特許第6808131号(P6808131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6808131
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】半田鏝先クリーナ
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/02 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
   B23K3/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-210001(P2019-210001)
(22)【出願日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年10月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519415889
【氏名又は名称】株式会社ロジ・サイエンス
(72)【発明者】
【氏名】三原 一郎
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−101255(JP,A)
【文献】 実開昭54−098064(JP,U)
【文献】 特開昭57−159264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田鏝先を出し入れする開口部(3、10)が設けられた容器(1)と、この容器内に収容され弾性を有して絡み合った金属細帯状片や洗浄ワイヤなどから成る半田鏝先クリーナ用材料(5)とを備えた半田鏝先クリーナにおいて、前記容器の外径は50mm〜90mmであり、前記容器の斜め上方に設けられた開口部の開口端(4、11)の内径は、直径45mm〜50mmであって、前記容器開口部の開口端から容器外方へ向かって前記開口端から35mm乃至100mm外方へ向かって末広がりに伸びた開放端を有し半田粉末の外部への飛散を阻止する隔壁を形成するホーン部(6、12)を備え、該ホーン部内への前記半田鏝先の出し入れ、前記容器内に収容された半田鏝先クリーナ用材料と前記半田鏝先との接触状態を前記ホーン部外部から目視可能にしたことを特徴とする半田鏝先クリーナ。
【請求項2】
前記容器の開口部(3)の形状は円状で、前記ホーン部(6)の開口部(7)の形状も円状であり、前記容器の開口端から外方へ伸びて隔壁を形成していることを特徴とする請求項1記載の半田鏝先クリーナ。
【請求項3】
前記容器の開口部(10)の形状は円状であり、前記ホーン部(12)の開口部(13)の形状は四角形状であって、前記容器の開口端から外方へ伸びて隔壁を形成していることを特徴とする請求項1記載の半田鏝先クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田鏝の先端に付着した保護半田や半田かすなどの汚れの除去及び除去時の半田粒子等の飛散を防止するのに適した半田鏝先クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
半田鏝を用いて半田付け作業を行う場合、非作業中は半田鏝鏝先腐食防止のため、半田鏝先に半田を付着させたままとしている。そして、作業開始時にこのような鏝先に付着させたいわゆる保護半田やフラックスなどの汚れを除去するようにしている。
【0003】
係る保護半田等を除去する半田鏝クリーナとしては、特許文献1に示される構成のものがある。この半田鏝クリーナは、材料として、耐熱性および弾性を有し不規則に絡み合っている黄銅、銅などの軟らかい金属の薄片から成る金属細帯状片で構成されている。この金属細帯状片表面には、蒸着などの方法で、溶融された半田表面の酸化物を溶解或いは剥離して流動性を増し他の金属へのぬれを良くするとともに、加熱される金属の表面が酸化されるのを防止する作用を有する半田用フラックスの被膜が形成されている。
【0004】
半田が付着している半田鏝先をこの半田鏝クリーナ材料の中に挿し込むと、半田鏝クリーナ材料は、不規則に絡み合って空間を区分しているから、区分された空間内に挿し込まれた半田鏝先は、半田鏝クリーナ用材料で囲まれる。この状態で、金属細帯状片表面に形成されている半田用フラックスの被膜は、鏝先の半田と接触してその表面の酸化物を溶解あるいは剥離して金属細帯状片表面とのぬれを良くするだけでなく、半田鏝先と接触して加熱される金属細帯状片の酸化をも防止するので、半田鏝先の表面を傷つけることなく半田を、半田鏝先から金属細帯状片の方に除去することができる。
【0005】
除去された溶融半田は、ぬれの良い金属細帯状片に沿って移動する間に冷却され、温度が半田の凝固温度にまで下がったところで凝固し、不規則に絡み合った金属細帯状片の途中で全て保持されるため、凝固した半田は下方に落下して作業面を汚すのを防止することができる。このため、除去した半田の処理に手数がかからなくなるだけでなく、半田鏝先クリーナ用材料の使用に際しては、半田鏝先クリーナ用材料を収容する容器の使用を省略することができるとしている。
【0006】
特許文献2には、以下のような構成の半田鏝先クリーナが記載されている。この半田鏝先クリーナは、余剰半田ストッカの上部に、耐熱性と弾力性を有する耐熱ゴムなどの材料で円周状に構成した半田鏝先を清拭する清拭部(ワイパ)を設け、そのワイパに、さらに、半田親和性を持つ金属または半田親和性を持たせる表面処理を施した、耐熱性材料による余剰半田捕捉チップを設けている。
【0007】
半田鏝先に付着した余剰はんだを清拭する際は、余剰はんだを余剰はんだ捕捉チップで削ぎ取るように半田鏝を操作する。余剰半田捕捉チップの熱容量は、半田鏝先から供給される熱により速やかに温度上昇し、半田融点を超える様に設定されている。
【0008】
また、余剰半田捕捉チップは、半田親和性のよい材質で構成されている。従って、半田鏝先に付着した余剰半田は、余剰はんだ捕捉チップに円滑に移行する。こうして余剰半田捕捉チップに集積された余剰半田は、溶融状態のまま自重により垂下し余剰半田の自重が半田の表面張力を超えたとき、除去された余剰半田のように落下して、余剰半田ストッカに集積される。
【0009】
集積された余剰半田は、粒状になっているため、半田としての再生や鉛廃棄物としての分別回収が極めて容易である。又、ワイパを円周状にすることにより、全周に渉ってほぼ均等な角度と張力を保有させることができるため、順次、使用位置を変えることにより、長期間清拭機能を維持させることができるとしている。
【0010】
特許文献3には、半田鏝先の汚れを除去するための金属製のコイル状に巻かれた洗浄ワイヤと、この洗浄ワイヤを保持するワイヤ置台と、洗浄ワイヤ接続線によって洗浄ワイヤと接続されるリーク検査機とで構成された半田鏝先クリーナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実公平2−16859号公報
【特許文献2】特開2000−317628号公報
【特許文献3】特開2008−254057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した従来の半田鏝先クリーナによると、半田鏝先が押圧容器内に絡み合って収容されている金属製細帯状片やワイヤ置台に載置された洗浄ワイヤに突き刺したり、擦り付ける力で金属製帯状片や洗浄ワイヤが変形し、抜き出したり、擦り付けるときの復元力で、半田鏝先の表面に付着していた保護半田、半田かす、半田フラックスが飛散し、半田鏝先クリーナ近辺のテーブルT上に載置されている電子機器Eやプリント基板や電子部品Eの上に、図5に示すような半田滓、半田粒子、フラックス等が舞い降りる場合がある。
【0013】
すなわち、特許文献1に記載された半田鏝先クリーナは、除去された溶融半田は、ぬれの良い金属細帯状片に沿って移動する間に冷却され、温度が半田の凝固温度にまで下がったところで凝固し、不規則に絡み合った金属細帯状片の途中で全て保持されるため、凝固した半田は下方に落下して作業面を汚すのを防止することができ、半田鏝先クリーナ用材料の使用に際しては、半田鏝先クリーナ用材料を収容する容器の使用を省略することができるとしているが、実際は、金属製細帯状片の弾性復元力は意外に大きいので、半田鏝先の保護半田、余剰半田は、この弾性復元力によって弾き飛ばされてしまい、凝固温度まで下がる前に遠くまで半田粒子等が飛散し落下する。そのため、従来図として描かれている円筒状の容器内に半田鏝先クリーナ用材料が収容されていたとしても、この円筒状容器外に半田粒子等が飛散することが判明した。
【0014】
また、特許文献2に記載されて半田鏝先クリーナは、中央部がくり抜かれ中心部に向かって囲むように逆お椀状の形状した余剰半田ストッカの上部に、耐熱性と弾力性を有する耐熱ゴムなどの材料で円周状に構成した半田鏝先を清拭するワイパが設けているので、半田鏝先をこの弾力性を有する耐熱ゴムに擦り付けるときの押圧力に比例して反発力が発生し、補足チップで余剰半田を補足する前に、ワイパ先端部分が余剰半田をくり抜かれた円周端部から外側に弾き飛ばしてしまうので、特許文献1と同様に、半田粒子等が飛散し余剰半田ストッカの周囲に落下してしまい、半田付け作業対象の電子機器に対して悪影響を与える恐れがある。
【0015】
特許文献3に記載された半田鏝先クリーナも、特許文献1および特許文献2同様に、洗浄ワイヤが弾性を有していることが明らかであり、半田鏝先を洗浄ワイヤに押し付けて半田鏝先の余剰半田や汚れを除去するときの押圧力に比例した反発復元力によって、余剰半田が周囲に粒子状になって飛散し半田付け作業対象の電子機器に対して悪影響を与える恐れがある。
【0016】
このような従来の半田鏝先クリーナでは、飛散した保護半田、半田かす、半田フラックスがプリント基板や部品に付着したことに気づかず製品として出荷する恐れがあったが気づかれず、様々な故障の原因となっていても、原因不明として片づけられてきたようである。
【0017】
しかしながら、近年、プリント基板、部品における電気回路間の集密度が著しく向上したため、従来は各回路間の間隔を十分確保していたので短絡原因とならなかった目に見えない大きさの半田粒子等でも、プリント基板や部品が衝撃を受けたときや、温度衝撃を受けたときに、各回路間の短絡の原因として悪影響を与えることが判明した。
【0018】
そこで、半田鏝先クリーナから十分な間隔を置いた場所で半田付け作業を行うことや、半田鏝先クリーナと作業場所との間にL字状の衝立を設け、飛散した半田粒子等が作業場所まで到達しないようにすることも考えられるが、半田鏝先をクリーニングする度に、プリント基板や部品分の場所まで、半田鏝を移動させるのに余分な時間を必要とし、衝立の存在のため、作業能率が悪くなるという新たな問題が発生するので好ましくない。
【0019】
本発明の目的は、これら従来技術が抱えている技術的問題を解決するためになされたものであって、保護半田、余剰半田や半田フラックスなどからなる半田滓を半田鏝の先端から効率的に除去すると共に、容器の開口部に連続してホーン部を設けホーン部が隔壁となって、除去時に、近接して置かれた半田付け作業対象の電子機器に対し、半田粒子等が飛散して悪影響を与える恐れがない半田鏝先クリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、半田鏝先を出し入れする開口部(3、10)が設けられた容器(1)と、この容器内に収容され弾性を有して絡み合った金属細帯状片や洗浄ワイヤなどから成る半田鏝先クリーナ用材料(5)とを備えた半田鏝先クリーナにおいて、前記容器の外径は50mm〜90mmであり、前記容器の斜め上方に設けられた開口部の開口端(4、11)の内径は、直径45mm〜50mmであって、前記容器開口部の開口端から容器外方へ向かって前記開口端から35mm乃至100mm外方へ向かって末広がりに伸びた開放端を有し半田粉末の外部への飛散を阻止する隔壁を形成するホーン部(6、12)を備え、該ホーン部内への前記半田鏝先の出し入れ、前記容器内に収容された半田鏝先クリーナ用材料と前記半田鏝先との接触状態を前記ホーン部外部から目視可能にしたことを特徴とする。
【0021】
また、容器の開口部の形状、ホーン部の開口部の形状両方とも円状であって、容器の開口端から外方へ伸びて隔壁を形成している構成であってもよい。
【0022】
また、容器の開口部の形状は円状であり、ホーン部の開口部の形状は四角形であって、容器の開口端から外方へ伸びて隔壁を形成している構成であってもよい。
【0023】
また、ホーン部は、容器の開口端から35mm乃至100mm外方へ向かって伸びて隔壁を形成している構成であってもよい。
【0024】
また、容器の最大外形寸法より容器の開口端側の外形寸法が小となっており、容器の開口端に接続されたホーン部下端の外形寸法よりホーン部の開口端の外形寸法は大となって末広がりに開口する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、半田鏝先の保護半田、余剰半田や半田フラックスなどからなる半田滓を効率的に除去すると共に、除去時に、隔壁を形成するホーン部によって半田粒子等が周囲に飛散して、近接して置かれた半田付け作業対象の電子機器に対して、悪影響を与える恐れがない。
【0026】
従来の半田鏝先クリーナは、半田鏝クリーナ材料として半田鏝先の汚れを除去するため、金属細帯状片や洗浄ワイヤを用いているが、これらの半田鏝クリーナ材料は弾性を有しているため、半田鏝先をこれらの半田鏝クリーナ材料に押し付け、差し込んだときの押圧力に抗して生ずる半田鏝クリーナ材料の反発復元力によって、半田粒子等が飛散し、近接して置かれた半田付け作業対象の電子機器に対して悪影響を与える恐れがあったが、本発明による半田鏝クリーナ材料を収容した容器の開口端から容器外方へ向かって伸びて隔壁を形成するホーン部を備えているので、半田鏝クリーナ材料の反発復元力によって弾き飛ばされた半田粒子等は、隔壁を形成するホーン部に進行方向を遮られホーン部外の周辺に飛散することが無く、電子機器が近接して置かれても悪影響を与える恐れがない。
【0027】
また、隔壁を形成するホーン部は末広がりに開口しているので、半田付け作業後に半田鏝先を半田鏝先クリーナへ出し戻しする際、いちいち目視して正確に位置決めしてから、半田鏝先を半田鏝先クリーナへ挿入する必要がない。しかも、この辺と思う位置に大雑把に差し戻せば、ホーン部が半田鏝先を挿入するガイドとなって、半田鏝先を半田鏝先クリーナ材料へ導き、迅速に清浄作業も行えるので、半田鏝先の清浄作業に要する時間短縮にも役立つ。
【0028】
また、容器基部中央の最大外形寸法より、容器の開口端側の外形寸法が小となっており、容器の開口端に接続されたホーン部下端の外形寸法よりホーン部上端の外形寸法は大となって末広がりに開口する構成なので、容器内に収容されている半田鏝クリーナ材料の反発復元力によって弾き飛ばされた半田粒子等の飛散方向を妨げる方向に、先ず容器の開口端側が存在し、半田粒子等が開口部を通過しても、ホーン部が半田粒子等の進行方向を妨げるように隔壁として存在するので、電子機器を左右に近接して置かれても、半田粒子等が電子機器まで飛散することは全く無く、悪影響を与える恐れは全く無い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の半田鏝先クリーナの使用状態を示す概要図。
図2】本発明の実施例1を示す半田鏝先クリーナの正面図。
図3】本発明の実施例1を示す半田鏝先クリーナの断面図。
図4】本発明の実施例2を示す半田鏝先クリーナの斜視図。
図5】クリーニングのため、鏝先を従来の半田鏝先クリーナで擦ったときに周辺に飛散した半田粒子等の形状を示す拡大写真。
図6】本発明の実施例1による半田鏝先クリーナのホーン部内隔壁に付着した半田粒子等の形状を示す拡大写真。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図6を用いて説明する。
図1から図3は、実施例1として、本発明の半田鏝先クリーナの使用状態を示す概略図を示したものである。図2は半田鏝先クリーナの正面図を示し、図3図2のA―A線における断面図を示している。容器1は、逆お椀型の形状を示しているが、他の形状であっても構わない。容器1の基部2の大きさは、50mm〜90mmが望ましい。容器1の斜め上方に円形の開口部3を有している。この開口部3の上方開口端4の大きさは、直径45mm〜50mmが望ましい。基部2の最大外形寸法より容器1の上方に行くにしたがい狭まり、開口端4の直径は基部2の最大外形寸法より小さくなっている。図3の断面図に示すように、容器1内には、半田鏝先クリーナ材料5が収容されており、その一部が容器1の開口部3から見える構造となっている。
【0031】
容器1の開口部3の開口端4には、隔壁を形成する末広がりの円錐形状のホーン部6の下端が接続されている。この円錐状のホーン部6の隔壁を形成している上端側の開口部7の直径寸法は、50mm〜70mmが望ましく、ホーン部6の下端から上端までの寸法は、35mm〜100mm外方へ向かって伸びて隔壁を形成している。ホーン部の隔壁の寸法が20mm以下の小さな寸法であると、ホーン部の隔壁としての機能が損なわれ、半田粒子等がホーン部の開口部から飛び出て、ホーン部の外側左右に飛散する可能性がある。また、ホーン部の隔壁の寸法が100mmを超える寸法であると、半田鏝先を半田鏝先クリーナ材料5に到達させることが困難となり、作業性を著しく減退させる。望ましい寸法としては、60mmである。ホーン部6の材料は、鉄、アルミニュウム、真鍮など耐熱性を有する金属が望ましい。容器1とホーン部6の接合は、ホーン部6の下端側に切り込みを入れて互い違いに折り曲げて容器1の開口端4に圧接して挟持してもよく、又は、溶接、接着剤などの他の手段を用いて接合してもよい。或いは、容器1とホーン部6とを同一材料で一体に形成してもよい。
【0032】
容器1に対するホーン部6の角度は、容器1の中央垂直線とホーン部6の中心線とが成す角度が、おおむね40度から60度位傾斜していればよく、作業者によって好む作業角度が異なるが、平均的には45度位が望ましい。このホーン部6の隔壁の高さ寸法、直径寸法、容器1への取り付け角度は、半田付け作業に使用する半田鏝8の長さ、太さ、作業者の好みに応じて選択される。
【0033】
半田鏝8の鏝先9をクリーニングする場合、先ず、半田鏝8を持って鏝先9をホーン部6の開口部7に挿入し、容器1内に収容されている半田鏝先クリーナ材料5に鏝先9を突き刺す。鏝先9の挿入時に、半田鏝8の鏝先9がホーン部6の下部側の隔壁に接触した場合に、ホーン部6が鏝先9挿入のガイドとなって鏝先9移動の位置決め役を担っているので、おおよその見当で半田鏝8を移動させれば必ず鏝先9は、半田鏝先クリーナ材料5に突き刺さることになる。
【0034】
半田鏝8の鏝先9を容器1内に収容されている半田鏝先クリーナ材料5に擦り付け、前後させることで、鏝先9は、保護半田、半田滓、フラックスは取り去られ清浄な半田面となる。このとき、半田鏝8による押圧力によって半田鏝先クリーナ材料5が変形し、その復元反発力によって半田粒子等が飛散しても、その飛散方向にはホーン部6が隔壁として存在して飛散を妨げるので、仮に、ホーン部6の外側に隣り合うように近接して半田付け作業対象の電子機器を置いたとしても、飛散した半田粒子等が電子機器上に舞い降りることは全くない。
【0035】
本発明の実施例2として、図4に示すように、半田鏝先クリーナの容器1の開口部10の形状は円状である。この開口部10の大きさは、実施例1同様に直径45mm〜50mmであるが、容器1の開口端11に接続されるホーン部12は、開口部13の形状は四角形の形状であって、縦寸法が50mm〜70mm、横寸法が50mm〜70mmである。
【0036】
実施例2において、半田鏝8の鏝先9をクリーニングする場合も実施例1と同様に、先ず、半田鏝8を持って鏝先9を四角錐状のホーン部12の開口部13に挿入し、容器1内に収容されている半田鏝先クリーナ材料5に鏝先9を突き刺す。鏝先9の挿入時に、半田鏝8の鏝先9がホーン部12の隔壁に接触した場合には、ホーン部12が鏝先9挿入のガイドとなって鏝先9移動の位置決め役を担っているので、おおよその見当で半田鏝8を移動させれば必ず鏝先9は、半田鏝先クリーナ材料5に突き刺さることになる。四角錐状のホーン部12の場合、ホーン部12の開口部13の下部側は平坦なので、半田鏝8の鏝先9を左右に移動しやすい。
【0037】
特許文献1に示すような従来の半田鏝先クリーナで半田鏝先をクリーニングした場合、飛散した半田粒子等の形状は様々で、飛散する半田粒子等は、図5の半田粒子等拡大写真(1目盛1mm)に示すような大きいものでは、1mm〜3mm、小さいものでは肉眼で見えない0.05mm以下の様々な形状の半田粒子等が飛散してしまうことが判明した。
【0038】
本発明による半田鏝先クリーナを使用して半田鏝先をクリーニングした場合、半田鏝先クリーナの容器1の左右に半田付け作業対象の電子機器を置いたとしても、ホーン部が隔壁の作用を成すので、電子機器上に飛散半田が舞い落ちる恐れは全くない。この飛散防止効果は、半田鏝先のクリーニング作業後のホーン部の隔壁の内側を調べた場合、図6の半田粒子等拡大写真(最小1目盛1mm)に示すように、大小様々な形状(大きいもので、1mm〜2mm、小さいものでは0.1mm〜0.05mmの飛散半田粒子等が内側側壁の容器1の開口部の開口端から30mm以下に集中して付着していた。この事実から、隔壁の長さが35mm以上あるホーン部外側の左右には、半田粒子等が飛散しないことが証明出来た。
【符号の説明】
【0044】
1:容器、2:基部、3:開口部、4:開口端、5:半田鏝先クリーナ材料、6:ホーン部、7:開口部、8:半田鏝、9:半田鏝先、10:開口部、11:開口端、12:ホーン部、13:開口部、14:開口端
【要約】      (修正有)
【課題】半田鏝先から余剰半田などを効率的に除去すると共に、除去時に、近接して置かれた電子機器に対し、悪影響を与えない半田鏝クリーナを提供する。
【解決手段】弾性を有して絡み合った金属細帯状片や洗浄ワイヤなどから成る半田鏝先クリーナ用材料5を容器1内に収容し、この容器1の開口部3には、開口端4から容器1外方へ向かって伸びて隔壁を形成するホーン部6の下端が接続されており、クリーニングしようとする半田鏝8の鏝先を半田鏝先クリーナ材料に擦り付け出し入れする際に飛散する半田粒子等は、ホーン部6が隔壁となって飛散を妨げられホーン部6外に飛散しない。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6