特許第6807838号(P6807838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6807838オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を用いたアルミノホスフェートモレキュラーシーブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807838
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を用いたアルミノホスフェートモレキュラーシーブ
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/54 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   C01B39/54
【請求項の数】10
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-528458(P2017-528458)
(86)(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公表番号】特表2018-500264(P2018-500264A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】US2015062906
(87)【国際公開番号】WO2016089728
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年11月15日
(31)【優先権主張番号】14/561,121
(32)【優先日】2014年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ユーハス,ベンジャミン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス,クリストファー・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マーク・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ガリー,メリッサ・エム
【審査官】 宮崎 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−183020(JP,A)
【文献】 特開2013−108746(JP,A)
【文献】 特開平02−091909(JP,A)
【文献】 特開2005−222975(JP,A)
【文献】 特開昭59−111912(JP,A)
【文献】 特表2014−530171(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/075224(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公告第00723232(GB,A)
【文献】 英国特許出願公告第00723205(GB,A)
【文献】 特表2010−527769(JP,A)
【文献】 L. Marchese et al.,ALPO-34 and SAPO-34 synthesized by using morpholine as templating agent. FTIR and FT-Raman studies of the host-guest and guest-guest interactions within the zeolitic framework,Microporous and Mesoporous Materials,1999年,30,p.145-153
【文献】 M. Salmasi et al.,MTO reaction over SAPO-34 catalysts synthesized by combination of TEAOH and morpholine templates and different silica sources,Scientia Iranica,2012年,19(6),p.1632-1637
【文献】 Nasim Najafi et al.,Hydrothermal synthesis of nanosized SAPO-34 molecular sieves by different combinations of multi templates,Powder Technology,2014年,254,p.324-330
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B33/20−39/54
B01J20/00−20/28
B01J20/30−38/74
J−DreamIII
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製すること、
ここで、前記置換炭化水素は、2から8個の炭素原子を有するハロゲン置換アルカン、ベンジルハライド、1−ハロメタンナフタレン、2−ハロメタンナフタレン、pが4から10の範囲である式C2p−1のアルキル基を有するハロ置換非オレフィンアルカン、3から6個の炭素原子を有するα,ω−ジハロゲン置換アルカン、3から8個の炭素原子を有するジハロゲン置換アルカン、3から8個の炭素を有するトリハロゲン置換アルカン、及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される、
(b)前記水性混合物を反応させること、
(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得ること、
(d)Al、P、及びSiの反応性源、及び前記溶液を含む反応混合物を形成すること、
及び
(e)前記反応混合物を加熱して、モレキュラーシーブを形成すること、
を含む、アルミノホスフェート系モレキュラーシーブを合成するための方法。
【請求項2】
前記水性混合物を反応させる前記工程が、20℃から100℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記置換炭化水素が、ブロモエタン、ヨードエタン、クロロプロパン、ブロモプロパン、ヨードプロパン、クロロブタン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、ヨードブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、クロロペンタン、ブロモペンタン、ヨードペンタン、2−ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、ヨードヘキサン、ベンジルハライド、1−クロロ−2−フェニルエタン、1−ブロモ−2−フェニルエタン、1−ヨード−2−フェニルエタン、1−ハロメタンナフタレン、2−ハロメタンナフタレン、及びpが4から10の範囲である式C2p−1のアルキル基を有するハロ置換非オレフィンアルカン、並びにこれらの組み合わせ、から成る群より選択されるハロゲン置換アルカンである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記置換炭化水素が、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモブタン、1,3−ジブロモペンタン、1,4−ジブロモペンタン、2,4−ジブロモペンタン、1,5−ジブロモヘキサン、1,4−ジブロモヘキサン、1,3−ジブロモヘキサン、2,4−ジブロモヘキサン、2,5−ジブロモヘキサン、2,5−ジブロモ−3−メチルヘキサン、2,5−ジブロモ−3,3−ジメチルヘキサン、1,4−ジブロモ−2−エチルブタン、及び1,2−ジブロモ−2−フェニルエタン、並びにこれらの組み合わせ、から成る群より選択される2から8個の炭素原子を有するジハロゲン置換アルカンである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記置換炭化水素が、1,2,3−トリブロモプロパン、1,2,4−トリブロモブタン、1,2,3−トリブロモブタン、1,3,5−トリブロモペンタン、1,2,4−トリブロモペンタン、1,2,3−トリブロモペンタン、1,3,6−トリブロモヘキサン、1,2,4−トリブロモヘキサン、1,2,5−トリブロモヘキサン、1,2,6−トリブロモヘキサン、1,3,4−トリブロモヘキサン、及び1,3,5−トリブロモヘキサン、並びにこれらの組み合わせ、から成る群より選択される3から8個の炭素原子を有するトリハロゲン置換アルカンである、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体が、
式5:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アザシクロヘキサン
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、及び前記分子中のC原子の総数は、4から10の範囲である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物が、
式1:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−4−R10−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン−X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、若しくは式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり;R及びR10は、環サイズqのヘテロ環を形成する式C2mを有する環状アルキル基を形成し、ここで、mは、4から8の範囲であり、qは、5からm+1の範囲であり;Xは、ハライド若しくはヒドロキシドであり;並びに、前記分子中のC原子の総数は、8から17の範囲であるか;
又は、
式2:
[ビス−Ν,Ν’−ジR−(2,2’−ジR−2,2’−ジR−3,3’−ジR−3,3’−ジR−5,5’−ジR−5,5’−ジR−6,6’−ジR−6,6’−ジR−1,1’−オキサ−4,4’−アゾニウムシクロヘキサン)−R102+2X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、若しくは式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、Xは、ハライド若しくはヒドロキシドであり、前記分子中のC原子の総数は、11から24の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式C2mを有するアルキル基であり、x及びyが1からmより独立して選択される前記アルキル鎖の位置x及びyで4及び4’N原子と結合しているか、
又は、
式3:
[トリス−Ν,Ν’,N”−トリR−(2,2’,2”−トリR−2,2’,2”−トリR−3,3’,3”−トリR−3,3’,3”−トリR−5,5’,5”−トリR−5,5’,5”−トリR−6,6’,6”−トリR−6,6’,6”−トリR−1,1’,1”−オキサ−4,4’,4”−アゾニウムシクロヘキサン)−R103+3X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、若しくは式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、Xは、ハライド又はヒドロキシドであり、前記分子中のC原子の総数は、15から36の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式C2m−1を有するアルキル基であり、x、y、及びzが1からmより独立して選択される前記アルキル鎖の位置x、y、及びzで4、4’、及び4”N原子と結合しているか、
又は、
式4:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−4−R10−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン−X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、若しくは式C2n+1を有するアルキル基から選択され、R10は、nが1から4の範囲である式C2n+1を有するアルキル基、ベンジル、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、及びpが4から10の範囲である式C2p−1を有する非オレフィン系アルキル基から選択され、Xは、ハライド若しくはヒドロキシドであり、並びに前記分子中のC原子の総数は、4から16の範囲であるか、
又は、これらの組み合わせである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(d)が、Al、Si、Pの反応性源、及び所望に応じて含まれてよい結晶モレキュラーシーブのシードの第一の混合物を形成すること、及び、前記第一の混合物を冷却することなく、前記第一の混合物に前記溶液を添加することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(d)が、酸化物のモル比という意味で表される組成:
rR:Al:eMeOj/2:pP:sSiO:gH
の反応混合物を形成することを含み、ここで、「r」は、0.01から10の値を有し、「e」は、0から1.0の値を有し、「j」は、2から4の値を有し、「p」は、0.5から8.0の値を有し、「s」は、0から1.0の値を有し、「g」は、5から4000の値を有し、Rは、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を表し、Meは、典型元素Mg、Zn、Be、Gaから、又は第一、第二、若しくは第三遷移系列から選択される元素を表す、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項10】
(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製すること、
ここで、前記置換炭化水素は、2から8個の炭素原子を有するハロゲン置換アルカン、ベンジルハライド、1−ハロメタンナフタレン、2−ハロメタンナフタレン、pが4から10の範囲である式C2p−1のアルキル基を有するハロ置換非オレフィンアルカン、3から6個の炭素原子を有するα,ω−ジハロゲン置換アルカン、3から8個の炭素原子を有するジハロゲン置換アルカン、3から8個の炭素を有するトリハロゲン置換アルカン、及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される、
(b)前記水性混合物を反応させること、
(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得ること、
(d)Al、P、及びSiの反応性源、及び前記溶液を含む反応混合物を形成すること、
及び
(e)前記反応混合物を加熱して、モレキュラーシーブを形成すること、
を含む方法によって作製されたアルミノホスフェート系モレキュラーシーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の記載
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に援用される2014年12月4日に出願された米国特許出願第14/561,121号の優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本発明は、新規なオルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物、その四級アンモニウム塩を作製するための方法、及びアルミノホスフェート又はシリコアルミノホスフェートモレキュラーシーブの合成におけるその四級アンモニウム塩の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
モレキュラーシーブの種類としては、多孔性であり、頂点共有AlO4/2及びPO4/2四面体から形成される結晶アルミノホスフェート、シリコアルミノホスフェート、又はメタロアルミノホスフェート組成物が挙げられる。1982年、Wilson et. al.によって、アルミノホスフェートモレキュラーシーブ、いわゆるAlPOが最初に報告され、これは、シリカを含まないが、ゼオライトと同じ特性を多く有する多孔性物質である(米国特許第4,310,440号参照)。その後、Lok, et. al.(米国特許第4,440,871号参照)によって報告されたように、PO4/2四面体をSiO4/2四面体で置換することによって中性アルミノホスフェートフレームワークに電荷が導入され、SAPOモレキュラーシーブが作製された。中性アルミノホスフェートにフレームワーク電荷を導入する別の方法は、AlO4/2四面体を[Me2+4/22−四面体で置換することであり、これによって、MeAPOモレキュラーシーブが得られる(米国特許第4,567,029号参照)。SiO4/2及び[Me2+4/22−四面体を同時にフレームワークに導入することによって、AlPO系モレキュラーシーブにフレームワーク電荷を導入することも可能であり、これによって、MeAPSOモレキュラーシーブが得られる(米国特許第4,973,785号参照)。
【0004】
天然及び合成作製の両方について、数多くのモレキュラーシーブが、様々な工業プロセスに用いられている。合成では、これらのモレキュラーシーブは、適切なSi、Al、P源、及びアミン又はオルガノアンモニウムカチオンなどの構造指向剤を用いた水熱合成によって作製される。構造指向剤は、モレキュラーシーブの細孔中に存在し、最終的に形成される特定の構造を主として担っている。これらの種は、アルミノホスフェート組成物中のケイ素又はZnなどのその他の金属に伴うフレームワーク電荷を相殺し得るものであり、四面体ネットワークフレームワークを安定化させるための空間充填剤としても働くことができる。モレキュラーシーブは、均一な寸法の細孔開口部を有すること、高いイオン交換能を有すること、及び恒久的なモレキュラーシーブ結晶構造を構成するいずれの原子も大きく移動させることなく、結晶の内部空隙全体に分散されている吸着相を可逆的に脱着する能力を有することを特徴とする。モレキュラーシーブは、炭化水素変換反応における触媒として用いることができ、反応は、外側表面上、さらには細孔内の内側表面上でも発生することができる。
【0005】
モレキュラーシーブ物質の合成は、多くの場合、有機構造指向剤(OSDA)として知られるオルガノアミノテンプレート又はオルガノアンモニウムテンプレートの使用に依存している。テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、及びテトラプロピルアンモニウムなどの単純なOSDAは市販されている一方で、OSDAは、合成が困難で高価である複雑な分子である場合が多いが、しかし、その重要性は、その構造的特徴の態様をモレキュラーシーブに付与して望ましい細孔構造を得るその能力にある。例えば、OSDAとして1,4,7,10,13,16−ヘキサメチル−1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカンを用いると、STA−7、SAVゼオタイプのアルミノホスフェート系物質の合成が可能となることが示されており(Wright, et.al. J. Chem. Soc, Dalton Trans., 2000, 1243-1248);4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン(「Kryptofix 222」)を用いると、AlPO−42の合成が得られ(Schreyeck, et.al. Micro. Meso. Mater. 1998, 22, 87-106);米国特許第4,567,029号には、MAPO−35、LEVトポロジーを有するマグネシウムアルミノホスフェート物質が開示されており、ここでは、キヌクリジンが構造指向剤として用いられ;並びに米国特許第4,973,785号には、MeAPSO組成のCoAPSO−35が開示されており、これは、Al及びPに加えてコバルト及びケイ素の両方をフレームワーク中に含有し、メチルキヌクリジンが構造指向剤として用いられている。
【0006】
本技術分野において、複雑なオルガノアンモニウムSDAの使用から、多くの場合、新規なモレキュラーシーブ物質が得られることが明らかに示されている。しかし、このような複雑なオルガノアンモニウム化合物の合成は、非常に時間がかかり、多くの段階を必要とし、有機溶媒中であることが多く、それによって、新規なモレキュラーシーブ物質の開発が妨げられている。単純な市販のOSDAの場合であっても、多くの場合、OSDAは、モレキュラーシーブ物質の合成に用いられる最も高価な成分である。従って、市販のオルガノアンモニウムSDAから、又は市販の出発物質から容易に合成され得るSDAから新規なモレキュラーシーブを合成することは、経済的に有利であろう。
【0007】
単純な市販のアミンであるモルホリン(テトラヒドロ−1,4−オキサジン)は、アルミノホスフェート系モレキュラーシーブの合成にこれまでに用いられてきており、CHAタイプのモレキュラーシーブが得られることが示されているが(Marchese, et.al. Micro. Meso. Mater. 1999, 30, 145-53;Ito, et.al. Acta Cryst. 1985, C41, 1698-1700)、その他の構造タイプのモレキュラーシーブが得られることは依然として示されていない。加えて、モルホリンの蒸気圧は比較的高く、このことにより、低蒸気圧のオルガノアンモニウムSDAが好ましいことから、その商業的スケールでの使用は問題となる。
【発明の概要】
【0008】
これまでに考察した複雑なOSDAは、ex−situで合成され、反応混合物に複数の点で添加されたものである。しかし、ex−situ合成の1つの欠点は、プロセスが、典型的には有機溶媒の存在下で行われることであり、このことにより、SDAを不要な有機物質から回収するために、少なくとも1つの望ましくない精製工程が必要となる。
【0009】
従って、新規なオルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物が、本技術分野において必要とされている。このようなオルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物が、アルミノシリケート、シリケート、アルミノホスフェート、又はシリコアルミノホスフェート組成物のためのSDAとして有用であることが望ましい。
【0010】
本発明は、置換炭化水素及び本質的にピラミッド反転を起こすことができないアミンの予め反応させた水溶液を作製するための方法を開示し、これは、後述する問題点を克服するものである。本発明者らは、置換炭化水素及びアミンを、水溶液中、室温(又は僅かにそれよりも高い温度)で反応させることで、OSDAを含む水溶液を得ることができるという驚くべき発見を成した。この方法は、参照により本明細書に援用される米国特許出願第14/552,654号に、広範な種類のアミンに対して開示されている。次に、この溶液は、精製を行うことなく、モレキュラーシーブの合成に用いることができる。この手順により、容易に入手可能である出発試薬から、容易で実用的な方法で、特殊な四級アンモニウム塩などのSDAを作製することが可能となる。
【0011】
本発明の方法によって作製されたOSDAは、水溶液であり、臭気を呈することがなく、引火点の懸念もない。その結果、従来になく、in−situでのゼオライト反応混合物の作製において典型的に必要とされる冷却工程を省略し、ex−situでの作製法で典型的に必要とされる有機溶媒の蒸発などの精製工程を回避することができる。
【0012】
本発明の1つの態様は、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩を含む新規なモルホリニウム化合物である。1つのバージョンでは、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩は、式1:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−4−R10−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン−X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり;R及びR10は、環サイズqのヘテロ環を形成する式C2mを有する環状アルキル基を形成し、ここで、mは、4から8の範囲であり、qは、5からm+1の範囲であり;Xは、ハライド又はヒドロキシドであり;並びに、分子中のC原子の総数は、8から17の範囲である。
【0013】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の別のバージョンは、式2:
[ビス−Ν,Ν’−ジR−(2,2’−ジR−2,2’−ジR−3,3’−ジR−3,3’−ジR−5,5’−ジR−5,5’−ジR−6,6’−ジR−6,6’−ジR−1,1’−オキサ−4,4’−アゾニウムシクロヘキサン)−R102+2X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり;Xは、ハライド又はヒドロキシドであり;分子中のC原子の総数は、11から24の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式C2mを有するアルキル基であり、x及びyが1からmより独立して選択されるアルキル鎖の位置x及びyで4及び4’N原子と結合している。
【0014】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩のなお別のバージョンは、式3:
[トリス−Ν,Ν’,N”−トリR−(2,2’,2”−トリR−2,2’,2”−トリR−3,3’,3”−トリR−3,3’,3”−トリR−5,5’,5”−トリR−5,5’,5”−トリR−6,6’,6”−トリR−6,6’,6”−トリR−1,1’,1”−オキサ−4,4’,4”−アゾニウムシクロヘキサン)−R103+3X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、Xは、ハライド又はヒドロキシドであり、分子中のC原子の総数は、15から36の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式C2m−1を有するアルキル基であり、x、y、及びzが1からmより独立して選択されるアルキル鎖の位置x、y、及びzで4、4’、及び4”N原子と結合している。
【0015】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩のさらに別のバージョンは、式4:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−4−R10−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン−X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、R10は、nが1から4の範囲である式C2n+1を有するアルキル基、ベンジル、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、及びpが4から10の範囲である式C2p−1を有する非オレフィン系アルキル基から選択され、Xは、ハライド又はヒドロキシドであり、並びに分子中のC原子の総数は、4から16の範囲である。
【0016】
方法の別のバージョンでは、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物は、ゼオライト、アルミノホスフェート、又はシリコアルミノホスフェートの合成における構造指向剤である。
【0017】
別の態様では、本発明は、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を合成するための方法を提供する。この方法は:(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製する工程;(b)水性混合物を反応させる工程;並びに(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得る工程を含み、ここで、混合物及び溶液は、本質的にアルミニウム及びケイ素を含まない。方法の1つのバージョンでは、溶液は、アルミニウム、ケイ素、及びリンを含まない。方法の1つのバージョンでは、溶液は、アルミニウム及びリンを含まない。本質的に含まないとは、記載の元素が混合物又は溶液に意図的に添加されなかったことを示すことを意図している。反応器壁の溶解、出発物質中の不純物、又はその他の原因から来るものであれ、付随的な量のその元素は許容され得る。本質的に含まないは、1質量%未満、又は0.5質量%未満、又は0.1質量%未満の元素が存在することを意味し得る。
【0018】
方法の1つのバージョンでは、水性混合物を反応させる工程は、0℃から125℃の温度で、15分間から72時間にわたって行われる。方法の別のバージョンでは、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン生成物は、モレキュラーシーブの合成における構造指向剤として用いられる。方法の別のバージョンでは、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体は、本質的にピラミッド反転を起こすことができない。
【0019】
従って、本発明の利点は、水性混合物中で構造指向剤を作製するためのシステム及び方法を提供することであり、ここで、構造指向剤は、P及びAlの反応性源の非存在下で作製される。さらに、水性混合物は、最終的に四級オルガノアンモニウム化合物を含む溶液を提供する目的で、臭化物塩などのオルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサンハロゲン塩を形成することができる。臭化オルガノアンモニウム塩は、AgOとの反応により、又はアニオン交換樹脂によりイオン交換されて、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物のヒドロキシド型が得られてよく、又はハロゲン塩として直接用いられてもよい。そして、得られたオルガノアンモニウム化合物を、ゼオライト又はモレキュラーシーブの合成に用いることができる。
【0020】
方法の1つのバージョンでは、構造指向剤を得る際に、有機溶媒は用いられない。
1つのバージョンでは、本発明は、アルミノホスフェート系モレキュラーシーブを合成するための方法を提供する。この方法は、(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製する工程;(b)水性混合物を反応させる工程;(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得る工程;(d)Al及びPの反応性源、並びに該溶液を含む反応混合物を形成する工程;並びに(e)反応混合物を加熱して、モレキュラーシーブを形成する工程を含んでよい。
【0021】
方法の別のバージョンでは、工程(d)は、Me、Al、Si、Pの反応性源、及び所望に応じて含まれてよいモレキュラーシーブのシードの第一の混合物を形成すること、並びに第一の混合物を冷却することなく、第一の混合物に溶液を添加することを含む。
【0022】
方法の1つのバージョンでは、水性混合物を反応させる工程は、0℃から125℃の温度で、15分間から72時間にわたって行われる。
別の態様では、本発明は、(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製する工程;(b)水性混合物を反応させる工程;(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得る工程;(d)Al及びPの反応性源、並びに該溶液を含む反応混合物を形成する工程;並びに(e)反応混合物を加熱して、モレキュラーシーブを形成する工程を含む方法によって作製されたアルミノホスフェートモレキュラーシーブを提供する。
【0023】
方法の1つのバージョンでは、水性混合物及び溶液は、本質的にアルミニウム及びリンを含まない。
方法の別のバージョンでは、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体は、本質的にピラミッド反転を起こすことができない。
【0024】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様、並びに利点は、以下の詳細の記述、図面、及び添付の特許請求の範囲を考慮することでより良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体の図である。
図2図2は、式1の構造を有する1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の種類の図である。
図3図3は、式2の構造を有する1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の種類の図である。
図4図4は、式3の構造を有する1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の種類の図である。
図5図5は、式4の構造を有する1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の種類の図である。
図6図6A〜Bは、ピラミッド反転を起こしている置換アミン化合物の図である。
図7図7A〜Dは、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体から形成された四級アンモニウム化合物の図である。
図8図8は、例13の生成物のx線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.構造指向剤の作製
本発明は、新規な1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩を作製するための水性方法を扱う。これらの化合物は、有機構造指向剤(OSDA)として用いることができ、それらは、OSDA合成及びそれに続くモレキュラーシーブ合成に伴う典型的な問題の多くを克服する。本発明の実施形態は、様々な出発物質から1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩を合成するための方法を含む。
【0027】
本発明の1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩を作製するための典型的な方法では、置換炭化水素が水に添加されて、混合物が形成される。次に、図1に示されるように、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体が添加され、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩を含有する溶液が見られるまで、反応混合物が撹拌されてよい。溶液が室温まで冷却されると、生成物は、後からの使用のために、水溶液として安定に維持される。
【0028】
特定の実施形態では、前駆体試薬(例:置換アルカン及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体)は、方法のいくつかの時点で別々に、又は一緒に添加されて、反応混合物が形成されてよい。前駆体は、0℃から125℃の範囲の温度で一緒に反応されてよい。好ましくは、前駆体は、5℃から100℃の範囲の温度など、室温、又は少し高められた温度で反応される。より好ましくは、前駆体は、20℃から120℃、又は20℃から80℃の温度で反応される。
【0029】
反応時間は、5分間から72時間、又は15分から48時間、又は0.5時間から48時間まで様々である。
得られた溶液は、室温まで冷却されてよく、又はそのまま用いられてもよい。他の公知の技術では、蒸留、再結晶、クロマトグラフィ、及び真空による成分の除去などの精製工程の使用が必要である。本方法の有益性は、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の溶液が、この溶液を用いてゼオライト及びモレキュラーシーブを作製する前に行われる追加の精製工程なしで作製されることである。いくつかの小実験室スケールでの手順では、未反応の反応体の除去が含まれる場合もあるが、商業的な実施形態では、ほとんどの場合完全に反応が行われる。以下で述べるイオン交換は、溶液を精製するものではなく、ハライドアニオンをヒドロキシドイオンに変換するものであり、従って、精製工程ではない。得られた溶液は、室温まで冷却されてよく、又はそのまま用いられてもよい。しかし、溶液を使用する前に精製工程は行われない。
【0030】
本発明の方法は、微孔性結晶モレキュラーシーブの作製の際に行われてよい。1つの態様では、本発明は、モレキュラーシーブを合成するための方法を提供する。この方法は、(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製する工程;(b)水性混合物を反応させる工程;(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得る工程;(d)フレームワーク中の元素の反応性源及び該溶液を含むモレキュラーシーブ反応混合物を形成する工程;並びに(e)反応混合物を加熱してモレキュラーシーブを形成する工程を含んでよい。
【0031】
本発明の1つの態様では、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩が、置換炭化及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体から作製される。適切な置換炭化水素としては、2から8個の炭素原子を有するハロゲン置換アルカン、ベンジルハライド、1−ハロメタンナフタレン、2−ハロメタンナフタレン、pが4から10の範囲である式C2p−1のアルキル基を有するハロ置換非オレフィンアルカン、3から6個の炭素原子を有するα,ω−ジハロゲン置換アルカン、3から8個の炭素原子を有するジハロゲン置換アルカン、3から8個の炭素を有するトリハロゲン置換アルカン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲンとしては、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。ある態様では、ハロゲンは、臭素又はヨウ素である。別の態様では、ハロゲンは、臭素である。ある態様では、置換炭化水素上のハロゲン置換が何であるかは、すべて異なっていても、すべて同じであっても、又はこれらのいずれの組み合わせであってもよい。
【0032】
2から8個の炭素原子を有する適切なハロゲン置換アルカンとしては、これらに限定されないが、ブロモエタン、ヨードエタン、クロロプロパン、ブロモプロパン、ヨードプロパン、クロロブタン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、ヨードブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、クロロペンタン、ブロモペンタン、ヨードペンタン、2−ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、ヨードヘキサン、臭化ベンジル、1−クロロ−2−フェニルエタン、1−ブロモ−2−フェニルエタン、及び1−ヨード−2−フェニルエタンが挙げられる。
【0033】
3から6個の炭素原子を有するα,ω−ジハロゲン置換アルカンとしては、これらに限定されないが、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,4−ジブロモ−2−メチルブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
3から8個の炭素原子を有するジハロゲン置換アルカンとしては、適切には、これらに限定されないが、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモブタン、1,3−ジブロモペンタン、1,4−ジブロモペンタン、2,4−ジブロモペンタン、1,5−ジブロモヘキサン、1,4−ジブロモヘキサン、1,3−ジブロモヘキサン、2,4−ジブロモヘキサン、2,5−ジブロモヘキサン、2,5−ジブロモ−3−メチルヘキサン、2,5−ジブロモ−3,3−ジメチルヘキサン、1,4−ジブロモ−2−エチルブタン、及び1,2−ジブロモ−2−フェニルエタンが挙げられる。ハロゲン置換は、塩素、臭素、又はヨウ素であってよいが、臭素について例示している。態様では、2つのハロゲン置換は、同じであっても、又は異なっていてもよい。
【0035】
3から8個の炭素を有するトリハロゲン置換アルカンとしては、適切には、これらに限定されないが、1,2,3−トリブロモプロパン、1,2,4−トリブロモブタン、1,2,3−トリブロモブタン、1,3,5−トリブロモペンタン、1,2,4−トリブロモペンタン、1,2,3−トリブロモペンタン、1,3,6−トリブロモヘキサン、1,2,4−トリブロモヘキサン、1,2,5−トリブロモヘキサン、1,2,6−トリブロモヘキサン、1,3,4−トリブロモヘキサン、及び1,3,5−トリブロモヘキサンが挙げられる。
【0036】
ハロゲン置換は、塩素、臭素、又はヨウ素であってよいが、臭素について例示している。態様では、置換炭化水素上の3つのハロゲン置換が何であるかは、すべて異なっていても、すべて同じであっても、又はこれらのいずれの組み合わせであってもよい。
【0037】
ある態様では、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体の置換に対するモル比は、1:1から2:1であり、好ましくは、1:1から1.5:1である。典型的には、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体の置換に対するモル比は、1である。従って、臭化ブチルが置換炭化水素として用いられる場合、典型的には、1当量の1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体が用いられ、一方1,4−ジブロモブタンが置換炭化水素として用いられる場合は、典型的には、2当量の1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体が用いられる。
【0038】
適切な1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体としては、少なくとも1つのコンフォマーが本質的にピラミッド反転を起こすことができないものが挙げられる。ピラミッド反転のIUPACによる定義は、「ピラミッド型配置(トリポッド型配置(tripodal arrangement))の結合を有する三配位中心原子への結合方向の変化により、中心原子(ピラミッドの頂点)がピラミッドの底面の反対側の対応する位置に移動したように見えるポリトパル転位(polytopal rearrangement)。中心原子に対する3つの配位子が異なっている場合、ピラミド転位は、エナンチオマーを相互変換する」として与えられる。多くの窒素化合物がトリポッド型の性質である結果、これらの化合物は、ピラミッド反転を起こすことができる。典型的には、拘束されていない分子の場合、反転に対するエネルギー障壁は低い。例えば、アンモニア(NH)は、24.5kJmol−1の反転障壁を有し、観察された反転頻度は、2.41010−1であり、ジメチルアミンは、18kJmol−1の反転障壁を有し、トリイソプロピルアミンは、6〜8kJmol−1の反転障壁を有し、ジメチルエチルアミンは、22kJmol−1の反転障壁を有する。しかし、反転障壁エネルギーは、1−メチルピロリジンの場合のように、窒素置換基が小環又はその他の剛体分子の一部である場合、非常に高くなり得る。本質的にピラミッド反転を起こすことができないとして定められる分子は、少なくとも28kJmol−1の、より好ましくは、少なくとも30kJmol−1の反転障壁エネルギーを有する。ピラミッド反転の考察については、Rauk, A., et al., (1970), Pyramidal Inversion. Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 9: 400-414に見出すことができ、特にアミンについてのさらなる考察は、"Inorganic Chemistry" edited by Arnold F. Holleman, et al., Academic Press, 2001に見出される。さらに図6A〜Bは、ピラミッド反転を起こしている置換アミン化合物を示す。分子は、多くのコンフォマー又は折り畳みパターンで存在し得る。例えば、シクロヘキサンには、いす型及び船型の両方が存在し、この2つの異なるコンフォマー間で相互変換することは公知である。本発明の態様では、アミンの少なくとも1つのコンフォマーが、本質的にピラミッド反転を起こすことができない。
【0039】
【表1】
【0040】
1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体が図1に示され、これは、式5:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アザシクロヘキサン、
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、及び分子中のC原子の総数は、4から12の範囲である。
【0041】
あるバージョンでは、R〜Rは、Hである。
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つは、アルキル基であり、アルキル基のうちの2つは、同じC原子上に存在する(例:R及びR、又はR及びR、又はR及びR、又はR及びR)。
【0042】
2つ以上のアルキル基が存在する場合、アルキル基は、同じ基であってよく、又はそれらは異なっていてもよい。最も一般的には、アルキル基は、メチル又はエチル基である。
適切な1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体としては、これらに限定されないが、4−ブチルモルホリン、4−プロピルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−メチルモルホリン、モルホリン、2−メチルモルホリン、2,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−2−メチルモルホリン、4−プロピル−2−メチルモルホリン、3−メチルモルホリン、3,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−3−メチルモルホリン、4−プロピル−3−メチルモルホリン、5−メチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、4−エチル−5−メチルモルホリン、4−プロピル−5−メチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、6−メチルモルホリン、4,6−ジメチルモルホリン、4−エチル−6−メチルモルホリン、4−プロピル−6−メチルモルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、2,4,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,6−ジメチルモルホリン、2,3−ジメチルモルホリン、2,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,3−ジメチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、2,4,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,5−ジメチルモルホリン、2,2−ジメチルモルホリン、2,2,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,2−ジメチルモルホリン、3,3−ジメチルモルホリン、3,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−3,3−ジメチルモルホリン、5,5−ジメチルモルホリン、4,5,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−5,5−ジメチルモルホリン、6,6−ジメチルモルホリン、4,6,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−6,6−ジメチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ブチルは、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルを示し得る。プロピルは、n−プロピル又はイソプロピルを示し得る。
【0043】
置換炭化水素が、3から6個の炭素原子を有するα,ω−ジハロゲン置換アルカン又は3から8個の炭素原子を有するジハロゲン置換アルカンである場合、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩は、式1又は式2のいずれかの構造を有し得る。Rがアルキル基である場合、式2の構造が得られ得る。RがHである場合、式1の構造が得られ得る。
【0044】
置換炭化水素が3から8個の炭素を有するトリハロゲン置換アルカンである場合、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩は、式3の構造を有し得る。
置換炭化水素が、2から8個の炭素原子を有するハロゲン置換アルカン、ベンジルハライド、1−ハロメタンナフタレン、2−ハロメタンナフタレン、又はpが4から10の範囲である式C2p−1のアルキル基を有するハロ置換非オレフィンアルカンである場合、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩は、式4の構造を有し得る。
【0045】
1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体は、R〜Rを含み、少なくともR10は、置換炭化水素由来である。あるバージョンでは、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体のR〜Rにおける置換基、及び1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩のR〜Rにおける置換基は、同じである。あるバージョンでは、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体のR〜Rにおける置換基、及び1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩のR〜Rにおける置換基は、同じである。
【0046】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の1つの種類は、式1:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−4−R10−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン−X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり;R及びR10は、環サイズqのヘテロ環を形成する式C2mを有する環状アルキル基を形成し、ここで、mは、4から8の範囲であり、qは、5からm+1の範囲であり;Xは、ハライド又はヒドロキシドであり;並びに、分子中のC原子の総数は、8から17の範囲である。
【0047】
あるバージョンでは、R〜RがHであり、mが4である場合、Xは、ヒドロキシドである。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、mは、5から8の範囲である。
【0048】
あるバージョンでは、Xは、ヒドロキシドである。
環状アルキル基は、4から8個の炭素を有していてよく、ヘテロ環は、5からm+1の環サイズを有する。最も一般的には、ヘテロ環は、5又は6員環である。あるバージョンでは、qは、5である。あるバージョンでは、qは、6である。あるバージョンでは、qは、5又は6である。
【0049】
あるバージョンでは、R10は、直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基であってよい。R10が分岐鎖状アルキル基である場合、ヘテロ環は、1つ以上のアルキル置換基を有してよい。例えば、1,4−ジブロモ−4,4−ジメチルブタンを用いると、窒素原子に隣接する炭素上に2つのメチル基を有する5員環ヘテロ環が得られ、環状アルキル基は、式C12を有する。
【0050】
あるバージョンでは、R〜Rは、Hである。
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つがアルキル基である場合、アルキル基のうちの2つは、同じC原子上に存在する(例:R及びR、又はR及びR、又はR及びR、又はR及びR)。
【0051】
2つ以上のアルキル基が存在する場合、アルキル基は、同じ基であってよく、又はそれらは、異なっていてもよい。最も一般的には、アルキル基は、メチル又はエチル基である。
【0052】
1つのバージョンでは、環状アルキル基は、5個の炭素を有し、qは、6であり、R〜Rは、Hであり、Xは、ハライドである。
例として、図7Aは、1,5−ジブロモ−2,2−ジメチルペンタンとモルホリンとの反応から形成された生成物である3−オキサ−6−アゾニア−8,8−ジメチルスピロ[5.5]ウンデカンを示す。
【0053】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の別の種類は、式2:
[ビス−Ν,Ν’−ジR−(2,2’−ジR−2,2’−ジR−3,3’−ジR−3,3’−ジR−5,5’−ジR−5,5’−ジR−6,6’−ジR−6,6’−ジR−1,1’−オキサ−4,4’−アゾニウムシクロヘキサン)−R102+2X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、Xは、ハライド又はヒドロキシドであり、分子中のC原子の総数は、11から24の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式C2mを有するアルキル基であり、x及びyが1からmより独立して選択されるアルキル鎖の位置x及びyで4及び4’N原子と結合している。
【0054】
あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCHであり、R10がCであり、xが1であり、yが4である場合、Xは、ヒドロキシドであり;又はR〜RがHであり、RがCHであり、R10がC10であり、xが1であり、yが5である場合、Xは、ヒドロキシドであり;又はR〜RがHであり、RがCHであり、R10がC12であり、xが1であり、yが6である場合、Xは、ヒドロキシドであり;又はR〜RがHであり、RがCHであり、R10がC14であり、xが1であり、yが7である場合、Xは、ヒドロキシドであり;又はR〜RがHであり、RがCであり、R10がC12であり、xが1であり、yが6である場合、Xは、ヒドロキシドである。
【0055】
あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCH又はCである場合、Xは、ヒドロキシドである。あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCHである場合、mは、3又は8である。あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCである場合、mは、3、4、5、7、又は8である。あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCHである場合、yは、mと等しくない。あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCである場合、yは、mと等しくない。あるバージョンでは、R〜RがHであり、Rがアルキル基である場合、yは、mと等しくない。
【0056】
あるバージョンでは、RがCH又はCである場合、Xは、ヒドロキシドである。あるバージョンでは、RがCHである場合、mは、3又は8である。あるバージョンでは、RがCである場合、mは、3、4、5、7、又は8である。あるバージョンでは、RがCHである場合、yは、mと等しくない。あるバージョンでは、RがCである場合、yは、mと等しくない。あるバージョンでは、Rがアルキル基である場合、yは、mと等しくない。
【0057】
あるバージョンでは、Xは、ヒドロキシドである。
あるバージョンでは、R10は、直鎖状アルキル基である(すなわち、xは1であり、yはmである)。
【0058】
あるバージョンでは、Rがアルキル基である場合、Xは、ヒドロキシドである。
あるバージョンでは、Rは、メチル基である。あるバージョンでは、Rは、メチル基であり、R10は、4個の炭素を有する。あるバージョンでは、Rは、メチル基であり、R10は、4個の炭素を有し、R10は、その鎖の末端で2つのモルホリン環と結合している(すなわち、xは1であり、yは4である)。あるバージョンでは、化合物は、1,4−ビス(4−メチルモルホリニウム)ブタンのジハライド又はジヒドロキシドである。
【0059】
あるバージョンでは、R〜Rは、Hである。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、Hである。あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCHである場合、y及びmは、同じ値を有しない。あるバージョンでは、R〜RがHであり、RがCである場合、mは、3、4、5、7、及び8から成る群より選択される。
【0060】
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、Hである。
【0061】
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つがアルキル基である場合、アルキル基のうちの2つは、同じC原子上に存在する(例:R及びR、又はR及びR、又はR及びR、又はR及びR)。
【0062】
〜Rのうちの2つ以上がアルキル基である場合、アルキル基は、同じ基であってよく、又はそれらは異なっていてもよい。最も一般的には、アルキル基は、メチル又はエチル基である。
【0063】
あるバージョンでは、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩は、ビス−:4−ブチルモルホリン、4−プロピルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−メチルモルホリン、モルホリン、2−メチルモルホリン、2,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−2−メチルモルホリン、4−プロピル−2−メチルモルホリン、3−メチルモルホリン、3,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−3−メチルモルホリン、4−プロピル−3−メチルモルホリン、5−メチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、4−エチル−5−メチルモルホリン、4−プロピル−5−メチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、6−メチルモルホリン、4,6−ジメチルモルホリン、4−エチル−6−メチルモルホリン、4−プロピル−6−メチルモルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、2,4,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,6−ジメチルモルホリン、2,3−ジメチルモルホリン、2,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,3−ジメチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、2,4,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,5−ジメチルモルホリン、2,2−ジメチルモルホリン、2,2,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,2−ジメチルモルホリン、3,3−ジメチルモルホリン、3,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−3,3−ジメチルモルホリン、5,5−ジメチルモルホリン、4,5,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−5,5−ジメチルモルホリン、6,6−ジメチルモルホリン、4,6,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−6,6−ジメチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、及びこれらの組み合わせのジハライド又はジヒドロキシドのうちの少なくとも1つを含む。ブチルは、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルを示し得る。プロピルは、n−プロピル又はイソプロピルを示し得る。
【0064】
例として、図7Bは、1,4−ジブロモブタンと4−エチルモルホリニウムとの反応から形成された生成物である1,4−ビス(4−エチルモルホリニウム)ブタンジブロミドを示す。
【0065】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩の別の種類は、式3:
[トリス−Ν,Ν’,N”−トリR−(2,2’,2”−トリR−2,2’,2”−トリR−3,3’,3”−トリR−3,3’,3”−トリR−5,5’,5”−トリR−5,5’,5”−トリR−6,6’,6”−トリR−6,6’,6”−トリR−1,1’,1”−オキサ−4,4’,4”−アゾニウムシクロヘキサン)−R103+3X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、Xは、ハライド又はヒドロキシドであり、分子中のC原子の総数は、15から36の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式C2m−1を有するアルキル基であり、x、y、及びzが1からmより独立して選択されるアルキル鎖の位置x、y、及びzで4、4’、及び4”N原子と結合している。
【0066】
あるバージョンでは、Xは、ヒドロキシドである。
あるバージョンでは、Rがアルキル基である場合、Xは、ヒドロキシドである。
あるバージョンでは、Rは。アルキル基である。あるバージョンでは、Rは、メチル又はエチル基である。
【0067】
あるバージョンでは、xは、1であり、zは、mである。あるバージョンでは、xは、1であり、zは、m−1である。あるバージョンでは、xは、1であり、zは、m−2である。あるバージョンでは、mは、4から8又は4から7の範囲である。
【0068】
あるバージョンでは、R〜Rは、Hである。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、メチル又はエチル基である。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、Hである。
【0069】
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、メチル又はエチル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、Hである。
【0070】
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つがアルキル基である場合、アルキル基のうちの2つは、同じC原子上に存在する(例:R及びR、又はR及びR、又はR及びR、又はR及びR)。
【0071】
2つ以上のアルキル基が存在する場合、アルキル基は、同じ基であってよく、又はそれらは異なっていてもよい。最も一般的には、アルキル基は、メチル又はエチル基である。
あるバージョンでは、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩は、トリス−:4−ブチルモルホリン、4−プロピルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−メチルモルホリン、モルホリン、2−メチルモルホリン、2,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−2−メチルモルホリン、4−プロピル−2−メチルモルホリン、3−メチルモルホリン、3,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−3−メチルモルホリン、4−プロピル−3−メチルモルホリン、5−メチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、4−エチル−5−メチルモルホリン、4−プロピル−5−メチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、6−メチルモルホリン、4,6−ジメチルモルホリン、4−エチル−6−メチルモルホリン、4−プロピル−6−メチルモルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、2,4,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,6−ジメチルモルホリン、2,3−ジメチルモルホリン、2,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,3−ジメチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、2,4,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,5−ジメチルモルホリン、2,2−ジメチルモルホリン、2,2,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,2−ジメチルモルホリン、3,3−ジメチルモルホリン、3,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−3,3−ジメチルモルホリン、5,5−ジメチルモルホリン、4,5,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−5,5−ジメチルモルホリン、6,6−ジメチルモルホリン、4,6,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−6,6−ジメチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、及びこれらの組み合わせのトリハライド又はトリヒドロキシドのうちの少なくとも1つを含む。
【0072】
例として、図7Cは、1,3,6−トリブロモ−4−メチルヘキサンと4−メチルモルホリンとの反応から形成された生成物である1,3,6−トリス(4−メチルモルホリニウム)4−メチルヘキサントリブロミドを示す。
【0073】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩のさらに別の種類は、式4:
2−R−2−R−3−R−3−R−4−R−4−R10−5−R−5−R−6−R−6−R−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン−X
の構造を有し、式中、R〜Rは、独立して、H、又は式C2n+1を有するアルキル基から選択され、R10は、nが1から4の範囲である式C2n+1を有するアルキル基、ベンジル、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、及びpが4から10の範囲である式C2p−1を有する非オレフィン系アルキル基から選択され、Xは、ハライド又はヒドロキシドであり、並びに分子中のC原子の総数は、4から16の範囲である。
【0074】
あるバージョンでは、Xは、ヒドロキシドである。
あるバージョンでは、Rがアルキル基である場合、Xは、ヒドロキシドである。
あるバージョンでは、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、Rは、メチル又はエチル基である。
【0075】
あるバージョンでは、R〜Rは、Hである。
あるバージョンでは、R〜Rは、Hである。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、メチル又はエチル基である。あるバージョンでは、R〜RがHである場合、Rは、Hである。
【0076】
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、メチル又はエチル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも1つがアルキル基である場合、Rは、Hである。
【0077】
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つがアルキル基である場合、アルキル基のうちの2つは、同じC原子上に存在する(例:R及びR、又はR及びR、又はR及びR、又はR及びR)。
【0078】
2つ以上のアルキル基が存在する場合、アルキル基は、同じ基であってよく、又はそれらは異なっていてもよい。最も一般的には、アルキル基は、メチル又はエチル基である。
あるバージョンでは、R〜Rのうちの少なくとも2つがアルキル基である場合、R及びR10のうちの少なくとも1つは、式C2n+1を有するアルキル基である。
【0079】
あるバージョンでは、R10は、式C2n+1を有するアルキル基である。あるバージョンでは、R10は、プロピル又はブチル基である。あるバージョンでは、R10アルキル基は、直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基であってよい。
【0080】
あるバージョンでは、R10は、ベンジルである。あるバージョンでは、R10がベンジルである場合、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R10がベンジルである場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R10がベンジルである場合、Rは、Hである。
【0081】
あるバージョンでは、R10は、1−メチルナフタレン又は2−メチルナフタレンである。あるバージョンでは、R10が1−メチルナフタレン又は2−メチルナフタレンである場合、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R10が1−メチルナフタレン又は2−メチルナフタレンである場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R10が1−メチルナフタレン又は2−メチルナフタレンである場合、Rは、Hである。
【0082】
あるバージョンでは、R10は、pが4から10の範囲である式C2p−1を有する非オレフィン系アルキル基である。あるバージョンでは、R10が非オレフィン系アルキル基である場合、R〜Rのうちの少なくとも1つは、アルキル基である。あるバージョンでは、R10が非オレフィン系アルキル基である場合、Rは、アルキル基である。あるバージョンでは、R10が非オレフィン系アルキル基である場合、Rは、Hである。あるバージョンでは、R10は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロペンチル、シクロオクチル、及びジメチルシクロヘキシルから成る群より選択される。pが4から10の範囲である式C2p−1を有する適切な非オレフィン系アルキル基としては、これらに限定されないが、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロペンチル、シクロオクチル、及びジメチルシクロヘキシルが挙げられる。あるバージョンでは、pは、5から8の範囲である。
【0083】
あるバージョンでは、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩は:4−ブチルモルホリン、4−プロピルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−メチルモルホリン、モルホリン、2−メチルモルホリン、2,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−2−メチルモルホリン、4−プロピル−2−メチルモルホリン、3−メチルモルホリン、3,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−3−メチルモルホリン、4−プロピル−3−メチルモルホリン、5−メチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、4−エチル−5−メチルモルホリン、4−プロピル−5−メチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、6−メチルモルホリン、4,6−ジメチルモルホリン、4−エチル−6−メチルモルホリン、4−プロピル−6−メチルモルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、2,4,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,6−ジメチルモルホリン、2,3−ジメチルモルホリン、2,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,3−ジメチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、2,4,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,5−ジメチルモルホリン、2,2−ジメチルモルホリン、2,2,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,2−ジメチルモルホリン、3,3−ジメチルモルホリン、3,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−3,3−ジメチルモルホリン、5,5−ジメチルモルホリン、4,5,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−5,5−ジメチルモルホリン、6,6−ジメチルモルホリン、4,6,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−6,6−ジメチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、及びこれらの組み合わせのハライド又はヒドロキシドのうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
例として、図7Dは、2−ブロモプロパンと4,6,6−トリメチルモルホリンとの反応から形成された生成物である4−イソプロピル(4,6,6−トリメチルモルホリニウム)ブロミドを示す。
【0085】
1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサンハライド塩は、副生物としてAgXが得られるAgOとの反応によって、又はアニオン交換樹脂を通る経路によってイオン交換されて、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物のヒドロキシド型が得られてよく、又はハロゲン塩として直接用いられてもよい。
【0086】
イオン交換プロセスは、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサンハライド塩を、ヒドロキシドイオンを有するイオン交換樹脂と接触させることを含んでよい。ハライドイオンをヒドロキシドイオンに変換することができる特定のイオン交換樹脂は、Dow Chemical社から入手可能であるDowex Monosphere 550A UPWである。イオン交換は、20℃から85℃、又は20℃から50℃、又は25℃から40℃の温度で、15分間から8時間、又は30分間から6時間、又は30分間から3時間の時間にわたって行われてよい。イオン交換は、連続モード、又はバッチモード、又はこれらのいずれかの組み合わせで行われてよい。バッチモードは、AgOを用いる場合に好ましく、連続モードは、イオン交換樹脂を用いる場合に好ましい。個々の1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサンハライド塩は、ハライドからヒドロキシドへのイオン効果において、異なる操作条件を必要とし得る。アニオンと1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサンカチオンとの相互作用によっては、イオン交換は、困難又は不可能であり得る。
【0087】
例2及び例3におけるブロミド塩及びヒドロキシド塩に対する13Cケミカルシフトの比較から、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩とアニオンとの相互作用が、アニオンが何であるかに応じて変動することが示される。特に、理論に束縛されるものではないが、カチオン性N中心の隣にあるC原子の化学ポテンシャルが、特に影響を受ける。塩の電子密度が、アニオンが何であるかによって大きく影響され得る。この相違は、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサンアニオン塩が特定のゼオライト又はモレキュラーシーブの合成を指向する能力に大きく影響し得る。モレキュラーシーブの合成において、ヒドロキシドは、典型的には、鉱化剤として用いられるため、ヒドロキシドSDA塩は、多くの場合、ハライドSDA塩よりも好ましい。
【0088】
本発明の方法は、微孔性結晶モレキュラーシーブの作製の際に行われてよい。1つの態様では、本発明は、アルミノホスフェート又はシリコアルミノホスフェートなどのモレキュラーシーブを合成するための方法を提供する。この方法は、(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製する工程;(b)水性混合物を反応させる工程;(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得る工程;(d)Al、Si、及びPの反応性源及び該溶液を含む反応混合物を形成する工程;並びに(e)反応混合物を加熱してモレキュラーシーブを形成する工程を含んでよい。
【0089】
方法の別のバージョンでは、工程(d)は、Me、Al、Si、Pの反応性源、及び所望に応じて含まれてよいモレキュラーシーブのシードの第一の混合物を形成すること、並びに第一の混合物を冷却することなく、第一の混合物に溶液を添加することを含む。
【0090】
方法の別のバージョンでは、工程(d)は、Me、Al、Pの反応性源、及び所望に応じて含まれてよいモレキュラーシーブのシードの第一の混合物を形成すること、並びに第一の混合物を冷却することなく、第一の混合物に溶液を添加することを含む。
【0091】
アルミノホスフェート反応混合物を形成する工程は、酸化物のモル比という意味で表される組成:
rR:Al:eMeOj/2:pP:sSiO:gH
の反応混合物を形成することを含み、ここで、「r」は、0.01から10の値を有し、「e」は、0から1.0の値を有し、「j」は、2から4の値を有し、「p」は、0.5から8.0の値を有し、「s」は、0から1.0の値を有し、「g」は、5から4000の値を有する。加えて、反応混合物は、反応混合物中の酸化物の合計質量に対して、1から10質量%のシードアルミノホスフェートを含んでよく、例えば、反応混合物中に100gの酸化物が存在する場合、1から10gのシードアルミノホスフェートが反応混合物に添加されることになる。態様では、反応混合物は、さらに、別のオルガノアンモニウム又はアミン構造指向剤を含んでもよい。Rは、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を表す。Meは、典型元素Mg、Zn、Be、Gaから、又は第一、第二、若しくは第三遷移系列から選択される元素を表す。この元素の限定されない例としては、Ti、Fe、Co、Mg、Mn、Cu、Ni、及びZnが挙げられる。
【0092】
アルミニウム源としては、これらに限定されないが、アルミニウムアルコキシド、沈降アルミナ、アルミニウム金属、水酸化アルミニウム、アルミニウム塩、及びアルミナゾルが挙げられる。アルミニウムアルコキシドの具体例としては、これらに限定されないが、アルミニウムsec−ブトキシド及びアルミニウムイソプロポキシドが挙げられる。シリカ源としては、これらに限定されないが、テトラエチルオルソシリケート、コロイド状シリカ、及び沈降シリカが挙げられる。リン源としては、これらに限定されないが、オルソリン酸及び酸化リンが挙げられる。
【0093】
例は、本明細書で述べるOSDAが形成されることになる反応混合物が得られる具体的な添加順序を示す。しかし、出発物質が複数あることから、多くの添加順序が可能である。
【0094】
本発明の方法のOSDAから作製されるモレキュラーシーブは、様々な炭化水素変換プロセスにおける触媒又は触媒担持体として用いることができる。炭化水素変換プロセスは、本技術分野において公知であり、分解、水素化分解、芳香族又はイソパラフィンのアルキル化、パラフィン、オレフィン、又はキシレンなどのポリ−アルキルベンゼンの異性化、ポリ−アルキルベンゼンのベンゼン又はモノ−アルキルベンゼンによるアルキル交換、モノ−アルキルベンゼンの不均化、重合、改質、水素化、脱水素化、アルキル交換、脱アルキル化、水和、脱水、水素化精製、水素化脱窒素、水素化脱硫、メタン化、及びシンガスシフトプロセスが挙げられる。
【0095】
実施例
本発明をより詳細に説明する目的で、以下の例が示される。例は、単なる実例であって、添付の特許請求の範囲に示される本発明の広い範囲を限定することを意図するものではないことは理解されたい。
【0096】
例1
422.44gの水を2Lのテフロン(登録商標)瓶に秤量し、瓶を4Lのビーカーに入れた。一定の撹拌下、218.1gの1,4ジブロモブタン、99%を水に添加した。この混合物に、204.34gの4−メチルモルホリン、99%を添加した。1.5Lの水道水を4Lのビーカーに入れてテフロン瓶を取り囲み、反応熱の制御を補助した。50℃の低加熱を用いて混合物を加温した。黄色溶液が形成されて、明らかなさらなる相が存在しなくなるまで撹拌を継続した。溶液の13C NMRから、1モルのメチルモルホリン対2.83モルの1,4−ビス(4−メチルモルホリニウム)ブタンジブロミドの比が示された。
【0097】
例2
413gの水を2Lのテフロン瓶に秤量した。474.1gの1,5ジブロモペンタン、97%(2モル)を添加した。撹拌しながら、この混合物に、176gのモルホリン、99%(4モル)を添加した。水とモルホリンが混合されて、濁った相が形成され、一方、より濃いジブロモペンタンが底に残った。テフロン瓶を二次容器としての4リットルのビーカーに移し、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。強い発熱が発生した場合にこれを分散させるために、1〜1.5リットルの冷水を4リットルのビーカーに添加した。混合物は、15分で黄色を呈し始め、反応が開始していることが示された。発熱は穏和であった。1時間後、透明薄橙色「溶液」が得られた。残りの413gの水を添加混合して、最終溶液を作製した。13C核磁気共鳴(NMR)を用いて、生成物が3−オキサ−6−アゾニアスピロ[5.5]ウンデカンブロミド溶液を含むことを確認した。このスピロ環式化合物に対するピークは、テトラメチルシランに対して63.6、59.9、58.0、21.0、及び18.9ppmに観察された。モルホリニウムに対する共鳴は、59.9及び43.4ppmに存在した。スピロ環式化合物のモルホリニウムに対する比は、1:1であった。両化合物を識別し、適切な積分比を取得するには、C−N分裂を示す温度可変NMRが必要である。出発物質1,5−ジブロモペンタンは、それぞれの積分比が1:2:2の29.3、34.4、及び36.2ppmにピークを有し、これは、最終溶液では観察されない。
【0098】
例3
例2からの溶液の1150グラムを、丸底フラスコ中で336.4グラムのAgOと接触させ、これらが混合されて、灰色不透明溶液を形成した。フラスコを、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に1日置いた(開放系)。このサンプルをろ過して析出した臭化銀を除去し、最終溶液を水分析に送り、それによって、サンプルが64.6%の水を含むことが示された。13C核磁気共鳴(NMR)を用いて、生成物が3−オキサ−6−アゾニアスピロ[5.5]ウンデカンヒドロキシド溶液を含むことを確認した。このスピロ環式化合物に対するピークは、テトラメチルシランに対して67.1、60.0、57.9、20.9、及び18.7ppmに観察された。モルホリニウムに対する共鳴は、59.8及び44.7ppmに存在した。スピロ環式化合物のモルホリニウムに対する比は、1:1であった。例2及び例3におけるブロミド塩及びヒドロキシド塩に対する13Cケミカルシフトの比較から、1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン塩とアニオンとの相互作用が、アニオンが何であるかに応じて変動することが示される。特に、理論に束縛されるものではないが、カチオン性N中心の横にあるC原子の化学ポテンシャルが、特に影響を受ける。塩の電子密度が、アニオンが何であるかによって大きく影響され得る。
【0099】
例4
88.65gの水を1Lのテフロン瓶に秤量した。141.33gの1,4−ジブロモブタン、99%を添加した。この混合物に、154gの4−エチルモルホリン、97%を添加した。水とエチルモルホリンが混合されて、濁った相が形成され、一方、より濃いジブロモブタンが底に残った。テフロン瓶を二次容器としての2リットルのビーカーに移し、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。テフロン瓶をシールし、撹拌することなく100℃で一晩置いた。溶液を室温まで冷却した後、88gの脱イオン水を溶液に添加した。再度、溶液を撹拌することなく100℃で一晩置き、褐色半透明溶液が得られ、これは、13C NMRによると、1,4−ビス(4−エチルモルホリニウム)ブタンジカチオンに対するピークを有していた。サンプルを水分析に送り、それによって、それが36.6%の水を含むことが示された。
【0100】
例5
355.88gの水を2Lのガラスビーカーに秤量した。355.57gの1,5−ジブロモペンタン、97%(1.5モル)を添加した。この混合物に、356.19gの4−エチルモルホリン、97%(3モル)を添加した。水とエチルモルホリンが混合されて、濁った相が形成され、一方、より濃いジブロモペンタンが底に残った。ガラスビーカーを低加熱のホットプレート上に移し、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。次に、この溶液を2Lのテフロン瓶に移し、これをシールし、撹拌することなく100℃で一晩置いた。冷却後、この溶液を2LのParrオートクレーブ中に入れ、100℃に4時間加熱した。次に、355.88gの脱イオン水を添加して、50%の溶液を得た。
【0101】
例6
196.5gの水を2Lのテフロン瓶に秤量した。254.14gの1,6−ジブロモヘキサン、96%を添加した。この混合物に、204.34gの4−メチルモルホリン、99%を添加した。水とモルホリンが混合されて、濁った相が形成され、一方、より濃いジブロモヘキサンが底に残った。この溶液を二次容器としての4リットルのビーカー中に入れ、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。次に、この溶液を2LのParrオートクレーブ中に移し、これをシールし、撹拌することなく125℃で一晩置いた。次に、261.9gの脱イオン水を添加して50%の溶液が得られ、このサンプルを2LのParrオートクレーブに戻し、125℃で一晩置いた。褐色透明溶液が得られた。13C NMRは、1,6−ビス(4−メチルモルホリニウム)ヘキサンジブロミドに対して、1:2:2:1:1:1の比で、65.5、60.6、59.7、47.0、25.3、及び21.1ppmにピークを示し、出発物質である4−メチルモルホリンに対しては、2:2:1の比で、64.9、53.9、及び44.5ppmにピークを示した。ジ四級化合物のアミンに対する比は、1:0.9であった。
【0102】
例7
例4からの溶液の439グラムを、丸底フラスコ中で147.5グラムのAgOと接触させ、これらが混合されて、灰色不透明溶液を形成した。フラスコを、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に1日置いた。このサンプルをろ過して析出した臭化銀を除去し、最終溶液を水分析に送り、それによって、サンプルが67.0%の水を含むことが示された。
【0103】
例8
例5からの溶液の1257グラムを、丸底フラスコ中で324.26グラムのAgOと接触させ、これらが混合されて、灰色不透明溶液を形成した。フラスコを、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に1日置いた。このサンプルをろ過して析出した臭化銀を除去し、最終溶液を水分析に送り、それによって、サンプルが65.9%の水を含むことが示された。
【0104】
例9
例6からの溶液の1116グラムを、丸底フラスコ中で295.64グラムのAgOと接触させ、これらが混合されて、灰色不透明溶液を形成した。フラスコを、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に1日置いた。このサンプルをろ過して析出した臭化銀を除去し、最終溶液を水分析に送り、それによって、サンプルが60.9%の水を含むことが示された。
【0105】
例10
25.73gの水を125mLのテフロン瓶に秤量した。12.57gの1,4−ジブロモブタン、99%を添加した。この混合物に、撹拌しながら13.15gの2,6−ジメチルモルホリン、97.1%を添加した。水と2,6−ジメチルモルホリンが混合されて、濁った相が形成され、一方、より濃いジブロモブタンが底に残った。テフロン瓶を、二次容器としての400mLのビーカーに移し、90℃の低加熱下、シールした状態で撹拌するためにホットプレート上に置いた。2日後、薄黄色透明溶液が得られた。サンプルを13C NMRに送った。1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン誘導体2,6−ジメチルモルホリンは、2つの化合物を含んでおり、75.5、55.1、及び21.9ppmに1:1:1の比でピークを有するA、並びに69.1、54.2、及び20.5ppmに1:1:1の比でピークを有するBである。2つの化合物の比は、2.75A対1Bである。黄色溶液は、16.4、17.2、17.3、17.7、20.6、21.0、21.7、46.5、47.2、59.4、61.7、63.0、63.9、64.0、65.7、68.1、68.3、及び69.8ppmに、それぞれ、1.25、1.75、3.7、4、1.2、4.1、2、1.8、4.35、1.3、1.5、1.8、4、1.95、及び4の積分比でピークを有する。理論に束縛されるものではないが、モルホリン誘導体中の化合物A及びBは、2,6−ジメチルモルホリンのシス及びトランス体であり、生成物のピークは、シス及びトランスの置換ジメチルモルホリン系塩の複数のコンフォマーに起因するものと考えられる。
【0106】
例11
591.15gの水を2Lのテフロン瓶に秤量した。436.21gの1,4−ジブロモブタン、99%(2モル)を添加した。撹拌しながら、この混合物に、352.0gのモルホリン、99%(4モル)を添加した。水とモルホリンが混合されて、濁った相が形成され、一方、より濃いジブロモブタンが底に残った。テフロン瓶を二次容器としての4リットルのビーカーに移し、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。強い発熱が発生した場合にこれを分散させるために、0.5〜1リットルの冷水を4リットルのビーカーに添加した。1.5〜2.5時間後、透明薄黄色溶液が得られた。さらなる197.05gの水を添加混合して、最終溶液を形成した。13C核磁気共鳴(NMR)を用いて、生成物が8−オキサ−5−アゾニアスピロ[4.5]デカンブロミド溶液であることを確認した。このスピロ環式化合物に対するピークは、テトラメチルシランに対して63.3、62.3、59.2、及び21.4ppmに、それぞれ2:2:2:2の積分比で観察された。モルホリニウムに対する共鳴は、63.9及び43.5ppmに、2:2の積分比で存在した。スピロ環式化合物のモルホリニウムに対する比は、1:1であった。両化合物の存在は、イオンクロマトグラフィ/質量分析によって確認した。出発物質1,4−ジブロモブタンは、33.5及び35.5ppmに13C NMRのピークを有する。ジブロモブタンに起因するピークは、最終溶液では観察されなかった。
【0107】
例12
例6からの溶液の1200グラムを、丸底フラスコ中で365.5グラムのAgOと接触させ、これらが混合されて、灰色不透明溶液を形成した。フラスコを、室温で撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に1日置いた。このサンプルをろ過して析出した臭化銀を除去し、最終溶液を水分析に送り、それによって、サンプルが67.3%の水を含むことが示された。
【0108】
例13
化合物ビス−N−メチルモルホリニウムヘキサンジヒドロキシド(例9)の36.36gを、10.67gの脱イオン水に添加した。この溶液を、撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。10.90gのオルソリン酸を添加し(HPO;Fisher Scientific社、85%)、続いて、6.28gのシュードベーマイト(Catapal B;Sasol社 72.0%)を、そして、2.00gのコロイド状シリカ(Ludox AS40、Sigma−Aldrich社、40%)を添加した。このゲルを30分間混合し、次にテフロンライニングしたステンレス鋼オートクレーブに移した。ゲルのモル酸化物比は:
1.07 P:1.0 Al:0.3 SiO:1.0 BNMMH(OH):50 H
であった。
【0109】
ゲルを、オーブン中、175℃で120時間加熱し、転動させた。ゲルの冷却後、オートクレーブを開き、固体を遠心分離によって単離し、水で洗浄し、100℃で一晩乾燥した。固体をx線回折で同定し、それは、SAPO−56(AFX相)であることが分かった。この物質のx線回折パターンを、図8に示す。
【0110】
例14
化合物ビス−N−エチルモルホリニウムブタンジヒドロキシド(例7)の41.10gを、10.45gの脱イオン水に添加した。この溶液を、撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。10.45gのオルソリン酸を添加し(HPO;Fisher Scientific社、85%)、続いて、5.97gのシュードベーマイト(Catapal B;Sasol社 72.0%)を、そして続いて、1.90gのコロイド状シリカ(Ludox AS40、Sigma−Aldrich社、40%)を添加した。このゲルを30分間混合し、次にテフロンライニングしたステンレス鋼オートクレーブに移した。ゲルのモル酸化物比は:
1.08 P:1.0 Al:0.3 SiO:1.0 BNEMB(OH):50 H
であった。
【0111】
ゲルを、オーブン中、175℃で96時間加熱し、転動させた。ゲルの冷却後、オートクレーブを開き、固体を遠心分離によって単離し、水で洗浄し、100℃で一晩乾燥した。固体をx線回折で同定し、それは、SAPO−34(CHA相)であることが分かった。
【0112】
例15
化合物ビス−N−メチルモルホリニウムヘキサンジヒドロキシド(例9)の25.18gを、6.32gの脱イオン水に添加した。この溶液を、撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。10.15gのオルソリン酸を添加し(HPO;Fisher Scientific社、85%)、続いて、5.80gのシュードベーマイト(Catapal B;Sasol社 72.0%)を、続いて、1.85gのコロイド状シリカ(Ludox AS40、Sigma−Aldrich社、40%)を、そして続いて、10.77gのエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(ETMA:20%、SAChem社)を添加した。このゲルを30分間混合し、次にテフロンライニングしたステンレス鋼オートクレーブに移した。ゲルのモル酸化物比は:
1.08 P:1.0 Al:0.3 SiO:0.75 BNMMH(OH):0.5 ETMAOH:50 H
であった。
【0113】
ゲルを、オーブン中、175℃で288時間加熱し、転動させた。ゲルの冷却後、オートクレーブを開き、固体を遠心分離によって単離し、水で洗浄し、100℃で一晩乾燥した。固体をx線回折で同定し、それは、SAPO−35(LEV相)であることが分かった。
【0114】
例16
化合物ビス−N−メチルモルホリニウムヘキサンジヒドロキシド(例9)の43.40gを、13.78gの脱イオン水に添加した。この溶液を、撹拌するために高速オーバーヘッドスターラー下に置いた。12.82gのオルソリン酸を添加し(HPO;Fisher Scientific社、85%)、続いて、7.50gのシュードベーマイト(Catapal B;Sasol社 72.0%)を、そして続いて、0.80gのコロイド状シリカ(Ludox AS40、Sigma−Aldrich社、40%)を添加した。このゲルを30分間混合し、次にテフロンライニングしたステンレス鋼オートクレーブに移した。ゲルのモル酸化物比は:
1.05 P:1.0 Al:0.1 SiO:1.0 BNMMH(OH):50 H
であった。
【0115】
ゲルを、オーブン中、175℃で96時間、静止状態で加熱した。ゲルの冷却後、オートクレーブを開き、固体を遠心分離によって単離し、水で洗浄し、100℃で一晩乾燥した。固体をx線回折で同定し、それは、未反応のアルミナを少量含むSAPO−35(LEV相)であることが分かった。
【0116】
本発明を、特定の実施形態を参照して、非常に詳細に記載してきたが、当業者であれば、本発明を、限定することではなく説明することを目的として提示してきた記載の実施形態以外によっても実施可能であることは理解される。従って、添付の特許請求の範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記述に限定されるものではない。
【0117】
特定の実施形態
以下は、特定の実施形態と合わせて記載されるが、この記述は、上記の記述及び添付の特許請求の範囲を限定するのではなく、説明することを意図するものであることは理解される。
【0118】
本発明の第一の実施形態は、(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製すること;(b)水性混合物を反応させること;(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得ること;(d)Al及びPの反応性源、並びにこの溶液を含む反応混合物を形成すること;並びに(e)反応混合物を加熱して、モレキュラーシーブを形成することを含む、アルミノホスフェート系モレキュラーシーブを合成するための方法である。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、水性混合物を反応させる工程は、20℃から100℃の温度で行われる。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物は、構造指向剤である。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、置換炭化水素は、ブロモエタン、ヨードエタン、クロロプロパン、ブロモプロパン、ヨードプロパン、クロロブタン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、ヨードブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、クロロペンタン、ブロモペンタン、ヨードペンタン、2−ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、ヨードヘキサン、ベンジルハライド、1−クロロ−2−フェニルエタン、1−ブロモ−2−フェニルエタン、1−ヨード−2−フェニルエタン、1−ハロメタンナフタレン、2−ハロメタンナフタレン、及びpが4から10の範囲である式C2p−1のアルキル基を有するハロ置換非オレフィンアルカン、並びにこれらの組み合わせから成る群より選択されるハロゲン置換アルカンである。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、置換炭化水素は、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,2−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモブタン、1,3−ジブロモペンタン、1,4−ジブロモペンタン、2,4−ジブロモペンタン、1,5−ジブロモヘキサン、1,4−ジブロモヘキサン、1,3−ジブロモヘキサン、2,4−ジブロモヘキサン、2,5−ジブロモヘキサン、2,5−ジブロモ−3−メチルヘキサン、2,5−ジブロモ−3,3−ジメチルヘキサン、1,4−ジブロモ−2−エチルブタン、及び1,2−ジブロモ−2−フェニルエタン、並びにこれらの組み合わせから成る群より選択される2から8個の炭素原子を有するジハロゲン置換アルカンである。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、置換炭化水素は、1,2,3−トリブロモプロパン、1,2,4−トリブロモブタン、1,2,3−トリブロモブタン、1,3,5−トリブロモペンタン、1,2,4−トリブロモペンタン、1,2,3−トリブロモペンタン、1,3,6−トリブロモヘキサン、1,2,4−トリブロモヘキサン、1,2,5−トリブロモヘキサン、1,2,6−トリブロモヘキサン、1,3,4−トリブロモヘキサン、及び1,3,5−トリブロモヘキサン、並びにこれらの組み合わせから成る群より選択される3から8個の炭素原子を有するトリハロゲン置換アルカンである。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、置換炭化水素は、α,ω−ジハロゲン置換アルカンである。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体は、式5、2−R1−2−R2−3−R3−3−R4−4−R9−5−R5−5−R6−6−R7−6−R8−1−オキサ−4−アザシクロヘキサンの構造を有し、式中、R1〜R9は、独立して、H、又は式CnH2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、及び分子中のC原子の総数は、4から10の範囲である。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体は、4−ブチルモルホリン、4−プロピルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−メチルモルホリン、モルホリン、2−メチルモルホリン、2,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−2−メチルモルホリン、4−プロピル−2−メチルモルホリン、3−メチルモルホリン、3,4−ジメチルモルホリン、4−エチル−3−メチルモルホリン、4−プロピル−3−メチルモルホリン、5−メチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、4−エチル−5−メチルモルホリン、4−プロピル−5−メチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、6−メチルモルホリン、4,6−ジメチルモルホリン、4−エチル−6−メチルモルホリン、4−プロピル−6−メチルモルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、2,4,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,6−ジメチルモルホリン、2,3−ジメチルモルホリン、2,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,3−ジメチルモルホリン、2,5−ジメチルモルホリン、2,4,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,5−ジメチルモルホリン、2,2−ジメチルモルホリン、2,2,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−2,2−ジメチルモルホリン、3,3−ジメチルモルホリン、3,3,4−トリメチルモルホリン、4−エチル−3,3−ジメチルモルホリン、5,5−ジメチルモルホリン、4,5,5−トリメチルモルホリン、4−エチル−5,5−ジメチルモルホリン、6,6−ジメチルモルホリン、4,6,6−トリメチルモルホリン、4−エチル−6,6−ジメチルモルホリン、5−エチル−2−メチルモルホリン、及びこれらの組み合わせから選択される。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体は、本質的にピラミッド反転を起こすことができない。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物は、式1、2−R1−2−R2−3−R3−3−R4−4−R9−4−R10−5−R5−5−R6−6−R7−6−R8−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン+−X−の構造を有し、式中、R1〜R8は、独立して、H、若しくは式CnH2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり;R9及びR10は、環サイズqのヘテロ環を形成する式CmH2mを有する環状アルキル基を形成し、ここで、mは、4から8の範囲であり、qは、5からm+1の範囲であり;Xは、ハライド若しくはヒドロキシドであり;並びに、分子中のC原子の総数は、8から17の範囲であるか;又は、式2、[ビス−Ν,Ν’−ジR9−(2,2’−ジR1−2,2’−ジR2−3,3’−ジR3−3,3’−ジR4−5,5’−ジR5−5,5’−ジR6−6,6’−ジR7−6,6’−ジR8−1,1’−オキサ−4,4’−アゾニウムシクロヘキサン)−R10]2+2X−の構造を有し、式中、R1〜R9は、独立して、H、若しくは式CnH2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、Xは、ハライド若しくはヒドロキシドであり、分子中のC原子の総数は、11から24の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式CmH2mを有するアルキル基であり、x及びyが1からmより独立して選択されるアルキル鎖の位置x及びyで4及び4’N原子と結合しているか;又は、式3、[トリス−Ν,Ν’,N”−トリR9−(2,2’,2”−トリR1−2,2’,2”−トリR2−3,3’,3”−トリR3−3,3’,3”−トリR4−5,5’,5”−トリR5−5,5’,5”−トリR6−6,6’,6”−トリR7−6,6’,6”−トリR8−1,1’,1”−オキサ−4,4’,4”−アゾニウムシクロヘキサン)−R10]3+3X−の構造を有し、式中、R1〜R9は、独立して、H、若しくは式CnH2n+1を有するアルキル基から選択され、ここで、nは、1から4の範囲であり、Xは、ハライド若しくはヒドロキシドであり、分子中のC原子の総数は、15から36の範囲であり、並びにR10は、mが3から8の範囲である式CmH2m−1を有するアルキル基であり、x、y、及びzが1からmより独立して選択されるアルキル鎖の位置x、y、及びzで4、4’、及び4”N原子と結合しているか;又は、式4、2−R1−2−R2−3−R3−3−R4−4−R9−4−R10−5−R5−5−R6−6−R7−6−R8−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン+−X−の構造を有し、式中、R1〜R9は、独立して、H、若しくは式CnH2n+1を有するアルキル基から選択され、R10は、nが1から4の範囲である式CnH2n+1を有するアルキル基、ベンジル、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、及びpが4から10の範囲である式CpH2p−1を有する非オレフィン系アルキル基から選択され、Xは、ハライド若しくはヒドロキシドであり、並びに分子中のC原子の総数は、4から16の範囲であるか;又は、これらの組み合わせである。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、工程(d)は、Al、Si、Pの反応性源、及び所望に応じて含まれてよい結晶モレキュラーシーブのシードの第一の混合物を形成すること、並びに第一の混合物を冷却することなく、第一の混合物に溶液を添加することを含む。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、工程(d)は、酸化物のモル比という意味で表される組成、rR Al2O3 eMeOj/2 pP2O5 sSiO2 gH2Oの反応混合物を形成することを含み、ここで、「r」は、0.01から10の値を有し、「e」は、0から1.0の値を有し、「j」は、2から4の値を有し、「p」は、0.5から8.0の値を有し、「s」は、0から1.0の値を有し、「g」は、5から4000の値を有する。本発明の実施形態は、この段落の第一の実施形態までを含むこの段落のこれまでの実施形態の1つ、いずれか、又はすべてであり、反応混合物は、反応混合物中の酸化物の合計質量に対して、1から10質量%のシードアルミノホスフェートを含む。
【0119】
本発明の第二の実施形態は、(a)水、置換炭化水素、及び1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体を含む水性混合物を作製すること;(b)水性混合物を反応させること;(c)オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物を含む溶液を得ること;(d)Al及びPの反応性源、並びにこの溶液を含む反応混合物を形成すること;並びに(e)反応混合物を加熱して、モレキュラーシーブを形成することを含む方法によって作製されたアルミノホスフェート系モレキュラーシーブである。オルガノ−1−オキサ−4−アゾニウムシクロヘキサン化合物が、構造指向剤であり、この構造指向剤を得る際に、有機溶媒が用いられない、請求項15に記載のモレキュラーシーブ。1−オキサ−4−アザシクロヘキサン誘導体が、本質的にピラミッド反転を起こすことができない、請求項15に記載のモレキュラーシーブ。工程(d)が、Al、Si、Pの反応性源、及び所望に応じて含まれてよい結晶モレキュラーシーブのシードの第一の混合物を形成すること、並びに第一の混合物を冷却することなく、第一の混合物に溶液を添加することを含む、請求項15に記載のモレキュラーシーブ。工程(d)が、酸化物のモル比という意味で表される組成、rR Al2O3 eMeOj/2 pP2O5 sSiO2 gH2Oの反応混合物を形成することを含み、ここで、「r」は、0.01から10の値を有し、「e」は、0から1.0の値を有し、「j」は、2から4の値を有し、「p」は、0.5から8.0の値を有し、「s」は、0から1.0の値を有し、「g」は、5から4000の値を有する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。反応混合物が、反応混合物中の酸化物の合計質量に対して、1から10質量%のシードアルミノホスフェートを含む、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【0120】
さらに詳細に説明することなく、上記の記述を用いることで、当業者であれば、本発明を最大限に利用することができ、並びに本発明の本質的な特徴を容易に確認して、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更及び改変を行い、それを様々な使用法及び条件に適合させることができるものと考えられる。上記の好ましい特定の実施形態は、従って、本開示の残りの部分をいかなる形であっても限定するものではなく、単なる実例として解釈されるべきであり、並びに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な改変及び同等の配置を含むことを意図するものとして解釈されるべきである。
【0121】
上述において、特に断りのない限り、すべての温度は、摂氏度で示され、すべての部及びパーセントは、質量基準である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8