特許第6808274号(P6808274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6808274レーダアンテナ用フレアおよびレーダアンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6808274
(24)【登録日】2020年12月11日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】レーダアンテナ用フレアおよびレーダアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/02 20060101AFI20201221BHJP
   H01Q 19/15 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H01Q13/02
   H01Q19/15
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-226910(P2016-226910)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-85601(P2018-85601A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲瀬▼ 崇行
(72)【発明者】
【氏名】▲渋▼谷 裕三
(72)【発明者】
【氏名】古賀 栄二
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−005086(JP,A)
【文献】 特開平06−216637(JP,A)
【文献】 特開2004−125746(JP,A)
【文献】 特開昭61−062209(JP,A)
【文献】 特開2012−225731(JP,A)
【文献】 特開2004−258044(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0056537(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104409859(CN,A)
【文献】 特開2001−201557(JP,A)
【文献】 実開昭60−035611(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0169468(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0122017(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0026237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/02
H01Q 19/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射導波管からホーン状に延びて開口部を有するレーダアンテナ用フレアであって、
上面部が、前記放射導波管側から斜め上方に延びる斜面部と当該斜面部から水平に延びる水平部とから構成されるとともに、下面部が、前記放射導波管側から斜め下方に延びる斜面部と当該斜面部から水平に延びる水平部とから構成され、
前記放射導波管の高さ方向の中心面から上側または下側のうち、所定のサイドローブ特性が要求される一方側において、前記所定のサイドローブ特性が得られるように、前記中心面から前記開口部の前記一方側の前記水平部の端縁の高さが設定され、
前記一方側の前記斜面部の長さが前記中心面から前記開口部の他方側の前記斜面部の長さよりも長く設定されることにより、
前記他方側の前記水平部の端縁の高さ、前記一方側の前記水平部の前記端縁の高さよりも低く設定され、かつ、
前記一方側の前記水平部の前記端縁が、前記他方側の前記水平部の前記端縁よりも前方に突出している、
ことを特徴とするレーダアンテナ用フレア。
【請求項2】
前記一方側の前記斜面部の長さが3λであり、前記他方側の前記斜面部の長さが1.5λである(但し、λ:レーダの波長)
ことを特徴とする請求項1に記載のレーダアンテナ用フレア。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれか1項のレーダアンテナ用フレアを備えたことを特徴とするレーダアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーダアンテナのフレア(ホーン)に関し、特に、高さを低くすることを可能にしたレーダアンテナ用フレアおよびレーダアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダアンテナでは、サイドローブを抑制しつつ所望のビーム幅と利得を得ることが求められており、従来、フレアの寸法を最適化することで、これらの要求に対応していた。すなわち、従来のレーダアンテナは、図9に示すように、放射導波管101の高さ方向の中心面C2を中心に、上下対称にホーン状に広がるフレア102が設けられている。そして、フレア102の開口高さH11を最適化することで、サイドローブを抑制しつつ所望のビーム幅と利得を得ていた。ここで、フレア102が上下対称であるため、サイドローブは、上下両方向において同等に抑制される。
【0003】
また、フレアの上下中央位置に所定長の金属板を設けることで、垂直面ビーム幅を狭ビーム化して利得の向上を図ったレーダアンテナが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4508941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フレア102の開口高さH11を低くできれば、フレア102を覆うレドーム103の高さH12も低くすることができ、耐風特性や回転機構の耐久性などを向上させることが可能となる。
【0006】
しかしながら、上記のようにフレア102の開口高さH11を最適化するだけの場合、開口高さH11が低いと、サイドローブを抑制した上で所望のビーム幅と利得を得る、ということができない場合がある。すなわち、図10に示すように、開口高さH11が最も低いL23の場合、所望のビーム幅と利得が得られるものの、中心面C2を中心とする上下両方向のサイドローブは、開口高さH11が最も高いL21や中位のL22の場合に比べて大きくなる(特に、図中ポイントPにおいて)場合がある。このように、フレア102が上下対称の従来のレーダアンテナでは、フレア102の開口高さH11を低くしつつサイドローブを抑制する、ということが困難であった。
【0007】
そこでこの発明は、高さを低くしつつサイドローブを抑制することが可能なレーダアンテナ用フレアおよびレーダアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、放射導波管からホーン状に延びて開口部を有するレーダアンテナ用フレアであって、上面部が、前記放射導波管側から斜め上方に延びる斜面部と当該斜面部から水平に延びる水平部とから構成されるとともに、下面部が、前記放射導波管側から斜め下方に延びる斜面部と当該斜面部から水平に延びる水平部とから構成され、前記放射導波管の高さ方向の中心面から上側または下側のうち、所定のサイドローブ特性が要求される一方側において、前記所定のサイドローブ特性が得られるように、前記中心面から前記開口部の前記一方側の前記水平部の端縁の高さが設定され、前記一方側の前記斜面部の長さが前記中心面から前記開口部の他方側の前記斜面部の長さよりも長く設定されることにより、前記他方側の前記水平部の端縁の高さ、前記一方側の前記水平部の前記端縁の高さよりも低く設定され、かつ、前記一方側の前記水平部の前記端縁が、前記他方側の前記水平部の前記端縁よりも前方に突出している、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーダアンテナ用フレアにおいて、前記一方側の前記斜面部の長さが3λであり、前記他方側の前記斜面部の長さが1.5λである(但し、λ:レーダの波長)、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれか1項のレーダアンテナ用フレアを備えたことを特徴とするレーダアンテナである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至3に記載の発明によれば、所定のサイドローブ特性が要求される一方側においてのみ、所定のサイドローブ特性が得られるように、開口部の一方側の端縁の高さが設定され、開口部の他方側の端縁の高さは、一方側の端縁の高さよりも低く設定されている。すなわち、所定のサイドローブ特性が要求される一方側では、所定の高さが確保されて要求特性が満たされている一方で、所定のサイドローブ特性が要求されない他方側では、高さが低く設定されている。この結果、レーダアンテナ用フレアの全体の高さを低くしつつ、所定・所望のサイドローブを抑制することが可能となる。
【0012】
請求項1乃至3に記載の発明によれば、また、レーダアンテナ用フレアの一方側の端縁が他方側の端縁よりも前方に突出しているため、ビーム幅を狭めて高い利得を得ることが可能となる。すなわち、本願発明者は、レーダアンテナ用フレアの一方側の端縁を他方側の端縁よりも前方に突出させることで、ビーム幅が狭まり高い利得が得られることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施の形態に係るレーダアンテナを示す模式的側面図である。
図2図1のレーダアンテナのフレアを示す模式的側面図である。
図3図1のレーダアンテナと従来のレーダアンテナの垂直面指向性特性を示す図である。
図4】従来のレーダアンテナに対する抗力、横力、揚力を示す図である。
図5図1のレーダアンテナに対する抗力、横力、揚力を示す図である。
図6】従来のレーダアンテナに対するヨーイングトルクを示す図である。
図7図1のレーダアンテナに対するヨーイングトルクを示す図である。
図8】レーダアンテナの水平面指向性と垂直面指向性を示す図である。
図9】従来のレーダアンテナを示す模式的側面図である。
図10】従来のレーダアンテナにおけるフレアの開口高さと指向性特性との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明の実施の形態に係るレーダアンテナ1を示す模式的側面図であり、図2は、この発明の実施の形態に係るレーダアンテナ用フレア(以下、単に「フレア」という)2を示す模式的側面図である。このレーダアンテナ1は、フレア2およびレドーム3の形状を除いて、従来のレーダアンテナと同等の構成、機能となっているため、従来と同じ点についての詳細な説明は省略するが、概略次のような構成等となっている。
【0016】
すなわち、放射導波管4からホーン状に延びる導電性のフレア2が配設され、フレア2およびフレア2の開口部2A(前方側)が誘電性のレドーム3によって覆われている。ここで、図示していないが、電磁波放射方向に所定長の金属板を、フレア2の上下方向の中央位置に配設したり、フレア2の開口部2Aを塞ぐように誘電性の電波成形板を配設したりするタイプであってもよい。
【0017】
そして、このようなフレア2やレドーム3、放射導波管4などが、水平方向(図1の紙面に対して垂直方向)に長く延びているものである。
【0018】
このような構成において、このレーダアンテナ1のフレア2は、放射導波管4の高さ方向の中心面(高さ中心を通る水平面)C1から上側または下側のうち、所定のサイドローブ特性が要求される一方側において、所定のサイドローブ特性が得られるように、中心面C1から開口部2Aの一方側の端縁の高さが設定され、中心面C1から開口部2Aの他方側の端縁の高さは、一方側の端縁の高さよりも低く設定されている。
【0019】
すなわち、この実施の形態では、レーダアンテナ1が船舶用のレーダアンテナであり、図2に示すように、放射導波管4の中心面C1から下側を一方側とし、つまり、海面側で所定のサイドローブ特性が要求される。これは、船舶レーダでは、海面反射の影響を軽減する必要がある一方で、上空側は殆ど影響がないためである。そして、海面側において所定のサイドローブ特性が得られるように、中心面C1からフレア2の開口部2Aの海面側の端縁(下端縁)2aまでの高さH2が設定されている。つまり、海面側で所定のサイドローブ特性を満たすように、中心面C1から下端縁2aまでの高さH2が大きく設定されている。ここで、所定のサイドローブ特性とは、例えば、所定のアングルにおけるサイドローブ(dB)が所定値以下である、ことなどを意味する。
【0020】
一方、中心面C1から上側つまり反海面側・上空側を他方側とし、中心面C1からフレア2の開口部2Aの反海面側の端縁(上端縁)2bまでの高さH3は、中心面C1から下端縁2aまでの高さH2よりも低く設定されている。つまり、反海面側ではサイドローブが発生するのを許容する前提で、中心面C1から上端縁2bまでの高さH3が小さく設定されている。ここで、中心面C1から上端縁2bまでの高さH3は、レーダ性能に影響を与えない範囲でできるだけ小さく設定されている。
【0021】
さらに、フレア2の一方側の端縁つまり下端縁2aは、他方側の端縁つまり上端縁2bよりも前方・反放射導波管4に突出している。すなわち、放射導波管4側から斜め下方に延びる部分を下斜面部21、下斜面部21から水平に延びる部分を下水平部22とし、放射導波管4側から斜め上方に延びる部分を上斜面部23、上斜面部23から水平に延びる部分を上水平部24とする。そして、下斜面部21と上斜面部23の傾斜角がほぼ同等で、下斜面部21の長さD1が上斜面部23の長さD3よりも長く、下水平部22の長さD2と上水平部24の長さD4とがほぼ同等に設定されている。これにより、中心面C1から下端縁2aまでの高さH2が中心面C1から上端縁2bまでの高さH3よりも大きく、かつ、下端縁2aが上端縁2bよりも前方に突出している。
【0022】
このように、下端縁2aを上端縁2bよりも前方に突出させているのは、下端縁2aと上端縁2bとの位置を相対的に長く離隔させることで、海面側でサイドローブをより抑制することができるからである。すなわち、フレア2の下面部25である下斜面部21と下水平部22との長さ(D1+D2)を、フレア2の上面部26である上斜面部23と上水平部24との長さ(D3+D4)よりもより長くすることで、下面部25側における電波エネルギーが低減して、サイドローブがより抑制されるからである。
【0023】
一方、フレア2の上面部26の長さを下面部25よりも短くすることで、ビーム幅が広がり利得が下がる場合があり、これに対する対策として、下水平部22と上水平部24の長さD2、D4をともに長くすることが有効である。このため、下水平部22と上水平部24の長さD2、D4をともに従来よりも長くし、下斜面部21の長さD1を上斜面部23の長さD3よりも長くすることで、下端縁2aを上端縁2bよりも前方に突出させている。
【0024】
このように、所定・所望のサイドローブをより抑制することができ、かつ、ビーム幅が狭く(指向性が高く)高い利得が得られるように、フレア2の上端縁2bまでの高さH3が下端縁2aまでの高さH2よりも低く設定され、下端縁2aが上端縁2bよりも前方に突出された上で、各長さD1〜D4が設定されている。さらに、レドーム3の幅W1が、従来のレドーム103の幅W11と同等以下になるように、各長さD1〜D4が設定されている。具体的には、例えば、下斜面部21の長さD1が約3λ(λ=波長)、上斜面部23の長さD3が約1.5λ、下水平部22の長さD2と上水平部24の長さD4が約0.7λに設定されている。
【0025】
レドーム3は、このようなフレア2の形状に沿うように形成されている。すなわち、図1に示すように、レドーム3の上面31は、フレア2の上水平部(上面)24に沿うように形成され、上面31は、所定の隙間を介してフレア2の上水平部24の直上に位置している。これにより、フレア2の高さH1(=H2+H3)に合わせて、レドーム3の高さH4が低く抑えられている。
【0026】
また、レドーム3の前面32は、フレア2の一方側の端縁つまり下端縁2aと他方側の端縁つまり上端縁2bとを結ぶ面Sに沿うように形成され、前面32の下側が上側よりも前方に突出している。このように面Sに沿うように形成することで、上記のようなフレア2の性能をそのまま発揮でき、高い指向性と高い利得が得られるものである。ここで、前面32は風の抵抗などを考慮して全体が湾曲されている。
【0027】
このような構成のレーダアンテナ1およびフレア2によれば、所定のサイドローブ特性が要求される海面側(一方側)においてのみ、所定のサイドローブ特性が得られるように、フレア2の開口部2Aの下端縁(一方側の端縁)2aの高さH2が設定され、開口部2Aの上端縁(他方側の端縁)2bの高さH3は、下端縁2aの高さH2よりも低く設定されている。すなわち、所定のサイドローブ特性が要求される海面側では、所定の高さが確保(高さが高く)されて要求特性が満たされている一方で、所定のサイドローブ特性が要求されない反海面側では、高さが低く設定されている。この結果、フレア2の全体の高さH1を低くしつつ、所定・所望のサイドローブを抑制することが可能となる。
【0028】
図3は、フレアが上下対称な従来の既製のレーダアンテナの垂直面指向性特性L11と、本レーダアンテナ1の垂直面指向性特性L12を示す図である。この図から、本フレア2の垂直面指向性特性L12は、反海面側(アングルがプラス側)においてはサイドローブが高いところがあるものの、海面側(アングルがマイナス側)においては良好なサイドローブ特性が得られていることが確認できる。ここで、図8に示すように、垂直面指向性とは、レーダアンテナの高さ方向(長手方向に垂直な方向)に対する指向性であり、水平面指向性とは、レーダアンテナの長さ方向(長手方向)に対する指向性である。
【0029】
このように、フレア2の高さH1を従来よりも低くしても、海面側においては良好なサイドローブ特性を得ることが可能となる。なお、反海面側においてはサイドローブが高いところが発生するが、船舶レーダにおいては反海面側でのサイドローブは一般に許容されるので、運用上問題はない。
【0030】
また、フレア2の下端縁2aが上端縁2bよりも前方に突出しているため、上記のように、ビーム幅を狭めて高い利得を得ることが可能となる。このように、本レーダアンテナ1によれば、フレア2の高さH1(レドーム3の高さH4)を低くしつつ、良好なサイドローブ特性、高い指向性および高い利得を得ることが可能となる。
【0031】
一方、フレア2の高さH1を低くすることができる結果、フレア2の上水平部(上面)24に沿うように形成されているレドーム3の上面31の高さも低くなり、レーダアンテナ1全体の高さを低くすることが可能となる。例えば、本レドーム3の高さH4を従来のレドーム103の高さH12よりも、約20%低くすることが可能となる。この結果、風に対する抗力が軽減して耐風特性・空力特性が向上し、レーダアンテナ1を回転させる回転機構・モータへの負荷が軽減され、回転機構の耐久性などを向上させることが可能となる。
【0032】
図4は、従来のレーダアンテナに作用する回転角度ごとの抗力、横力および揚力を示し、図5は、本レーダアンテナ1に作用する回転角度ごとの抗力、横力および揚力を示す。これらの図から、本レーダアンテナ1は、従来のレーダアンテナに比べて抗力、横力および揚力ともに軽減されていることが確認できる。
【0033】
また、図6は、従来のレーダアンテナに作用する回転角度ごとのヨーイングトルク(水平面内での回転モーメント)を示し、図7は、本レーダアンテナ1に作用する回転角度ごとのヨーイングトルクを示す。これらの図から、本レーダアンテナ1は、従来のレーダアンテナに比べてヨーイングトルクが小さく、回転機構への負荷が軽減されていることが確認できる。
【0034】
また、フレア2の上面部26を従来よりも短くしたり、レドーム3の高さH4を従来よりも約20%低くすることができるため、本レーダアンテナ1を軽量化(従来に比べて20%程度)することが可能となる。さらに、レドーム3の幅W1が、従来のレドーム103の幅W11と同等以下であるため、全体の小型化を図ることができる。
【0035】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、放射導波管4の中心面C1から海面側・下側を所定のサイドローブ特性が要求される一方側としているが、中心面C1から反海面側・上側を一方側としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 レーダアンテナ
2 レーダアンテナ用フレア(フレア)
2A 開口部
2a 下端縁(一方側の端縁)
2b 上端縁(他方側の端縁)
3 レドーム
31 上面
32 前面
4 放射導波管
C1 中心面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10