0.001〜3重量%、ポリプロピレンポリマーブレンドの0.05〜3重量%、またはポリプロピレンポリマーブレンドの0.05〜2重量%の範囲の量で、1つ以上の添加剤が含まれる。
【0057】
多層フィルム
本明細書で説明される多層フィルムは、同時押し出しフィルムとすることができる。いくつかの実施形態において、多層フィルムは、同時押し出しフィルムであり、それによって、スキン層の少なくとも1つがコア層に同時押し出される。他の実施形態において、多層フィルムは、同時押し出しフィルムであり、それによって、スキン層の1つ(すなわち、第1のスキン層)がコア層に同時に押し出され、他のスキン層(すなわち、第2のスキン層)がコア層に同時に押し出され、そして、コア層が2つのスキン層の間に位置付けられるように、2つの同時押し出しフィルムがともに積層される。更なる実施形態において、多層フィルムは、同時押し出しフィルムであり、それによって、スキン層がコア層に同時押し出しされる。
【0058】
フィルムは、キャストフィルムを含む任意の数の過程を介して作成することができ、該過程では、ポリマーをフラットダイに通して押し出し加工し、フラットフィルムまたはインフレーションフィルムを作り出し、それによって、ポリマーを環状ダイに通して押し出し加工し、そして、フラットフィルムを作り出すために切り離すことができるフィルムのチューブを作り出す。
【0059】
本明細書の実施形態において、多層フィルムは、約10〜20gsmの坪量を有することができる。10〜20gsmの全ての個々の値及び部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態において、多層フィルムは、約10〜18gsmの坪量を有することができる。他の実施形態において、多層フィルムは、約10〜16gsmの坪量を有することができる。更なる実施形態において、多層フィルムは、約10〜14gsmの坪量を有することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明される多層フィルムは、以下の特性、すなわち、約160gを超える(または、代替的に、170gまたは180gを超える)スペンサーダーツ衝撃、MDにおいて約16,000psiを超える(または、代替的に、17,000psiまたは18,000psiを超える)、及びCDにおいて16,000psiを超える(または、代替的に、17,000psiを超える)2%セカント係数、幅方向において約1,700psiを超える(または、代替的に、約1,800psiまたは1,900psiを超える)、及び長さ方向において約2,000psiを超える(または、代替的に、約2,100psi、2,200psi、または2,300psiを超える)破断応力、または約30ft・lb
f/in
3(または、代替的に、35ft・lb
f/in
3または40ft・lb
f/in
3)を超える耐穿刺性、のうちの少なくとも1つを呈することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で説明される多層フィルムは、以下の特性、すなわち、MDにおいて約16,000psiを超える2%セカント係数を有する100%のポリエチレンフィルムと比較したときの5%未満の柔軟度値差分、または1,000Hz〜5,000Hzの周波数帯域で0.5dB未満の雑音値、のうちの少なくとも1つを呈することができる。柔軟度値差分(SVD)は、以下のように算出することができる。
【0062】
ここで、基準フィルムは、16,000psiを超える2%セカント係数を有する、100%ポリエチレンのフィルムである。本明細書で使用するときに、「100%ポリエチレンのフィルム」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合させたエチレンモノマーを含有し、及び随意に、少なくとも1つのコモノマーを含有することができる、1つ以上のポリマーから成るフィルムを指す。理論に束縛されるものではないが、特性のうちの1つ以上は、各材料の鍵となる属性が組み込まれるように、フィルム構造の各層における改善されたフィルム構造及び改善された成分量に起因すると考えられる。具体的には、特定量のポリプロピレンをスキン層に組み込むことは、接着を支援することができ、一方で、コア層における特定のポリエチレンブレンドを選択することは、ポリプロピレン基材とポリエチレンフィルムとの間に形成し得るピンホールを回避することができ、それでも、バックシートに必要とされる十分な強度及び係数を提供すると考えられる。また、コア層及びスキン層に組み込むための特定のポリエチレンポリマーを選択することによって、触覚特性、具体的には、雑音及び柔軟度を改善することができるとも考えられる。
【0063】
積層体
また、超音波接合した積層体も、本明細書で説明される。超音波接合した積層体は、本明細書において上で説明されるような多層フィルム、及び多層フィルムに少なくとも部分的に超音波接合される不織布基材を備える。本明細書で使用するときに、「不織布基材」は、不織布ウェブ、不織布、及び個々の繊維またはスレッドが間に挿入されているが規則的または繰り返し様式ではない任意の不織布構造を含む。本明細書で説明される不織布基材は、例えば、エアレイング過程、メルトブロウイング過程、スパンボンディング過程、及びボンデッドカーデッドウェブ過程を含むカーディング過程などの、様々な過程によって形成することができる。本明細書で使用するときに、「超音波接合」は、超音波溶接を含む。
【0064】
不織布ウェブは、スパンボンドウェブ、カーデッドウェブ、エアレイドウェブ、スパンレースドウェブ、またはメルトブロウンウェブなどの、単一のウェブを含むことができる。しかしながら、不織布を作製するために使用される異なる過程及び材料と関連付けられる相対的強度及び脆弱性のため、より良好な特性のバランスを達成するために、しばしば、2つ以上の層の複合材構造が使用される。このような構造は、しばしば、スパンボンド層及びメルトブロウン層から成る2層構造を表すSM、3層構造を表すSMS、またはより総称的にはSX
nS構造などの、様々な状態を指定する文字によって識別され、ここで、Xは独立して、スパンボンド層、カーデッド層、エアレイド層、スパンレースド層、またはメルトブロウン層とすることができ、nは、任意の数とすることができるが、実用的な目的にでは、全般的に5未満である。このような複合構造の構造的完全性を維持するために、層は、互いに接合されていなければならない。よく見られる接合方法としては、ポイント接合、接着積層、及び当業者に知られている他の方法が挙げられる。これらの構造の全てを本発明で使用することができる。
【0065】
不織布ウェブを構成する繊維は、単成分繊維である。繊維の表面は、LDPE以外のポリエチレン樹脂を含むことが好ましい。ポリエチレン樹脂は、好都合に、シングルサイト触媒樹脂(mLLDPE)、またはポストメタロセン触媒によるLLDPE、またはZiegler−Natta触媒によるLLDPE、またはHDPE、またはMDPEとすることができる。単成分繊維を使用する場合、繊維内に使用される樹脂は、100%直鎖状(「実質的に直鎖状」を含む)のポリエチレンを含むことが好ましい。
【0066】
本明細書の実施形態において、不織布基材は、プロピレン系材料、100%ポリエチレン、またはポリエチレン/ポリプロピレンブレンドから作製される。スキン−コア構造などの複合成分構造は、基材として使用されないであろう。適切なプロピレン系材料の例としては、(重合性モノマーの総量に基づいて)過半重量パーセントの重合させたプロピレンモノマー、及び随意に1つ以上のコモノマーを含む材料が挙げられる。これは、プロピレンホモポリマー(すなわち、ポリプロピレン)、プロピレンコポリマー、またはこれらの組み合わせを含むことができる。プロピレンコポリマーは、プロピレン/オレフィンコポリマーとすることができる。適切なオレフィンコモノマーの限定的でない例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、または1−ドデセンなどのC
4−C
20α−オレフィンが挙げられる。いくつかの実施形態において、プロピレン系材料は、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0067】
不織布基材は、1つ以上の層を備えることができる。1つ以上の層は、スパンボンド不織布層(S)、メルトブロウン不織布層(M)、ウェットレイド不織布層、エアレイド不織布層、任意の不織布または溶融紡糸過程によって生成されるウェブとすることができる。いくつかの実施形態において、不織布基材は、少なくとも1つのスパンボンド層(S)及び少なくとも1つのメルトブロウン層(M)を備える。他の実施形態において、不織布基材は、少なくとも1つのスパンボンド層(S)及び少なくとも1つのメルトブロウン層(M)を備え、SSS、SM、SMS、SMMS、SSMMS、またはSSMMMS構造のうちの1つを有することができる。最外のスパンボンド層は、スパンボンドホモポリマーポリプロピレン(hPP)、スパンボンド不均一分岐ポリエチレン、またはカーデッドhPPからなる群から選択される材料を含むことができる。
【0068】
本明細書で説明される超音波接合した積層体は、以下の特性、すなわち、約1.2Nを超える剥離力値または70mbarを超える静水圧力、のうちの少なくとも1つを呈することができる。理論に束縛されるものではないが、特定量のポリプロピレンをスキン層に組み込むことは、接着を支援することができ、また、コア層に対する特定のポリエチレンブレンドを選択することは、ポリプロピレン基材とポリエチレン系フィルムとの間の超音波接合過程中のピンホールを回避すること、または低減させることができると考えられる。より高いレベルのピンホールを有すると、より多くの水分に積層体を通過させてより低い静水圧力をもたらす場合があり、一方で、より低いレベルのピンホールを有すると、通過する水分が少ないことに起因して、より高い静水圧力をもたらす場合がある。
【0069】
最終用途
本明細書で説明されるフィルムまたは超音波接合した積層体は、様々な応用例で使用することができる。いくつかの実施形態において、フィルムまたは積層体は、おむつ、トレーニングパンツ、及び成人用失禁用衛生物品などの衛生応用例において、または他の類似する吸収性衣類の応用例において使用することができる。他の実施形態において、フィルムまたは積層体は、医療用ドレープ、ガウン、及び外科用スーツなどの医療用応用例において、または他の類似する布地(織布または不織布)の応用例において使用することができる。
【0070】
フィルムまたは積層体は、通気性または非通気性とすることができる。本明細書で使用するときに、「通気性」という用語は、水蒸気を透過できる材料を指す。水蒸気透過率(WVTR)または水蒸気移動率(MVTR)は、24時間あたり、1平方メートルあたりのグラム数で測定され、通気性の等価指標とみなされる。「通気性」という用語は、約100g/m
2/24時間を超える最小WVTR(水蒸気移動率)を有する、水蒸気を透過できる材料を指す。いくつかの実施形態において、通気性は、約300g/m
2/24時間を超える。他の実施形態において、通気性は、約500g/m
2/24時間を超える。更なる実施形態において、通気性は、約1000g/m
2/24時間を超える。
【0071】
フィルムまたは積層体のWVTRは、一態様において、その物品がどのくらい着用し易いかという指標を与える。しばしば、通気性のフィルムまたは積層体の衛生応用例は、望ましくは、より高いWVTRを有し、本発明のフィルムまたは積層体は、約1,200g/m
2/24時間、1,500g/m
2/24時間、1,800g/m
2/24時間を超える、更には2,000g/m
2/24時間を超えるWVTRを有することができる。本発明のフィルムまたは積層体材料のWVTR(水蒸気透過率)値を決定するための適切な技法は、INDA(米国不織布工業会)による番号IST−70.4−99、表題「STANDARD TEST METHOD FOR WATER VAPOR TRANSMISSION RATE THROUGH NONWOVEN AND PLASTIC FILM USING A GUARD FILM AND VAPOR PRESSURE SENSOR」によって標準化された試験手順であり、参照により本明細書に組み込まれる。INDA試験手順は、WVTRの決定に関する水蒸気に対するフィルムの浸透度、及び均質の材料に関する水蒸気透過係数を提供する。
【0072】
通気性のフィルムは、高いWVTRの水分通気性のフィルムを作製するために、CaCO
3、粘土、二酸化ケイ素、アルミナ、タルク等の充填剤を加えることによって得ることができ、充填剤粒子の周りにキャビテーションを作り出すために、長さ方向の配向、または相互組み合い若しくは相互噛み合いローラーなどの、「リングローリング」とも呼ばれる、ポスト配向過程が必要である(例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2007/081548またはWO1998/004397を参照されたい)。このようなフィルムの高められた水分浸透性は、微小多孔性形態の結果である。このようなフィルムは、一般的に、おむつ及び成人用失禁バックシートフィルムのための衛生応用例において、及び通気性であるが液体不透過性である外科用ガウンなどの医療用応用例において使用され、また、厚さが0.2〜1.5milの範囲の厚さのフィルムについて、CaCO
3及び延伸のレベルに応じて、500g/m
2/24時間を超え、最大20,000g/m
2/24時間のWVTR値を得ることができる。
【0073】
試験方法
別途指示がない限り、以下の試験方法が使用される。全ての試験方法は、この開示の出願日現在のものである。
【0074】
密度
エチレン系及びプロピレン系ポリマーに関して本明細書で開示される密度は、ASTM D−792に従って決定される。
【0075】
メルトインデックス
エチレン系ポリマーのメルトインデックスまたはI
2は、190℃、2.16kgで、ASTM D1238に従って決定される。
【0076】
メルトフローレート
プロピレン系ポリマーのメルトフローレートまたはMFRは、230℃、2.16kgで、ASTM D1238に従って測定される。
【0077】
溶融強度
溶融強度の測定は、Gottfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターに取り付けたGottfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.、Rock Hill、SC)上で行う。ポリマーメルト(約20〜30グラム、ペレット)を、キャピラリー直径が2.0mmであり、アスペクト比(キャピラリー長さ/キャピラリー直径)が15である平坦な入口角度(180度)を有するキャピラリーダイを通して押し出し加工する。試料を190℃で10分間平衡させた後に、0.265mm/秒の一定のピストン速度でピストンを動作させる。標準試験温度は、190℃である。試料は、2.4mm/s
2の加速度で、ダイの100mm下側に位置する1組の加速ニップに一軸的に引き出す。張力を、ニップロールの巻き取り速度の関数として記録する。溶融強度を、ストランドが破損する前のプラトー力(cN)として報告する。溶融強度の測定では、以下の条件を使用する。プランジャ速度=0.265mm/秒、ホイール加速度=2.4mm/s
2、キャピラリー直径=2.0mm、キャピラリー長=30mm、及びバレル直径=12mm。
【0078】
2%セカント係数/破断応力
2%歪み時のセカント係数及び破断応力を含む引張特性は、ASTM D882に従って、長さ方向及び幅方向において決定される。
【0079】
スペンサーダーツ衝撃強度
スペンサーダーツ試験は、ASTM D3420、手順Bに従って決定される。
【0080】
剥離力
積層体を形成するために、フィルムを不織布に超音波接合する。試験体サイズは、127mm×25.4mmである。積層体1つあたり5つの試験体を測定する。不織布基材からフィルムを分離することによって剥離力を決定し、剥離力は、単位面積事毎の、層を分離するために必要なエネルギーの測度である。試験体の第1の端部で、1インチのフィルムを不織布基材から手動で分離し、開始空隙を形成する。フィルムをCRE引張試験機(Instron)の可動グリップに配置し、一方で、不織布基材を静止した180°平面に配置する。フィルムは、約304.8のmm/分の速度で不織布基材から剥がす。
【0081】
耐穿刺性
穿刺は、ASTM D5748に従って引張試験機上で測定するが、正方形の試験体をシートから6インチ×6インチのサイズに切断すること、試験体を、直径4インチの円形試験体ホルダーに挟持し、挟持したフィルムの中央に穿刺プローブを10インチ/分のクロスヘッド速度で押し付けること、プローブが0.25インチの支持ロッド上の直径0.5インチの研磨した鋼球であること、試験治具への損傷を防止するために7.7インチの最大移動長があること、ゲージ長がないこと、すなわち、試験の前にプローブができる限り近くにあるが試験体には接触していないこと、を除く。試験体の中央において1回の厚さ測定を行う。平均穿刺値を決定するために、合計で5つの試験体を試験する。
【0082】
雑音
雑音試験機装置は、音を取り込むために使用するマイクロホンMK 221及びNeutrix Cortex InstrumentsによるNC 10 Audio Acoustic Analyzerを含む、音響隔離ボックスを含む。マイクロホンは、20Hz〜20,000Hzの周波数(Hz)を有する信号を感知する。マイクロホンは、音響ボックスの中央において、フィルム表面の10cm水平方向に合わせられ、ボックス上部の25cm垂直方向に合わせられる。音響隔離ボックスは、鉛で作製され、53cm×53cm×53cmの寸法を有する。フィルムは、10cm×10cmの試験体サイズに切断する。試験体は、2つのホルダーに固定し、第1のホルダーを静止させ、第2のホルダーをフィルムの撓曲運動を提供するように移動させる。各試験体によって生成される雑音示度から減算する暗騒音示度を得るために、装置を真空中で動作させる。1/3オクターブでデータを収集する。フィルム1つあたり4つの異なる試験体を測定する。
【0083】
柔軟度
「柔軟度」または「ハンド」の品質は、繊維原料の表面摩擦、可撓性、及び圧縮性による抵抗の組み合わせであるとみなされる。Handle−O−Meter試験機(Thwing−Albert Instrument Co.(West Berlin,N.J.)によって製造される)は、材料の試験体を平行な縁部のスロットに押し込むときにブレードが受ける抵抗を検出するために、線形可変差動変圧器(LVDT)を使用して上記の因子を測定する。試料は、8インチ×8インチの正方形の試験体に切断する。Handle−O−Meterのスロット幅は、20mmに設定する。計器の製造業者の試験マニュアルの必要に応じて、試験体1つあたり4つの位置の各々で測定を行い、4つの測定値を合計して、単一の試験体の合計ハンドをグラム−力で求める。次いで、平均したハンドを試験体の重量及び体積に正規化する。より低い抵抗値を有する試料は、より良好な柔軟度を有すると考えられる。
【0084】
静水圧力
静水圧力を、ISO 1420に従って測定する。使用された装置は、静水頭試験機(FX 3000,TexTest AG,Switzerland)である。試験体は15cm×15cmの正方形であり、試験面積は100cm
2であり、蒸留水の温度を20+/−2℃に設定した。結果をmbar/分で表す。
【実施例】
【0085】
本明細書で説明される実施形態は、以下の非限定的な実施例によって更に例示することができる。
【0086】
下で概説されるように、3層フィルムを作製した。200m/分の最大ライン速度、260℃の溶融温度、260℃のダイ温度、0.8milのダイ間隙、及び9インチの空隙を有する、市販の3層キャストライン上でフィルムを生成した。多層フィルムは、14gsmの坪量を有する。コア層は、全フィルム厚さの70%を構成する。各スキン層は、全フィルム厚さの15%を構成する。
【0087】
本発明のフィルムの調製
本発明の実施例は、以下の樹脂、すなわち、オートクレーブ反応器内で作製した、0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する高圧低密度ポリエチレンである、低密度ポリエチレン(LDPE)(The Dow Chemical Company,USAからのLDPE 722)、0.900g/ccの密度及び22g/10分のメルトフローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー(LyondellBasell Industries,USAから入手できるポリプロピレン6231)、0.916g/ccの密度及び4.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン−オクテンコポリマーである、エチレン系ポリマー(The Dow Chemical Company,USAからのELITE(商標)5230G)、及び0.947g/ccの密度及び6.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン−オクテンコポリマーである、中密度または高密度ポリエチレン(MDPEまたはHDPE)(The Dow Chemical Company,USAからのAGILITY(商標)6047G)を使用した。多層フィルムを、VE 20 MICROBOND CSI超音波デバイスを使用して、超音波接合した。
【0088】
[表]
【0089】
比較フィルムの調製
比較実施例1は、0.900g/ccの密度及び22g/10分のメルトフローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー(LyondellBasell Industries,USAから入手できる、ポリプロピレン6231)である。
【0090】
[表]
【0091】
比較実施例2は、0.900g/ccの密度及び22g/10分のメルトフローレートを有するアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー(LyondellBasell Industries,USAから入手できる、ポリプロピレン6231)、及び0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する、オートクレーブ反応器内で作成した高圧低密度ポリエチレン(The Dow Chemical Company,USAからのLDPE 722)である。
【0092】
[表]
【0093】
比較実施例3は、0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する、オートクレーブ反応器内で作成した高圧低密度ポリエチレン(The Dow Chemical Company,USAからのLDPE 722)、及び0.947g/ccの密度及び6.0g/10分のメルトインデックスを有する、中密度または高密度ポリエチレン(MDPE/HDPE)(The Dow Chemical Company,USAからのAGILITY(商標)6047G)である。
【0094】
[表]
【0095】
比較実施例4は、0.918g/ccの密度及び8.0g/10分のメルトインデックスを有する、オートクレーブ反応器内で作成した高圧低密度ポリエチレン(The Dow Chemical Company,USAからのLDPE 722)、0.916g/ccの密度及び4.0g/10分のメルトインデックスを有するエチレン−オクテンコポリマーである、エチレン系ポリマー(The Dow Chemical Company,USAからのELITE(商標)5230G)、及び0.947g/ccの密度及び6.0g/10分のメルトインデックスを有する、中密度または高密度ポリエチレン(MDPE/HDPE)(The Dow Chemical Company,USAからのAGILITY(商標)6047G)である。
【0096】
[表]
【0097】
積層体の調製
本発明及び比較フィルムを、14gsmの坪量を有するスパンボンドポリプロピレン不織布のために超音波接合を使用して点接合する。面積の約9%を接合する。ライン速度は200m/分であり、加圧力は700〜1150Nであり、周波数は90%であった。
【0098】
結果
【0099】
【表1】
【0100】
2%セカント係数結果
2%セカント係数(psi)を、本発明の実施例及び比較実施例フィルムに関して、長さ方向(MD)及び幅方向(CD)において測定した。結果を表1に示す。
図1を参照して、本発明の実施例の2%セカント係数は、より多い量のポリプロピレンを含む比較実施例1及び2の2%セカント係数よりも低い。比較実施例3及び4と比較して、本発明の実施例の2%セカント係数は、本発明の実施例における2%セカント係数に対する著しい有害作用が存在しないことを示す類似する値を有する。更に、本発明の実施例の2%セカント係数は、16,000psiの所望のレベルを超える値を有する好適なレベルを達成した。
【0101】
破断応力結果
応力または破断荷重(psi)は、本発明の実施例及び比較実施例フィルムに関して、長さ方向(MD)及び幅方向(CD)において測定される。結果を表1に示す。
図2を参照して、本発明の実施例は、比較実施例と比較して増大したフィルム強度を示すことができる、より高い破断応力を有する。
【0102】
スペンサーダーツ衝撃強度結果
スペンサーダーツ衝撃強度(g)を、本発明の実施例及び比較実施例フィルムに関して測定した。結果を表1に示す。
図3を参照して、本発明の実施例は、比較実施例と比較して増大した2軸フィルム強度を示すことができる、より高いダーツ衝撃強度を有する。
【0103】
耐穿刺性結果
耐穿刺性(ft・lb
f/in
3)を、本発明の実施例及び比較実施例フィルムに関して測定した。結果を表1に示す。
図3をなお参照して、本発明の実施例は、比較実施例と比較して増大した2軸フィルム強度を示すこともできる、より高い耐穿刺性を有する。
【0104】
雑音結果
雑音(dB)を、本発明の実施例及び比較実施例フィルムに関して、20Hz〜20,000Hzの周波数帯域間で測定した。20Hz〜20,000Hzの全周波数帯域に渡る結果を、表1に示す。
図4を参照して、人間の耳が雑音に対して最も敏感になる周波数帯域に対応する、1,000〜5,000Hzの周波数帯域間の雑音が、本発明の実施例及び比較実施例に関して示される。描写されるように、本発明の実施例は、比較フィルムよりも大幅に低い雑音値を有する。
【0105】
柔軟度結果
柔軟度(g)を、本発明の実施例及び比較実施例フィルムに関して測定した。結果を表1に示す。
図5を参照して、本発明の実施例は、ポリプロピレンを使用する比較実施例1及び2よりも良好な柔軟度結果を示すことができる、より低い柔軟度値を有する。また、本発明の実施例は、比較フィルム3及び4と比較して示されるように、柔軟度の好適なレベルを達成する。本発明の実施例における柔軟度への著しい有害作用は存在しない。
【0106】
静水圧力及び剥離力結果
本発明の実施例及び比較実施例4のフィルムを超音波接合し、ポリプロピレン不織布が積層体を形成した。積層体内に存在する静水圧力及びフィルムと不織布との間の剥離力を、本発明の実施例及び比較実施例4の両方に関して測定した。下の表は、本発明の実施例が、比較実施例4(100%ポリエチレンフィルム)と比較して、同等で好適なレベルの接着を示し、本発明の実施例が、比較実施例4を超える向上した静水圧力能力を示すことを示す。本発明の実施例のより高い静水圧力は、積層体内に存在するピンホールの減少を示すことができるが、比較実施例のより低い静水圧力は、積層体内に存在するピンホールの増加を示すことができる。
【0107】
[表]
【0108】
本明細書で開示される寸法及び値は、列挙される正確な数値に厳密に限定されるとして理解されるべきではない。代わりに、別途指定されない限り、各かかる寸法は、列挙される値と、その値の周囲の機能的に同等な範囲との両方を意味するように意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するように意図される。
【0109】
もしあれば、相互参照または関連する特許または出願、ならびに本出願が優先権または利益を主張する特許出願または特許を含む、本明細書で引用される全ての文献は、明示的に除外されない限り、または限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、本明細書で開示または請求された発明に関する先行技術であること、またはそれ単独で、または任意の他の参考文献との任意の組み合わせで、かかる発明を教示、示唆、または開示することを認めるものではない。更に、本明細書中の用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれた文献中の同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する限り、本明細書中のその用語に割り当てられた意味または定義が適用される。
【0110】
本発明の特定の実施形態を例示し、説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の他の変更及び修正を行うことができることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含することが意図される。