特許第6807847号(P6807847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6807847ペプチド模倣体のリボソーム媒介性組込みを用いた産生方法、その模倣体及びそれを含む修飾タンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807847
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】ペプチド模倣体のリボソーム媒介性組込みを用いた産生方法、その模倣体及びそれを含む修飾タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20201221BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20201221BHJP
   C07D 277/56 20060101ALI20201221BHJP
   C07K 5/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   C12N15/11 ZZNA
   C12P21/02 C
   C07D277/56CSP
   C07K5/00
【請求項の数】5
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2017-538584(P2017-538584)
(86)(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公表番号】特表2018-504905(P2018-504905A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】US2016014548
(87)【国際公開番号】WO2016118877
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2019年1月15日
(31)【優先権主張番号】62/106,958
(32)【優先日】2015年1月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504318142
【氏名又は名称】アリゾナ ボード オブ リージェンツ オン ビハーフ オブ アリゾナ ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100179202
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100188411
【弁理士】
【氏名又は名称】阪下 典子
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト, シドニー
(72)【発明者】
【氏名】デドコヴァル, ラリサ
(72)【発明者】
【氏名】マイニ, ルミト
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ショウドハリー, サンディパン
(72)【発明者】
【氏名】ポール, ラケシュ
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 MAINI, Rumit et. al.,Doctoral Dessertation, ARIZONA STATE UNIVERSITY,2013年,pp.1−144
【文献】 Biochemistry,2012年,51(1),pp.401-415
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00− 15/90
C07K 1/00− 19/00
C12P 1/00− 41/00
C07D 261/00−295/32
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾ペプチド、修飾ポリペプチド、または修飾タンパク質を産生するための方法であって、
インビトロ翻訳システムに、修飾ペプチド模倣体を伴うtRNAを提供するステップを含み、前記システムはmRNAからの翻訳を達成するのに十分な物質を包含し、以下の表の1つまたは複数の修飾からなる群から選択される23S rRNA配列修飾を有する遺伝子修飾リボソームを含有し、
【表1】
前記修飾ペプチド模倣体は以下に示すジペプチド模倣体7
【化1】
である、方法。
【請求項2】
前記物質は目的の(複数の)タンパク質をコードし、所定の位置に1つまたは複数の終止コドンを含有するmRNA、および選択された前記リボソームによって認識される修飾ジペプチジル-(複数の)アミノ酸で活性化された1つまたは複数のサプレッサーtRNAを包含する、請求項に記載の方法。
【請求項3】
以下に示すジペプチド模倣体
【化2】
である新規な蛍光ジペプチド模倣体。
【請求項4】
修飾タンパク質であって、該修飾タンパク質中に天然には存在しない、以下に示すジペプチド模倣体7
【化3】
である蛍光ジペプチド模倣体を含有する、前記タンパク質。
【請求項5】
タンパク質構造における距離および動的変化の測定を可能にする、以下に示すジペプチド模倣体7である蛍光ジペプチド、
【化4】
およびフェルスタ−共鳴エネルギ-移動(FRET)測定に有用な追加の蛍光アミノ酸、または光誘起電子移動(PET)測定に有用なクエンチャを含有する、修飾タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2015年1月23日に出願された、米国仮特許出願第62/106,958号の優先権を主張し、前記仮出願はその全体が本明細書において援用される。
【0002】
連邦支援の研究開発
本発明は、国立衛生研究所により授与されたR01 GM103861に基づく政府の支援によってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本開示は、無細胞翻訳システムにおけるペプチドおよびペプチド模倣体のタンパク質への部位特異的組込みを媒介するために使用される修飾リボソーム(modified ribosome)、ならびに新規な蛍光ジペプチド模倣体および蛍光ペプチド模倣体を有する新規な蛍光タンパク質の創出に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ペプチドおよびタンパク質工学が長い間望まれてきている。そのようなアプローチとは無関係に、操作された化学構造は安定性または生物活性などの分子特性を有利に調整するように設計される。これは、既存のペプチドおよびペプチド模倣体由来の薬剤様化合物の開発において役割を果たすことができる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、23S rRNA配列修飾、例えば、表1のクローン群1〜9の前記修飾を有する遺伝子修飾リボソーム(genetically modified ribosome)に関する。
【0006】
他の実施形態は、ジペプチジルまたはジペプチド模倣体・ピューロマイシン誘導体を用いて、任意のジペプチドおよびジペプチド模倣体を組み込むことができる修飾リボソームの選択方法に関する。
【0007】
さらなる実施形態は、表5に見出される組合わせおよび置換から選択される23S rRNA配列修飾を有する遺伝子修飾リボソームを利用する修飾ペプチド、修飾ポリペプチド、または修飾タンパク質を産生するためのインビトロ翻訳システムおよび方法に関する。
【0008】
本明細書に開示された実施形態のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明および図面を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ピューロマイシンおよびジペプチジル−ピューロマイシンアミノヌクレオシド1の構造を示す。
【0010】
図2図2は、ジペプチド2〜4およびジペプチド模倣体5〜13の構造を示す。
【0011】
図3図3は、野生型リボソームを有するS-30調製物を用いて、異なるサプレッサーtRNACUAsの存在下で、野生型(wt)および修飾(レーン1〜2)(位置10のUAGコドン)mRNAからのDHFRの翻訳を示す。レーン2、非アシル化tRNACUA;レーン3、グリシルフェニルアラニン(2)で活性化されたtRNACUA。野生型と比較した抑制効率を各レーンの下に示す。
【0012】
図4図4は、クローン010326R6から調製したS-30システムを用いて、異なるサプレッサーtRNACUAsの存在下で、野生型(wt)および修飾(レーン1〜4)(位置10のUAGコドン)mRNAからのDHFRの翻訳を示す。レーン1、非アシル化tRNACUA;レーン2、グリシルフェニルアラニル-tRNACUA;レーン3、フェニルアラニルグリシル-tRNACUA;レーン4、フェニルアラニルフェニルアラニル-tRNACUA。野生型タンパク質合成と比較した抑制効率を各レーンの下に示す。
【0013】
図5図5は、クローン010309R3から調製したS-30システムを用いて、異なるサプレッサーtRNACUAsの存在下で、野生型および修飾(レーン1〜3)(位置10のUAGコドン)mRNAからのDHFRの翻訳を示す。レーン1、非アシル化tRNACUA;レーン2、ジペプチド模倣体5で活性化されたtRNACUA;レーン3、ジペプチド模倣体6で活性化されたtRNACUA。野生型タンパク質合成と比較した抑制効率を各レーンの下に示す。
【0014】
図6図6は、クローン010326R6から調製したS-30システムを用いて、異なるサプレッサーtRNACUAsの存在下で、野生型および修飾(レーン1〜3)(位置10のUAGコドン)mRNAからのDHFRの翻訳を示す。レーン1、非アシル化tRNACUA;レーン2、ジペプチド模倣体9で活性化されたtRNACUA;レーン3、ジペプチド模倣体10で活性化されたtRNACUA。野生型タンパク質合成と比較した抑制効率を各レーンの下に示す。
【0015】
図7図7は、クローン010328R4から調製したS-30システムを用いて、異なるサプレッサーtRNACUAsの存在下で、野生型および修飾(レーン1〜2)(位置10のUAGコドン)mRNAからのDHFRの翻訳を示す。レーン1、非アシル化tRNACUA;レーン2、はジペプチド模倣体8で活性化されたtRNACUA。野生型タンパク質合成と比較した抑制効率を各レーンの下に示す。
【0016】
図8図8は、位置10にジペプチド模倣体6を含む修飾DHFR(赤;上の曲線)および野生型DHFR(青;下の線)の蛍光発光スペクトルを示す。302nmの照射後、350〜450nmの蛍光発光をモニターした。試料濃度はそれぞれ10nMであった。
【0017】
図9A図9Aは、DHFR V10F修飾DHFR1のトリプシン断片のMALDI-MSを示す。ジペプチド模倣体5および6は、質量スペクトルにおいて「x」として示される。質量範囲1000〜1600Da(*=Daの推定値)。
【0018】
図9B図9Bは、位置10にグリシルフェニルアラニン(2)を有するDHFR V10Fのトリプシン断片のMALDI-MSを示す。ジペプチド模倣体5および6は、質量スペクトルにおいて「x」として示される。質量範囲1000〜1600Da(*=Daの推定値)。
【0019】
図9C図9Cは、ジペプチド模倣体5を有する修飾DHFR2のトリプシン断片のMALDI-MSを示す。ジペプチド模倣体5および6は、質量スペクトルにおいて「x」として示される。質量範囲1000〜1600Da(*=Daの推定値)。
【0020】
図9D図9Dは、ジペプチド模倣体6を有する修飾DHFR3のトリプシン断片のMALDI-MSを示す。ジペプチド模倣体5および6は、質量スペクトルにおいて「x」として示される。質量範囲1000〜1600Da(*=Daの推定値)。
【0021】
図10図10は、人工BFP1(緑色;上の曲線)およびジペプチド模倣体6を有する人工BFP2(赤色;中間の曲線)および野生型BFP(青色;下の曲線)の蛍光発光スペクトルを示す。励起波長は302nm(人工BFP)および375nm(wt BFP)であった。
【0022】
図11図11は、クマシーブリリアントブルーで染色したSDS-PAGEゲルを示す。レーン1、標準タンパク質ラダー;レーン2、wt GFP;レーン3、人工BFP1;レーン4、人工BFP2。
【0023】
図12A図12Aは、wt GFPの、トリプシン断片のMALDI-MS、質量範囲900〜2100Da;(*=Daの期待分子量)を示す。
【0024】
図12B図12Bは、位置39にジペプチド模倣体6を有する、人工BFP2のトリプシン断片のMALDI-MS、質量範囲1000〜2100を示す。ジペプチド模倣体6は「x」として示される。
【0025】
図12C図12Cは、wt GFPのトリプシン断片のMALDI-MS、質量範囲2300〜2600Daを示す。セリン-チロシン-グリシン残基は赤色(白黒複製ではグレースケール)で示す。
【0026】
図12D図12Dは、wt GFPのトリプシン断片のMALDI-MS、質量範囲2100〜2600Daを示す。セリン−グリシン−グリシン残基は赤色(白黒複製ではグレースケール)で示す。
【0027】
図13図13は、追加の化合物を示す。
【0028】
図14図14は、tRNACUAと結合した化合物131、138および145、およびPhe-tRNACUA(Phe)の非存在下(不存在下)および存在下における野生型(wt)および修飾(DHFR49)遺伝子からのインビトロ翻訳後のDHFRの試料の、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による、分析を示す。
【0029】
図15図15は、DHFR試料のGluC消化を示す。レーン1および4は、37℃でのインキュベーション前後の非消化DHFRwt試料であり、レーン2は、GluC消化DHFRwt試料であり、レーン3は、GluC消化修飾DHFR(位置49の環状ペプチド模倣体145)である。Mは分子量のマーカーである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書に記載の実施形態は、以前に記載された方策に類似する方策に従って、ジペプチジル−ピューロマイシンアミノヌクレオシド(図1)を使用して選択された、修飾されたリボソームの新規なセット(表1)に関するものである。初めて、無細胞翻訳システムにおいてmRNA転写物における単一のアンバーコドンを用いて、3つのジペプチドおよび5つのジペプチド模倣体(図2)のタンパク質への修飾リボソーム媒介部位特異的組込みが達成されることが実証される。
【0031】
別の発明の態様では、GFP発色団の安定な構造類似体である8つの新規な蛍光ジペプチド模倣体6〜13が開示される(図2参照)。
【0032】
以下に記載する実施例では、4つのジペプチド模倣体を、10の位置で大腸菌ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)に組み込んだ。ジペプチド2、ジペプチド模倣体5または6を担持する修飾DHFRを、トリプシン消化物のMALDI-TOF質量分析によって確認した。また、野生型青色蛍光タンパク質(BFP)に対して蛍光強度が20倍向上したジペプチド模倣体6を有する人工蛍光タンパク質も作製した。
【0033】
さらなる実施例は、他のジペプチド模倣体および関連するタンパク質、化合物、および方法を対象とする。
【実施例】
【0034】
実験の詳細(以下の番号参照に対応する化学構造については、発明を実施するための形態の最後にあるスキーム1〜8を参照)。
【0035】
ピューロマイシンおよびpdCpA誘導体の合成。
【0036】
(S)-メチル-2-(2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパンアミド)アセテート(15)。
6.6mLの無水CH3CN中の0.60g(1.59mmol)の14および0.20g(1.59mmol)のグリシンメチルエステルの氷冷したスラリーに、0.5mL(3.5mmol)のEt3Nおよび0.62g(1.65mmol)のHBTUを添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。反応終了後、結果として得られた溶液を塩水に注加し、100mLの酢酸エチルで抽出した。
【0037】
プールした抽出物を1N HClおよび飽和NaHCO3で連続的に洗浄し、乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で蒸発させて粗生成物を得た。得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して白色固体として15を得た:収量0.77g(95%)。シリカゲルTLC Rf=0.65(4:1のクロロホルム−メタノール);1H NMR (DMSO-d6) δ 2.72 (t, 1H, J = 9.2 Hz), 2.96 (q, 1H, J = 8.4 Hz), 3.63 (s, 3H), 3.67 (s, 3H,), 3.89 (m, 2H), 4.12 (m, 3H), 4.25 (m, 1H), 6.79-6.81 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.22-7.23 (d, 2H, J = 6.4 Hz), 7.29 (m, 2H), 7.40 (m, 2H), 7.62 (m, 3H) 7.86-7.88 (d, 2H, J = 6 Hz),および8.47 (t, 1H, J = 4.4 Hz);13C NMR (DMSO-d6) δ 37.0, 46.9, 52.1, 55.3, 56.7, 66.1, 113.9, 120.5, 125.7, 125.8, 127.4, 128.0, 128.0, 130.4, 130.6, 141.0, 141.0, 144.1, 144.2, 156.2, 158.1, 170.6,および172.6;質量スペクトル(APCI), m/z 489.2026 (M + H)+ (C28H29N2O6はm/z 488.5317を必要とする)。
【0038】
(S)-2-(2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-3-(4-エトキシフェニル)プロパンアミド)酸(16)。
3mLのTHF中の0.15g(0.29mmol)の15の氷冷溶液に、3mLの水中の13.5mg(0.66mmol)のLiOHの溶液を滴加した(10分間かけて)。シリカゲルTLCでモニターしながら、得られた反応混合物を室温で撹拌した。出発物質が消失した後、0.3M HClで前記反応混合物のpHを3に調整した。
【0039】
次いで、結果として得られた混合物を10mLの酢酸エチルで抽出し、乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:4の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して白色固体として16を得た:収量87.0mg(60%);シリカゲルTLC Rf=0.4(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類)。1H NMR (CD3OD) δ 2.81 (t, 1H, J = 9.2 Hz), 3.14 (q, 1H, J = 8.4 Hz), 3.69 (s, 3H), 3.91 (m, 2H), 4.15 (m, 3H), 4.33 (m, 1H), 6.78-6.80 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.15-7.17 (d, 2H, J = 6.4 Hz), 7.29 (m, 2H), 7.39 (m, 2H), 7. 56 (m, 3H), 7.77-7.79 (d, 2H, J = 6 Hz), 8.22 (t, 1H, J = 4.4 Hz),および9.33 (br s, 1H);13C NMR (CD3OD) δ 36.8, 40.5, 54.2, 56.5, 66.6, 113.4, 119.4, 124.8, 124.9, 126.7, 126.7, 127.3, 129.1, 129.9, 141.1, 141.1, 143.8, 143.8, 156.8, 158.5, 171.3および173.1;質量スペクトル(APCI), m/z 475.1867 (M + H)+ (C27H27N2O6はm/z 474.1791を必要とする)。
【0040】
9-[3"-デオキシ-3"-(N-Fmoc-4-O-メチル-(S)-チロシルグリシル)-β-D-リボフラノシル]-6-(N,N"-ジメチルアミノ)プリン(17)。
3mLの乾燥CH2Cl2中の103mg(0.21mmol)の16および35.0mg(0.30mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドの氷冷混合物に、アルゴン環境下、3mLの乾燥CH2Cl2中に溶解した61.0mg(0.30mmol)のDCCを滴加した。得られた反応物を室温で18時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、CH3CN中に懸濁した(副産物DCUはCH3CNに最も溶けにくい)。得られた懸濁液を濾過した。得られた濾液を減圧下で濃縮した。結果として得られた固体をホット・ヘキサンから結晶化し、さらに精製することなく次の反応に使用した。
【0041】
0.8mLの乾燥DMF中の14.0mg(24.0μmol)のこの粗中間体および4.70mg(16.0μmol)のピューロマイシンアミノヌクレオシドの溶液に、3.00μL(2.40 mg;24.0μmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を25℃で3.5時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。15:1のクロロホルム−メタノールで溶出して、無色固体として17を得た:収量11.3mg(94%);1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 2.73 (m, 1H), 2.97 (dd, 1H, J = 13.7および3.7 Hz), 3.47 (br s, 6H). 3.68 (s, 3H), 3.74, (m, 1H), 3.82 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 4.04 (m, 1H), 4.17 (m, 4H), 4.50 (m, 2H), 6.01 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 6.80 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.21 (m, 2H), 7.29 (m, 2H), 7.39 (d, 2H, J = 7.8 Hz), 7.63 (d, 3H, J = 7.8 Hz), 7.87 (d, 2H, J = 7.5 Hz), 7.96 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 8.25 (s, 1H),および8.49 (s, 1H);13C NMR (DMSO-d6) δ 29.0, 36.5, 42.0, 46.5, 48.6, 50.3, 54.9, 56.5, 65.7, 73.2, 83.1, 89.4, 113.5, 119.6, 120.0, 125.30, 125.31, 127.0, 127.6, 130.0, 130.2, 138.1, 140.6, 140.6, 143.7, 143.8, 149.3, 151.1, 153.6, 155.9 157.7, 169.0,および171.9;質量スペクトル(APCI), m/z 751.3201 (M + H)+ (C39H43N8O8はm/z 751.3204を必要とする)。
【0042】
9-[3’’-デオキシ-3’’-(O-メチル-(S)-チロシルグリシル)-β-D-リボフラノシル]-6-(N,N’’ ジメチルアミノ)プリン(ジペプチジルピューロマイシン)(1)。
1mLの5:1のDMF-ピペリジン中の10mg(13μmol)の17の溶液を25℃で40分間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(5×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。9:1のクロロホルム−メタノールで溶出して無色固体として1を得た:収量3.1mg(49%);1H NMR (CD3OD) δ 2.85 (m, 1H), 3.07 (m, 1H), 3.51 (s, 6H), 3.76 (m, 4H), 3.93 (m, 3H), 4.18 (m, 1H), 4.63 (m, 2H), 6.03 (d, 1H, J = 3.0 Hz), 6.87 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.17 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 8.21 (s, 1H)および8.36 (s, 1H);13C NMR (CD3OD) δ 39.0, 39.3, 43.3, 52.1, 55.7, 62.3, 68.6, 75.1, 85.0, 92.0, 106.4, 115.2, 121.6, 131.4, 139.2, 150.6, 153.0, 156.2, 160.4および171.6;質量スペクトル(APCI), m/z 529.2530 (M + H)+ (C24H33N8O6はm/z 529.2523を必要とする)。
【0043】
(N-(4-ペンテノイル)グリシル)フェニルアラニンメチルエステル(19)。
10mLの10%Na2CO3水溶液中の0.25g(3.33mmol)のグリシン(18)の溶液に、10mLのジオキサン中の4-ペンテノイルスクシンイミド4、5の1.31g(6.66mmol)の溶液を添加した。得られた反応混合物を25℃で12時間撹拌した。前記混合物を1N HCl水溶液で酸性化し、水層を酢酸エチル50mLずつで3回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。
【0044】
得られた粗生成物を15mLの乾燥DMFに0℃で溶解し、1.90g(4.98mmol)のHBTUを添加し、結果として得られた溶液を15分間撹拌した。この溶液に、5mLの乾燥DMF中の1.10g(4.99mmol)のL-フェニルアラニンメチルエステルおよび1.40mL(1.01g、9.98mmol)のトリエチルアミンを添加した。得られた反応混合物を25℃で5時間撹拌した。前記混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を80mLの酢酸エチルで希釈した。得られた有機層を1N HCl水溶液40mLずつで2回、40mLの水および20mLの塩水で洗浄し、次いで乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(20×3cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。ジクロロメタン中の4%メタノールで溶出して、無色油状物として19を得た:収量0.50g(47%);シリカゲルTLC Rf 0.59(9:1のクロロホルム−メタノール);1H NMR (CDCl3) δ 2.28 (m, 4H), 3.02 (m, 2H), 3.64 (s, 3H), 3.86 (m, 2H), 4.78 (m, 1H), 4.97 (m, 2H), 5.76 (m, 1H), 7.01 (t, 1H, J = 5.1 Hz), 7.09 (m, 2H), 7.19 (m, 3H)および7.36 (d, 1H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 29.3, 35.1, 37.7, 42.9, 52.2, 53.4, 115.4, 126.9, 128.4, 129.1, 135.9, 136.8, 169.1, 171.7および173.0;質量スペクトル(ESI), m/z 319.1655 (M + H)+ (C17H23N2O4はm/z 319.1652を必要とする)。
【0045】
(N-(4-ペンテノイル)グリシル)フェニルアラニンシアノメチルエステル(20)。
10mLのTHF中の350mg(1.10mmol)の19の溶液に、5mLの0℃の水中の105mg(4.39mmol)のLiOHの溶液を滴加した。得られた反応混合物を25℃で12時間撹拌し、30mLの水で希釈し、エーテル15mLずつで2回洗浄した。水層を1N HCl水溶液でpH約2まで酸性化し、酢酸エチル40mLずつで3回抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。
【0046】
得られた粗生成物を18mLの無水アセトニトリルに溶解した。この溶液に、0.70mL(0.51g; 5.06mmol)のEt3N、続いて0.63mL(0.53g; 9.90mmol)のクロロアセトニトリルを添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残渣を80mLのエーテルに懸濁させた。エーテル層を40mLの水、40mLの1N HClおよび30mLの塩水で連続的に洗浄した。有機層を乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(15×3cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:3のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、無色の油状物としてエステル20を得た:収量0.28g(75%);シリカゲルTLC Rf 0.67(9:1のクロロホルム−メタノール);1H NMR (CDCl3) δ 2.31 (m, 4H), 3.09 (m, 2H), 3.89 (m, 2H), 4.67 (m, 2H), 4.81 (m, 1H), 5.01 (m, 2H), 5.76 (m, 1H), 6.79 (m, 1H), 7.14 (d, 2H, J = 7.7 Hz), 7.26 (m, 3H)および7.44 (d, 1H, J = 7.6 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 29.3, 35.2, 37.5, 43.1, 49.0, 53.4, 114.0, 115.7, 127.4, 128.8, 129.2, 135.2, 136.8, 169.4, 170.2および173.3;質量スペクトル(APCI), m/z 344.1607 (M + H)+ (C18H22N2O4はm/z 344.1610を必要とする)。
【0047】
N-(4-ペンテノイル)グリシル)フェニルアラニル-pdCpA(22)。
100μLの9:1のDMF-Et3N中の35mg(0.1mmol)のシアノメチルエステル20および8.0mg(5.9μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(21)を含有する溶液に、室温で2時間超音波処理を行った。その後、得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%→65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により、45分間かけて精製した。18.4分および18.8分に溶出する画分を集め、合わせ、凍結乾燥して22を無色の固体として得た:収量5.4mg(100%);質量スペクトル(ESI), m/z 921.2365 (M - H)- (C35H43N10O16P2はm/z 921.2339を必要とする)。
【0048】
(N-(4-ペンテノイル)フェニルアラニル)グリシンメチルエステル(25)。
10mLの10%Na2CO3水溶液中の0.50g(3.01mmol)のL-フェニルアラニン(24)の溶液に、10mLのジオキサン中の0.65g(3.30mmol)のペンテノイルスクシンイミドの溶液を添加した。得られた反応混合物を25℃で24時間撹拌した。得られた混合物を1N HCl水溶液で酸性化し、水層を酢酸エチル50mLずつで3回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。
【0049】
得られた粗生成物を15mLの乾燥DMFに0℃で溶解し、1.25g(3.30mmol)のHBTUを添加し、結果として得られた溶液を15分間撹拌した。この溶液に、5mLの乾燥DMF中の0.25g(3.30mmol)のグリシンメチルエステルおよび0.92mL(0.67g、6.60mmol)のトリエチルアミンを添加した。得られた反応混合物を25℃で5時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を80mLの酢酸エチルに希釈した。有機層を40mLずつの1N HCl水溶液で2回、40mLの水および20mLの塩水で洗浄し、次いで乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(20×3cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。ジクロロメタン中の4%メタノールで溶出して無色油状物として25を得た:収量0.48g(50%);シリカゲルTLC Rf 0.5(ジクロロメタン中4%メタノール);1H NMR (CDCl3) δ 2.21-2.29 (m, 4H), 3.02-3.07 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.91-3.96 (m, 2H), 4.74-4.78 (m, 1H), 4.94-4.99 (m, 2H), 5.65-5.73 (m, 1H), 6.34 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 6.72 (s, 1H)および7.17-7.28 (m, 5H);13C NMR (CDCl3) δ 29.3, 35.5, 38.1, 41.1, 52.3, 54.0, 115.6, 126.9, 128.6, 129.2, 136.5, 136.7, 169.7, 171.4および172.5;質量スペクトル(APCI), m/z 319.1658 (M + H)+ (C17H23N2O4はm/z 319.1652を必要とする)。
【0050】
(N-(4-ペンテノイル)フェニルアラニル)グリシンシアノメチルエステル(26)。
4mLの1:1のTHF-水中の50.0mg(0.16mmol)の25の溶液に、0.32mL(0.32mmol)の1M LiOH水溶液を0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、0.5N HClで注意深く中和した。得られた溶液を減圧下で濃縮して粗生成物を得た。
【0051】
得られた粗生成物を3mLの無水アセトニトリルに溶解した。この溶液に108μL(79.0mg; 0.78mmol)のEt3N、次いで0.50mL(59.0mg; 0.78mmol)のクロロアセトニトリルを添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(20×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:3のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、無色半固体として26を得た:収量33.0mg(62%);シリカゲルTLC Rf 0.4(1:3のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.22-2.29 (m, 4H), 2.97-3.12 (m, 2H), 4.01 (t, 2H, J = 5.6 Hz), 4.71 (s, 2H), 4.77-4.83 (m, 1H), 4.92-4.99 (m, 2H), 5.65-5.75 (m, 1H), 6.41 (d, 1H, J = 8.0 Hz)および7.14-7.28 (m, 6H);13C NMR (CDCl3) δ 29.3, 35.4, 37.9, 40.6, 53.9, 113.9, 115.7, 126.9, 128.6, 129.2, 136.4, 136.6, 168.1, 171.9および172.8;質量スペクトル(APCI), m/z 344.1617 (M + H)+ (C18H22N3O4はm/z 344.1610を必要とする)。
【0052】
(N-(4-ペンテノイル)フェニルアラニル)グリシル-pdCpA(27)。
100μLの9:1のDMF-Et3N中に10mg(30μmol)のシアノメチルエステル26および5.3mg(3.9μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(21)を含有する溶液に、室温で2時間超音波処理を行った。その後、得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%→65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。18.6分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して無色固体として27を得た:収量3.6mg(100%);質量スペクトル(ESI), m/z 921.2338 (M - H)- (C35H43N10O16P2はm/z 921.2339を必要とする)。
【0053】
(N-(4-ペンテノイル)フェニルアラニル)フェニルアラニンメチルエステル(29)。
10mLの10%Na2CO3水溶液中の0.50g(3.01mmol)のL-フェニルアラニン(24)の溶液に、10mLのジオキサン中の0.65g(3.30mmol)の4-ペンテノイルスクシンイミドの溶液を添加した。得られた反応混合物を25℃で24時間撹拌した。得られた混合物を1N HCl水溶液で酸性化し、水層を酢酸エチル50mLずつで3回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。
【0054】
得られた粗生成物を15mLの乾燥DMFに0℃で溶解し、1.25g(3.30mmol)のHBTUを添加し、結果として得られた溶液を15分間撹拌した。この溶液に、5mLの乾燥DMF中の0.59g(3.30mmol)のフェニルアラニンメチルエステルおよび0.92mL(0.67g、6.6mmol)のトリエチルアミンを添加した。得られた反応混合物を25℃で5時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣を80mLの酢酸エチルに希釈した。有機層を40mLずつの1N HCl水溶液で2回、40mLの水および20mLの塩水で洗浄し、次いで乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮した。
【0055】
得られた残渣をシリカゲルカラム(20×3cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。ジクロロメタン中4%メタノールで溶出して、無色の油状物として29を得た:収量0.75g(61%);シリカゲルTLC Rf 0.6(ジクロロメタン中2%メタノール);1H NMR (CDCl3) δ 2.16-2.27 (m, 4H), 2.93-3.06 (m, 4H), 3.62 (s, 3H), 4.72-4.85 (m, 2H), 4.89-4.99 (m, 2H), 5.64-5.73 (m, 1H), 6.72 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 6.98-7.03 (m, 3H)および7.14-7.24 (m, 8H);13C NMR (CDCl3) δ 29.4, 35.4, 37.9, 38.4, 52.2, 53.6, 54.1, 115.5, 126.8, 127.0, 128.4, 128.5, 129.2, 129.4, 135.8, 136.6, 136.9, 171.1, 171.4および172.3;質量スペクトル(APCI), m/z 409.2138 (M + H)+ (C24H29N2O4はm/z 409.2127を必要とする)。
【0056】
(N-(4-ペンテノイル)フェニルアラニル)フェニルアラニンシアノメチルエステル(30)。
10mLの1:1のTHF-水中の0.30g(0.74mmol)の29の溶液に、2.20mL(2.20mmol)の1M LiOH水溶液を0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、0.5N HClで中和し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。
【0057】
得られた粗生成物を5mLの無水DMFに溶解した。この溶液に、0.52mL(0.37g、3.7mmol)のEt3N、次いで0.23mL(0.28g、3.7mmol)のクロロアセトニトリルを添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(20×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:4のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、無色固体として30を得た:収量0.25g(80%);シリカゲルTLC Rf 0.3(1:4のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.17-2.28 (m, 4H), 2.93-3.09 (m, 4H), 4.61-4.66 (m, 2H), 4.69-4.76 (m, 1H), 4.92-4.99 (m, 2H), 5.65-5.75 (m, 1H), 6.03 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 6.40 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 6.99-7.01 (m, 2H)および7.16-7.29 (m, 8H);13C NMR (CDCl3) δ 29.3, 35.5, 37.5, 37.8, 48.8, 53.2, 54.1, 113.7, 115.8, 127.1, 127.5, 128.7, 128.8, 129.1, 129.3, 134.7, 136.3, 136.6, 169.6, 170.8 および172.4;質量スペクトル(APCI), m/z 434.2087 (M + H)+ (C25H28N3O4はm/z 434.2080を必要とする)。
【0058】
(N-(4-ペンテノイル)フェニルアラニル)フェニルアラニル-pdCpA(31)。
100μLの9:1のDMF-Et3N中の10mg(23μmol)のシアノメチルエステル30および5.3mg(3.9μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(21)を含有する溶液に、室温で2時間超音波処理を行った。その後、得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%→65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。23.5分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して、無色の固体として31を得た:収量3.6mg(100%);質量スペクトル(ESI), m/z 1011.2834 (M - H)- (C42H49N10O16P2はm/z 1011.2803を必要とする)。
【0059】
(N-Boc-フェニルアラニル)グリシンメチルエステル(34)。
40mLの新たに蒸留したCH2Cl2中の1.00g(3.80mmol)のN-Boc-L-フェニルアラニン(33)の溶液に0℃で1.50g(4.02mmol)のHBTUを添加した。得られた反応混合物を30分間撹拌した。その後、0.52g(4.15mmol)のL-フェニルアラニンメチルエステルおよびCH2Cl2中の1.2mL(0.85g、8.5mmol)のEt3Nの溶液を添加した。得られた反応物を室温で24時間さらに撹拌した。得られた混合物を100mLのCH2Cl2で希釈し、100mLの1N HClで洗浄し、乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮した。
【0060】
得られた残渣をシリカゲルカラム(20×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、無色油状物として34を得た:収量1.05g(83%);シリカゲルTLC Rf 0.5(ジクロロメタン中4%メタノール);1H NMR (CDCl3) δ 1.31 (s, 9 H), 2.91-2.96 (m, 1H), 3.07-3.12 (m, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.92 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 4.44 (br s, 1H), 5.37 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 6.96 (br s, 1H)および7.13-7.24 (m, 5H);13C NMR (CDCl3) δ 28.2, 38.4, 41.1, 52.2, 55.5, 79.9, 126.7, 128.4, 129.3, 136.8, 155.5, 170.0 および172.0;質量スペクトル(APCI+), m/z 337.1761 (M + H)+ (C17H25N2O5はm/z 337.1763を必要とする)。
【0061】
(N-Boc-(チオ)フェニルアラニル)グリシンメチルエステル(35)。
50mLのトルエン中に0.33g(0.98mmol)の34および0.42g(1.03mmol)のローソン試薬を含有する混合物を還流下で4時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、100mLの酢酸エチルで希釈した。結果として得られた混合物を200mLの水で洗浄し、乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(20×3cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:2の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、35を淡黄色油状物として得た:収量0.21g(61%);Rf 0.4(1:2の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 1.37 (s, 9H), 3.11-3.16 (m, 2H), 3.71 (s, 3H), 4.18-4.31 (m, 2H), 4.65 (q, 1H, J = 7.2 Hz), 5.32 (br d, 1H, J = 6.4 Hz), 7.17- 7.27 (m, 5H)および8.18 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 28.2, 41.9, 43.1, 46.7, 52.5, 80.1, 127.0, 128.6, 129.1, 136.6, 155.2, 168.5および204.0;質量スペクトル(APCI), m/z 353.1540 (M + H)+ (C17H25N2O4Sはm/z 353.1535を必要とする)。
【0062】
(N-(4-ペンテノイル)-(チオ)フェニルアラニル)グリシンメチルエステル(36)。
5mLのCH2Cl2中の0.18g(0.51mmol)の35の溶液に、0.20mL(0.29g;2.60mmol)のTFAを添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌した。得られた溶液を濃縮し、減圧下で15分間乾燥させて、粗生成物を得た。
【0063】
得られた粗生成物を5mLの無水DMFに溶解した。この溶液に、0.26g(3.10mmol)のNaHCO3および0.20g(1.00mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドを添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、50mLの酢酸エチルで希釈し、50mLの水で洗浄し、乾燥させ(無水MgSO4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、淡黄色の半固体として36を得た;収量0.10g(60%);Rf 0.3(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.20-2.30 (m, 4H), 3.04-3.15 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 4.13-4.28 (m, 2H), 4.93-5.09 (m, 3H), 5.66-5.76 (m, 1H), 6.54 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.15-7.24 (m, 5H)および8.48 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 29.3, 35.6, 41.9, 46.7, 52.5, 60.0, 115.7, 127.0, 128.5, 129.2, 136.4, 136.6, 168.3, 172.1および203.8;質量スペクトル(APCI+), m/z 335.1439 (M + H)+ (C17H23N2O3Sはm/z 335.1429を必要とする)。
【0064】
(N-(4-ペンテノイル)-(チオ)フェニルアラニル)グリシンシアノメチルエステル(37)。
4mLの1:1のTHF-水中の70.0mg(0.21mmol)の36の溶液に、0.40mL(0.40mmol)の1M LiOH水溶液を添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、0.5N HClで中和し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。
【0065】
得られた粗生成物を2mLのDMFに溶解した。この溶液に、55.0mg(0.65mmol)のNaHCO3、続いて50.0μL(60.0mg、0.06mmol)のクロロアセトニトリルを添加した。得られた反応混合物を室温で24時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)でのフラッシュ・クロマトグラフィーにより精製した。3:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、淡黄色油状物として37を得た;収量49.0mg(66%);Rf 0.2(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.26 (s, 4H), 3.11 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 4.23-4.40 (m, 2H), 7.20 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 4.9-5.14 (m, 3H), 5.66-5.74 (m, 1H), 6.45 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.14-7.26 (m, 5H)および8.85 (bs, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 29.2, 35.6, 41.7, 46.2, 49.0, 59.9, 113.6, 115.9, 127.1, 128.6, 129.2, 136.3, 136.5, 166.5, 172.5および205.0;質量スペクトル(APCI+), m/z 360.1384 (M + H)+ (C18H22N2O3Sはm/z 360.1382を必要とする)。
【0066】
(N-(4-ペンテノイル)-(チオ)フェニルアラニル)グリシル-pdCpA(38)。
100μLの9:1のDMF-Et3N中の10mg(27μmol)のシアノメチルエステル37および5.3mg(3.9μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(21)を含有する溶液に、室温で2時間の超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%→65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。21.3分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して無色固体として38を得た:収量3.6mg(100%);質量スペクトル(ESI), m/z 937.2133 (M - H)- (C35H43N10O16P2Sはm/z 937.2105を必要とする)。
【0067】
2-(ジフェニルメチレンアミノ)酢酸メチル(41)。
20mLの無水CH2Cl2中に5.00g(39.9mmol)のグリシンメチルエステル塩酸塩(40)を含有する撹拌懸濁液に、6.70mL(7.20g、39.9mmol)のベンゾフェノンイミンを滴加した。得られた白色混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で24時間撹拌した。得られた反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。
【0068】
得られた粗生成物をエーテル−ヘキサン類から結晶化させて白色結晶として41を得た;収量8.20g(81%);シリカゲルTLC Rf 0.22(1:9の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 3.73 (s, 3H), 4.21 (s, 2H), 7.15-7.18 (m, 2H), 7.30-7.45 (m, 6H)および7.63-7.66 (m, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 52.0, 55.6, 127.6, 128.05, 128.69, 128.75, 128.83, 130.5, 135.9, 139.2, 171.1および171.9;質量スペクトル(APCI), m/z 254.1182 (M + H)+ (C16H16NO2はm/z 254.1181を必要とする)。
【0069】
2-(2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)アセトアミド)-3-(4-メトキシフェニル)-3-オキソプロパン酸メチル(44)。
5mLの無水THF中の0.50g(2.00mmol)の41の溶液をアルゴン雰囲気下で-78℃に冷却し、-78℃で温度を維持しながら、THF中の2.00mL(2.00mmol)の1Mビス(トリメチルシリル)アミドナトリウムを滴加した。30分後、結果として得られた黄色溶液を、カニューレを介して、3mLの無水THF中の0.34g(2.00mmol)の塩化4-メトキシベンゾイルの撹拌溶液に-78℃で添加した。得られた混合物を-78℃で1時間、次いで0℃で1時間撹拌した。得られた黄色の混合物を濃HClでpH2まで酸性化し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物(42)をさらに精製することなく次の反応に利用した。
【0070】
0℃の10mLの無水THF中の前記粗生成物の溶液に、0.79g(2.00mmol)のFmoc-gly-N-ヒドロキシスクシンイミド(43)を添加し、続いて0.22mL(0.20g、2.00mmol)のN-メチルモルホリンを滴加した。得られた黄色の混合物を25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(15×2cm)で精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して無色油状物として44を得た:収量0.67g(67%);シリカゲルTLC Rf 0.29(3:2の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 3.69 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 4.05 (br s, 2H), 4.22 (s, 1H), 4.40 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 5.68 (br s, 1H), 6.18 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 6.94 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.29 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.38 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 7.53 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.60 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.75 (d, 2H, J = 7.6 Hz)および8.09 (d, 2H, J = 8.8 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 44.3, 47.2, 53.4, 55.7, 57.7, 67.4, 114.2, 120.0, 125.2, 126.8, 127.2, 127.8, 132.2, 141.4, 143.9, 156.6, 164.9, 167.3, 169.0および189.1;質量スペクトル(APCI), m/z 503.1816 (M + H)+ (C28H27N2O7はm/z 503.1818を必要とする)。
【0071】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)メチル)-4-(4-メトキシフェニル)オキサゾール-5-カルボン酸メチル(45)。
10mLの無水CH2Cl2中の0.17g(0.80mmol)のトリフェニルホスフィンおよび0.20g(0.80mmol)のヨウ素の撹拌溶液に、0.11mL(83.0mg、0.80mmol)のトリエチルアミンを添加した。得られた暗黄色の溶液を5分間撹拌し、5mLの無水CH2Cl2に溶解した0.20g(0.40mmol)の44を滴加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で30分間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)で精製した。3:2の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、白色固体として45を得た:収量0.15g(78%);シリカゲルTLC Rf 0.45(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 3.83 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 4.21 (t, 1H, J = 6.8 Hz), 4.43 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 4.57 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 5.62 (br s, 1H), 6.94 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.24-7.29 (m, 2H), 7.36 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 7.57 (d, 2H, J = 7.2 Hz), 7.73 (d, 2H, J = 7.6 Hz)および7.80 (d, 2H, J = 9.2 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 38.2, 47.1, 52.2, 55.4, 67.2, 113.9, 119.0, 120.0, 125.0, 125.3, 127.0, 127.7, 130.1, 141.3, 143.7, 156.2, 156.3, 158.4, 161.3および162.5;質量スペクトル(APCI), m/z 485.1722 (M + H)+ (C28H25N2O6はm/z 485.1713を必要とする)。
【0072】
4-(4-メトキシフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボン酸メチル(47)。
4mLの無水CH2Cl2中の0.15g(0.31mmol)の45の撹拌溶液に、31.0μL(27.0mg、0.31mmol)のピペリジンを滴加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を5mLの無水THFに溶解し、0.61g(3.10mmol)の4-ペンテノイルスクシンイミド、続いて66.0mg(0.62mmol)のNa2CO3を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。
【0073】
得られた残渣をシリカゲルカラム(7×2cm)で精製した。7:3の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、淡黄色固体として47を得た:収量60.0mg(2工程で42%);シリカゲルTLC Rf 0.19(7:3の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.33-2.41 (m, 4H), 3.84 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 4.62 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 4.96-5.07 (m, 2H), 5.78-5.85 (m, 1H), 6.43 (br s, 1H), 6.95 (d, 2H, J = 8.8 Hz)および7.99 (d, 2H, J = 9.2 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 29.4, 35.6, 36.6, 52.3, 55.5, 114.0, 115.8, 119.1, 125.3, 130.2, 136.9, 156.4, 158.6, 161.4, 162.5および172.5;質量スペクトル(APCI), m/z 345.1452 (M + H)+ (C18H21N2O5はm/z 345.1450を必要とする)。
【0074】
4-(4-メトキシフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボン酸シアノメチル(49)。
0.40mLの3:1のTHF-水中の15.0mg(0.04mmol)の47の撹拌溶液に、0.13mLの1N LiOHを添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。得られた黄色の水層をMeOHで希釈した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0075】
得られた粗生成物を2mLの無水DMFに溶解し、27.0mg(0.32mmol)のNaHCO3を添加し、続いて13.0μL(15.0mg、0.21mmol)のClCH2CNを添加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラム(7×1cm)で精製した。ジクロロメタン中の2.5%メタノールで溶出して、淡黄色固体として49を得た:収量6.0mg(37%);シリカゲルTLC Rf 0.74(酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.37-2.44 (m, 4H), 3.87 (s, 3H), 4.64 (d, 2H, J = 2.8 Hz), 4.94 (s, 2H), 4.99-5.10 (m, 2H), 5.80-5.84 (m, 1H), 6.25 (br s, 1H), 6.99 (d, 2H, J = 8.8 Hz)および8.10 (d, 2H, J = 8.8 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 29.4, 31.1, 35.6, 36.6, 48.8, 55.6, 114.2, 116.0, 118.4, 123.4, 130.4, 136.8, 158.3, 158.9, 160.6, 162.0および172.5;質量スペクトル(APCI), m/z 370.1402 (M + H)+ (C19H20N3O5はm/z 370.1403を必要とする)。
【0076】
4-(4-メトキシフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボキシルpdCpA(51)。
100μLの9:1のDMF-Et3N中の6.0mg(16μmol)のシアノメチルエステル49および5.3mg(4.0μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(14)を含有する溶液に、室温で2時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%〜65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。19分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して無色固体として51を得た:収量-4.0mg(60%)。質量スペクトル(ESI), m/z 947.2159 (M - H)- (C36H41N10O17P2はm/z 947.2126を必要とする)。
【0077】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)メチル)-4-(4-メトキシフェニル)チアゾール-5-カルボン酸メチル(46)。
5mLの無水THF中の0.22g(0.44mmol)の44の撹拌溶液に、0.36g(0.88mmol)のローソン試薬を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下で1時間加熱還流した。得られた黄色の反応混合物を20mLの飽和NaHCO3溶液で希釈した。水層を酢酸エチル25mLずつで2回抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物(46)をさらに精製することなく次の反応に利用した。
【0078】
4-(4-メトキシフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボン酸メチル(48)。
4mLの無水CH2Cl2中の粗生成物46の撹拌溶液に、43.0μL(37.0mg、0.44mmol)のピペリジンを滴加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を5mLの無水THFに溶解し、0.13g(0.66mmol)の4-ペンテノイルスクシンイミド、続いて47.0mg(0.44mmol)のNa2CO3を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。
【0079】
得られた残渣をシリカゲルカラム(7×2cm)で精製した。7:3の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、淡黄色固体として48を得た:収量73.0mg(3工程で45%);シリカゲルTLC Rf 0.19(7:3の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.32-2.41 (m, 4H), 3.81 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 4.70 (d, 2H, J = 6.4 Hz), 4.97-5.07 (m, 2H), 5.77-5.81 (m, 1H), 6.59 (br s, 1H), 6.91 (d, 2H, J = 8.8 Hz)および7.39 (d, 2H, J = 8.4 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 29.4, 35.5, 41.1, 52.3, 55.4, 113.8, 115.9, 122.1, 131.4, 136.8, 138.6, 148.3, 160.6, 162.5, 165.4および172.7;質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 361.1110 (M + H)+ (C18H21N2O4Sはm/z 361.1144を必要とする)。
【0080】
4-(4-メトキシフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボン酸シアノメチル(50)。
0.40mLの3:1のTHF-水中の15.0mg(0.04mmol)の48の撹拌溶液に、0.13mLの1N LiOHを添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。得られた黄色の水層をMeOHで希釈した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0081】
得られた粗生成物を2mLの無水DMFに溶解し、7.00mg(0.08mmol)のNaHCO3を添加し、続いて13.0μL(16.0mg、0.21mmol)のClCH2CNを添加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラム(7×1cm)で精製した。酢酸エチルで溶出して、淡黄色固体として50を得た:収量6.0mg(38%);シリカゲルTLC Rf 0.74(酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.37-2.44 (m, 4H), 3.87 (s, 3H), 4.64 (d, 2H, J = 2.8 Hz), 4.94 (s, 2H), 4.99-5.10 (m, 2H), 5.80-5.84 (m, 1H), 6.25 (br s, 1H), 6.99 (d, 2H, J = 8.8 Hz)および8.10 (d, 2H, J = 8.8 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 29.4, 31.1, 35.6, 36.6, 48.8, 55.6, 114.2, 116.0, 118.4, 123.4, 130.4, 136.8, 158.3, 158.9, 160.6, 162.0および172.5;質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 386.1040 (M + H)+ (C19H20N3O4Sはm/z 386.1096を必要とする)。
【0082】
4-(4-メトキシフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボキシルpdCpA(52)。
100μLの9:1のDMF‐Et3N中の6.0mg(16μmol)のシアノメチルエステル50および8.0mg(6.0μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(38)を含有する溶液に、室温で4時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%〜65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。19分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して無色固体として52を得た:収量-6.0mg(60%)。質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 965.1964 (M + H)+ (C36H43N10O16P2Sはm/z 965.2010を必要とする)。
【0083】
2-(2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)アセトアミド)-3-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-3-オキソプロパン酸メチル(56)。
5mLの無水THF中の0.50g(2.00mmol)の35の溶液をアルゴン雰囲気下で-78℃に冷却し、温度を-78℃に維持しながら、THF中の2.00mL(2.00mmol)の1Mビス(トリメチルシリル)アミドナトリウムを滴加した。30分後、結果として得られた黄色溶液を、カニューレを介して、-78℃の3mLの無水THF中の0.43g(2.00mmol)の4-ジメチルアミノベンゾイルクロライドの撹拌溶液に添加した。得られた混合物を-78℃で2時間撹拌した。得られた黄色の混合物を濃HClでpH2まで酸性化し、減圧下で濃縮した。
【0084】
得られた粗生成物(55)をさらに精製することなく次の反応に利用した。0℃の10mLの無水THF中の前記粗生成物の溶液に、0.79g(2.00mmol)のN-Fmoc-グリシンスクシンイミドエステル(43)を添加し、続いて0.22mL(0.20g、2.00mmol)のN-メチルモルホリンを滴加した。得られた黄色の混合物を25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(15×2cm)で精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、黄色がかった固体として56を得た:収量0.35g(34%);シリカゲルTLC Rf 0.27(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 3.03 (s, 6H), 3.68 (s, 3H), 4.07 (br s, 2H), 4.21 (s, 1H), 4.38 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 5.65 (br s, 1H), 6.10 (d, 1H, J = 7.6 Hz), 6.63 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.28 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 7.37 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 7.59 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.73 (d, 2H, J = 7.6 Hz)および8.00 (d, 2H, J = 8.8 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 44.3, 47.2, 53.4, 55.7, 57.7, 67.4, 114.2, 120.0, 125.2, 126.8, 127.2, 127.8, 132.2, 141.4, 143.9, 156.6, 164.9, 167.3, 169.0および189.1;質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 516.2060 (M + H)+ (C29H30N3O6はm/z 516.2069を必要とする)。
【0085】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)メチル)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)オキサゾール-5-カルボン酸メチル(57)。
10mLの無水CH2Cl2中の0.29g(1.12mmol)のトリフェニルホスフィンおよび0.28g(1.12mmol)のヨウ素の撹拌溶液に、0.15mL(0.11g、1.12mmol)のトリエチルアミンを添加した。得られた暗黄色の溶液を5分間撹拌し、5mLの無水CH2Cl2に溶解した0.29g(0.56mmol)の56を滴加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で30分間撹拌し、減圧下で濃縮した。
【0086】
得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)で精製した。2:3の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、黄色固体として57を得た:収量は0.20g(71%)であった;シリカゲルTLC Rf 0.43(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 3.03 (s, 6H), 3.92 (s, 3H), 4.24 (t, 1H, J = 6.8 Hz), 4.44 (d, 2H, J = 7.2 Hz), 4.59 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 5.59 (br s, 1H), 6.71 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.29 (m, 2H), 7.38 (t, 2H, J = 7.4 Hz), 7.60 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.75 (d, 2H, J = 7.6 Hz)および7.99 (d, 2H, J = 9.2 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 38.3, 40.1, 47.1, 52.1, 67.3, 111.3, 113.8, 120.0, 123.8, 125.1, 127.1, 127.7, 130.0, 141.3, 143.8, 151.6, 156.2, 157.46, 157.53および162.7;質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 498.1930 (M + H)+ (C29H28N3O5はm/z 498.1951を必要とする)。
【0087】
4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボン酸メチル(59)。
4mLの無水CH2Cl2中の0.20g(0.40mmol)の57の撹拌溶液に、77.0μL(66.0mg、0.78mmol)のピペリジンを滴加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を5mLの無水THFに溶解し、0.15g(0.78mmol)の4-ペンテノイルスクシンイミド、続いて83.0mg(0.78mmol)のNa2CO3を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。
【0088】
得られた残渣をシリカゲルカラム(7×2cm)で精製した。7:3の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、淡黄色固体として59を得た:収量48.0mg(2工程で33%);シリカゲルTLC Rf 0.19(7:3の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.39-2.44 (m, 4H), 3.04 (s, 6H), 3.92 (s, 3H), 4.63 (d, 2H, J = 5.6 Hz), 4.99-5.10 (m, 2H), 5.80-5.87 (m, 1H), 6.24 (br s, 1H), 6.73 (d, 2H, J = 9.2 Hz)および7.99 (d, 2H, J = 9.2 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 29.3, 35.5, 36.6, 40.0, 52.1, 111.3, 113.7, 115.7, 123.7, 129.6, 136.8, 151.6, 157.45, 157.50, 162.7および172.2;質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 358.1680 (M + H)+ (C19H24N3O4はm/z 358.1689を必要とする)。
【0089】
4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボン酸シアノメチル(61)。
0.40mLの3:1のTHF-水中の15.0mg(0.04mmol)の59の撹拌溶液に、0.08mLの1N LiOHを添加した。得られた混合物を25℃で3時間撹拌した。得られた黄色の水層をMeOHで希釈した。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0090】
得られた粗生成物を2mLの無水DMFに溶解し、10.0mg(0.09mmol)のNaHCO3を添加し、次いで13.0μL(16.0mg、0.21mmol)のClCH2CNを添加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラム(7×1cm)で精製した。酢酸エチルで溶出して、淡黄色固体として61を得た:収量6.0mg(38%);シリカゲルTLC Rf 0.74(酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.36-2.45 (m, 4H), 3.06 (s, 6H), 4.64 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 4.94 (s, 2H), 5.01-5.11 (m, 2H), 5.81-5.85 (m, 1H), 6.12 (br s, 1H), 6.73 (d, 2H, J = 8.8 Hz)および7.99 (d, 2H, J = 8.8 Hz);質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 383.1640 (M + H)+ (C20H23N4O4はm/z 383.1641を必要とする)。
【0091】
4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボキシルpdCpA(63)。
100μLの9:1のDMF‐Et3N中の6.0 mgの(16μmol)のシアノメチルエステル61および8.0mg(6.0μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(38)を含有する溶液に、室温で2.5時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。19.5分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して黄色固体として63を得た:収量-3.7mg(59%);質量スペクトル(ESI), m/z 960.2440 (M - H)- (C37H44N11O16P2はm/z 960.2443を必要とする)。
【0092】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)メチル)-4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)チアゾール-5-カルボン酸メチル(58)。
5mLの無水THF中の0.16g(0.31mmol)の56の撹拌溶液に、0.25g(0.62mmol)のローソン試薬を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下で1時間加熱還流した。得られた黄色の反応混合物を20mLの飽和NaHCO3溶液で希釈した。水層を酢酸エチル25mLずつで2回抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をさらに精製することなく次の反応に利用した。
【0093】
4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボン酸メチル(60)。
4mLの無水CH2Cl2中の前記粗生成物58の撹拌溶液に、64.0μL(55.0mg、0.65mmol)のピペリジンを滴加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を5mLの無水THFに溶解し、0.26g(1.32mmol)の4-ペンテノイルスクシンイミド、続いて83.0mg(0.78mmol)のNa2CO3を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。
【0094】
得られた残渣をシリカゲルカラム(7×2cm)で精製した。7:3の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、淡黄色固体として60を得た:収量60.0mg(3工程で52%);シリカゲルTLC Rf 0.17(7:3の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.35-2.44 (m, 4H), 3.01 (s, 6H), 3.86 (s, 3H), 4.72 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 5.00-5.10 (m, 2H), 6.25 (br s, 1H), 6.25 (br s, 1H), 6.70 (d, 2H, J = 8.4 Hz)および7.40 (d, 2H, J = 8.4 Hz);質量スペクトル (MALDI-TOF), m/z 374.1455 (M + H)+ (C19H24N3O3Sはm/z 374.1460を必要とする)。
【0095】
4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボン酸シアノメチル(62)。
0.4mLの3:1のTHF-水中の17.0mg(0.05mmol)の60の撹拌溶液に、0.06mLの1N LiOHを添加した。得られた混合物を25℃で4.5時間撹拌した。得られた黄色の水層をMeOHで希釈した。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0096】
得られた粗生成物を2mLの無水DMFに溶解し、9.0mg(0.11mmol)のNaHCO3を添加し、続いて25.0μL(30.0mg、0.40mmol)のClCH2CNを添加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラム(7×1cm)で精製した。3:2の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、鮮黄色の固体として62を得た:収量12.0mg(65%);シリカゲルTLC Rf 0.7(酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.36-2.44 (m, 4H), 3.02 (s, 6H), 4.71 (d, 2H, J = 2.8 Hz), 4.87 (s, 2H), 5.00-5.10 (m, 2H), 5.79-5.84 (m, 1H), 6.29 (br s, 1H), 6.71 (d, 2H, J = 8.4 Hz)および7.39 (d, 2H, J = 8.4 Hz);質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 399.1210 (M + H)+ (C20H23N4O3Sはm/z 399.1413を必要とする)。
【0097】
4-(4-(ジメチルアミノ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボキシルpdCpA(64)。
100μLの9:1のDMF‐Et3N中の6.0mg(15μmol)のシアノメチルエステル62および5.7mg(3.7μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩を含有する溶液に、室温で4時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。19.5分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して黄色固体として64を得た:収量-3.7mg(59%);質量スペクトル(ESI), m/z 976.2213 (M - H)- (C37H44N11O15P2Sはm/z 976.2214を必要とする)。
【0098】
2-(2(2-(ベンジルオキシカルボニル)アセトアミド)アセトアミド)-3-(4-シアノフェニル)-3-オキソプロパン酸メチル(69)。
10mLの無水THF中の1.00g(4.00mmol)の35の溶液をアルゴン雰囲気下で-78℃に冷却し、温度を-78℃に維持しながら、THF中の4.00mL(4.00mmol)の1M ビス(トリメチルシリル)アミドナトリウムを滴加した。30分後、結果として得られた黄色溶液を、カニューレを介して、-78℃の3mLの無水THF中の0.66g(4.00mmol)の塩化4-シアノベンゾイルの撹拌溶液に添加した。得られた混合物を-78℃で2時間撹拌した。得られた黄色の混合物を濃HClでpH2まで酸性化し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物(67)をさらに精製することなく次の反応に利用した。
【0099】
0℃の10mLの無水THF中の前記粗生成物の溶液に、1.56g(4.00mmol)のN-Cbz-グリシンスクシンイミドエステル(68)を添加し、続いて0.44mL(0.40g、4.00mmol)のN-メチルモルホリンを滴加した。得られた黄色の混合物を25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(15×2cm)で精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出して、無色油状物として69を得た:収量0.60g(38%);シリカゲルTLC Rf 0.3(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 3.69 (s, 3H), 3.97 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 5.10 (s, 2H), 5.57 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 6.16 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 7.32 (br s, 5H), 7.51-7.53 (m, 1H), 7.76 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 8.15 (d, 2H, J = 8.8 Hz);質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 392.1050 (M + H)+ (C21H20N3O6はm/z 392.1168を必要とする)。
【0100】
2-((ベンジルオキシカルボニル)メチル)-5-(4-シアノペニル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(70)。
10mLの無水CH2Cl2中の0.21g(0.80mmol)のトリフェニルホスフィンおよび0.2g(0.8mmol)のヨードの撹拌溶液に、0.11mL(83.0mg、0.80mmol)のトリエチルアミンを添加した。得られた暗黄色の溶液を5分間撹拌し、5mLの無水CH2Cl2に溶解した0.20g(0.40mmol)の69を滴加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で30分間撹拌し、減圧下で濃縮した。
【0101】
得られた残渣をシリカゲルカラム(15×2cm)で精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出し、淡黄色固体として70を得た:収量0.14g(73%);シリカゲルTLC Rf 0.5(1:1の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 3.92 (s, 3H), 4.59 (d, 2H, J = 6.0 Hz), 5.13 (s, 2H), 5.56 (br s, 1H), 7.32 (br s, 5H), 7.71 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 8.17 (d, 2H, J = 8.4 Hz);質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 392.1050 (M + H)+ (C21H18N3O5はm/z 392.1168を必要とする)。
【0102】
4-(4-シアノフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボン酸メチル(71)。
5mLのエタノール中の0.15g(0.38mmol)の60の溶液に、4mgの10%Pd-Cを添加した。得られた反応混合物をH2雰囲気下で3時間撹拌し、セライトのパッドで濾過した。得られた濾液を減圧下で濃縮した。
【0103】
得られた残渣を5mLの無水THFに溶解し、0.17g(0.86mmol)の4-ペンテノイルスクシンイミドを添加し、続いて40.0mg(0.38mmol)のNa2CO3を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(7×2cm)で精製した。7:3の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出し、淡黄色固体として71を得た:収量47.0mg(2工程で37%);シリカゲルTLC Rf 0.29(7:3の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.34-2.40 (m, 4H), 3.92 (s, 3H), 4.64 (d, 2H, J = 6.0 Hz), 4.96-5.12 (m, 2H), 5.77-5.81 (m, 1H), 6.45 (br s, 1H), 7.72 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 8.18 (d, 2H, J = 8.8 Hz);質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 340.1210 (M + H)+ (C18H18N3O4はm/z 340.1219を必要とする)。
【0104】
4-(4-シアノフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボン酸シアノメチル(72)。
0.4mLの3:1のTHF-水中の16.0mg(0.05mmol)の71の撹拌溶液に、0.05mLの1N LiOHを添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。得られた水層をMeOHで希釈した。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。
【0105】
得られた粗生成物を2mLの無水DMFに溶解し、12.0mg(0.14mmol)のNaHCO3を添加し、続いて15.0μL(18.0mg、0.24mmol)のClCH2CNを添加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラム(7×1cm)で精製した。酢酸エチルで溶出し、淡黄色固体として72を得た:収量13.0mg(76%);シリカゲルTLC Rf 0.65(酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.37-2.44 (m, 4H), 4.67 (d, 2H, J = 5.2 Hz), 4.96-5.15 (m, 4H), 5.78-5.86 (m, 1H), 6.30 (br s, 1H), 7.77 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 8.19 (d, 2H, J = 8.4 Hz);質量スペクトル(MALDI-TOF), m/z 365.1140 (M + H)+ (C19H17N4O4はm/z 365.1172を必要とする)。
【0106】
4-(4-シアノフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-5-カルボキシルpdCpA(73)。
100μLの9:1のDMF‐Et3N中の7.0mg(20μmol)のシアノメチルエステル72および6.0mg(4.0μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩(38)を含有する溶液に、室温で4時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。17分で溶出する画分を集め、凍結乾燥し白色固体として73を得た:収量1.9mg(29%);質量スペクトル(ESI), m/z 942.1973 (M - H)- (C36H38N11O16P2はm/z 942.1968を必要とする)。
【0107】
アミノアシルtRNACUAsの調製。
サプレッサーtRNACUAsの活性化は、既に記載されているように実施した4、5。簡潔には、100mM Na Hepes、pH7.5の100μLの反応混合物は、1.0mM ATP、15mM MgCl2、100μgのサプレッサーtRNACUA-COH、0.5 A260単位のN-ペンテノイル保護アミノアシル-pdCpA、15%DMSO、および100単位のT4 RNAリガーゼを含有した。得られた反応混合物を37℃で1.5時間インキュベートし、0.1容量の3M NaOAc、pH5.2を添加することによりクエンチングを行った。得られたN保護アミノアシル化tRNAを3容量の冷エタノールで沈殿させた。ライゲーションの効率は8%ポリアリールアミド-7M尿素ゲル電気泳動(pH5.0)によって評価した。
【0108】
得られたN-ペンテノイル保護アミノアシル-tRNACUAsを、5mMのI2水溶液を用いて25℃で15分間処理することによって脱保護した。得られた溶液を遠心分離し、得られた上清を0.3M NaOAcに調整し、3容量の冷エタノールで処理してアミノアシル化tRNAを沈殿させた。得られたtRNAペレットを遠心分離によって収集し、70%EtOH水溶液で洗浄し、風乾し、20μLのRNアーゼ不含水に溶解した。
【0109】
修飾リボソームを有する細胞からのS-30抽出物の調製。
野生型または修飾rrnB遺伝子を有するプラスミドを含む、大腸菌BL-21(DE-3)細胞の液体ストックからのアリコート(5〜10μL)を、100μg/mLのアンピシリンを添加したLB寒天上に置き、37℃で16〜18時間増殖させた。各寒天プレートから1つのコロニーを採取し、100μg/mLのアンピシリンおよび0.5mM IPTGを添加した3mLのLB培地に移した。
【0110】
OD600が約0.15〜0.3に達するまで培養物を37℃で3〜6時間サーモスタット付き振とう機中で増殖させ、OD600 0.01に達するまで100μg/mLアンピシリン、1mM IPTGおよび3μg/mLのエリスロマイシンが(修飾リボソーム画分を選択的に増大させるために)添加されたLB培地で希釈し、次いで37℃で12〜18時間増殖させた。最終培養物の最適濃度はOD600 0.5〜1.0であった。細胞を遠心分離(5000×g、4℃、10分間)により採取し、β-メルカプトエタノール(0.5mL/L)が添加されたS-30緩衝液(1.4mM Mg(OAc)2、6mM KOAcおよび0.1mM DTTを含む1mM Tris-OAc、pH8.2)で3回洗浄し、0.05mL/Lのβ-メルカプトエタノールを含むS-30緩衝液で1回洗浄した。
【0111】
得られた湿ったペレットの重量を推定し、1.27mLのS-30緩衝液を添加して各1gの細胞を懸濁させた。得られた懸濁液の体積を測定し、他の成分の量を推定するために使用した。プレインキュベーション混合物(0.3mL)(9mMのMg(OAc)2、13mM ATP、84mM ホスホエノールピルビン酸、4.4mM DTTおよび5μM アミノ酸混合物を含有する0.29M トリス、pH8.2)、15単位のピルビン酸キナーゼおよび10μgのリゾチームを細胞懸濁液1mL当たりに添加し、結果として得られた混合物を37℃で30分間インキュベートした。次いで、得られたインキュベーション混合物を-80℃(約30分間)で凍結し、融解し(37℃、30分間)、再度凍結し、室温(約30分間)で融解した。次いで、エチレングリコール四酢酸(EGTA)を最終濃度2.5mMまで添加し、前記細胞を37℃で30分間インキュベートした。同じモル濃度のCaCl2を添加し、十分に混合し、凍結した(-80℃、30分間)。凍結した混合物を遠心分離(15,000×g、4℃、1時間)し、得られた上清を-80℃で一定分量として保存した。
【0112】
インビトロ(in vitro)タンパク質翻訳。
タンパク質翻訳反応は、0.4μL/μLのS-30システム、100ng/μLのプラスミド、35mM トリス 酢酸、pH7.4、190mM グルタミン酸カリウム、30 mM 酢酸アンモニウム、2mM DTT、0.2mg/ mL総大腸菌tRNA、3.5% PEG6000、20μg/mL フォリン酸、20mM ATPおよびGTP、5mM CTPおよびUTP、100μM アミノ酸混合物、分析目的のみのための0.5μCi/μLの35S-メチオニンおよび1μg/mL リファンピシンを含有する12〜2000μLのインキュベーション混合物中で行った。TAGコドンを伴う遺伝子を有するプラスミドの場合、サプレッサーtRNAを0.8μg/μLの濃度で添加した。反応は、37℃で1時間(12μLの反応混合物に関して)から1.5時間(2000μLの反応混合物に関して)行い、氷上で冷却することによって終了させた。インビトロ翻訳混合物からのアリコートをSDS-PAGEにより分析し、次いでホスホイメージャー分析(phosphorimager analysis)により放射性バンドを定量した。
【0113】
「ゲル内(in-Gel)」トリプシン消化
ゲル内で消化される試料を、12%SDS-ポリアクリルアミドゲルの3〜4レーンに流し、クマシーR-250で染色し、バックグラウンドが透明になるまで脱色した。前記DHFRを有するゲルのその領域をゲルから切断し、0.1M重炭酸アンモニウム(1時間、室温)で洗浄した。溶液を捨て、0.1〜0.2mLの0.1M重炭酸アンモニウムおよび10〜30μLの0.045mM DTTを添加した。ゲル片を60℃で30分間インキュベートし、室温まで冷却し、10〜30μLの0.1Mヨードアセトアミドを添加した後、暗所で30分間室温でインキュベートした。ゲル片を1:1のアセトニトリル-0.1M重炭酸アンモニウムで無色になるまで洗浄した。
【0114】
溶液を廃棄した後、前記ゲル片を0.1〜0.2mLのアセトニトリル中で(室温で10〜20分間)インキュベートし、溶媒の除去後、0.02μg/μLのトリプシンを含有する50〜100μLの25mM重炭酸アンモニウム中で再膨潤させた。37℃で4時間のインキュベーション後、上清を新たな管に移し、ペプチドを0.1%TFA中の60%アセトニトリルで抽出した(室温で20分間)。合わせた画分を乾燥させ、最小量の0.1%TFA中の60%アセトニトリルで再構成した。
【0115】
ジペプチジル−ピューロマイシンアミノヌクレオシドを用いた修飾リボソームの選択
先に記載した方法と同様の方法で選択実験を行った。(1)簡潔には、23S rRNA中のPTCの2つの領域(2057〜2063および2496〜2501または2502〜2507)に変異を有しかつ5つの96ウェルプレート(「マスタープレート」)で体系化された、419のクローンからのライブラリーを、修飾リボソームを伴う変異体の選択に使用した。各「マスタープレート」に対して3つの新しいプレートを、前記マスタープレートの各ウェルからの2μLの培養物を新しいプレートの対応するウェルに移すことによって調製し、98μLアッセイ溶液を各ウェルに添加した。アッセイ溶液は100μg/mLのアンピシリン、1mMのIPTGおよび100μg/mLの1または3.5μg/mLのエリスロマイシンを含有するLB培地(pH8.4)から調製した。
【0116】
ピューロマイシン誘導体を含まない溶液を対照プレートに使用した。全てのプレートをサーモスタット付き振とう機中37℃で16〜18時間インキュベートし、細胞増殖の程度を600nmでの光学密度を測定することによって推定した。既に記載されているように、1による細胞増殖の阻害を評価した。阻害値が50%を超えるクローンを検証のために採取した。培養物を100μg/mLのアンピシリンおよび1mMのIPTGを添加したLB培地で、600nmでの光学密度が約0.01になるまで希釈し、1の6つの異なる希釈度(200〜6.25μg/mL)の96ウェルプレートの8ウェルに入れた。プレートをサーモスタット付き振とう機中37℃で16〜18時間インキュベートし、細胞増殖の程度を600nmでの光学密度を測定することによって推定し、IC50データを各培養物について計算した。
【0117】
野生型リボソームと比較して修飾リボソームのIC50値の増大の2倍を超える減少を示す培養物由来のプラスミドを単離し、全長rrnBオペロンの存在を確認するために制限分析(EcoRI)によって分析し、2つの突然変異領域において配列を決定した。
【0118】
ジペプチジル−ピューロマイシンアミノヌクレオシド(1)の合成。
ジペプチジルピューロマイシン誘導体1をFmoc保護(4-OMe)-チロシン(14)から4つの連続した工程で合成した。化合物14をHBTUで活性化し、Et3Nの存在下でグリシンメチルエステルと縮合させて収率95%で15を得た。THF-水中のLiOHによる穏やかなエステル加水分解により、遊離酸16(収率60%)を得、これを続いてスクシンイミドエステルとして活性化した。得られた粗活性化エステルをEt3Nの存在下でピューロマイシンアミノヌクレオシドと結合させ、Fmoc保護ピューロマイシン誘導体17を94%の高収率で得た。ピペリジンを用いて、Fmoc基を脱保護し、ジペプチジル−ピューロマイシンアミノヌクレオシド1を収率49%で得た。
【0119】
修飾リボソームの選択。
α-L-アミノ酸、ジペプチドおよびジペプチド模倣体を組み込むことができる修飾リボソームの選択は、以前に本発明者らのグループが記載した様式と同様の様式で行われた1。細菌性大腸菌細胞を選択戦略に使用し、後にインビトロタンパク質翻訳のための修飾リボソームを有するS-30抽出物の調製のために使用した。最初に、23S rRNAのペプチジルトランスフェラーゼ中心付近のヌクレオチド2057〜2063を変更してエリスロマイシン耐性を付与した。
【0120】
細胞は修飾された(プラスミドにコードされた)23S rRNAおよび野生型(染色体にコードされた)23S rRNAの両方を有するため、野生型リボソームよりも修飾リボソームの産生を高めるために圧力システムが必要となる。したがって、ヌクレオチド2057〜2063においてランダムに突然変異23S rRNA遺伝子を有する大腸菌コロニーのライブラリーを調製し、濃度3.5μg/mLのエリスロマイシンおよびpH8.25に関して選択した。エリスロマイシン結合ポケットに異なるヌクレオチド配列を有する8つの23S rRNA変異体が得られた。ライブラリー調製の次のラウンドには、前記8つの23S rRNAのそれぞれのPTCにおける第2の領域の突然変異生成が含まれた。最後に、23S rRNAにおける2つの領域、すなわち第1の領域、2057〜2063および第2の領域、3つの領域(2582〜2588、2496〜2501および2502〜2507)のいずれか1つに変異を有するクローンの新規ライブラリーを得た。
【0121】
多様なライブラリーを入手したら直ちに、エリスロマイシンおよびジペプチジル−アミノピューロマイシンヌクレオシド(1)に対する二重選択を行った。エリスロマイシン・アッセイ(3.5μg/mL)により、クローンのエリスロマイシン耐性を確認したが、ピューロマイシン誘導体1(100μg/mL)により、この抗生物質に対する感受性が高いクローンを同定した。1に対する感受性を示すそれらのクローンのリボソームは、ペプチド合成中にPTC中のジペプチドまたはジペプチド模倣体に適応する可能性がより高いと予想された。エリスロマイシン耐性を示し、ピューロマイシン・アッセイにおいて50%を超える阻害を示す16のクローンを、さらなる評価のために選択した。これらのクローンからのプラスミドを単離し、配列決定を行った。
【0122】
選択された全てのクローンは、予想通り2つの領域に変異を有していた。いくつかのクローンは、23S rRNAの第2の領域に野生型ヌクレオチド配列を有していたため、さらに評価しなかった。23S rRNAの領域2582〜2588の修飾が翻訳の忠実度の低い原因であることが既に実証されていたため、23S rRNAの領域2582〜2588に変異を有するクローンはS-30調製のために選択されなかった1。4つのクローン(010309、010310、010326および010328)は、自動DNA配列決定によって判断されたように2つ以上のクローンの混合物として同定され、大腸菌細胞に再度形質転換してクローンを分離した。表1に、ジペプチドまたはジペプチド模倣体で活性化されたサプレッサーtRNACUAsを用いたインビトロタンパク質翻訳における評価のためのS-30抽出物の調製のために提示した13のクローンの特徴付けを要約する。
【0123】
表2に、クローンの第2の領域における配列相同性を要約する。3つのクローン(010309R9、010326R6および010328R4)はPTC(2057UGCGUGG2063および2502ACGAAG2507)の2つの領域に同一のヌクレオチド配列を有していたが、他の2つのクローン(010326R1および010328R2)も2つの変異領域(2057UGCGUGG2063および2502CUACAG2507)に同一のヌクレオチド配列を共有していた。
【0124】
ジペプチドおよびジペプチド模倣体で活性化されたサプレッサーtRNACUAsの調製。
ジペプチドおよびジペプチド模倣体で活性化されたサプレッサーtRNACUAsを、既に記載されたように調製し1、2、化合物2〜10のpdCpA誘導体を合成した。アミノ酸11および17を最初に4-ペンテノイルスクシンイミドを使用してNを保護し、その後HBTUおよびEt3Nの存在下で、L-フェニルアラニンメチルエステルまたはL-グリシンメチルエステルのいずれかを用いる後続の縮合により、それぞれN-保護ジペプチドメチルエステル19(47%)、25(50%)、29(61%)を得た。得られたメチルエステルに1M LiOH水溶液の存在下で鹸化を行って遊離酸を生成し、次いで、それらの酸をそれぞれ、75%、62%および80%の収率で対応するシアノメチルエステル20、26および30に変換した。
【0125】
ジペプチド模倣体5のpdCpA誘導体の合成のために、本発明者らはL-boc-フェニルアラニン(33)から出発した。化合物33をHBTUおよびEt3Nの存在下でグリシンメチルエステルと縮合させて、ジペプチド34を収率83%で得た。トルエン中のローソン試薬を用いる還流での処理により、容易にジペプチド34をチオ−ジペプチド35(収率61%)に変換した。トリフルオロ酢酸(TFA)を用いてN-保護を除去し、続いて4-ペンテノイルスクシンイミドを用いてアミンを保護して、生成物36を収率60%で得た。1M LiOH水溶液によるメチルエステルの穏やかな加水分解を行い、続いてDMF中のクロロアセトニトリルおよびNaHCO3での処理により、シアノメチルエステル37を収率66%で得た。
【0126】
6〜10のpdCpA誘導体の合成戦略はグリシンの二重保護から開始する。市販のグリシンメチルエステル塩酸塩(40)をベンゾフェノンイミンで処理して、収率68%で41を得た。次いで、化合物41を塩基としてのNaHMDSの存在下で3つの異なる塩化アシルと縮合させた。続いて、得られたイミンを濃HClで加水分解し、粗生成物として42、55および67を得、次いでこれらを43または68と縮合させて、それぞれα-アミド-β-ケトエステル中間体44、56および69を67%、34%および38%の収率で得た。次いで、PPh3/I2/Et3Nを用いて前記α-アミド-β-ケトエステル中間体を環化させて、オキサゾール45(71%)、57(78%)および70(65%)を得た。対応するチアゾール46および58は、前記α-アミド-β-ケトエステル中間体をローソン試薬で処理することによって得られた。続いてピペリジンでFmoc基を除去し、続いてペンテノイルN-ヒドロキシスクシンイミドと縮合させ、33〜52%の範囲の収率でペンテノイル保護化合物を得た。得られたメチルエステルの1M LiOH水溶液での加水分解に続いてクロロアセトニトリルおよびトリエチルアミンで処理することにより、対応するシアノメチルエステルが得られた。
【0127】
得られたシアノメチルエステルをジヌクレオチドpdCpAのアシル化に用いた3。アシル化反応は9:1のDMF-Et3N中の超音波処理の使用によって促進され、セミ分取C18カラムを用いた逆相HPLCによって精製され、対応するpdCpA誘導体が得られた。
【0128】
活性化されたpdCpA誘導体を、T4 RNAリガーゼを用いて短縮されたtRNACUA転写物に連結し、9つのN-ペンテノイル-アミノアシル-tRNACUAsを調製した4、5。N-ペンテノイル保護をヨウ素水溶液で15分間処理することにより除去した。保護基の除去は、タンパク質合成におけるミスアシル化tRNAの使用の直前に行った。前記短縮されたtRNACUAへの各pdCpA誘導体の連結は、100%の効率で行われた。
【0129】
野生型リボソームを用いたグリシルフェニルアラニン(2)の組込み。
野生型リボソームは、mRNA転写物中のそれぞれの対応するコドンについて1つのモノアシル化tRNAを介して一度に1つのα-L-アミノ酸を組込むことによって、ポリペプチド鎖を合成する6。ビスアシル化tRNAを用いた1コドンに対する2つのアミノ酸のリボソーム媒介順次組込みは、これまでに報告されていない。したがって、グリシルフェニルアラニル-tRNACUAの存在下で10の位置にUAGコドンを有するDHFR mRNAを用いてグリシルフェニルアラニンの組込みを可能にする前記野生型リボソームの能力を研究した。グリシルフェニルアラニル-tRNACUAの抑制効率を、前記野生型リボソームを有するS-30調製物を用いた野生型DHFR合成と比較した(図3)。グリシルフェニルアラニンの抑制効率は約2%であった。このデータはさらに、翻訳中に前記野生型リボソームがジペプチジル-tRNAからポリペプチド鎖にジペプチドを移すことができないことを証明している7
【0130】
修飾されたリボソームを用いたDHFRへのジペプチド2、3および4の組込み。
最初に、グリシルフェニルアラニン(2)を選択して、ジペプチドをDHFRに組み込むそれらの能力について選択した修飾リボソームをスクリーニングした。ジペプチド(グリシン残基)のN末端での最小の立体障害およびより高い柔軟性は、修飾リボソームのPTCにおける求核攻撃のためのアミンの最適な配置を可能にすると予想された。グリシルフェニルアラニンの組込みのために、位置10にTAGコドン(pETDH10プラスミド)を有する修飾DHFR構築物を使用した。
【0131】
野生型DHFR合成と比較して抑制効率を表した。陰性対照として、非アシル化-tRNACUAの存在下での野生型DHFR合成を各実験について測定した。生成されたDHFRの量を、35S-メチオニンのDHFRへの組込みをモニターするホスホイメージャーで定量化した。グリシルフェニルアラニル-tRNACUAを用いて、クローン群1、2、3および9由来の修飾リボソームを有するS-30調製物は、野生型DHFR合成と比較して約9%の収率で全長DHFRを産生した(表3)。クローン群4〜8からの修飾リボソームは、グリシルフェニルアラニン(2)を低収率(約2〜4%)で組み込んだ。ジペプチド2については、クローン群9(2057AGUGAGA2063および2502AUCCGA2507)由来の修飾リボソームを有するS-30システムによって最良の組込み収率(最大12%)が得られた。したがって、グリシルフェニルアラニン(2)を用いて、本発明者らは9つのリボソーム変異体のうち4つを同定し、これにより、mRNA転写物中の1つのコドンを用いて、ジペプチドのタンパク質への合理的な組込みが実証された。
【0132】
次の工程は、修飾リボソームを用いて、フェニルアラニルグリシン(3)のDHFRへの組込みを試験することであった。フェニルアラニルグリシンは、修飾リボソームの選択に用いられたピューロマイシン誘導体1のジペプチジル部分に類似した位置異性および立体異性を有する。本発明者らは、修飾されたリボソームがグリシルフェニルアラニン(2)よりもフェニルアラニルグリシン(3)の組込みを増強することを予想した。これを試験するために、本発明者らは本発明者らの最初のスクリーニングで良好な結果を示す4つの修飾リボソームを選択した。実際に、表3に示すように、4つの修飾リボソーム全てが、2と比較してジペプチド3の増強された組込みを媒介した。
【0133】
野生型DHFR合成と比較して、それぞれ、約14%(対2に関して約9%)および約13%(対2に関して約10%)の効率でジペプチド3をDHFRに組み込んだクローン群1および9由来の修飾リボソームを使用することによって最良の結果が得られた。リボソームのクローン2もジペプチド2に照らしてジペプチド3の優れた選択性を示したが(それぞれ約12%対約8%の抑制効率)、リボソームのクローン3はジペプチド2に照らしてわずかにジペプチド3が好ましかった(10%対9%の抑制効率)。ジペプチド2および3の組込みについて試験した修飾リボソームは、N-末端またはC-末端(フェニルアラニン残基)の両方でベンジル側鎖を合理的に許容した。
【0134】
したがって、本発明者らはリボソーム・クローン1を用いたフェニルアラニルフェニルアラニル(4)の組込みも試験したが、約4%という低い抑制効率が得られた。リボソーム・クローン1を用いたジペプチド4の組込みがわずかであったため、他のクローンは試験しなかった。図4は、グリシルフェニルアラニル-tRNACUA、フェニルアラニルグリシジル-tRNACUAおよびフェニルアラニルフェニルアラニル-tRNACUAの存在下でリボソーム・クローン010326R6から調製したS-30システムを用いた全長DHFRの形成を示す。
【0135】
修飾リボソームを用いたDHFRへのジペプチド模倣体5、6、8、9および10の組込み。
修飾リボソームを使用してDHFRにジペプチドを組み込むことに成功したことを実証した後、本発明者らはジペプチド模倣体を入れたサプレッサーtRNAの存在下で全長タンパク質を生合成する能力の調査を開始した。これまで、本発明者らは化合物5、6、8、9および10(図2)の10の位置のDHFRへの組込みを試験した。ジペプチド模倣体5は、アミド部分がチオアミド部分で置換されている骨格における最小変化(minimum perturbation)を有する。一方、ジペプチド模倣体6、8、9および10はGFP発色団の蛍光構造類似体である。
【0136】
5および6の組込みのために、2つのリボソーム・クローン(クローン群1および9)から調製したS-30システムを用いたが、クローン群1のみを他の3つのジペプチド模倣体8〜10に用いた。図5は、リボソーム・クローン010309R3を用いた10の位置でのDHFRへのジペプチド模倣体5および6の組込みを示す。リボソーム・クローン群1および9の両方とも、野生型DHFR合成と比較して、約11%の抑制効率(表4)でチオ−ジペプチド5を組み込んだ。リボソーム・クローン群1を使用した場合、9および10の抑制率は約11%であったが、8はわずかに低い約9%の収率で組み込まれた。図6および7は、DHFRへの10の位置での9、10および8の組込みをそれぞれ実証する。
【0137】
さらに、本発明者らはタンパク質中の6の蛍光強度を調べるために、より大きなスケールで10の位置にジペプチド模倣体6を有する修飾DHFRを調製した。野生型DHFRおよび10の位置に6を有する修飾DHFRの蛍光発光スペクトルを302nm励起波長で比較した(図8)。302nmで励起した場合、修飾DHFRは約395nmで最大の蛍光発光を有したが、類似のタンパク質濃度で野生型DHFRについて検出可能な蛍光は観察されなかった。
【0138】
「ゲル内」トリプシン消化から生じるペプチドのMALDI-MS分析によるDHFRへのジペプチドおよびジペプチド模倣体の組込みの特徴付け。
ジペプチジル-tRNACUAまたはジペプチド模倣体で活性化されたtRNACUAによるDHFR mRNAの10の位置でのUAGコドンの成功した抑制を直接的に証明するために、グリシルフェニルアラニン(2)(修飾DHFR1)、ジペプチド模倣体5(修飾DHFR2)またはジペプチド模倣体6(修飾DHFR3)を担持すると想定される3つの修飾DHFRを、「ゲル内」トリプシン消化とそれに続くMALDI-MS分析のために、より大きなスケールで調製した8。対照として、DHFR V10Fも2つの修飾DHFRに類似した量で調製した。
【0139】
修飾DHFRは、Ni-NTAおよびDEAE-セファデックスクロマトグラフィー、続いてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の使用によって精製された。DHFR V10Fのトリプシン消化物は、m/z 1321.4899にイオンピークを示し(図9A)、10の位置にフェニルアラニンを有するペプチド断片(アミノ酸1〜12)の存在を確認した。修飾DHFR1については、アミノ酸1〜12を含むトリプシン断片は1377Daの分子量を有することが予想された。図9Bに示すように、DHFRの10の位置のグリシルフェニルアラニンの存在と一致するm/z 1377.3305にイオンピークがあった。トリプシン消化物の調製中に、ヨードアセトアミドを使用して、スルフヒドリル基のような任意の反応性求核体をキャッピングする。
【0140】
修飾DHFR2について、本発明者らは、5のチオ−アミド基がヨードアセトアミドと反応すると予想した。1450Daの分子量は修飾ジペプチド模倣体5を有するペプチド(アミノ酸1〜12)に関して予想された。図9Cに示す、MALDI-MSスペクトルはm/z 1450.5831にイオンピークを有し、これにより、DHFR中の10の位置に5が存在することが証明される。図9D(修飾DHFR3)に示すように、アミノ酸1〜12を有するペプチドによって生成されたm/z 1404.3587(推定値1404Da)のイオンピークにより、ジペプチド模倣体6のDHFRの10の位置への組込みが確認された。DHFR V10Fおよび3つの前記修飾DHFRの全てについて、DHFRのアミノ酸13〜106を含む他のトリプシンペプチドが観察された。反復実験では、(大きな)C末端断片はDHFRのいずれについても全く観察されなかった。
【0141】
ジペプチド模倣体6を有する人工BFPの蛍光発光。
本発明者らは蛍光ジペプチド模倣体6〜10をGFP発色団の安定した類似体として設計した。本発明者らは人工蛍光タンパク質を創出するためのそれらの使用を予測し、これを確認するため、本発明者らは人工蛍光タンパク質を調製するためにBFPの発色団をジペプチド模倣体6に置換した。6の蛍光発光は可視光スペクトルの青色領域に近い(約400nm)。したがって、本発明者らは66の位置に6を有する人工FP(人工BFP1)の蛍光発光強度を、約450nmの蛍光発光を有する野生型BFPと比較した。野生型BFPでは、ヒスチジン残基が66の位置に存在する。野生型および人工BFPを、蛍光測定のために無細胞翻訳システムにおいてより大きい規模で調製した。
【0142】
66の位置にTAGコドンを有する修飾BFP構築物および6で活性化されたサプレッサーtRNACUAを人工BFP1の調製に使用した。タンパク質濃度を標準BSAアッセイに従って計算し、野生型または修飾DHFR試料のクマシーブリリアントブルー染色の強度を、SDS-PAGE実験において既知の濃度のBSA標準と比較した。図11から明らかなように、66の位置に6を有する人工BFP1(発光最大約375nm)の蛍光強度は、類似のタンパク質濃度で野生型BFPよりも20倍強い。66の位置はBFPのβバレル構造の中心にあり、高度に疎水性の環境にある。
【0143】
本発明者らはまた、水性環境に曝されたときのタンパク質中の6の蛍光特性を研究することにも興味を持った。このために、39の位置にTAGコドンおよび66の位置にグリシン残基を有する、別の修飾BFP構築物も調製した。この構築物により、本発明者らはβバレルの内部に蛍光発色団を有さず、溶媒に曝される前記バレルの外側に6を有するタンパク質(人工BFP2)を調製することができた。グリシン残基は芳香族側鎖を有さないため、蛍光発色団形成は非常に起こりにくい。本発明者らは、疎水性環境から親水性環境への変化により、蛍光ジペプチド模倣体が赤色にシフトした発光最大値を有する蛍光発光強度を減少させると予測した。実際に、図11から明らかなように、位置39に6を有する人工BFP2の蛍光発光強度は、位置66に6を有する人工BFPと比較して3倍減少した。さらに、発光最大値も約375nmから約400nmであった。興味深いことに、人工BFP2の蛍光強度は野生型BFPよりも7倍強かった。
【0144】
「ゲル内」トリプシン消化から生じるペプチドのMALDI-MS分析による人工BFP1および2の特徴付け。
人工BFP1および2におけるジペプチド模倣体6の存在を直接的に証明するために、「ゲル内」トリプシン消化に続いてMALDI-MS分析を行った8。対照として、野生型GFPも2つの前記人工BFPと同様の量で調製した。タンパク質はNi-NTAおよびDEAE-セファデックスクロマトグラフィー、続いてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の使用によって精製された(図11)。
【0145】
人工BFP2については、アミノ酸27〜41(FSVSGEGEGDATxGK;配列番号1、ジペプチド模倣体6はxとして示す)を包含するトリプシン断片は、1570Daの分子量を有すると予想されたが、野生型GFPからの対応するトリプシン消化物(FSVSGEGEGDATYGK;配列番号2)の分子量は1504Daであると予想された。
【0146】
図12Aに示すように、人工BFP2中の位置39にジペプチド模倣体6(FSVSGEGEGDATxGK;配列番号1)が存在することと一致するm/z 1570.4772(図12B)のイオンピークにシフトした、野生型GFPペプチドFSVSGEGEGDATYGK(配列番号2)に対応するm/z 1503.7612にイオンピークがあった。先に論じたように、ヨードアセトアミドを用いてスルフヒドリル基のような任意の反応性求核体をキャッピングした。65-66-67の位置にセリン−チロシン−グリシン(赤色または白黒複製では薄いグレースケールで示される)を有する野生型GFP(LPVPWPTLVTTFSYGVQCFSR;配列番号3)からのトリプシン消化物は、70の位置にシステイン(緑色で示す、すなわち、白黒複製ではVQに続くC)を有する。発色団形成およびスルフヒドリル基のヨードアセトアミド・キャッピングの後、このペプチドの予想分子量は2437Daであった。
【0147】
アミノ酸4〜26(GEELFTGVVPILVELDGDVNGHK;配列番号4)に対応するトリプシン消化物も予想分子量2437Daを有し、図12Cから分かるように、m/z 2437.8581にイオンピークが存在する。この分子量の重複を回避するために、Y66G突然変異体GFPを調製し、「ゲル内」トリプシン消化に続いてMALDI-MS分析を行った。66の位置にグリシンを有する、トリプシン消化物LPVPWPTLVTTFSGGVQCFSR、配列番号5の予想される分子量は2333Daであり、驚くべきことに、MALDI-MSでは分子量2333Daに対応するイオンピークは見られなかった(図12D)。66の位置(赤色で示す)にジペプチド模倣体6を有するトリプシン消化物(LPVPWPTLVTTFSxGVQCFSR;配列番号6)でさえ、2523Daの予想分子量に対応するイオンピークを示さなかった。
【0148】
ジペプチド模倣体6または7を有する人工GFPの蛍光発光。
緑色蛍光タンパク質(GFP)は、分子生物学および細胞生物学における蛍光レポーターとして広く使用されている。オワンクラゲ(Aequorea victoria)GFPは238個のアミノ酸残基からなり、Ser65-Tyr66-Gly67残基を含むポリペプチド主鎖の翻訳後環化および酸化によって生じる、4-(p-ヒドロキシベンジリデン)イミダゾリジン-5-オン発蛍光団を有する。これにより、可視光を吸収して放出することができる延長された共役システムが得られる。GFPの発色団の成熟は自然発生的に起こり、それによりGFP発色団が魅力的な分子マーカーになる。GFP発色団は、通常、発色団の中性および陰イオン形態にそれぞれ割り当てられた395nmおよび475nmに吸収ピークを有し、高い蛍光量子収率(0.79)で509nmに発光ピークを有する。多数の報告に、新規蛍光タンパク質およびそれらの発色団の研究およびスペクトル特性が記載されている。これと比較して、インビトロタンパク質翻訳によってタンパク質骨格に予備形成されたフルオロフォアの組込みについての報告はなかった。
【0149】
ジペプチド模倣体6および7は両方とも強く蛍光性を示す。それらの遊離アミノ酸はいずれも296〜302nmの範囲のλexを有するが、7のλemは6のλemに比べて幾分赤色側にシフトしている。6および7のpdCpA誘導体の合成後、脱保護されたtRNAを、66の位置にTAGコドンを有するGFP類似体構築物(pETGFP66プラスミド)でプログラムされた大腸菌から調製されたS-30画分を含む無細胞連結転写翻訳システムにおいて使用した。「ジペプチド類似体」とみなされ得るものをGFPの単一の位置に導入することは、GFPのその領域の構造の本発明者らの解析、およびその置換が十分に許容されるという結果的な信念を反映した。S-30システムは修飾リボソームを含み、後者はペプチジルトランスフェラーゼ中心を変化させ、α-L-アミノ酸に加えてジペプチドおよびジペプチド類似体を認識することを可能にした。これらの修飾リボソームをジペプチジルピューロマイシン誘導体の使用によって選択した。これらの修飾リボソームによるジペプチド模倣性類似体の認識は、おそらく、ジペプチド模倣体中のアミン基とカルボキシレート基との間の距離が、ジペプチドの遊離アミン基とカルボキシレート基との間の距離に類似しているためである。抑制効率は、野生型mRNAからの野生型GFP合成と比較して表した。陰性対照として、非アシル化tRNACUAの存在下での修飾mRNAからの野生型GFP合成を各実験について測定した。産生されたGFPの量を、タンパク質への35S-メチオニンの組込みをモニターする、ホスホイメージャーで定量した。クローン010326R6からの修飾リボソームを有するS-30調製物は、6の場合の野生型GFP合成と比較して約6.5%収率で全長GFPを産生したが、7の場合には野生型GFPに対して約3.5%であった。
【0150】
活性化されたサプレッサーtRNACUAの高濃度(0.6〜1.0μg/μL)は、成功する翻訳のために必須であり、そのような種のタンパク質合成に必須の1つ以上の因子への結合の減少を示唆した。この濃度は、α-アミノ酸の発現に用いたサプレッサーtRNACUA濃度(0.1〜0.2μg/μL)と比較してかなり高かった。アミノアシル-tRNACUAのより低い濃度では、最小の抑制が観察された。
【0151】
66の位置に6および7を有するGFP類似体をより大きい規模で調製し、タンパク質中の6および7の蛍光強度の研究を可能にするように精製した。プラスミドpETGFP66は、翻訳されたタンパク質がそのN末端にヘキサヒスチジン部分を有し、Ni-NTAアガロースクロマトグラフィーを介して精製できるように設計した。6および7を含有する精製タンパク質をそれぞれ305nmおよび302nmで励起した。6を含むGFP類似体は約375nmで最大の蛍光発光を示したが、7を担持するタンパク質は約403nmで最大発光を示した。さらに、両方のGFP類似体の蛍光強度を野生型GFPと比較した。修飾されたGFP類似体の蛍光強度は、同一タンパク質濃度の野生型GFPよりも有意に強かった。
【0152】
さらなる合成生成物およびスキームは以下の通りである。
【0153】
【化1】
2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)メチル)-4-(4-シアノフェニル)チアゾール-5-カルボン酸メチル(82)。
5mLの無水THF中の0.30g(0.60mmol)の81の撹拌溶液に、0.49g(1.20mmol)のローソン試薬を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下で1時間加熱還流した。得られた黄色の反応混合物を20mLの飽和NaHCO3溶液で希釈した。水層を酢酸エチル25mLずつで2回抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をさらに精製することなく次の反応に利用した。
【0154】
【化2】
4-(4-シアノフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボン酸メチル(83)。
4mLの無水CH2Cl2中の粗物質82の撹拌溶液に、120μL(0.10g、1.20mmol)のピペリジンを滴加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を5mLの無水THFに溶解し、0.26g(1.32mmol)の4-ペンテノイルスクシンイミド、続いて83.0mg(0.78mmol)のNa2CO3を添加した。得られた混合物をアルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(7×2cm)で精製した。1:1の酢酸エチル−ヘキサン類で溶出し、淡黄色固体として83を得た:収量47.0mg(2工程で22%);シリカゲルTLC Rf 0.29(7:3の酢酸エチル−ヘキサン類);1H NMR (CDCl3) δ 2.34-2.40 (m, 4H), 3.92 (s, 3H), 4.64 (d, 2H, J = 6.0 Hz), 4.96-5.12 (m, 2H), 5.77-5.81 (m, 1H), 6.45 (br s, 1H), 7.72 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 8.18 (d, 2H, J = 8.8 Hz);質量スペクトル(APCI), m/z 356.0980 (M + H)+ (C18H18N3O3Sはm/z 356.0991を必要とする)。
【0155】
【化3】
4-(4-シアノフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボン酸シアノメチル(84)。
0.4mLの3:1のTHF-水中の16.0mg(0.05mmol)の83の撹拌溶液に、0.05mLの1N LiOHを添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌した。水層をMeOHで希釈した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を2mLの無水DMFに溶解し、12.0mg(0.14mmol)のNaHCO3を加え、続いて15.0μL(18.0mg、0.24mmol)のClCH2CNを添加した。得られた反応混合物をアルゴン雰囲気下、25℃で3時間撹拌した。得られた粗生成物をさらに精製することなく次の反応に利用した。
【0156】
【化4】
4-(4-シアノフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-5-カルボキシルpdCpA(85)。
100μLの9:1のDMF-Et3N中に6.0mg(約15.8μmol)の粗シアノメチルエステル84および6.0mg(4.4μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩を含む溶液に、室温で4時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。17分で溶出する画分を集め、凍結乾燥して白色固体として85を得た:収量1.9mg(45%)。質量スペクトル(MALDI), m/z 960.1815 (M + H)+ (C36H40N11O15P2Sはm/z 960.1823を必要とする)。
【0157】
【化5】
3-(4-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)-2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)アセトアミド)-3-オキソプロパン酸メチル(110)。
25mLのTHF中の0.83g(4.41mmol)の酸107の溶液に、1.59mL(1.16g、18.6mmol)のEt3Nおよび0.74mL(0.78g、9.31mmol)のイソブチルクロロホルメートを加えた。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌して酸無水物108を得、これを次の工程のための粗生成物として使用した。100mLのTHF中に1.17g(4.63mmol)のイミンエステル35の溶液が入った丸底フラスコに、THF中4.63mL(4.63mmol)の1M NaHMDS溶液を-78℃で添加した。30分後、得られた粗酸無水物108を前記反応混合物に加え、-78℃で2時間撹拌した。pH2に達するまで、前記反応混合物をHCl水溶液(6M)でクエンチした。溶媒を減圧下で蒸発させてアミン塩109を無色の固体として得、これをさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0158】
30mLのDMF中の0.85g(4.85mmol)のBoc-Gly-OHの溶液に、2.14g(4.85mmol)のBOPおよび0.67mL(0.48g、4.85mmol)のEt3Nを添加した。2分後、20mLのDMFに溶解したアミン塩109を前記反応混合物に加え、室温で一晩撹拌した。得られた混合物を300mLの水で希釈し、50mLずつのEtOAcで2回抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×4cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出し、所望の生成物110を無色泡状固体として得た:収量1.06g(酸107から58%の全収率);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 1.44 (s, 9H), 3.71 (s, 3H), 3.93 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 5.39 (br s, 1H), 6.21 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 6.38-6.39 (m, 2H), 7.16-7.17 (m, 2H), 7.47 (d, 2H, J = 12.0 Hz), 7.60 (d, 1H, J = 8.0 Hz)および8.17 (d, 2H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ28.5, 44.3, 53.5, 57.9, 80.5, 111.3, 119.1, 119.2, 119.4, 123.3, 130.8, 131.7, 131.8, 145.2, 150.7, 156.2, 167.2, 169.9および189.9;質量スペクトル(APCI), m/z 416.1824 (M+H)+ (C21H26N3O6はm/z 416.1822を必要とする)。
【0159】
【化6】
5-(4-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(111)。
50mLのCH2Cl2中の0.23g(0.88mmol)のトリフェニルホスフィンおよび0.22g(0.88mmol)のヨウ素の撹拌溶液に、0.24mL(0.17g、1.75mmol)のトリエチルアミンを添加した。得られた暗黄色の溶液を5分間撹拌し、0.18g(0.44mmol)のケト−アミド110を得られた反応混合物に加え、室温で2時間撹拌した。前記反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出し、所望の生成物111を無色固体として得た:収量0.11g(63%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 1.45 (s, 9H), 3.91 (s, 3H), 4.51 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 5.34 (br s, 1H), 6.34-6.35 (m, 2H), 7.11-7.13 (m, 2H), 7.42-7.45 (m, 2H)および8.10-8.13 (m, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 28.5, 38.1, 53.6, 80.5, 111.4, 119.1, 119.3, 119.8, 120.2, 123.7, 123.7, 126.6, 128.1, 129.9, 142.0, 155.4, 155.7, 159.7および162.6;質量スペクトル (APCI), m/z 398.1714 (M+H)+ (C21H24N3O5はm/z 398.1716を必要とする)。
【0160】
【化7】
5-(4-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(112)。
10mLのCH2Cl2中の0.20g(0.55mmol)のBoc保護アミン111の溶液に、10mLのTFAを添加した。得られた反応混合物を一晩撹拌し、減圧下で濃縮して脱保護アミンを得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0161】
15mLのTHF中の脱保護されたアミンの溶液に、0.11g(0.55mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドおよび0.14mL(0.10g、1.00mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH-酢酸エチルで溶出し、所望の生成物112を無色固体として得た:収量0.14g(72%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.31-2.38 (m, 4H), 3.86 (s, 3H), 4.59 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 4.92-5.03 (m, 2H), 5.76-5.78 (m, 1H), 6.31-6.32 (m, 2H), 6.82-6.85 (m, 1H), 7.08-7.09 (m, 2H), 7.38-7.41 (m, 2H) および 8.04-8.06 (m, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 29.5, 35.5, 36.6, 52.4, 111.4, 115.8, 119.0, 119.2, 119.3, 119.6, 122.9, 123.5, 126.4, 129.9, 131.6, 136.9, 142.0, 155.3, 159.4, 162.4および172.8;質量スペクトル(APCI), m/z 380.1607 (M+H)+ (C21H22N3O4はm/z 380.1610を必要とする)。
【0162】
【化8】
5-(4-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸シアノメチル(113)。
3mLのMeOHおよび3mLのTHF中の0.12g(0.31mmol)のエステル112の溶液に、0.46mL(0.46mmol)の1M LiOH水溶液を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮して酸を得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0163】
15mLのDMF中の前記酸の溶液に、0.06mL(0.07g、0.93mmol)のクロロアセトニトリルおよび0.22mL(0.16g、1.54mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物113を黄色固体として得た:収量70.0mg(56%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.37-2.44 (m, 4H), 4.66 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 4.95 (s, 2H), 4.97-5.10 (m, 2H), 5.80-5.84 (m, 1H), 6.27 (br s, 1H), 6.38-6.39 (m, 2H), 7.15-7.16 (m, 2H), 7.48-7.51 (m, 2H)および8.11-8.14 (m, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 29.6, 35.7, 36.8, 49.1, 111.8, 114.3, 116.1, 119.2, 119.9, 122.9, 124.7, 130.0, 130.3, 137.0, 142.7, 157.4, 159.7, 160.6, 170.1および172.7;質量スペクトル (APCI), m/z 405.1563 (M+H)+ (C22H21N4O4はm/z 405.1563を必要とする)。
【0164】
【化9】
5-(4-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸pdCpAエステル(114)。
100μLの9:1の無水DMF-Et3N中の8.50mg(6.37μmol)のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩を含有する撹拌溶液に、6.40mg(15.9μmol)のシアノメチルエステル113を加えた。得られた反応混合物に6時間超音波処理を行った。前記反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により1時間かけて精製した。所望の生成物の保持時間は24.6分であった。前記生成物を含有する画分を凍結乾燥して114を無色固体として得た:収量2.0mg(32%);質量スペクトル(ESI), m/z 984.2356 (M+H)+ (C39H44N11O16P2はm/z 984.2364を必要とする)。
【0165】
【化10】
2-(2-(ベンジルオキシカルボニル)アセトアミド)-3-オキソ-3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)プロパン酸メチル(101)。
100mLのTHF中の3.00g(11.8mmol)のイミンエステル35の溶液に、THF中の14.2mL(14.2mmol)の1M NaHMDS溶液を-78℃で加えた。30分後、15mLのTHFに溶解した2.73g(11.8mmol)の3,4,5-トリメトキシベンゾイルクロライドを得られた反応混合物に加え、-78℃で2時間撹拌した。pH2に達するまで、前記反応混合物をHCl水溶液(6M)でクエンチした。溶媒を減圧下で蒸発させてアミン塩100を無色の固体として得、これをさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0166】
150mLのTHF中のアミン塩100の溶液に、7.25g(23.7mmol)のCbz-Gly-OSuおよび8.30mL(6.05g、59.2mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。前記混合物を300mLの水で希釈し、50mLずつのEtOAcで2回抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×4cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物101を無色の固体として得た:収量4.43g(イミン35からの全体収率79%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 3.71 (s, 3H), 3.87-3.93 (m, 8H), 3.94 (s, 3H), 4.01 (s, 1H), 5.12 (s, 2H), 5.58 (br s, 1H), 6.16 (d, 1H, J = 4.0 Hz), 7.31-7.34 (m, 5H), 7.39 (s, 2H)および7.51 (d, 1H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ44.5, 53.5, 56.4, 56.5, 57.9, 61.2, 67.4, 106.6, 107.2, 107.4, 128.3, 128.4, 128.7, 128.8, 136.3, 144.1, 153.0, 153.1, 153.3, 156.8, 167.4, 169.3および189.8;質量スペクトル(APCI), m/z 475.1721 (M+H)+ (C23H27N2O9はm/z 475.1716を必要とする)。
【0167】
【化11】
2-((ベンジルオキシカルボニル)メチル)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(102)。
50mLのCH2Cl2中の1.10g(4.19mmol)のトリフェニルホスフィンおよび1.06g(4.17mmol)のヨウ素の撹拌溶液に、1.16mL(0.84g、8.34mmol)のEt3Nを加えた。得られた暗黄色の溶液を5分間撹拌し、0.99g(2.08mmol)のケト−アミド101を得られた反応混合物に加え、室温で2時間撹拌した。前記反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物102を無色の油状物として得た:収量0.70g(74%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 3.81-3.92 (m, 12H), 4.56 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 5.10 (s, 2H), 5.63 (br s, 1H), 7.23-7.29 (m, 5H)および7.24 (s, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 38.5, 52.6, 56.4, 56.5, 61.2, 67.5, 103.8, 106.1, 107.4, 121.8, 126.4, 128.3, 128.5, 128.7, 128.7, 132.2, 136.3, 140.3, 153.3, 156.0, 156.4, 158.9および162.6;質量スペクトル(APCI), m/z 457.1617 (M+H)+ (C23H25N2O8はm/z 457.1611を必要とする)。
【0168】
【化12】
2-(ペンタ-4-エナミドメチル)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(103)。
25mLのEtOH中の0.36g(0.79mmol)のCbz保護アミン102の溶液に、100mgの10%Pd/Cを添加した。得られた懸濁液を1気圧のH2下で一晩撹拌した。得られた反応混合物をセライトパッドで濾過し、得られた濾液を減圧下で蒸発させて脱保護アミンを得、これを精製せずに次の工程で使用した。
【0169】
8mLのTHF中の脱保護アミンの溶液に、0.23g(1.18mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドおよび0.33mL(0.24g、2.37mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物103を無色の油状物として得た:収量0.11g(2工程にわたって収率35%);シリカゲルTLC Rf 0.70(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.34-2.42 (m, 4H), 3.86-3.93 (m, 12H), 4.61-4.66 (m, 2H), 4.97-5.08 (m, 2H), 5.81-5.82 (m, 1H), 6.35 (br s, 1H), 7.40-7.43 (m, 2H)および7.61-7.64 (m, 1H);13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 29.6, 35.8, 36.8, 52.7, 56.6, 56.6, 61.2, 106.1, 116.0, 121.8, 126.4, 128.8, 132.2, 137.0, 140.4, 153.3, 156.1, 158.9, 162.6および172.6;質量スペクトル(APCI), m/z 405.1656 (M+H)+ (C20H25N2O7はm/z 405.1662を必要とする)。
【0170】
【化13】
2-(ペンタ-4-エナミドメチル)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)オキサゾール-4-カルボン酸シアノメチル(104)。
5mLのMeOHおよび5mLのTHF中の0.22g(0.55mmol)のエステル103の溶液に、1.11mL(1.11mmol)の1M LiOH水溶液を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で蒸発させて酸を得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0171】
3mLのクロロアセトニトリル中の前記酸の溶液に、0.15mL(0.11g、1.11mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物104を無色の固体として得た:収量80.0mg(2工程で収率35%);シリカゲルTLC Rf 0.70(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.39-2.43 (m, 4H), 3.87-3.92 (m, 9H), 4.65-4.66 (m, 2H), 4.95 (s, 2H), 4.99-5.09 (m, 2H), 5.80-5.86 (m, 1H), 6.33 (br s, 1H)および7.40-7.42 (m, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 29.6, 35.7, 41.5, 49.1, 56.6, 56.6, 61.3, 106.2, 114.4, 116.0, 116.1, 121.1, 124.5, 128.8, 132.3, 137.0, 141.0, 153.5, 158.0, 160.7および172.8;質量スペクトル(APCI), m/z 430.1607 (M+H)+ (C21H24N3O7はm/z 430.1614を必要とする)。
【0172】
【化14】
2-(ペンタ-4-エナミドメチル)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)オキサゾール-4-カルボン酸pdCpAエステル(105)。
100μLの9:1のDMF-Et3N中の6.40mg(15.0μmol)のシアノメチルエステル104の溶液に、4.00mg(3.00μmol)のpdCpAのトリス(テトラブチルアンモニウム)塩を加え、室温で2.5時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により1時間かけて精製した。所望の生成物の保持時間は19.5分であった。前記生成物を含有する画分を凍結乾燥して105を無色固体として得た:収量1.8mg(59%);質量スペクトル(ESI), m/z 1007.2334 (M-H)- (C38H45N10O19P2はm/z 1007.2338を必要とする)。
【0173】
【化15】
2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)アセトアミド)-3-(4-(メチルチオ)フェニル)-3-オキソプロパン酸メチル(89)。
30mLのTHF中の0.53g(1.82mmol)のBoc保護グリシンメチルエステル87の溶液に、THF中の2.18mL(2.18mmol)の1M NaHMDS溶液を-78℃で加えた。30分後、0.36g(1.91mmol)の4-チオメチルベンゾイルクロライドを得られた反応混合物に加え、-78℃で2時間撹拌した。前記反応混合物を過剰のNH4Cl水溶液でクエンチし、50mLずつのEtOAcで2回抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×4cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。3:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出し、ケト−エステル88を無色の泡状固体として得た。
【0174】
10mLのCH2Cl2中のケト−エステル88の溶液に、10mLのTFAを加え、得られた反応物を室温で一晩撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮してアミンを得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0175】
15mLのDMF中の0.63g(3.64mmol)のBoc-Gly-OHの溶液に、1.61g(3.64mmol)のBOP、1.51mL(1.10g、10.91mmol)のEt3Nおよび前記アミン(先の工程から得られた)を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。前記反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラム(10×4cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、ケト−アミド89を無色の油状物として得た:収量0.52g(87からの全体収率72%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 1.44 (s, 9H), 2.51 (s, 3H), 3.69 (s, 3H), 3.93 (br s, 2H), 5.54 (t, 1H, J = 10.0 Hz), 6.18 (d, 1H, J = 10.0 Hz), 7.26 (d, 2H, J = 10.0 Hz), 7.68 (d, 1H, J = 10.0 Hz), 7.99 (d, 2H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 14.6, 28.4, 44.1, 53.3, 57.7, 80.2, 125.0, 130.0, 130.1, 148.4, 156.1, 167.3, 169.8および190.1;質量スペクトル(APCI), m/z 397.1429 (M+H)+ (C18H25N2O6Sはm/z 397.1433を必要とする)。
【0176】
【化16】
2-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-5-(4-(メチルチオ)フェニル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(90)。
50mLのCH2Cl2中の0.87g(3.31mmol)のトリフェニルホスフィンおよび0.83g(3.30mmol)のヨウ素の撹拌溶液に、0.92mL(0.67g、6.60mmol)のEt3Nを添加した。得られた暗黄色の溶液を5分間撹拌し、0.65g(1.65mmol)のケト−アミド89を得られた反応混合物に加え、室温で2時間撹拌した。前記反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物90を黄色固体として得た:収量0.38g(62%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 1.39 (s, 9H), 2.44 (s, 3H), 3.85 (s, 3H), 4.45 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 5.37 (br s, 1H), 7.21 (d, 2H, J = 8.0 Hz)および7.91 (d, 2H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 15.1, 28.4, 38.0, 52.4, 80.4, 123.0, 125.5, 126.2, 128.6, 142.4, 155.7, 155.8, 159.4および162.5;質量スペクトル(APCI), m/z 379.1339 (M+H)+ (C21H24N3O5はm/z 379.1328を必要とする)。
【0177】
【化17】
5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(91)。
10mLのCH2Cl2中の0.39g(1.02mmol)のBoc保護アミン90の溶液に、10mLのTFAを添加した。得られた反応混合物を一晩撹拌し、減圧下で濃縮して脱保護アミンを得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0178】
10mLのTHF中の脱保護されたアミンの溶液に、0.50g(2.56mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドおよび3mLの飽和NaHCO3水溶液を加えた。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物91を無色固体として得た:収量0.23g(62%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.30-2.38 (m, 4H), 2.47 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 4.59 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 4.93-5.04 (m, 2H), 5.75-5.79 (m, 1H), 6.58 (br s, 1H), 7.24 (d, 2H, J = 8.0 Hz)および7.91 (d, 2H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 15.1, 29.5, 36.7, 49.2, 52.5, 115.9, 122.8, 125.5, 126.2, 128.7, 137.0, 142.6, 156.0, 159.1, 162.5および172.7;質量スペクトル(APCI), m/z 361.1232 (M+H)+ (C18H21N2O4Sはm/z 361.1222を必要とする)。
【0179】
【化18】
5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸シアノメチル(92)。
5mLのMeOHおよび5mLのTHF中の0.18g(0.50mmol)のエステル91の溶液に、1.25mL(1.25mmol)の1M LiOH水溶液を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮して酸を得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0180】
1mLのDMF中の前記酸の溶液に、2mLのクロロアセトニトリルおよび0.21mL(0.16g、1.51mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物92を黄色固体として得た:収量0.12g(65%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.36-2.45 (m, 4H), 2.42 (s, 3H), 4.65 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 4.94 (s, 2H), 4.99-5.10 (m, 2H), 5.80-5.84 (m, 1H), 6.26 (br s, 1H), 7.31 (d, 2H, J = 8.0 Hz)および7.96 (d, 2H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 15.2, 29.6, 35.7, 36.8, 49.0, 114.3, 116.1, 122.2, 124.4, 125.7, 128.9, 137.0, 143.8, 158.0, 159.5, 160.6および172.7;質量スペクトル(APCI), m/z 386.1176 (M+H)+ (C19H20N3O4Sはm/z 386.1175を必要とする)。
【0181】
【化19】
5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸pdCpAエステル(93)。
100μLの9:1の無水DMF-Et3N中の6.60mg(5.00μmol)のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩を含む撹拌溶液に、9.50mg(25.0μmol)のシアノメチルエステル92を加えた。得られた反応混合物に6時間超音波処理を行った。前記反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により1時間かけて精製した。所望の生成物の保持時間は20.3分であった。前記生成物を含む画分を凍結乾燥して93を無色固体として得た:収量3.0mg(63%);質量スペクトル(ESI), m/z 963.1908 (M-H)- (C36H41N10O16P2Sはm/z 963.1898を必要とする)。
【0182】
【化20】
2-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)アセトアミド)-3-(4-ニトロフェニル)-3-オキソプロパン酸メチル(117)。
50mLのTHF中の2.00g(6.92mmol)のBoc-保護グリシンメチルエステル87の溶液に、-78℃のTHF中6.92mL(6.92mmol)の1M NaHMDS溶液を加えた。30分後、1.28g(6.92mmol)の4-ニトロベンゾイルクロリドを前記反応混合物に加え、-78℃で2時間撹拌した。前記反応混合物を過剰のNH4Cl水溶液でクエンチし、50mLずつのEtOAcで2回抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×4cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。3:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、ケト−エステル116を白色泡状固体として得た。
【0183】
25mLのCH2Cl2中のケト−エステル116の溶液に、25mLのTFAを加え、得られた反応物を室温で一晩撹拌した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮してアミンを得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0184】
100mLのDMF中の1.45g(8.30mmol)のBoc-Gly-OHの溶液に、3.67g(8.30mmol)のBOP、2.88mL(1.66g、20.75mmol)のEt3Nおよびアミン(先の工程から得られた)を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。前記反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラム(10×4cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、ケト−アミド117を無色の固体として得た:収量0.65g(87からの全体収率24%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 1.42 (s, 9H), 3.70 (s, 3H), 3.92 (br s, 2H), 5.28 (t, 1H, J = 10.0 Hz), 6.17 (d, 1H, J = 10.0 Hz), 7.30 (d, 2H, J = 10.0 Hz), 7.52 (d, 1H, J = 10.0 Hz), 8.15 (d, 2H, J = 8.0 Hz);質量スペクトル(APCI), m/z 396.1426 (M+H)+ (C17H22N3O8はm/z 396.1407を必要とする)。
【0185】
【化21】
2-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-5-(4-ニトロフェニル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(118)。
50mLのCH2Cl2中の0.96g(3.67mmol)のトリフェニルホスフィンおよび0.93g(3.67mmol)のヨウ素の撹拌溶液へ、1.02 mL(0.74g、7.34mmol)のEt3Nを加えた。得られた暗黄色の溶液を5分間撹拌し、0.73g(1.83mmol)のケト−アミド117を得られた反応混合物に加え、室温で2時間撹拌した。前記反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物118を黄色固体として得た:収量0.40g(58%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 1.43 (s, 9H), 3.97 (s, 3H), 4.53 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 5.31 (br s, 1H)および8.27 (s, 4H);13C NMR (CDCl3) δ 28.5, 38.2, 52.9, 80.8, 123.9, 129.2, 129.3, 132.6, 148.6, 153.3, 155.7, 161.2 および162.2;質量スペクトル(APCI), m/z 378.1305 (M+H)+ (C17H20N3O7はm/z 378.1301を必要とする)。
【0186】
【化22】
5-(4-ニトロフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸メチル(119)。
10mLのCH2Cl2中の0.40g(1.06mmol)のBoc保護アミン118の溶液に、10mLのTFAを添加した。得られた反応混合物を一晩撹拌し、減圧下で濃縮して脱保護アミンを得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0187】
15mLのTHF中の脱保護されたアミンの溶液に、0.42g(2.13mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドおよび5mLの飽和NaHCO3水溶液を加えた。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物119を無色固体として得た:収量0.28g(72%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.34-2.43 (m, 4H), 3.94 (s, 3H), 4.67 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 4.97-5.08 (m, 2H), 5.78-5.82 (m, 1H), 6.38 (br s, 1H)および8.28 (s, 4H);13C NMR (CDCl3) δ 29.5, 35.6, 36.8, 53.0, 115.8, 116.1, 123.9, 129.2, 129.4, 132.5, 136.9, 148.6, 153.4, 160.8, 162.1および172.8;質量スペクトル(APCI), m/z 360.1199 (M+H)+ (C17H18N3O6はm/z 360.1196を必要とする)。
【0188】
【化23】
5-(4-ニトロフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸シアノメチル(120)。
4mLのMeOHおよび4mLのTHF中の65.0mg(0.18mmol)のエステル119の溶液に、0.36mL(0.36mmol)の1M LiOH水溶液を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮して酸を得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0189】
3.00mLのDMF中の前記酸の溶液に、0.20mLのクロロアセトニトリルおよび0.20mL(0.14g、1.51mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH-酢酸エチルで溶出して、所望の生成物120を黄色固体として得た:収量37.0mg(53%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.39-2.54 (m, 4H), 4.69 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 4.98 (s, 2H), 5.01-5.11 (m, 2H), 5.81-5.88 (m, 1H), 6.15 (br s, 1H), 8.27 (d, 2H, J = 4.0 Hz)および8.35 (d, 2H, J = 12.0 Hz);質量スペクトル(APCI), m/z 385.1153 (M+H)+ (C18H17N4O6はm/z 385.1148を必要とする)。
【0190】
【化24】
5-(4-ニトロフェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)オキサゾール-4-カルボン酸pdCpAエステル(121)。
100μLの9:1の無水DMF-Et3N中の18.0mg(13.5μmol)のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩を含有する撹拌溶液に、13.0mg(33.7μmol)のシアノメチルエステル120を加えた。得られた反応混合物に6時間超音波処理を行った。前記反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により1時間かけて精製した。所望の生成物の保持時間は25.3分であった。前記生成物を含有する画分を凍結乾燥して121を無色固体として得た:収量1.8mg(14%);質量スペクトル(ESI), m/z 962.1874 (M-H)- (C35H38N11O18P2はm/z 962.1871を必要とする)。
【0191】
【化25】
2-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-5-(4-(メチルチオ)フェニル)チアゾール-4-カルボン酸メチル(95)。
80mLのTHF中の1.72g(4.35mmol)のケト−アミド89の溶液に、2.46g(6.09mmol)のローソン試薬を加え、得られた混合物を4時間還流した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:1のヘキサン類−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物95を無色の油状物として得た:収量1.49g(87%);シリカゲルTLC Rf 0.50(1:1のヘキサン類−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 1.47 (s, 9H), 2.51 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 4.61 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 5.32 (br s, 1H), 7.26 (d, 2H, J = 8.0 Hz)および7.41 (d, 2H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 15.6, 28.6, 42.7, 52.6, 80.8, 125.8, 126.7, 130.5, 139.4, 141.0, 147.7, 155.9, 162.6および167.6;質量スペクトル(APCI), m/z 395.1100 (M+H)+ (C18H23N2O4S2はm/z 395.1099を必要とする)。
【0192】
【化26】
5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-4-カルボン酸メチル(96)。
25mLのCH2Cl2中の1.30g(3.30mmol)のBoc保護アミン95の溶液に、25mLのTFAを添加した。得られた反応混合物を一晩撹拌し、減圧下で濃縮して脱保護アミンを得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0193】
50mLのTHF中の脱保護されたアミンの溶液に、1.63g(8.25mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドおよび20mLの飽和NaHCO3水溶液を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物96を無色固体として得た:収量1.06g(86%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ2.39 (s, 4H), 2.49 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 4.71 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 4.96-5.06 (m, 2H), 5.76-5.83 (m, 1H), 7.23 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 7.34 (d, 2H, J = 4.0 Hz)および7.44 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 15.1, 29.3, 35.2, 41.1, 52.1, 115.6, 115.6, 125.3, 126.1, 130.0, 136.7, 138.7, 140.7, 147.3, 162.3, 166.6および173.0;質量スペクトル(APCI), m/z 377.0991 (M+H)+ (C18H21N2O3S2はm/z 377.0994を必要とする)。
【0194】
【化27】
5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-4-カルボン酸シアノメチル(97)。
5mLのMeOHおよび5mLのTHF中の0.42g(1.12mmol)のエステル96の溶液に、2.79mL(2.79mmol)の1M LiOH水溶液を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮して酸を得、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0195】
3mLのDMF中の前記酸の溶液に、2mLのクロロアセトニトリルおよび0.50mL(0.36g、3.60mmol)のEt3Nを添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×1cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。1:10のMeOH−酢酸エチルで溶出して、所望の生成物97を黄色固体として得た:収量0.25g(55%);シリカゲルTLC Rf 0.75(1:10のMeOH−酢酸エチル);1H NMR (CDCl3) δ 2.33-2.37 (m, 4H), 2.47 (s, 3H), 4.67 (d, 2H, J = 4.0 Hz), 4.81 (s, 2H), 4.95-5.04 (m, 2H), 5.77-5.78 (m, 1H), 6.73 (br s, 1H), 7.22 (d, 2H, J = 8.0 Hz)および7.33 (d, 2H, J = 8.0 Hz);13C NMR (CDCl3) δ 15.4, 29.5, 34.1, 35.6, 49.3, 114.3, 116.1, 125.7, 125.8, 130.3, 130.4, 136.9, 141.8, 150.6, 160.3, 166.8および173.1;質量スペクトル(APCI), m/z 402.0958 (M+H)+ (C19H20N3O4Sはm/z 402.0946を必要とする)。
【0196】
【化28】
5-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-(ペンタ-4-エナミドメチル)チアゾール-4-カルボン酸pdCpAエステル(98)。
100μLの9:1の無水DMF-Et3N中の7.50mg(18.0μmol)のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩を含有する撹拌溶液に、10.0mg(7.00μmol)のシアノメチルエステル97を加えた。得られた反応混合物に6時間超音波処理を行った。得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%から65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により1時間かけて精製した。所望の生成物の保持時間は24.2分であった。前記生成物を含有する画分を凍結乾燥して、98を無色固体として得た:収量2.0mg(27%);質量スペクトル(ESI), m/z 979.1682 (M-H)- (C36H41N10O15P2S2はm/z 979.1682を必要とする)。
【0197】
ラクタム拘束ジペプチドおよびそのpdCpA誘導体。
スキーム15では、重炭酸ナトリウムの存在下でカップリング試薬としてBOPを用いた、10mM濃度のDMF中でのBoc-L-DAB-OHの環化により、5員ラクタム中間体126(図13参照)を「不溶性塩基」として54%の収率で得た。得られたアミドのブロモ酢酸ベンジルとのアルキル化により、化合物127を収率60%で得た。TFAによるBoc基の脱保護により化合物128を定量的収率で生成し、次いで水素化分解によるベンジル基の脱保護により化合物123を定量的収率で生成した。鍵中間体130は2つの工程で得られた。
【0198】
最初に123をDIPEAの存在下で4-ペンテノイルスクシンイミドで処理して酸129を得、これをEt3Nの存在下で無水DMF中のクロロアセトニトリルで処理して、油状物として所望のシアノメチルエステル130を2工程で7%の収率で得た。シアノメチルエステル130と無水DMF中のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩とのカップリングにより、5員ジペプチドpdCpAエステル131を収率9%で得た。6員および7員のラクタム−ジペプチドpdCpAエステル138および145を、それぞれスキーム2および3に概説したのと同様にして調製した。最後に、アミノアシル化ジヌクレオチドを、T4 RNAリガーゼおよびATPの存在下で、短縮されたtRNACUA-COH転写物に連結して、対応するペンテノイル-アミノアシル-tRNA 132、139および146を得た。
【0199】
実験の詳細(以下の番号参照に対応する化学構造については、発明を実施するための形態の最後のスキーム15〜18を参照)。
【0200】
無水条件を必要とする全ての実験は、別段の記載がない限り、乾燥窒素の陽圧下でゴム隔膜を取り付けた火炎乾燥ガラス製品中で行った。他に指示がない限り、反応は室温で行った。蛍光インジケータ(254nm)を含浸したシリカゲル(0.25mm、60オングストローム孔径、230〜400メッシュ、Silicycle)で予め被覆したガラス板を用いて分析薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。TLC板を紫外線(UV)に曝すことによって視覚化した。フラッシュ・カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(60オングストローム孔径、40〜63μm、標準グレード、Silicycle)を用いて行った。少量のドライアイスを添加することにより、アセトン冷却浴を適切な温度に冷却した。
【0201】
1H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Varian INOVA 400(400MHz)およびVarian INOVA 500(500MHz)分光計で25℃で記録した。プロトン化学シフトは百万分率(ppm、δスケール)で表され、NMR溶媒(CDCl3、DMSO-d6またはCD3OD)中の残留プロトンを基準とする。分割パターンは、以下のように指定される:s、シングレット;br s、ブロード・シングレット;d、ダブレット;dd、ダブレットのダブレット;t、トリプレット;q、カルテット;m、マルチプレット。高分解能質量分析はアリゾナ州立大学CLAS高分解能質量分析施設またはミシガン州立大学質量分析施設で得られた。HPLC精製は、Varian ProStar 340検出器およびGrace Econosil C18カラム(250×10mm、5μm)と連結したWaters 600ポンプで行った。pdCpAのテトラ-n-ブチルアンモニウム(TBA)塩は、そのTBA形態として予め平衡化したDowex 50W×8、200〜400メッシュを用いて調製した。
【0202】
ラクタム拘束ジペプチドおよびそのpdCpA誘導体の合成
【化29】
(S)-tert-ブチル(2-オキソピロリジン-3-イル)カルバマート(126)。
275mLの10mM濃度のDMF中の0.60g(2.75mmol)のBOC-L-DAB-OHの溶液に、1.22g(2.75mmol)のBOPおよび1.16g(20.0mmol)の重炭酸ナトリウムを添加した。室温で12時間撹拌した後、得られた混合物を減圧下で少量(約5mL)に濃縮した。濃縮した混合物を水および飽和重炭酸ナトリウム溶液(1:1、100mL)で希釈し、EtOAc100mLずつで3回抽出した。合わせた有機抽出物を200mLの水および200mLの塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得、100mLのエーテル中で破砕して結晶化させ、濾過して126を無色の固体として得た:収量296mg(54%);mp 161〜164℃(文献 168〜171℃);シリカゲルTLC Rf 0.55(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.42 (s, 9H), 1.93‐2.01 (m, 1H), 2.60‐2.70 (m, 1H), 3.28‐3.42 (m, 2H), 4.05‐4.20 (m, 1H), 5.25 (s, 1H)および6.85 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 28.3, 30.0, 39.2, 51.7, 79.9, 155.9および176.1。
【0203】
【化30】
(S)-ベンジル2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-オキソピロリジン-1-イル)アセテート(127)。
10mLの無水THF中の116mg(2.90mmol)の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液)の懸濁液に、5mLの無水THF中の290mg(1.45mmol)の126の溶液を添加した。得られた反応物を室温で15分間撹拌し、241μL(348mg、1.52mmol)のブロモ酢酸ベンジルを添加した。室温で5時間撹拌した後、30mLのEtOAcを加え、続いて20mLの水を加えた。有機相を20mLの塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して油性残渣を得た。前記残渣をシリカゲルカラム(10×2cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。3:1のヘキサン類-EtOAcで溶出し、127を無色の油状物として得た:収量301mg(60%);シリカゲルTLC Rf 0.38(3:1のヘキサン類−EtOAc);1H NMR (CDCl3) δ 1.39 (s, 9H), 1.80‐1.96 (m, 1H), 2.50‐2.62 (m, 1H), 3.29 (dd, 1H, J = 9.2および8.4 Hz), 3.40 (td, 1H, J = 9.6および6.7 Hz), 3.98 (d, 1H, J = 17.7 Hz), 4.15 (d, 2H, J = 17.7 Hz), 5.10 (s, 2H), 5.24 (s, 1H) および 7.21‐7.41 (m, 5H);13C NMR (CDCl3) δ 28.0, 28.3, 44.5, 44.6, 51.9, 67.1, 80.0, 128.3, 128.5, 128.6, 135.1, 155.7, 168.1および173.0。
【0204】
【化31】
(S)-ベンジル2-(3-アミノ-2-オキソピロリジン-1-イル)アセテート(128)。
5mLの0℃の無水DCM中の114mg(0.33mmol)の127の溶液に、撹拌しながら1.0mLのTFAを添加した。0℃で1時間撹拌した後、得られた反応混合物を減圧下で原油として直接濃縮乾固した。結果として得られた油状物をそれぞれ5mLのトルエンおよび5mLのDCMと共蒸発させて、128のトリフルオロ酢酸塩を無色油状物として得た:収量114mg(100%);シリカゲルTLC Rf 0.42(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 2.10‐2.30 (m, 1H), 2.40‐2.60 (m, 1H), 3.20‐3.54 (m, 2H), 4.04 (m AB system, 1H), 4.15‐4.16 (m, 1H), 5.10 (s, 2H), 7.26‐7.38 (m, 5H) および8.43 (br s, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 23.7, 44.5, 45.0, 50.8, 67.4, 128.4, 128.58, 128.63, 134.9, 167.8, 170.40および170.42。
【0205】
【化32】
(S)-2-(3-アミノ-2-オキソピロリジン-1-イル)酢酸(123)。
5mLの95%EtOH中の114mg(0.33mmol)の128の溶液を、事前にN2でパ-ジしたボトルに導入した。次いで、20.0mgの10%Pd/Cを添加した。前記ボトルにバルーンを通してH2を充填し、室温で1時間撹拌した。触媒をセライト上で濾別し、EtOHで数回洗浄した。真空下で溶媒を除去して、123のトリフルオロ酢酸塩を無色固体として得た:収量84.0mg(100%);シリカゲルTLC Rf 0.22(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CD3OD) δ 2.05‐2.19 (m, 1H), 2.55‐2.67 (m, 1H), 3.47‐3.68 (m, 2H), 4.03‐4.22 (m, 3H)および5.04 (br s, 2H);13C NMR (CD3OD) δ 23.9, 43.7, 44.54, 50.4, 169.9および170.0。
【0206】
【化33】
(S)-シアノメチル2-(2-オキソ-3-(ペンタ-4-エナミド)ピロリジン-1-イル)アセテート(130)。
3mLの無水DMF中の84.0mg(0.33mmol)の123の溶液に、撹拌しながら135μL(106mg、0.82mmol)のDIPEAを加え、続いて97.0mg(0.49mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドを室温で加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を15mLのEtOAcおよび15mLの水で希釈し、次いで水相を別の15mLのEtOAcで抽出した。水相を油状物として減圧下で直接濃縮乾固した。結果として得られた油状物をそれぞれ5mLのトルエンおよび5mLのDCMと共蒸発させて、129を無色油状物として得た:収量52.0mg(65%);シリカゲルTLC Rf 0.75(5:1:1のDCM-MeOH-AcOH)。この物質をさらに精製することなく次に進めた。4mLの無水DMF中の52.0mg(0.21mmol)の129の溶液に、撹拌しながら136μL(99.0mg、0.98mmol)のEt3Nを添加し、続いて23.0μL(27.2mg、0.36mmol)のクロロアセトニトリルを室温で添加し、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を15mLの水で希釈し、次いで水相を15mLずつのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×2cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。80:1のDCM-MeOHで溶出して、130を無色の油状物として得た:収量6.00mg(2工程で7%);シリカゲルTLC Rf 0.25(40:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.52‐1.75 (m, 2H), 1.80‐2.00 (m, 1H), 2.24‐2.45 (m, 4H), 2.71‐2.84 (m, 1H), 3.32‐3.44 (m, 1H), 3.45‐3.56 (m, 1H), 4.02‐4.15 (m, 2H), 4.42 (dd, 1H, J = 14.1および9.5 Hz), 5.03 (dd, 2H, J = 24.9 and 13.6 Hz), 5.81 (dq, 1H, J = 11.0および6.2 Hz)および6.09 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 28.3, 29.4, 35.4, 44.4, 44.9, 48.9, 51.3, 52.4, 115.7, 136.8, 168.6, 172.9および173.0。
【0207】
【化34】
(S)-2-(2-オキソ-3-(ペンタ-4-エナミド)ピロリジン-1-イル)アセチル-pdCpA(131)。
100μLの9:1の無水DMF-Et3N中の6.00mg(21.5μmol)の130および7.00mg(5.13μmol)のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩を含有する溶液に、室温で12時間超音波処理を行った。その後、得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%→65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。約14.2分で溶出する画分を集め、合わせ、凍結乾燥して、131を凍結乾燥によって無色固体として得た:収量0.40mg(9%);質量スペクトル(ESI), m/z 857.2028 (M-H)- (C30H39N10O16P2はm/z 857.2026を必要とする)。
【0208】
【化35】
(S)-tert-ブチル(2-オキソピペリジン-3-イル)カルバメート(133)。
275mLの10mM濃度のDMF中の0.64g(2.75mmol)のBOC-L-ORN-OHの溶液に、1.22g(2.75mmol)のBOPおよび1.16g(20.0mmol)の重炭酸ナトリウムを添加した。室温で12時間撹拌した後、得られた混合物を減圧下で少量(約5mL)に濃縮した。濃縮した混合物を水および飽和重炭酸ナトリウム溶液(1:1、100mL)で希釈し、EtOAc100mLずつで3回抽出した。合わせた有機抽出物を300mLの水および300mLの塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して133を無色の固体として得た:収量0.37g(62%);シリカゲルTLC Rf 0.55(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.32 (s, 9H), 1.45‐1.64 (m, 1H), 1.65‐1.84 (m, 2H), 2.10‐2.30 (m, 1H), 3.15‐3.25 (m, 2H), 3.79‐4.05 (m, 1H), 5.62 (br s, 1H) および 6.99 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 27.7, 28.2, 36.56, 36.61, 41.5, 51.0, 79.5, 156.0 および172.3。
【0209】
【化36】
(S)-ベンジル2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-オキソピペリジン-1-イル)アセテート(134)。
10mLの無水THF中の134mg(3.36mmol)の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液)の懸濁液に、5mLの無水THF中の0.36gの133(1.68mmol)の溶液を加えた。得られた反応物を室温で15分間撹拌し、280μL(403mg、1.76mmol)のブロモ酢酸ベンジルを添加した。室温で5時間撹拌した後、30mLのEtOAcを加え、続いて20mLの水を加えた。有機相を塩水20mLで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して油性残渣を得た。前記残渣をシリカゲルカラム(10×2cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。3:1のヘキサン類-EtOAcで溶出し、134を無色油状物として得た:収量353mg(58%);シリカゲルTLC Rf 0.52(3:1のヘキサン類−EtOAc);1H NMR (CDCl3) δ 1.35 (s, 9H), 1.47‐1.63 (m, 1H), 1.75‐1.85 (m, 2H), 2.26‐2.38 (m, 1H), 3.17‐3.34 (m, 2H), 4.01 (m AB system, 2H), 3.93‐4.07 (m, 1H), 4.99‐5.11 (m, 2H), 5.43 (br s, 1H)および7.16‐7.31 (m, 5H);13C NMR (CDCl3) δ 20.8, 27.8, 28.3, 48.7, 48.9, 51.6, 66.8, 79.3, 128.2, 128.3, 128.5, 135.3, 155.8, 168.6および170.3。
【0210】
【化37】
(S)-ベンジル2-(3-アミノ-2-オキソピペリジン-1-イル)アセテート(135)。
4mLの0℃の無水DCM中の180mg(0.50mmol)の134の溶液に、撹拌しながら1.0mLのTFAを添加した。0℃で1時間撹拌した後、得られた反応混合物を減圧下油状物として直接濃縮乾固した。結果として得られた油状物をそれぞれ5mLのトルエンおよび5mLのDCMと共蒸発させて、135のトリフルオロ酢酸塩を無色の油状物として得た:180mg(100%);シリカゲルTLC Rf 0.52(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.73‐2.12 (m, 3H), 2.25‐2.45 (m, 1H), 3.15‐3.45 (m, 2H), 3.86‐3.99 (m, 1H), 4.09 (dd, 2H, J = 43.0および17.3 Hz), 5.12 (s, 2H), 7.25‐7.47 (m, 5H)および8.20 (br s, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 20.3, 21.4, 24.8, 48.8, 50.5, 67.3, 128.3, 128.5, 128.6, 167.5および168.4。
【0211】
【化38】
(S)-2-(3-アミノ-2-オキソピペリジン-1-イル)酢酸(124)。
5mLの95%EtOH中の180mg(0.50mmol)の135の溶液を、事前にN2でパージしたボトルに導入した。次いで、20.0mgの10%Pd/Cを添加した。前記ボトルにバルーンを通してH2を充填し、室温で1時間撹拌した。触媒をセライト上で濾別し、EtOHで数回洗浄した。溶媒を真空下で除去して粘性油として124のトリフルオロ酢酸塩を得た:収量135mg(100%);シリカゲルTLC Rf 0.42(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CD3OD) δ 1.79‐2.14 (m, 3H), 2.23‐2.38 (m, 1H), 3.35‐3.55 (m, 2H), 3.93 (dd, 1H, J = 11.8, 5.8 Hz), 4.10 (dd, 2H, J = 72.9, 17.5 Hz)および4.96 (br s, 2H);13C NMR (CD3OD) δ 20.1, 25.1, 48.1, 48.5, 49.9, 166.7および170.5。
【0212】
【化39】
(S)-シアノメチル2-(2-オキソ-3-(ペンタ-4-エナミド)ピペリジン-1-イル)アセテート(137)。
4mLの無水DMF中の135mg(0.50mmol)の124の溶液に、撹拌しながら207μL(162mg、1.25mmol)のDIPEAを添加し、続いて室温で147mg(0.75mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドを加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。前記混合物を15mLのEtOAcおよび15mLの水で希釈し、次いで水相を別の15mLのEtOAcで抽出した。水相を減圧下で直接濃縮乾固した。結果として得られた油状物をそれぞれ5mLのトルエンおよび5mLのDCMと共蒸発させて136を無色の油状物として得た:収量89.0mg(70%);シリカゲルTLC Rf 0.45(10:1:1のDCM-MeOH-AcOH)。この物質をそれ以上精製することなく次に進めた。4mLの無水DMF中の89.0mg(0.35 mmol)の136の溶液に、撹拌しながら230μL(168mg、1.66mmol)のEt3N、続いて39.0μL(46.0mg、0.61mmol)のクロロアセトニトリルを室温で加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を15mLの水で希釈し、次いで水相を15mLずつのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×2cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。80:1のDCM−MeOHで溶出し、137を無色の油状物として得た:収量33.0mg(2工程で23%);シリカゲルTLC Rf 0.45(60:3:2のDCM-MeOH-AcOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.50‐1.68 (m, 1H), 1.85‐2.10 (m, 2H), 2.25‐2.43 (m, 4H), 2.48‐2.62 (m, 1H), 3.29‐3.55 (m, 2H), 3.93 (d, 1H, J = 17.5 Hz), 4.27‐4.41 (m, 2H), 4.77 (q, 2H, J = 15.7 Hz), 4.92‐5.12 (m, 2H), 5.80 (dq, 1H, J = 10.7および6.3 Hz)および6.42 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 20.9, 27.3, 29.4, 35.7, 48.7, 48.9, 49.0, 50.9, 113.8, 115.5, 136.9, 167.5, 170.7および172.5。
【0213】
【化40】
(S)-2-(2-オキソ-3-(ペンタ-4-エナミド)ピペリジン-1-イル)アセチル-pdCpA(138)。
100μLの9:1の無水DMF-Et3N中の8.00mg(27.0μmol)の137および6.00mg(4.40μmol)のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩を含む溶液に、室温で12時間超音波処理を行った。その後、得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%→65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。約15.1分で溶出する画分を集め、合わせ、凍結乾燥して、138を凍結乾燥によって無色固体として得た:収量0.7mg(18%);質量スペクトル(ESI), m/z 871.2188 (M-H)- (C31H41N10O16P2はm/z 871.2183を必要とする)。
【0214】
【化41】
(S)-tert-ブチル(2-オキソアゼパン-3-イル)カルバメート(140)。
275mLの10mM濃度のDMF中の0.68g(2.75mmol)のBOC-L-LYS-OHの溶液に、1.22g(2.75mmol)のBOPおよび1.16g(20.0mmol)の重炭酸ナトリウムを添加した。室温で12時間撹拌した後、得られた混合物を減圧下で少量(約5mL)に濃縮した。濃縮した混合物を水および飽和重炭酸ナトリウム溶液(1:1、100mL)で希釈し、100mLずつのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物を200mLの水および200mLの塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得、100mLのエーテル中で粉砕して結晶化させ、濾過して140を無色の固体として得た:収量398mg(63%);mp140〜141℃;シリカゲルTLC Rf 0.75(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.40 (重複を伴うs, 9H), 1.29‐1.58 (重複を伴うm, 2H), 1.63‐1.88 (m, 2H), 1.87‐2.12 (m, 2H), 3.16‐3.28 (m, 2H), 4.20‐4.32 (m, 1H), 5.88 (br s, 1H)および6.68 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 28.1, 28.4, 28.8, 32.2, 42.1, 53.2, 79.4, 155.1および175.9。
【0215】
【化42】
(S)-ベンジル2-(3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-オキソアゼパン-1-イル)アセテート(141)。
5mLの無水THF中の417mg(1.83mmol)の140の溶液を、10mLの無水THF中の147mg(3.65mmol)の水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液)の懸濁液に添加した。得られた反応物を室温で15分間撹拌し、304μL(440mg、1.92mmol)のブロモ酢酸ベンジルを添加した。室温で5時間撹拌した後、30mLのEtOAcを加え、続いて20mLの水を加えた。有機相を20mLの塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラム(10×2cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。6:1のヘキサン類−EtOAcで溶出し、141を無色の油状物として得た:収量497.0mg(72%);シリカゲルTLC Rf 0.72(1:1のヘキサン類−EtOAc);1H NMR (CDCl3) δ 1.34 (s, 9H), 1.42‐1.55 (m, 2H), 1.57‐1.74 (m, 2H), 1.73‐2.01 (m, 2H), 2.98‐3.14 (m, 1H), 3.42‐3.60 (m, 1H), 4.09 (q, 2H, J = 17.4 Hz), 4.24‐4.40 (m, 1H), 4.95‐5.13 (m, 2H), 5.85‐5.90 (m, 2H)および7.15‐7.34 (m, 5H);13C NMR (CDCl3) δ 26.9, 27.8, 28.3, 32.2, 50.5, 50.8, 53.3, 66.8, 79.1, 128.2, 128.3, 128.5, 135.3, 155.0, 168.9および173.5。
【0216】
【化43】
(S)-ベンジル2-(3-アミノ-2-オキソアゼパン-1-イル)アセテート(142)。
6mLの0℃の無水DCM中の160mg(0.43mmol)の141の溶液に、撹拌しながら1.0mLのTFAを添加した。0℃で1時間撹拌した後、得られた反応混合物を減圧下油状物として直接濃縮乾固した。結果として得られた油状物をそれぞれ5mLのトルエンおよび5mLのDCMと共蒸発させて、142のトリフルオロ酢酸塩を無色の油状物として得た:収量160mg(100%);シリカゲルTLC Rf 0.18(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.47‐1.82 (m, 4H), 1.85‐1.96 (m, 1H), 2.05‐2.10 (m, 1H), 3.03‐3.19 (m, 1H), 3.50‐3.70 (m, 1H), 4.13 (m AB system, 2H), 4.29‐4.40 (m, 1H), 5.10 (s, 2H), 7.27‐7.37 (m, 5H)および8.10‐8.30 (br s, 2H);13C NMR (CDCl3) δ 26.3, 26.9, 28.3, 50.5, 51.1, 53.6, 67.3, 128.4, 128.5, 128.6, 135.1, 168.8および171.4。
【0217】
【化44】
(S)-2-(3-アミノ-2-オキソアゼパン-1-イル)酢酸(125)。
5mLの95%EtOH中の160mg(0.43mmol)の142の溶液を、事前にN2でパージしたボトルに入れた。次いで、20.0mgの10%Pd/Cを添加した。前記ボトルにバルーンを通してH2を充填し、室温で1時間撹拌した。触媒をセライト上で濾別し、EtOHで数回洗浄した。溶媒を真空下で除去して、125のトリフルオロ酢酸塩を無色固体として得た:収量122mg(100%);mp182〜184℃;シリカゲルTLC Rf 0.05(10:1のDCM-MeOH);1H NMR (CD3OD) δ 1.62‐1.86 (m, 4H), 1.88‐2.10 (m, 2H), 3.36 (dd, 1H, J = 15.6および4.4 Hz), 3.62‐3.73 (m, 1H), 4.18 (s, 2H), 4.26‐4.34 (m, 1H)および4.87 (br s, 2H);13C NMR (CD3OD) δ 26.3, 26.9, 28.5, 49.8, 50.1, 53.0, 170.6および170.9。
【0218】
【化45】
(S)-シアノメチル2-(2-オキソ-3-(ペンタ-4-エナミド)アゼパン-1-イル)アセテート(144)。
3mLの無水DMF中の61.0mg(0.22mmol)の125の溶液に、撹拌しながら90.0μL(70.0mg、0.55mmol)のDIPEA、続いて室温で64.0mg(0.32mmol)の4-ペンテノイルオキシスクシンイミドを加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。前記混合物を15mLのEtOAcおよび15mLの水で希釈し、次いで水相を別の15mLのEtOAcで抽出した。水相を減圧下で直接濃縮乾固した。結果として得られた油状物をそれぞれ5mLのトルエンおよび5mLのDCMと共蒸発させて143を無色の油状物として得た:収量50.0mg(85%);シリカゲルTLC Rf 0.10(60:3:2のDCM-MeOH-AcOH)。この物質をさらに精製することなく次に進めた。3mLの無水DMF中の50.0mg(0.19mmol)の143の溶液に、撹拌しながら90.0μL(66.0mg、0.65mmol)のEt3Nを加え、続いて室温で25.0μL(30.0mg、0.40mmol)のクロロアセトニトリルを加え、得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。得られた混合物を10mLの水で希釈し、次いで水相を10mLずつのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して残渣を得た。前記残渣をシリカゲルカラム(10×2cm)でのクロマトグラフィーにより精製した。50:1のDCM-MeOHで溶出して、144を無色油状物として得た:収量14.0mg(2工程で21%);シリカゲルTLC Rf 0.45(40:1のDCM-MeOH);1H NMR (CDCl3) δ 1.40‐1.70 (m, 2H), 1.75‐2.10 (m, 4H), 2.22‐2.45 (m, 4H), 3.15‐3.30 (m, 1H), 3.64‐3.80 (m, 1H), 4.24 (dd, 2H, J = 41.4および17.6 Hz), 4.64‐4.71 (m, 1H), 4.75‐4.81 (m, 2H), 4.95‐5.12 (m, 2H), 5.73‐5.87 (m, 1H) および6.85 (br s, 1H);13C NMR (CDCl3) δ 27.0, 27.7, 29.4, 31.8, 35.7, 48.8, 50.6, 51.0, 52.3, 113.8, 115.5, 136.8, 167.7, 171.3および173.9。
【0219】
【化46】
(S)-2-(2-オキソ-3-(ペンタ-4-エナミド)アゼパン-1-イル)アセチル-pdCpA(145)。
100μLの9:1の無水DMF-Et3N中の14.0mg(45.5μmol)の144および15.5mg(11.4μmol)のpdCpAテトラブチルアンモニウム塩を含有する溶液に、室温で12時間超音波処理を行った。その後、得られた反応混合物を50mM酢酸アンモニウム、pH4.5中の1%→65%アセトニトリルの勾配を用いてC18逆相HPLC(250×10mm)により45分間かけて精製した。約16.8分で溶出する画分を集め、合わせ、凍結乾燥して、145を凍結乾燥によって無色固体として得た:収量3.8mg(38%);質量スペクトル(ESI), m/z 885.2342 (M-H)- (C32H43N10O16P2はm/z 885.2339を必要とする)。
【0220】
修飾リボソームを用いたDHFR)中の環状ペプチド模倣体131、138および145の組込み。
3つの環状ペプチド模倣体をDHFRの49の位置に組み込んだ(pETDH49プラスミド)。群1に属するクローン010328R4のS-30システム(表1)を調製した。野生型遺伝子(pETDHwtプラスミド)からのDHFR合成と比較して抑制効率を表した。陰性および陽性対照として、非アシル化tRNACUAおよびフェニルアラニンでアシル化されたtRNACUAの存在下での全長DHFR合成を測定した(図14)。環状ペプチド模倣体145については、全長DHFR合成の最高レベル(野生型と比較して11〜13%)が証明された。他の2つの化合物は抑制効率が約1.5〜2倍低かった(7〜9および5〜6%)。
【0221】
49の位置に環状ペプチド模倣体145を伴うDHFRのタンパク質分解安定性を研究した。インビトロ翻訳中にDHFR(wtおよび変異体)の2つの試料を調製し、Ni-NTAクロマトグラフィーで精製し、続いてAmicon Ultra 10K濾過装置を用いた脱塩/濃縮手順で精製した。両試料をGluCエンドプロテイナーゼの存在下でインキュベートし、Tris-Tricineゲル電気泳動により分析した(図15)。消化後の49の位置に環状ペプチド模倣体を有するDHFR試料は、約7kDの分子量を有する1つの断片、すなわち予想される断片(18〜80個のアミノ酸)に対応する断片のみを示すことが見出された。小さな断片(約3〜4kD)は見られなかった。タンパク質の非特異的消化を活性化し得る、大過剰の酵素を用いた。したがって、野生型対照にはいくつかのバンドが含まれていた。得られた修飾タンパク質中にこれらのバンドが存在しないことにより、そのより高い安定性のさらなる証拠が示される。
【0222】
【化47】
本明細書中に記載される方法および材料を考慮して、当業者は、23S rRNAにおける配列修飾が、以下の表1〜3に見出されるものに限定されず、表5に示す任意の組み合わせおよび置換が包含され得ることを容易に理解する。
【表1】
【表2】
【表3】
a 対応する修飾リボソームを有するS-30システムを用いて翻訳された野生型DHFRの量は、任意に100の値を割り当てた。各アミノ酸の抑制効率は、野生型DHFRの量に対して計算した。
b 野生型DHFR合成の量に対するアンバー停止コドンの非特異的読取り。
c 各数字は3つの独立した実験の平均±S.Dを表す。
d 単一の実験を行った。
N.T.=試験されていない
【表4】
a 対応する修飾リボソームを有するS-30システムを用いて翻訳された野生型DHFRの量は、任意に100の値を割り当てた。各ジペプチド模倣体の抑制効率は、野生型DHFRの量に対して計算した。
b 野生型DHFR合成の量に対するアンバー停止コドンの非特異的読取り。
c 各数字は3つの独立した実験の平均±S.Dを表す。
d 単一の実験を行った。
N.T.=試験されていない
【表5】
【表6】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55A】
【化55B】
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【0223】
参照文献
(1) Dedkova, L. M.; Fahmi, N. E.; Paul, R.; del Rosario, M.; Zhang, L.; Chen, S.; Feder, G.; Hecht, S. M. Biochemistry 2012, 51, 401.
(2) Maini, R.; Nguyen, D. T.; Chen, S.; Dedkova, L. M.; Chowdhury, S. R.; Alcala-Torano, R.; Hecht, S. M. Bioorg. Med. Chem. 2013, 21, 1088.
(3) Robertson, S. A.; Noren, C. J.; Anthony-Cahill, S. J.; Griffith, M. C.; Schultz, P. G. Nucleic Acids Res. 1989, 17, 9649.
(4) Lodder, M.; Golovine, S.; Hecht, S. M. J. Org. Chem. 1997, 62, 778.
(5) Lodder, M.; Golovine, S.; Laikhter, A. L.; Karginov, V. A.; Hecht, S. M. J. Org. Chem. 1998, 63, 794.
(6) Polacek, N.; Mankin, A. S. Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 2005, 40, 285.
(7) Wang, B.; Zhou, J.; Lodder, M.; Anderson, R. D.,3rd; Hecht, S. M. J. Biol. Chem. 2006, 281, 13865.
(8) Huynh, M. L.; Russell, P.; Walsh, B. Methods Mol. Biol. 2009, 519, 507.
【0224】
上述の実施形態は、限定を意図するものではない。本明細書中に引用される全ての刊行物はその全体が参照により援用される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15