(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サポート材は、前記熱交換用チューブの束の前記両側部に対を成して配設され、断面略円弧状の前記熱交換用チューブの束の側面と内周面の一部とを覆う断面略L字状の板材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換システム。
前記サポート材は、前記熱交換用チューブの束の前記両側部に対を成して配設され、前記熱交換用チューブの束の側部を覆う断面略コ字状の板材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換システム。
前記固定部材は、前記既設管よりも曲率半径の大きい略円弧状の板バネで構成され、曲率半径が小さくなるように前記既設管の内壁面に押し付けられた状態で固定されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の熱交換システムでは、熱交換用チューブが露出された状態となっているため、下水と熱交換媒体との間の熱伝導率が向上し、高い熱交換率を得ることができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の熱交換システムでは、管軸方向に離間して配置された固定部材の間において、管周方向に隣り合う熱交換用チューブどうしが非固定状態であるため、隣り合う熱交換用チューブの間から熱交換用チューブと下水管との間に砂や塵等の異物が入り込みやすく、入り込んだ異物が堆積すると、下水管内の抵抗が増加し、下水や雨水の排出機能が阻害されてしまうという問題があった。
【0008】
一方、特許文献2に記載の熱交換システムでは、拘束部材により隣り合う熱交換用チューブの間から異物が入り込むのを抑制することができる。
【0009】
しかしながら、拘束部材は熱交換用チューブよりも剛性が高く、地上で熱交換用チューブに取り付けた状態で下水管内に導入させることができない。従って、下水管の内部で、複数の熱交換用チューブを1本ずつ拘束部材のリブの間に挟み込んで束状にする必要があり、下水管内の施工時間が増大して工費が増加してしまうという問題がある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、地中に埋設された既設管に適用される熱交換システムにおいて、高い熱交換率を得ることができ、既設管内に塵等の異物が堆積するのを防止可能であって、施工時間を短縮できる熱交換システム及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の熱交換システムは、熱交換用チューブを流れる熱交換媒体と地中に埋設された既設管を流れる流体との間で熱交換を行う熱交換システムにおいて、前記既設管内において管軸方向に延在し、並列し且つ互いに固定された複数の熱交換用チューブからなる熱交換用チューブの束と、前記管軸方向に間隔を空けて配置され、当該配置箇所にて前記熱交換用チューブの束を前記既設管の内壁に固定する複数の固定部材と
、前記熱交換用チューブの束よりも高い剛性を有し、前記管軸方向に隣り合う前記固定部材の間のそれぞれにて前記熱交換用チューブの束の一部が露出するように前記熱交換用チューブの束の前記管軸方向に延びる両側部に配置され、前記管軸方向に長く延びて前記両側部を前記既設管に固定する複数のサポート材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、熱交換媒体の流通路が、並列し且つ互いに固定された複数の熱交換用チューブからなる熱交換用チューブの束によって構成されているので、並列する熱交換用チューブの間から熱交換用チューブと下水管との間に砂や塵等の異物が入り込んで堆積するのを防止することができる。また、このような熱交換用チューブの束は、地上において比較的容易に形成することができるので、既設管内で拘束部材を用いて複数の熱交換用チューブを1本ずつ拘束するものに比して既設管内の施工時間を短縮することができる。
また、この構成によれば、サポート材により、隣り合う固定部材の間において、熱交換用チューブの束が既設管を流れる流体により浮き上がることを的確に防止することができる。これにより、浮き上がった熱交換用チューブと既設管との間に異物が堆積するのを的確に防止することができる。また、サポート材は熱交換用チューブの束の一部のみを覆うように配置されるので、熱交換用チューブの束の露出状態が確保され、高い熱交換率を得ることができる。また、この構成によれば、熱交換用チューブの束の浮き上がりを防止することができるとともに、熱交換用チューブの束の両側部から異物が入り込むのを防止することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱交換システムにおいて、前記固定部材は、前記熱交換用チューブの束に対し常時押圧力を付与することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、熱交換用チューブの束に常時押圧力が作用しているので既設管に対する固定が安定する。
【0019】
また、請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載の熱交換システムにおいて、前記サポート材は、長手方向の両端部が前記固定部材により前記既設管に固定されることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、固定部材によって熱交換用チューブの束とともにサポート材を既設管に固定することができるので、施工が容易である。
【0021】
また、請求項
4に記載の発明は、請求項
1〜3のいずれか1項に記載の熱交換システムにおいて、前記サポート材は、前記熱交換用チューブの束の前記両側部に対を成して配設され、断面略円弧状の前記熱交換用チューブの束の側面と内周面の一部とを覆う断面略L字状の板材であることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、熱交換用チューブの束の両側部において、熱交換用チューブの束の内周面がサポート材により覆われることで、熱交換用チューブの束の浮き上がりが防止される。また、サポート材により、熱交換用チューブの束の両側部から熱交換用チューブの束の底面に砂や塵が入り込むのを防止することができる。
【0023】
また、請求項
5に記載の発明は、請求項
1〜3のいずれか1項に記載の熱交換システムにおいて、前記サポート材は、前記熱交換用チューブの束の前記両側部に対を成して配設され、前記熱交換用チューブの束の側部を覆う断面略コ字状の板材であることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、サポート材により熱交換用チューブの束の浮き上がりを防止し、熱交換用チューブの束の両側部から砂や塵が入り込むのを防止することができる。また、熱交換用チューブの束の側部がサポート材により断面コ字状に覆われることで、熱交換用チューブの束の補剛効果が高まり、浮き上がりをより確実に防止することができる。
【0025】
また、請求項
6に記載の発明は、請求項1〜
5のいずれか1項に記載の熱交換システムにおいて、前記固定部材は環状であって、拡径されることにより前記既設管の内壁に固定されたことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、既設管内を流れる流体により固定部材に位置ずれが生じるのを防いで、固定部材を確実に既設管の内壁に固定することができる。
【0027】
また、請求項
7に記載の発明は、請求項1〜
5のいずれか1項に記載の熱交換システムにおいて、前記固定部材は、前記既設管の内周に沿う断面略円弧状の板材で構成され、拡径されて前記既設管の内壁面に押し付けられた状態で固定されたことを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、固定部材を確実に既設管の内壁に固定することができるとともに、環状のものに比して固定部材を小型化することができるので、資材コストや施工コストを低減することができる。
【0029】
また、請求項
8に記載の発明は、請求項1〜
5のいずれか1項に記載の熱交換システムにおいて、前記固定部材は、前記既設管よりも曲率半径の大きい略円弧状の板バネで構成され、曲率半径が小さくなるように前記既設管の内壁面に押し付けられた状態で固定されたことを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、固定部材として比較的安価な板バネを用いて、容易に熱交換用チューブの束を固定することができるので、資材コストや施工コストを低減することができる。
【0031】
また、請求項
9に記載の熱交換システムの施工方法は、請求項1〜
8のいずれか1項に記載の熱交換システムの施工方法であって、前記既設管内に可撓性を有する前記熱交換用チューブの束を導入する導入工程と、
前記導入工程の後に、前記複数のサポート材を前記熱交換用チューブの束に取り付ける取付工程と、前記固定部材により前記熱交換用チューブの束を前記既設管の内壁に固定する固定工程と、を含むことを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、並列し且つ互いに固定された複数の熱交換用チューブの束を既設管内に導入するので、既設管内で複数の熱交換用チューブを1本ずつ拘束して束状にする必要がなく、既設管内の施工時間を短縮することができる。
また、この構成によれば、可撓性を有する熱交換用チューブの束と、これよりも剛性が高く、長さが短いサポート材とを分離した状態で既設管内に導入できるので、導入作業が容易である。
【0033】
また、請求項
10に記載の発明は、請求項
9に記載の熱交換システムの施工方法において、
前記固定工程において、前記固定部材により前記熱交換用チューブの束及び前記サポート材を前記既設管の内壁に固定することを特徴とする。
【0034】
この構成によれば
、固定部材によりサポート材と熱交換用チューブの束との両方を同時に既設管の内壁に固定することができるので、施工が容易である。
【0035】
また、請求項
11に記載の発明は、請求項
9又は10に記載の熱交換システムの施工方法において、前記取付工程において、複数のサポート材は、接着剤により熱交換用チューブの束の表面に取り付けられることを特徴とする。
【0036】
この構成によれば、サポート材を簡易且つ確実に熱交換用チューブの束に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る熱交換システム及びその施工方法によれば、施工時間を短縮でき、高い熱交換率を得ることができるとともに、熱交換用チューブと既設管との間に塵等の異物が堆積するのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である熱交換システム10を模式的に示す縦断面図であり、
図2(a)は、
図1のII−II線断面図である。熱交換システム10は、地中に埋設された既設管である下水管70に設置される。下水管70は、2つのマンホール72,74の間に配設されており、この2つのマンホール72,74を連通している。熱交換システム10は、熱交換用チューブマット(熱交換用チューブの束)20と、複数のサポート材30、30’と、複数の固定部材40と、ヒートポンプユニット50とを備える。
【0040】
図3に示すように、熱交換用チューブマット20は、例えばPP樹脂、PBT樹脂、PET樹脂、PE樹脂やゴム材料等により形成された、複数の熱交換用チューブ21,21’から構成される。具体的には、熱交換用チューブマット20は、熱交換用媒体の往路を構成する熱交換用チューブ21−1〜21−10と、継手部材25を介して熱交換媒体の復路を構成する熱交換用チューブ21−1’〜21−10’とを有する。各熱交換用チューブ21−1〜21−10,21−1’〜21−10’は並列に配置され、熱交換用チューブマット20は全体として可撓性を有する厚みのある長尺平板状である。
【0041】
なお、図示例では、熱交換媒体の往路及び復路をそれぞれ10本の熱交換用チューブ21により形成しているが、本数はこれに限られず、往路及び復路のそれぞれが1本以上、すなわち、往路及び復路を合わせて2本以上の熱交換用チューブ21によって構成されていればよい。また、図示例では熱交換用チューブ21の断面が円形のものを示しているが、断面形状はこれに限られず、楕円形、多角形など、熱交換用媒体を流通させることができる形状であればよい。
【0042】
熱交換用チューブ21内を流れる熱交換媒体は、特に限定されないが、例えば、水、或いは水とアルコール又はエチレングリコールの混合物(不凍液)を用いることができる。
【0043】
下水管70の管周方向に並列する複数の熱交換用チューブ21は、例えば、熱交換用チューブ21と一体若しくは別体の連結手段24で互いに接続固定する、接着剤で互いに接着する、又は一体成形する等により、並列状態で延在方向に延びる側部が接続固定されている。
図3(b)に示すように、本実施形態では、並列する5本の熱交換用チューブ21の束が一体成形されており、これと隣接する5本の熱交換用チューブ21の束が、これら熱交換用チューブ21の束の側部にそれぞれ設けられた連結手段24により互いに固定されている。連結手段24は、熱交換用チューブ21の延在方向に複数設けられ、互いに係合する雄部24aと雌部24bとを有する。雄部24a及び雌部24bは、熱交換用チューブ21と一体成形されている。なお、雄部24a及び雌部24bは、熱交換用チューブ21の延在方向に沿って連続的に延びる構造であってもよい。本実施形態では、このように一体成形及び連結手段24により20本の熱交換用チューブ21が並列固定されている。なお、熱交換用チューブマット20を構成する複数の熱交換用チューブ21は、互いに並列固定されていればよいが、
図2(a)に示すように、設置状態において管周方向に一列に並ぶように構成されることが好ましい。
【0044】
継手部材25は、
図3(a)及び(c)に示すように、熱交換用チューブマット20の先端部に設けられ、熱交換用チューブマット20とほぼ同じ厚さの円弧状に形成されており、往路となる熱交換用チューブ21−1〜21−10が挿入、接続される複数の第1接続孔26−1〜26−10と、復路となる熱交換用チューブ21−1’〜21−10’が挿入、接続される複数の第2接続孔27−1〜27−10とを有する。継手部材25の内部において、各第1接続孔26と各第2接続孔27とは流路28で繋がれている。熱交換用チューブ21−1〜21−10内を通って各第1接続孔26−1〜26−10から継手部材25内へ流入した熱交換媒体は、これらが合流する流路28を通り、継手部材25の下流側で分岐した各第2接続孔27−1〜27−10から熱交換用チューブ21−1’〜21−10’へ流出する。
【0045】
なお、継手部材25は、各第1接続孔26−1〜26−10から流入した熱交換媒体が、合流することなく、これと対になる第2接続孔27−10〜27−1へ流出するように、互いに分離した複数の流路28を有する構成であってもよい。また、継手部材25は、平板状であって、自身の可撓性により円弧状に湾曲可能なものであってもよい。
【0046】
継手部材25において、第1及び第2接続孔26,27が形成される面と反対側の面には、摺り付け部25aが設けられる。摺り付け部25aは、
図1に示すように、設置状態において継手部材25が下水管70の内壁面から滑らかに接続されるように曲線状に形成された部位である。なお、摺り付け部25aは、継手部材25と別体のものを連接させた構成であってもよい。
【0047】
なお、
図2(a)では、熱交換用チューブマット20の構成を理解しやすくするために、下水管70に対して各熱交換用チューブ21を大きく示しているが、熱交換用チューブ21は、例えば、内径が約7〜20mm、外径が約10〜25mm、厚さが約1.5〜3mmであり、下水管70は、例えば、内径が約1.5〜3mであって、作業者が下水管70内に入って作業可能な大きさとなっている。
【0048】
熱交換用チューブ21の基端部(すなわち、熱交換用チューブマット20の基端部)は、図示していない連結部材を介して配管61と連結される。具体的には、往路となる熱交換用チューブ21−1〜21−10の基端部は、連結部材を介して配管61の一端に連結され、復路となる熱交換用チューブ21−1’〜21−10’の基端部は、連結部材を介して配管61の他端に連結される。
【0049】
サポート材30は、熱交換用チューブマット20よりも長手方向の長さが短く、高い剛性を有する。サポート材30の材料としては、例えば、PVC樹脂、アルミニウム、ステンレス、繊維強化プラスチック(FRP)等を用いることができる。なお、サポート材30の材料は、これらに限定されず、下水管70を流れる流体に対する耐久性があって熱交換用チューブマット20よりも剛性が高いものであればよい。本実施形態では
図4において実線で示すように、断面が略L字状である長尺状の板材である。なお、サポート材30’は、サポート材30と同一形状に形成され、これと対を成すように配置される。サポート材30は、管軸方向において隣り合う固定部材40の間に亘って延在するように長さが設定される。サポート材30を構成する板材の材料は、熱交換用チューブ21の材料と同等、又はそれより大きい熱伝導率を有することが好ましい。なお、サポート材30の厚さは、約1〜4mmであり、材料としてステンレスを用いた場合には約1〜1.2mmであることが好ましい。
【0050】
サポート材30においてL字の一辺を形成する第1板状部31は、熱交換用チューブマット20の側面に接合され、第1板状部31と交差する第2板状部32は、設置状態における熱換用チューブマット20の内周面に接合される。第1板状部31と第2板状部32との交差角度θ1は、鈍角になっている。第1板状部31の幅寸法は、熱交換用チューブマット20の側面の幅寸法とほぼ同じであって、該側面を覆うことが可能な大きさに設定されることが好ましい。熱交換用チューブマット20が比較的幅広に形成される(例えば、並列固定された10本以上の熱交換用チューブ21,21’の束を有する)場合には、第2板状部32が第1板状部31よりも幅広であることが好ましい。
【0051】
なお、サポート材30の第2板状部32は、
図4において仮想線で示す部分をさらに有し、第1板状部31が第2板状部32の板面から突出する断面略T字状であってもよい。このようなサポート材30は、設置状態において、第2板状部32の一部(仮想線で示す部分)が熱交換用チューブマット20の幅方向外側に突出し、その端縁が下水管70の内壁に近接又は当接する(
図2(a)の仮想線32参照)。
【0052】
固定部材40は、
図1に示すように、熱交換用チューブマット20の先端部(継手部材25が配置される側の端部)に配置される第1の固定部材40Aと、熱交換用チューブマット20の基端部に配置される第2の固定部材40Bと、その間に配置される複数の第3の固定部材40C−1〜40C−nと含む。各固定部材40A,40B,40Cは、下水管70の管軸方向に離間して配設され、第1及び第2の固定部材40A,40Bは、その間に配設される第3の固定部材40C−1〜40C−nよりも幅寸法が大きく設定されている。
【0053】
図2に示すように、固定部材40は、環状の弾性シート41と、弾性シート41の内周面側に配置される略円筒状(スリーブ状)の固定板43とを備える。弾性シート41は、下水に対して耐久性を有する材料、例えば、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)などを用いることができる。固定板43は、熱交換用チューブマット20及び補助固定部材30,30’が嵌め込まれる嵌込部47を有する。嵌込部47は、非嵌込部に比して径方向内側に窪んでおり、嵌込部47の周方向の両端部は、これと隣接する非嵌込部との間に段差が形成されないように滑らかな曲線状に形成される。固定板43は例えばステンレス等の金属製であって、略円弧状の薄板材からなる複数のスリーブ構成部材42A,42B,42Cを環状に配置することにより構成される。なお、固定板43の幅寸法は、約100〜300mm、好ましくは約150〜250mmであり、厚さは、約1.5〜4mm、好ましくは約2〜3mmである。
【0054】
図5に示すように、対向するスリーブ構成部材42A,42Bの端部において、一方のスリーブ構成部材42Aの端部の外周面側には、周方向に突出するバックアッププレート44が設けられており、このバックアッププレート44の内周面側に他方のスリーブ構成部材42Bの端部が配置される。また、スリーブ構成部材42A,42Bの対向部分には、これらを連結、固定する固定具45が複数挿入される。固定具45は断面略エ字状であって、その中心部にある柱部45aが楔状になっている。環状の固定板43は、対向するスリーブ構成部材42A,42B間に固定具45が挿入され、楔状の柱部45aによってスリーブ構成部材42A,42B間が離間することで拡径する。なお、スリーブ構成部材42B,42C及び42C,42Aの対向部分も同様に構成される。
【0055】
なお、第3の固定部材40Cは、弾性シート41を有していないものであってもよい。なお、固定部材40の構造はこれに限られず、拡径されることで下水管70の内壁に固定可能なものであればよい。
【0056】
ヒートポンプユニット50は、冷媒を圧縮するコンプレッサと、第1熱交換器51と、冷媒を膨張させる膨張弁と、第2熱交換器52と、これらを循環する冷媒が流通する冷媒管53とを備える。さらに、ヒートポンプユニット50は、冷媒の循環方向を切替えて、加熱(暖房)と冷却(冷房)との切替えを行う切替スイッチを備える。冷媒は、ヒートポンプユニット50において閉ループを構成する冷媒管53を循環することで、蒸発、圧縮、凝縮、膨張の熱サイクルを受ける。配管61は第1熱交換器51内を通り、第1熱交換器51では、配管61を通る熱交換媒体と、冷媒との間で熱交換が行われる。第2熱交換器52は、例えば、エアコンの室内機を構成し、冷媒と室内空気との間で熱交換を行う。
【0057】
次に、上述した熱交換システムの施工方法について説明する。
【0058】
まず、
図6に示すように、下水管70内に熱交換用チューブマット20を導入する(導入工程)。導入工程において、熱交換用チューブマット20とサポート材30,30’とは分離された状態にあり、複数のサポート材30,30’は熱交換用チューブマット20とは別に、一方のマンホール72から搬入装置等を用いて下水管70内に搬入される。熱交換用チューブマット20は、地上において熱交換用チューブマット保持体91に巻回した状態で保持されており、地上から一方のマンホール72を介して下水管70内に導入される。本実施の形態では、地上に配置したベルトコンベア92を稼働させて、ベルトコンベア92上に配置された熱交換用チューブマット20を下水管70内に引き込んでおり、他方のマンホール74側から牽引装置95で熱交換用チューブマット20を牽引している。なお、牽引装置95に代えて作業者が人力で引き込んでもよい。なお、作業時には下水管70にパッカー90が配置されて下水の流れが堰き止められる。
【0059】
熱交換用チューブマット20の導入は、熱交換用チューブマット20が所望の位置に配置されるように位置を調整しながら行われる。熱交換用チューブマット20の配置位置は、先端が、下水管70の導入側とは反対側の端部70aよりも内側に位置することが好ましく、各熱交換用チューブ21が管軸方向に沿って直線状に配置されることが好ましい。継手部材25は、熱交換用チューブマット20を下水管70に導入した後、下水管70内で熱交換用チューブマット20の先端部に取付ける。なお、地上で継手部材25を熱交換用チューブマット20に取付け、これを下水管70内に導入してもよい。
【0060】
次に、
図7に示すように、熱交換用チューブマット20に複数のサポート材30,30’を熱交換用チューブマット20の延在方向(熱交換用チューブマット20の長手方向であって、設置状態における下水管70の管軸方向)に沿って連続的に取り付ける(取付工程)。なお、
図7では継手部材25の記載を省略している。サポート材30,30’の第1板状部31及び第2板状部32のそれぞれは、接着剤により熱交換用チューブマット20の側面及び上面(設置状態における内周面)のそれぞれに接合される。サポート材30,30’は、熱交換用チューブマット20の先端側から順に取付けられることが好ましい。接着剤は、サポート材30,30’と熱交換用チューブマット20との対向面に塗布される。接着剤の塗布は、スプレーにより接着剤を噴霧する方法や、両面テープを貼り付ける方法等により行うことができる。
【0061】
次に、マンホール72,74を介して下水管70内に搬入された複数の固定部材40を用いて、サポート材30,30’が取り付けられた熱交換用チューブマット20を下水管70の内壁に固定する(固定工程)。固定部材40は、熱交換用チューブマット20の先端側から順に配設されることが好ましい。固定部材40の設置は、以下の手順で行われる。まず、サポート材30,30’が取り付けられた熱交換用チューブマット20を所望の位置に配置した状態で、環状の弾性シート41を下水管70の内周面に沿って配設する。熱交換用チューブマット20は、下水管70の高さ方向において底面から約3分の1の高さの範囲内に設置されることが好ましい。その後、弾性シート41の内周面側にスリーブ構成部材42A,42B,42Cを環状に配設する。この際、熱交換用チューブマット20及びサポート材30,30’は、スリーブ構成部材42Aに形成された嵌込部47に嵌め込まれる。その後、固定具45によりスリーブ構成部材42A,42B,42Cの継目部分を拡径することで、固定部材40が下水管70の内壁面に固定される。熱交換用チューブマット20及びサポート材30,30’は、固定部材40により下水管70の内壁面に押し付けられて固定される。
【0062】
固定工程において、熱交換用チューブマット20の先端部に配置される第1の固定部材40Aは、最も先端部側に位置するサポート材30−1,30’−1の端部と、継手部材25の一部又は全部とを下水管70の内側から覆った状態で設置される。第2の固定部材40Bは、下水管70におけるマンホール72との継目部分に設置され、熱交換用チューブマット20の最も基端部側に位置するサポート材30−n,30’−nの端部を下水管70の内側から覆った状態で設置される。
【0063】
第3の固定部材40Cは、管軸方向において隣接するサポート材30,30’の突合せ部分に設置され、この突合せ部分を下水管70の内側から覆った状態で設置される。具体的には、
図7において仮想線で示すように、第3の固定部材40C−1は、管軸方向に隣接するサポート材30−1,30−2及び30’−1,30’−2の突合せ部分(管軸方向に対向する2つのサポート材30−1,30−2及び30’−1,30’−2のそれぞれの端部)を下水管70の内側から覆った状態で設置される。第3の固定部材40C−2〜40C−nも同様に設置される。これにより、サポート材30,30’の両端部は、管軸方向において隣り合う固定部材40により下水管70の内壁に押し付けられ、固定される。また、熱交換用チューブマット20は、管軸方向に延びる両側部がサポート材30,30’によって下水管70の内壁に押し付けられ、固定された状態となる。
【0064】
次に、連結部材を介して、往路となる熱交換用チューブ21−1〜21―10の基端部を配管61の一端部に連結し、復路となる熱交換用チューブ21−1’〜21−10’の基端部を配管61の他端部に連結する。配管61は、マンホール72内壁に添わせて固定されて地上に配置されたヒートポンプユニット50に接続される。
【0065】
上述した熱交換システムにおいて、熱交換用媒体は、配管61に設置された図示していないポンプにより圧送され、ヒートポンプユニット50を通る配管61から往路となる熱交換用チューブ21−1〜21−10に流入し、継手部材25及び復路となる熱交換用チューブ21−1’〜21−10’を経て、再び配管61へ戻る。この際、熱交換用チューブ21を通る熱交換媒体と下水管70内を通る下水との間で熱交換が行われる。
【0066】
上述した熱交換システム10では、並列する熱交換用チューブ21の間から砂や塵等の異物が入り込んでこれらが堆積するのを防止することができる。また、下水管70内で熱交換用チューブ21を1本ずつ束状に纏める必要がないので、既設管内の施工時間を短縮することができる。また、複数の熱交換用チューブ21が分散することのないマット状に形成されているので、固定部材40の配置間隔を大きくして配置数を少なくすることができ、その結果、コストを低減することができる。
【0067】
また、隣接する固定部材40の間において、サポート材30,30’は、熱交換用チューブマット20の一部のみを覆っており、熱交換用チューブマット20の露出状態が確保されるため、高い熱交換率を得ることができる。また、熱交換用チューブマット20の両側部が、サポート材30,30’によって連続的に下水管70の内壁面に固定されるため、熱交換用チューブマット20の管周方向の移動が抑制されるとともに、下水による熱交換用チューブマット20の浮き上がりが防止される。これにより、熱交換用チューブ21の下面と下水管70との間に砂や塵等の異物が入り込んでこれらが堆積するのを防止することができる。特に、下水管70を流れる流体(つまり下水)は、上水管に比べて異物の混入が多いため、異物が堆積しやすいが、サポート材30を設けることで異物の堆積を効果的に防止することができる。
【0068】
また、可撓性を有する熱交換用チューブマット20と、これよりも短尺且つ高剛性のサポート材30、30’とを分離した状態で下水管70へ導入し、下水管70内でこれらを取り付けるので、熱交換用チューブマット20及びサポート材30,30’の下水管70内への導入作業が容易である。このような工程を含む施工方法は、作業者が下水管70内に入り込んで取付作業可能となるような、比較的大径の下水管70(例えば内径が約1.5m以上、好ましくは約2m以上)に対する施工方法として特に好適である。
【0069】
さらに、接着剤を用いることで、サポート材30,30’を簡易且つ確実に熱交換用チューブマット20に取り付けることができる。また、接着剤によりサポート材30,30’の長手方向(設置状態における管軸方向)の全域に亘って熱交換用チューブマット20と接合することができるので、対向するサポート材30,30’と熱交換用チューブマット20との隙間から異物が入り込むのを防止することができる。
【0070】
また、環状の固定部材40を拡径することにより、熱交換用チューブマット20及びサポート材30,30’を同時に下水管70に固定することができるので施工が容易である。また、固定板43が拡径されることで、熱交換用チューブマット20に常時押圧力が付与されるので固定が安定する。さらに、熱交換用チューブマット20と固定板43との間に配置される弾性シート41により、熱交換用チューブマット20の固定部材40との対向面には、ほぼ均一な押圧力が作用する。また、固定部材40の嵌込部47と非嵌入部とを滑らかに連接させることで下水管70を流れる下水や雨水の損失水頭を低減して、排出機能を維持することができる。
【0071】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の熱交換システム10を示す
図2(a)と同様の断面図である。なお、
図8において、第1実施形態と対応する部位には同一符号を付している。以下に説明する第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については詳細な説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、往路及び復路にそれぞれ5本の熱交換用チューブ21−1〜21−5及び21−1’〜21−5’を有する2つの熱交換用チューブマット20−1,20−2を管周方向に並設している。2つの熱交換用チューブマット20−1,20−2の両側部は、熱交換用チューブマット20よりも短尺且つ高剛性である、第1のサポート材30,30’及び第2のサポート材35を用いて下水管70の内壁に押し付けられ、固定される。
【0073】
第1のサポート材30,30’は、2つの熱交換用チューブマット20−1,20−2において、互いに離間する側の側部に対を成して配置される。なお、第1のサポート材30,30’の構成は、第1実施形態のサポート材30,30’と同様であり、ここでは詳細を省略する。
【0074】
第2のサポート材35は、2つの熱交換用チューブマット20−1,20−2において、互いに近接する側の側部の間に配置される。具体的には、管周方向で隣り合う一方の熱交換用チューブマット20−1の熱交換用チューブ21−1’と他方の熱交換用チューブマット20−2の熱交換用チューブ21−1とは、非固定(非接続)であり、この部分に第2の補助固定部材35が配置される。第2のサポート材35は、断面が略T字状である長尺状の板材であり、第1のサポート材30,30’とほぼ同じ長さを有する。第2のサポート材35において、T字の柱部を形成する第1板状部36は、熱交換用チューブマット20−1,20−2の側面に接合され、T字の頭部を形成する第2板状部37は、設置状態における熱換用チューブマット20−1,20−2の内周面に接合される。第2のサポート材35の長手方向の両端部は、第1のサポート材30と同様に、管軸方向において隣り合う固定部材40により下水管70の内壁に押し付けられ、固定される。
【0075】
第2実施形態の熱交換システムでは、熱交換用チューブマット20−1,20−2の両側部が、第1及び第2サポート材30,30’,35によって連続的に下水管70の内壁に固定される。これにより、熱交換用チューブマット20の浮き上がりを防止し、熱交換用チューブマット20の下面と下水管70との間に砂や塵が入り込んでこれらが堆積するのを防止することができる。
【0076】
図9は、熱交換用チューブマット20の変形例を示す。変形例の熱交換用チューブマット20では、往路となる熱交換用チューブ21−1〜21−6の先端が、それぞれ継手材29を介してU字状の配管23−1〜23−6の一端のそれぞれに連結される。さらに、復路となる熱交換用チューブ21−1’〜21−6’の先端は、それぞれ継手材29を介して配管23−1〜23−6の他端のそれぞれに連結される。なお、熱交換用チューブマット20は、一連の熱交換用チューブ21−1〜21−6によって往路と復路とが形成されるように、熱交換用チューブマット20の先端部において各熱交換用チューブ21−1〜21−6を曲線的に折り返したものであってもよい。なお、ここでは6本の熱交換用チューブ21を用いているが、本数はこれに限られない。
【0077】
図10(a)及び(b)は、それぞれ、サポート材30の変形例を示す。
図10(a)及び(b)に示すサポート材30は、断面略コ字状であって、第1板状部31及び第2板状部32に加え、熱換用チューブマット20の底面(設置状態における外周面)に接合される第3板状部33を有する。なお、これと対をなして配置されるサポート材30’も同様の形状を有する。第2板状部32と第3板状部33とは略平行に形成されており、第1板状部31と第2板状部32との交差角度θ1は鈍角、第1板状部31と第3板状部33との交差角度θ2は鋭角になっている。第3板状部33の幅寸法は、第2板状部32の幅寸法とほぼ同じ、又は、第2板状部32の幅寸法よりも大きく設定されることが好ましい。
図10(b)に示す例では、
図10(a)に比して第3板状部33が幅広に形成されることにより、熱交換用チューブマット20の熱交換率を維持しながら補剛効果を高めることができる。なお、図示していないが、第2板状部32及び第3板状部33のうち、少なくとも第3板状部33を下水管70の内周面に沿うように円弧状に湾曲させた形状にしてもよい。サポート材30は、熱交換用チューブマット20の両側部に対を成して取り付けられる。このようなサポート材30,30’では、熱交換用チューブマット20の両側部がサポート材30,30’により断面コ字状に覆われることで、熱交換用チューブマット20の補剛効果が高まり、熱交換用チューブマット20の浮き上がりをより確実に防止することができる。
【0078】
図11(a)及び(b)は、それぞれ、固定部材40の変更例を示す。
【0079】
図11(a)に示す固定部材40は、下水管70の内周に沿うように断面略円弧状に形成された板材である固定板43と、固定板43の外周面側に配置される弾性シート41とを備える。固定板43は、嵌込部47が形成された第1構成部材42Aと、管周方向において構成部材42Aの両端部にそれぞれ配置される第2構成部材42D,42D’とを備える。第1構成部材42Aは、第1実施形態におけるスリーブ構成部材42Aと同様の構成であり、ここでは詳細を省略する。第2構成部材42D,42D’は、第1構成部材42Aよりも円弧の周方向長さが短い板材からなり、本変形例では、設置状態において第1及び第2構成部材42A,42D,42D’が略半円状を成す。
【0080】
第2構成部材42D,42D’は、それぞれ、アンカーボルト等の固定材48により、下水管70の内壁に固定される。第1構成部材42Aと、各第2構成部材42D,42D’との間には、楔状の柱部45aを有する固定具45が挿入される。なお、固定具45は、第1実施形態の固定具45と同様の構成であり、ここでは詳細を省略する。固定具45の挿入により、固定板43は拡径され、下水管70の内壁面に押し付けられた状態で固定される。
【0081】
図11(b)は、
図11(a)のbで囲む部位の変形例を示す拡大断面図である。この変形例の固定板43は、円弧の周方向の両端部にそれぞれ突起部43aを有する。なお、
図11(b)では固定板43の両端部のうち、一方の端部のみを示しているが、他方の端部はこれと対称に形成されるため、ここでは詳細を省略する。突起部43aは、固定板43の外周面側に形成され、固定板43の端部とともに断面略V字状をなすように該端部側に向かって突出した板状の部位である。突起部43の厚さは固定板43の厚さとほぼ同じであって、幅寸法は、固定板43の幅寸法とほぼ同じか、それより小さく形成される。下水管70の内壁面には、突起部43aが挿入される挿入溝70aが形成される。弾性シート41は、固定板43の外周面側であって、両端部の突起部43aの間に配置される。両端部の突起部43aをそれぞれ下水管70の挿入溝70aに挿入し、両端部の移動が規制された状態で固定板43を拡径することにより、固定板43は下水管70の内壁面側へ押し付けられ、固定される。
【0082】
図12に示す固定部材40は、下水管70よりも曲率半径の大きい断面略円弧状の板バネからなる固定板43と、固定板43の外周面側に配置される弾性シート41とを備える。固定部材40は、固定板43及び弾性シート41によって熱交換用チューブマット20及びサポート材30、30’を下水管70の内側から覆った状態で、固定板43の中央部をアンカーボルト等の固定材48により下水管70の内壁面側に押圧した状態で固定される。設置状態において、固定板43は、仮想線で示す通常状態に比して、曲率半径が小さくなり、板バネの弾性力によって熱交換用チューブマット20及びサポート材30、30’には常時押圧力が付与される。
【0083】
図11(a),(b)及び
図12に示す固定部材40では、環状のものに比して部材を小型化することができるので資材コストや施工コストを低減することができる。
【0084】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、熱交換システムが設置される既設管は下水管70に限らず、上水道管、農業用水路管、工業用水路管等の既設管にも適用することができる。このような管路を流れる水の温度は一年を通して大きく変動することがなく、冬季では高温の熱源として、夏季では低温の熱源として活用することが可能である。また、熱交換システムの発明において、サポート材30,30’は、固定手段を用いて長手方向の両端部を固定部材40に固定する構成であってもよい。