特許第6807927号(P6807927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807927
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】再生装置及び再生方法
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20201221BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H04S7/00 300
   H04R3/00
【請求項の数】13
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2018-533305(P2018-533305)
(86)(22)【出願日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2016073265
(87)【国際公開番号】WO2018029740
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】特許業務法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 大将
【審査官】 大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−027552(JP,A)
【文献】 特開2009−044263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 7/00
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行楽曲と後続楽曲とのクロスフェード再生を行う再生装置であって、
前記先行楽曲及び前記後続楽曲の音のそれぞれから、予め定められた複数の定位領域の対応音成分を抽出する抽出部と;
前記先行楽曲及び前記後続楽曲の対応音成分の対についてのフェードアウト処理及びフェードイン処理を、前記定位領域ごとに行うクロスフェード処理を実行するクロスフェード処理部と;
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記複数の定位領域は、中央定位領域及び非中央定位領域である、ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第1期間の第1期間長は、前記非中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第2期間の第2期間長より短く、
前記第1期間が前記第2期間内の期間であり、
前記非中央定位領域に関するフェードアウト処理は、前記非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了する、
ことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記先行楽曲の終盤部分における前記中央定位領域に関する対応音成分の第1解析情報、及び、前記後続楽曲の先頭部分の前記中央定位領域に関する対応音成分の第2解析情報、並びに、前記先行楽曲の終盤部分における前記非中央定位領域に関する対応音成分の第3解析情報、及び、前記後続楽曲の先頭部分における前記非中央定位領域に関する対応音成分の第4解析情報を記憶する記憶部と;
前記第1解析情報及び前記第2解析情報に基づいて、前記中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第1期間における前記中央定位領域に関する対応音成分の対に対する前記クロスフェード処理部による処理態様を決定するとともに、前記第3解析情報及び前記第4解析情報に基づいて、前記非中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第2期間における前記非中央定位領域に関する対応音成分の対に対する前記クロスフェード処理部による処理態様を決定する決定部と;を更に備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項5】
前記第1〜4解析情報を作成する作成部を更に備える、ことを特徴とする請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記第1〜4解析情報は、音色情報であり、
前記決定部は、
前記第1解析情報と前記第2解析情報とを比較して得られる第1音色類似度に基づいて、前記中央定位領域に関する前記第1期間における前記クロスフェード処理部による処理態様を決定し、
前記第3解析情報と前記第4解析情報とを比較して得られる第2音色類似度に基づいて、前記非中央定位領域に関する前記第2期間における前記クロスフェード処理部による処理態様を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の再生装置。
【請求項7】
前記第1音色類似度が第1閾値未満であり、かつ、前記第2音色類似度が第2閾値以上の場合には、
前記クロスフェード処理部は、
前記第1期間の第1期間長を前記第2期間の第2期間長より短くし、
前記中央定位領域に関するフェードアウト処理は、前記中央定位領域に関するフェードイン処理の開始前に終了し、
前記非中央定位領域に関するフェードアウト処理は、前記非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了する、
ことを特徴とする請求項6に記載の再生装置。
【請求項8】
前記第1音色類似度が第3閾値以上であり、かつ、前記第2音色類似度が第4閾値未満の場合には、
前記クロスフェード処理部は、
前記第1期間の第1期間長を前記第2期間の第2期間長より長くし、
前記中央定位領域に関するフェードアウト処理は、前記中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了し、
前記非中央定位領域に関するフェードアウト処理は、前記非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始前に終了する、
ことを特徴とする請求項6に記載の再生装置。
【請求項9】
前記先行楽曲及び前記後続楽曲は、ステレオ楽曲であり、
前記中央定位領域の音成分は、前記ステレオ楽曲のステレオ和信号の音成分であり、
前記非中央定位領域の音成分は、前記ステレオ楽曲のステレオ差信号の音成分である、
ことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項10】
前記複数の定位領域は、中央定位領域を含み、
前記先行楽曲及び前記後続楽曲は、サラウンド楽曲であり、
前記中央定位領域の音成分は、前記サラウンド楽曲のセンタチャンネル信号の音成分が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項11】
抽出部と、クロスフェード処理部とを備え、先行楽曲と後続楽曲とのクロスフェード再生を行う再生装置において使用される再生方法であって、
前記抽出部が、前記先行楽曲及び前記後続楽曲の音のそれぞれから、予め定められた複数の定位領域の対応音成分を抽出する抽出工程と;
前記先行楽曲及び前記後続楽曲の対応音成分の対についてのフェードアウト処理及びフェードイン処理を、前記定位領域ごとに行うクロスフェード処理を、前記クロスフェード処理部が実行するクロスフェード処理工程と;
を備えることを特徴とする再生方法。
【請求項12】
再生装置が有するコンピュータに、請求項11に記載の再生方法を実行させる、ことを特徴とする再生プログラム。
【請求項13】
再生装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項12に記載の再生プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置、再生方法、再生プログラム、及び、当該再生プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、楽曲コンテンツを再生する再生装置が広く普及している。こうした再生装置の中には、先行して再生される先行楽曲、及び、当該先行楽曲に続いて再生される後続楽曲の継ぎ目を聴覚的に目立たなくなるようにするため、先行楽曲の終盤部分の音量を徐々に小さくしていくフェードアウト処理を行いながら、後続楽曲の先頭部分の音量を徐々に大きくしていくフェードイン処理を行うクロスフェード再生を実行する再生装置がある。
【0003】
楽曲のクロスフェード再生は、先行楽曲の終盤部分と、後続楽曲の先頭部分とを同時に再生する。このため、同時に再生される楽曲部分の特徴の違い等から、クロスフェード期間において、聴感上の違和感が発生することがある。そこで、クロスフェード再生において、聴感上の違和感の発生を抑制する技術が提案されている。
【0004】
こうした提案技術の一つとして、音声を周波数帯域ごとの音成分に分けて、各周波数帯域の音成分ごとにクロスフェード再生を行う技術がある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、クロスフェード期間における先行楽曲のビートパターン及び後続楽曲のビートパターンの違いによる聴感上の違和感の発生を抑制するため、先行楽曲のフェードアウト処理及び後続楽曲のフェードイン処理を行う際に、先行楽曲及び後続楽曲の低域周波数成分の合計レベルを、先行楽曲及び後続楽曲の中域周波数成分の合計レベル、並びに、先行楽曲及び後続楽曲の高域周波数成分の合計レベルよりも小さくするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−27552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば、先行楽曲及び後続楽曲がステレオ楽曲であるとする。そして、先行楽曲はギター演奏がメインの楽曲であり、後続楽曲はベース演奏がメインの楽曲であるとする。この場合には、先行楽曲の中央定位領域に関する音成分はギター演奏となり、後続楽曲の中央定位領域に関する音成分はベース演奏となる。そして、このときには、先行楽曲の中央定位の音成分の音色と、後続楽曲の中央定位の音成分の音色とは、異なっている。こうした先行楽曲及び後続楽曲について、従来例の技術を適用してクロスフェード再生を行うと、クロスフェード期間において、中央定位の音成分として、ギター演奏とベース演奏との双方が聴こえ、音楽的な調和が崩れることがある。この結果、従来例の技術では、ステレオ楽曲やサラウンド楽曲等の複数チャンネルの楽曲についてクロスフェード再生を行った場合に、クロスフェード期間において、聴感上の違和感が発生する可能性がある。
【0007】
このため、複数チャンネルの楽曲に対してクロスフェード再生を行ったときに、クロスフェード期間において、聴感上の違和感の発生を抑制することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、先行楽曲と後続楽曲とのクロスフェード再生を行う再生装置であって、前記先行楽曲及び前記後続楽曲の音のそれぞれから、予め定められた複数の定位領域の対応音成分を抽出する抽出部と;前記先行楽曲及び前記後続楽曲の対応音成分の対についてのフェードアウト処理及びフェードイン処理を、前記定位領域ごとに行うクロスフェード処理を実行するクロスフェード処理部と;を備えることを特徴とする再生装置である。
【0009】
請求項11に記載の発明は、抽出部と、クロスフェード処理部とを備え、先行楽曲と後続楽曲とのクロスフェード再生を行う再生装置において使用される再生方法であって、前記抽出部が、前記先行楽曲及び前記後続楽曲の音のそれぞれから、予め定められた複数の定位領域の対応音成分を抽出する抽出工程と;前記先行楽曲及び前記後続楽曲の対応音成分の対についてのフェードアウト処理及びフェードイン処理を、前記定位領域ごとに行うクロスフェード処理を、前記クロスフェード処理部が実行するクロスフェード処理工程と;を備えることを特徴とする再生方法である。
【0010】
請求項12に記載の発明は、再生装置が有するコンピュータに、請求項11に記載の再生方法を実行させる、ことを特徴とする再生プログラムである。
【0011】
請求項13に記載の発明は、再生装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項12に記載の再生プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図2図1の音源ユニットに記憶される楽曲コンテンツ情報の内容を説明するための図である。
図3図1のデジタル処理ユニットの構成を示すブロック図である。
図4図1の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
図5図4の記憶部に記憶される録音時間情報の内容を説明するための図である。
図6図4の記憶部に記憶されるクロスフェード処理情報の内容を説明するための図である。
図7図6の第1期間処理情報及び第2期間処理情報について説明するための図である。
図8】楽曲再生計画の内容を説明するための図である。
図9】第1実施形態におけるクロスフェード再生処理を説明するための図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る再生装置における制御ユニットの構成を示すブロック図である。
図11図10の記憶部に記憶される解析情報の内容を説明するための図である。
図12図10の記憶部に記憶されるクロスフェード処理情報の内容を説明するための図である。
図13】第2実施形態におけるクロスフェード再生処理を説明するための図(その1)である。
図14】第2実施形態におけるクロスフェード再生処理を説明するための図(その2)である。
【符号の説明】
【0013】
100A,100B … 再生装置
131,132 … 抽出部
133 … クロスフェード処理部
191B … 記憶部
192B … 再生制御部(作成部、決定部)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を、図1図9を参照して説明する。
【0016】
<構成>
図1には、第1実施形態に係る再生装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。第1実施形態では、再生装置100Aは、2チャンネルステレオ方式の音響信号に対する再生処理を行うものとする。ここで、2チャンネルステレオ方式の音響信号とは、レフトチャンネル(以下、「Lチャンネル」とも記す)及びライトチャンネル(以下、「Rチャンネル」とも記す)の2チャンネル構成の音響信号をいうものとする。
【0017】
再生装置100Aは、図1に示されるように、音源ユニット110と、楽曲供給ユニット121,122と、デジタル処理ユニット130とを備えている。また、再生装置100Aは、アナログ処理ユニット150と、スピーカユニット160L,160Rと、入力ユニット180とを備えている。さらに、再生装置100Aは、制御ユニット190Aを備えている。
【0018】
上記の音源ユニット110は、不揮発性の記憶素子を備えて構成される。当該音源ユニット110は、楽曲コンテンツ情報MCDを記憶する。
【0019】
上記の楽曲コンテンツ情報MCDには、図2に示されるように、楽曲コンテンツ情報#1,#2,…,#Pが含まれている。当該楽曲コンテンツ情報#p(p=1,2,…,P)には、楽曲コンテンツ識別子#p、楽曲音データ#p及び録音時間#pが含まれる。第1実施形態では、再生装置100Aは、楽曲#1、楽曲#2、…、楽曲#Pの順番で、楽曲の再生を行うようになっている。
【0020】
図1に戻り、上記の楽曲供給ユニット121は、制御ユニット190Aから送られた再生指令PC1に従って、音源ユニット110から、指定された楽曲の楽曲音データを楽曲信号MD1として読み取る。そして、楽曲供給ユニット121は、当該楽曲信号MD1から楽曲Lチャンネル信号L1及び楽曲Rチャンネル信号R1を生成する。生成された楽曲Lチャンネル信号L1及び楽曲Rチャンネル信号R1は、デジタル処理ユニット130へ送られる。
【0021】
上記の楽曲供給ユニット122は、制御ユニット190Aから送られた再生指令PC2に従って、音源ユニット110から、指定された楽曲の楽曲音データを楽曲信号MD2として読み取る。そして、楽曲供給ユニット122は、当該楽曲信号MD2から楽曲Lチャンネル信号L2及び楽曲Rチャンネル信号R2を生成する。生成された楽曲Lチャンネル信号L2及び楽曲Rチャンネル信号R2は、デジタル処理ユニット130へ送られる。
【0022】
ここで、楽曲供給ユニット121及び楽曲供給ユニット122は、制御ユニット190Aによる制御のもとで、音源ユニット110から、楽曲音データを交互に読み取り、楽曲Lチャンネル信号及び楽曲Rチャンネル信号を生成するようになっている。例えば、楽曲供給ユニット121が、再生順番が1番の楽曲音データを読み取った場合には、楽曲供給ユニット122が、再生順番が2番の楽曲音データを読み取り、楽曲供給ユニット121が、再生順番が3番の楽曲音データを読み取るようになっている。
【0023】
上記のデジタル処理ユニット130は、楽曲供給ユニット121から送られた楽曲Lチャンネル信号L1(以下、「信号L1」とも記す)及び楽曲Rチャンネル信号R1(以下、「信号R1」とも記す)を受ける。また、デジタル処理ユニット130は、楽曲供給ユニット122から送られた楽曲Lチャンネル信号L2(以下、「信号L2」とも記す)及び楽曲Rチャンネル信号R2(以下、「信号R2」とも記す)を受ける。
【0024】
そして、デジタル処理ユニット130は、信号L1及び信号R1、並びに、信号L2及び信号R2に基づいて楽曲のクロスフェード再生処理等を行い、再生用楽曲Lチャンネル信号CLD及び再生用楽曲Rチャンネル信号CRDを生成する。生成された再生用楽曲Lチャンネル信号CLD(以下、「再生用Lチャンネル信号CLD」とも記す)及び再生用楽曲Rチャンネル信号CRD(以下、「再生用Rチャンネル信号CRD」とも記す)は、アナログ処理ユニット150へ送られる。デジタル処理ユニット130の構成の詳細については、後述する。
【0025】
上記のアナログ処理ユニット150は、デジタル処理ユニット130から送られた再生用Lチャンネル信号CLD及び再生用Rチャンネル信号CRDを受ける。そして、アナログ処理ユニット150は、再生用Lチャンネル信号CLDに基づいて出力音信号AOSLを生成し、再生用Rチャンネル信号CRDに基づいて出力音信号AOSRを生成する。
【0026】
かかる機能を有するアナログ処理ユニット150は、DA(Digital to Analogue)変換部と、音量調整部と、パワー増幅部とを備えて構成される。ここで、DA変換部は、デジタル処理ユニット130から送られた再生用Lチャンネル信号CLD及び再生用Rチャンネル信号CRDを受ける。そして、DA変換部は、再生用Lチャンネル信号CLD及び再生用Rチャンネル信号CRDをアナログ信号に変換する。なお、DA変換部は、Lチャンネル及びRチャンネルに対応して、互いに同様に構成された2個のDA変換器を備えている。DA変換部によるアナログ変換結果は音量調整部へ送られる。
【0027】
音量調整部は、DA変換部から送られたLチャンネル及びRチャンネルのアナログ変換結果の信号を受ける。そして、音量調整部は、Lチャンネル及びRチャンネルのそれぞれに対応するアナログ変換結果の信号に対して音量調整処理を施す。なお、音量調整部は、Lチャンネル及びRチャンネルに対応して、互いに同様に構成された2個の電子ボリューム素子等を備えて構成されている。音量調整部による音量調整結果の信号は、パワー増幅部へ送られる。
【0028】
パワー増幅部は、音量調整部から送られたLチャンネル及びRチャンネルの音量調整結果の信号を受ける。そして、パワー増幅部は、音量調整結果の信号をパワー増幅して、出力音信号AOSL及び出力音信号AOSRを生成する。生成された出力音信号AOSLは、スピーカユニット160Lへ送られる。また、生成された出力音信号AOSRは、スピーカユニット160Rへ送られる。
【0029】
上記のスピーカユニット160Lは、アナログ処理ユニット150から送られた出力音信号AOSLを受ける。そして、スピーカユニット160Lは、出力音信号AOSLに従って、音声を再生出力する。
【0030】
上記のスピーカユニット160Rは、アナログ処理ユニット150から送られた出力音信号AOSRを受ける。そして、スピーカユニット160Rは、出力音信号AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0031】
上記の入力ユニット180は、再生装置100Aの本体部に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。入力ユニット180への入力結果は、入力データIPDとして制御ユニット190Aへ送られる。
【0032】
上記の制御ユニット190Aは、様々な処理を行うとともに、再生装置100Aの全体の動作を制御する。制御ユニット190Aの構成の詳細については、後述する。
【0033】
《デジタル処理ユニット130の構成》
デジタル処理ユニット130の構成について説明する。
【0034】
デジタル処理ユニット130は、図3に示されるように、抽出部131,132と、クロスフェード処理部133とを備えている。また、デジタル処理ユニット130は、ステレオ信号抽出部135,136と、信号加算部137L,137Rとを備えている。
【0035】
上記の抽出部131は、楽曲供給ユニット121から送られた信号L1及び信号R1を受ける。そして、抽出部131は、次の(1)式により、楽曲信号MD1から中央定位領域に関する音成分の信号M1を抽出する。また、抽出部131は、次の(2)式により、楽曲信号MD1から非中央定位領域に関する音成分の信号S1を抽出する。
M1=(L1+R1)/2 …(1)
S1=(L1−R1)/2 …(2)
そして、抽出部131は、信号M1及び信号S1をクロスフェード処理部133へ送る。
【0036】
上記の抽出部132は、楽曲供給ユニット122から送られた信号L2及び信号R2を受ける。そして、抽出部132は、次の(3)式により、楽曲信号MD2から中央定位領域に関する音成分の信号M2を抽出する。また、抽出部132は、次の(4)式により、楽曲信号MD2から非中央定位領域に関する音成分の信号S2を抽出する。
M2=(L2+R2)/2 …(3)
S2=(L2−R2)/2 …(4)
そして、抽出部132は、信号M2及び信号S2をクロスフェード処理部133へ送る。
【0037】
上記のクロスフェード処理部133は、楽曲信号MD1と楽曲信号MD2とのクロスフェード処理を行う。かかる機能を有するクロスフェード処理部133は、第1処理部211と、第2処理部212と、第3処理部213と、第4処理部214とを備えている。
【0038】
上記の第1処理部211は、抽出部131から送られた信号M1を受ける。そして、第1処理部211は、制御ユニット190Aから送られた第1利得指令XC1に従って、信号M1に指定された利得を乗じて信号MX1を生成する。生成された信号MX1は、ステレオ信号抽出部135へ送られる。
【0039】
上記の第2処理部212は、抽出部131から送られた信号S1を受ける。そして、第1処理部212は、制御ユニット190Aから送られた第2利得指令XC2に従って、信号S1に指定された利得を乗じて信号SX1を生成する。生成された信号SX1は、ステレオ信号抽出部135へ送られる。
【0040】
上記の第3処理部213は、抽出部132から送られた信号M2を受ける。そして、第3処理部213は、制御ユニット190Aから送られた第3利得指令XC3に従って、信号M2に指定された利得を乗じて信号MX2を生成する。生成された信号MX2は、ステレオ信号抽出部136へ送られる。
【0041】
上記の第4処理部214は、抽出部132から送られた信号S2を受ける。そして、第4処理部214は、制御ユニット190Aから送られた第4利得指令XC4に従って、信号S2に指定された利得を乗じて信号SX2を生成する。生成された信号SX2は、ステレオ信号抽出部136へ送られる。
【0042】
上記のステレオ信号抽出部135は、第1処理部211から送られた信号MX1を受ける。また、ステレオ信号抽出部135は、第2処理部212から送られた信号SX1を受ける。そして、ステレオ信号抽出部135は、次の(5)式により、Lチャンネルの信号LC1を抽出する。また、ステレオ信号抽出部135は、次の(6)式により、Rチャンネルの信号RC1を抽出する。
LC1=(MX1+SX1)/2 …(5)
RC1=(MX1−SX1)/2 …(6)
そして、ステレオ信号抽出部135は、信号LC1を信号加算部137Lへ送る。また、ステレオ信号抽出部135は、信号RC1を信号加算部137Rへ送る。
【0043】
上記のステレオ信号抽出部136は、第3処理部213から送られた信号MX2を受ける。また、ステレオ信号抽出部136は、第4処理部214から送られた信号SX2を受ける。そして、ステレオ信号抽出部136は、次の(7)式により、Lチャンネルの信号LC2を抽出する。また、ステレオ信号抽出部136は、次の(8)式により、Rチャンネルの信号RC2を抽出する。
LC2=(MX2+SX2)/2 …(7)
RC2=(MX2−SX2)/2 …(8)
そして、ステレオ信号抽出部136は、信号LC2を信号加算部137Lへ送る。また、ステレオ信号抽出部136は、信号RC2を信号加算部137Rへ送る。
【0044】
上記の信号加算部137Lは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号LC1を受ける。また、信号加算部137Lは、ステレオ信号抽出部136から送られた信号LC2を受ける。そして、信号加算部137Lは、信号LC1及び信号LC2を加算して、再生用楽曲Lチャンネル信号CLDを生成する。生成された再生用楽曲Lチャンネル信号CLDは、アナログ処理ユニット150へ送られる。
【0045】
上記の信号加算部137Rは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号RC1を受ける。また、信号加算部137Rは、ステレオ信号抽出部136から送られた信号RC2を受ける。そして、信号加算部137Rは、信号RC1及び信号RC2を加算して、再生用楽曲Rチャンネル信号CRDを生成する。生成された再生用楽曲Rチャンネル信号CRDは、アナログ処理ユニット150へ送られる。
【0046】
《制御ユニット190Aの構成》
制御ユニット190Aの構成について説明する。
【0047】
制御ユニット190Aは、図4に示されるように、記憶部191Aと、再生制御部192Aとを備えている。
【0048】
上記の記憶部191Aは、不揮発性の記憶素子を備えて構成される。第1実施形態では、記憶部191Aには、録音時間情報RTI及びクロスフェード処理情報XFAが含まれる。
【0049】
上記の録音時間情報RTIには、図5に示されるように、録音時間情報#p(p=1,2,…,P)が含まれている。当該録音時間情報#p(p=1,2,…,P)には、楽曲#pの楽曲コンテンツ識別子#p及び録音時間#pが含まれる。当該録音時間情報RTIは、再生制御部192Aにより作成され、記憶部191A内に格納される。
【0050】
上記のクロスフェード処理情報XFAには、図6に示されるように、第1期間処理情報XFA1と第2期間処理情報XFA2とが含まれている。
【0051】
上記の第1期間処理情報XFA1は、中央定位領域に関する音成分(信号M1,M2)についての、先行楽曲のフェードアウト処理の開始から後続楽曲のフェードイン処理の終了までの第1期間(以下、単に「第1期間」とも記す)の処理態様に関する情報である。また、上記の第2期間処理情報XFA2は、非中央定位領域に関する音成分(信号S1,S2)についての、先行楽曲のフェードアウト処理の開始から後続楽曲のフェードイン処理の終了までの第2期間(以下、単に「第2期間」とも記す)の処理態様に関する情報である。
【0052】
ここで、第1期間処理情報XFA1には、中央定位領域に関する音成分についての第1期間の処理に関する次の(a1)〜(g1)の情報が含まれている。
(a1)ΔToutMID,START:フェードアウトの開始時間情報
(b1)ΔToutMID,END :フェードアウトの終了時間情報
(c1)GoutMID :フェードアウトの利得情報
(d1)ΔTinMID,START :フェードインの開始時間情報
(e1)ΔTinMID,END :フェードインの終了時間情報
(f1)GinMID :フェードインの利得情報
(g1)ΔT : (先行楽曲の終了時刻tPR,end
−(後続楽曲の開始時刻tSU,start
【0053】
また、第2期間処理情報XFA2には、非中央定位領域に関する音成分についての第2期間の処理に関する次の(a2)〜(g2)の情報が含まれている。
(a2)ΔToutSIDE,START :フェードアウトの開始時間情報
(b2)ΔToutSIDE,END :フェードアウトの終了時間情報
(c2)GoutSIDE :フェードアウトの利得情報
(d2)ΔTinSIDE,START :フェードインの開始時間情報
(e2)ΔTinSIDE,END :フェードインの終了時間情報
(f2)GinSIDE :フェードインの利得情報
(g2)ΔT : (先行楽曲の終了時刻tPR,end
−(後続楽曲の開始時刻tSU,start
【0054】
第1実施形態では、(a1)〜(g1)の情報及び(a2)〜(g2)の情報は、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。なお、(g1)と(g2)とは、同じ値になっている。
【0055】
上述した(a1)〜(g1)の情報及び(a2)〜(g2)の情報と、楽曲のクロスフェード再生のタイミングとの対応関係が、図7に示されている。ここで、先行楽曲のフェードアウト処理に関する情報である(a1)ΔToutMID,START、(b1)ΔToutMID,END、(a2)ΔToutSIDE,START及び(b2)ΔToutSIDE,ENDは、先行楽曲の終了時刻tPR,endを基準にして、当該時刻から遡った時間に関する情報となっている(図7参照)。なお、第1実施形態では、(b2)については、「ΔToutSIDE,END=0」とする。
【0056】
また、後続楽曲のフェードイン処理に関する情報である(d1)ΔTinMID,START、(e1)ΔTinMID,END、(d2)ΔTinSIDE,START、(e2)ΔTinSIDE,ENDは、後続楽曲の開始時刻tSU,startを基準にして、当該時刻から経過した時間に関する情報となっている。なお、第1実施形態では、(d2)については、「ΔTinSIDE,START=0」とする。
【0057】
ここで、先行楽曲の中央定位領域に関する音成分について、フェードアウト処理の開始時刻を時刻τoutMID,STARTとし、フェードアウト処理の終了時刻を時刻τoutMID,ENDとする。また、後続楽曲の中央定位領域に関する音成分について、フェードイン処理の開始時刻を時刻τinMID,STARTとし、フェードイン処理の終了時刻を時刻τinMID,ENDとする。
【0058】
この場合に、先行楽曲の中央定位領域に関する音成分についてのフェードアウト処理における利得GoutMIDは、次の(9)式で与えられる。
GoutMID=foutMID(t−τoutMID,START
(τoutMID,START≦t≦τoutMID,END)…(9)
ここで、foutMID(t−τoutMID,START)は予め定められた関数であり、foutMID(0)=1、foutMID(τoutMID,END−τoutMID,START)=0となっている。
【0059】
また、後続楽曲の中央定位領域に関する音成分についてのフェードイン処理における利得GinMIDは、次の(10)式で与えられる。
GinMID=finMID(t−τinMID,START
(τinMID,START≦t≦τinMID,END)…(10)
ここで、finMID(t−τinMID,START)は予め定められた関数であり、finMID(0)=0、finMID(τinMID,END−τinMID,START)=1となっている。
【0060】
また、先行楽曲の非中央定位領域に関する音成分について、フェードアウト処理の開始時刻を時刻τoutSIDE,STARTとし、フェードアウト処理の終了時刻を時刻τoutSIDE,ENDとする。また、後続楽曲の非中央定位領域に関する音成分について、フェードイン処理の開始時刻を時刻τinSIDE,STARTとし、フェードイン処理の終了時刻を時刻τinSIDE,ENDとする。
【0061】
この場合に、先行楽曲の非中央定位領域に関する音成分についてのフェードアウト処理における利得GoutSIDEは、次の(11)式で与えられる。
GoutSIDE=foutSIDE(t−τoutSIDE,START
(τoutSIDE,START≦t≦τoutSIDE,END)…(11)
ここで、foutSIDE(t−τoutSIDE,START)は予め定められた関数であり、foutSIDE(0)=1、foutSIDE(τoutSIDE,END−τoutSIDE,START)=0となっている。
【0062】
また、後続楽曲の中央定位領域に関する音成分についてのフェードイン処理における利得GinSIDEは、次の(12)式で与えられる。
GinSIDE=finSIDE(t−τinSIDE,START
(τinSIDE,START≦t≦τinSIDE,END)…(12)
ここで、finSIDE(t−τinSIDE,START)は予め定められた関数であり、finSIDE(0)=0、finSIDE(τinSIDE,END−τinSIDE,START)=1となっている。
【0063】
なお、図7には、第1実施形態において採用する利得foutMID(t−τoutMID,START)、利得finMID(t−τinMID,START)、利得foutSIDE(t−τoutSIDE,START)及び利得finSIDE(t−τinSIDE,START)が図示されている。
【0064】
ここで、第1実施形態では、図7に示されるように、第1期間の期間長は、第2期間の期間長よりも短くなっている、また、第1期間は第2期間の期間内になっている。また、非中央定位領域に関するフェードアウト処理は、非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了するようになっている。すなわち、非中央定位領域に関する音成分ついては、クロスフェード再生を行うようになっている。
【0065】
さらに、第1実施形態では、中央定位領域に関するフェードアウト処理は、中央定位領域におけるフェードイン処理の開始後に終了するようになっている。すなわち、中央定位領域に関する音成分についても、クロスフェード再生を行うようになっている。
【0066】
図4に戻り、上記の再生制御部192Aは、計時機能を有しており、楽曲コンテンツの再生を制御する。
【0067】
かかる機能を有する再生制御部192Aは、楽曲コンテンツの再生前に、まず、音源ユニット110にアクセスして、楽曲コンテンツ情報MCIに含まれる楽曲コンテンツ識別子#p及び録音時間#pを取得する。次に、再生制御部192Aは、当該取得された楽曲コンテンツ識別子#p及び録音時間#pに基づいて、録音時間情報RTIを作成する。次いで、再生制御部192Aは、当該録音時間情報RTIを記憶部191Aに格納する。
【0068】
引き続き、再生制御部192Aは、録音時間情報RTI及びクロスフェード処理情報XFAに基づいて、楽曲コンテンツの楽曲再生計画を作成して内部に保持する。再生制御部192Aによる当該楽曲再生計画の作成処理の詳細については、後述する。
【0069】
また、再生制御部192Aは、入力部180から送られた入力データIPDを受ける。当該入力データIPDの内容が楽曲コンテンツの再生指定である場合には、再生制御部192Aは、楽曲再生計画に従って、再生指令PC1を生成して楽曲供給ユニット121へ送り、再生指令PC2を生成して楽曲供給ユニット122へ送る。
【0070】
また、再生制御部192Aは、利得指令XCを生成してクロスフェード処理部133へ送り、楽曲コンテンツの再生制御を行う。かかる再生制御に際して、再生制御部192Aは、先行して再生される楽曲である先行楽曲のフェードアウト処理の制御を行い、当該先行楽曲に続いて再生される楽曲である後続楽曲のフェードイン処理の制御を行う。ここで、利得指令XCには、第1利得指令XC1、第2利得指令XC2、第3利得指令XC3及び第4利得指令XC4が含まれている。
【0071】
第1実施形態では、再生制御部192Aは、楽曲コンテンツのクロスフェード再生の制御に際して、中央定位領域に関する音成分及び非中央定位領域に関する音成分のそれぞれに対して、先行楽曲のフェードアウト処理の制御を行い、後続楽曲のフェードイン処理の制御を行うようになっている。
【0072】
かかる制御に際して、先行楽曲の中央定位の信号が信号M1、先行楽曲の非中央定位の信号が信号S1であり、後続楽曲の中央定位の信号が信号M2、後続楽曲の非中央定位の信号が信号S2であるときには、再生制御部192Aは、信号M1,S1をフェードアウト処理する制御を行い、信号M2,S2をフェードイン処理する制御を行う。すなわち、再生制御部192Aは、先行楽曲の中央定位領域に関する信号M1に対してフェードアウト処理を行うための第1利得指令XC1を生成して第1処理部211へ送り、後続楽曲の中央定位領域に関する信号M2に対してフェードイン処理を行うための第3利得指令XC3を生成して第3処理部213へ送る(中央定位領域に関する音信号に対する第1期間の制御)。
【0073】
また、この場合に、再生制御部192Aは、先行楽曲の非中央定位領域に関する信号S1に対してフェードアウト処理を行うための第2利得指令XC2を生成して第2処理部212へ送り、後続楽曲の非中央定位領域に関する信号S2に対してフェードイン処理を行うための第4利得指令XC4を生成して第4処理部214へ送る(非中央定位領域に関する音信号に対する第2期間の制御)。
【0074】
一方、先行楽曲の中央定位の信号が信号M2、先行楽曲の非中央定位の信号が信号S2であり、後続楽曲の中央定位の信号が信号M1、後続楽曲の非中央定位の信号が信号S1であるときには、再生制御部192Aは、信号M2,S2をフェードアウト処理する制御を行い、信号M1,S1をフェードイン処理する制御を行う。すなわち、再生制御部192Aは、先行楽曲の中央定位領域に関する信号M2に対してフェードアウト処理を行うための第3利得指令XC3を生成して第3処理部213へ送り、後続楽曲の中央定位領域に関する信号M1に対してフェードイン処理を行うための第1利得指令XC1を生成して第1処理部211へ送る(中央定位領域に関する音信号に対する第1期間の制御)。
【0075】
また、この場合に、再生制御部192Aは、先行楽曲の非中央定位領域に関する信号S2に対してフェードアウト処理を行うための第4利得指令XC4を生成して第4処理部214へ送り、後続楽曲の非中央定位領域に関する信号S1に対してフェードイン処理を行うための第2利得指令XC2を生成して第2処理部212へ送る(非中央定位領域に関する音信号に対する第2期間の制御)。
【0076】
再生制御部192Aによる再生制御処理の詳細については、後述する。
【0077】
<動作>
以上のようにして構成された再生装置100Aの動作について、楽曲のクロスフェード再生の処理に主に着目して説明する。
【0078】
以下の説明では、先行楽曲を楽曲#1、後続楽曲を楽曲#2として、楽曲#1及び楽曲#2のクロスフェード再生の制御に着目して説明する。
【0079】
《楽曲再生計画の作成処理》
まず、再生制御部192Aによる楽曲コンテンツの楽曲再生計画の作成処理について説明する。当該楽曲再生計画の作成処理は、楽曲コンテンツの再生に先立って行われる。
【0080】
楽曲コンテンツの楽曲再生計画の作成に際して、再生制御部192Aは、まず、音源ユニット110にアクセスして、楽曲コンテンツ情報MCIに含まれる楽曲コンテンツ識別子#p及び録音時間#pを取得する。次に、再生制御部192Aは、楽曲コンテンツ識別子#p及び録音時間#pに基づいて、録音時間情報RTIを作成して、記憶部191Aに格納する。
【0081】
次いで、再生制御部192Aは、クロスフェード処理情報XFAにおける第1期間処理情報XFA1の時間情報ΔToutMID,START,ΔToutMID,END,ΔTinMID,START,ΔTinMID,END、並びに、クロスフェード処理情報XFAにおける第2期間処理情報XFA2の時間情報ΔToutSIDE,START,ΔToutSIDE,END(=0),ΔTinSIDE,START(=0),ΔTinSIDE,ENDを取得する。引き続き、再生制御部192Aは、当該取得した時間情報、及び、録音時間情報RTIに基づいて、楽曲#1の再生開始時刻を「0」にした楽曲再生計画を作成する。
【0082】
図8には、先行楽曲を楽曲#1、後続楽曲を楽曲#2としたときの楽曲作成計画の内容が示されている。第1実施形態では、時刻「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」は、録音時間#1から「ΔToutSIDE,START」を差し引いた値となっている。また、時刻「τoutMID,START=τinMID,START」は、録音時間#1から「ΔToutMID,START」を差し引いた値となっている。また、時刻「τoutMID,END=τinMID,END」は、録音時間#1から「ΔToutMID,END」を差し引いた値となっている。さらに、時刻「τoutSIDE,END=τinSIDE,END」は、録音時間#1から「ΔToutSIDE,END(=0)」を差し引いた値となっている。
【0083】
《楽曲コンテンツのクロスフェード再生処理》
次に、再生装置100Aによる楽曲コンテンツの楽曲再生処理について説明する。
【0084】
再生装置100Aによる楽曲コンテンツの楽曲再生処理については、入力ユニット180に楽曲コンテンツの再生指定が入力され、再生制御部192Aが、当該再生指定を内容とする入力データIPDを受けると開始する。
【0085】
再生制御部192Aは、当該入力データIPDを受けると、楽曲再生計画に従って、楽曲#1を指定した再生指令PC1を生成し、楽曲供給ユニット121へ送る(時刻t=0)。
【0086】
以下の説明では、再生制御部192Aが、再生指令PC1を楽曲供給ユニット121へ送ったときを時刻「0」として、時刻t=0以後の楽曲コンテンツの再生処理を、時刻の経過順に説明する。すなわち、以下では、時刻t=「0」、「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」、「τoutMID,START=τinMID,START」、「τoutMID,END=τinMID,END」、「τoutSIDE,END=τinSIDE,END」の順に(図8参照)、楽曲コンテンツのクロスフェード処理について説明する。
【0087】
また、時刻t=0では、再生制御部192Aは、利得「1.0」を指定した第1利得指令XC1を生成し第1処理部211へ送る。また、再生制御部192Aは、時刻t=0では、利得「1.0」を指定した第2利得指令XC2を生成し第2処理部212へ送る。
【0088】
楽曲供給ユニット121は、当該再生指令PC1を受けると、音源ユニット110から、楽曲音データ#1を楽曲信号MD1として読み取り、当該楽曲信号MD1に基づいて、信号L1及び信号R1を生成する。そして、楽曲供給ユニット121は、生成された信号L1及び信号R1をデジタル処理ユニット130へ送る。
【0089】
デジタル処理ユニット130では、抽出部131が、信号L1及び信号R1から、(1)式により信号M1を抽出し、(2)式により信号S1を抽出する。そして、抽出部131は、信号M1を第1処理部211へ送り、信号S1を第2処理部212へ送る。
【0090】
信号M1を受けた第1処理部211は、第1利得指令XC1(利得「1.0」)に従って、信号M1を信号MX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、信号S1を受けた第2処理部212は、第2利得指令XC2(利得「1.0」)に従って、信号S1を信号SX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。
【0091】
信号MX1及び信号SX1を受けたステレオ信号抽出部135は、(5)式によりLチャンネルの信号LC1(=信号L1)を抽出し、(6)式によりRチャンネルの信号RC1(=信号R1)を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部135は、信号LC1を信号加算部137Lへ送り、信号RC1を信号加算部137Rへ送る。
【0092】
信号加算部137Lは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号LC1を、再生用楽曲Lチャンネル信号CLDとして、アナログ処理ユニット150へ送る。また、信号加算部137Rは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号RC1を、再生用楽曲Rチャンネル信号CRDとして、アナログ処理ユニット150へ送る。
【0093】
アナログ処理ユニット150では、DA変換部、音量調整部及びパワー増幅部が順次処理を行い、再生用Lチャンネル信号CLD、再生用Rチャンネル信号CRDから出力音声信号AOSL,AOSRを生成し、スピーカユニット160L,160Rへ送る(図1参照)。そして、スピーカユニット160L,160Rが、アナログ処理ユニット150から送られた出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0094】
(非中央定位の音成分に対する第2期間の処理開始)
この後、時刻「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」になると(図8参照)、再生制御部192Aは、楽曲再生計画に従って、楽曲#2を指定した再生指令PC2を生成し、楽曲供給ユニット122へ送る。楽曲供給ユニット122は、当該再生指令PC2を受けると、音源ユニット110から、楽曲音データ#2を楽曲信号MD2として読み取り、当該楽曲信号MD2に基づいて、信号L2及び信号R2を生成する。そして、楽曲供給ユニット122は、生成された信号L2及び信号R2をデジタル処理ユニット130へ送る。
【0095】
デジタル処理ユニット130では、抽出部132が、信号L2及び信号R2から、(3)式により信号M2を抽出し、(4)式により信号S2を抽出する。そして、抽出部132は、信号M2を第3処理部213へ送り、信号S2を第4処理部214へ送る。
【0096】
また、時刻「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」になると、再生制御部192Aは、先行楽曲(楽曲#1)の非中央定位領域に関する信号S1のフェードアウト処理を開始するため、クロスフェード処理情報XFAを参照し、利得foutSIDE((11)式)を指定した第2利得指令XC2を生成し、第2処理部212へ送る。また、時刻「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」になると、再生制御部192Aは、後続楽曲(楽曲#2)の非中央定位領域に関する信号S2のフェードイン処理を開始するため、利得finSIDE((12)式)を指定した第4利得指令XC4を生成し、第4処理部214へ送る。
【0097】
また、このとき、再生制御部192Aは、利得「1.0」を指定した第1利得指令XC1を第1処理部211へ送り、利得「0」を指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送る。
【0098】
このとき、中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1を信号MX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第3処理部213は、信号M2に利得「0」を乗じて得られた信号MX2(無音信号)を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0099】
一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得foutSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第4処理部214は、信号S2に利得finSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0100】
ステレオ信号抽出部135は、信号MX1(=信号M1)及び信号SX1(=信号S1×foutSIDE)から、Lチャンネルの信号LC1及びRチャンネルの信号RC1を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部135は、信号LC1を信号加算部137Lへ送り、信号RC1を信号加算部137Rへ送る。
【0101】
ステレオ信号抽出部136は、信号SX2(=信号S2×finSIDE)から、Lチャンネルの信号LC2及びRチャンネルの信号RC2を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部136は、信号LC2を信号加算部137Lへ送り、信号RC2を信号加算部137Rへ送る。
【0102】
信号加算部137Lは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号LC1及びステレオ信号抽出部136から送られた信号LC2を加算して、再生用楽曲Lチャンネル信号CLDを生成して、アナログ処理ユニット150へ送る。また、信号加算部137Rは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号RC1及びステレオ信号抽出部136から送られた信号RC2を加算して、再生用楽曲Rチャンネル信号CRDを生成して、アナログ処理ユニット150へ送る。
【0103】
この後、アナログ処理ユニット150により、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0104】
(中央定位の音成分に対する第1期間の処理開始)
この後、時刻「τoutMID,START=τinMID,START」になると(図8参照)、再生制御部192Aは、先行楽曲(楽曲#1)の中央定位領域に関する信号M1のフェードアウト処理を開始するため、クロスフェード処理情報XFAを参照し、利得foutMID((9)式)を指定した第1利得指令XC1を生成し、第1処理部211へ送る。また、時刻「τoutMID,START=τinMID,START」になると、再生制御部192Aは、後続楽曲(楽曲#2)の中央定位領域に関する信号M2のフェードイン処理を開始するため、利得finMID((10)式)を指定した第3利得指令XC3を生成し、第3処理部213へ送る。
【0105】
また、このとき、再生制御部192Aは、利得foutSIDEを指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送り、利得finSIDEを指定した第4利得指令XC4を第4処理部214へ送っている。
【0106】
中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1に利得foutMIDを乗じて得られた信号MX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、信号M2を受けた第3処理部213は、信号M2に利得finMIDを乗じて得られた信号MX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0107】
一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得foutSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第4処理部214は、信号S2に利得finSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0108】
ステレオ信号抽出部135は、信号MX1(=信号M1×foutMID)及び信号SX1(=信号S1×foutSIDE)から、Lチャンネルの信号LC1及びRチャンネルの信号RC1を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部135は、信号LC1を信号加算部137Lへ送り、信号RC1を信号加算部137Rへ送る。
【0109】
ステレオ信号抽出部136は、信号MX2(=信号M2×finMID)及び信号SX2(=信号S2×finSIDE)から、Lチャンネルの信号LC2及びRチャンネルの信号RC2を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部136は、信号LC2を信号加算部137Lへ送り、信号RC2を信号加算部137Rへ送る。
【0110】
信号加算部137Lは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号LC1及びステレオ信号抽出部136から送られた信号LC2を加算して、再生用楽曲Lチャンネル信号CLDを生成して、アナログ処理ユニット150へ送る。また、信号加算部137Rは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号RC1及びステレオ信号抽出部136から送られた信号RC2を加算して、再生用楽曲Rチャンネル信号CRDを生成して、アナログ処理ユニット150へ送る。
【0111】
この後、アナログ処理ユニット150により、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0112】
(中央定位の音成分に対する第1期間の処理終了)
この後、時刻「τoutMID,END=τinMID,END」になると(図8参照)、再生制御部192Aは、先行楽曲(楽曲#1)の中央定位領域に関する信号M1のフェードアウト処理を終了するため、利得「0」を指定した第1利得指令XC1を生成し、第1処理部211へ送る。また、時刻「τoutMID,END=τinMID,END」になると、再生制御部192Aは、後続楽曲(楽曲#2)の中央定位領域に関する信号M2のフェードイン処理を終了するため、利得「1.0」を指定した第3利得指令XC3を生成し、第3処理部213へ送る。
【0113】
また、このとき、再生制御部192Aは、利得foutSIDEを指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送り、利得finSIDEを指定した第4利得指令XC4を第4処理部214へ送っている。
【0114】
中央定位の音成分については、第1処理部211は、信号M1に利得「0」を乗じて得られた信号MX1(無音信号)を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、信号M2を受けた第3処理部213は、信号M2を信号MX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0115】
一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得foutSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、信号S2を受けた第4処理部214は、信号S2に利得finSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0116】
ステレオ信号抽出部135は、信号SX1(=信号S1×foutSIDE)から、Lチャンネルの信号LC1及びRチャンネルの信号RC1を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部135は、信号LC1を信号加算部137Lへ送り、信号RC1を信号加算部137Rへ送る。
【0117】
ステレオ信号抽出部136は、信号MX2(=信号M2)及び信号SX2(=信号S2×finSIDE)から、Lチャンネルの信号LC2及びRチャンネルの信号RC2を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部136は、信号LC2を信号加算部137Lへ送り、信号RC2を信号加算部137Rへ送る。
【0118】
信号加算部137Lは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号LC1及びステレオ信号抽出部136から送られた信号LC2を加算して、再生用楽曲Lチャンネル信号CLDを生成して、アナログ処理ユニット150へ送る。また、信号加算部137Rは、ステレオ信号抽出部135から送られた信号RC1及びステレオ信号抽出部136から送られた信号RC2を加算して、再生用楽曲Rチャンネル信号CRDを生成して、アナログ処理ユニット150へ送る。
【0119】
この後、アナログ処理ユニット150により、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0120】
(非中央定位の音成分に対する第2期間の処理終了)
この後、時刻「τoutSIDE,END=τinSIDE,END」になると(図8参照)、再生制御部192Aは、先行楽曲(楽曲#1)の非中央定位領域に関する信号S1のフェードアウト処理を終了する(楽曲#1の再生終了)。また、時刻「τoutSIDE,END=τinSIDE,END」になると、再生制御部192Aは、後続楽曲(楽曲#2)の非中央定位領域に関する信号S2のフェードイン処理を終了するため、利得「1.0」を指定した第4利得指令XC4を生成し、第4処理部214へ送る。
【0121】
また、このとき、再生制御部192Aは、利得「1.0」を指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送っている。
【0122】
中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2を信号MX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第4処理部214が、信号S2を信号SX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0123】
ステレオ信号抽出部136は、信号MX2(=信号M2)及び信号SX2(=信号S2)から、Lチャンネルの信号LC2及びRチャンネルの信号RC2を抽出する。そして、ステレオ信号抽出部136は、信号LC2を信号加算部137Lへ送り、信号RC2を信号加算部137Rへ送る。
【0124】
信号加算部137Lは、ステレオ信号抽出部136から送られた信号LC2を、再生用楽曲Lチャンネル信号CLDとして、アナログ処理ユニット150へ送る。また、信号加算部137Rは、ステレオ信号抽出部136から送られた信号RC2を、再生用楽曲Rチャンネル信号CRDとして、アナログ処理ユニット150へ送る。
【0125】
この後、アナログ処理ユニット150により、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0126】
図9には、上述のようにして実行された楽曲コンテンツのクロスフェード再生処理のタイミングが示されている。
【0127】
以上説明したように、第1実施形態では、楽曲供給ユニット121が、楽曲信号MD1から楽曲Lチャンネル信号L1及び楽曲Rチャンネル信号R1を生成し、楽曲供給ユニット122が、楽曲信号MD2から楽曲Lチャンネル信号L2及び楽曲Rチャンネル信号R2を生成する。次に、抽出部131が、楽曲Lチャンネル信号L1及び楽曲Rチャンネル信号R1から、中央定位の音成分の信号M1、及び、非中央定位の音成分の信号S1を抽出する。また、抽出部132が、楽曲Lチャンネル信号L2及び楽曲Rチャンネル信号R2から、中央定位の音成分の信号M2、及び、非中央定位の音成分の信号S2を抽出する。
【0128】
そして、先行楽曲と後続楽曲とのクロスフェード再生を行うに際して、再生制御部192Aによる制御のもとで、クロスフェード処理部133が、中央定位領域に関する音成分の信号(M1,M2)及び非中央定位領域に関する音成分の信号(S1,S2)のそれぞれに対して、先行楽曲のフェードアウト処理を行い、後続楽曲のフェードイン処理を行う。
【0129】
かかるフェードアウト処理及びフェードイン処理の制御に際して、再生制御部192Aは、中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第1期間の第1期間長を、非中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第2期間の第2期間長より短くし、かつ、第1期間を第2期間の期間内にする。また、かかる制御に際して、非中央定位領域に関するフェードアウト処理を、非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させるようにして、クロスフェード再生を行うようにする。また、かかる制御に際して、中央定位領域に関するフェードアウト処理を、中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させるようにして、クロスフェード再生を行うようする。
【0130】
このように、第1実施形態では、クロスフェード再生による先行楽曲から後続楽曲への切り替えに際し、中央定位領域に関する音成分の切り替えの長さを、非中央定位領域に関する音成分の切り替えの長さに比べて、はやくしている。
【0131】
このため、第1実施形態では、中央定位領域において、音楽的な調和が崩れることを抑制することができる。
【0132】
また、第2期間を第1期間より長くすることで、非中央定位領域に関する音成分のクロスフェード再生によって、臨場感を付与することができる。
【0133】
したがって、第1実施形態によれば、複数チャンネルの楽曲に対してクロスフェード再生を行ったときに、クロスフェード期間において、聴感上の違和感の発生を抑制することができる。
【0134】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を、図10図14を参照して説明する。
【0135】
<構成>
第2実施形態に係る再生装置は、上述した第1実施形態の再生装置100Aと比べて、制御ユニット190Aに代えて、図10に示される構成の制御ユニット190Bを備える点が異なっている。なお、以下の説明においては、第2実施形態の再生装置を「再生装置100B」と記す。
【0136】
図10に示されるように、制御ユニット190Bは、上述した制御ユニット190Aと比べて、記憶部191Aに代えて記憶部191Bを備える点、再生制御部192Aに代えて再生制御部192Bを備える点が異なっている。
【0137】
上記の記憶部191Bは、不揮発性の記憶素子を備えて構成される。第2実施形態では、記憶部191Bには、録音時間情報RTI、解析情報ANI及びクロスフェード処理情報XFBが含まれる。
【0138】
上記の解析情報ANIには、図11に示されるように、楽曲コンテンツ#p(p=1,2,…,P)ごとに、楽曲#pの先頭部分における中央定位領域(MID)に関する音成分の解析情報ANI#pMID,START、及び、楽曲#pの終盤部分における中央定位領域(MID)に関する音成分の解析情報ANI#pMID,ENDが含まれている。また、解析情報ANIには、楽曲コンテンツ#pごとに、楽曲#pの先頭部分における非中央定位領域(SIDE)に関する音成分の解析情報ANI#pSIDE,START、及び、楽曲#pの終盤部分における非中央定位領域(SIDE)に関する音成分の解析情報ANI#pSIDE,ENDが含まれている。
【0139】
なお、再生順番が1番の楽曲コンテンツ#1については、終盤部分の解析情報ANI#1MID,END,ANI#1SIDE,ENDのみが含まれている。また、再生順番が最後の楽曲コンテンツ#Pについては、先頭部分の解析情報ANI#PMID,START,ANI#PSIDE,STARTのみが含まれている。第2実施形態では、解析情報は、スペクトル包絡やスペクトル微細構造、調波構造などの楽曲の印象や音楽的調和を表す音色情報となっている。当該解析情報ANIは、再生制御部192Bにより生成され、記憶部191B内に格納される。
【0140】
上記のクロスフェード処理情報XFBには、図12に示されるように、楽曲コンテンツ#q〜楽曲コンテンツ#(q+1)(q=1,2,…,P−1)ごとの、第1期間処理情報#q〜#(q+1)と第2期間処理情報#q〜#(q+1)とが含まれている。
【0141】
ここで、第1期間処理情報#q〜#(q+1)は、中央定位領域に関する音成分について、楽曲#q(先行楽曲)のフェードアウト処理の開始から、楽曲#(q+1)(後続楽曲)のフェードイン処理の終了までの第1期間の処理態様に関する情報となっている。当該第1期間処理情報#q〜#(q+1)には、上述した(a1)〜(g1)の情報が含まれている。
【0142】
また、第2期間処理情報#q〜#(q+1)は、非中央定位領域に関する音成分について、楽曲#q(先行楽曲)のフェードアウト処理の開始から、楽曲#(q+1)(後続楽曲)のフェードイン処理の終了までの第2期間の処理態様に関する情報となっている。当該第2期間処理情報#q〜#(q+1)には、上述した(a2)〜(g2)の情報が含まれている。当該クロスフェード処理情報XFBは、再生制御部192Bにより決定され、記憶部191B内に格納する。
【0143】
図10に戻り、上記の再生制御部192Bは、第1実施形態の再生制御部192Aと同様に、録音時間情報RTIを作成する。
【0144】
また、再生制御部192Bは、解析情報ANIを作成する。かかる解析情報ANIの作成に際して、再生制御部192Bは、楽曲#1、楽曲#2、…、楽曲#Pの楽曲音データの先頭部分における中央定位領域に関する音成分の信号(M1,M2)を、デジタル処理ユニット130から受ける。そして、再生制御部192Bは、当該信号の音色を解析して、解析情報ANI#pMID,STARTを作成する。また、再生制御部192Bは、楽曲#1、楽曲#2、…、楽曲#Pの楽曲音データの終盤部分における中央定位領域に関する音成分の信号(M1,M2)を、デジタル処理ユニット130から受ける。そして、再生制御部192Bは、当該信号の音色を解析して、解析情報ANI#pMID,ENDを作成する。
【0145】
また、再生制御部192Bは、楽曲#1、楽曲#2、…、楽曲#Pの楽曲音データの先頭部分における非中央定位領域に関する音成分の信号(S1,S2)を、デジタル処理ユニット130から受ける。そして、再生制御部192Bは、当該信号の音色を解析して、解析情報ANI#pSIDE,STARTを作成する。また、再生制御部192Bは、楽曲#1、楽曲#2、…、楽曲#Pの楽曲音データの終盤部分における非中央定位領域に関する音成分の信号(S1,S2)を、デジタル処理ユニット130から受ける。そして、再生制御部192Bは、当該信号の音色を解析して、解析情報ANI#pSIDE,ENDを作成する。
【0146】
再生制御部192Bは、これらの解析情報ANI#pMID,START,ANI#pMID,END,ANI#pSIDE,START,ANI#pSIDE,ENDを作成すると記憶部191B内に格納する。
【0147】
また、再生制御部192Bは、クロスフェード処理情報XFBを作成する。かかるクロスフェード処理情報XFBの作成に際して、再生制御部192Bは、楽曲#qの終盤部分における中央定位領域に関する音成分の解析情報ANI#qMID,END(第1解析情報)、及び、楽曲#(q+1)の先頭部分における中央定位領域に関する音成分の解析情報ANI#(q+1)MID,START(第2解析情報)に基づいて、第1期間処理情報#q〜#(q+1)を決定して作成する。
【0148】
また、再生制御部192Bは、楽曲#qの終盤部分における非中央定位領域に関する音成分の解析情報ANI#qSIDE,END(第3解析情報)、及び、楽曲#(q+1)の先頭部分における非中央定位領域に関する音成分の解析情報ANI#(q+1)SIDE,START(第4解析情報)に基づいて、第2期間処理情報#q〜#(q+1)を決定して作成する。
【0149】
当該第1期間処理情報#q〜#(q+1)及び第2期間処理情報#q〜#(q+1)の作成に際して、再生制御部192Bは、解析情報ANI#qMID,END(第1解析情報)と解析情報ANI#(q+1)MID,START(第2解析情報)とを比較して、第1音色類似度を算出する。また、再生制御部192Bは、解析情報ANI#qSIDE,END(第3解析情報)と解析情報ANI#(q+1)SIDE,START(第4解析情報)とを比較して、第2音色類似度を算出する。ここで、音色類似度が高いほど、比較される解析情報同士の類似の度合いが高くなる。
【0150】
そして、再生制御部192Bは、(i)第1音色類似度が第1閾値未満であり、第2音色類似度が第2閾値以上の場合には、第1期間の期間長を第2期間の期間長より短くし、中央定位領域に関するフェードアウト処理を中央定位領域に関するフェードイン処理の開始前に終了させる第1期間処理情報#q〜#(q+1)を作成する。また、第1音色類似度が第1閾値未満であり、第2音色類似度が第2閾値以上の場合には、再生制御部192Bは、非中央定位領域に関するフェードアウト処理を非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させる第2期間処理情報#q〜#(q+1)を作成する。
【0151】
図13には、(i)の条件を満たすときの第1期間処理情報及び第2期間処理情報により実行される楽曲のクロスフェード再生処理のタイミングの例が示されている。ここで、第1閾値及び第2閾値は、中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に発生する聴感上の違和感を抑制する観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0152】
ここで、図13に示される利得関数goutMID(t−τoutMID,START)は予め定められた関数であり、goutMID(0)=1、goutMID(τoutMID,END−τoutMID,START)=0となっている。また、ginMID(t−τinMID,START)は予め定められた関数であり、ginMID(0)=0、ginMID(τinMID,END−τinMID,START)=1となっている。また、goutSIDE(t−τoutSIDE,START)は予め定められた関数であり、goutSIDE(0)=1、goutSIDE(τoutSIDE,END−τoutSIDE,START)=0となっている。さらに、ginSIDE(t−τinSIDE,START)は予め定められた関数であり、ginSIDE(0)=0、ginSIDE(τinSIDE,END−τinSIDE,START)=1となっている。
【0153】
また、再生制御部192Bは、(ii)第1音色類似度が第3閾値以上であり、第2音色類似度が第4閾値未満の場合には、第1期間の期間長を第2期間の期間長より長くし、中央定位領域に関するフェードアウト処理を中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させる第1期間処理情報#q〜#(q+1)を作成する。また、第1音色類似度が第3閾値以上であり、第2音色類似度が第4閾値未満の場合には、再生制御部192Bは、非中央定位領域に関するフェードアウト処理を非中央低域領域に関するフェードイン処理の開始前に終了させる第2期間処理情報#q〜#(q+1)を作成する。
【0154】
図14には、(ii)の条件を満たすときの第1期間処理情報及び第2期間処理情報により実行される楽曲のクロスフェード再生処理のタイミングが示されている。ここで、第3閾値及び第4閾値は、非中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に発生する聴感上の違和感を抑制する観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0155】
ここで、図14に示される利得関数houtMID(t−τoutMID,START)は予め定められた関数であり、houtMID(0)=1、houtMID(τoutMID,END−τoutMID,START)=0となっている。また、hinMID(t−τinMID,START)は予め定められた関数であり、hinMID(0)=0、hinMID(τinMID,END−τinMID,START)=1となっている。また、houtSIDE(t−τoutSIDE,START)は予め定められた関数であり、houtSIDE(0)=1、houtSIDE(τoutSIDE,END−τoutSIDE,START)=0となっている。さらに、hinSIDE(t−τinSIDE,START)は予め定められた関数であり、hinSIDE(0)=0、hinSIDE(τinSIDE,END−τinSIDE,START)=1となっている。
【0156】
なお、第2実施形態では、第1音色類似度及び第2音色類似度が、上述した(i)又は(ii)の条件を満たさず、かつ、第1音色類似度及び第2音色類似度に基づいて、先行楽曲及び後続楽曲の中央定位の音成分及び非中央定位の音成分の双方が類似していると評価できる場合には、第1期間の期間長を第2期間の期間長より短くし、中央定位領域に関するフェードアウト処理を中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させる第1期間処理情報#q〜#(q+1)を作成する。また、上述した(i)又は(ii)の条件を満たさず、かつ、第1音色類似度及び第2音色類似度に基づいて、先行楽曲及び後続楽曲の中央定位の音成分及び非中央定位の音成分の双方が類似していると評価できる場合には、再生制御部192Bは、非中央定位領域に関するフェードアウト処理を非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させる第2期間処理情報#q〜#(q+1)を作成する(上述した図9参照)。
【0157】
また、第1音色類似度及び第2音色類似度が、上述した(i)又は(ii)の条件を満たさず、かつ、第1音色類似度及び第2音色類似度に基づいて、先行楽曲及び後続楽曲の中央定位の音成分及び非中央定位の音成分の双方が類似していないと評価できる場合には、中央定位領域に関するフェードアウト処理を中央定位領域に関するフェードイン処理の開始前に終了させる第1期間処理情報#q〜#(q+1)を作成し、非中央定位領域に関するフェードアウト処理を非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させる第2期間処理情報#q〜#(q+1)を作成するようになっている。
【0158】
また、再生制御部192Bは、録音時間情報RTI及びクロスフェード処理情報XFBに基づいて、楽曲コンテンツの楽曲再生計画を作成して内部に保持する。
【0159】
また、再生制御部192Bは、入力部180から送られた入力データIPDを受ける。当該入力データIPDの内容が楽曲コンテンツの再生指定である場合には、再生制御部192Bは、楽曲再生計画に従って、再生指令PC1を生成して楽曲供給ユニット121へ送り、再生指令PC2を生成して楽曲供給ユニット122へ送る。
【0160】
また、再生制御部192Bは、利得指令XCを生成してクロスフェード処理部133へ送り、楽曲コンテンツの再生制御を行う。再生制御部192Bによる再生制御処理の詳細については、後述する。
【0161】
<動作>
以上のようにして構成された再生装置100Bの動作について、楽曲のクロスフェード再生の処理に主に着目して説明する。
【0162】
以下の説明では、先行楽曲を楽曲#1、後続楽曲を楽曲#2として、楽曲#1及び楽曲#2のクロスフェード再生の制御に着目して説明する。
【0163】
前提として、再生制御部192Bは、楽曲録音情報RTI、解析処理情報ANI及びクロスフェード処理情報XFBを作成し、記憶部181B内に格納しているものとする。また、再生制御部192Bは、録音時間情報RTI及びクロスフェード処理情報XFBに基づいて、楽曲コンテンツの楽曲再生計画を作成しているものとする。
【0164】
こうした状況のもとで、入力ユニット180に楽曲コンテンツの再生指定が入力され、再生制御部192Bが、当該再生指定を内容とする入力データIPDを受けると開始する。
【0165】
《楽曲コンテンツのクロスフェード再生処理(i)》
まず、上述した(i)の条件のもとで作成された第1期間処理情報#1〜#2及び第2期間処理情報#1〜#2(図13参照)に基づく、再生制御部192Bによる楽曲コンテンツのクロスフェード再生処理の制御について説明する。
【0166】
再生制御部192Bは、当該入力データIPDを受けると、楽曲再生計画に従って、楽曲#1を指定した再生指令PC1を生成し、楽曲供給ユニット121へ送る(時刻t=0)。
【0167】
以下の説明では、再生制御部192Bが、再生指令PC1を楽曲供給ユニット121へ送ったときを時刻「0」として、時刻t=0以後の楽曲コンテンツの再生処理の制御を、時刻の経過順に説明する。すなわち、以下では、時刻t=「0」、「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」、「τoutMID,START」、「τoutMID,END」、「τinMID,START」、「τinMID,END」、「τoutSIDE,END=τinSIDE,END」の順に(図13参照)、楽曲コンテンツのクロスフェード処理の制御について説明する。
【0168】
また、時刻t=0では、再生制御部192Bは、利得「1.0」を指定した第1利得指令XC1を生成し第1処理部211へ送る。また、再生制御部192Bは、時刻t=0では、利得「1.0」を指定した第2利得指令XC2を生成し第2処理部212へ送る。
【0169】
楽曲供給ユニット121は、当該再生指令PC1を受けると、音源ユニット110から、楽曲音データ#1を楽曲信号MD1として読み取り、信号L1及び信号R1を生成する。そして、楽曲供給ユニット121は、生成された信号L1及び信号R1をデジタル処理ユニット130へ送る。
【0170】
デジタル処理ユニット130では、抽出部131が、信号L1及び信号R1から、信号M1及び信号S1を抽出する。そして、抽出部131は、信号M1を第1処理部211へ送り、信号S1を第2処理部212へ送る。
【0171】
第1処理部211は、第1利得指令XC1(利得「1.0」)に従って、信号M1を信号MX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第2処理部212は、第2利得指令XC2(利得「1.0」)に従って、信号S1を信号SX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。
【0172】
以後、ステレオ信号抽出部135、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0173】
(非中央定位の音成分に対する第2期間の処理開始)
この後、時刻「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」になると(図13参照)、再生制御部192Bは、楽曲#2を指定した再生指令PC2を生成し、楽曲供給ユニット122へ送る。楽曲供給ユニット122は、当該再生指令PC2を受けると、音源ユニット110から、楽曲音データ#2を楽曲信号MD2として読み取り、信号L2及び信号R2を生成する。そして、楽曲供給ユニット122は、生成された信号L2及び信号R2をデジタル処理ユニット130へ送る。
【0174】
デジタル処理ユニット130では、抽出部132が、信号L2及び信号R2から、信号M2及び信号S2を抽出する。そして、抽出部132は、信号M2を第3処理部213へ送り、信号S2を第4処理部214へ送る。
【0175】
また、時刻「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」になると、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の非中央定位領域に関する信号S1のフェードアウト処理を開始するため、利得goutSIDEを指定した第2利得指令XC2を生成し、第2処理部212へ送る。また、時刻「τoutSIDE,START=τinSIDE,START」になると、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の非中央定位領域に関する信号S2のフェードイン処理を開始するため、利得ginSIDEを指定した第4利得指令XC4を生成し、第4処理部214へ送る。
【0176】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得「1」を指定した第1利得指令XC1を第1処理部211へ送り、利得「0」を指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送る。
【0177】
このとき、中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1を信号MX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。
【0178】
一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得goutSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第4処理部214は、信号S2に利得ginSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。すなわち、非中央定位領域に関する音成分は、クロスフェード再生される。
【0179】
以後、ステレオ信号抽出部135,136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0180】
(中央定位の音成分に対する第1期間の処理開始)
この後、時刻「τoutMID,START」になると(図13参照)、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の中央定位領域に関する信号M1のフェードアウト処理を開始するため、利得goutMIDを指定した第1利得指令XC1を生成し、第1処理部211へ送る。
【0181】
なお、このとき、再生制御部192Bは、利得goutSIDEを指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送っている。
【0182】
中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1に利得goutMIDを乗じて得られた信号MX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得goutSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、非中央定位の音成分については、第4処理部214が、信号S2に利得ginSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0183】
以後、ステレオ信号抽出部135,136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0184】
(中央定位の音成分のフェードアウト終了)
この後、時刻「τoutMID,END」になると(図13参照)、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の中央定位領域に関する信号M1のフェードアウト処理を終了するため、利得「0」を指定した第1利得指令XC1を生成し、第1処理部211へ送る。
【0185】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得「0」を指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送っている。また、このとき、再生制御部192Bは、利得goutSIDEを指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送り、利得ginSIDEを指定した第4利得指令XC4を第4処理部214へ送っている。
【0186】
このとき、中央定位領域に関する音成分は、再生されない。一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得goutSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第4処理部214は、信号S2に利得ginSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0187】
以後、ステレオ信号抽出部135,136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する
【0188】
(中央定位の音成分のフェードイン開始)
この後、時刻「τinMID,START」になると(図13参照)、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の中央定位領域に関する信号M2のフェードイン処理を開始するため、利得ginMIDを指定した第3利得指令XC3を生成し、第3処理部213へ送る。
【0189】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得「0」を指定した第1利得指令XC1を第1処理部211へ送っている。また、このとき、再生制御部192Bは、利得goutSIDEを指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送り、利得ginSIDEを指定した第4利得指令XC4を第4処理部214へ送っている。
【0190】
このとき、中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2に利得ginMIDを乗じて得られた信号MX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0191】
一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得goutSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第4処理部214は、信号S2に利得ginSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0192】
以後、ステレオ信号抽出部135,136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0193】
(中央定位の音成分に対する第1期間の処理終了)
この後、時刻「τinMID,END」になると(図13参照)、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の中央定位領域に関する信号M2のフェードイン処理を終了するため、利得「1.0」を指定した第3利得指令XC3を生成し、第3処理部213へ送る。
【0194】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得goutSIDEを指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送っている。再生制御部192Bは、利得ginSIDEを指定した第4利得指令XC4を第4処理部214へ送っている。
【0195】
中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2を信号MX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得goutSIDEを乗じて信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、非中央定位については、第4処理部214は、信号S2に利得ginSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0196】
以後、ステレオ信号抽出部135,136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0197】
(非中央定位の音成分に対する第2期間の処理終了)
この後、時刻「τoutSIDE,END=τinSIDE,END」になると(図13参照)、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の非中央定位領域に関する信号S1のフェードアウト処理を終了する(楽曲#1の再生終了)。また、時刻「τoutSIDE,END=τinSIDE,END」になると、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の非中央定位領域に関する信号S2のフェードイン処理を終了するため、利得「1.0」を指定した第4利得指令XC4を生成し、第4処理部214へ送る。
【0198】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得「1」を指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送っている。
【0199】
中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2を信号MX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第4処理部214が、信号S2を信号SX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0200】
以後、ステレオ信号抽出部136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0201】
《楽曲コンテンツのクロスフェード再生処理(ii)》
次に、上述した(ii)の条件のもとで作成された第1期間処理情報#1〜#2及び第2期間処理情報#1〜#2(図14参照)に基づく、楽曲コンテンツのクロスフェード再生処理の制御について説明する。
【0202】
再生制御部192Bは、当該入力データIPDを受けると、楽曲再生計画に従って、楽曲#1を指定した再生指令PC1を生成し、楽曲供給ユニット121へ送る(時刻t=0)。
【0203】
以下の説明では、再生制御部192Bが、再生指令PC1を楽曲供給ユニット121へ送ったときを時刻「0」として、時刻t=0以後の楽曲コンテンツの再生処理の制御を、時刻の経過順に説明する。すなわち、以下では、時刻t=「0」、「τoutMID,START」、「τoutSIDE,START」、「τoutSIDE,END」、「τinMID,START」、「τoutMID,END」、「τinSIDE,START」、「τinSIDE,END」、「τinMID,END」の順に(図14参照)、楽曲コンテンツのクロスフェード処理の制御について説明する。
【0204】
また、時刻t=0では、再生制御部192Bは、利得「1.0」を指定した第1利得指令XC1を生成し、第1処理部211へ送る。また、再生制御部192Bは、時刻t=0では、利得「1.0」を指定した第2利得指令XC2を生成し、第2処理部212へ送る。
【0205】
楽曲供給ユニット121は、音源ユニット110から、楽曲音データ#1を楽曲信号MD1として読み取り、信号L1及び信号R1を生成する。そして、楽曲供給ユニット121は、生成された信号L1及び信号R1をデジタル処理ユニット130へ送る。
【0206】
デジタル処理ユニット130では、抽出部131が、信号L1及び信号R1から、信号M1及び信号S1を抽出する。そして、抽出部131は、信号M1を第1処理部211へ送り、信号S1を第2処理部212へ送る。
【0207】
第1処理部211は、第1利得指令XC1(利得「1.0」)に従って、信号M1を信号MX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第2処理部212は、第2利得指令XC2(利得「1.0」)に従って、信号S1を信号SX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。
【0208】
以後、ステレオ信号抽出部135、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0209】
(中央定位の音成分に対する第1期間の処理開始)
この後、時刻「τoutMID,START」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の中央定位領域に関する信号M1のフェードアウト処理を開始するため、利得houtMIDを指定した第1利得指令XC1を生成し、第1処理部211へ送る。
【0210】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得「1.0」を指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送っている。
【0211】
中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1に利得houtMIDを乗じて得られた信号MX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1を信号SX1として、ステレオ信号抽出部135へ送る。
【0212】
以後、ステレオ信号抽出部135、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0213】
(非中央定位の音成分に対する第2期間の処理開始)
この後、時刻「τoutSIDE,START」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の非中央定位領域に関する信号S1のフェードアウト処理を開始するため、利得houtSIDEを指定した第2利得指令XC2を生成し、第2処理部212へ送る。
【0214】
なお、このとき、再生制御部192Bは、利得houtMIDを指定した第1利得指令XC1を第1処理部211へ送っている。
【0215】
中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1に利得houtMIDを乗じて得られた信号MX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第2処理部212が、信号S1に利得houtSIDEを乗じて得られた信号SX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。
【0216】
以後、ステレオ信号抽出部135、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0217】
(非中央定位の音成分のフェードアウト終了)
この後、時刻「τoutSIDE,END」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の非中央定位領域に関する信号S1のフェードアウト処理を終了するため、利得「0」を指定した第2利得指令XC2を生成し、第2処理部212へ送る。
【0218】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得houtMIDを指定した第1利得指令XC1を第1処理部211へ送っている。
【0219】
このとき、中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1に利得houtMIDを乗じて得られた信号MX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。一方、非中央定位領域に関する音成分は、再生されない。
【0220】
以後、ステレオ信号抽出部135、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0221】
(中央定位の音成分のフェードイン開始)
この後、時刻「τinMID,START」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、楽曲#2を指定した再生指令PC2を生成し、楽曲供給ユニット122へ送る。楽曲供給ユニット122は、当該再生指令PC2を受けると、音源ユニット110から、楽曲音データ#2を楽曲信号MD2として読み取り、信号L2及び信号R2を生成する。そして、楽曲供給ユニット122は、生成された信号L2及び信号R2をデジタル処理ユニット130へ送る。
【0222】
デジタル処理ユニット130では、抽出部132が、信号L2及び信号R2から、信号M2及び信号S2を抽出する。そして、抽出部132は、信号M2を第3処理部213へ送り、信号S2を第4処理部214へ送る。
【0223】
また、時刻「τinMID,START」になると、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の中央定位領域に関する信号M2のフェードイン処理を開始するため、利得hinMIDを指定した第3利得指令XC3を生成し、第3処理部213へ送る。
【0224】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得houtMIDを指定した第1利得指令XC1を第1処理部211へ送っている。また、このとき、再生制御部192Bは、利得「0」を指定した第2利得指令XC2を第2処理部212へ送っている。
【0225】
このとき、中央定位の音成分については、第1処理部211が、信号M1に利得houtMIDを乗じて得られた信号MX1を、ステレオ信号抽出部135へ送る。また、第3処理部213が、信号M2に利得hinMIDを乗じて得られた信号MX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。すなわち、中央定位領域に関する音成分は、クロスフェードされる。一方、非中央定位領域に関する音成分は、再生されない。
【0226】
以後、ステレオ信号抽出部135,136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0227】
(中央定位の音成分のフェードアウト終了)
この後、時刻「τoutMID,END」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、先行楽曲(楽曲#1)の中央定位領域に関する信号M1のフェードアウト処理を終了する(楽曲#1の再生終了)。
【0228】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得hinMIDを指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送っている。
【0229】
中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2に利得hinMIDを乗じた信号MX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。一方、非中央定位の音成分は、再生されない。
【0230】
以後、ステレオ信号抽出部136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0231】
(非中央定位の音成分のフェードイン開始)
この後、時刻「τinSIDE,START」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の非中央定位領域に関する信号S2のフェードイン処理を開始するため、利得hinSIDEを指定した第4利得指令XC4を生成し、第4処理部214へ送る。
【0232】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得hinMIDを指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送っている。
【0233】
中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2に利得hinMIDを乗じて得られた信号MX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第4処理部214が、信号S2に利得hinSIDEを乗じて得られた信号SX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0234】
以後、ステレオ信号抽出部136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0235】
(非中央定位の音成分に対する第2期間の処理終了)
この後、時刻「τinSIDE,END」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の非中央定位領域に関する信号S2のフェードイン処理を終了するため、利得「1.0」を指定した第4利得指令XC4を生成し、第4処理部214へ送る。
【0236】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得hinMIDを指定した第3利得指令XC3を第3処理部213へ送っている。
【0237】
中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2に利得hinMIDを乗じて得られた信号MX2を、ステレオ信号抽出部136へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第4処理部214が、信号S2を信号SX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0238】
以後、ステレオ信号抽出部136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0239】
(中央定位の音成分に対する第1期間の処理終了)
この後、時刻「τinMID,END」になると(図14参照)、再生制御部192Bは、後続楽曲(楽曲#2)の中央定位領域に関する信号M2のフェードイン処理を終了するため、利得「1.0」を指定した第3利得指令XC3を生成し、第3処理部213へ送る。
【0240】
また、このとき、再生制御部192Bは、利得「1.0」を指定した第4利得指令XC4を第4処理部214へ送っている。
【0241】
中央定位の音成分については、第3処理部213が、信号M2を信号MX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。一方、非中央定位の音成分については、第4処理部214が、信号S2を信号SX2として、ステレオ信号抽出部136へ送る。
【0242】
以後、ステレオ信号抽出部136、信号加算部137L,137R及びアナログ処理ユニット150で処理が行われ、出力音声信号AOSL,AOSRが生成される。そして、スピーカユニット160L,160Rが、出力音声信号AOSL,AOSRに従って、音声を再生出力する。
【0243】
以上説明したように、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同様にして、楽曲信号MD1から中央定位領域に関する音成分の信号M1、及び、非中央定位領域に関する音成分の信号S1を抽出し、楽曲信号MD2から中央定位領域に関する音成分の信号M2、及び、非中央定位領域に関する音成分の信号S2を抽出する。
【0244】
そして、先行楽曲と後続楽曲とのクロスフェード再生を行うに際して、再生制御部192Bによる制御のもとで、クロスフェード処理部133が、中央定位領域に関する音成分の信号(M1,M2)及び非中央定位領域に関する音成分の信号(S1,S2)のそれぞれに対して、先行楽曲のフェードアウト処理を行い、後続楽曲のフェードイン処理を行う。
【0245】
かかるフェードアウト処理及びフェードイン処理の制御に際して、再生制御部192Bは、先行楽曲の終盤部分及び後続楽曲の先頭部分の音色を解析する。そして、中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に聴感上の違和感が発生し、かつ、非中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に発生する聴感上の違和感が発生し難いと評価した場合には、再生制御部192Bは、中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第1期間の第1期間長を非中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理終了までの第2期間の第2期間長より短くする。
【0246】
また、かかる制御に際して、中央定位領域に関するフェードアウト処理を、中央定位領域に関するフェードイン処理の開始前に終了させるようにして、中央定位領域については、クロスフェード再生を行わないようにする。また、かかる制御に際して、非中央定位領域におけるフェードアウト処理を、非中央定位領域におけるフェードイン処理の開始後に終了させるようにして、非中央定位領域については、クロスフェード再生を行うようにする。
【0247】
このように、中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に聴感上の違和感が発生し、かつ、非中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に発生する聴感上の違和感が発生し難いと評価した場合には、非中央定位領域に関する音成分に対してのみ、クロスフェード再生を行うようにしている。
【0248】
このため、第2実施形態では、中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に聴感上の違和感が発生すると評価される場合に、音楽的な調和が崩れることを抑制することができる。
【0249】
また、第2実施形態では、非中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に聴感上の違和感が発生し、かつ、中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に発生する聴感上の違和感が発生し難いと評価した場合には、再生制御部192Bは、中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第1期間の第1期間長を非中央定位領域に関するフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの第2期間の第2期間長より長くする。
【0250】
また、かかる制御に際して、中央定位領域に関するフェードアウト処理を、中央定位領域に関するフェードイン処理の開始後に終了させるようにして、中央定位領域については、クロスフェード再生を行うようにする。また、かかる制御に際して、非中央定位領域に関するフェードアウト処理を、非中央定位領域に関するフェードイン処理の開始前に終了させるようにして、非中央定位領域については、クロスフェード再生を行わないようにする。
【0251】
このように、非中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に聴感上の違和感が発生し、かつ、中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に発生する聴感上の違和感が発生し難いと評価した場合には、中央定位領域に関する音成分に対してのみ、クロスフェード再生を行うようにしている。
【0252】
このため、第2実施形態では、非中央定位領域に関する音成分に対してクロスフェード再生を行った際に聴感上の違和感が発生すると評価される場合に、音楽的な調和が崩れることを抑制することができる。
【0253】
したがって、第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、複数チャンネルの楽曲に対してクロスフェード再生を行ったときに、クロスフェード期間において、聴感上の違和感の発生を抑制することができる。
【0254】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0255】
例えば、上記の第1実施形態では、中央定位領域に関する音成分及び非中央定位領域に関する音成分の双方で、クロスフェード再生を行うようにした。これに対して、非中央定位領域に関する音成分に対してのみ、クロスフェード再生を行うようにしてもよい。
【0256】
また、上記の第1実施形態では、中央定位領域に関する音成分について、先行楽曲のフェードアウト処理の開始時刻と後続楽曲のフェードイン処理の開始時刻とを同じにし、さらに、先行楽曲のフェードアウト処理の終了時刻と後続楽曲のフェードイン処理の終了時刻とを同じにした(図9)。これに対して、先行楽曲のフェードアウト処理の開始時刻と後続楽曲のフェードイン処理の開始時刻とを異なるようにし、また、先行楽曲のフェードアウト処理の終了時刻と後続楽曲のフェードイン処理の終了時刻とを異なるようにしてもよいことは勿論である。
【0257】
また、上記の第1実施形態では、非中央定位領域に関する音成分について、先行楽曲のフェードアウト処理の開始時刻と後続楽曲のフェードイン処理の開始時刻とを同じにし、さらに、先行楽曲のフェードアウト処理の終了時刻と後続楽曲のフェードイン処理の終了時刻とを同じにした(図9)。これに対して、先行楽曲のフェードアウト処理の開始時刻と後続楽曲のフェードイン処理の開始時刻とを異なるようにし、また、先行楽曲のフェードアウト処理の終了時刻と後続楽曲のフェードイン処理の終了時刻とを異なるようにしてもよいことは勿論である。
【0258】
また、上記の第2実施形態では、再生制御部が、中央定位領域に関する音成分の信号及び非中央定位領域に関する音成分の信号に基づいて、解析情報を作成するようにした。これに対して、Lチャンネルの音成分の信号、及び、Rチャンネルの音成分の信号に基づいて、解析情報を作成するようにしてもよい。また、中央定位領域に関する音成分の信号、非中央定位領域に関する音成分の信号。Lチャンネルの音成分の信号、及び、Rチャンネルの音成分の信号に基づいて、解析情報を作成するようにしてもよい。
【0259】
また、上記の第2実施形態では、楽曲のクロスフェード再生を行う前に、解析情報を作成することとした。これに対して、楽曲のクロスフェード再生時に、解析情報を作成するようにしてもよい。
【0260】
また、上記の第2実施形態では、再生制御部が、解析情報を作成することとした。これに対して、他装置が解析情報を作成し、当該作成された解析情報を再生装置が取得するようにしてもよい。
【0261】
また、上記の第1及び第2実施形態では、中央定位領域に関する音成分の信号及び非中央定位領域に関する音成分の信号のそれぞれに対して、図9,13,14に示される形状の利得関数を用いて、先行楽曲のフェードアウト処理を行い、後続楽曲のフェードイン処理を行うようにした。これらの利得関数の形状は一例であって、音声信号のレベルを一時的に上昇させる関数や聴感的な音量補正を考慮した関数等の他の形状の利得関数を用いて、フェードイン処理及びフェードアウト処理を行ってもよいことは、勿論である。
【0262】
また、上記の第1及び第2実施形態では、中央定位領域に関する音成分の信号及び非中央定位領域に関する音成分の信号のそれぞれに対して、再生制御部が、自動で、先行楽曲のフェードアウト処理を行い、後続楽曲のフェードイン処理を行うようにした。これに対して、中央定位領域に関する音成分の信号及び非中央定位領域に関する音成分の信号のそれぞれに対する、フェードアウト処理の制御の態様及びフェードイン処理の制御の態様を、手動で行うようにしてもよい。
【0263】
こうした場合には、いわゆるディスクジョッキ(DJ)が、中央定位領域に関する音成分の信号及び非中央定位領域に関する音成分の信号のそれぞれに対する、先行楽曲のフェードアウト処理及び後続楽曲のフェードイン処理の入力操作を行う構成にしてもよい。
【0264】
また、上記の第1及び第2実施形態において、クロスフェード処理部を通過した信号MX1,SX1,MX2,SX2に対して、残響音付加等の音響効果を付加するようにしてもよい。
【0265】
また、上記の第1及び第2実施形態では、2チャンネルステレオ方式のステレオ楽曲に対して、クロスフェード処理を行うようにした。これに対して、マルチチャンネルのサラウンド楽曲に対して、クロスフェード処理を行うようにしてもよい。この場合には、例えば、センターチャンネル信号を中央定位領域の音成分の信号とする。また、フロントレフトチャンネル信号及びフロントライトチャンネル信号(双方をまとめて、「フロントチャンネル信号」と記す)を、第1の非中央定位領域に関する音成分の信号とし、リアレフトチャンネル信号及びリアライトチャンネル信号(双方をまとめて、「リアチャンネル信号」と記す)を、第2の非中央定位領域に関する音成分の信号とする。
【0266】
そして、センターチャンネル信号の音成分、フロントチャンネル信号の音成分、リアチャンネル信号の音成分のそれぞれに対して、フェードアウト処理及びフェードイン処理を行うようにしてもよい。この場合に、センターチャンネル信号の音成分におけるフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの期間を第1期間、フロントチャンネル信号の音成分におけるフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの期間を第2期間、リアチャンネル信号の音成分におけるフェードアウト処理の開始からフェードイン処理の終了までの期間を第3期間とした場合に、第1期間、第2期間、第3期間の順番で、期間長を短くすることができる。そして、例えば、第1期間、第2期間及び第3期間のそれぞれについて、クロスフェード再生を行うようにすることができる。
【0267】
上記の再生装置の一部又は全部(音源ユニット、入力ユニット及びスピーカユニットを除く)を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における再生装置の機能を実現するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14