【実施例】
【0102】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
実施例1:密度汎関数法を用いた第一原理計算による、アニオン状態におけるホスフィンオキシド誘導体の安定性の評価
【0103】
計算プログラムにGAMESSを用い、ワークステーション上で、下記の条件により構造の最適化及び生成熱の計算を行った。
中性分子、カチオン、アニオンフラグメント:RHF(制限閉殻法)/6−31G(d)/B3LYP
カチオン、アニオン分子、中性フラグメントは、UHF(非制限開核法)/6−31G(d)/B3LYP
以上の内フラグメント分子は、親イオンの配座のまま1点計算した。
【0104】
これらの生成熱より、下式(1)で示される解離反応の結合解離エネルギー(BDE:Bond Dissociation Energy)を計算した。
M→F1+F2・・・・・(1)
【0105】
この時の結合解離エネルギーは、下記の式(2)で求められる。
BDE=H
M−(H
F1+H
F2)・・・・(2)
BDE:結合解離エネルギー
H
M:親分子の生成熱
H
F1、H
F2:それぞれのフラグメント分子の生成熱
【0106】
モデル化合物系において、Linらの計算結果が再現できることを確認し、下記の化合物について、結合解離エネルギーの計算を行った。結果を表1に示す。アニオンのBDEが架橋することにより12〜15kcal/mol向上することがわかった。
【0107】
【化21】
【0108】
【表1】
【0109】
実施例2:電子輸送材料の基本骨格の合成
2,6−(p−ブロモフェニル)−4−ビフェニルピリジンの合成
【0110】
【化22】
【0111】
4−フェニルベンズアルデヒド4.61g(25.3mmol)、4’−ブロモアセトフェノン10.1g(50.6mmol)、酢酸アンモニウム25.1g(325mmol)を酢酸63.4mLに加え9時間還流させた。反応終了後、室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、エタノールで洗浄した。結晶はジクロロメタン/IPAで再結晶を行い、表題化合物4.42g(32%)を得た。
APCI TOF MS m/z=538,540,542
【0112】
2,6−ビス(3−ブロモフェニル)−4−ビフェニルピリジンの合成
【0113】
【化23】
【0114】
4−フェニルベンズアルデヒド4.62g(25.3mmol)、3’−ブロモアセトフェノン10.1g(50.6mmol)、酢酸アンモニウム25.1g(325mmol)を酢酸63.4mLに加え、9時間還流した。反応終了後、室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、沈殿をエタノールで洗浄した。結晶はジクロロメタン/IPAで再結晶を行い、表題化合物3.85g(28%)を得た。
APCI TOF MS m/z=538,540,542
【0115】
2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジンの合成
【0116】
【化24】
【0117】
塩化ベンゾイル3.51g(25mmol)、4−ブロモベンゾニトリル9.10g(50mmol)をクロロベンゼン37.5mLに溶解し、0℃に冷却した。この溶液に塩化アンチモン(V)7.48g(25mmol)を滴下し、室温で20分、100℃で2時間撹拌した。反応終了後、−20℃に冷却し、激しく撹拌しながら25%アンモニア水20mLを加えクエンチした。室温でクロロベンゼン25mLを加え、共沸により水を取り除いた。残渣は130℃に加熱して熱時ろ過した。ろ紙上の残留物はクロロホルム25mLに加え、加熱して再度熱時ろ過した。得られたろ液はメタノール50mLを加え、生じた沈殿をろ取し、表題化合物7.00g(60%)を得た。
APCI TOF MS m/z=465,467,469
【0118】
2,6−(4−ヨードフェニル)−4−ビフェニルピリジンの合成
【0119】
【化25】
【0120】
4−フェニルベンズアルデヒド2.31g(13mmol)、4’−ヨードアセトフェノン6.22g(25mmol)、酢酸アンモニウム12.6g(163mmol)を酢酸32mLに加え、9時間還流した。反応終了後、室温まで冷却し、析出した結晶をろ取した。結晶はさらにエタノールで洗浄した。得られた結晶はジクロロメタン/IPAで再結晶を行い、表題化合物0.75g(9%)を得た。
APCI TOF MS m/z=634
【0121】
2,6−(3−ヨードフェニル)−4−ビフェニルピリジンの合成
【0122】
【化26】
【0123】
4−フェニルベンゾアルデヒド1.15g(6.3mmol)、3’−ヨードアセトフェノン3.11g(13mmol)、酢酸アンモニウム6.30g(82mmol)を酢酸16mLに溶解し、9時間還流した。反応終了後、室温まで冷却し、析出した結晶をろ取した。結晶はさらにエタノールで洗浄した。得られた結晶はジクロロメタン/IPAで再結晶を行い、表題化合物0.46g(12%)を得た。
APCI TOF MS m/z=634
【0124】
2,6−(3−ヨードフェニル)−4−フェニルピリジンの合成
【0125】
【化27】
【0126】
ベンズアルデヒド669mg(6.3mmol)、3’−ヨードアセトフェノン3.11g(12.6mmol)、酢酸アンモニウム6.30g(81.7mmol)を酢酸15.9mLに加え、9時間還流した。室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、結晶はさらにエタノールで洗浄した。得られた結晶はジクロロメタン/IPAで再結晶を行い、表題化合物750mg(21%)を得た。
APCI TOF MS m/z=558、559
【0127】
1,3−ジブロモ−5−(カルバゾール−9−イル)−ベンゼンの合成
【0128】
【化28】
【0129】
55%水素化ナトリウム500mg(11.5mmol)をDMF20mLに懸濁させ、カルバゾール1.67g(10mmol)を加え、この懸濁液を80℃に加熱して溶解させた。続いて1,3−ジブロモ−5−フルオロベンゼン2.54g(10mmol)を滴下して100℃で16時間加熱撹拌を行った。反応反応混合物は室温に冷却し、氷水でクエンチした。この水溶液をジクロロメタンを用いて抽出し、得られた有機層は硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下でで濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製し、ヘプタンより再結晶を行い、表題化合物1.63g(41%)を得た。
APCI TOF MS m/z=402
【0130】
1,3−ジヨード−5−(カルバゾール−9−イル)−ベンゼンの合成
【0131】
【化29】
【0132】
1,3−ジブロモ−5−(カルバゾール−9−イル)−ベンゼン360mg(0.9mmol)、ヨウ化銅(I)2.57g(13.5mmol)、ヨウ化カリウム5.57g(33.6mmol)をDMF10.6mLに加え、140℃で22時間加熱撹拌を行った。反応終了後、不溶物をセライトろ過で取り除いた。ろ液は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた結晶はジクロロメタン/メタノールで再結晶を行い、表題化合物380mg(85%)を得た。
APCI TOF MS m/z=496
【0133】
1,3−ジブロモ−5−((3,6−ジ−tert−ブチル)カルバゾール−9−イル)−ベンゼンの合成
【0134】
【化30】
【0135】
55%水素化ナトリウム400mg(9.2mmol)をDMF16mLに懸濁し、3,6−ジ−tert−ブチルカルバゾール2.24g(8.0mmol)を加えた。この懸濁液を80℃に加熱し溶解させた。続いて1,3−ジブロモ−5−フルオロベンゼン2.03g(8.0mmol)を加え、100℃で16時間撹拌した。反応終了後、水を注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製し、得られた固体は2−プロパノールより再結晶を行い、表題化合物2.25g(55%)を得た。
APCI TOF MS m/z=514
【0136】
1,3−ジヨード−5−(3,6−ジ−tert−ブチルカルバゾール−9−イル)−ベンゼンの合成
【0137】
【化31】
【0138】
1,3−ジブロモ−5−((3,6−ジ−tert−ブチル)カルバゾール−9−イル)−ベンゼン770mg(1.5mmol)、ヨウ化銅(I)4.29g(22.5mmol)、ヨウ化カリウム9.29g(56mmol)をDMF17.6mLに加え、140℃で22時間撹拌した。反応終了後、不溶物をセライトろ過でを取り除いた。ろ液は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた結晶はジクロロメタン/メタノールより再結晶を行い、表題化合物800mg(87%)を得た。
APCI TOF MS m/z=608
【0139】
3,6−ジ−tert−ブチル−9−(3,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)カルバゾールの合成
【0140】
【化32】
【0141】
1,3−ジブロモ−5−((3,6−ジ−tert−ブチル)カルバゾール−9−イル)−ベンゼン230mg(0.45mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン46mg(1.8mmol)、酢酸カリウム880mg(9.0mmol)をジオキサン5.4mLに加え、60℃で15分間加熱撹拌を行った。続いてPdCl
2(dppf)−CH
2Cl
220mg(0.03mmol)を加え、80℃で16時間撹拌した。反応終了後、水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物210mg(78%)を得た。
APCI TOF MS m/z=455
【0142】
5−ブロモイソフタル酸の合成
【0143】
【化33】
【0144】
イソフタル酸9.97g(60mmol)を濃硫酸27mLに加え、60℃に加熱した。続いてNBS12.8g(72mmol)を20分おきに3回に分けて添加し、室温で一晩撹拌した。反応終了後、氷水に注ぎ生じた沈殿をろ取した。沈殿はさらに水、ヘキサンで洗浄し、乾燥した。得られた固体は酢酸エチルより再結晶を行い、表題化合物12.6g(86%)を得た。
1H NMR(DMSO) δ 8.44(s,1H),δ 8.26(s,2H)
【0145】
5−ブロモ−1,3−ベンゼンジカルボキシアミドの合成
【0146】
【化34】
【0147】
5−ブロモイソフタル酸610mg(2.49mmol)、DMF0.05mLをトルエン2.0mLに加えた。この溶液に塩化チオニル0.45mL(6.22mmol)を10分かけて滴下し、滴下終了後、3.5時間還流した。反応終了後、0℃に冷却し、25%アンモニア水溶液5mLを滴下し、0℃で10分、室温で1時間撹拌した。生じた沈殿はろ取し、沈殿はさらに水で洗浄した。得られた固体は酢酸より再結晶を行い、表題化合物376mg(62%)を得た。
APCI−TOF−MS(m/z)=242,244
【0148】
5−ブロモベンゼン−1,3−ジカルボニトリルの合成
【0149】
【化35】
【0150】
2M塩化オキサリル−ジクロロメタン溶液43.9mL(87.8mmol)をDMF150mL加え、0℃に冷却した。5−ブロモ−1,3−ベンゼンジカルボキシアミド7.55g(31mmol)−DMF溶液150mLを滴下し、0℃で6時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣はエタノールより再結晶を行い、表題化合物4.12g(64%)を得た。
APCI−TOF−MS(m/z)=206,208
1H NMR(DMSO− d
6) δ 8.04(s,2H),δ 7.91(s,1H)
【0151】
2,8−ジメチルフェノキサホスフィン−10−オキシド(DMPOPO)の合成
【0152】
【化36】
【0153】
ジ−p−トリルエーテル5.95g(30mmol)、三塩化リン16.5g(120mmol)に塩化アルミニウム(III)5.07g(38mmol)を少量ずつ加え、8時間還流した。反応終了後、室温まで冷却し、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣はトルエンで希釈し、氷冷した希塩酸にゆっくり滴下し、室温で1時間で撹拌した。水層は取り除き、有機層は重層水で中和した。セライトろ過後、得られたろ液は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた結晶はシクロヘキサンで再結晶を行い、表題化合物4.63g(63%)を得た。
APCI TOF MS m/z=245 [M+1]
1H NMR(CDCl
3) δ 2.42(s,6H) 7.06−7.89(m,6H),8.56(d,1H,
1J
HP=518Hz)
【0154】
フェノキサホスフィン−10−オキシド(POPO)の合成
【0155】
【化37】
【0156】
ジフェニルエーテル2.35g(13.8mmol)、三塩化リン11.4g(83.0mmol)に塩化アルミニウム(III)2.39g(17.9mmol)を少量ずつ加え、8時間還流した。反応終了後、室温まで冷却し、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣はトルエンで希釈し、氷冷した希塩酸にゆっくり滴下し、室温で1時間で撹拌した。水層は取り除き、有機層は重層水で中和した。セライトろ過後、得られたろ液は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた結晶はシクロヘキサンで再結晶を行い、表題化合物0.30g(10%)を得た。
APCI TOF MS m/z=217
【0157】
2.8−ジフルオロフェノキサホスフィン−10−オキシド(DFPOPO)の合成
【0158】
【化38】
【0159】
ビス(4−フルオロフェニル)エーテル12.5g(61mmol)、三塩化リン33.4g(240mmol)、塩化ガリウム(III)13.9g(79mmol)を少量ずつ加え、8時間還流した。反応終了後、室温まで冷却し、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣はトルエンで希釈し、氷冷した希塩酸にゆっくり滴下し、室温で1時間で撹拌した。水層は取り除き、有機層は重層水で中和した。セライトろ過後、得られたろ液は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製し、得られた結晶はシクロヘキサンで再結晶を行い、表題化合物13.1g(86%)を得た。
APCI TOF MS m/z=253
1H NMR(CDCl
3) δ6.91−7.84(m,6H,ArH),8.61(d,1H,J
=528Hz)
【0160】
1−ブロモ−4−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)ベンゼンの合成
【0161】
【化39】
【0162】
1−ブロモ−4−ヨードベンゼン3.39g(12mmol)、2,8−ジフルオロフェノキサホスフィンオキシド1.51g(6mmol)、酢酸パラジウム70mg(0.3mmol)、dppp0.25g(0.6mmol)、DIEA1.55g(12mmol)をDMSO48mLを加え、80℃で4時間撹拌した。反応終了後、水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた固体はジクロロメタン/シクロヘキサンより再結晶を行い、表題化合物1.22g(50%)を得た。
APCI TOF MS m/z=408
【0163】
ビス(2−ブロモフェニル)スルフィドの合成
【0164】
【化40】
【0165】
o−ブロモベンゼンチオール5.67g(30mmol)、1−ブロモ−2−ヨードベンゼン8.49g(30mmol)、水酸化カリウム3.37g(60mmol)、Cu
2O0.22g(1.5mmol)、水5.5mLをDMSO21.8mLに加えて80℃で18時間撹拌した。混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、表題化合物8.85g(86%)を得た。
APCI TOF MS m/z=341、343、345
【0166】
フェノチアホスフィン−10−オキシド(PTPO)の合成
【0167】
【化41】
【0168】
ビス(2−ブロモフェニル)スルフィド2.00g(5.80mmol)をTHF17.4mLに溶解し、−80℃に冷却した。1.6Mn−BuLi−ヘキサン溶液8mL(12.8mmol)を滴下し、−80℃で1.5時間撹拌した後、ジクロロ(ジメチルアミノ)ホスフィン1.06g(6.10mmol)−THF5mL溶液を滴下した。−80℃で2時間撹拌後、ゆっくり室温まで昇温し、濃塩酸3.0mLを加えて室温で1時間撹拌した。反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、表題化合物0.65g(48%)を得た。
APCI TOF MS m/z=233
1H NMR(CDCl
3) δ 5.09(s,1H),7.17−8.24(m,8H)
【0169】
(2−カルボメトキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキシド(TPPO−2−CO2Me)の合成
【0170】
【化42】
【0171】
2−ヨード安息香酸メチル36.7g(140mmol)、DPPO28.3g(140mmol)、酢酸パラジウム943mg(4.2mmol)、dppp3.46g(8.4mmol)、DIEA43.9mLをDMSO280mLに加え、100℃で26時間撹拌した。得られた反応混合物は飽和塩化アンモニア水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は再度飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はトルエンより再結晶を行い、表題化合物12.3g(26%)を得た。
APCI TOF MS m/z=337
1H NMR(CDCl
3) δ 3.49(s,3H),7.33−8.06(m,14H)
【0172】
ジフェニル(2−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)フェニル)ホスフィンオキシド(TPPO−2−CMe2OH)の合成
【0173】
【化43】
【0174】
Ar雰囲気下、メカニカルスターラーで撹拌しながらMg19.5g(804mmol)にヨードメタン137g(965mmol)−ジエチルエーテル溶液400mLを30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で30分間撹拌した。続いて氷浴で冷却し、TPPO−2−CO2Me90.0g(268mmol)を加え、0℃で30分間、室温で90分間撹拌した。反応終了後、1N塩酸100mLをゆっくり加えてクエンチした。得られた溶液はジクロロメタンで抽出し、有機層はさらに1N塩酸、水、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮後、得られた残渣はトルエン/ヘプタンより再結晶を行い、表題化合物57.2g(63%)を得た。
MS m/z=337,319
【0175】
10,10−ジメチル−5−フェニルアクリドホスフィン−5−オキシド(Ph−DMAPO)の合成
【0176】
【化44】
【0177】
TPPO−2−CMe2OH63.7g(189mmol)をポリリン酸80mLに分散させ、160℃で4時間撹拌した。反応終了後、水50mL加えて反応混合物を希釈し、氷冷した水へ注ぎクエンチした。ジクロロメタンで抽出した。水層は酢酸エチルで抽出し、有機層と合わせた。有機層は水で洗浄縺A硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製後、酢酸エチルを用いて再結晶を行い、表題化合物28.9g(48%)を得た。
APCI TOF MS m/z=319
1H NMR(CDCl
3) δ 1.79(s,3H),1.90(s,3H),7.27−7.84(m,13H)
【0178】
10,10−ジメチルアクリドホスフィン−5−オキシド(H−DMAPO)の合成
【0179】
【化45】
【0180】
Ph−DMAPO28.7g(90mmol)をTHF180mLに溶解し、Li1.52g(219mmol)を加え18時間還流した。反応終了後、注意深く水を注ぎ、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。ジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで有機層を乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残差はカラムクロマトグラフィーで精製し目的物を含む混合物10.5gを得た。得られた混合物はシクロヘキサン/ジオキサンより再結晶を行い,、表題化合物8.31g(38%)を得た。
APCI TOF MS m/z=243
1H NMR(CDCl
3) δ 1.86(s,6H),7.41−8.40(m,8H),11.02(s,1H)
【0181】
実施例3:トリアリールホスフィンオキシド類の合成
【0182】
2,6−ビス(4−(2,8−ジメチルフェノキサホスフィノイル)フェニル)−4−(4−フェニルフェニル)ピリジン((DMPOPO−p−Ph)2BP−Py)(I)の合成
【0183】
【化46】
【0184】
2,6−(4−ブロモフェニル)−4−ビフェニルピリジン1.24g(2.3mmol)、DMPOPO1.69g(6.9mmol)、酢酸パラジウム51.6mg(0.23mmol)、dppp142mg(0.345mmol)、DIEA7.65mLをDMSO15.3mLに加え、100℃で26時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物300mg(15%)を得た。
APCI TOF MS m/z=867,868
1H NMR(CDCl
3) δ 2.31(s,12H,7.10 − 8.25(m,31H)
【0185】
2,6−ビス(3−(2,8−ジメチルフェノキサホスフィノイル)フェニル)−4−(4−フェニルフェニル)ピリジン(DMPOPO−m−Ph)2BP−Py(II)の合成
【0186】
【化47】
【0187】
2,6−(3−ブロモフェニル)−4−ビフェニルピリジン1.24g(2.30mmol)と、DMPOPO1.69g(6.90mmol)、酢酸パラジウム51.6mg(0.230mmol)、dppp142mg(0.345mmol)、DIEA7.65mLをDMSO15.3mLに加え、100℃で26時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた結晶はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物200mg(10%)を得た。
APCI TOF MS m/z=867,868
1H NMR(CDCl
3) δ2.31(s,12H),7.20−8.76(m,31H)
【0188】
2.4−ビス(4−(2,8−ジメチルフェノキサホスフィノイル)フェニル)−5−フェニル−1,3,5−トリアジン((DMPOPO−p−Ph)2Ph−TAZ)(III)の合成
【0189】
【化48】
【0190】
2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン1.07g(2.3mmol)、DMPOPO1.69g(6.9mmol)、酢酸パラジウム52mg(0.23mmol)、dppp142mg(0.345mmol)、DIEA7.35mLをDMSO15.3mLに加え、100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた結晶はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物800mg(44%)を得た。
APCI TOF MS m/z=794
1H NMR(CDCl
3) δ 2.32(s,12H),7.12−8.01(m,19H),8.66−8.85(m,6H)
【0191】
2,4,6−トリス(4−(2,8−ジメチルフェノキサホスフィノイル)フェニル)トリアジン((DMPOPO−p−Ph)3−TAZ)(IV)の合成
【0192】
【化49】
【0193】
2,4,6−トリス(4−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン835mg(1.53mmol)、2,8−ジメチルフェノキサホスフィンオキシド1.69g(6.90mmol)、酢酸パラジウム52mg(0.230mmol)、dppp142mg(0.345mmol)、DIEA7.35mLをDMSO15.3mLに加え、100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた結晶はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物650mg(41%)を得た。
APCI TOF MS m/z=1036
1H NMR(CDCl
3) δ 2.31(s,18H),7.12−8.00(m,24H),8.63 − 8.81(d,6H)
【0194】
2,2’,7,7’−テトラキス(2,8−ジメチルフェノキサホスフィノイル)−9,9−スピロビフルオレン(4DMPO−SPF)(V)の合成
【0195】
【化50】
【0196】
2,2’,7,7’−テトラブロモ−9,9’−スピロビフルオレン683mg(1.08mmol)、DMPOPO2.20g(9.00mmol)、酢酸パラジウム48mg(0.216mmol)、DIEA18mLをDMSO36mLに加え、100℃で60時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた結晶はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物280mg(20%)を得た。
APCI TOF MS m/z=1285
【0197】
2,7−ビス(2,8−ジメチルフェノキサホスフィノイル)−9,9−ジメチルフルオレン((BDMPOPO)2DMFlu)(VI)の合成
【0198】
【化51】
【0199】
2,7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレン446mg(1.0mmol)、DMPOPO586mg(2.4mmol)、酢酸パラジウム23mg(0.10mmol)、dppp62mg(0.15mmol)、DIEA3.3mLをDMSO6.7mLに加え100℃で48時間撹拌した反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた結晶はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物350mg(52%)を得た。
APCI TOF MS m/z=678
【0200】
2,7−ビス(フェノキサホスフィノイル)−9,9−ジメチルフルオレン((DPOPO)2DMFlu)(VII)の合成
【0201】
【化52】
【0202】
2,7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレン180mg(0.40mmol)、POPO210mg(0.97mmol)、酢酸パラジウム9.1mg(0.040mmol)、DIEA1.3mLをDMSO2.7mLに加え、100℃で60時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた結晶はトルエンで再結晶を行い、表題化合物120mg(30%)を得た。
APCI TOF MS m/z=622
【0203】
2,6−ビス(4−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)フェニル)−4−(4−フェニルフェニル)ピリジン((DFPOPO−p−Ph)2BP−Py)(VIII)の合成
【0204】
【化53】
【0205】
2,6−(4−ヨードフェニル)−4−ビフェニルピリジン230mg(0.362mmol)、DFPOPO274mg(1.1mmol)、酢酸パラジウム8.13mg(0.036mmol)、dppp22.4mg(0.054mmol)、DIEA1.2mLをDMSO2.3mLに加え、100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた結晶は2−プロパノールで再結晶を行い、表題化合物102mg(32%)を得た。
APCI TOF MS m/z=884
【0206】
2,6−ビス(3−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)フェニル)−4−(4−フェニルフェニル)ピリジン((DFPOPO−m−Ph)2BP−Py)(IX)の合成
【0207】
【化54】
【0208】
2,6−(3−ヨードフェニル)−4−ビフェニルピリジン950g(1.5mmol)、DFPOPO1.14g(4.5mmol)、酢酸パラジウム34.7mg(0.15mmol)、dppp92.8mg(0.23mmol)、DIEA4.8mLをDMSO9.6mL加え、100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はIPAで再結晶を行い、表題化合物410mg(31%)を得た。
APCI TOF MS m/z=883,884
【0209】
2,6−ビス(3−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)フェニル)−4−フェニルピリジン((DFPOPO−m−Ph)2Ph−Py)(X)の合成
【0210】
【化55】
【0211】
2,6−(3−ヨードフェニル)−4−フェニルピリジン369mg(0.66mmol)と、DFPOPO0.502g(2.0mmol)、酢酸パラジウム14.8mg(0.066mmol)、dppp40.5mg(0.098mmol)、DIEA2.1mLをDMSO4.2mLに加え、100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はトルエンで再結晶を行い、表題化合物255mg(48%)を得た。
APCI TOF MS m/z=807
【0212】
2,4−ビス(4−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)フェニル)−4−フェニルピリジン((DFPOPO−p−Ph)2Ph−TAZ)(XI)の合成
【0213】
【化56】
【0214】
2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン989mg(2.12mmol)、2,8−ジフルオロ−フェノキサホスフィンオキシド1.60g(6.35mmol)、酢酸パラジウム48mg(0.212mmol)、dppp131mg(0.317mmol)、DIEA7.3mLをDMSO14.1mLに加え、100℃で60時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はトルエンで再結晶を行い、表題化合物104mg(12%)を得た。
APCI TOF MS m/z=808
1H NMR(CDCl
3) δ 7.20−7.99,8.64−8.88(m,25H,ArH)
【0215】
2,7−ビス(2.8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)−9,9−ジメチルフルオレン((DFPOPO)2DMFlu)(XII)の合成
【0216】
【化57】
【0217】
2,8−ジフルオロフェノキサホスフィン−10−オキシド920mg(3.65mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレン430mg(1.22mmol)、酢酸パラジウム27mg(0.122mmol)、dppp76mg(0.183mmol)、DIEA11.5mLをDMSO23.9mLに加え、100℃で60時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はトルエンで再結晶を行い、表題化合物170mg(20%)を得た。
APCI TOF MS m/z=694
1H NMR(CDCl
3) δ 1.53(s,6H,CH
3),7.37−8.10(m,18H,ArH)
【0218】
3,5−ビス(4−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)フェニル)ベンゼン(3,5−(DFPOPO−p−Ph)2BP)(XIII)の合成
【0219】
【化58】
【0220】
1,3,5−トリス(4−ヨードフェニル)ベンゼン410mg(0.600mmol)、DFPOPO908mg(3.60mmol)、酢酸パラジウム74.2mg(0.180mmol)、dppp20.2mg(0.090mmol)、DIEA1.0mLをDMSO3.0mLに加え、100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はトルエンで再結晶を行い、表題化合物155mg(32%)を得た。
【0221】
2,2’−ビス(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)−9,9−スピロビフルオレン(2,2'−(DFPOPO)2SPF)(XIV)の合成
【0222】
【化59】
【0223】
2,2'−ジヨード−9,9'−スピロビフルオレン568mg(1.00mmol)、DFPOPO1.01g(4.00mmol)、酢酸パラジウム22.5mg(0.100mmol)、dppp82.5mg(0.200mmol)、DIEA2.0mLをDMSO4.0mL、に加え、100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はジクロロメタン5.0mLに溶解し、30%過酸化水素水110mg(1.00mmol)を滴下し、室温で一晩撹拌した。反応終了後、水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はトルエンで再結晶を行い、表題化合物302mg(37%)を得た。
APCI TOF MS m/z=884
【0224】
1,3−ビス(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)−5−(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(XV)の合成
【0225】
【化60】
【0226】
1,3−ジヨード−5−(カルバゾール−9−イル)−ベンゼン[5]550mg(1.1mmol)、2,8−ジフルオロフェノキサホスフィンオキシド1.11g(4.4mmol)、酢酸パラジウム25mg(0.11mmol)、dppp90mg(0.22mmol)、DIEA280mg(2.2mmol)を、DMSO4.4mLに加え、100℃で1時間加熱した。反応終了後、水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層は硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製し、得られた固体はジクロロメタン/メタノールより再結晶を行い、表題化合物300mg(37%)を得た。
APCI TOF MS m/z=743
【0227】
1,3−ビス(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)−5−((3,6−ジ−tert−ブチル)カルバゾール−9−イル)ベンゼン(XVI)の合成
【0228】
【化61】
【0229】
1,3−ジヨード−5−(3,6−ジ−tert−ブチルカルバゾール−9−イル)−ベンゼン300mg(0.5mmol)、2,8−ジフルオロフェノキサホスフィンオキシド450mg(1.8mmol)、酢酸パラジウム10mg(0.05mmol)、dppp40mg(0.1mmol)、DIEA130mg(1mmol)をDMSO2mLに加え、100℃で1時間撹拌した。反応終了後、水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製し、得られた固体はジクロロメタン/メタノールより再結晶を行った。得られた結晶はさらに昇華精製で精製を行い、表題化合物250mg(57%)を得た。
APCI TOF MS m/z=845
【0230】
5−(3,6−ジ−tert−ブチルカルバゾール−9−イル)−3,5−ビス(4−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)フェニル)ベンゼン(XVII)の合成
【0231】
【化62】
【0232】
1−ブロモ−4−(2,8−ジフルオロフェノキサホスフィノイル)ベンゼン400mg(0.99mmol)、3,6−ジ−tert−ブチル−9−(3,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)カルバゾール200mg(0.33mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)20mg(0.01mmol)、2M炭酸カリウム水溶液0.83mL、エタノール0.74mLをトルエン1.1mL加え、80℃で3時間撹拌した。反応終了後、水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーで精製した。得られた固体はジクロロメタン/メタノールより再結晶を行い、表題化合物230mg(69%)を得た。
APCI TOF MS m/z=1007
【0233】
2,7−ビス(フェノチアホスフィノイル)−9,9−ジメチルフルオレン(DPTPO−DMFlu)(XVIII)の合成
【0234】
【化63】
【0235】
2,7−ジヨード−9,9−ジメチルフルオレン363mg(0.814mmol)、PTPO460mg(1.98mmol)、酢酸パラジウム18mg(0.081mmol)、dppp50mg(0.122mmol)、DIEA2.6mLをDMSO5.4mLに加え100℃で48時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はシクロヘキサン/トルエンで再結晶を行い、表題化合物107mg(20%)を得た。
APCI TOF MS m/z=654
【0236】
2,2’,7,7’−テトラキス(フェノチアホスフィノイル)−9,9−スピロビフルオレン((PTPO)4SPF)(XIX)の合成
【0237】
【化64】
【0238】
2,2’,7,7’−テトラブロモ−9,9’−スピロビフルオレン210mg(0.340mmol)、PTPO0.650g(2.80mmol)、酢酸パラジウム29.6mg(0.132mmol)、dppp81.7mg(0.198mmol)、DIEA2.2mLをDMSO11.3mLに加え、100℃で60時間撹拌した。得られた反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物249mg(59%)を得た。
APCI TOF MS m/z=1237
【0239】
2,7−ビス(5,5−ジオキソフェノチアホスフィノイル)−9,9−ジメチルフルオレン(BPTPTO−DMFlu)(XX)の合成
【0240】
【化65】
【0241】
BPTPT−DMFlu100mg(0.153mmol)をクロロホルム2.4mLに溶解し、0℃に冷却した。続いてmCPBA137mg(0.612mmol)を加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はトルエンで再結晶を行い、表題化合物100mg(91%)を得た。
APCI TOF MS m/z=718,719
1H NMR(CDCl
3) δ1.35(s,6H),7.37−8.64(m,22H)
【0242】
2,7−ビス(5−オキソフェノチアホスフィノイル)−9,9−ジメチルフルオレン(BPTPDO−DMFlu)(XXI)の合成
【0243】
【化66】
【0244】
BPTPT−DMFlu400mg(0.61mmol)をクロロホルム9.6mLに溶解し、0℃に冷却した。続いてmCPBA274mg(1.22mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物は水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層は飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体はメタノール/トルエンで再結晶を行い、表題化合物66mg(16%)を得た。
APCI TOF MS m/z=686,687
【0245】
2,4−ビス(4−(9,9−ジメチルアクリドホスフィノイル)フェニル)−4−フェニル−1,3,5−トリアジン((DMAPO-p-Ph)2Ph-TAZ)(XXII)の合成
【0246】
【化67】
【0247】
10,10−ジメチルアクリドホスフィン−5−オキシド472mg(1.95mmol)、テトラブロモスピロビフルオレン304mg(0.65mmol)、酢酸パラジウム29mg(0.13mmol)、dppp107mg(0.26mmL)、ジイソプロピルエチルアミン0.9mLをDMSO2.6mLに加え、100℃で20時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残差はカラムクロマトグラフィーで精製し白色個体200mgを得た。得られた白色個体はトルエンより再結晶を行い表題化合物153mg(30%)を得た。
APCI TOF MS m/z=790
【0248】
実施例3:積層型有機EL素子(有機電界発光素子)の作製及び評価
【0249】
1.積層型有機EL素子(有機電界発光素子)の作製
150nmのITOガラス(□50mm ジオマテック製)上に0.023cm
2の積層型有機EL素子(赤色リン光素子又は緑色蛍光素子)を作製した。基板はアルカリ洗剤(関東化学製)、超純水、アセトン(和光純薬製)にて超音波洗浄(各5分)、2−プロパノール(和光純薬製)にて煮沸洗浄(5分)、次いでUV/O
3洗浄(15分)を行った。
【0250】
(1)赤色リン光素子
正孔注入層の有機膜は、スピンコート法、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層の有機膜は、真空蒸着法にて、陽極であるITOガラス上に成膜した。各層の材料、成膜条件は以下の通りである。ドーピングを行っている発光層及のホスト材料とゲスト材料の比は、水晶振動子膜厚計でモニターし蒸着速度を調整することにより調整した。
【0251】
・正孔注入層:PEDOT−PSS(AI4083(Heraeus製))(40nm)
スピンコート2700rpm×45sec(大気雰囲気)
ベーク200℃ 60min(大気雰囲気)
・正孔輸送層:α−NPD(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン:下式参照)(40nm)
蒸着速度 1Å/秒、チャンバー圧<1×10
−4Pa
・発光層(30nm)
ホスト材料:実施例2において合成した有機電子輸送材料
発光材料(ゲスト材料):Ir(piq)
3(下式参照)、6重量%
蒸着速度 1Å/秒、チャンバー圧<1×10
−4Pa
・正孔ブロック層:BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニルフェナントロリン:下式参照)(10nm)
蒸着速度 1Å/秒、チャンバー圧<1×10
−4Pa
・電子輸送層:Alq
3(トリス(8−キノリノラート)アルミニウム:下式参照)(30nm)
蒸着速度 1Å/秒、チャンバー圧<1×10
−4Pa
【0252】
(2)緑色蛍光素子
正孔輸送層、発光層、電子輸送層の有機膜は、真空蒸着法にて、陽極であるITOガラス上に成膜した。各層の材料、成膜条件は以下の通りである。ドーピングを行っている電子輸送層のホスト材料とゲスト材料の比は、水晶振動子膜厚計でモニターし蒸着速度を調整することにより調整した。
【0253】
・正孔輸送層:α−NPD(40nm)
蒸着速度 1Å/秒、チャンバー圧<1×10
−4Pa
・発光層:Alq
3(20nm)
蒸着速度 1Å/秒、チャンバー圧<1×10
−4Pa
・電子輸送層:実施例2において合成した有機電子輸送材料(30nm)
【0254】
【化68】
【0255】
【化69】
【0256】
【化70】
【0257】
【化71】
【0258】
【化72】
【0259】
【化73】
【0260】
陰極(LiF/Al)の蒸着には、チャンバー圧<1×10
−4Paの高真空蒸着装置を用いた。蒸着速度は、LiFについては0.1Å/s、Alについては5Å/sとした。全ての素子においてN
2雰囲気下で封止を行った。陰極の成膜が完了後、素子を窒素置換したグローブボックス(vac製、水分濃度1ppm以下、酸素濃度1ppm以下)内に直ちに移動し、乾燥シート剤(ダイニック製)を貼ったガラスキャップ(クライミング製)で素子を封止した。
【0261】
2.積層型有機EL素子の寿命の測定
積層型有機EL素子を25℃一定の恒温槽内に設置し、定電流連続駆動に伴う輝度、電圧の変化を、寿命評価測定装置(九州計測器製)を用いて測定した。
【0262】
3.結果
上記測定結果を表2及び表3に示す。表2は、赤色リン光素子における有機電子輸送材料(I)〜(XXIII)の評価結果を示す。表3は、緑色蛍光素子における有機電子輸送材料(I)〜(XXIII)の評価結果を示す。また、DPPO2DMFluを有機電子輸送材料として用いた比較例の結果も合わせて示す。下記の表から分かるように、有機電子輸送材料(I)〜(XXIII)では、高い寿命を有し、耐久性に優れる。
【0263】
【表2】
【0264】
【表3】
【0265】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。