(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記先端部から8mm〜9mmの距離で前記長手方向軸線に交差する前記複数のキャビティのアレイの横断面において、0.15<(Ac/Am)<0.30である、請求項1に記載の耳栓。
  前記先端部から8mm〜9mmの距離で前記長手方向軸線に交差する前記複数のキャビティのアレイの横断面において、0.10<(Ac/Am)<0.30である、請求項1に記載の耳栓。
  フランジキャビティ底部が前記ステムと前記音波減衰体とが交差する先端領域により形成され、前記先端領域は前記先端部と前記フランジキャビティ底部との間に延びると共に、前記複数の内部突出する幾何学的特徴は前記基端部から前記フランジキャビティ底部へと延びる、請求項1ないし4のいずれかに記載の耳栓。
【発明を実施するための形態】
【0010】
  使用者に聴覚保護をもたらす耳栓を本明細書で提供する。本開示による耳栓は、ステムと、フランジを有する音波減衰体とを含む。使用者の外耳道内に挿入されるとき、音波減衰体は、圧縮され、先端領域内の複数のキャビティのアレイにより提供される圧潰可能な容積に少なくとも部分的に圧潰され得る。複数のキャビティのアレイは、耳栓が使用のために配置されるとき、音波減衰体の一部を圧潰できる追加の容積を提供し、耳栓の外耳道への配置に必要な挿入力を減少させ、耳栓が加える使用者の外耳道に働く平衡力を減少させる。本明細書に記載の先端領域内に複数のキャビティのアレイを有する耳栓は、挿入が簡単で着用が快適な耳栓に役立つ。
 
【0011】
  図1〜
図3は、ステム110及び音波減衰体120を含み、第1端部101及び第2端部102を有する、代表的な押込ばめ耳栓100を示す。音波減衰体120は、外耳道への音波の通過を減らすために使用者の外耳道に少なくとも部分的に挿入するように構成される。耳栓100の挿入中、ステム110は、使用者によって握られ得るハンドルとして役割を果たすことができる。耳栓100、具体的には音波減衰体120は、使用者の耳に近づけられ、少なくとも部分的に外耳道内に挿入される。音波減衰体120は、位置付けられるにつれて圧縮及び/又は圧潰され、ステム110は、挿入を促進するのに十分な硬さを提供する。使用中、音波減衰体120は、音波の経路を遮断するように、実質的に外耳道内に位置付けられ、ステム110は、外耳道から外側に延びて、耳栓を取り外すためのハンドルをもたらす。
 
【0012】
  代表的な実施形態では、音波減衰体120は、先端部121、基端部122、先端領域123、及び少なくとも部分的にステム110の上に延びたフランジ124を含む。先端領域123は、先端部121の後方に位置し、フランジ124は、先端領域123と基端部122との間に位置する。いくつかの代表的な実施形態では、音波減衰体120は、ステム110と音波減衰体120との間でフランジキャビティ130を画定する。代表的な実施形態では、フランジキャビティ130は、ステム110、音波減衰体120、及びフランジキャビティ底部131によって少なくとも部分的に画定される。フランジキャビティ底部131は、例えば、ステム110と音波減衰体120とが交差する先端領域123の部分によって形成されてもよい。
 
【0013】
  本明細書による耳栓のいくつかの特徴は、耳栓100に対して画定され、
図2に示される、種々の基準面を参照して理解され得る。長手方向軸線10は、音波減衰体120の先端部121と基端部122との間に延びている。先端面11は、長手方向軸線に直交して耳栓100の先端部121及び/又は第1端部101の最外の先端を通過し、フランジ端面15は、フランジ124の基端部122で長手方向軸線10に直行して耳栓100を横断している。様々な代表的な実施形態では、キャビティ面13は、フランジキャビティ130の最前部で耳栓100を横断している。
 
【0014】
  代表的な実施形態では、フランジ124は、フランジキャビティ130内(即ち、キャビティ面13と基端部122との間)ではステム110に結合されておらず、キャビティ面13及び/又はその上でステムに結合しているだけである。フランジ124は、キャビティ面13の下に位置する音波減衰体120の部分として画定され得る。フランジ124は、一方の端部付近のみで音波減衰体120の残りの部分及び/又はステム110に結合されているため、フランジキャビティ130は、ステム110の周囲に連続的な容積を含む。即ち、代表的な実施形態では、フランジ124の内側フランジ表面126は、外耳道に配置されていないときなどのニュートラルな非圧縮形状のときは、ステム110に接触していない。代表的な実施形態では、フランジキャビティは、ステム110の少なくとも一部の周囲に連続的な途切れない容積を含む。フランジ124は、耳栓100が外耳道内に進む及び/又は配置されるにつれて内側に偏向することができ、いくつかの実施形態では、内側フランジ表面126は、少なくとも部分的にステム110に接触してもよい。様々な代表的な実施形態では、フランジ124の偏向及び/又は圧縮は、挿入、快適さ、及び音波減衰を向上させることができ、耳栓100の材料、形状、及び構成によって制御され得る。
 
【0015】
  耳栓100は、先端領域123内に位置して長手方向軸線10の周囲に離間配置されたキャビティ160のアレイを含む。キャビティ160は、耳栓100が使用者の外耳道内に進むにつれて、音波減衰体120の少なくとも一部を圧潰できる圧潰可能な容積を提供する。キャビティ160により提供される圧潰可能な容積は、所望のレベルの音波減衰を提供しながら、使用者が快適に挿入及び着用できる耳栓100を提供する。キャビティ160の形状及び構成は、様々な外耳道の形状及び寸法を有する使用者の範囲に所望のバランスの適合性を提供するために、本明細書に記載するように選択することができる。
 
【0016】
  キャビティ160は、長手方向軸線10の周囲に位置し、耳栓100の先端領域123内に延びていてもよい。代表的な実施形態では、耳栓100は、ステム110と音波減衰体120との間でフランジキャビティ底部131を有するフランジキャビティ130を含む。キャビティ160は、フランジキャビティ底部131と音波減衰体120の先端部121との間(例えば、キャビティ面13と先端面11との間)に位置する。
 
【0017】
  代表的な実施形態では、キャビティ160のアレイは、第1キャビティ端部161と第2キャビティ端部162との間に延びており、概ね細長い形状を有する。第1キャビティ端部161は、先端部121に最も近いキャビティ160のアレイの最前部であってもよく、第2キャビティ端部162は、先端部121から最も遠いキャビティ160のアレイの最後部であってもよい。様々な代表的な実施形態では、キャビティ160は、第1キャビティ端部161と第2キャビティ端部162との間の長さ(Lc)が約1.0mm〜6.0mm、2.0mm〜5.0mm、又は約4.0mmである。
 
【0018】
  代表的な実施形態では、第1キャビティ端部161は、音波減衰体120の先端部121からの距離が3.5mm〜8.0mm、4.5mm〜7.3mm、又は約5.5mmである。このような距離は、先端部121を使用者の耳に容易に挿入できるような十分な硬さを可能にする。第2キャビティ端部162は、少なくとも部分的に開放されてフランジキャビティ130と連通しており、また第2キャビティ端部162は、キャビティ面13に隣接して位置していてもよい。
 
【0019】
  キャビティ160のアレイは、耳栓100が使用者の外耳道内に少なくとも部分的に挿入されるとき、音波減衰体120の圧縮に必要な力を減少させるために、望ましい圧潰可能な空間を提供するよう寸法決めされる。様々な代表的な実施形態では、
図3に示すように、音波減衰体120の先端領域123は、長手方向軸線に直行するキャビティ160のアレイの横断面(平面12など)において、キャビティ面積(Ac)及び材料面積(Am)を有することを特徴とし得る。キャビティ面積(Ac)は、各キャビティ160内の開放空間の面積であり、材料面積(Am)は、発砲材料などの材料と材料中に存在し得る気泡とを含む、耳栓100の先端領域123の残りの面積である。様々な代表的な実施形態では、キャビティ面積(Ac)は、4mm
2〜36mm
2、6mm
2〜24mm
2、又は約12mm
2であってもよく、材料面積(Am)は、約45mm
2〜65mm
2、50mm
2〜60mm
2、又は約55mm
2であってもよい。
 
【0020】
  代表的な実施形態では、キャビティ160のアレイは、キャビティ面積(Ac)の材料面積(Am)に対する面積アスペクト比(Ac/Am)を示す。様々な代表的な実施形態では、(Ac/Am)は、0.04〜0.35、0.10〜0.30、又は約0.22であり、いくつかの代表的な実施形態では、平面12が先端部121から4.5mm〜8.0mmの距離で複数のキャビティのアレイを通過するとき、このような範囲内の面積アスペクト比(Ac/Am)を示し得る。最大面積アスペクト比(Ac/Am)は、(Ac/Am)が最大になる位置で長手方向軸線10に直行して複数のキャビティのアレイを通過する平面において見られる。代表的な実施形態では、7.0mm〜10.0mmの距離でキャビティ160のアレイを横断する平面12での最大面積アスペクト比(Ac/Am)は、0.10〜0.35、0.16〜0.28、又は約0.22である。様々な代表的な実施形態では、最大面積アスペクト比(Ac/Am)は、第2端部162(例えば、キャビティ面13)で生じ、キャビティは、(Ac/Am)がキャビティ160のアレイの第1端部161により近い位置で減少するように先細になる。
 
【0021】
  キャビティ160のアレイは、キャビティ160の内面164と先端領域123の外面128との間の壁厚(Tw)の減少をもたらす。減少した壁厚(Tw)は、耳栓が容易に引裂又は破断せず、また同時に厚すぎて平衡力が過度に増加しないように、必要な耐久性のレベルを提供するよう選択することができる。様々な代表的な実施形態では、減少した壁厚は、1.0mm〜2.5mm、1.1mm〜1.7mm、又は約1.25mmである。
 
【0022】
  上記の範囲内の寸法及びキャビティ面積(Ac)を有する代表的な耳栓100は、先端領域123が配置されて使用者の外耳道内に存在するとき、先端領域123の材料が圧縮されるための追加の圧潰可能な空間を提供する。代表的な実施形態では、このような範囲は、先端領域123が使用者の外耳道内に存在するときに加える平衡力を適切にすることができる。平衡力は、耳栓100が元の非圧縮状態に戻るために加える力であり、耳栓100が使用のために配置されるとき、使用者の外耳道に加わる力に関係する。したがって、このような範囲内のキャビティ面積(Ac)を有するキャビティ160のアレイは、耳栓100を使用者の外耳道内の適所に維持できる十分な力を保証しながら、平衡力を減少させて快適さを最大にする。様々な代表的な実施形態では、キャビティ160のアレイは、材料及び形状は同じであるが複数のキャビティのアレイがない耳栓と比べて、平衡力を5%〜50%、10%〜40%、又は約25%減少させることができる。
 
【0023】
  キャビティ160のアレイは、任意の好適な数及び形状のキャビティを含むことができる。様々な代表的な実施形態では、キャビティ160のアレイは、4〜24個、6〜18個、又は約8個のキャビティ160を含む。キャビティ160は、任意の所望の断面形状を有することができ、例えば第1キャビティ端部161と第2キャビティ端部162との間で、キャビティの長さに沿って異なっていてもよい。
図1〜
図3の代表的な実施形態では、キャビティ160は、概ね台形の形状を有するが、これは本明細書に記載のキャビティの多くの好適な形状の一例に過ぎない。他の代表的な形状には、
図4a及び
図4bの形状が挙げられるが、これらに限定されない。
図4a及び
図4bは、楕円形(又は別の状況では弓状)及び四辺形のキャビティを表すキャビティ261、262のアレイを有する耳栓201及び202を示す。
 
【0024】
  本明細書に記載の代表的な耳栓は、所望の適合性を提供するために任意の好適な形状又は輪郭を有していてもよく、又はこれらは特定用途に適していてもよい。
図1〜
図3に示す代表的な実施形態の音波減衰体120の具体的な形状は、本明細書に記載の耳栓の潜在的に好適な形状の一例に過ぎない。本明細書に記載の耳栓に使用可能な無数の代替形状のうちの1つの例を
図5に示しており、音波減衰体521を有する代表的な耳栓500を示す。
 
【0025】
  いくつかの代表的な実施形態では、第1端部10と第2端部102との間に耳栓100を貫通してチャネル113が延びている。耳栓を貫通するチャネルを含む本明細書に記載の耳栓は、レシーバ又は通信システムの構成要素が耳栓に取り付けられるように製造されてもよい。あるいは又は加えて、チャネル113は、所望の形状を有する減衰曲線を提供するための1つ以上のフィルタ又は他の受動的聴覚要素を収容してもよい。例えば、チャネル113内に配置されたフィルタは、爆発音、発砲音などによって生じた高いレベルの衝撃を非線形に減衰させ得る。本明細書に記載の耳栓の1つ以上の実施形態に提供されるチャネルはまた、第1耳栓及び第2耳栓が結合され得るように、又はヘッドバンドの端部がセミオーラル聴覚保護具に取り付けられるように、コードを取り付けることができる凹部を提供してもよい。
 
【0026】
  本明細書に記載の耳栓は、任意の好適な方法で製造され得る。代表的な実施形態では、耳栓100は、外層の材料を付与できる基材を提供し、かつ1つ以上の実施形態では使用者の外耳道への挿入を容易にし得る、コア140を含む。コア140は、音波減衰体120を形成する第2材料より高い剛性又は硬さを呈する第1材料から作製されるが、この材料は使用者が快適かつ安全な程度には柔軟である。代表的な実施形態では、コア140の第1材料は、音波減衰体120及び/又はステム110の外層115の形成に使用される第2材料とは異なる。他の代表的な実施形態では、第1及び第2材料は、ほぼ同じ又は化学的に同じであるが、例えば、密度、気泡構造、硬度などの違いのために、結果として第1材料及び第2材料が異なる硬さになるように形成又は提供されてもよい。
 
【0027】
  音波減衰体120及び/又はステム110の外層115の材料より硬いコア140をステム110中に含むことは、1つ以上の代表的な実施形態では、十分な剛性を有するステム110を提供することができ、その結果、音波減衰体120を適切な力で外耳道内に押込むことにより、本明細書に記載の耳栓を使用のために使用者の耳内に少なくとも部分的に配置することができる。即ち、最初に音波減衰体120を圧縮する、つまり「丸めて押込む」必要なしに、耳栓100を使用するために使用者の耳内に少なくとも部分的に配置できるように、音波減衰体120の形成に使用される材料のコア140及び外層115によって十分に硬いステム110を提供することができる。最初に音波減衰体120を圧縮する、つまり「丸めて押込む」ことを必要としない直接挿入は、例えば、耳内への配置前に音波減衰体120との接触を制限することにより、衛生を促進することができる。1つ以上の実施形態では、コア140はまた、使用のために配置されるとき、外耳道の輪郭に従ってわずかに変形し得るように、適切なレベルの可撓性を呈してもよい。
 
【0028】
  コア140は、1つ以上の代表的な実施形態では、音波減衰体120及び/又は(存在する場合)ステム110の外層115の形成に使用される材料と好適に結合でき、かつ別の状況ではこれらと相溶性のある、1つ以上の材料から作製されてもよい。1つ以上の実施形態では、コア140は、S&E  Specialty  Polymers,LLC(Lunenburg,Massachusetts)から入手可能なTUFPRENE、又はWashington  Penn  Plastic  Co.,Inc.(Washington,Pennsylvania)から入手可能なPPC1TF2などの、ポリプロピレン及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)のブレンドから作製されてもよい。他の潜在的に適した材料には、Exxon  Mobile  Corporationから入手可能なSANTOPRENE  101−90、及び耳栓100の音波減衰体120を使用者の外耳道内に容易に挿入できるような適切な硬さを呈する他の材料が含まれる。
 
【0029】
  本明細書に記載の耳栓の音波減衰体及び(1つ以上の実施形態では)ステムの外層の形成に使用される第2材料は、使用者の外耳道内に快適に配置できる、柔軟かつ可撓性の発泡体、ゴム、ポリマー、又は他の好適な材料であってもよい。1つ以上の代表的な実施形態では、第2材料は、Teknor  Apex(Pawtucket,Rhode  Island)から入手可能なMONPRENE  MP1900などのSEBS、又は気泡発泡体を提供する、Kraton  Polymers  LLC(Houston,Texas)から入手可能な、ショアA硬度32をもたらす高分子量及び低分子量のKraton  SEBS樹脂のブレンドである。他の適した材料には、可塑化ポリ塩化ビニル、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、天然ゴム、他の熱可塑性物質、熱硬化性樹脂、及び適切な硬度範囲を示すように配合され得る当該技術分野において既知の他の適した材料が挙げられる。
 
【0030】
  1つ以上の実施形態では、コア及び音波減衰体の構成に使用される材料は、コアと音波減衰体に使用される材料との(直接又は間接的)結合の主要供給源が熱結合であるよう選択することができる。1つ以上の実施形態では、コアを音波減衰体に結合するのに追加の接着剤を必要とせず、結果としてコアと音波減衰体との間に接着剤は存在しない。本明細書に記載の耳栓の音波減衰体は、第2材料から構成されると記載されているが、1つ以上の実施形態では、音波減衰体は、(例えば、同心円状に配置できる)多層の同じ又は異なる材料から構成されてもよい。例えば、第1層を、使用者の外耳道との接触に望ましい特性を与えるために使用してもよく、第2層を、コアとの強力な結合を促すために使用してもよいが、1つ以上の追加の層を、他の望ましい特性を与えるために使用してもよい。
 
【0031】
  本明細書に記載の耳栓の音波減衰体に使用される材料は、使用中に容易に破損又は分解しないように、音波減衰体の外面の脆弱性を制御するよう選択することができる。耳栓の脆弱性は、適切な分子量を有する材料を選択することにより部分的に制御されてもよく、一般的により高い分子量はより低い脆弱性の耳栓をもたらす。代表的な実施形態では、音波減衰体120は、当該技術分野において既知の、ASTM  D6474−99などのゲル透過クロマトグラフィー分析によって測定するとき、100,000ダルトン〜200,000ダルトンの分子量を有するSEBSを含む。
 
【0032】
  本明細書に記載の耳栓で使用するとき、音波減衰体に使用される第2材料の外層の密度は、1つ以上の実施形態では、特定用途に望ましい特定の密度を提供するように製造中に制御され得る。第2材料は、1つ以上の実施形態では、例えば、音波減衰体に使用される第2材料が、コアの近くに位置する第2材料より高密度の一体型外皮を有するように、厚さによって異なる密度を示してもよい。このような外皮は、音波減衰体及びステムの一方又は両方に存在してもよい(ステムが、例えば音波減衰体に使用される第2材料の層を含む実施形態の場合)。あるいは、音波減衰体及び/又はステムの外層の構成に使用される第2材料は、実質的に均一な密度を有してもよい。様々な代表的な実施形態では、例えばSEBS発泡体を含む、音波減衰部分の平均密度は、100kg/m
3〜180kg/m
3、若しくは110kg/m
3〜160kg/m
3であり、又は約125kg/m
3であってもよい。
 
【0033】
  米国特許出願第13/547,189号、名称「Method  of  Making  an  Earplug」は、押込ばめ耳栓などの個人保護具の製造方法について記載し、同第13/547,177号、名称「Push−In  Earplug」は、押込ばめ耳栓の構造及び構成について記載し、同第13/547,294号、名称「Foamable  Article」は、装置又は構成要素を形成するための物品について記載しており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
 
【0034】
  いくつかの代表的な実施形態では、耳栓100は、単一材料又は第1及び第2材料から形成されてもよく、ここでは第1及び第2材料は、ほぼ同じ又は化学的に同じであるが、例えば、密度、気泡構造、硬度などの違いのために、結果として第1材料及び第2材料が異なる硬さになるように形成又は提供される。例えば、異なる特性を有するステム及び音波減衰体は、成形工程でのガス抜きを制御することによって形成することができ、コア140を含まなくてもよい。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第61/925,770号「Molded  Foam  Push−To−Fit  Earplug,Method,and  Devices」は、同じ又はほぼ同じ材料から形成される音波減衰体及びより硬いステムを有する耳栓を製造する技術について記載している。
 
【0035】
  様々な代表的な実施形態では、ステム110及び音波減衰体120を別個に形成し、その後、結合してもよい。例えば、音波減衰体120を上述したような任意の好適な柔軟かつ可撓性の発泡体、ゴム、ポリマー、又は他の好適な材料から形成してもよく、ステム110をより剛性の材料から形成してもよい。その後、ステム110及び音波減衰体120を、例えば、接着剤、摩擦、又は他の係合により、永久的又は取り外し可能に結合する。
 
【0036】
  本明細書に記載の耳栓は、快適さを高めるため、又は減衰の向上をもたらすため、様々な他の幾何学的特徴を含むことができる。
図6a〜
図6cは、ステム610及び音波減衰体620を含み、第1端部601及び第2端部602を有する、代表的な押込ばめ耳栓600を示す。音波減衰体620は、先端部621、基端部622、先端領域623、及びフランジ624を含む。先端領域623は、先端部621の後方に位置し、フランジ624は、先端領域623と基端部622との間に位置する。代表的な耳栓100と同様に、音波減衰体620は、先端領域623内に位置して長手方向軸線10の周囲に離間配置されたキャビティ660のアレイを含む。キャビティ660は、耳栓100が使用者の外耳道内に進むにつれて、音波減衰体620の少なくとも一部を圧潰できる圧潰可能な容積を提供する。
 
【0037】
  代表的な耳栓600は、耳栓600の第1端部601から、耳栓600の第2端部602寄りに位置する底部671に向かって延びる、先端キャビティ670を含む。先端キャビティ670は、耳栓600の第1端部601に開口部を含む。先端キャビティ670は、1つ以上の代表的な実施形態では、耳栓600が外耳道内に進む及び/又は存在するとき、音波減衰体620、特に先端領域621の周囲の材料を圧潰できる容積を提供する。米国特許出願第13/768,214号「Earplug  with  Tip  Cavity  and  Methods  of  Manufacturing  the  Same」は、先端キャビティを有する耳栓について記載しており、参照により本明細書に組み込まれる。
 
【0038】
  代表的な実施形態では、先端キャビティ670の底部671は、キャビティ660の第1端部661から離間配置され得る。例えば、先端キャビティ670の底部671は、キャビティ660の第1端部661などのキャビティ660の部分から距離(dmin)で離間配置され得る。様々な代表的な実施形態では、先端キャビティ670と1つ以上のキャビティ660との最小距離(dmin)は、少なくとも0.3mm〜3.0mm、1mm〜2.5mm、又は約1.5mmである。このような範囲内の最小距離(dmin)は、耳栓600の先端部621を使用者の耳に挿入できる十分な硬さをもたらし、繰り返しの使用に耐えるように強度及び耐久性を向上させる。
 
【0039】
  代表的な実施形態では、耳栓600は、外側フランジ表面625と内側フランジ表面626との距離が異なるように、及びフランジ624が長手方向軸線に直行するフランジの横断面においてフランジの周囲で異なる厚さを示すように、内側フランジ表面626の様々な幾何学的特徴650を更に含む。例えば、フランジ624は、外側フランジ表面625と内側フランジ表面626との間の最小フランジ厚(Fmin)及び最大フランジ厚(Fmax)を特徴とし得る。代表的な実施形態では、フランジ624は、フランジ624の周りに離間配置され、かつフランジ624の基端部622から少なくとも部分的にフランジキャビティ630の底部631に向かって延びる、スプライン650の形状で複数の幾何学的特徴を含む。スプライン650は、2つの隣接した最小フランジ厚(Fmin)の位置の間で幅(w)を示す。凸部、凹部、又はスプライン650などの幾何学的特徴は、望ましくないフランジ624のしわ又は座屈を最小限に抑えるように、フランジ624の圧潰及び/又は圧縮に作用する。このような幾何学的なフランジの特徴を有する耳栓は、着用が快適であり、かつフランジのしわ又は座屈を制限することによって外耳道への過度のノイズ漏れを最小限に抑える、耳栓に役立つ。米国特許出願第14/282,252号「Push−To−Fit  Earplug  Having  Geometric  Flange  Features」は、複数の内部突出する幾何学的特徴を有する耳栓について記載しており、参照により本明細書に組み込まれる。
 
【0040】
  本発明をその複数の実施形態を参照して説明してきた。上術の詳細な説明及び実施例はあくまで理解を助けるために示したものに過ぎない。したがってこれらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において多くの変更を行うことができることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書で説明した厳密な詳細及び構造に限定すべきではなく、むしろ請求項の言葉で説明されている構造及びこれらの構造の均等物によって限定すべきである。これにより、本明細書に引用したいずれかの特許文献は、本明細書に提示する記述と矛盾しない限り、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
 
【0041】
  上記の実施形態のいずれかに関して記載されたいずれかの特徴又は特性は、個々に、又は他のいずれかの特徴又は特性と組み合わせて組み込むことができ、単に明確性のために上記の順番及び組み合わせで提示される。即ち、本開示は、本明細書に記載のそれぞれの代表的な実施形態及び構成要素の様々な特徴のすべての可能な組み合わせ及び配置を意図しており、それぞれの構成要素は、特定用途に望ましい場合、任意の他の構成要素と組み合わせるか又は共に使用することができる。
  以下、本発明の態様について説明する。
〔態様1〕
  ステムと、
  前記ステムに取り付けられた音波減衰体であって、先端部、基端部、前記先端部の後方に位置する先端領域、及び前記先端部と前記基端部との間に延びる長手方向軸線を含む、音波減衰体と、
  前記先端領域内に位置し、前記長手方向軸線の周囲に離間配置された複数のキャビティのアレイであって、圧潰可能な容積を含む、複数のキャビティのアレイと、を備え、
  前記先端領域が、前記長手方向軸線に交差する前記複数のキャビティのアレイの横断面において、キャビティ面積(Ac)、材料面積(Am)、及び面積アスペクト比(Ac/Am)を含み、0.10<(Ac/Am)<0.35である、耳栓。
〔態様2〕
  前記先端部から8mm〜9mmの距離で前記長手方向軸線に交差する前記複数のキャビティのアレイの横断面において、0.15<(Ac/Am)<0.30である、態様1に記載の耳栓。
〔態様3〕
  前記先端部から8mm〜9mmの距離で前記長手方向軸線に交差する前記複数のキャビティのアレイの横断面において、0.10<(Ac/Am)<0.30である、態様1に記載の耳栓。
〔態様4〕
  前記先端部から7mm〜10mmの距離で前記長手方向軸線に交差する前記複数のキャビティのアレイの横断面における最大面積アスペクト比(Ac/Am)が0.15〜0.35である、態様1に記載の耳栓。
〔態様5〕
  前記複数のキャビティのアレイの少なくとも一部が前記先端部から7mmの距離に存在する、態様1に記載の耳栓。
〔態様6〕
  6mm2<(Ac)<24mm2である、態様1に記載の耳栓。
〔態様7〕
  前記先端領域が外側先端領域表面を含み、前記複数のキャビティがそれぞれ、前記外側先端領域表面からキャビティ壁厚(Tw)によって隔てられた内側キャビティ表面を含み、1.0mm<(Tw)<2.5mmである、態様1に記載の耳栓。
〔態様8〕
  前記複数のキャビティのアレイが4〜18個のキャビティを含む、態様1に記載の耳栓。
〔態様9〕
  前記複数のキャビティのアレイが6〜12個のキャビティを含む、態様1に記載の耳栓。
〔態様10〕
  前記音波減衰体が、前記先端領域と前記基端部との間に少なくとも部分的に前記ステムの上に延びるフランジを更に含む、態様1に記載の耳栓。
〔態様11〕
  前記フランジと前記ステムとの間で前記ステムの周囲に連続的な容積を含むフランジキャビティを更に含む、態様10に記載の耳栓。
〔態様12〕
  前記フランジが、外側フランジ表面と、複数の内部突出するスプラインを有する内側フランジ表面とを含む、態様11に記載の耳栓。
〔態様13〕
  前記ステムが、第1材料から作製されたコアと、第2材料から作製された外層と、を含む、態様1に記載の耳栓。
〔態様14〕
  前記音波減衰体及び前記ステムが発泡体を含む、態様1に記載の耳栓。
〔態様15〕
  前記コアが、ポリプロピレン及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)からなる群から選択される材料を含む、態様13に記載の耳栓。
〔態様16〕
  前記音波減衰体がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)を含む、態様1に記載の耳栓。
〔態様17〕
  ステムと、
  前記ステムに取り付けられた音波減衰体であって、
  先端部、
  基端部、
  前記先端部の後方に位置する先端領域、及び
  少なくとも部分的に前記ステムの上に延び、かつ外側フランジ表面、複数の凸部又は凹部の一方又は両方を有する内側フランジ表面、及び前記先端部と前記基端部との間に延びる長手方向軸線を含む、フランジ、を含む、音波減衰体と、
  前記先端領域内に位置し、前記長手方向軸線の周囲に離間配置された複数のキャビティのアレイであって、圧潰可能な容積を含む、複数のキャビティのアレイと、
  前記内側フランジ表面と前記ステムとの間で前記ステムの周囲に連続的な容積を含むフランジキャビティと、を備え、
  前記先端領域が、前記長手方向軸線に交差する前記複数のキャビティのアレイの横断面において、キャビティ面積(Ac)、材料面積(Am)、及び面積アスペクト比(Ac/Am)を含み、0.10<(Ac/Am)<0.35である、耳栓。
〔態様18〕
  前記ステムが、第1材料から作製されたコアと、第2材料から作製された外層とを含む、態様17に記載の耳栓。
〔態様19〕
  前記音波減衰体及び前記ステムが発泡体を含む、態様17に記載の耳栓。
〔態様20〕
  前記音波減衰体がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)を含む、態様17に記載の耳栓。
 
【実施例】
【0042】
  以下の詳細な非限定的実施例に関して、本発明の特徴、動作、及び利益を更に理解することができる。これらの実施例は、種々の具体的なかつ好ましい実施形態及び技術を更に例示するために提供するものである。しかし、多数の変更及び改良を加えることができるが、本発明の範囲内にとどまることが理解されるべきである。
【0043】
  手順1:平衡力試験
  平衡力は、耳栓が圧縮されたときに加える反発力であり、耳栓が使用者の外耳道内に配置されたときに加える力を表す。平衡力は、耳栓の快適さの相対的レベルの指標を与えることができる。
【0044】
  73°F(23℃)及び50%相対湿度に設定した環境室内で48時間調湿した耳栓を、LTSスタンド上に取り付けたChatillon  DGGS  Force  Gauge(0.1gm〜250gm(0.001N〜2.5N))の0.8インチ(2cm)の組み合った直線端を有する平行な脚部の間に配置することによって平衡力を得た。脚部間の間隔が0.375インチ(0.953cm)になり、かつ20〜70g(0.2〜0.7N)を示す力が得られるように、脚部間に配置した0.375インチ(0.953cm)の校正ピンを使用して平行な脚部を調節した。力計を96°F±1°F(36℃±1℃)に制御可能な温度室に配置した。温度室が96°F±1°F(36℃±1℃)に達してから30分後、30秒間隔で測定した最大力を10分間記録した。それぞれ30秒間隔で測定した最大力の平均を平衡力とした。
【0045】
  手順2:疲労サイクル試験
  固定具の直径9.5mm、深さ25mmの凹部内に、LOCTITE  403シアノアクリレート接着剤を使用して耳栓の先端部を接着する。Instron(Norwood,MA)から入手可能なModel  5967引張試験機に固定具を取り付け、垂直に向けたステム部分を引張試験機の空気式顎部に固定した。2.5ポンド(11N)の力に達するまで固定具及び空気式顎部を引っ張り、その後、ホーム位置に戻るように、引張試験機をプログラムした。ホーム位置を約5秒間維持し、引張試験機を再度2.5ポンド(11N)の力まで引っ張った。工程を200サイクル又は破損するまで繰り返した。
【0046】
  (実施例1及び2)
  実施例1、2及び比較実施例Aのサンプルは、Washington  Penn  Plastic  Co.,Inc.(Frankfort,Kentucky)から入手したPPC1TF2  Pantone  307C(シリアル番号02271318112)で作製されたコアと、Kraton  Polymers  LLC(Houston,Texas)から入手したショアA硬度32を有するKraton  SEBS樹脂で作製された音波減衰部分及びステムの外層とを含み、膨張球及び化学発泡剤を含んだ。音波減衰部分及びステムの外層の材料でコアを被覆し、次いで成形型に入れて加熱し、音波減衰部分を形成した。実施例1の耳栓は、
図6b及び
図6cに示す形状及び構成を有し、長手方向軸線の周囲に均等に離間配置された台形の断面形状を有する8個のキャビティを含む複数のキャビティのアレイを含んだ。実施例2の耳栓は、
図6b及び
図7に示す形状及び構成を有し、長手方向軸線の周囲に均等に離間配置された概ね矩形の断面形状を有する6個のキャビティを含む複数のキャビティのアレイを含んだ。比較実施例Aの耳栓は、
図6b及び
図8に示す形状及び構成を有するが、複数のキャビティのアレイを含まなかった。
【0047】
  実施例1及び2並びに比較実施例Aの耳栓の寸法を表1にまとめて示す。先端部からの距離(L4)での複数のキャビティのアレイの横断面において、キャビティの壁厚(Tw)を測定した。
【0048】
【表1】
【0049】
  平衡力試験及び疲労サイクル試験の結果を以下の表2に報告する。先端部からの距離L5でそれぞれ12.3mm
2及び6.7mm
2のキャビティ面積(Ac)を有する複数のキャビティのアレイを含む実施例1及び2は、比較実施例Aと比べて38%及び14%の平衡力の減少を示し、その一方で疲労サイクル試験を成功裏に完了した。したがって、複数のキャビティのアレイを有する実施例1及び2は、耳栓が加える平衡力を減少させ、したがって、特に長時間にわたって着用した場合に使用者に快適な適合性を提供するであろう。更に、複数のキャビティのアレイは、平衡力の減少をもたらし、その一方で疲労サイクル試験に合格し、200サイクル後も破損しない、十分な耐久性を維持した。
【0050】
【表2】