(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、一実施形態に係る電子機器10の斜視図である。
図1に示すように、電子機器10は、本体筐体12とディスプレイ筐体14とを左右一対のヒンジ機構16,16によって回動可能に連結したノート型PCである。
【0018】
以下、電子機器10について、
図1に示すように本体筐体12からディスプレイ筐体14を開いて使用形態とした状態を基準とし、ディスプレイ18を視認しながらキーボード装置20を操作する使用者から見た方向で、手前側を前、奥側を後、本体筐体12の厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0019】
ディスプレイ筐体14は、薄い箱状の筐体であり、例えば液晶ディスプレイで構成されたディスプレイ18を備える。ディスプレイ18は、当該電子機器10のメインディスプレイである。
【0020】
本体筐体12は、ディスプレイ筐体14よりは厚みのある薄い箱状の筐体である。本体筐体12の内部には、図示しない基板、CPU、メモリ、バッテリ装置等が収納されている。本体筐体12の上面12aには、キーボード装置20と、可動板22とが設けられている。キーボード装置20は、
図1に示すように複数のキートップを上下動させる機械式ではなく、図示しないタッチパネル式のディスプレイに表示されるソフトウェア式でもよい。
図1中の参照符号20aは、例えばキーボード装置20の一部を構成するテンキー或いはタッチパッドである。これらテンキー(タッチパッド)20aは省略されてもよい。可動板22は、キーボード装置20の後側に並んで設けられ、本体筐体12に対して回動可能に設けられた板状部材である。本実施形態の可動板22は、上面にサブディスプレイ24を備え、さらに下に設けられた通気口26(
図3参照)の開閉蓋としても機能する構成であるが、詳細は後述する。
【0021】
本実施形態の本体筐体12は、上面12aにおける可動板22の後方に段部12bを有する。ヒンジ機構16は、段部12bに設けられ、本体筐体12とディスプレイ筐体14の下端部14aとの間を連結している。
【0022】
図2A〜
図2Cは、
図1に示す電子機器10のディスプレイ筐体14及び可動板22の本体筐体12に対する開閉動作を模式的に示す側面図である。
図2Dは、
図2Cに示す状態から可動板22が外力Fによって強制的に押し下げられた状態での側面図である。
図3は、
図1に示す電子機器10の可動板22及びその周辺部の模式的な平面図である。
図2A〜
図2Dは、図面の見易さを確保するため、断面を示すハッチング等の図示を省略している。
図3は、
図2Aに示すようにディスプレイ筐体14を閉じた状態での平面図であるが、ディスプレイ筐体14の図示は省略している。
【0023】
図2A〜
図3に示すように、本体筐体12の上面12aには、キーボード装置20の後側に収納凹部28及び段部12bが順に設けられている。さらに本体筐体12は、段部12bの後側にヒンジ機構16よりも後側に突出するように設けられた延出部29を有する。延出部29は設けない構成としてもよい。
【0024】
収納凹部28は、上面12aの一部を凹ませた浅いバスタブ状の凹部であり、
図2Aに示す閉じ位置にある可動板22を収納可能である。可動板22は、収納凹部28に収納された状態で、その上面22a(サブディスプレイ24)が本体筐体12の上面12aと面一又は多少低位置となる。
【0025】
本体筐体12は、収納凹部28の下方に送風ファン30が設けられ、延出部29にフィン32が設けられている。フィン32は、例えば図示しないヒートパイプを介してCPU等の発熱体と接続されている。送風ファン30は、収納凹部28の上面28aに形成された通気口26を介して本体筐体12内に外気を吸入し、フィン32を介して本体筐体12の後面12cに設けられた図示しない排気口から外部に排出する。通気口26は、例えば
図3中に破線で示すように前後に延在したスリットを左向に複数並べた構成である。
【0026】
図2A〜
図3に示すように、ヒンジ機構16は、ヒンジ筐体34と、本体軸36と、ディスプレイ軸38とを有する。
図3では、左右のヒンジ機構16が左右対称構造である構成を例示しているが、左右のヒンジ機構16は同一構造であってもよい。
【0027】
ヒンジ筐体34は、本体筐体12とディスプレイ筐体14との間に亘るように設けられた矩形筒状の部材である。本体軸36は、本体筐体12とヒンジ筐体34との間を相対回転可能に連結するシャフトである。本体軸36は、一端が本体筐体12と回転不能に連結され、他端がヒンジ筐体34に回転可能に支持されている。本体軸36は、一端が本体筐体12に回転可能に支持され、他端がヒンジ筐体34と回転不能に連結されてもよい。ディスプレイ軸38は、ディスプレイ筐体14とヒンジ筐体34との間を相対回転可能に連結するシャフトである。ディスプレイ軸38は、一端がディスプレイ筐体14と回転不能に連結され、他端がヒンジ筐体34に回転可能に支持されている。ディスプレイ軸38は、一端がディスプレイ筐体14に回転可能に支持され、他端がヒンジ筐体34と回転不能に連結されてもよい。
【0028】
このようにヒンジ機構16は、2本のヒンジ軸である本体軸36及びディスプレイ軸38を有する2軸構造である。ヒンジ機構16は、本体軸36とディスプレイ軸38との間が図示しない歯車機構を介して同期回転する。つまり、ディスプレイ筐体14の回動角度は、本体軸36とディスプレイ軸38の回転角度の合計値となる。このため、ヒンジ筐体34は、ディスプレイ筐体14の回動角度の半分だけ回動する。具体的には、ディスプレイ筐体14が
図2Aに示す0度位置から
図2Bに示す90度位置まで回動すると、ヒンジ筐体34は0度位置から45度位置まで回動する。
【0029】
本体軸36は、段部12bで本体筐体12と連結され、延出部29の上面29aよりも下方に配置されている。ディスプレイ軸38は、ヒンジ筐体34の回動動作に伴って、上面29aよりも下方となる位置(
図2A参照)から上方となる位置(
図2B及び
図2C参照)まで移動する。
【0030】
従って、ヒンジ機構16は、ディスプレイ筐体14が0度位置の場合(
図2A参照)、各軸36,38が前後方向に並び、ヒンジ筐体34が段部12bに収納された0度姿勢となる。ヒンジ機構16は、ディスプレイ筐体14が90度位置の場合(
図2B参照)、各軸36,38が上下方向に対して45度傾いた姿勢で並ぶため、ヒンジ筐体34が45度姿勢となり、ディスプレイ軸38が上面29aよりも上方に突出する。ヒンジ機構16は、ディスプレイ筐体14が180度位置の場合(
図2C参照)、各軸36,38が上下方向に並ぶため、ヒンジ筐体34が90度姿勢で起立する。このため、180度位置では、ディスプレイ軸38が上面29aよりも完全に上方に位置し、ディスプレイ筐体14が上面29a上へと円滑に回動される。なお、0度位置(0度姿勢)、90度位置(45度姿勢)、180度位置(90度姿勢)等の呼び方は、本体筐体12、ディスプレイ筐体14又はヒンジ機構16の構造により、角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じるが、本実施形態では便宜上0度位置等と呼んで説明している。
【0031】
図1〜
図3に示すように、可動板22は、前端部22bに設けられた回転軸部40を中心として後端部22cが上下動する方向に回動可能な板状部材である。可動板22は、上面22aにサブディスプレイ24を有する。サブディスプレイ24は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。当該電子機器10は、駆動機構42と、解除機構44とを備える。
【0032】
回転軸部40は、可動板22の前端部22bと本体筐体12との間を回転可能に且つ前後方向にスライド可能に連結している。回転軸部40は、可動板22の前端部22bの左右側面にそれぞれ突設された連結軸40aと、連結軸40aを前後方向にスライド可能に支持するスライド支持部40bとを有する。連結軸40aは、ピン状部材である。スライド支持部40bは、収納凹部28の左右内壁面にそれぞれ形成され、前後方向に沿って連結軸40aが摺動可能な長孔である。連結軸40aが本体筐体12側に設けられ、スライド支持部40bが可動板22側に設けられた構成としてもよい。
【0033】
図4Aは、ヒンジ筐体34が0度姿勢にある状態でのヒンジ機構16及びその周辺部を拡大した斜視図である。
図4Bは、
図4Aに示す状態からヒンジ筐体34が60度姿勢まで回動された状態での斜視図である。
図4Cは、
図4Bに示す状態から可動板22が外力Fを受け、解除機構44が動作した状態での斜視図である。
図5は、
図4Cに示すヒンジ筐体34及びその周辺部を別の角度から見た斜視図である。
図4A〜
図5Bでは、可動板22は周囲のフレームのみを図示している。
図6Aは、
図4Cに示す状態での駆動機構42及び解除機構44の状態を模式的に示す側面断面図である。
図6Bは、
図4Dに示す状態での駆動機構42及び解除機構44の状態を模式的に示す側面断面図である。
【0034】
図4A〜
図6Bに示すように、駆動機構42は、ヒンジ機構16によるディスプレイ筐体14の回動動作、具体的にはヒンジ筐体34の回動動作と連動して可動板22を回動させる機構である。駆動機構42は、アーム部材42aと、駆動軸42bと、回動軸42cとを有する。本実施形態では、左右のヒンジ機構16のそれぞれに駆動機構42及び解除機構44を設けた構成を例示しているが(
図3参照)、駆動機構42及び解除機構44は左右一方のヒンジ機構16のみに設けられてもよい。ヒンジ機構16、駆動機構42、及び解除機構44は、3カ所以上に設けてもよい。ヒンジ機構16は、左右に延在する1本の長尺なヒンジ筐体34で構成されてもよく、この場合、ヒンジ筐体34の適所に駆動機構42及び解除機構44を設ければよい。
【0035】
アーム部材42aは、
図4Bに示す状態で、上下方向に沿って配置される棒状部材である。アーム部材42aは、
図4Bに示す状態で、ヒンジ筐体34に前面に形成された凹状の収容部34aに収容され、先端部(上端部)が収容部34aから上方に突出した状態となる。アーム部材42aの基端部(下端部)は、収容部34a内で回動軸42cを介してヒンジ筐体34と連結されている。収容部34aは、アーム部材42aの先端部を除く大部分を収容可能な形状である。アーム部材42aの先端部は、
図4Bに示す状態で多少前方に傾いており、駆動軸42bを介して可動板22と連結されている。
【0036】
駆動軸42bは、アーム部材42aの先端部と可動板22の後端部22cとの間を相対回転可能に連結したシャフトである。ディスプレイ軸38は、駆動軸42bと本体軸36との間となる位置に配置されている。各軸36,38,42bの軸心を順に結ぶ直線は略ブーメラン形状を成している。
【0037】
回動軸42cは、アーム部材42aの基端部とヒンジ筐体34との間を相対回転可能に連結したシャフトである。回動軸42cは、収容部34a内に設置されている(
図5参照)。回動軸42cは、本体軸36と同軸に配置されている(
図6A及び
図6B参照)。
【0038】
従って、アーム部材42aは、回動軸42cを回動中心としてヒンジ筐体34と同軸で相対的に回動可能である。アーム部材42aは、ヒンジ筐体34側へと最大限に移動した最大回動位置(
図4B及び
図6A参照)で、その大部分が収容部34aに収容されてヒンジ筐体34と略一体の外観を形成する。アーム部材42aは、ヒンジ筐体34から離間する方向に最大限に相対移動した最小回動位置(
図4C、
図5及び
図6B参照)で、0度姿勢の状態と同じ位置となる。
【0039】
図5〜
図6Bに示すように、解除機構44は、駆動機構42による可動板22とヒンジ筐体34との連動状態を状況に応じて解除する機構である。解除機構44は、保持部材44a,44bを有する(
図5参照)。
【0040】
保持部材44aは、収容部34aの前向きの内面に設けられた磁石、又は鉄板等の磁石と吸着可能な部材(被吸着体)である。保持部材44bは、アーム部材42aの背面に設けられた磁石、又は被吸着体である。保持部材44a,44bは、互いに吸着可能である。このため、保持部材44a,44bは、少なくとも一方が磁石である必要がある。
【0041】
可動板22に外力F(
図2D参照)が加えられていない通常時、保持部材44a,44bは、互いに吸着している(
図6A参照)。このため、アーム部材42aは、ヒンジ筐体34の収容部34aに収容された状態でヒンジ筐体34と一体となって回動する。つまり、保持部材44a,44bは、実質的にアーム部材42aの回動とヒンジ筐体34の回動とを連動させる駆動機構42の一部としても機能する。
【0042】
一方、ヒンジ筐体34が0度姿勢よりも大きな角度(
図2B及び
図2C参照)に回動された状態で、可動板22に外力Fが加えられた非常時には、保持部材44a,44bの吸着状態が解除される。このため、アーム部材42aは、回動軸42cを中心としてヒンジ筐体34から離間する方向に回動する。つまりアーム部材42aは、ヒンジ筐体34を残して相対回転し、前側に倒れる(
図6B参照)。これにより解除機構44は、可動板22に外力Fが加えられた際、駆動機構42による可動板22とヒンジ筐体34との連動状態を解除する。
【0043】
次に、本実施形態に係る電子機器10の動作を説明する。
【0044】
先ず、ディスプレイ筐体14が本体筐体12の上面12a上に閉じられた0度位置では、
図2Aに示すように、本体軸36及びディスプレイ軸38が前後方向に並び、ヒンジ筐体34は横倒しの0度姿勢となる。この状態では、アーム部材42aは、ヒンジ筐体34の収容部34aに収容され、保持部材44a,44bの吸着作用下にヒンジ筐体34と一体化されている。このため、アーム部材42aがヒンジ筐体34と略一体に見えるため、外観品質の低下を抑制できる。この際、アーム部材42aは、その先端の駆動軸42bが収納凹部28内に位置している。連結軸40aは、スライド支持部40b内で最も前進した位置にある。このため、可動板22は、前後方向に沿った水平姿勢で収納凹部28内に収納され、ディスプレイ筐体14の閉じ動作を邪魔していない。従って、電子機器10は、延出部29の上面29aからディスプレイ筐体14の背面(ここでは上面)までが略面一に形成された薄板形状を成している。
【0045】
ディスプレイ筐体14が0度位置から開き方向に回動されると、ヒンジ筐体34はディスプレイ筐体14の回動角度の1/2の回動角度で回動する。この際、ヒンジ筐体34は、本体軸36を回動中心として回動する。アーム部材42aは、本体軸36と同軸の回動軸42cを中心としてヒンジ筐体34と一体的に回動する。このため駆動軸42bが本体軸36(回動軸42c)を中心として旋回移動し、可動板22の後端部22cを上方に引き上げつつ後方に引き寄せる。
【0046】
ディスプレイ筐体14が
図2Bに示す90度位置になると、ヒンジ筐体34及びアーム部材42aは、本体軸36から前方斜め上を向いた45度姿勢となる。従って、可動板22は、前端部22bの連結軸40aを中心として後端部22cが上方に移動した前下がりの傾斜姿勢となる(
図2B参照)。
【0047】
ディスプレイ筐体14が90度位置からさらに開き方向に回動されると、ヒンジ筐体34及びアーム部材42aもさらにディスプレイ軸38を上昇させる方向に回動する。例えば、一般的なノート型PCの使用時の角度位置である120度程度にディスプレイ筐体14が設定された際、可動板22は、90度位置よりもさらに後端部22cが上昇し、同時にさらに後方へと移動している。
【0048】
ディスプレイ筐体14が
図2Cに示す180度位置になると、ヒンジ筐体34及びアーム部材42aは本体軸36を回動中心とした90度姿勢となる。このため、可動板22は、後端部22cが最も上昇し、最も後方にスライドした位置となる。
【0049】
このように、当該電子機器10は、駆動機構42を備えたことで、ディスプレイ筐体14の回動動作と連動して可動板22が回動する。つまり電子機器10は、その使用時にユーザがディスプレイ筐体14を所望の角度位置まで開くと、可動板22が自動的に前下がりの傾斜姿勢に開かれる。このため、ユーザは、キーボード装置20を使用しつつ、その後方のサブディスプレイ24を良好に視認できると共に、良好にタッチ操作することもできる(
図1も参照)。さらに、この状態では、通気口26が開放されている。このため、送風ファン30は、外気を通気口26から効率よく取り込むことができ、電子機器10の冷却効率が向上する。この際、通気口26は、可動板22の裏側にあるため、当該電子機器10を使用するユーザからはほとんど視認されず(
図1参照)、外観品質が損なわれることもない。しかも可動板22は、開き方向に回動するのに伴って次第に後方へとスライドする。このため、可動板22が開かれた場合であっても、可動板22の後端部22cとディスプレイ筐体14の前面との間の隙間が拡大することがなく、外観品質の低下を一層抑制できる。
【0050】
しかも、当該電子機器10は、駆動機構42によるヒンジ筐体34と可動板22との連動状態を解除する解除機構44を備える。このため、
図2Bや
図2Cに示すようにディスプレイ筐体14が開かれた状態で、仮に可動板22が下降方向に所定の外力F以上の力を受けた場合、解除機構44が動作してヒンジ筐体34と可動板22との連動状態が解除され、可動板22の下降が許容される。このため、
図2Dに示すように、ヒンジ筐体34を残してアーム部材42aのみが前方に回動して倒れて可動板22が下降する。これにより、可動板22、ヒンジ機構16及び駆動機構42等に外力Fによる過大な負荷がかかり、これらが破損や不具合を生じることを抑制できる。解除機構44は、磁石による吸着力を利用した構成であるため、構成が簡素で且つ低コストで実現できる。
【0051】
また、本実施形態のヒンジ機構16及び駆動機構42は、ディスプレイ筐体14の回動角度の1/2の回動角度でヒンジ筐体34が回動し、可動板22をこのヒンジ筐体34の回動動作を利用して上昇させる。つまり電子機器10は、ディスプレイ筐体14の回動動作が開始すると、この回動動作に遅れながら可動板22が回動する時間差機構を備えている。これにより、ディスプレイ筐体14が上昇するよりも先に大きな回動角度で可動板22が上昇してしまい、可動板22の後端部22cがディスプレイ筐体14に干渉してディスプレイ筐体14の回動動作が円滑にできなくなることを抑制できる。
【0052】
なお、
図2Cや
図2Dに示す180度位置にあるディスプレイ筐体14を閉じ方向に回動させた際は、上記した開き動作とは反対に動作する。すなわち、ディスプレイ筐体14が閉じ方向に回動するのに伴い、可動板22は次第に後端部22cが下降しつつ前進する。そして、0度位置では再び
図2Aに示す初期状態に戻る。この際、
図2Dに示す状態からディスプレイ筐体14が0度位置まで閉じられると、再び保持部材44a,44b間が吸着し、駆動機構42によるヒンジ筐体34と可動板22との連動状態が回復する。このため、ユーザは、解除機構44が動作した場合には、一旦ディスプレイ筐体14を閉じるだけで、再び駆動機構42を復帰させることができるため、高い利便性が得られる。
【0053】
図7Aは、第1変形例に係る解除機構46の構成を模式的に示す側面断面図であり、ヒンジ筐体34が90度姿勢にある状態での駆動機構42及び解除機構46の状態を示している。
図7Bは、
図7Aに示す状態から解除機構46が動作してヒンジ筐体34と可動板22との連動状態が解除され、可動板22のみが下降した状態での側面断面図である。
【0054】
図7A及び
図7Bに示すように、この解除機構46は、保持部材44a,44bの代わりの保持部材として、アーム部材42aを最大回動位置に向かって付勢する弾性部材を備える。本実施形態の弾性部材は、例えば回動軸42cの軸回りに設けられたねじりコイルばね46aである。弾性部材は、ねじりコイルばね46aに代えて、コイルばね等を用いてもよい。
【0055】
このように、解除機構46は、常時アーム部材42aを収容部34aに収容させる位置まで付勢している。このため、
図2Aに示す0度位置からディスプレイ筐体14が開き方向に回動すると、アーム部材42aもねじりコイルばね46aの付勢力により、ヒンジ筐体34と一体となって回動する。つまり、ねじりコイルばね46aは、実質的にアーム部材42aの回動とヒンジ筐体34の回動とを連動させる駆動機構42の一部としても機能する。そして、
図2Dに示すように、可動板22が外力Fを受けた際には、アーム部材42aがねじりコイルばね46aの付勢力に抗して前倒しに回動する。つまり駆動機構42によるヒンジ筐体34と可動板22との連動状態が、解除機構46によって解除される。この構成例では、可動板22に対する外力Fを開放すれば、ねじりコイルばね46aの付勢力により、再びアーム部材42aがヒンジ筐体34の収容部34aに収容され、駆動機構42による連動状態が回復する。
【0056】
解除機構46は、
図7A及び
図7B中に2点鎖線で示すように、上記した解除機構44と併用してもよい。そうすると、通常時は、解除機構44の作用によってアーム部材42aがヒンジ筐体34と吸着固定される。このため、通常時に、例えばサブディスプレイ24をタッチ操作している際、可動板22が上下にふわふわとがたつくことをより確実に防止できる。しかも解除機構44,46が動作した後は、可動板22に対する外力Fを開放すれば、再びアーム部材42aがヒンジ筐体34の収容部34aに収容され、保持部材44a,44b間も吸着する。
【0057】
図8Aは、第2変形例に係る解除機構48の構成を模式的に示す側面断面図であり、ヒンジ筐体34が90度姿勢にある状態での駆動機構42及び解除機構48の状態を示している。
図8Bは、
図8Aに示す状態から解除機構48が動作してヒンジ筐体34と可動板22との連動状態が解除され、可動板22のみが下降した状態での側面断面図である。
【0058】
図8A及び
図8Bに示すように、この解除機構48は、係合凹部48aと、係合ピン48bと、コイルばね48cとを有する。係合凹部48aは、アーム部材42aの側面に設けられた半球状の凹部である。係合ピン48bは、ヒンジ筐体34の収容部34aの内側面に開口した孔部34bから出没可能に設けられている。係合ピン48bの先端は、半球状であり、係合凹部48aに係合可能である。係合ピン48bの基端は、孔部34b内に位置し、コイルばね48cによって孔部34bから突出する方向に常時付勢されている。
【0059】
このように、解除機構48は、磁石の吸着力を利用した解除機構46によるアーム部材42aとヒンジ筐体34との固定を、係合ピン48bと係合凹部48aとの係合作用によって機械的に実現したものである。このため、これら係合凹部48a及び係合ピン48b等が、保持部材44a,44bの代わりの保持部材として機能する。つまり、係合凹部48a及び係合ピン48b等は、実質的にアーム部材42aの回動とヒンジ筐体34の回動とを連動させる駆動機構42の一部としても機能する。
【0060】
従って、解除機構48は、通常時、係合ピン48bが係合凹部48aに係合し、アーム部材42aをヒンジ筐体34に一体的に固定している。そして、
図2Dに示すように、可動板22が外力Fを受けた際には、係合ピン48bが退動して、係合ピン48bと係合凹部48aとの係合状態が外れるため、アーム部材42aが前倒しに回動する。その結果、駆動機構42によるヒンジ筐体34と可動板22との連動状態が、解除機構46によって解除される。この構成例では、
図2Dに示す状態からディスプレイ筐体14が0度位置まで閉じられると、再び係合ピン48bが係合凹部48aに係合するため、駆動機構42によるヒンジ筐体34と可動板22との連動状態が回復する。
【0061】
アーム部材42aとヒンジ筐体34との固定は、係合ピン48bと係合凹部48aとの係合作用を利用した構成以外の機械的手段で構成されてもよい。例えば爪状のラッチをアーム部材42aの先端側に設け、これと係脱可能な受け部をヒンジ筐体34側に設けた解除機構を用いてもよい。
【0062】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0063】
上記では、2軸構造のヒンジ機構16を例示したが、1軸構造のヒンジ機構を用いてもよい。1軸構造のヒンジ機構の場合は、例えばディスプレイ軸38を省略して、ヒンジ筐体34とディスプレイ筐体14とを一体に構成し、本体軸36の周囲に駆動機構42及び解除機構44等を設けるとよい。また、1軸構造のヒンジ機構の場合は、例えば本体軸36を省略して、ヒンジ筐体34と本体筐体12とを一体に構成し、ディスプレイ軸38の周囲に駆動機構42及び解除機構44等を設けるとよい。
【0064】
上記では、2軸(本体軸36及びディスプレイ軸38)が同期回転するヒンジ機構16を例示した。しかしながら、ヒンジ機構16は、例えばディスプレイ筐体14の回動角度に応じて本体軸36とディスプレイ軸38の一方が選択的に回転する構成としてもよい。この構成とする場合、ヒンジ機構16は、例えばディスプレイ筐体14の回動角度範囲毎に本体軸36及びディスプレイ軸38のいずれか一方が選択的に回転する回動軸選択機構を備えるとよい。この回動軸選択機構は、例えば特許第5986156号公報に開示された公知の構成を適用できる。回転軸選択機構を備えたヒンジ機構16は、例えばディスプレイ筐体14が0度位置から30度位置までの間、及び120度位置から180度位置までの間は、ディスプレイ軸38のみが回転する。一方、例えば30度位置から120度位置までの間は、本体軸36のみが回転し、これにより可動板22を上下動させる。
【0065】
上記では、可動板22は、サブディスプレイ24を有する構成を例示したが、サブディスプレイ24は設けなくてもよい。この場合、可動板22は、通気口26の開閉蓋として機能する。また通気口26は、省略されてもよい。この場合、可動板22は、サブディスプレイ24の支持板として機能する。
【解決手段】電子機器10は、本体筐体12とディスプレイ筐体14とを回動可能に連結するヒンジ機構16と、本体筐体12の上面12aに設けられ、前端部22bに設けられた回転軸部40を中心として後端部22cが上下動する方向に回動可能な可動板22と、ヒンジ機構16による本体筐体12とディスプレイ筐体14との間の回動動作と連動して可動板22を回動させる駆動機構42と、後端部22cが上昇した位置にある可動板22が下降方向に所定の外力を受けた場合に、駆動機構42による回動動作と可動板22との連動状態を解除して、可動板22の下降方向への回動を許容する解除機構44と、を備える。