【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部から上方に延びる側壁部と、前記側壁部の上辺部から外方に延びる上フランジ部とを備え、上方に開口するトレーにおいて、
トレー同士をトレーの開口側を向かい合せにして上下に重ねた場合に、トレー同士の間に隙間を形成することなく、トレー同士を嵌合可能とする嵌合手段を備え、
前記側壁部のうち少なくとも相対する一対の前記側壁部に対応して、当該側壁部から延びる前記上フランジ部は、一般部と、前記一般部よりも前記側壁部からの延出長が短く構成される許容部とを備え、
前記上フランジ部のうち少なくとも前記許容部から下方に延びるスカート部と、
前記上フランジ部の上面よりも下方位置において、前記スカート部から外方に突出する突部とを備え
、
下側のトレーの前記側壁部の内面と、上側のトレーの前記側壁部の外面とを対向させるようにして、トレー同士を上下に重ねることが可能に構成され、
前記スカート部は、スカート一般部と、前記スカート一般部よりも前記上フランジ部からの延出長が短く構成されるスカート許容部とを備え、
前記スカート許容部のうち前記スカート一般部との連接部位は、前記上フランジ部からの延出長が徐々に変化しているスカート徐変部となっており、
前記突部は、前記スカート徐変部を含む前記スカート許容部の下辺部全体に沿って設けられており、
前記許容部のうち前記一般部との連接部位は、前記側壁部からの延出長が徐々に変化している徐変部となっており、前記突部は、前記スカート部のうち前記徐変部を含む前記許容部の先端部から下方に延びる部位の下辺部全体に沿って、前記スカート部から外方に突出しており、
前記スカート許容部は、前記スカート部のうち前記許容部から下方に延びる部位であって、前記スカート徐変部は、前記スカート部のうち前記徐変部から下方に延びる部位であることを特徴とするトレー。
【0008】
手段1によれば、物品を載置したトレ―に対し、同じトレーをもう一つ用意して向かい合わせで重ねる(被せる)ことで、当該上下一対のトレーによって物品を接触不可能に収容することができる。従って、例えば、荷物を荷物検査装置に通す際に荷物を載せる容器として本手段1のトレーを使用することで、荷物検査装置の入口及び出口に設けられたカーテンを通過させる際に、カーテンが荷物に接触して荷物に悪影響を及ぼしてしまう(汚れたり、損傷したりする等)といった事態を回避することができる。また、向かい合わせで上下に重ねられたトレー同士は嵌合状態とされていることから、トレーがカーテンを通過する際に、上側のトレーがカーテンに押圧されて下側のトレーから脱落するといった事態を防止することができる。さらに、同じトレーを2つ用意して、向かい合わせで重ねるだけで、収容された物品の保護を図ることができることから、トレーに載せた物品を保護する状態としたり、保護状態を解除して物品を取出したりする作業をスピーディーに行うことができる。
【0009】
また、トレーには、上フランジ部の上面よりも下方位置においてスカート部から外方に突出する突部が設けられており、トレー同士を向かい合わせで上下に重ねた場合には、上側のトレーの突部と、下側のトレーの突部との間に隙間が形成されることになる。このため、上下に向かい合わせで重ねられたトレーのうち、開口側が下向きとされている上側のトレーを取外す際に、上側のトレーの突部の下側に比較的容易に指を掛けることができ、比較的スムースに上側のトレーを持ち上げることができる。従って、上側のトレーを取外して、下側のトレーに収容されている物品を取出す際の作業性の向上を図ることができる。加えて、許容部に対応する範囲のスカート部から外方に突出する突部に関しては、トレーの内外周方向において、一般部の先端部よりもトレーの外周側に突出させないように構成することができる。この場合、突部が単独で別の部材と衝突する等の事態を抑制することができ、突部の損傷等の抑制を図ることができる。
【0011】
また、スカート部にスカート許容部を設けることによって、例えば、下側のトレーの内側に上側のトレーを比較的深く挿入させるようにして、トレーを開口側が上向きとなる姿勢で積み重ねる(ネスティングする)場合に、上側のトレーのスカート部(スカート許容部)と、下側のトレーの上フランジ部との間に隙間を形成することができる。従って、かかる隙間に指先を挿入して、上側のトレーのスカート部の下辺部、及び、スカート部の裏面側に指を掛けて、上側のトレーを持ち上げることができる。結果として、ネスティングされている複数のトレーのなかから幾つかを持ち上げる際の作業性の向上、及び、トレーをネスティングする際の安全性の向上等を図ることができる。
【0012】
尚、「前記突部は、前記スカート許容部の下辺部から外方に突出して設けられていること」としてもよい。この場合、スカート許容部の下辺部に指を掛けてトレーを持ち上げる際に、突部にも指を掛けることができ、指に当たる接触面積が増える等して、持ち上げ易くすることができる。
【0014】
また、スカート許容部と、スカート一般部との連接部位や、突部の強度を高め、耐久性の向上等を図ることができる。また、スカート徐変部の存在により、スカート部の下辺部や突部に指を掛けてトレーを持ち上げる作業に際して、指を掛ける好適な位置を比較的スムースに把握することができる。
【0015】
また、「前記許容部のうち前記一般部との連接部位は、前記側壁部からの延出長が徐々に変化している徐変部となっており、前記突部は、前記スカート部のうち前記徐変部を含む前記許容部の先端部から下方に延びる部位の下辺部全体に沿って、前記スカート部から外方に突出していること」
から、許容部と、一般部との連結部や、突部の強度を高めるとともに、徐変部の先端部から下方に延びるスカート部の裏面側に指を掛け易くなる(スカート部のうち徐変部から下方に延びる部位は、許容部のその他の部位から下方に延びる部位よりも側壁部から外方に離間しており、裏面側に指を掛け易い)。従って、突部の下面に指を掛けてトレーを持ち上げる際に、スカート部の裏面にも比較的スムースに指を掛けることができ、持ち易さの向上を図ることができる。また、「前記スカート許容部は、前記スカート部のうち前記許容部から下方に延びる部位であって、前記スカート徐変部は、前記スカート部のうち前記徐変部から下方に延びる部位であること(側壁部の横幅方向において、許容部と、スカート許容部とが同じ範囲に設けられている)」
から、スカート部の下辺部や突部に指を掛けてトレーを持ち上げる作業に際して、指を掛ける好適な位置を比較的スムースに把握することができるといった作用効果がより一層奏される。
【0016】
手段
2.
略矩形板状の底壁部と、前記底壁部の各側辺部から上方に延びる側壁部と、前記側壁部の上辺部から外方に延びる上フランジ部とを備え、上方に開口するトレーにおいて、
トレー同士をトレーの開口側を向かい合せにして上下に重ねた場合に、トレー同士の間に隙間を形成することなく、トレー同士を嵌合可能とする嵌合手段を備え、
前記側壁部のうち少なくとも相対する一対の前記側壁部に対応して、当該側壁部から延びる前記上フランジ部は、一般部と、前記一般部よりも前記側壁部からの延出長が短く構成される許容部とを備え、
前記上フランジ部のうち少なくとも前記許容部から下方に延びるスカート部と、
前記上フランジ部の上面よりも下方位置において、前記スカート部から外方に突出する突部とを備え、
前記嵌合手段は、前記上フランジ部においてトレーの所定の隅部に対応して設けられた嵌合凸部と、トレー同士を向かい合わせで重ねた場合に、前記嵌合凸部を挿入可能な嵌合凹部とを備え、
前記嵌合凸部は、トレーの隅部のうち所定の隅部と、当該所定の隅部の対角に位置する隅部とに対応して設けられ、
前記嵌合凹部は、前記上フランジ部において前記嵌合凸部が設けられていないトレーの隅部に対応して設けられ、
前記嵌合凸部は、所定の前記側壁部の上辺部から外方に延びる前記上フランジ部と、当該上フランジ部に対して略直交して連結される前記上フランジ部とに跨るようにして平面視略L字状をなし、前記嵌合凸部の両端部には傾斜部が設けられており、
トレーの全周にわたり前記上フランジ部と、前記スカート部とが設けられ、その連結部の全周にわたり面取り部が設けられていることを特徴とするトレー。
【0017】
例えば、一対のトレーを上下向かい合わせにして重ねることでトレーに収容された物品の保護を図る場合において、収容する物品が比較的大きい場合には、上側のトレーが浮いてしまう場合がある。この場合、上下一対のトレーの間に隙間が形成され、荷物検査装置を通過させる際に、荷物検査装置のカーテンが、前記隙間を介して、トレーに収容されている物品に接触してしまうことが懸念される。
【0018】
この点、トレーに収容した荷物を荷物検査装置に通過させる際に、上側のトレーのうち、トレーの進行方向先頭側の上フランジ部の一辺を、下側のトレーの上フランジ部に当接させるようにして、上側のトレーを斜めに設置することが考えられる。この場合、トレーの進行方向先頭側において、上下のトレーの間に隙間が形成されることを回避することができ、荷物検査装置のカーテンが荷物に接触するといった事態を防止することができる。
【0019】
ところで、上記のように、下側のトレーに対し、上側のトレーを傾けて設置する場合には、上下一対のトレーのうち互いに当接している進行方向先頭側の上フランジ部に設けられた嵌合凸部と嵌合凹部とが嵌合状態を維持する必要がある。しかしながら、嵌合凸部及び嵌合凹部が、上フランジ部の先端部よりもトレーの内周側に設けられる場合、上側のトレーを傾けた姿勢で設置する場合に、前記進行方向先頭側の上フランジ部のうち、嵌合凸部及び嵌合凹部よりも外方(トレーの外周側)に位置する部位同士が当接(干渉)して、嵌合凸部の嵌合凹部への挿入長(掛かり代)が短くなってしまうことが懸念される。
【0020】
この点、手段
2によれば
、上フランジ部と、スカート部との連結部において、面取り部が設けられている。このため、上側のトレーを傾けた姿勢で設置する場合に、上下一対のトレーのうち進行方向先頭側の上フランジ部に関して、嵌合凸部と、嵌合凹部とを嵌合させるとともに、上フランジ部のうち嵌合凸部及び嵌合凹部よりもトレーの外周側に位置する部位同士を、極力、嵌合凸部及び嵌合凹部に近い位置で当接させることができる。従って、下側のトレーに対し上側のトレーを傾けて設置しても、上下に当接する上フランジ部において、嵌合凸部の嵌合凹部への掛かり代を十分に確保して、嵌合凸部と嵌合凹部との嵌合状態を安定させることができ、上側のトレーが下側のトレーから脱落するといった事態を防止することができる。
【0022】
また、一対のトレー同士を向かい合せて上下に重ねる場合に、隅部の位置を合わせるだけで、嵌合凸部及び嵌合凹部の位置を厳密に気にしなくても、嵌合凸部と嵌合凹部とを合致させることができる(上下一対のトレーの嵌合凸部と嵌合凸部とが合致し、嵌合凹部と嵌合凹部とが合致してしまうといった事態が回避される)。従って、一対のトレー同士を向かい合せて上下に重ねる際の作業性の向上等を図ることができる。
【0023】
また、一対のトレー同士を向かい合せて上下に重ねる際に、下側のトレーに対して上側のトレーが嵌合位置からずれて載せられた場合、上側のトレーを、下側のトレーの上フランジ部上面に滑らせるようにして、比較的スムースに嵌合位置まで変位させることができる。特に、上記手段
2のように、上フランジ部と、スカート部との連結部において面取り部を設けることにより、下側のトレーに対して嵌合位置からずれて載せられた上側のトレーをスライドさせて比較的容易に嵌合位置まで変位させるといった作用効果がより一層奏されることとなる。
【0024】
手段
3.物品を収容した下側のトレーに対し、上側のトレーを向かい合せ、かつ、傾けた姿勢で設置し、前記上フランジ部の所定の一辺同士を当接させる場合に、当該上フランジ部の所定の一辺の長手方向全体において、上側のトレーと、下側のトレーとが略当接していることを特徴とする手段1
又は2に記載のトレー。
【0025】
手段
3によれば、トレーに収容した荷物を荷物検査装置に通過させる場合に、荷物が大きく、一対のトレーを上下向かい合せで重ねると、トレー間に隙間が形成されてしまうような場合であっても、上側のトレーを傾けた姿勢とし、かつ、トレーの進行方向先頭側の上フランジ部の一辺同士を当接させることで、トレーの進行方向先頭側において、上下のトレーの間に荷物検査装置のカーテンが入り込めるような隙間が形成されることをより確実に回避することができる。従って、荷物検査装置のカーテンが荷物に接触することを防止するといった作用効果がより一層奏される。
【0026】
手段
4.前記スカート部は、前記上フランジ部の先端部から下方に延びるとともに、前記上フランジ部の一方の側端部から他方の側端部にかけて連続して延在し、
前記上フランジ部の前記許容部は、前記上フランジ部の長手方向において前記一般部に挟まれるようにして設けられ、
前記突部は、前記上フランジ部の前記許容部から下方に延びる前記スカート部から外方に突出して設けられ、
前記上フランジ部の前記一般部から下方に延びる前記スカート部の外面は略平坦面とされ、
前記突部の先端部は、前記上フランジ部の前記一般部から下方に延びる前記スカート部の外面と面一、又は、当該外面よりもトレーの内周側に位置することを特徴とする手段1乃至
3のいずれかに記載のトレー。
【0027】
例えば、上フランジ部の一般部から下方に延びるスカート部が設けられなかったり、当該スカート部の外面よりも突部が外方に突出していたりする場合に、横並びに設置したトレー同士が接触する場合には、突部同士が当接したり、上フランジ部同士が当接したりすることが懸念される。特に、比較的勢いよくトレー同士が接触した場合には、一方のトレーが他方のトレーに乗り上げてしまうおそれがある。
【0028】
この点、手段
4によれば、横並びに設置したトレー同士が接触する場合に、上フランジ部の一般部から下方に延びるスカート部の略平坦な外面同士を当接させることができる。このため、横並びに設置したトレー同士が接触する場合に、一方のトレーが他方のトレーに乗り上げてしまうといった事態を防止することができる。また、突部の保護を図ることができ、耐久性の向上等を図ることができる。