特許第6807958号(P6807958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6807958フッ化カルボニルの精製方法及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6807958
(24)【登録日】2020年12月10日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】フッ化カルボニルの精製方法及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/907 20170101AFI20201221BHJP
   B01J 27/12 20060101ALI20201221BHJP
   B01J 27/122 20060101ALI20201221BHJP
   B01J 27/125 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   C01B32/907
   B01J27/12 M
   B01J27/122 M
   B01J27/125 M
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-563884(P2018-563884)
(86)(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公表番号】特表2019-518700(P2019-518700A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】CN2016085984
(87)【国際公開番号】WO2017214923
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2018年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】519321236
【氏名又は名称】ペリック スペシャル ガゼス シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蒋 玉貴
(72)【発明者】
【氏名】商 洪涛
(72)【発明者】
【氏名】孟 祥軍
(72)【発明者】
【氏名】鄭 秋艶
(72)【発明者】
【氏名】▲しー▼ 少傑
(72)【発明者】
【氏名】李 丹丹
(72)【発明者】
【氏名】楊 慶平
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−515011(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105565324(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103213965(CN,A)
【文献】 特開2003−267712(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02942324(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00−32/991
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製ガスをフッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物と−99℃〜499℃の温度及び−0.09MPa〜5MPaの圧力で反応させ、フッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物を除去し、前記精製ガスは、ClF、ClF3、ClF5、及びF2のいずれか1種又は複数種であることを含むフッ化カルボニルの精製方法。
【請求項2】
前記反応の温度は、−49℃〜299℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaであることを特徴とする請求項1に記載の精製方法。
【請求項3】
前記反応の温度は、1℃〜199℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaであることを特徴とする請求項1に記載の精製方法。
【請求項4】
前記反応は、さらに、反応終了後、蒸留、精留、又は凍結真空排気の方法により精製ガス及び反応で発生する不純物を除去することを含むことを特徴とする請求項1に記載の精製方法。
【請求項5】
前記フッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物は、CO2、CO、H2O、COCl2、N2Oの不純物ガスの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の精製方法。
【請求項6】
前記反応は、さらに、触媒を含み、前記触媒は、セシウムのフッ化物、ナトリウムのフッ化物、カリウムのフッ化物、ユウロピウムのフッ化物、銅のフッ化物、アルミニウムのフッ化物、及び銀のフッ化物のいずれか1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項1に記載の精製方法。
【請求項7】
前記精製ガスとフッ化カルボニル粗生成物ガスとのモル比は、100〜0.001: 1であることを特徴とする請求項1に記載の精製方法。
【請求項8】
前記精製ガスがClF3及びClF5のいずれか1種又は複数種である請求項1〜のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項9】
CO、CO2のいずれか1種又は複数種をClF、ClF3、及びClF5のいずれか1種又は複数種のフッ素含有ガスと−99℃〜499℃の温度及び−0.09MPa〜5MPaの圧力で反応させ、フッ化カルボニルを調製する、
又は、COFClをClF、ClF3、及びClF5のいずれか1種又は複数種のフッ素含有ガスと−99℃〜499℃の温度及び−0.09MPa〜5MPaの圧力で反応させ、フッ化カルボニルを調製することを含むフッ化カルボニルの製造方法。
【請求項10】
前記反応の温度は、−49℃〜299℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaであることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記反応の温度は、1℃〜199℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaであることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記フッ素含有ガスとCO、CO2のいずれか1種又は複数種、又はCOFClとのモル比は、100〜0.001: 1であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記反応は、さらに、触媒を含み、前記触媒は、セシウムのフッ化物、ナトリウムのフッ化物、カリウムのフッ化物、ユウロピウムのフッ化物、銅のフッ化物、アルミニウムのフッ化物、及び銀のフッ化物のいずれか1種又は複数種を含むことを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工業の技術分野に関し、特に、フッ化カルボニルの精製方法及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体および液晶製造の分野において、パーフルオロカーボンをエッチングガス及びクリーニングガスとすることが多いが、上記ガスは、一般的に地球温暖化係数(GWP, Global Warming Potential)値が比較的高く、温室効果を低減するために、GWPの低い代替製品を開発する必要がある。
フッ化カルボニル(COF)は、比較的低いGWPを有する半導体用エッチングガス、半導体用クリーニングガス、及び有機合成におけるフッ素化剤ないし重要な中間体である。
【0003】
現在、フッ化カルボニルの製造方法は、一般的に以下の4種類に分けられる。
1)一酸化炭素又は二酸化炭素をフッ素ガス、ジフルオロ銀(II)などのフッ素化剤と反応させる方法であり、当該方法は、爆発が起こりやすく、かつ高価な耐食性材料が必要であり、製造されたフッ化カルボニルの収率と純度が低い。
2)ホスゲン(COCl)をフッ化水素、三フッ化アンチモン、三フッ化ヒ素、フッ化ナトリウムなどのフッ素化剤と反応させる方法であり、当該方法が使用する原料のホスゲンは、毒性の高い物質であり、かつ製造されたフッ化カルボニルの純度が低い。
3)トリフルオロメタンを酸素ガスと反応させる方法であり、当該方法は、反応条件が過酷であり、500℃以上の高温が必要である。
4)テトラフルオロエチレンを酸素ガスと反応させる方法であり、当該方法は、反応中において非常に大きな反応熱を生じ、爆発の危険性がある。
【0004】
また、以上の異なるCOFの製造方法と反応条件により製造されたフッ化カルボニルCOFの粗生成物ガスは、一般的に、HCl、HF、ホスゲン(COCl)、CF、CO、CO、HO、NO、空気中のN及びOなどの不純物を含むことが多い。中でも、COFの沸点は−84.57℃であり、COの沸点は−78.45℃であり、沸点が近く、沸点の差はたった約6℃と小さく、かつCOFとCO分子の物理的化学的性質、分子サイズは比較的近いため、通常の吸着法、精留法による精製分離は困難である。同時にそれらはいずれもアルカリ性物質と反応しやすいために、中和による分離も困難である。現在では、国内外でCOF中のCOの精製について、報告された特許はほとんどない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題点に鑑みて、本発明の解決しようとする技術的課題は、製造されたフッ化カルボニルガスが高純度であるフッ化カルボニルの精製方法及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
精製ガスをフッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物と反応させ、フッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物を除去し、前記精製ガスは、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種であることを含む、フッ化カルボニルの精製方法を提供する。
好ましくは、前記反応の温度は、−99℃〜499℃であり、前記反応の圧力は、−0.09MPa〜5MPaである。
好ましくは、前記反応の温度は、−49℃〜299℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaである。
好ましくは、前記反応の温度は、1℃〜199℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaである。
好ましくは、前記反応は、さらに、反応終了後、蒸留、精留、又は凍結真空排気のような方法により精製ガス及び反応で発生する不純物を除去することを含む。
好ましくは、前記フッ化カルボニル粗生成物ガスにおける不純物は、CO、CO、HO、COCl、NOの不純物ガスの少なくとも1つを含む。
好ましくは、前記反応は、さらに触媒を含み、前記触媒は、セシウムのフッ化物、ナトリウムのフッ化物、カリウムのフッ化物、ユウロピウムのフッ化物、銅のフッ化物、アルミニウムのフッ化物、及び銀のフッ化物のいずれか1種又は複数種を含む。
好ましくは、前記精製ガスとフッ化カルボニル粗生成物ガスとのモル比は、100〜0.001: 1である。
【0007】
本発明は、さらに、
CO、COのいずれか1種又は複数種をフッ素含有ガスと反応させ、フッ化カルボニルを調製し、前記フッ素含有ガスは、ClF、ClF、及びClFのいずれか1種又は複数種であり、
あるいは、COFClをフッ素含有ガスと反応させ、フッ化カルボニルを調製し、前記フッ素含有ガスは、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種ことを含む、フッ化カルボニルの製造方法を提供する。
好ましくは、前記反応の温度は、−99℃〜499℃であり、前記反応の圧力は、−0.09MPa〜5MPaである。
好ましくは、前記反応の温度は、−49℃〜299℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaである。
好ましくは、前記反応の温度は、1℃〜199℃であり、前記反応の圧力は、−0.05MPa〜1MPaである。
好ましくは、前記フッ素含有ガスとCO、COのいずれか1種又は複数種、又はCOFClとのモル比は、100〜0.001: 1である。
好ましくは、前記反応は、さらに触媒を含み、前記触媒は、セシウムのフッ化物、ナトリウムのフッ化物、カリウムのフッ化物、ユウロピウムのフッ化物、銅のフッ化物、アルミニウムのフッ化物、及び銀のフッ化物のいずれか1種又は複数種を含む。
【0008】
本発明は、従来技術と比較して、精製ガスをフッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物と反応させ、フッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物を除去し、前記精製ガスは、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種であることを含むフッ化カルボニルの精製方法を提供する。本発明が提供する精製方法は、フッ化カルボニルの反応粗生成物を精製し、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種を精製ガスとし、精製装置でフッ化カルボニルの反応粗生成物と反応させ、フッ化カルボニル以外の様々な不純物、特に、CO、CO、HO、ホスゲン(COCl)、NOなどの不純物を除去し、不純物の含有量を大きく低減させる。精製されたフッ化カルボニル精製ガスは、COF純度≧99.95%、CO含有量≦150×10-6(体積比)、COCl含有量≦150×10-6(体積比)である。
【0009】
本発明は、さらに、CO、COのいずれか1種又は複数種をフッ素含有ガスと反応させ、フッ化カルボニルを調製する(前記フッ素含有ガスは、ClF、ClF、及びClFのいずれか1種又は複数種である)、又は、COFClとフッ素含有ガスと反応させ、フッ化カルボニルを調製する(前記フッ素含有ガスは、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種である)ことを含むフッ化カルボニルの製造方法を提供する。本発明は、上記ガスを原料として使用し、調製されたフッ化カルボニルガスが、高い収率及び純度を有する。同時に、より高い安定性と経済的利益がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、精製ガスをフッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物と反応させ、フッ化カルボニル粗生成物ガス中の不純物を除去する(上記精製ガスは、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種である)ことを含むフッ化カルボニルの精製方法を提供する。
本発明が提供する精製方法は、フッ化カルボニルの反応粗生成物を精製し、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種を精製ガスとし、フッ化カルボニル粗生成物ガスと接触させることにより、精製装置で精製ガスをフッ化カルボニルの反応粗生成物中の不純物と反応させ、フッ化カルボニル以外の様々な不純物、特に、CO、CO、HO、ホスゲン(COCl)、NOなどの不純物を除去し、不純物の含有量を大きく低減させ、操作プロセスが簡単であるとともに、フッ化カルボニルの収率を向上させる。
【0011】
本発明にかかるフッ化カルボニル粗生成物ガスは、CO、CO、HO、COCl、NOの不純物ガスを含むことが好ましく、CO、COCl含有量の多いガスを含むことがより好ましい。上記不純物の含有量≦10%(体積比)であることが好ましい。上記CO不純物ガスの含有量≦5%(体積比)であることがより好ましく、上記COCl不純物ガスの含有量≦5%(体積比)であることがさらに好ましい。
本発明は、かかるClF、ClF、ClF、及びFには特に制限はないが、当該分野における通常のClF、ClF、ClF、及びFであればよい。
【0012】
上記精製ガスは、単独で用いてもよいし、順番に用いてもよく、例えば、本発明における幾つかの具体的な実施例において、まず、三フッ化塩素(ClF)で精製し、さらに、一フッ化塩素(ClF)で精製し、本発明における他の幾つかの実施例において、まず、一フッ化塩素(ClF)で精製し、さらに、三フッ化塩素(ClF)で精製する。
ここで、常圧下(101.325kPa)、COFの沸点は−84.57℃であり、ホスゲン(COCl)の沸点は7.56℃であり、COの沸点は−78.45℃であり、COの沸点は−191.45℃であり、Hの沸点は−252.76℃であり、HOの沸点は100℃であり、Oの沸点は−182.98℃であり、Clの沸点は−34.03℃であり、ClFの沸点は11.75℃であり、ClFの沸点は−100.1℃であり、ClFの沸点は−13.1 ℃であり、Fの沸点は−188.2℃である。精製ガスにより精製された後、フッ化カルボニル粗生成物ガス中の複数種の不純物は反応して除去され、特に、COなどの分離しにくい不純物と精製ガスとは反応して精製しやすい不純物となる。
【0013】
上記反応中において、かかる反応の温度は、−99℃〜499℃であることが好ましく、−49℃〜299℃であることがより好ましく、1℃〜199℃であることが最も好ましく、かかる反応の圧力は、−0.09MPa〜5MPaであることがことが好ましく、−0.05MPa〜1MPaであることがより好ましい。かかる圧力の数値は、ゲージ圧である。
好ましくは、かかるClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種、即ち精製ガスの全量とフッ化カルボニル粗生成物ガスとのモル比は、100〜0.001: 1であり、より好ましくは、50〜0.1: 1である。
【0014】
反応終了後で得られたものは、フッ化カルボニル精製ガスと残った精製ガスと反応副生成物との混合物であり、本発明は、さらに通常の蒸留、精留、又は凍結真空排気の方法により、残った精製ガス及び反応中において発生する不純物を除去することが好ましい。
本発明は、好ましくは、上記反応が、さらに、セシウムのフッ化物(好ましくは、CsF)、ナトリウムのフッ化物(好ましくは、NaF)、カリウムのフッ化物(好ましくは、KF)、ユウロピウムのフッ化物(好ましくは、EuF)、銅のフッ化物(好ましくは、CuF)、アルミニウムのフッ化物(好ましくは、AlF)和銀のフッ化物(好ましくは、AgF)のいずれか1種又は複数種を含むことが好ましい触媒を含む。
【0015】
本発明は、上記触媒の用量には特に制限はないが、触媒の通常の用量であってもよいし、又は実験に従って自分で決定されてもよい。
本発明で得られたフッ化カルボニル精製ガスは、COFの純度≧99.95%、CO含有量≦150×10-6(体積比)、COCl含有量≦150×10-6(体積比)である。
【0016】
本発明は、さらに、
CO、COのいずれか1種又は複数種をフッ素含有ガスと反応させ、フッ化カルボニルを調製し、上記フッ素含有ガスは、ClF、ClF、及びClFのいずれか1種又は複数種であり、
或いは、COFClをフッ素含有ガスと反応させ、フッ化カルボニルを調製し、上記フッ素含有ガスは、ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種であることを含むフッ化カルボニルの製造方法を提供する。
【0017】
本発明は、CO、CO、及びCOFClのいずれか1種又は複数種、並びにClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種を原料として、調製されたフッ化カルボニルガスが、高い収率及び純度を有する。同時に、より高い安全性と経済的利益がある。
本発明は、上記CO、CO、及びCOFClには特に制限はないが、当該分野における通常のCO、CO、及びCOFClであればよい。
本発明は上記ClF、ClF、ClF、及びFには特に制限はないが、当該分野における通常のClF、ClF、ClF、及びFであればよい。
【0018】
上記ClF、ClF、ClF、及びF原料ガスは、単独で用いてもよいし、順番に用いてもよく、例えば、本発明における幾つかの具体的な実施例において、まず、三フッ化塩素(ClF)を使用して調製し、さらに一フッ化塩素(ClF)を使用して調製し、本発明における他の幾つかの実施例において、まず、一フッ化塩素(ClF)を使用して調製し、さらに三フッ化塩素(ClF)を使用して調製する。
【0019】
上記反応中において、かかる反応の温度は、−99℃〜499℃であることが好ましく、−49℃〜299℃であることがより好ましく、1℃〜199℃である最も好ましく、かかる反応の圧力は、−0.09MPa〜5MPaであることが好ましく、−0.05MPa〜1MPaであることがより好ましい。上記圧力の数値は、ゲージ圧である。
好ましくは、かかるClF、ClF、及びClFのいずれか1種又は複数種、即ちフッ素含有ガスの全量とCO、COのいずれか1種又は複数種とのモル比は、100〜0.001: 1であることが好ましく、50〜1: 1であることがより好ましい。
【0020】
上記ClF、ClF、ClF、及びFのいずれか1種又は複数種、即ちフッ素含有ガスの全量とCOFClとのモル比は、100〜0.001: 1であることが好ましく、50〜1: 1であることがより好ましい。
反応終了後で得られたものは、フッ化カルボニル精製ガスと残た原料ガスと反応で発生する他のガスとの混合物であり、本発明は、通常の蒸留、精留、又は凍結真空排気の方法により残た原料ガス及び反応で発生する他のガスを除去することが好ましい。
【0021】
本発明では、好ましくは、上記反応が、さらに、セシウムのフッ化物(好ましくは、CsF)、ナトリウムのフッ化物(好ましくは、NaF)、カリウムのフッ化物(好ましくは、KF)、ユウロピウムのフッ化物(好ましくは、EuF)、銅のフッ化物(好ましくは、CuF)、アルミニウムのフッ化物(好ましくは、AlF)、及び銀のフッ化物(好ましくは、AgF)のいずれか1種又は複数種を含むことが好ましい触媒を含む。
本発明は、上記触媒の用量には特に制限はないが、触媒の通常の用量であってもよく、又は実験に従って自分で決定してもよい。
【0022】
本発明は、調製されたフッ化カルボニルの用途には特に制限はないが、例えば、半導体製造装置のクリーニングガス及びエッチングガス、有機合成におけるフッ素化剤、原料、中間体などの他の広い分野に用いられることが好ましい。中でも、純度が高いため、半導体製造装置のクリーニングガス及びエッチングガスにさらに適用することができる。エッチング及びクリーニング条件は、プラズマエッチング、気相エッチング、イオンビームエッチング、マイクロ波エッチング、反応性エッチングなどのエッチング条件、及び対応するクリーニング条件であってもよい。上記フッ化カルボニルは、単独又は他のエッチングガス、クリーニングガスと混合物として用いてもよく、他のガスは、例えば、三フッ化窒素(NF)、四フッ化炭素(CF)、ヘキサフルオロエタン(C)、オクタフルオロプロパン(C)、オクタフルオロシクロブタン(C)、1、3-ブタジエン、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、塩素ガス(Cl)、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化ケイ素(SiF)、CHF、CClF、CClF、BCl、HFCl、フッ素ガス(F)などのガス、及び上記ガスと不活性ガス、希釈用ガス(例えば、He、N、Ar、O、Hなど)との混合ガスである。混合する量の割合は特に制限されず、用途に応じて適宜選択することができる。
【0023】
以下、本発明をさらに説明するために、本発明が提供するフッ化カルボニルの精製方法及び製造方法を、実施例を用いて詳細に説明する。
本発明において、上記圧力とは、特に言及しなければ、いずれもゲージ圧を意味する。
収率とは、ある生成物の理論収量に対する実際に得られた収量の割合を意味する。収率の計算は、使用量が不足である原料に基づいて計算する。
ここで、実施例1〜24は、フッ化カルボニル粗生成物ガスの精製プロセスの実施例であり、実験の必要に応じて上記特定の不純物を含むフッ化カルボニル粗生成物ガスを配合する。中でも、フッ化カルボニル粗生成物ガス中のCO、CO、ホスゲン(COCl)、NO不純物の含有量は、それぞれ200×10-6(体積比)である。
【実施例】
【0024】
実施例1
COF粗生成物ガス5モルを乾燥された5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、三フッ化塩素を導入して反応させ、ClFとフッ化カルボニル粗生成物ガスとのモル比は、1:1である。反応温度は499℃であり、反応圧力は5MPaであり、上記反応釜の排気口から反応生成物を排出し、温度が−110℃の低温冷却トラップに導入し、凍結真空排気の方法により不純物を除去し、精製されたガスをフッ化カルボニル精製ガスの貯蔵タンクに収集し、精製されたガスを検出した。
具体的には、精製されたガスをガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS、型番:株式会社島津製作所製GC−2014)とフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR、型番:Nicolet6700)に導入し、その組成を分析した。収集されたガスは、GC−MS及びFT−IRによりフッ化カルボニルと確認され、ガスクロマトグラフのデータ結果の主成分の積分面積から主成分の純度を算出した。
【0025】
ここで、ガスクロマトグラフによる測定には、Porapakカラム、モレキュラーシーブ13Xカラムを使用し、キャリアガスとしてHeガスを使用し、TCD検出器を使用し、Heキャリアガスの流速が60mL/minであり、カラム温度が23℃であり、注入口温度が60℃であり、TCD温度が60℃である。ガスクロマトグラムの最大のピークは、フッ化カルボニルに由来するピークである。
精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<50×10-6(体積比)、COCl含有量<50×10-6(体積比)、CO含有量<5×10-6(体積比)、NO含有量<5×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0026】
実施例2
反応釜において、反応温度は−99℃であり、反応圧力は−0.09MPaであり、反応中において、触媒としてセシウムのフッ化物(CsF)2gを使用し、ClFとフッ化カルボニル粗生成物ガスとのモル比は1000:1となった以外は、実施例1と同様にした。
実施例1の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<150×10-6(体積比)、COCl含有量<150×10-6(体積比)、CO含有量<15×10-6(体積比)、NO含有量<15×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0027】
実施例3
反応釜において、反応温度は299℃であり、反応圧力は1MPaであり、触媒としてナトリウムのフッ化物(NaF)2gを使用し、ClFとフッ化カルボニル粗生成物ガスとのモル比は0.001:1となった以外は、実施例1と同様にした。
実施例1の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<70×10-6(体積比)、COCl含有量<70×10-6(体積比)、CO含有量<7×10-6(体積比)、NO含有量<7×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0028】
実施例4
反応釜において、反応温度は199℃であり、反応圧力は−0.05MPaであり、触媒としてカリウムのフッ化物(KF)2gを使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例1の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<80×10-6(体積比)、COCl含有量<80×10-6(体積比)、CO含有量<8×10-6(体積比)、NO含有量<8×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0029】
実施例5
反応釜において、反応温度は1℃であり、反応圧力は1MPaであり、触媒としてユウロピウムのフッ化物(EuF)2gを使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例1の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<100×10-6(体積比)、COCl含有量<100×10-6(体積比)、CO含有量<10×10-6(体積比)、NO含有量<10×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0030】
実施例6
反応釜において、反応温度は−49℃であり、反応圧力は5MPaであり、触媒として銅のフッ化物(CuF)2gを使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例1の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<120×10-6(体積比)、COCl含有量<120×10-6(体積比)、CO含有量<12×10-6(体積比)、NO含有量<12×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0031】
実施例7
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応温度は499℃であり、反応圧力は5MPaであり、実施例1と同様にした。
実施例1の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<50×10-6(体積比)、COCl含有量<50×10-6(体積比)、CO含有量<5×10-6(体積比)、NO含有量<5×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0032】
実施例8
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてアルミニウムのフッ化物(AlF)2gを使用した以外は、実施例2と同様にした。
実施例2の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<150×10-6(体積比)、COCl含有量<150×10-6(体積比)、CO含有量<15×10-6(体積比)、NO含有量<15×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0033】
実施例9
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒として銀のフッ化物(AgF)2gを使用した以外は、実施例3と同様にした。
実施例3の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<70×10-6(体積比)、COCl含有量<70×10-6(体積比)、CO含有量<7×10-6(体積比)、NO含有量<7×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0034】
実施例10
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてセシウムのフッ化物(CsF)2gを使用した以外は、実施例4と同様にした。
実施例4の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<80×10-6(体積比)、COCl含有量<80×10-6(体積比)、CO含有量<8×10-6(体積比)、NO含有量<8×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0035】
実施例11
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてナトリウムのフッ化物(NaF)2gを使用した以外は、実施例5と同様にした。
実施例5の条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<100×10-6(体積比)、COCl含有量<100×10-6(体積比)、CO含有量<10×10-6(体積比)、NO含有量<10×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0036】
実施例12
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてカリウムのフッ化物(KF)2gを使用した以外は、実施例6と同様にした。
実施例6の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<120×10-6(体積比)、COCl含有量<120×10-6(体積比)、CO含有量<12×10-6(体積比)、NO含有量<12×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0037】
実施例13
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入して反応させた以外は、実施例1と同様にした。
実施例1の条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<50×10-6(体積比)、COCl含有量<50×10-6(体積比)、CO含有量<5×10-6(体積比)、NO含有量<5×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0038】
実施例14
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてユウロピウムのフッ化物(EuF)2gを使用した以外は、実施例2と同様にした。
実施例2の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<150×10-6(体積比)、COCl含有量<150×10-6(体積比)、CO含有量<15×10-6(体積比)、NO含有量<15×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0039】
実施例15
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒として銅のフッ化物(CuF)2gを使用した以外は、実施例3と同様にした。
実施例3の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<70×10-6(体積比)、COCl含有量<70×10-6(体積比)、CO含有量<7×10-6(体積比)、NO含有量<7×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0040】
実施例16
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてセシウムのフッ化物(CsF)2gを使用した以外は、実施例4と同様にした。
実施例4の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<80×10-6(体積比)、COCl含有量<80×10-6(体積比)、CO含有量<8×10-6(体積比)、NO含有量<8×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0041】
実施例17
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてアルミニウムのフッ化物(AlF)2gを使用した以外は、実施例5と同様にした。
実施例5の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<100×10-6(体積比)、COCl含有量<100×10-6(体積比)、CO含有量<10×10-6(体積比)、NO含有量<10×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0042】
実施例18
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入して反応させ、反応中において触媒として銀のフッ化物(AgF)2gを使用した以外は、実施例6と同様にした。
実施例6の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<120×10-6(体積比)、COCl含有量<120×10-6(体積比)、CO含有量<12×10-6(体積比)、 NO含有量<12×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0043】
実施例19
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入して反応させた以外は、実施例1と同様にした。
実施例1の条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<50×10-6(体積比)、COCl含有量<50×10-6(体積比)、CO含有量<5×10-6(体積比)、NO含有量<5×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0044】
実施例20
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてユウロピウムのフッ化物(EuF)2gを使用した以外は、実施例2と同様にした。
実施例2の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<150×10-6(体積比)、COCl含有量<150×10-6(体積比)、CO含有量<15× 10-6(体積比)、NO含有量<15×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0045】
実施例21
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入して反応させ、反応中において触媒として銅のフッ化物(CuF)2gを使用した以外は、実施例3と同様にした。
実施例3の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<70×10-6(体積比)、COCl含有量<70×10-6(体積比)、CO含有量<7×10-6(体積比)、NO含有量<7×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0046】
実施例22
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてセシウムのフッ化物(CsF)2gを使用した以外は、実施例4と同様にした。
実施例4の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<80×10-6(体積比)、COCl含有量<80×10-6(体積比)、CO含有量<8×10-6(体積比)、NO含有量<8×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0047】
実施例23
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入して反応させ、反応中において触媒としてアルミニウムのフッ化物(AlF)2gを使用した以外は、実施例5と同様にした。
実施例5の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.95%であり、不純物CO含有量<100×10-6(体積比)、COCl含有量<100×10-6(体積比)、CO含有量<10×10-6(体積比)、NO含有量<10×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0048】
実施例24
COF粗生成物ガス5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入して反応させ、反応中において触媒として銀のフッ化物(AgF)2gを使用した以外は、実施例6と同様にした。
実施例6の検出条件で精製ガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、純度は99.9%であり、不純物CO含有量<120×10-6(体積比)、COCl含有量<120×10-6(体積比)、CO含有量<12×10-6(体積比)、NO含有量<12×10-6(体積比)であることが明らかになった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
実施例25
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、三フッ化塩素を導入し、ClFとCOガスとのモル比は1:1であり、反応釜において、反応温度は499℃であり、反応圧力は5MPaであり、上記反応釜の排気口から反応生成物を排出し、温度が-110℃の低温冷却トラップに導入し、凍結真空排気の方法により不純物を除去し、精製されたガスをフッ化カルボニル精製ガスの貯蔵タンクに収集し、調製されたガスを検出した。
具体的には、精製されたガスをガスクロマトグラフ-質量分析計(GC−MS、型番:株式会社島津製作所製GC−2014)とフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR、型番:Nicolet6700)に導入し、その組成を分析した。収集されたガスは、GC-MS及びFT-IRによりフッ化カルボニルと確認され、ガスクロマトグラフのデータ結果の主成分の積分面積により主成分の純度を算出した。
ガスクロマトグラフによる測定には、Porapakカラム、モレキュラーシーブ 13X カラムを使用し、キャリアガスとしてHeガスを使用し、TCD検出器を使用し、Heキャリアガスの流速が60mL/minであり、カラム温度が23℃であり、注入口温度が60 ℃であり、TCD温度が60℃である。ガスクロマトグラムの最大のピークは、フッ化カルボニルに由来するピークである。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は95%であり、純度は96%であることが明らかになった。
【0052】
実施例26
反応釜において、反応温度は−99℃であり、反応圧力は−0.09MPaであり、反応中において触媒としてセシウムのフッ化物2gを使用し、ClFとCOガスとのモル比は100:1となった以外は、実施例25と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は83%であり、純度は88%であることが明らかになった。
【0053】
実施例27
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、5モルの三フッ化塩素を導入し、反応中において触媒としてナトリウムのフッ化物(NaF)2gを使用し、ClFとCOガスとのモル比は0.001:1となった以外は、実施例25と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は35%であり、純度は70%であることが明らかになった。
【0054】
実施例28
CO5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、5モルの三フッ化塩素を導入し、反応中において触媒としてカリウムのフッ化物(KF)2gを使用した以外は、実施例26と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は42%であり、純度は74%であることが明らかになった。
【0055】
実施例29
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、5モルの三フッ化塩素を導入し、反応中において触媒としてユウロピウムのフッ化物EuF 2gを使用した以外は、実施例25と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は85%、純度は90%であることが明らかになった。
【0056】
実施例30
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、5モルの三フッ化塩素を導入し、反応中において触媒として銅のフッ化物(CuF)2gを使用した以外は、実施例26と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は84%であり、純度は89%であることが明らかになった。
【0057】
実施例31
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒としてアルミニウムのフッ化物(AlF)2gを使用した以外は、実施例25と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は80%であり、純度は92%であることが明らかになった。
【0058】
実施例32
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒として銀のフッ化物(AgF)2gを使用した以外は、実施例26と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は73%であり、純度は88%であることが明らかになった。
【0059】
実施例33
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒としてセシウムのフッ化物(CsF)2gを使用した以外は、実施例31と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は40%であり、純度は70%であることが明らかになった。
【0060】
実施例34
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒としてナトリウムのフッ化物(NaF)2gを使用した以外は、実施例32と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は45%であり、純度は72%であることが明らかになった。
【0061】
実施例35
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒としてカリウムのフッ化物2gを使用した以外は、実施例31と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は77%であり、純度は90%であることが明らかになった。
【0062】
実施例36
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、一フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒を使用しなかった以外は、実施例32と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は76%であり、純度は89%であることが明らかになった。
【0063】
実施例37
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒としてセシウムのフッ化物(CsF)2gを使用した以外は、実施例25と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は95%であり、純度は96%であることが明らかになった。
【0064】
実施例38
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒としてユウロピウムのフッ化物(EuF)2gを使用した以外は、実施例26と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は81%であり、純度は88%であることが明らかになった。
【0065】
実施例39
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒として銅のフッ化物(CuF)2gを使用した以外は、実施例37と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は44%であり、純度は70%であることが明らかになった。
【0066】
実施例40
CO 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒としてアルミニウムのフッ化物(AlF)2gを使用した以外は、実施例38と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は40%であり、純度は72%であることが明らかになった。
【0067】
実施例41
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒を使用しなかった以外は、実施例37と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は83%であり、純度は90%であることが明らかになった。
【0068】
実施例42
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、五フッ化塩素5モルを導入し、反応中において触媒として銀のフッ化物2gを使用した以外は、実施例38と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は82%であり、純度は89%であることが明らかになった。
【0069】
実施例43
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入し、反応中において触媒を使用しなかった以外は、実施例25と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は81%であり、純度は88%であることが明らかになった。
【0070】
実施例44
COFCl 5モルを乾燥の5Lのステンレス製反応釜に導入し、その後、フッ素ガス5モルを導入し、反応中において触媒として銀のフッ化物2gを使用した以外は、実施例26と同様にした。
調製されたガスを検出したところ、精製ガスはフッ化カルボニルであり、収率は80%であり、純度は87%であることが明らかになった。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
上記実施例により、本発明が調製するフッ化カルボニルは、比較的に高い収率、及び純度を有する。
以上、実施例の説明は本発明の方法及びその主旨の理解を助けるためのものに過ぎない。なお、当業者にとっては、本発明は、その原理から逸脱することなく、若干の改良及び修飾も可能であり、それらの改良及び修飾はいずれも本発明の特許請求の範囲によって保護される範囲に包含される。