特許第6807938号(P6807938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6807938MEMSアクチュエータパッケージアーキテクチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807938
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】MEMSアクチュエータパッケージアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   B81B 7/02 20060101AFI20201221BHJP
   H02N 2/00 20060101ALI20201221BHJP
   H02N 2/04 20060101ALI20201221BHJP
   H02N 2/12 20060101ALI20201221BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20201221BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20201221BHJP
【FI】
   B81B7/02
   H02N2/00
   H02N2/04
   H02N2/12
   B81B3/00
   G03B17/02
【請求項の数】46
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-543024(P2018-543024)
(86)(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公表番号】特表2018-535844(P2018-535844A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】US2016060115
(87)【国際公開番号】WO2017079298
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年11月5日
(31)【優先権主張番号】62/251,538
(32)【優先日】2015年11月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/012,682
(32)【優先日】2016年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518155867
【氏名又は名称】メムズ ドライブ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シャオレイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,グイキン
(72)【発明者】
【氏名】エヌジー,マシュー
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5713737(JP,B2)
【文献】 特開2014−178317(JP,A)
【文献】 特許第5429111(JP,B2)
【文献】 特表2009−529157(JP,A)
【文献】 特許第4034296(JP,B2)
【文献】 特表2017−513446(JP,A)
【文献】 特表2016−515714(JP,A)
【文献】 特許第5110885(JP,B2)
【文献】 特開2008−48387(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/77945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 7/02
B81B 3/00
G03B 17/02
H02N 2/00
H02N 2/04
H02N 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電子デバイスを複数の方向にアクチュエートするアクチュエータアセンブリであって、
回路基板と面内微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータと面外アクチュエータと光電子デバイスとを含むパッケージを含み、前記光電子デバイスは、複数の導電屈曲部を介して前記面内MEMSアクチュエータの部品と導電結合されており、
前記面外アクチュエータは、前記面内MEMSアクチュエータ及び前記回路基板のうちの少なくとも一方と導電結合されており、
前記面内MEMSアクチュエータは、平面に沿うアクチュエーションを与えることが可能であり、前記面外アクチュエータは、少なくとも前記平面に沿う以外の方向のアクチュエーションを与えることが可能であり、前記回路基板は、プリント回路基板(PCB)及びセラミック基板のうちの一方である、
アクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
前記パッケージは前記回路基板を含み、前記面内MEMSアクチュエータは、側面が外枠で囲まれたプラットフォームを含み、前記プラットフォームは前記光電子デバイスに直接接合されている、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記導電屈曲部は導電性複合ワイヤであって、前記面内MEMSアクチュエータの接点箇所に接合されており、前記面内MEMSアクチュエータの非接点箇所の上方に延びており、前記面内MEMSアクチュエータの部分同士を導電結合しており、前記面内MEMSアクチュエータは更に、更なる接点を介して前記光電子デバイスに結合されている、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
前記光電子デバイスは、前記面内MEMSアクチュエータの上方に配置されて前記面内MEMSアクチュエータに接合されており、前記面内MEMSアクチュエータは前記面外アクチュエータの上方に配置されており、前記面外アクチュエータは前記回路基板の上方に配置されており、前記パッケージは、前記光電子デバイスと前記面内MEMSアクチュエータと前記面外アクチュエータと前記回路基板とを含み、前記面内MEMSアクチュエータ及び前記面外アクチュエータのそれぞれは平面部材である、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記面外アクチュエータは、前記面内MEMSアクチュエータを貫通して延びる導電バイアを介して前記光電子デバイスと導電結合されており、前記光電子デバイスは、前記面内MEMSアクチュエータのプラットフォームに直接結合されており、前記プラットフォームは、側面が前記面内MEMSアクチュエータの外枠で囲まれている、請求項4に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記面内MEMSアクチュエータは、前記光電子デバイスに取り付け可能な可動プラットフォームと、前記プラットフォームの側面を囲む外枠と、を含み、前記導電屈曲部は前記プラットフォームから前記外枠に延びている、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
前記導電屈曲部は、前記プラットフォーム及び前記外枠と、それぞれの接点箇所において結合されているワイヤであって、前記面内MEMSアクチュエータの上方に延びることによって、前記導電屈曲部及び前記面内MEMSアクチュエータの上面の、前記接点箇所間の領域にある部分同士の間に空白領域を形成している、請求項6に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項8】
前記面内MEMSアクチュエータは複数の櫛ドライブセクタを含み、各前記櫛ドライブセクタは、可動部材及び固定部材を含み、カンチレバに結合されており、前記カンチレバは更に、前記複数の櫛ドライブセクタを囲む、前記面内MEMSアクチュエータのプラットフォームに接続されており、前記プラットフォームは側面が前記面内MEMSアクチュエータの外枠で囲まれている、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項9】
各前記櫛ドライブセクタは、平面であり、形状が矩形であり、対向する櫛の複数のペアを含む、請求項8に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項10】
前記複数の櫛ドライブセクタのそれぞれは、対向する櫛の複数のペアを含み、前記対向する櫛のペアのそれぞれのペアは、第1の歯が前記固定部材の固定スパインに結合されている第1の櫛と、第2の歯が前記可動部材の可動スパインに結合されている第2の櫛と、を含み、前記固定スパインは前記可動スパインと平行になるように方向づけられており、前記第1の歯のそれぞれは長さが同じであり、前記第2の歯のそれぞれは長さが同じである、請求項8に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の歯は前記固定スパインから前記第2の櫛に向かって延びており、前記第2の歯は前記可動スパインから前記第1の櫛に向かって延びており、前記第1及び第2の歯は互いに平行に方向づけられており、前記第1の歯と前記第2の歯とのオーバラップ領域では、前記第1の歯のそれぞれの端部が前記第2の歯のそれぞれの端部の間に置かれており、前記第1及び第2の歯の前記それぞれの端部は交互に並ぶように配列されている、請求項10に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の歯の端部が前記第2の歯の端部の間に置かれており、各前記固定スパインでは、前記第1の歯が前記固定スパインの一方の側に接合されており、反対側の歯が前記固定スパインの反対側に接合されており、これらの歯は前記可動部材の別の可動スパインに向かって延びており、前記第1の歯は、前記第1の歯の前記端部が前記第1の歯の他の部分より狭い先細になっており、前記第2の歯は、前記第2の歯の前記端部が前記第2の歯の他の部分より狭い先細になっている、請求項10に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項13】
各前記櫛ドライブセクタは更に、動き制御カンチレバのペアを含み、各カンチレバは、前記櫛ドライブセクタの周辺部に配置されており、前記可動部材と前記固定部材との間に結合されている、請求項10に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項14】
各前記櫛ドライブセクタは、対向する櫛の複数のペアを含み、
前記対向する櫛のペアのそれぞれのペアは、第1の歯が前記固定部材の固定スパインに結合されている第1の櫛と、第2の歯が前記可動部材の可動スパインに結合されている第2の櫛と、を含み、
前記固定スパインは前記可動スパインと平行であり、
前記第1の歯の端部と前記第2の歯の端部とがオーバラップ領域を形成しており、前記オーバラップ領域では、前記第1の歯の隣接する複数の端部が前記第2の歯の隣接する複数の端部の間に置かれており、
各前記櫛ドライブセクタは更に、動き制御カンチレバのペアを含み、各カンチレバは、前記櫛ドライブセクタの周辺部に配置されており、前記可動部材と前記固定部材との間に結合されている、
請求項8に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項15】
前記固定部材は、固定バーと、前記固定バーに垂直な複数の固定スパインとを含み、前記可動部材は、可動バーと、前記可動バーに垂直な複数の可動スパインとを含み、
第1の櫛の第1の歯が前記固定部材の固定スパインから前記可動部材の可動スパインに向かって延びており、第2の櫛の第2の歯が前記可動部材の可動スパインから前記固定部材の固定スパインに向かって延びており、前記固定スパインは前記可動スパインに平行であり、
各前記櫛ドライブセクタにおいて、前記カンチレバは、一端が前記プラットフォームに取り付けられており、他端が、前記櫛ドライブセクタの周辺部において前記可動バーに取り付けられており、前記カンチレバは動き伝達カンチレバを含み、前記動き伝達カンチレバは、前記櫛ドライブセクタの動きを前記プラットフォームの動きに変換して前記プラットフォームを動かし、前記第1の歯は前記第2の歯に平行に方向づけられており、前記プラットフォームは、前記光電子デバイスの下方に配置され、前記光電子デバイスに直接結合されている、
請求項8に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項16】
各前記櫛ドライブセクタにおいて、前記カンチレバは、一端が前記プラットフォームに取り付けられており、他端が前記櫛ドライブセクタに取り付けられており、前記カンチレバは動き伝達カンチレバを含み、前記動き伝達カンチレバは、前記櫛ドライブセクタの動きを前記プラットフォームの動きに変換する、請求項8に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項17】
前記カンチレバの前記一端は、前記櫛ドライブセクタの周辺部に取り付けられている、請求項16に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項18】
前記面外アクチュエータは、前記面内アクチュエータ及び前記光電子デバイスのうちの少なくとも一方に取り付けられるように適合された可動中央ステージを含む、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項19】
前記面外アクチュエータは、平面部材であって、中央ステージと、前記中央ステージの側面を囲む中間ステージと、ビームとを含み、前記ビームは、前記中央ステージを前記中間ステージにつないでいるビーム、前記中間ステージを、前記中間ステージの周辺を囲む外枠につないでいるビーム、及び互いに同心状に配列されている前記中間ステージ同士をつないでいるビームの少なくともいずれかであり、前記面外アクチュエータは、前記中央ステージを、前記面外アクチュエータの平面に垂直な方向にアクチュエートするように構成されている、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項20】
前記面外アクチュエータは平面部材であり、可動中央ステージと、前記中央ステージの側面を囲む中間ステージと、アクチュエーションビームとを含み、前記アクチュエーションビームは、前記中央ステージを前記中間ステージにつないでおり、前記中間ステージを外枠につないでおり、
前記アクチュエーションビームは変形可能であって前記中央ステージをアクチュエートするように適合されており、前記中央ステージは前記面内MEMSアクチュエータのプラットフォーム部分に結合されており、前記プラットフォーム部分は更に、前記面内MEMSアクチュエータの上に配置された前記光電子デバイスに結合されている、
請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項21】
前記アクチュエーションビームは、圧電効果を発生させる為に組み合わせて使用される複数の材料層を含む複合材料で形成されている、請求項20に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項22】
前記複数の材料層は下部連続層と上部不連続層とを含む、請求項21に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項23】
前記アクチュエーションビームは更に、前記中央ステージを前記中間ステージのうちの1つ以上の中間ステージに導電結合している、請求項20に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項24】
前記面外アクチュエータは、中央ステージと、前記中央ステージの側面を囲む同心状の複数の中間ステージと、前記中間ステージの側面を囲む外枠と、前記中央ステージを前記中間ステージのうちの少なくとも1つの中間ステージにつないでいて、前記中央ステージをアクチュエートすることが可能な変形可能アクチュエーションビームと、前記外枠を少なくとも1つの前記中間ステージと結合している屈曲ビームと、を含み、前記屈曲ビームは、動き制御部材及び導電結合部材のうちの少なくとも一方として働く、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項25】
前記面外アクチュエータは、前記パッケージ及び前記回路基板の外側の部品と導電結合されており、前記導電結合は、前記面内MEMSアクチュエータにある穴の中に配置された導電エポキシ又は導電ペースト、或いは共晶接合を介して、並びに前記導電屈曲部を介して行われ、前記導電屈曲部は、前記面内MEMSアクチュエータの上方に延びて、前記面内MEMSアクチュエータの別々の部分同士を水平方向に導電結合するワイヤである、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項26】
前記面外アクチュエータは、別々に可動な複数の平面中央ステージ部分と、前記中央ステージ部分を囲む複数の中間ステージと、前記中央ステージ部分のうちの少なくとも1つの中央ステージ部分を前記中間ステージのうちの少なくとも1つの中間ステージにつないでいるアクチュエーションビームと、を含み、前記アクチュエーションビームは変形可能であり、面外の並進又は回転の動きを前記中央ステージ部分に行わせるように適合されている、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項27】
前記中央ステージ部分のうちの少なくとも1つの中央ステージ部分が、前記面内MEMSアクチュエータのプラットフォームに結合されており、前記光電子デバイスは前記プラットフォーム上に配置されており、前記アクチュエーションビームは、圧電効果を発生させる為に組み合わせて使用される複数の材料層を含む複合材料で形成されており、前記複数の材料層は下部連続層と上部不連続層とを含む、請求項26に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項28】
微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータであって、
光電子デバイスに取り付けられるように適合されたプラットフォームと、
前記プラットフォームを囲み、前記プラットフォームの側面から距離を置いて配置された外枠と、
前記MEMSアクチュエータの上方に延びて、前記プラットフォームと前記外枠とを導電結合している導電屈曲ワイヤと、
複数の櫛ドライブセクタであって、各櫛ドライブセクタは可動部分及び固定部分を含み、前記プラットフォームは前記複数の櫛ドライブセクタを囲んでいる、前記複数の櫛ドライブセクタと、
を含み、
各前記櫛ドライブセクタは、対向する櫛構造の複数のペアを含み、各前記ペアは、第1の歯が固定部材と結合されている第1の櫛構造と、第2の歯が可動部材と結合されている第2の櫛構造と、を含み、前記固定部材は前記可動部材と平行であり、前記プラットフォームと前記可動部材との間にカンチレバが結合されており、
前記第1及び第2の歯は互いに平行に方向づけられており、前記第1の歯の端部と前記第2の歯の端部とがオーバラップ領域を形成しており、前記オーバラップ領域では、前記第1の歯の隣接する複数の端部が前記第2の歯の隣接する複数の端部の間に置かれている、
MEMSアクチュエータ。
【請求項29】
前記第1の歯は、前記第1の歯の前記端部が前記第1の歯の他の部分より狭い先細になっており、前記第2の歯は、前記第2の歯の前記端部が前記第2の歯の他の部分より狭い先細になっている、請求項28に記載のMEMSアクチュエータ。
【請求項30】
前記固定部材は複数の固定スパインを含み、前記可動部材は複数の可動スパインを含み、前記第1の歯は前記固定部材の固定スパインから前記可動部材の可動スパインに向かって延びており、前記第2の歯は前記可動部材の可動スパインから前記固定部材の固定スパインに向かって延びており、前記固定スパインは前記可動スパインに平行である、請求項28に記載のMEMSアクチュエータ。
【請求項31】
前記固定部材は固定バーを含み、前記複数の固定スパインは前記固定バーに垂直であり、前記可動部材は可動バーを含み、前記複数の可動スパインは前記可動バーに垂直である、請求項30に記載のMEMSアクチュエータ。
【請求項32】
各前記固定スパインでは、前記第1の歯が前記固定スパインの一方の側に接合されており、反対側の歯が前記固定スパインの反対側に接合されており、これらの歯は前記可動部材の別の可動スパインに向かって延びている、請求項30に記載のMEMSアクチュエータ。
【請求項33】
前記固定部材は固定バーを含み、前記複数の固定スパインは前記固定バーに垂直であり、前記可動部材は可動バーを含み、前記複数の可動スパインは前記可動バーに垂直であり、各前記櫛ドライブセクタは更に、動き制御カンチレバのペアを含み、各カンチレバは、前記櫛ドライブセクタの周辺部に配置されており、前記固定部材と前記可動部材との間に結合されている、請求項30に記載のMEMSアクチュエータ。
【請求項34】
各前記櫛ドライブセクタは更に、動き制御カンチレバのペアを含み、各カンチレバは、前記櫛ドライブセクタの周辺部に配置されており、前記可動部材と前記固定部材との間に結合されている、請求項28に記載のMEMSアクチュエータ。
【請求項35】
前記カンチレバの一端は、前記櫛ドライブセクタの周辺部において前記可動部材に取り付けられている、請求項34に記載のMEMSアクチュエータ。
【請求項36】
平面形状のアクチュエータデバイスであって、前記アクチュエータデバイスの平面に沿う以外の方向に光電子デバイスをアクチュエートすることが可能な前記アクチュエータデバイスであって、
可動中央ステージと、前記中央ステージの側面を囲む複数の中間ステージと、前記中央ステージを前記中間ステージのうちの少なくとも1つの中間ステージにつないでいるアクチュエーションビームと、を含み、前記アクチュエーションビームは変形可能であって、前記中央ステージをアクチュエートするように適合されており、
前記中央ステージは、前記光電子デバイス、又は前記中央ステージ上に配置される別のアクチュエータに取り付けられるように適合されている、
アクチュエータデバイス。
【請求項37】
前記中間ステージを前記中間ステージを囲むプラットフォームと結合している別のアクチュエーションビームを更に含み、前記中間ステージは複数の同心状の中間ステージを含む、請求項36に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項38】
前記アクチュエーションビームは圧電材料で形成されており、前記方向は、前記平面に垂直な方向を含む、請求項36に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項39】
前記アクチュエーションビームは、圧電効果を発生させる為に組み合わせて使用される複数の材料層を含む複合材料で形成されている、請求項38に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項40】
前記アクチュエーションビームは更に、前記中央ステージを前記中間ステージのうちの1つ以上の中間ステージに導電結合しており、更に、前記中間ステージのうちの少なくとも1つの中間ステージに外枠を結合している屈曲ビームを含み、前記屈曲ビームは、動き制御部材及び導電結合部材のうちの少なくとも一方として働く、請求項38に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項41】
前記中央ステージは、別々に可動な複数の中央ステージ部分を含み、前記アクチュエーションビームは、前記中央ステージ部分のうちの少なくとも1つの中央ステージ部分を前記中間ステージのうちの少なくとも1つの中間ステージにつないでおり、前記アクチュエーションビームは変形可能であり、面外の動きを前記中央ステージ部分に行わせるように適合されている、請求項36に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項42】
前記中央ステージ部分のそれぞれは、前記面内MEMSアクチュエータのプラットフォームに結合されており、前記光電子デバイスは前記プラットフォーム上に配置されており、前記アクチュエーションビームは圧電材料で形成されている、請求項41に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項43】
光電子デバイスをアクチュエートするアクチュエータアセンブリであって、
微小電気機械システム(MEMS)アクチュエータと光電子デバイスとを含むパッケージを含み、
前記MEMSアクチュエータは、前記光電子デバイスに取り付けられたプラットフォームと、前記プラットフォームを囲む外枠と、前記プラットフォームと前記外枠とをそれぞれの接点箇所において導電結合する導電屈曲部と、を含み、前記導電屈曲部は、前記接点箇所間の領域において前記MEMSアクチュエータの上方に延びるワイヤであり、
前記MEMSアクチュエータは、前記プラットフォームに囲まれた複数の櫛ドライブセクタを含み、各前記櫛ドライブセクタは可動部材及び固定部材を含み、前記複数の櫛ドライブセクタのそれぞれは、対向する櫛の複数のペアを含み、前記対向する櫛のペアのそれぞれのペアは、第1の歯を有する第1の櫛と、第2の歯を有する第2の櫛とを含み、オーバラップ領域において、前記第1の歯のそれぞれの端部が前記第2の歯のそれぞれの端部の間に置かれており、
前記光電子デバイスは、少なくとも前記導電屈曲部を介して、前記MEMSアクチュエータの部品に電気的に結合されている、
アクチュエータアセンブリ。
【請求項44】
前記光電子デバイスは前記プラットフォームの上面の上に配置されて前記上面と接合されており、前記第1の歯は、前記第1の歯の前記端部が前記第1の歯の他の部分より狭い先細になっており、前記第2の歯は、前記第2の歯の前記端部が前記第2の歯の他の部分より狭い先細になっている、請求項43に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項45】
前記第1の歯はそれぞれが固定スパインに結合されており、前記第2の歯はそれぞれが、前記固定スパインに平行に方向づけられた可動スパインに結合されている、請求項44に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項46】
前記第1の歯は前記固定スパインから前記第2の櫛に向かって延びており、前記第2の歯は前記可動スパインから前記第1の櫛に向かって延びており、前記第1及び第2の歯は互いに平行に方向づけられており、前記オーバラップ領域では、前記第1及び第2の歯のそれぞれの端部が交互に並ぶように配列されており、前記アクチュエータアセンブリは更にカンチレバを含み、前記カンチレバは、一端が前記プラットフォームに取り付けられており、他端が、前記櫛ドライブセクタの周辺部において前記可動部材に取り付けられている、請求項44に記載のアクチュエータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年11月5日に出願された米国特許仮出願第62/251,538号、件名「MEMSアクチュエータアーキテクチャ(MEMS Actuator Architecture)」の利益を主張する、2016年2月1日に出願された米国実用出願第15/012,682号、件名「MEMSアクチュエータパッケージアーキテクチャ(MEMS Actuator Package Architecture)」の利益を主張するものである。各出願の内容は、参照により、全内容が記載されているかのように本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、全般的にはアクチュエータに関し、特に、様々な設計及び様々なパッケージの光電子デバイスを動かすように構成された小型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0003】
電子信号を機械の動きに変換する為にアクチュエータが使用される。例えば、ポータブル装置、撮像関連デバイス、通信用部品、医療機器などのような様々な用途においては、その用途の小型サイズ、低電力、コストなどの制約内に収まる小型アクチュエータが有用であろう。
【0004】
微小電気機械システム(MEMS)技術は、その最も一般的な形態においては、微細加工技術を用いて製造される、小型化された機械的要素及び電気機械的要素として定義されてよい技術である。MEMSデバイスの重要な寸法は、1ミクロンをはるかに下回る寸法から数ミリメートルまで様々であってよい。一般に、MEMSアクチュエータは、従来のアクチュエータより小型であり、消費電力が小さい。
【0005】
カメラにおいて自動焦点合わせ(AF)や光学式手ぶれ補正(OIS)の為にイメージセンサを動かすことなど、用途によっては、アクチュエータを使用して、多数の電気的入出力を有する光電子デバイスを動かす。例えば、フカダ等(Fukada et al.)による欧州特許第0253375号、件名「2次元圧電アクチュエータ(Two−Dimensional Piezoelectric Actuator)」は、イメージセンサを平面内で動かすことに使用可能な2次元アクチュエータの設計を教示している。しかしながら、フカダによって教示されたアクチュエータは、大きく、スペースに制約がある用途には適さない。例えば、フカダのアクチュエータは、大きなスタンドアロンのデジタルカメラであれば、他のより小さいデバイスのスペース制約に伴って使用される可能性がある。
【0006】
従来のアクチュエータと異なり、MEMSアクチュエータは、例えば、携帯電話の小型カメラの中で特定の受動部品を動かしたり位置決めしたりすることに使用される場合がある。例えば、米国特許第8,604,663号、件名「動き制御アクチュエータ(Motion controlled actuator)」、及び米国特許出願公開第2013/0077945(A1)号、件名「MEMSベースの光学式手ぶれ補正(Mems−Based Optical Image Stabilization)」は、(例えば、携帯電話内で使用される)小型カメラのレンズを動かすMEMSアクチュエータを教示している。しかしながら、これらのMEMSアクチュエータはいずれも、多数の電気的入出力を有する光電子デバイスを動かすことができない。更に、これらのMEMSアクチュエータはいずれも、複雑さ、サイズ、及びコストを高める配備機構を利用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、プラットフォームを多自由度で動かしたり位置決めしたりするアクチュエータを対象とする。空間における剛体の位置及び方位は、並進の3成分と回転の3成分とによって画定され、本開示は、6自由度を与えるアクチュエータアセンブリを提供する。様々な実施形態では、アクチュエータは、面内のXYの動きの為の静電櫛ドライブアクチュエータと、面外の動きの為の圧電「Z」アクチュエータとを含む。本開示の様々な実施形態では、パッケージが2つのアクチュエータを含み、これらのアクチュエータは、面内のXYの動きの為の櫛ドライブアクチュエータであって、MEMSアクチュエータであり、XY(「面内」)MEMSアクチュエータとも呼ばれるアクチュエータと、XY平面に垂直な方向を含む複数の方向の動きを与えるZ(「面外」)アクチュエータとを含む。つまり、回転及び並進の動きを含む6自由度は、アクチュエータの組み合わせによって与えられる。様々なパッケージ実施形態では、Zアクチュエータは下面にマウントされ、MEMSアクチュエータはZアクチュエータの上にマウントされ、XY面内MEMSアクチュエータの上に光電子デバイスがマウントされているが、別の実施形態では別のマウント構成及びパッケージング構成が使用される。携帯電話又は他の光電子装置又は電子装置では、光電子デバイス又は他のデバイスを位置決めする為にアクチュエータが使用される。別の実施形態では、パッケージはアクチュエータを1つだけ含み、これはXY面内MEMSアクチュエータである。
【0009】
様々な実施形態では、XY面内アクチュエータは、4つ又は偶数個の櫛ドライブセクタを有する。実施形態によっては、各櫛ドライブは、形状が矩形又は正方形であり、櫛ドライブの外縁の近くに動き制御カンチレバが配置されている。各櫛ドライブセクタには、フィンガ同士が平行に動くことを可能又は確実にする為の動き制御屈曲部のペアがある。XY面内アクチュエータの中心の周囲に偶数個の櫛ドライブが規則正しく配置されてよく、櫛ドライブの動きは、キーカンチレバ屈曲部を介してほとんどロスなくペイロードプラットフォームに伝達される。光電子デバイスなどのデバイスが接合されるペイロードプラットフォームは、任意の様々な光電子デバイスに取り付け可能である。実施形態によっては、光電子デバイスは100mgもの質量であってよい。XY面内アクチュエータの実施形態によっては、1つの櫛ドライブセクタが固定櫛と可動櫛とを有し、固定櫛は、グルー又は他の方法で固定部分に貼り付けられてよく、可読櫛は、長い動き伝達カンチレバにつながれている。
【0010】
様々な実施形態では、長いカンチレバの一端がペイロードプラットフォームにつながれており、他端が櫛ドライブの可動櫛につながれている。カンチレバは、1つの並進及び回転の自由度ではより可撓であり、他の自由度では堅いように設計され、これは、カンチレバが異なる動きモードを切り離して、例えば、XY間の干渉を避けることを確実に行えるようにする為である。
【0011】
本開示のアクチュエータ及びアクチュエータアセンブリは、非常に可撓且つロバストであるという利点がある。実施形態によっては、アクチュエータのうちの1つ以上が、屈曲電気的接続部又は可撓性電気的接続部を含む。参照によって内容が完全に記述されているかのように本明細書に組み込まれている米国特許出願第14/677,730号において示されているように、可撓性を可能にする為に、座屈されて屈曲した電気的接続部、即ち、屈曲電気的接続部又は可撓性電気的接続部が使用される。アクチュエータの製造は、市販の、又は他の標準的又は非標準的なMEMS製造/加工技術、並びにMEMSプロセスフロー(トレンチ深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)、酸化、ポリ充填、金属堆積、DRIE及びRIEリリースを含む)を用いて行われてよい。本開示の屈曲電気的接続部は、動き制御屈曲部ではない為、最小限の剛性を有すると同時に導電性であるように設計されている。可撓性電気的接続部は、XYの動きとZの動きとを実現する為にX、Y、Zの各方向に動くことが可能である。一例示的実施形態では、可撓性電気的接続部の3D図を示した。これらの接続部は、これらと結合される面の上方に湾曲することによって必要な可撓性を実現している。実施形態によっては、可撓性電気的接続部の一端がデバイスの可動部分に接続されており、他端がデバイスの固定部分に接続されている。この屈曲接続部は導電性である。実施形態によっては、この導電性は、シリコンなどの材料面に堆積された合金層によって与えられる。可撓性電気的接続部は、様々な実施形態では複合材料で形成されてよく、酸化物、シリコン、ポリシリコン、金属などのような複数の層を含んでよい。
【0012】
実施形態によっては、XY面内アクチュエータの各櫛ドライブセクタは櫛のペアを含み、このペアは、固定スパインに取り付けられた固定フィンガの櫛と、可動スパインに取り付けられた可動フィンガの櫛とを含む。各フィンガペアにおいては、電気信号が印加されたときに力がなめらかに立ち上がるように、フィンガ先端同士がオーバラップしてよく(図5を参照)、例えば、10〜50μmのオーバラップがあってよく、これに限定されない。
【0013】
一実施形態では、Z面外アクチュエータへのMEMS面内XYアクチュエータのマウントは、グルー又は他の方法で面内XYアクチュエータの中心及び外枠をZ面外アクチュエータに貼り付けることによって行われ、Z面外アクチュエータは、PCB又はセラミック回路基板のような回路基板に貼り付けられる。Zアクチュエータが利用されない実施形態などの様々な実施形態において、面内XYアクチュエータは、回路基板に直接貼り付けられてもよい。XYアクチュエータは、櫛ドライブセクタの外枠及び固定部分が回路基板に直接マウントされるように、マウントされてよい。XYアクチュエータがZアクチュエータ又は回路基板にマウントされると、中心固定部分及び外枠は同じ平面に固定される為、組み立て中にオフセットは不要である。これにより組立フローが簡略化される。
【0014】
各櫛ドライブセクタにおいては、多数の櫛のペアがあってよい。実施形態によっては、1つの櫛ペアが中央スパインを有し、そのスパインに2つの側からフィンガが取り付けられる。各側のフィンガが、櫛スパインをそれぞれの面内方向に動かす。スパインの形状は、様々な実施形態において様々であってよく、多様且つ不規則であってよい。フィンガとスパインとの間の角度は様々であってよい。導電屈曲部を含む電気的接続部は、フィンガ櫛から可動プラットフォームへのルーティングを行い、その後、表面上のパターン及び3D可撓性屈曲部を介して、固定された外側固定バーへのルーティングを行う。様々な方位のフィンガ櫛が絶縁層によって電気的に切り離されており、絶縁層はMEMSプロセスにより堆積されている。各セクタのXとYの面内の動きを切り離すことで、動きの多様な組み合わせを実現することが可能である。
【0015】
本開示の一実施形態では、パッケージは、セラミック回路基板と、圧電面外アクチュエータと、圧電面外アクチュエータの上にマウントされたMEMS面内アクチュエータと、MEMS面内アクチュエータの上にマウントされた光電子デバイスと、窓を有するカバーと、を含む。一実施形態では、電気信号がアクチュエーションビームに印加されると、面内Zアクチュエータが変形して、光電子デバイスを並進及び回転によって面外に動かす。更なる実施形態では、MEMS静電面内アクチュエータ、及び圧電アクチュエータであってよい面外Zアクチュエータの様々な構成を利用して、更なる動きを実現する。他の様々な小型アクチュエータを使用して、6自由度もの様々なタイプの動きを実現することが可能である。
【0016】
圧電面外Zアクチュエータの様々な実施形態を開示している。本開示のパッケージング方法は、面外Z圧電アクチュエータが、光電子デバイスのマスと面内アクチュエータの可動マスとを面外方向に動かす機能性を保証する。本方法により、圧電アクチュエータのペイロード要件が軽減され、それによって、アクチュエータ内の限られた空間でのアクチュエーションビーム及び電気的接続屈曲部の設計の柔軟性を高めることが可能になる。2種類のビーム(アクチュエーションビーム及び電気的接続屈曲ビーム)により、Z方向での必要な可撓性、並びに他の方向での高剛性が実現されている。
【0017】
実施形態によっては、圧電面外Zアクチュエータは、ペイロードに取り付けられる1つ以上の中央ステージと、アクチュエータを固定する外枠と、中間ステージと、1つ以上のアクチュエーションビームと、導電屈曲部とを含む。中間ステージは複数個あってよく、これらは、アクチュエーションビームと導電屈曲部とを同じレベルでつなぐように働く。アクチュエーションビーム及び電気的接続屈曲ビームは、剛性要件を満たすように設計されており、剛性要件は、例えば、移動方向の剛性は低めでなければならないが、他の方向の剛性は格段に高くなければならないというものである。力要件及び電気的接続要件を満たす為に、各レベルにおけるアクチュエーションビーム及び導電屈曲部の数は様々であってよい。アクチュエーションビームは、電気信号が有極PZT材料にかけられたときに変形することにより、必要な変形を実現する。アクチュエータの形状は、様々な実施形態において様々である。
【0018】
本開示の別の態様では、下面圧電面外Zアクチュエータの様々な電気的接続方法を開示している。実施形態によっては、面外Zアクチュエータは、面内MEMSアクチュエータの穴を通る電気的接続部を含んでよい。穴の中の導電エポキシ、銀ペースト、又は電気めっき銅で圧電面外Zアクチュエータと面内MEMSアクチュエータとを電気的に接続することが可能であるが、別の実施形態では別の導電接続方法が使用される。
【0019】
本開示の別の態様では、パッケージアセンブリの全体フローシーケンスを提供している。このパッケージングシーケンスは、2つのアクチュエータを組み合わせて、様々な実施形態によるパッケージにする方法を提供する。このパッケージ方法は、機械的側面及び電気的側面の要件を満たす。
【0020】
本発明は、以下の詳細説明を添付図面と併せて読むことにより、最もよく理解される。一般的な慣行として、本図面における様々な形状は縮尺が必ずしも正しくないことに注意されたい。逆に、様々な形状の寸法は、分かりやすくする為に任意に伸長又は短縮されている場合がある。本明細書及び図面の全体を通して、類似の参照符号は類似の要素を表す。
【0021】
図面は、説明のみを目的として提供しており、本開示の典型的又は例示的な実施形態を示しているに過ぎない。図面については「発明を実施するための形態」において詳述しており、以下の各例は、本開示技術に対する読み手の理解を容易にする為のものであって、包括的であること、又は本開示を開示の形態に厳密に限定することを意図していない。当然のことながら、本開示は修正又は改変されて実施されてよく、そのような修正及び改変ば特許請求の範囲の1つ以上のクレームでカバーされており、本開示は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されてよい。分かりやすさ、及び説明しやすさの為に、これらの図面の縮尺は必ずしも正しくない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の様々な実施形態によるパッケージの、カバーがない斜視図である。
図2A】本開示の様々な実施形態による、光電子デバイスを有する面内アクチュエータの平面図である。
図2B】本開示の様々な実施形態による、光電子デバイスを有する面内アクチュエータの斜視図である。
図3】本開示の様々な実施形態による面内アクチュエータの上面図である。
図4】本開示の様々な実施形態による櫛ドライブセクタの上面図である。
図5】本開示の様々な実施形態による櫛ペアの平面図である。
図6】本開示の様々な実施形態による櫛ペアのフィンガの上面図である。
図7A】本開示の様々な実施形態による、面内アクチュエータと面外アクチュエータとの組み合わせの2D上面図である。
図7B】本開示の様々な実施形態による、図7Aに示されたような面内アクチュエータと面外アクチュエータとの組み合わせの斜視背面図である。
図8】本開示の様々な実施形態による面外アクチュエータを示す図である。
図9A】本開示の様々な実施形態による2アクチュエータパッケージの断面図である。
図9B】本開示の様々な実施形態による2アクチュエータパッケージの拡大断面図である。
図10】本開示の様々な実施形態による、変形している面外Zアクチュエータと、面内アクチュエータとの断面図である。
図11A】乃至
図11B】本開示の様々な実施形態による圧電アクチュエータのアクチュエーションビームの、それぞれ、断面図及び上面図である。
図12】本開示の様々な実施形態による、面内自由度及び面外自由度におけるプラットフォームを含むパッケージの組立フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、電気的接続を有するプラットフォームを動かす(即ち、アクチュエートする)システム、方法、及び装置の様々な実施形態を対象とし、これらのパッケージングを含む。以下、本明細書では、本開示のシステム、方法、及び装置の幾つかの例示的実施形態について詳細に説明する。当業者であれば、本明細書、図面、実施例、及び特許請求の範囲を吟味することにより、本開示の他の特徴、目的、及び利点が明らかになるであろう。そのような他のあらゆるシステム、方法、装置、特徴、及び利点など(これらに対する修正を含む)が本明細書に包含されるものとし、本開示の範囲内にあるものとし、添付の特許請求の範囲のうちの1つ以上のクレームによって保護されるものとする。
【0024】
本明細書において詳述する実施形態によれば、アクチュエータ(そのパッケージングを含む)は、様々な装置や環境で使用されてよく、例えば、ポータブル電子装置、小型カメラ、光通信用部品、医療機器などにおいて使用されてよい。アクチュエータは、光電子デバイスをそれらの環境内で位置決めするように働く。本開示のアクチュエータの特徴は、全般的には、低電力消費を達成し、非常に小型であってスペースの犠牲を最小限に抑えながら、これらの様々な実施形態において多自由度のプラットフォームを高精度で動かしたり位置決めしたりすることを可能にすることである。
【0025】
ここで図面を参照すると、図1は、本開示の様々な実施形態による、カバーがない状態で示されたパッケージ10の3D斜視図を示す。パッケージ10は、セラミック又は通常の回路基板12と、接点パッド14と、ドライバ11と、電子部品13と、可撓性回路20と、コネクタ21と、面内アクチュエータパッケージ15(面内MEMSアクチュエータを含む)と、光電子デバイス154と、面外アクチュエータ160(これは面内アクチュエータ15の下に配置される)と、を含む。回路基板12は、実施形態によっては、プリント回路基板(PCB)であってよい。光電子デバイス154は、様々な実施形態においてイメージセンサ、レンズ、ディスプレイなどのデバイスであってよい。電子部品13は、任意の様々な電子部品や電子デバイス、或いは半導体部品や半導体デバイスを表していてよい。可撓性回路20は可撓性回路基板又は他の可撓性回路であってよく、コネクタ21は、パッケージ10の部品と外部との間の接続を与える。
【0026】
様々な実施形態においてスペースの犠牲を最小限に抑える為に、回路基板の凹部の内側に2つのアクチュエータがコンパクトに詰め込まれている。回路基板12の開口部又は凹部は、様々な実施形態において深さが様々であってよく、実施形態によっては、アクチュエータを回路基板12に接合する為にエポキシが使用される。実施形態によっては、記載される部品は、様々なエポキシや他の接着剤により、回路基板の上面に接合されてよい。MEMSアクチュエータ、即ち、面内MEMSアクチュエータ150の外枠上に接点パッドがあり、回路基板12上にも接点パッドがある。回路基板上の接点パッド14は、MEMS面内アクチュエータパッケージ15上のパッドに対応してよい。面内アクチュエータパッケージ15は、後述する静電櫛ドライブアクチュエータであってよく、面外アクチュエータ160は圧電アクチュエータであってよいが、別の実施形態では別のタイプのアクチュエータや別のアクチュエータ配列が使用される。パッケージ10では2つのアクチュエータが組み合わされてよい。実施形態によっては、長期開発のコストを節約する為に、面外アクチュエータ160と面内アクチュエータパッケージ15とがMEMS加工作業により同時に組み立てられる(即ち、同じシーケンスの加工作業で組み立てられる)。図示した実施形態では、2つのアクチュエータ、即ち、面内アクチュエータパッケージ15及び面外アクチュエータ160を示しているが、別の実施形態では更に多くのアクチュエータが使用されてよく、組み立てられたパッケージの様々な場所に他の部品が含まれてよい。
【0027】
図2Aに示すように、面内アクチュエータパッケージ15は、取り付けられた光電子デバイス154と、面内MEMSアクチュエータ150とを含む。面内MEMSアクチュエータ150は、外枠151と、屈曲電気的接続部152と、ペイロードを取り付ける為のプラットフォーム153と、取り付けられた光電子デバイス154と、アクチュエーションセクタ(図3に示す櫛ドライブセクタ155)とを含む。光電子デバイス154は、面内MEMSアクチュエータ150のプラットフォーム153に貼り付けられ、この貼り付けは、グルー又は他の様々な接着剤、又は他の材料と、共晶接合などの接合方法とによって行われてよい。様々なグルーやエポキシが使用されてよい。別の実施形態では、別のデバイスがアクチュエートされてよく、面内MEMSアクチュエータ150のプラットフォーム153に結合されてよい。
【0028】
図2Bに示すように、面内MEMSアクチュエータ150の屈曲(即ち、可撓性)電気的接続部152は、上方に湾曲して座屈することによって必要な可撓性を達成している。図示した実施形態では、可撓性電気的接続部152は、一端が、可動部分であるプラットフォーム153に取り付けられており、他端が、固定部分である外枠151に取り付けられる。可撓性電気的接続部152は、面内MEMSアクチュエータ150の平面、即ち、上面の上方に延びて、面内MEMSアクチュエータ150の、水平方向に離れている部品同士を導電結合する導電ワイヤである。可撓性電気的接続部152は、光電子デバイス154及び面内MEMSアクチュエータ150のアクチュエーション領域から外側回路基板12まで電気信号を伝達する。外枠151は、エポキシ又は他の様々な適切な材料又は器具を使用して、(図1に示した)回路基板12に貼り付けられてよい。
【0029】
図3は、本開示の様々な実施形態による面内アクチュエータの上面図である。図3は、面内MEMSアクチュエータ150の詳細を示している。外枠151は4本のバー151aを含み、これらは、詳細には間隔を置いて配置されているように示されているが、バー151a同士は、ラッチ又は他の方法で互いに接合されており、これが、図2に示したような、様々な実施形態における外枠151になっている。又、実施形態によっては、バー151a同士が互いに接合されない。外枠151上に多数の接点パッド156があり、これらは可撓性電気的接続部152の一端に接続される。プラットフォーム153は多数の接点パッド157を含み、これらも可撓性電気的接続部152の他端に接続される。光電子デバイス154(図3には示さず)上の接点パッドは、対応するパッド157に結合されてよく、この結合は、従来のCOB法、導電エポキシ、銀ペースト、又はMEMS接合方法で行われるが、別の実施形態では別の適切な接合方法が使用される。
【0030】
図3に示すように、櫛ドライブセクタ155は、プラットフォーム153の内側に配置されたアクチュエーションセクタである。櫛ドライブセクタ155は、同一平面内に配置され、側面がプラットフォーム153で囲まれている。面内MEMSアクチュエータ150は、複数の櫛ドライブセクタ155を含む。各櫛ドライブセクタ155は、可動部分と固定部分とを含み、カンチレバ1552に結合されており、カンチレバ1552は更にプラットフォーム153に接続されている。図3に示したプラットフォーム153の内側には4つの櫛ドライブセクタ155があるが、別の実施形態ではこれ以外の個数の櫛ドライブセクタが使用される。図示した実施形態では、櫛ドライブセクタ155は、MEMSアクチュエータ150の中心の周囲に規則正しく配置されている。櫛ドライブセンサ155の形状は、有利なことに矩形であってよい。別の実施形態では別の配列及び形状が使用されてよい。図3に示した可撓性電気的接続部152の湾曲形状は、説明の為に与えられており、形状の一例を示しているが、別の実施形態では他の様々な形状の電気的接続部152が使用される。図3に示すように、各櫛ドライブセクタ155は、1つの長いカンチレバ1552とつながることで、カンチレバ1552を経由して櫛フィンガの動きからプラットフォームの動きへの動き変換を行う。カンチレバ1552は、一端がプラットフォーム153に取り付けられ、他端が櫛ドライブセクタ155に取り付けられて、櫛ドライブセクタ155から、光電子デバイスが接合されたプラットフォーム153への動き変換を行う。様々な実施形態においてカンチレバ1552の個数と櫛ドライブセクタ155の個数とが一致する。従って、カンチレバ1552は動き伝達カンチレバ1552と呼ばれてよい。
【0031】
図4は、本開示の様々な実施形態による櫛ドライブセクタ155の態様の上面図を示す。各櫛ドライブセクタ155は、櫛ドライブの外側に配置された動き制御カンチレバ1551と、可動枠1554と、可動スパイン1553と、固定スパイン1557と、固定枠1556(これは組立時に回路基板に貼り付けられてよい)と、長い動き伝達カンチレバ1552(一端が可動枠1554に接続され、他端が可動プラットフォーム153に接続されている)とを含む。櫛ドライブセクタ155は、固定部材と可動部材とを含み、固定部材は、固定枠1556と、固定枠1556に垂直な複数の固定スパイン1557とを含み、可動部材は、可動枠1554と、可動枠1554に垂直な複数の可動スパイン1553とを含む。動き伝達カンチレバ1552は、1つの並進及び回転の自由度においてはより可撓であるが、他の自由度においては非常に堅く、これは、カンチレバ1552が異なる動きモードを切り離せるようにする為、即ち、所望の方向に動いてXY間の干渉をなくせるようにする為である。可動スパイン1553及び固定スパイン1557はともに、図5及び6に示すように、必要な動きを実現する為の多数のフィンガが取り付けられている。可動スパイン1553及び固定スパイン1557のそれぞれには、様々な数のフィンガが関連付けられて(即ち、結合されて)よい。様々な実施形態では、各櫛ドライブセクタ155は、櫛ドライブセクタ155の2つの側面に離されて配置された2つの動き制御カンチレバ1551を含む。様々な実施形態では、各カンチレバ1551は、一端が可動枠1554に取り付けられており、他端が固定枠1556に取り付けられている。この配列により、櫛フィンガ同士が弧状の動きを最小限に抑えて平行に動くことが有利に可能となる。
【0032】
図5は、本開示の様々な実施形態による櫛ドライブセクタ155の櫛ペアの平面図を示す。櫛ドライブセクタの各櫛ペアは、2列の可動フィンガと2列の固定フィンガとを含む。図5に示すように、固定スパイン1557は、一方の側で1列のフィンガ15571に取り付けられており、他方の側で1列のフィンガ15572に取り付けられている。フィンガ15571及び15572は固定フィンガである。可動スパイン1553は、固定フィンガ列15571とペアを組む1列のフィンガ15573と、固定フィンガ列15572とペアを組む1列のフィンガ15574とを有する。フィンガ15573及び15574は可動フィンガである。フィンガ15571、15572、15573、及び15574、又はフィンガ15571、15572、15573、及び15574の少なくとも各中心軸は全てが互いに平行であり、それらが結合されているそれぞれのスパインに略垂直であるが、別の実施形態では別の配列及び様々な角度が使用される。これらのフィンガは、実施形態によっては長さ全体にわたって幅が一定であり、実施形態によっては先細である。幾つかの構成によれば、フィンガペア15573の各フィンガは、電気信号が印加されると+X方向に平行に動き、フィンガペア15574の各フィンガは、電気信号が印加されると−X方向に平行に動く。
【0033】
フィンガ15571、15572、15573、及び15574は、櫛構造の歯と呼ばれることもある。
【0034】
図6は、本開示の幾つかの実施形態によるフィンガペアの平面図を示す。固定スパイン1557は、可動スパイン1553と平行である。フィンガ15572とフィンガ15574のペアは、オーバラップ領域15575において距離15576だけオーバラップしており、この距離は、実施形態によっては約10〜50ミクロンであってよいが、別の実施形態では別の距離が使用されてよい。図に示すように、オーバラップ領域15575は、フィンガ15572の端部がフィンガ15574の端部を通り過ぎて延びる距離15576を表す。フィンガ15572とフィンガ15574は同じ平面内にある。フィンガ15572の端部とフィンガ15574の端部は、フィンガ15572の隣接する端部がフィンガ15574の隣接する端部の間に入るオーバラップ領域15575を形成する。オーバラップ領域15575では、第1のフィンガ15572と第2のフィンガ15574とが、それぞれの端部同士が交互に並ぶように配列されている。実施形態によっては、フィンガは先細になっている。即ち、フィンガの先端は、フィンガが可動スパイン1553又は固定スパイン1557に接合されている場所より狭くなっている。先細の度合いは様々であってよい。オーバラップ領域15575によって与えられるフィンガ同士のオーバラップにより、電圧又は電荷量が増大する際に十分な初期アクチュエーション力が確実に得られ、これにより、アクチュエータは、急にジャンプすることなく、電圧対移動量のプロットどおりに徐々に動くことが可能になる。フィンガ高さは、MEMS組立工程の様々な側面、並びに設計の様々な側面によって決定されてよい。様々なフィンガ長さ15579、フィンガギャップオーバラップ15575の距離15576、フィンガギャップ(隣接するフィンガ同士の間隙)、及びフィンガ先細角度が、様々な実施形態において使用され、様々な設計要因、用途の検討、及び製造性の検討によって決定されてよい。フィンガ長さ15579、フィンガギャップオーバラップ15575の距離15576、フィンガギャップ(隣接するフィンガ同士の間隙)、及びフィンガ先細角度を最適化することにより、限られた電圧範囲で必要な移動量が達成される。実施形態によっては、それぞれのスパインに取り付けられたフィンガ(例えば、可動スパイン1553に取り付けられたフィンガ15574)のそれぞれが、同じ長さ15579であり、互いに平行に配列されて矩形形状を形成する。
【0035】
図7A及び7Bは、本開示の様々な実施形態による、面内アクチュエータと面外アクチュエータとの組み合わせの一実施形態の、それぞれ、上面図及び下面図を示す。面内MEMSアクチュエータ150と面外アクチュエータ160は、面内MEMSアクチュエータ150の櫛ドライブセクタ155の中心において、更には面内MEMSアクチュエータ150の外枠151において、互いに接続されている。中央部分では、面外アクチュエータ160の中央ステージ168が、面内MEMSアクチュエータ150の(既に詳細に示した)櫛ドライブセクタ155に取り付けられている。カンチレバ1552は前述のとおりである。面外アクチュエータ160が放射方向に堅く、且つ、面外アクチュエータ160が中央において櫛ドライブセクタ155に接合されていることから、面外アクチュエータ160は、面内アクチュエータ150が面内で動いているときに面内の動きを発生させたり与えたりすることはない。様々な実施形態では、アクチュエータ150は、面外方向には非常に堅く、動きにくい。従って、面内アクチュエータ150は、面外アクチュエータ160が動いているときに面外の動きを与えることはない。
【0036】
図7A及び7Bに示すように、可撓性電気的接続部152は、この実施形態ではアクチュエータ150内で電気信号を通し、更に、様々な実施形態では、電気信号の、面外アクチュエータ160へのルーティングを行う。可撓性電気的接続部152は、剛性が非常に低いように設計されてよく、可撓性電気的接続部152は、電気部品同士が導電結合されるように、高い導電率を有する。可撓性電気的接続部152は、X、Y、Zの各方向に動くことにより、XYアクチュエータ及びZアクチュエータの要件を満たすことが可能である。可撓性電気的接続部152は、図2Bに示したように、上方に湾曲することによって必要な可撓性を達成している。可撓性電気的接続部152は導電率が高い。様々な実施形態では、可撓性電気的接続部152は、ポリシリコン、シリコン酸化物、シリコンなどの適切な半導体面の上に配置される合金層で形成される。可撓性電気的接続部152の材料は、複合材料であってよく、複数の層を含んでよく、これらの層は、酸化物、シリコン、ポリシリコン、アルミニウム、銅、及び金属を含み、これらに限定されない。
【0037】
図8は、本開示の様々な実施形態による面外アクチュエータ160の上面斜視図を示す。面外アクチュエータ160は、実施形態によっては圧電アクチュエータであるが、別の実施形態では別のアクチュエータが使用される。面外アクチュエータ160は、複数の方向のアクチュエーションを行うものであり、この方向は、面外アクチュエータ160の平面に垂直な方向、即ち、面外アクチュエータ160のXY平面に対するZ方向の方向を含む。面外アクチュエータ160は、ペイロード、即ち、アクチュエートされる光電子デバイス又は他の光学デバイス又は電子デバイスが取り付けられる中央ステージ168を含む。面外アクチュエータ160は更に、アクチュエータを固定する外枠161と、中間ステージ163及び164と、アクチュエーションビーム162、165、及び167と、導電屈曲部164とを含む。図示した実施形態では中央ステージ168は楕円形であるが、別の実施形態では別の形状が使用される。アクチュエーションビーム162、165、及び167は、中央ステージ168と、中間ステージ163及び166と、外枠161とをつないでいる。様々な配列及び構成が用いられてよい。図示した実施形態において見られるように、中央ステージ168は、均等な間隔の中間ステージ163及び166によって有利に同心円状に囲まれてよいが、別の実施形態では別の配列が使用される。中間ステージ163及び166は、概ね図示したとおりであってよく、即ち、略円形又は略楕円形であってよいが、別の実施形態では別の形状であってよく、中間ステージ163及び166は、アクチュエーションビーム162及び導電屈曲部164と同じレベルにある部品同士を接続するように働く。面外Zアクチュエータ160の中央ステージ168のZ(面外)の動きは、アクチュエーションビーム162、165、及び167の変形によって生成され、これらのアクチュエーションビームは、電気信号に対する応答として偏向するような圧電(「PZT」)材料又は他の適切な材料で形成されてよい。アクチュエーションビーム162及び導電屈曲部164は、様々な剛性要件を満たすように有利に設計されてよい。これらは、移動方向(Z方向)には有利に軟質、即ち、可撓又は他の形で変形可能であってよく、他の方向には有利に非常に堅くてよい。各アクチュエーションセクションは、様々な数のアクチュエーションビーム162及び導電屈曲部164を含んでよい。アクチュエーションビーム162及び導電屈曲部164の各レベルにおける数が様々であることによって、力要件及び電気的接続要件を満たすことが可能である。アクチュエーションビーム162、165、及び167は、面外方向の動きを可能にするカンチレバ又はヒンジを含む。PZT材料を使用することにより、電気信号が印加されたときに所望の変形を実現することが可能である。アクチュエーションビーム162や導電屈曲部164などの支持ビームは、電気的ルーティングの為の金属層を含んでよい。導電屈曲部164は、様々な実施形態では、カンチレバ又はヒンジと金属層とを含んでよい。導電屈曲部164は、様々な実施形態では、中間ステージ163と166との間、且つ/又は中間ステージ166と中央ステージ168との間に配置されてよい。
【0038】
図8に示すように、中央ステージ168は、様々な実施形態では、中央ステージ部分168a及び168bのように2つ以上の別々の断片に分離されてよい。これは、中間ステージ163及び166についても同様であってよい。分離されたステージ168の1つの部分168a又は168bに接続されたアクチュエーションビームに電気信号が印加されると、中央ステージ168のうちのこの部分が面外に動いてロール又はピッチを実現する。実施形態によっては、面外アクチュエータ160は、別々に可動な2つの中央ステージ部分168a及び168bと、それらの中央ステージ断片を囲む中間ステージ163、166と、中央ステージ部分168a及び168bのうちの少なくとも一方を中間ステージ163、166に接続するアクチュエーションビーム162、165、167とを含む。アクチュエーションビーム162、165、167は、変形可能であり、中央ステージ部分168a、168bに面外動きを与える。部分168a及び168bは、関連するアクチュエーションビーム162、165、又は167が変形することによって別々に可動であることが可能である。別の実施形態では、面外アクチュエータ160は、3つ以上の別々に可動な中央ステージ部分を含む。別々に可動な中央ステージ部分の形状は、様々な実施形態において様々である。
【0039】
図9Aは、本開示の様々な実施形態による2アクチュエータパッケージの断面図を示す。面外アクチュエータ160は、エポキシ18又は他の適切な接着剤、或いは他の結合手段により、外枠161において回路基板12に接合されている。回路基板12は、様々な実施形態においてパッケージ100の一部をなす。面内MEMSアクチュエータ150は、面外Z方向アクチュエータ160上に配置され、外枠161と、面外アクチュエータ160の中央ステージ168とに接合されている。光電子デバイス154は、面内アクチュエータ150の上に配置されている。ガラス窓199を有するホルダ19が回路基板12の上に配置されている。光電子デバイス154からMEMS面内アクチュエータ150のプラットフォーム153への電気的接続部158は、標準的なCOBワイヤボンディングプロセスによって、又は導電性のエポキシ又はペーストによって、又はMEMSボンディングプロセスによって、又は他の適切なボンディング手段によって実現されてよい。MEMS面内アクチュエータ150の外枠151からPCB12のパッド14への電気的接続部159については、様々な実施形態において、有利なことに、標準的なCOBワイヤボンディングプロセスと同じプロセスが使用されてよい。図9Aは、面内アクチュエータ160と面外アクチュエータ150とパッケージ100の他の部品との組み合わせを示している。他の様々な実施形態では、面外アクチュエータ160が使用されない。そのような実施形態では、面内アクチュエータ150が、PCB又はセラミック回路基板であってよい回路基板12に直接マウントされてよく、これは、グルー又は他の方法で櫛ドライブセクタ155の固定櫛ドライブ枠1556(図4を参照)及び外枠151を回路基板12に貼り付けることによって行われる。櫛ドライブ枠1556及び外枠151は、実施形態によっては、面外オフセットが全くない状態で回路基板に直接マウントされてよい。
【0040】
図9A及び9Bに示すところによれば、面外アクチュエータ160はパッケージ100の外側の部品と電気的に結合されてよく、これは、面内MEMSアクチュエータ150内に形成された穴1691及び1693の中に配置された導電性のエポキシ又はペーストを通して行われ、又、面内MEMSアクチュエータ150の可撓性電気的接続部152を通しても行われる。
【0041】
図9Bは、本開示の様々な実施形態による2アクチュエータパッケージの一部分の拡大断面図を示す。様々な実施形態では、面外アクチュエータ160の電気経路/信号は、導電屈曲部164(図8を参照)を通るか、アクチュエーションビーム162、165、及び167を通って、接点1692を通って、回路基板12(図9Bには示さず)に接触することが可能である。電気信号は、充填された穴1691及び1693を通って面内アクチュエータ150を通り抜けることも可能である。導電エポキシ、銀ペースト、又は電気めっきにより、穴1691、1693の充填又はコーティングを行うことにより、導通を実現することが可能である。電気信号は、面外アクチュエータ160から可撓性電気的接続部152を通って外側に出る。
【0042】
図10は、本開示の様々な実施形態による、変形した面外「Z」アクチュエータ160及び面内アクチュエータ150の一部分の断面図を示す。電気信号がアクチュエーションビーム162、165、及び167に印加されたときに、変形した面外Zアクチュエータ160は光電子デバイス154を動かす。光電子デバイス154は、面内アクチュエータ150に結合されていて、面外「Z」アクチュエータ160の面外の中央ステージ168にも少なくとも結合されている。本開示のパッケージは、面外Zアクチュエータ160が光電子デバイス154のマスと面内アクチュエータの可動マスとを動かすことを可能とするものである。実施形態によっては、面外Zアクチュエータ160は圧電アクチュエータである。本開示のアクチュエータ配列により、圧電アクチュエータ(面外Zアクチュエータ160)のペイロード要件が軽減され、アクチュエータ内のアクチュエーションビーム及び電気的接続屈曲部の設計の柔軟性を高めることが可能になる。上述の各ビームは、Z方向で必要な可撓性を実現し、他の方向で堅さ(即ち、動きに対する抵抗)を実現する為に、組み合わせて設計される。アクチュエータの様々な部品の形状は、様々な実施形態において様々である。
【0043】
図10に示すように、可撓性電気的接続部152が可撓であることにより、面内アクチュエータ150の様々な部分同士の互いに対する所望の動きが可能になり、又、面外Zアクチュエータ160の可撓性及びロバストネスの要件が満たされる。可撓性電気的接続部152は、有利なことに、あらゆる並進自由度で動く。2つのアクチュエータ、即ち、面内アクチュエータ150及び面外Zアクチュエータ160は、様々な実施形態において、中央ステージ168及び外枠161で互いに接合されているが、エポキシ又は他のボンディング材料17など、他のボンディング箇所が使用されてもよい。
【0044】
面外アクチュエータ160のZ(面外)の動きは、少なくとも部分的には、アクチュエーションビーム162、165、及び167の変形によって生成される。図11Aの拡大図においてより明確に示すように、電気信号が有極圧電(PZT)材料に印加されると、アクチュエーションビーム162が変形する。分極の様々なパターン及び特性を有する様々な適切なPZT材料を使用することにより、様々な実施形態において変形を実現することが可能である。アクチュエーションビーム165及び167もアクチュエーションビーム162と同様に変形するが、図11Aには示していない。実施形態によっては、アクチュエーションビーム162は、上部材料1622及び下部材料1621で形成されるような複合材料であり、様々な材料を組み合わせて使用することにより、所望の圧電効果を発生させることが可能である。様々な適切な材料が使用されてよい。アクチュエーションビーム162は、剛性及び可撓性の様々な要件を満たすだけの可撓性を有する。
【0045】
図11Bは、複合材料であるアクチュエーションビーム162の上面図を示す。上部材料1622が下部材料1621の上に配置されている。図11A及び11Bに示すところによれば、幾つかの場所では下部材料1621が上部材料1622で覆われており、下部材料1621の他の部分1623には上部材料1622がない。従って、下部材料1621が連続層であるのに対し、上部材料1622は不連続層である。所望の圧電効果を発生させる為に、様々な材料が様々な配列で使用されてよい。
【0046】
更なる実施形態では、更なる自由度を実現する為にMEMS静電アクチュエータと圧電アクチュエータとの様々な構成が利用されてよい。この自由度を実現する為に別の小型アクチュエータが使用されてもよい。
【0047】
図12は、本開示の様々な実施形態による、プラットフォームを複数の面内自由度及び面外自由度で動かす為のアセンブリ/パッケージの組立フロー図である。別の実施形態では、面内アクチュエータを有する様々な開示されたパッケージ実施形態、並びに面内アクチュエータ及び面外アクチュエータの両方を有する様々な開示されたパッケージ実施形態を形成する別の方法が使用される。
【0048】
組立フローの第1のステップ101で、面外アクチュエータ160の外枠161を接合する為に、回路基板12の開口部にエポキシを塗布する。別の実施形態では、別の適切なグルー又は他の接着剤が使用される。回路基板12は様々な深さの開口部又は凹部を有してよく、実施形態によっては、エポキシは、プリント回路基板(PCB)であってよい回路基板12の上面に塗布される。面外アクチュエータ160は、Z圧電アクチュエータであってよく、ステップ102で回路基板に直接又は間接的にマウントされる。これは、実施形態によっては、Z圧電アクチュエータ160とPCBなどの回路基板12との間に更に部品が配置されてよい為である。硬化後、面外アクチュエータ160の外枠161は、PCBなどの回路基板12に接合される。外枠161はシリコン材料であってよく、これは、セラミック回路基板に匹敵する適合熱膨張係数を有する。外枠161は別の材料で形成されてよく、外枠161が別の材料で形成される場合は、熱膨張のミスマッチがあってもこれを補償する為に屈曲外枠161が使用されてよい。
【0049】
面外アクチュエータの組み立て後、ステップ103で、面外アクチュエータ160の中央ステージ168及び外枠161にエポキシを塗布する。別の実施形態では、別の適切なグルー又は他の接着剤が使用されてよい。ステップ104で、面外アクチュエータ160の上にMEMS面内アクチュエータ150を配置する。その後、エポキシを硬化させることが可能である。MEMS面内アクチュエータ150を面外アクチュエータ160に接合する為に、様々な硬化条件や別の方法が用いられてよい。
【0050】
硬化する実施形態では、硬化後に、面内アクチュエータ150がPCB上のアクチュエータ160と接合される。アクチュエータ160は、上述のように、面内アクチュエータ150を通り抜ける導電パターンを有してよい。ステップS105で、面内(「XY」)アクチュエータ150上の関連付けられた穴に、面外アクチュエータ160につながって電気的に結合される為の導電エポキシ又は同様の材料が与えられる。その後に硬化がある。
【0051】
ステップ106で、プラットフォーム153のボンディング箇所に熱エポキシ又は別の適切な接着剤を塗布し、次にステップ107で、光電子デバイス154を面内MEMSアクチュエータ150に接合する。様々な適切なエポキシ又は他の接着剤が使用されてよい。
【0052】
硬化すると光電子デバイス154が面内アクチュエータ150に貼り付けられ、ステップ108で、標準的なCOBプロセス又は他の適切な方法により、電気的接続158及び159を完結させる。ステップ109で、接合のロバストネスを確保する為に、電気的接合箇所に保護エポキシを塗布する。別の実施形態では別の保護材料が使用される。
【0053】
光電子デバイス154上に粒子がある場合は、任意選択のステップ1010で光電子デバイス154を振動させることにより、粒子を除去することが可能である。最後の組立ステップ1011では、窓19を有するホルダを回路基板12にマウントする。
【0054】
全般的には、本明細書に記載の方法の様々な操作は、本明細書に記載の、それぞれが構成要素及び副構成要素を有する様々なシステム及び/又は装置の構成要素又は機能を用いて実施されてよく、或いはそれらの構成要素又は機能に関係してよい。
【0055】
場合によっては、「1つ以上の」、「少なくとも」、「但し〜に限定されない」などの拡大語句、又は他の同様の語句の存在は、そのような拡大語句がなかった場合に、より狭い事例が意図されているか必要とされているように解釈されるべきではない。
【0056】
更に、本明細書において説明される様々な実施形態は、図面、ブロック図、フローチャートなどの図解に関して説明される。当業者であれば本文書を読むことによって明らかになるように、例示された実施形態及びそれらの様々な代替形態は、説明された実施例に限定されることなく実施可能である。例えば、ブロック図及びそれらに付随する説明は、特定のアーキテクチャ又は構成に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0057】
ここまで本開示の様々な実施形態を説明してきたが、当然のことながら、それらは、限定ではなく例としてのみ示したものである。同様に、様々な図によって本開示についての例示的なアーキテクチャ構成又は他の構成を示している場合があるが、これらは、本開示に包含されうる特徴及び機能性の理解を支援する為に示している。本開示は、説明したアーキテクチャ例又は構成例に限定されず、所望の特徴は様々な代替のアーキテクチャ及び機能を用いて実施されうる。実際、本開示の所望の特徴を実施する為にどのような代替の機能的、論理的、又は物理的な区分化及び構成が実施可能であるかは、当業者であれば明らかであろう。更に、フロー図、操作説明、及び方法クレームに関しては、本明細書に示したステップの順序は、別段に記述しない限りは、様々な実施形態が記載の機能性を同じ順序で実行するように実施されるよう命じるものではない。
【0058】
様々な例示的な実施形態及び実施態様に関して本開示を説明してきたが、当然のことながら、個々の実施形態のうちの1つ以上で説明された様々な特徴、態様、及び機能性は、それらの適用可能性が、それらが説明された特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、そのような実施形態が説明されたかどうかにかかわらず、且つ、そのような特徴が、説明された実施形態の一部として示されたかどうかにかかわらず、単独又は様々な組み合わせで、本開示の他の実施形態のうちの1つ以上に適用されてよい。従って、本開示の広さ及び範囲は上述の例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、当業者であれば理解されるように、特許請求の範囲から逸脱しない限り、これまでの説明に対して様々な変更や修正が行われてよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12